長崎県美術館にて 公共性に焦点を当てた 隈研吾の大規模個展が開催
長崎県美術館 2004 設計:株式会社日本設計/デザイン・アーキテクト:隈研吾 ©DAICI ANO
36の隈建築から見る公共性
隈研吾建築デザインで知られる長崎県美術館で、
現在、隈研吾の大規模個展
『隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則』が開催されています。
高知、長崎、東京と三都市を巡回する本展。

オドゥンパザル近代美術館(トルコ)2019 © Erieta Attali

V&Aダンディー(英国)2018 ©RossFraserMcLean

ブザンソン芸術文化センター(フランス)2012 ©Stefan Girard

アオーレ長岡 2012 © by FUJITSUKA Mitsumasa
隈建築のなかから公共性の高いものを中心に36件を選定し、
それらを「孔」「粒子」「やわらかい」「斜め」「時間」
という隈氏による5原則によって分類。
模型や写真、モックアップといったかたちで展示し、
すべてに隈氏の作品解説がついています。
36件のなかには、新築の庁舎のような大きな公共建築だけでなく、
リノベーションによる居酒屋のような小さな建築も。
隈氏が考える公共建築の概念を、さまざまな角度から知ることができるでしょう。
そして、瀧本幹也、藤井光、津田道子、マクローリン兄弟などのアーティストとの、
映像によるコミッションワークも展示。
こちらの会場には、360度VRもあります。
そのほか、本展では隈氏の新たなリサーチプロジェクト
『東京計画2020 ネコちゃん建築の5656原則』を発表。
現代の建築的な提案は、高度経済成長期のように都市を上からではなく、
下から見て行うべき、という視点で隈氏が着目したのは「ネコ」。
デザイン・イノベーション・ファーム〈Takram(タクラム)〉と協働し、
神楽坂でのフィールドワークやGPS測定のリサーチ成果を、
3DCGやプロジェクションマッピングを用いて展示しています。
被災地での復興と建築に関するインタビューも
また、公式サイトでは、今後隈氏が被災地に設計した建物に関係する人々への
復興と建築に関するインタビューを近日中に公開予定。
ここに登場するのは、南三陸町長の佐藤仁氏、
南三陸まちづくり未来代表の三浦洋昭氏、浜田醤油研究開発責任者の浜田浩成氏など、
実際に被災地で建物を利用していたり、管理している人々。
ただのインタビューではなく、オーラル・ヒストリーの観点から、
普段フォーカスされづらい、建物の利用者の生の言葉を記録することで、
建物がどう使われているのか、利用者はどう思っているかなどを
可視資料として変換しました。
「ノイズが付与されるのは、彼らがその建物に不満を抱いているからではなくて、
むしろ、好んでいるうえで、よりよくしようと思ったため」
インタビュー中に隈氏がそう語るように、それぞれの営みから生まれた生の声は、
著名な建築家の建物を賛賞する声ばかりでなく、
不平不満的なものも含まれているかもしれません。
しかし、それらは隈研吾という建築家の個人史、
現代日本の建築史、被災地の地域史といった、
さまざまな文脈と紐づき、次の時代へとつなぐ重要な資料にもなり得ます。
現代日本を代表する建築家の個展から考える公共性。
時代が大きく変わろうとしている今、この展覧会でヒントを見つけてみませんか?
information
隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則
開催期間:開催中~2021年3月28日(日)
会場:長崎県美術館
住所:長崎県長崎市出島町2-1
TEL:095-833-2110
開館時間:10:00~18:00
※展示室への最終入場は閉館30分前まで。来館の際は、長崎県美術館ウェブサイトにて最新情報を要確認
休館日:第2・4月曜日
観覧料:一般 1300円、大学生・70歳以上 1000円、高校生以下無料
アクセス:路面電車出島電停徒歩3分


