植物とコーヒーのプロによる新しい試み
コーヒーのサードウェーブにより、
日本でもいままで以上に豆に注目が集まるようになった。
スペシャルティコーヒーが定着し、好みに合わせて
テロワールやロースターを選ぶ時代に。
しかし自分で栽培している人は少ないのではないだろうか。

コーヒー豆は見た目こそ似ているが、ワインのぶどうのように土壌や気候によって香りや味わいが異なるという。
実は新潟にコーヒー豆の栽培をサポートする活動がある。
〈新潟県立植物園〉と〈新潟バリスタ協会〉が中心となり、
県内約30のコーヒー専門店などが協力して実現した〈にいがたコーヒープロジェクト〉。
コーヒーを味わうだけでなく、自分たちでも育ててみようというのが、
活動の基本コンセプトだ。
リーダーを務めるのは新潟県立植物園の園長である倉重祐二さん。
「活動のキーワードは育てる、味わう、楽しむ。
苗木を育て、豆を収穫し、自分だけのコーヒーが味わえたら
おもしろいと思いませんか」(倉重さん)

倉重祐二さん。専門はツツジ属の分類と近代園芸史。コーヒーと紅茶の愛好家でもある。
活動の拠点は植物園のある新潟市秋葉区。
東西に阿賀野川、信濃川が流れ、南に丘陵地帯が広がる自然豊かなエリアだ。
ここでカフェの営業や講座、体験型セミナーなど、
コーヒーを丸ごと楽しめる活動を展開している。
コーヒーノキを自宅で育てる

コーヒーノキの苗木。これを機に緑に親しんでほしいと倉重さん。(写真提供:にいがたコーヒープロジェクト)
この活動は、農園を所有してコーヒー豆を栽培するのではなく、
一般の人たちが各自で苗木を育てるというのがミソ。
コーヒーノキが自宅で手軽に育てられるという点に着目した。
「コーヒーノキはアカネ科の常緑低木で、
もともと観葉植物として日本でも人気があります。
室内で育てられ、上手に管理すれば
3年から5年でコーヒー豆を収穫できるんです」(倉重さん)

園内で育てているコーヒーノキ。ジャスミンのような香りの白い花が咲く。
同プロジェクトでは、2017年に沖縄からコーヒーノキを取り寄せたのを皮切りに、
倉重さんが中心となってさまざまな種類を集めてきた。これらは園内で観賞できる。
また沖縄のコーヒーノキのタネから育てた苗木は、
園内にある週末限定カフェ〈にいがたコーヒーラボ〉で販売。
すでに200人ほどのコーヒー&植物愛好家たちが育てているという。
品種はブラジルやブルーマウンテンといった
レギュラーコーヒーの原料となるアラビカ種。
初心者でも育てられるよう、植物園では講座やSNSなどを通じて
育て方のサポートを行っている。
「アラビカ種の原産地は通年20度程度のエチオピアやスーダンの山岳地帯。
生育適温は15~25度程度で、日本では春と秋によく育ちます。
直射日光を避け、夏は涼しく、冬は暖かく管理するのがポイント。
5度以上あれば冬を越せます」(倉重さん)

苗木を購入した人のなかには、すでに花を咲かせたという上級者も。
順調に育てば、3~4年で白い花が咲き、翌年に真っ赤な実となる。
果実はほんのり甘みがあり、生で食べることができるのだそう。
この種子を乾燥させて焙煎すれば、自分だけのコーヒー豆の完成だ。

植物園では昨年度、熱帯植物ドームの改修に伴い、14本のコーヒーノキを植えた。













































































