2泊3日の旅から、すべては始まった
この地域の移住者で、実はまだ連載で紹介できていない家族がいる。
私の住む美流渡(みると)からさらに山あいへ15分ほど車を走らせた、
万字地区に住む笠原さん一家だ。
3歳になる息子さんはうちの次女と同じ保育所に通っていて顔見知り。
親しくなってしまうと、なかなかあらたまって取材というのもやりづらい。
けれど、先日、北海道のテレビ局から、このあたりの移住者を
紹介してほしいという依頼があり、番組制作に協力し、
あらためて笠原さんの移住までの道のりを聞く機会があって、
今回ようやく記事にすることができた。

最近、この付近に個性的な移住者が集まっていることから、北海道文化放送が取材にやってきた。
笠原一家が東京から移住したのは2018年のこと。
その前年、当時、オーディオ販売会社に勤めていた夫の将広さんは
仕事で北海道を訪れ、美流渡にすでに移住していた友人の
新田洵司さんの家に立ち寄ったことがあった。
その暮らしぶりに感銘を受け、その数か月後、美流渡に家族で遊びにやってきたという。
「2泊3日の旅でした。そのとき私たちも田舎暮らしをしてみたいという気になって。
そうしたら、そのときたまたま空き家を見せてもらったんです」(妻の麻実さん)

築50年以上が経過した長屋。裏には畑が広がり山々の景色が美しい場所。
2軒空き家を見せてもらったそうで、その1軒は万字地区の元炭鉱住宅。
ここにはかつては炭鉱があり、その当時建てられた長屋がいくつか残っていた。
築50年以上は経過しており、床が沈んでいて直さなければ住めない状態だった。
北海道への移住は、まったくプランになかったというが、ふたりの心は動いた。
「帰りの飛行機に乗ったときには、もう移住しようと決めていました」(将広さん)
そのとき将広さんは、会社勤めはしていたものの、
都会の暮らしに先が見えない、そんな閉塞感を感じていたそうだ。
そして3か月の間に、仕事を整理し引っ越しの段取りをしていったという。
「全部、置いてきました」
そんなふうに将広さんは笑った。まさに電撃移住だった。

自ら家の修繕を行った将広さん。天井を広くとり、自然に風が循環するようにと考えた。





























































































