連載
posted:2020.11.16 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
https://homemakers.jp/
小豆島を訪れると必ず目にするオリーブの樹。
島のあちこちにオリーブ畑があり、街路樹としても植えられています。
島で暮らす私たちにとって、オリーブの樹は馴染み深い存在です。
そもそもなんで小豆島でオリーブ?
昔からオリーブの樹が自生していたわけじゃなくて、意外な歴史があるんです。
小豆島へオリーブがやってきたのは1908年。なんと明治時代!
ヨーロッパでよく使われるオリーブオイルに着目した政府は
魚をオイル漬けにして保存するためにオリーブオイルをつくろうと、
香川県、三重県、鹿児島県でオリーブの栽培試験を開始。
香川県は小豆島の西村地区にオリーブの試験園を設置し、
3県の中で唯一、香川県だけがオリーブ栽培に成功。
雨の少ない温暖な気候がその理由だったと言われていて、
実は小豆島は日本のオリーブ栽培発祥の地! なんです。
その後もたくさんの生産者さんたちの努力でオリーブ栽培の技術が磨かれ、
現在は香川県内各地で栽培されるようになり、
香川県のオリーブ出荷量は日本全体の9割以上を占めているそう。
でもそもそも日本で使われているオリーブオイルのほどんとは
海外から輸入されてきたもので、国産のオリーブオイルは超希少品だったりします。
そんな100年以上の歴史を経て、いま現在の「オリーブの島」小豆島があります。
そしてまさにいま、10月~11月は、オリーブの収穫シーズン!
島のあちこちで、脚立に乗ってオリーブの実を収穫している農家さんたちを見かけます。
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私たちも今年は友人のオリーブ農家〈tematoca(テマトカ)〉さんの
オリーブ収穫を手伝いにいきました。
tematocaの高野さんご夫妻は、農薬・化学肥料不使用でオリーブを栽培されています。
オリーブの樹にとって最も怖いオリーブアナアキゾウムシという虫がいるのですが、
オリーブの根元に卵を産みつけ、ふ化した幼虫が幹の内側を食い荒らし、
最悪の場合オリーブの樹が枯れてしまうという虫。
そのゾウムシからオリーブの樹を守るために、夏の間はほぼ毎日
日の出とともにオリーブ畑に行き、ゾウムシを捕獲しているそう。
農薬を使わないでオリーブを育てるって本当に大変なこと。
そうやって手間をかけて栽培したオリーブの収穫。
一粒一粒無駄にしないように収穫します。
思い返せば、小豆島に引っ越してきたばかりの秋も、
友人の〈イズライフ〉さんのオリーブ畑に収穫のお手伝いに行ってました。
もう8年前になりますが、当時はオリーブを収穫するということがとても新鮮な体験で、
小さかった娘も一緒に家族でオリーブ収穫を
楽しんでました(すみません、ちゃんと労働せずに)。
当たり前のようになってしまったオリーブの存在。
でも8年ぶりにお手伝いしたオリーブ収穫はやっぱり楽しくて、
少し冷たい秋の空気が最高だった。
小豆島にはこんな美しい風景があるんだよなぁとあらためて思いました。
毎年10~11月は、各オリーブ農園でオリーブの収穫手伝いの募集もしていますし、
オリーブ公園などの観光施設では収穫体験もできます。
ぜひ一度体験してみてほしいオリーブ収穫。
そして今年も小豆島で育ったオリーブのオイルが楽しみです!
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