8月19日、2回目となる〈SUPER VISIONSフォーラム〉が、
安倍昭恵総理夫人の協力のもと、内閣総理大臣公邸にて行われた。
「田舎から日本を変えよう!」というテーマを掲げたこのフォーラムには、
主にふたつの目的がある。
ひとつは、日本各地で地方創生のさまざまな取り組みを実践して、
成果を上げている方々に活動報告をしてもらい、
フォーラム参加者それぞれの活動に生かす勉強会としての場。
そしてもうひとつは、同じように奮闘している参加者とゲスト、
あるいは参加者同士がつながるネットワークづくりの場だ。
今回、活動報告をしたゲストは15名。
地域づくりというジャンルにおいては、どの方も一目置かれている“豪傑”ばかりだ。
バラエティに富んだその活動内容を、それぞれのプロフィールとともに
ダイジェストとして紹介しよう。

石川県羽咋市役所・文化財室長の高野誠鮮さんは、神子原のお米のブランド化に成功。その活躍ぶりは、コロカルの「Innovators インタビュー」でも詳しく紹介。
石川県羽咋市役所・文化財室長の高野誠鮮さんは、
限界集落を蘇らせた“スーパー公務員”。
地元・神子原産のお米の知名度を上げるべく、ローマ法王に献上し、
実際に食べてもらったことで大きな話題となり、農家の年収アップに貢献。
農業移住者の増加にもつながった。
さらには“奇跡のリンゴ”で知られる木村秋則さんとともに
無農薬・無肥料の自然栽培を行い、「ジャポニック」と命名。
現在はJAと共同でその指導に取り組んでいる。
「実はいま、モナコ公国の食材と、東京オリンピックの選手村の食材を
すべてジャポニックにできないか、虎視眈々と狙っているところです」
とさらなる壮大な夢を語る、高野さん。その野望はとどまることを知らないようだ。

島根県の海士町で〈隠岐島前高校魅力化プロジェクト〉を手がける奥田麻依子さん。地域に根ざしながら世界とつながる“グローカル”人材の育成を目指す。
奥田麻依子さんが取り組む〈隠岐島前高校魅力化プロジェクト〉の目的は、
人口減少により廃校の危機に瀕していた高校で魅力的な教育を行い、
地域の教育をブランド化すること。
地域が抱える課題に対して、自分たちのできることを高校生自らが考え、
解決に向けて行動することで、地域に根ざしながら世界とつながる
“グローカル”人材の育成を目指している。
現在は島留学というかたちで全国から生徒を募集し、
160人の在校生のうち約半数が東京や大阪を中心とする全国各地から集まってきている。
「いままでは高校中心に取り組んできましたが、
今後は保育園から小中高校まで連携した教育を目指していきたいと考えています」
昨年度からは教師の全国募集も始め、都道府県で連携できるかたちを模索中だ。

ウィーン大学日本学科講師・博士のイザベル・プロハスカ=マイヤーさん。2014年にはドキュメンタリー映画『山村で暮らす高齢者たち』を制作。
イザベル・プロハスカ=マイヤーさんは、ウィーン大学日本学科の講師・博士。
オーストリアの地方でも過疎化・高齢化の問題を抱えており、
長野県と山梨県の3つの山村で高齢者がどのような日常を過ごし、
自治体はどのような対策を練っているのか、フィールドワークを行った。
イザベルさんは「日本の田舎は魅力的で、無限の可能性がある」と主張する。
「高齢者は介護の対象と見られがちですが、
私が出会った方々はまさにアクティブ・エイジングでした。
もちろん人生でつらかったこと、苦労したこともうかがいましたが、
ユーモアのあるポジティブな姿勢にはとても感心しました」
イザベルさんはこうした日本の山村の現状をより多くの人に紹介したいという思いから、
ドキュメンタリー映画も制作している。

山口県油谷島で〈アジアンファームハウス百姓庵〉を運営する井上かみさん。百姓の営みにより本当に豊かな暮らしを実践している。
〈アジアンファームハウス百姓庵〉の井上かみさんは、
結婚を機に12年前に山口県油谷島に移住。
ご主人と耕作放棄地を開拓して、ほぼ自給自足の暮らしをするかたわら、
1日1組限定の農家民宿を営んできた。
8年前からは、昔ながらの立体式塩田で〈百姓の塩〉という天然塩を製造販売。
いまでこそ油谷島の海は美しいが、移住当初は漂着ゴミがひどかったそうで、
ご主人がひとりで始めた海岸清掃が、いまでは1000人規模のイベントになっている。
「問題はストイックに取り組んでもなかなか解決しません。
楽しいところに自然と人は集まってくるので、
こうしたイベントも楽しさを重視して企画しています」
もともと旅行業界にいた経験を生かし、今後はエコツーリズムのメッカとして
油谷島の魅力を世界に発信していきたいと考えている。

追悼と復興の花火を打ち上げる一般社団法人〈LIGHT UP NIPPON〉代表理事の高田佳岳さん。水産業で地場産業を盛り上げたいと語る。
高田佳岳さんが代表理事を務める一般社団法人〈LIGHT UP NIPPON〉は、
東日本大震災の追悼と復興の祈りを込めて花火を打ち上げるイベントを企画している。
岩手県大槌町に縁のある高田さんは、広告代理店に勤めていた経験を生かし、
エンターテインメントで復興支援を考えた。
鎮魂の意味があるだけでなく、子どもたちを笑顔にして、
さらにはコミュニティの再生にもつながる花火はうってつけだった。
現在はこの活動のかたわら、被災地の漁師が釣った魚を
東京の飲食店に卸す“魚屋”を営んでいる。
「こういう場で農村のテーマは多く見聞きしますが、
島国なのに漁村の話はほとんど出てきません。
僕は農業の成功例を参考にしながら、水産業を応援して
日本中の沿岸地域を活性化していきたいと思っています」