御殿場のおいしいものを知ってほしい
富士山と箱根山に囲まれた静岡県御殿場市に、
〈旬彩食 農 minori〉という小さな和食の店が開店したのは、2014年11月のこと。
この店の店主である池田洋一さんは、〈旬の会〉改め
〈Toretaみくりや〉を主宰する和食の料理人。
みくりやとは漢字で“御厨”と書き、御殿場市と裾野市須山、
駿東郡小山町の一帯を指す地名。
この地名は、荘園時代から使われてきた古いものだ。
「御殿場のおいしいものを、みんな、知らなさすぎ」
これは、池田さんの口ぐせ。
そして、おそらくこれは、地場産の野菜を使って料理を作ってきた
御殿場の料理人たちがずっと心の中でつぶやいてきた言葉なのではないだろうか。
御殿場の特産品といえば、わさびが真っ先に思い浮かぶ。
それから、冬に旬を迎える水かけ菜も。
近ごろは、〈ごてんばこしひかり〉も広く知られるようになってきた。
では、芹澤バラ園のロメインレタスやプチトマト〈あっこひめ〉は?
かつまたファームの〈健太トマト〉や山芋は?
天野醤油の搾り粕を肥料にして育つ〈御殿場メロン〉は? トウモロコシは?

かつまたファームの山芋で作った、やまかけご飯。
御殿場で生まれ育った私。
祖父母もそのまた両親も御殿場生まれという生粋の御殿場っ子の私も
知らないことがいっぱいで、悔しいけれど、
三島市出身の池田さんのほうが、よほど御殿場のおいしいものを知っている……。
御殿場に生まれ育った人のなかで、農 minoriでの食事をきっかけに
これらを知った、という人も少なくないはずだ。
「わさびも水かけ菜もそもそも仕入れ価格が高いから、
外食で味わおうと思うと高級店に行くしかない。
でも、御殿場で生産されている野菜はそれだけじゃないんですよ。
日常的に食べられる価格で買えるおいしい野菜がたくさんあるのに、
誰に聞いても“知らない”とつれない返事。
僕は、食は最終的に各家庭の食卓につながっているものだと考えています。
最初はそんな野菜があることを知らなくても、
飲食店で食べてもらえれば実際に味わってもらえる。
実際口にしてよさが伝われば、購入につながり、知名度も上がって、
各家庭で食べられるようになる。
お母さんが料理して子どもがそれを食べておいしいと思ってくれれば
次世代へつながっていく。そんな風にして、御殿場のなかで、
御殿場産の野菜の知名度が上がり、伝わっていけばいいなと考えているんです」

























































































