岩手〈世嬉の一酒造〉
山あり谷ありの地ビールづくりに、
100周年目の新たなチャレンジ。

日本酒はもちろん、数々の受賞歴をもつクラフトビールの醸造や
郷土料理レストランの運営など、
「酒」を軸に幅広い事業を手がける岩手県一関市の〈世嬉の一酒造〉。
2017年9月には、平泉町に
直営ビアカフェ〈The Brewers of Hiraizumi〉をオープンし、
来年2018年3月には本社敷地内にビール工場増設を予定している。

さらに今後は、酒蔵としての原点に立ち返るべく
日本酒の新しい蔵づくりにも動きだす。
常に進化&深化し続ける同社の思いを社長にうかがう。

創業は、倒産した老舗酒蔵を引き継いだこと

一関市のまちなかを流れる磐井川沿いに、〈世嬉の一酒造〉はある。
江戸期から受け継がれた古い蔵群を残す2000坪の敷地内には
郷土料理レストラン、ビール工場や博物館などが並び、
一関を訪れる観光客にとってのランドマークともいえる場所だ。

世嬉の一酒造の創業は、1918(大正7)年に遡る。
創業当時は、千厩町で代々続いてきた“横屋酒造”の名で呼ばれていた。
もともと江戸時代からこの地で酒蔵を営んだ〈熊文酒造〉が大正期に入って倒産し、
その経営を横屋酒造の次男・佐藤徳蔵氏(初代社長)が引き継いだのである。
ほどなく、現在の社名“世嬉の一酒造”に変更したが、
そこにはこんなエピソードがある。

「初代の頃に髭の宮様で知られる閑院宮載仁親王殿下が当蔵にお立ち寄りになって。
『世の人々が喜ぶ酒をつくりなさい』という言葉をいただき、
『世喜の一』というブランドのお酒をつくりました。
それを機に、初代が社名変更したんです」

そう教えてくれるのは、現在4代目を継ぐ佐藤 航(わたる)さんだ。

4代目を受け継ぐ代表取締役社長・佐藤航(わたる)さん。

しかし昭和後期、航さんの父・晄僖(こうき)さんが3代目を継ぐことになるも、
酒造業の経営は厳しかった。そんなときに
他企業からは、スーパーやホテルにしたいという話もあがったそうだが、
「貴重なこの蔵を残したい」という祖母の思いを受け、
晄僖さんは、千厩町で順調な経営をしていた
ふたつの自動車学校のうちひとつを売却して資金繰りをし、
世嬉の一酒造の経営を続けた。

蔵のひとつを〈cafe 徳蔵〉として活用中。アンティーク家具に囲まれ、居心地の良い空間。

「資金繰りは常に大変だったようです。もうひとつの自動車学校の利益で補てんし、
現金収入を得るために母がレストランを始め、酒を売るために売店をつくったり
親はいつも忙しく動き回っていました」と振り返る航さん。
中学生から高校生にかけて多忙な両親の姿を見ながらも
自身が酒蔵を継ぐことは想定しておらず、
「順調な自動車学校のほうを継ぐと思っていた」のだとか。

敷地内にある蔵元レストラン。一関の郷土料理が楽しめる。

いち早く、地ビールづくりに取り組むが……

1994年に酒税法が改正されると、ビール醸造免許取得の垣根が低くなり、
全国各地で地ビールづくりに取り組み始めた。
同社を中心にする地元企業もまちおこしの一環として、
1997年に〈いわて蔵ビール〉の販売をスタート。東北2番目の地ビールであり
各地から注目を集めたものの、なかなか軌道に乗らずに3年目で赤字に……。

高校卒業後に首都圏の大学へ進学したのち
船井総合研究所に就職した航さんが実家に戻ってきたのは
ちょうどその頃。30歳だったという。
ビール事業を辞める選択もあったが、辞めるにはお金もかかる。
航さんは大学時代に環境微生物を学んでおり、微生物の基礎知識があった。
そこで自身が工場長となり、たったひとりでビールづくりに再チャレンジし始めた。
「やり始めたらおもしろくて、おかげさまで順調に伸びていきました」と振り返る。

美しい湖沼〈大沼国定公園〉から 絶景スポット〈城岱牧場展望台〉へ 函館で楽しめる壮観ドライブルート

古くから親しまれる水と緑の景勝地

渡島半島のランドマーク、優美な姿と尖った山頂が目印の
北海道駒ヶ岳を背に広がる〈大沼国定公園〉。
豊かに水をたたえた3つの美しい湖沼に浮かぶ、
木々におおわれてモコモコとした小島の間を縫うように、
遊覧船やボートが行き交います。湖面をわたる爽やかな空気とともに、
おだやかな風景が心を和ませてくれます。

1903年、日本で最も古い自然公園に指定されて以来
守られてきた自然を楽しめる、
大沼、小沼、蓴菜(じゅんさい)沼の3つの湖沼は、
1640年の北海道駒ヶ岳噴火で川がせき止められて生まれました。
カーブの多い湖岸と大小126もの小島が特徴で、
北海道では珍しい日本庭園的な景観が人気の名所です。

大沼国定公園ならではの楽しみのひとつは、
湖沼の小島に架けられた橋を渡り、四季折々の景色を楽しめる
〈島巡りの遊歩道〉をゆっくり散策すること。
5つあるコースのなかでも20分ほどで回れる「森の小径」コースに沿って橋を渡り、
湖畔を歩けば、立派なミズナラの巨木をはじめブナ、ハンノキの樹々が続き、
ちょっとした森林浴気分。足元にふわふわの苔が息づく
〈コケの丘〉にも立ち寄ることができます。

もちろん、手漕ぎボートやペダルボート、
カヌーに乗って水面から眺める景色は格別。
大沼・小沼の島々をまわる、遊覧船クルージングもおすすめです。
古き良き観光地の雰囲気を残す大沼国定公園には、
自然に包まれてのんびりとリラックスできるひとときが待っています。

小さな入り江に向かって立つ、樹齢100年を超えるミズナラの巨木。あたりは清々しい空気と苔の緑に包まれています。

もうひとつの名物、もちもちのだんご!

散策のあとに欲しくなるのが甘いもの。大沼国定公園でチェックしたいのが、
名物〈元祖大沼だんご〉です。
JR大沼公園駅すぐそば、創業100余年の〈沼の家〉で販売されている
やわらかなひと口サイズのだんごは、ひとついただくと止まらなくなるおいしさ。
ドライブのおともにもぴったりです。
ここでしか買えない、変わらぬ製法でつくられる伝統の味をぜひ体験してみて。

大沼だんご(あんと正油・小390円)。折詰で大沼と小沼を表現し、串に刺さないことで湖面の浮島に見立てた創業以来のアイデアが今に生きています。

〈離島キッチン 札幌店〉 オープン。利尻島や礼文島など 北海道の6つの離島グルメを 味わおう!

現在、神楽坂店と福岡店の2店舗が展開されている〈離島キッチン〉。
このたび、北海道札幌市に、3店舗目となる
〈離島キッチン 札幌店〉がオープンしました!

扱っているのは北海道の離島、利尻・礼文・天売・焼尻・奥尻・厚岸小島からの品々。
貴重な旬の食材や、地元で愛される郷土料理を提供するアンテナショップです。

大正15年建設の醤油の醸造所をリノベーション

〈離島キッチン 札幌店〉は、札幌駅から徒歩圏内。
大正15年建設の醤油の醸造所をリノベーションした建物の中に、
物販スペースと飲食スペースを併設しています。

利尻島のほっけのちゃんちゃん焼き

飲食スペースでは、北海道の離島の郷土料理を中心に提供。
利尻島のうにぎりや、利尻島のほっけのちゃんちゃん焼き、
奥尻島のふっくりんこ、焼尻島のガラメ昆布のお味噌汁、
北のおつまみなどなどなど、お酒もいくらでも進みそう……!

また天売島のタコボッチ、岩城島のレモンポーク、
福江島のじゃこ天、宮古島のカツオのハラガー、
〈島巡り串〉や久米島の紅芋スティック、岩城島のレモンケーキ、
徳之島のみそ豆、屋久島のほうじ茶など、全国の離島の食材を使ったメニューも。

八丈島のくさやチーズ

旬の食材を積極的に取り入れるため、メニューは毎日変わり、
日替わりで新鮮なものだけを提供します!

江差町の〈斉藤籠店〉 東北や道南の竹でつくられた 毎日使いたくなるかご

ニシン漁で栄えた港町の老舗店

ずらりと積み重ねられた手編みの竹かごと
竹のいい香りが出迎えてくれる〈斉藤籠店〉は、
江差町で3代続く製籠店を引き継いで営まれています。

年季の入った店の引き戸を開ければ、
きっと、かご好きな人ならひと目で参ってしまうはず。

「これは一升瓶を入れるかご。昔はお酒の量り売りをしていたから。
これは石鹸かご、そっちの大きいのは洗濯物や衣類を入れるかごね。
雑誌入れに使ってもいいですよ」

店主である元気なお母さん、斉藤純子さんのかごの知識や歴史のお話を聞けば、
さらに参ってしまうはず。

取材に訪れた時は売り切れていた、道南に生える根曲り竹で編まれたじょうぶなかご。竹かごは使い込むと、飴色に輝くのだそう。「重いものを入れられるし、毎日の買い物にも使えますよ。かごは手で撫でて育てるんです」

江差の歴史をひも解く

函館駅から車で1時間半。日本海に面した、
道内でも最も古い歴史を持つ港町のひとつ、江差町。
檜材交易や北前船、ニシン漁で栄え、
1216年創建と伝わる〈姥神大神宮〉の勇壮な山車祭りで知られています。

歴史的建造物を生かしたまちづくりが行われ、
姥神大神宮前に延びる〈いにしえ街道〉には
築160年の旧家〈横山家〉邸宅や国指定重要文化財の〈旧中村家住宅〉が軒を連ね、
そぞろ歩きながらかつての繁栄を体感することができます。
その街道沿いに建つ、1930年築の重厚感ある斉藤籠店を訪ねました。

左は底が高く編まれ水切りできる長ワンかご(4000円)、奥は収納に使えるかご(3800円)、右は茶碗かご(4550円)。すべて弘前の細竹製品。

茹でたものをあけるのに、テーブルまわりの小物をまとめるのに、食器の水切りに。
さまざまな使いみちのある竹かごは、
道南でとれる竹を使う松前郡福島町の職人さんと、
岩木山の細竹で編む青森県弘前市の職人さんのふたりに頼んで
つくってもらっています。手仕事が生きたかごは、たわしでどんどん洗ってよし。
水につけたあとは日に当てて干し、きちんと乾かせば、ずいぶん長くもちます。

「もったいないって言わないでどんどん使ってほしいですね」

と語る、店主の純子さん。

鯛のお頭つきを入れて運んだという、初代の手がけた美しいかごは100年もの。

かごは、漁業でも農業でも必需品だった

お店の建物ができる前から、弘前出身の初代、
斉藤民さんがかごづくりを手がけていたと伝わる斉藤製籠店は、
100年を超える歴史を持っています。
漁業や農業が盛んな江差でプラスチックや発泡スチロールのなかった時代、
いくらの水切りをするのはもちろん、芋掘りなどの農作業など、
あらゆる場面で使われていたのが竹かごでした。

「昔はどこの農家でも、自分の家のかごは自分たちでつくっていましたね。
初代の故郷の弘前は竹かごの産地で、
冬場はみんな囲炉裏のそばでかごをつくっていたそうですよ」

お店の壁には純子さんの旦那さまで、3代目職人だった故 斉藤弘文さんの写真が。注文を受けて弘文さんがもっぱらつくっていたのは、あじろ編みのいくらの水切りかごでした。

斉藤製籠店は、一番多い時には10人近くの職人が
店先にびっしり座ってかごを編んでいました。
その中には住み込みの人もいたのだそう。

「昔は需要がかなりあってどんどん注文が入るから、
家の人たちがみんな作業をしていたんです。
子どもたちも学校から帰ってきたらすぐ手伝うような環境でした」

やがて時代の変化とともにプラスチックが導入されると、
その風景も変わっていきます。
純子さんが東京に暮らしていたとき、かごの注文が減ったため
江差から仕事に出てきていた3代目の斉藤弘文さんと出会い、結婚します。
1978年に一緒に江差へ戻り、斉藤製籠店の跡を継ぎました。

10年来愛用しているという純子さんのかご。パンも崩れないので毎日のお買い物にぴったり。いい色合いに変わってきています。

客船〈guntû ガンツウ〉 尾道から出港。 建築家・堀部安嗣さんによる せとうちの海に浮かぶ、ちいさな宿

2017年10月17日、広島の尾道から新造船〈guntû(ガンツウ)〉が出港しました。
これは「せとうちの海に浮かぶ、ちいさな宿」というコンセプトから生まれた、宿泊できる船。
海上をゆく姿は、まるで建物が浮かんでいるよう。

設計を手がけたのは、建築家の堀部安嗣さん。
なんとも稀有な美しさです。

guntûはベラビスタマリーナ(広島県尾道市)から出港し、
1泊から3泊かけてまち並みが間近に迫る海峡や、
山の稜線が重なる多島美などを周遊します。

運営は、「せとうちと共に生きる」を理念に建設やアパレル事業などを手がける
〈せとうちホールディングス〉の傘下にある〈せとうちクルーズ〉。

「瀬戸内海のよさは、海にこそある」という発想から
海だからこそ出会える、瀬戸内の伝統や文化を凝縮した旅のスタイルを構想したのだとか。

船内には、展望デッキにダイニング、縁側、カフェ/バー、鮨カウンター、炭焼き台、
ショップ、ラウンジ、ジム、トリートメントルーム(エステ)、サウナ付き大浴場があります。
船の上にいることを忘れてゆっくり過ごせそうですね。

メインダイニングは、東京都原宿の老舗割烹〈重よし〉の佐藤憲三さんが監修。
和食のほか、洋食やスイーツも楽しめます。

鮨カウンターの監修を手がけたのは、兵庫の人気店〈淡路島 亙(のぶ)〉の坂本亙生さん。
瀬戸内海の海の幸を船の上で味わえるなんて!

ラウンジでは、お客さんの目の前でつくられる、できたての和菓子を。
こちらの監修は奈良〈樫舎(かしや)〉の喜多誠一郎さんが手がけました。

Photo:Tetsuya Ito Courtesy of Setouchi Cruise

沼津に〈INN THE PARK〉オープン! “泊まれる公園”が パークリノベーションで誕生

Photo:TAKAYA SAKANO

沼津市に誕生した「泊まれる公園 INN THE PARK」とは?

静岡県沼津市に“公園に泊まる”という新しい発想の
施設〈INN THE PARK インザパーク〉がオープンしました。

ロケーションは、静岡県沼津市で30年以上にわたり愛されてきた「少年自然の家」跡地。
東京・代々木公園に匹敵する約60ヘクタールの空間を生かしてリノベーションし、
宿泊、飲食、アクティビティを通して、豊かな自然の中で
リラックスした時間を楽しめる空間に生まれ変わりました。

好みに合わせて選べる3つの宿泊スタイル

ユニークなのは、1組が1つの建物を丸ごと貸し切りできる宿泊施設だということ。
宿泊スタイルは3つあり、
1. 森のなかに浮かぶ球体型の「吊テント」(定員2名・ダブルベッド1台のスタンダードと、セミダブルベッド2台のデラックス)
2. 天窓のある「ドームテント」(定員2名・シングルベッド2台)
3. 1棟貸切で泊まれることができるコテージタイプの「宿泊棟」(定員8名・ダブルベッド8台。寝室が4部屋、和室1部屋、トイレ・洗面所あり)
と好みや人数に合わせて宿泊スタイルを選ぶことができます。

森の中に浮かぶ吊テント

吊テント・定員2名 ※添寝されるお子様は定員に含みません。

吊テント・ドームテントのなかにはベッドが2台あり、
特に吊テントの中では浮遊感を楽しみながら眠ることができます。
これは泊まってみたいですね!

宿泊棟の外観

全部で4棟ある宿泊棟。各定員8名 ※1棟貸切。添寝されるお子様は定員に含みません。

敷地内にある芝生の広場

敷地内には、キャンプとは一味違う屋外レストランや
雨天でもゆったり過ごせるサロンなども。
芝生広場を使ったナイトシアターや音楽イベント、
地元の方を講師に招いた星空観察や野草・山菜の採取と調理、
昆虫採集のワークショップなども開催されます。

旅の醍醐味はローカル酒場!
全国おすすめ酒場探訪記
大阪〈天満酒蔵〉
焼酎の水割りと
どて焼で上手にせんべろ

地元の人にこよなく愛される酒場はまちの宝もの。
ローカル色豊かなおいしいおつまみや、ご主人とお客さんの雰囲気、店の佇まいなど、
思い出すと心がほんのり温かくなるような店を
“酒場LOVE”な案内人の方々に教えてもらいました。
旅先のソトノミガイドとしてもご活用ください。

活気あるアーケード商店街が今宵のプロローグ

きょうのローカル酒場〈天満酒蔵(てんまさかぐら)〉がある天神橋筋商店街は、
大阪に夏を告げる天神祭で知られる大阪天満宮への参詣ルート。
南北約2.6キロの“日本一長いアーケード商店街”として有名ですが、
もともと天満は市場のまちとして大阪市民に親しまれてきました。
江戸期の青物市場由来という伝統を持つ「天満市場」も
通称“天五(テンゴ)”(天神橋筋5丁目)のビルの中に健在。
市場の周りは、いま大阪でも注目の居酒屋激戦地でもあるので、
夕方の天満駅界隈は、買い物客と飲み目当ての人々でものすごい熱気です。

天五商店街

「天五商店街」。JR大阪駅から電車でひと駅とは思えないローカルな雰囲気です

この賑わいのなかを歩いて間もなく〈天満酒蔵〉に到着。
いまや“飲み歩きが楽しいまち”としても知られる、
天満を代表する昭和44年創業の大衆酒場です。
表にはずらりと赤提灯が並び、まるで映画のセットのよう。
暖簾の奥にちらりと覗く長いカウンター席がいい感じです。

〈天満酒蔵〉の入り口の暖簾

カウンター席に座る岩瀬さん

到着した岩瀬さんはカウンター席でも“板場前”をさっそく確保。この席は“天満のフラットスリー(後述)”を見るための特等席。旧知の女将・岡 牧子さんにご挨拶。

この〈天満酒蔵〉の案内人は岩瀬大二(だいじ)さん。
お酒の楽しさを伝えるライター&ナビゲーターだけに
日本各地のローカルな酒場を数多く訪れていますが、
なかでも印象に残ったのがこの〈天満酒蔵〉だそうです。

「ここは最初、友人に連れてきてもらいましたが
第一印象としては“キレイ”だなと。
このカウンターもそうですし、暖簾もお品書きも清潔感がある。
大衆酒場にありがちな雑多で乱雑な印象がない。
確かに建物は古いでしょうけど、古臭くはない。
それでカウンターに座って、女将さんを見て納得したんです。
ああ、この人の店ならそれもわかるなと。
女将でもママでもない。マダムと呼びたいくらいですね」
そんな岩瀬さんの第一声に、女将の岡 牧子さんはあっさりと
「お母さんでも、おばさんでも、マダムでもお好きに呼んでくださいな」

岡牧子さん

岡 牧子さん。女将・板場担当。元は香川県のお菓子屋のお嬢さん。20歳で嫁いで大阪・天満の酒場の女将に。実家ではご飯も炊いたことがないのに、見様見真似でご主人・正夫さんをサポートして40年以上。4年前に正夫さんが足を痛めて引退後は、替わりに板場に立ち、的確な目配りと采配で全58席を切り盛りしている。伝票チェック用に大事な赤鉛筆を胸ポケットに入れ、ネックレスと眼鏡でさりげなくおしゃれに。

カウンター内の“フラットスリー”の機敏な動きが、居心地のよさを感じさせる

〈天満酒蔵〉は、地元の人が気軽に普段使いする大衆酒場。
ビール大瓶350円、おつまみ100円からという低価格で、
昼の11時から23時までノンストップの営業です。
イラチ(せっかち)な大阪人を相手にするからか、
オーダーを頼んでから出てくるまでが、驚くほどスピーディ。
いまはたまたま空いてはいるものの、全部で58席と大きい店が満杯になると、
どんなに慌ただしくなるのでしょうか。

「それがこの店だと満席でも不思議と慌ただしく感じない。
むしろお客さんも含め、非常にスムーズな印象です。
大阪の人の早めのテンポに合っているというか。
特に、この“板場前”の席から見える3人。
母、息子、娘の家族3人はカウンター内を完璧に守っている。
自分の持ち分をきっちり守る仕事ぶりと、
お互いを阿吽の呼吸でカバーし合うフットワークの見事さ。
この3人を眺めながら飲むのは本当に楽しい。
ここのカウンター席はスペシャルシートなんです」
3人をフラットスリー(サッカー・トルシエジャパンのDF戦術)と名付け、
岩瀬さんは密かにカウンター席から応援しているのです。

一升瓶のボトルキープがずらり

黒よかいち〈麦〉一升瓶のボトルキープがずらり。女将が100均で買ってきたかわいい目印が。これも素早くお客さんにボトルを渡すための工夫。

岡利信さん

岡 利信(としのぶ)さん。鉄板焼、関東煮(かんとだき・おでんのこと)担当。入口脇で黙々と仕事に専念する“お兄ちゃん”。その集中力は非常に高いが、お客さんと話すのはちょっと苦手。この店では焼き鳥も鉄板焼。「ウチは専門店でないし網で焼くより早くお客様に提供できるんです」(牧子さん談)。

一関〈HIRASAWA F MARKET〉
窓の外は一面田んぼ。
地元野菜を生かす、古民家カフェ

一関市街から東へ車を走らせ、
のどかな里山の風景をいくつか越えていく――。
懐かしい農村地帯のなかに見えてくる産直カフェ
〈HIRASAWA F MARKET〉は、2017年秋でオープンから2年目。
高台から眺める田園が美しい空間であり、
地域と人とモノを結ぶ、心地よい時間が流れている。

山里に、産直カフェが生まれた理由

〈HIRASAWA F MARKET〉があるのは、一関市弥栄(やさかえ)の平沢地区。
国道沿いに見かけた小さな看板に従ってゆるやかに進み、
「果たして、本当にカフェがあるのか?」と不安を感じ始める頃、
古民家を改修した同店が見えてくる。

空き家だった古民家をリノベーションした店舗。

広々としたウッドデッキ、昔ながらの瓦屋根を生かしつつも、
しゃれた佇まいに仕上げた外観の建物は、
風景に違和感なく溶け込み、訪れる人を大らかに迎え入れる。

築200年を超える古民家を改装したカフェは
地元食材でつくるランチメニューやデザートなどを提供するとともに、
採れたての野菜、パンや菓子などの加工食品、
さらには器や洋服なども販売している。
時には地域の人を巻き込んで、ライブやイベントなども行い、
カフェの枠を超えた「人が集う場」になりつつあるようだ。

もともとあった古民家の梁を生かした店内。

自家製デザートも人気。

HIRASAWA F MARKETには、近郊だけでなく、遠方からもお客さんが訪れるという。
しかし、なぜこの農村風景広がる場所にカフェを開いたのか?
店主の熊谷志江(ゆきえ)さんに、その理由をうかがった。

「このあたりは農家が多くて、おいしい野菜がたくさん採れるんです。
お互いに採れたものを近所で配り合ったりしますが、
残ったものは廃棄せざるをえないことも。

味も質もまったく問題ない野菜たちを捨ててしまうのはもったいないと思って。
私も子育てが落ち着いた頃だったので、
じゃあ、ちょっとおしゃれな八百屋さんができないかと、
地域の新年会で提案してみたのがきっかけです」

穏やかな雰囲気ながら、「わりと思い切りがいいほう」と笑う熊谷さん。

一関市〈儛草神社〉と〈大部岩〉
実は、刀剣マニアの聖地!?
絶景スポットへも。

伝説の眠る、絶景ポイント

岩手県南部のまち、一関市。
隣接する平泉町には世界遺産として知られる中尊寺があり、
関連史跡も多いが、実はこのまちに日本刀発祥の地としての伝説が残っている。
日本刀とは、世界でもめずらしい日本独自の高い技術でつくられた強靭な刀で、
現在は文化財として高く評価されており、
最近は日本刀ブーム到来なんて声も聞こえてくるのだ。
しかも、そこには絶景を望む〈大部岩〉(だいぶいわ)というスポットがあるらしい。
なんともロマン溢れるその伝説についてうかがうべく、
〈平泉文化遺産センター〉の館長・千葉信胤さんを訪ねた。

大部岩から。同行してくれた一関・平泉地区の新しい観光・物産拠点〈一BA〉のスタッフの阿部奈緒さん。比較的簡単に登れるものの、あまりの高さに及び腰に。近世の文書では、“大部ヶ岩”とも表記されており、今も“だいぶがいわ”と呼ばれることもある。

元は修行の場? 巨石マニア必見の大部岩

一ノ関駅から車で約15分ほどのところにある一関市舞川地区。
東磐井郡の舞草村と相川村の2村が合併して舞川村となり、
後に一関市に編入された北上川流域の中山間地域だ。
実はこのエリア、中世には24院を数える坊が点在した吉祥山東城寺という天台宗の
大寺院があったと伝えられている。
「現在、寺院の跡はほとんど残っていません。
観音山に鎮座する〈儛草神社〉(もうくさじんじゃ)は、
延喜式内社といって平安時代からの由来を持つ古い神社です。
観音山は日本刀の源流のひとつとされる
〈舞草刀〉(もうくさとう)が生産されたところとして、
地元だけでなく全国の刀剣マニアに知られています。

〈吉祥山東城寺〉は、
世界遺産としても知られる平泉の〈中尊寺〉と同じ天台宗の山岳寺院で、
観音山一帯にある巨石が修行の場になっていたと言われています。
儛草神社の境内からさらに西へ5〜10分ほど歩いたところにある〈大部岩〉は
その代表的な場所。古文書によると16丈、つまり約48メートルの巨石です」

“大部ヶ岩”という看板に沿って森の中を進むと現れる巨石。

市内の人でもあまり足を運ぶことはないという大部岩に登ってみると、
そこには北上川を挟んで一関市街から平泉市街まで一望できる絶景が待っていた。
確かに、こんなに気持ちのよい場所で瞑想したら、
それは悟りも得られるような気がしてくる。

急傾斜の岩場を登るため、くれぐれもご注意を。

大部岩の上からの美しい眺望。左に一関市街、右に平泉市街を一望できる。眼下には雄大な北上川の流れと地元で谷起(やぎ)と呼んでいる平野に耕作地が広がる。

厚沢部町〈ソロソロ窯〉 元校舎をギャラリーと工房に。 やちむんの技術が生む北国の器

やちむんの技術と、北海道の土でつくる

北の土を使いながら、南の島沖縄の雰囲気を醸し出す、凛とした焼きものたち。
どれもしっくりと手になじみ、長く使いこみたくなるものばかりです。

民藝としての器づくりを志し、
沖縄県読谷村の北窯で12年間修業を積んだ臼田季布(きほ)さんが手がける
〈ソロソロ窯〉は、道南の森林のまち厚沢部(あっさぶ)の
元清水小中学校に工房兼ギャラリーショップを構えています。

函館から車で1時間と少し、〈道の駅あっさぶ〉から山へ車を走らせること15分。
静かな山あいに、こぢんまりとした元校舎が見えてきます。

作品の中には、ぐっと引き込まれるような深い色合いも。ピッチャーは北欧の器にインスピレーションを受けてつくられたもの。

懐かしい靴箱に靴を入れて、元教室だったギャラリーショップへお邪魔します。
置かれている器の種類や数はそのときどきで変わりますが、
絵付けの入った沖縄らしいお皿から、
薪ストーブの灰を釉薬にするという深い青色が印象的な器、
また北欧の食器の要素を取り入れたシンプルな水差しまで、さまざまな作品が並びます。

器が映える古い什器は臼田さんがこつこつと集めたものや拾ったものを中心に、近所の農家さんからいだだいたものもあるそう。

臼田さんが軸にしている民藝とは、大正〜昭和の時代に提唱された概念で、
名もなき職人たちのつくった用の美が宿る日常の生活道具のこと。

その一端を担う、琉球王朝時代から600年もの歴史をもつと言われる
沖縄のやちむん(沖縄の方言で焼きもののこと)を継承しながら、
道央のレンガのまち江別の土でつくられる臼田さんの焼きものは、
北と南の文化それぞれの繊細さと強さを併せもつ、ほかにはない独特なたたずまい。
ひとつひとつに向き合いながら、お気に入りを探してみましょう。

教室だった部屋を、臼田さん自らリノベーションしギャラリーショップに。石膏で塗られた壁の質感にも注目。

沖縄のやきもののカチッとしすぎないおおらかさに惹かれたという臼田さん。
ギャラリーショップ隣の元職員室に工房をかまえ、
蹴ろくろで1点ずつ器づくりをしています。

江別の土は、沖縄の土に比べて細工がしやすく、
焼く温度や火に対する強さも違えば粘り気も違い、
また、上からかける本州産の土との相性も異なるそうです。

「沖縄にいた時は東南アジアの古いものを見て勉強していましたが、
北海道に来てからはヨーロッパのものに興味が移ってきました」

土そのものや、土地がもつ力をそう語る臼田さんの作品には、
海外の骨董品のような雰囲気の器も。

静かな山あいで創作に打ち込む臼田季布さん。彼の作品を取り扱うお店は少ないものの「直接ここへ訪ねてきてくれたり、会う機会のある方のお店には弱いんです」と笑顔。道外のお店にも不定期に納品している。

自分でつくり上げた窯

校舎の外にある薪窯は、建物まで含めてすべて臼田さんの手づくり。
レンガを重ねた背の高い窯で小さなものから大きなものまで
一度に500個もの器を焼きあげています。

もちろん、薪の消費量も大変なものですが「ここ厚沢部は林業のまちで、
間伐材をもらうことができるので、薪には事欠かない環境なんです。
とても助かっていますね」とにこやかに語る臼田さん。
ただし冬は寒すぎて焼くための作業自体をしにくくなるのが、この土地での難点だとか。

工房は、水場のある元職員室。限られたスペースを有効に使って作業をしています。

左右から薪を入れて燃やす立派な窯。焼くときはレンガで蓋をする。

窓の向こうには、山と積まれた薪用の間伐材、その向こうにはお隣の農家さんの畑と深い山々が広がる。この辺りにはかつて炭焼きの部落があった地域。

大分県、シンフロに続く新作は 〈プレミアムフロイデー!〉。 温泉をブロードウェイに仕立て、 動画で休み方提案

日本一の源泉数と湧出量を誇る大分県から、
露天風呂を舞台にオフィスワーカーたちが
ブロードウェイさながらに踊る動画がとどきました!
まずは動画をご覧ください。

これは、よく働くのもいいけれど今日はもう仕事を切り上げて
温泉で「プレミアムフロイデー」を楽しもう!
あなたから休もう!ということを提案するムービー。

「仕事は誰かと代われても、休みは誰とも代われない」
「いますぐプレミアムなお風呂においで」と歌われると
ほんとうにいますぐ温泉にいきたくなってきます。

本編も楽しいのですが、日本語の歌が流れるメイキング動画も感動的。

動画には、温泉でシンクロを披露する
〈シンフロ〉のメンバーをはじめ、総勢約70名が参加しています。
ダンサーや制作スタッフのみなさんが
わくわくしながらつくっている感じが伝わってきますね。
温泉ってほんとうに人を元気にさせてくれます!

琵琶湖ホテル〈Christmas “Chocolat” Collection〉 京漬物などパティシエ おすすめの食材を使った ショコラが登場!

2017年11月11日(土)〜12月25日(月)、
琵琶湖ホテル2階にある〈イタリアンダイニング ベルラーゴ〉にて、
スイーツビュッフェ〈Christmas “Chocolat” Collection〉が開催されます。

フランス産高級チョコレートと七味のショコラアイスや白味噌ショコラブランアイス、棚田米ソルベなど全6種のアイス・ソルベ。

こちらで楽しめるのはフランス産高級チョコレートを使用したショコラスイーツや、
クリスマスモンブラン、ヴァンショー(ホットワイン)などなど。

ビュッフェの醍醐味は、琵琶湖の景色を楽しみながら、
いろんなショコラスイーツを食べくらべられること。
カカオの濃さや産地の異なるチョコレートを食べくらべたり、
京漬物(乾燥)とホワイトチョコレートの組み合わせを楽しんだり。
白味噌や棚田米を使用したアイスなど、ちょっと意外な食材を使ったスイーツにも注目です。

ナッツ、京漬物、セミドライフルーツとの組み合わせが楽しいプラックショコラ。

真っ赤なブッシュ・ド・ノエル。ソーテルヌのムースで仕上げた大人の味わい。

※掲載している写真はすべてイメージです。材料の入荷などの都合により、一部メニューが変更となる場合があります。

〈とやま工芸の原点・ いま・未来をめぐる旅〉 ものづくりの国・富山で開催

多くの伝統工芸が今も受け継がれる、
富山県の工芸の原点・いま・未来をたどる!

2017年11月17日(金)、11月18日(土)、11月19日(日)、
11月22日(水)、11月23日(木・祝)の5日間にわたり、
ツアープログラム〈とやま工芸の原点・いま・未来をめぐる旅〉が開催されます。

このツアーは、富山県の伝統産業や工芸作家の工房・工場と、
それを育んできた富山の自然風土・歴史・文化を体感する、日帰りのプログラムです。

8つのテーマに分けて、職人・作家との交流、実際の制作体験、
その地域ならではの食など、深みのある体験をご用意! 
参加費も2000円~と、リーズナブル。現地でのバス代やガイド料、
保険料など実費の一部を主催者が負担する、お得なツアーです。

【ツアーテーマ】

● 高岡の金工と、高岡鋳物発祥の地を訪ねる/11月22日(水)

● 高岡の漆芸と、“動く美術館”御車山に出合う/11月17日(金)

● 越中小京都・城端に根付く工芸と、民藝の深い哲学に触れる/11月17日(金)

● 2つの木工芸(庄川挽物木地・井波彫刻)と棟方志功の住居を訪ねる/11月19日(日)

● 売薬から発展した工芸と食を知り、北前船で栄えたまちなみを歩く/11月23日(木・祝)

● おわらの町・八尾、美しい型染め和紙を訪ね歩く/11月18日(土)

● 神々が宿る山、立山の麓で、越中瀬戸焼と和紙の作り手に出会う/11月22日(水)

● 室町から続く魚津漆器ほか、魚津・黒部の職人・作家とその作品に触れる/11月19日(日)

申し込み方法など詳細は公式サイトにて

中富良野〈ノーザンスターロッジ〉
十勝岳連峰のパノラマと
自然素材の宿でパワーチャージ。

大雪山系の山々を愛でるロッジ

広大なラベンダー園〈ファーム富田〉や〈彩香の里〉が集まる中富良野のシンボル北星山。
そのなだらかな丘を登っていくと、風景に溶け込むように建つ、
ファーグリーンの立派なログハウスが現れます。
ここは、まちや観光地の喧騒からちょっと離れた、
自然のなかの静かな宿〈ノーザンスターロッジ〉。

晴れた日はウッドデッキのハンモックに揺られて
大雪山系十勝岳連峰の雄大な稜線を眺め、
雨の日には大きな窓越しに刻々と変わる空模様を楽しむ。
そんな、自然によりそった豊かな時間を過ごすことができる、
小さくあたたかなロッジです。

ラベンダー畑の横道を登ってロッジに到着。冬を前に薪の準備も進んでいます。

ロッジのドアを開けると、心地よい香りとすがすがしい空気に、
思わず深呼吸したくなります。その理由は、
フィンランドから取り寄せて組み立てたという厚く立派な天然木のログ。
ログハウスは夏でも涼しく、冷え込みの厳しい冬も
薪ストーブと蓄熱暖房機のぬくもりが木に溜められて暖かく快適に過ごせるのだそう。

ダイニング兼リビングでもあるロビー。ミツロウ仕上げの天然木が落ち着ける空間をつくり出しています。特等席のソファは人気の場所。

天然素材でつくられた心地よさ

そして、自然に近い滞在を楽しめるように、
ロッジの中もすべてが天然素材でつくられているのも心地よさの理由です。
ゲストルームなどのぬくもりある白い壁は、
オーナーの加藤雅明さんが自ら塗ったという珪藻土。
湿気やにおいを吸って調節してくれるので、きれいな空気が保たれています。

入り口に飾られた、ドイツの〈ペトロマックス社〉の圧力式灯油ランタンが美しいたたずまい。

旅人の憩うダイニングテーブルは、加藤さんが山形の実家で見つけた栗の板を天板に旭川の家具職人がつくってくれた一点もの。海外からのお客さんが増えたのでローテーブルに高さをプラス。

開放感たっぷりな大きな窓や3つのゲストルームの窓は山に向かった真東にあり、
朝日が差し込むようにつくられています。
窓を開けると大雪山系を望むすばらしいロケーションが待っています。
お天気の朝はぜひ早起きして山から昇る壮麗な日の出を見たいところ。
刻々と姿を変える山を眺めているだけでも、心身ともにリセットされるようです。

2階奥のゲストルームはアウトバストイレでコンパクト。タイル貼りの洗面台はもちろん、なんとベッドまで手づくり。あちこちにすてきなセンスが光ります。

富良野は、生きている自然を感じられる場所

花々で彩られる夏はもちろん、富良野で近年注目が集まっているのは、
冬の険しく美しい雪山を楽しめるバックカントリースキーです。
大雪山系十勝連峰と夕張山地に囲まれ、冬はマイナス30度近くまで冷え込む富良野の、
世界最高の雪質ともうたわれるパウダースノーを求めて
世界各地から多くのスキーヤーが訪れています。

腕利きの大工さんに教わりながら、土地の整地から2年がかりでロッジづくりを手がけたオーナーの加藤雅明さん。風格あるログには既製品が合わないため、戸棚、椅子、テーブルはすべて手づくりしたそう。

「ここはセントラル北海道のちょうど真ん中にあたり、
大雪山エリアのどこにでもアプローチできる、欲張りな場所なんです」

そう教えてくれた加藤さんは
スキー愛好家御用達の雑誌『月刊スキージャーナル』の元編集長。
30年以上も世界の山やゲレンデを旅してきた加藤さんが
終の棲家として選んだのが、ここ中富良野でした。

「晴れた日は噴煙を上げる十勝岳を眺めて、生きている自然をすぐそばに体感できる。
そして冬は一歩外に出たら、平地から高地までどこにでも最高の雪質が待っている。
こんなエリアはほかにはないですね」

奥さまの見千子さんに連れられた2頭のヤギが絵画のよう。ログハウスの端材で建てられた立派なヤギ小屋に暮らしています。

さて、荷物を置いたら、ロッジのそばを散策してみるのもおすすめ。
入口にあるラベンダー畑はもちろん、
ファーム富田や彩香の里などのラベンダー園も徒歩圏内という好立地です。

夜には近くに街灯もなく、深い闇に包まれるロッジからは、
運がよければ天の川や満天の星空が見られることも。
そっと外へ出て空を見上げてみましょう。

除草担当のはずがおいしい草のみを食べるグルメな2頭。毎年近くの牧場から赤ちゃんヤギを秋まで預かり大きくして返すのだそう。ヤギの名は〈レン〉&〈タル〉。ロッジのマスコット的存在です。

ノーザンスターロッジには、
メインロッジとログコテージの2種類の宿泊施設があります。
宿泊の際は、食事をつけることも可能ですが、
富良野市街地や美瑛などで夕食をとるのもよし、十勝岳温泉まで足を延ばすのもよし。
さまざまなスポットへのアクセスが良いので、
自由なスタイルで滞在ができるのもこの場所の魅力です。

歩いて、眺めて、満喫。
西和賀の山を
ベテランガイドとともに巡る

岩手県の山間部にある西和賀町。
積雪量は県内一、人口約6,000人の小さなまちです。
雪がもたらす西和賀町の魅力あるコンテンツを、
全国へ発信していくためのブランドコンセプト〈ユキノチカラ〉。
西和賀の風景をつくりだし、土地の個性をかたちづくってきた雪を、
しっかりタカラモノとしてアピールしていくプロジェクトです。
今回は、おいしい食べ物や美しい自然風景など、
私たちにさまざまな楽しみをもたらしてくれる「山」のお話。
山岳ガイドの方に、西和賀の山の魅力を教えていただきました。

春の新緑、夏の深緑、秋の紅葉。
町内すべての山で、「ブナの原生林」が堪能できる

西わらびやビールなど、西和賀のおいしい食は、清らかな水によってもたらされる。
その清流の「母体」となるのが、奥羽山系にある町内の山々だ。
西和賀の山の魅力はバラエティに富んでいるが、
「すべてに共通するのは、ブナの原生林が楽しめること」と話すのは、
西和賀登山ガイドの会の駒ヶ嶺能弘さんと高橋勇一さん。
ともに登山歴数十年というベテランで、依頼に応じて、
ほかの会員と分担しながら町内の山のガイドを務める。
ふたりによると、ブナの原生林では、春のみずみずしい新緑、夏の繁みの深緑、
秋の錦絵のような紅葉と、季節ごとにさまざまな色が楽しめるという。

そして西和賀の山にはもうひとつ、
「標高はさほど高くないが、急勾配の箇所が多い」という共通点がある。
「ですから案内する登山客の中には、『こんなにキツイとは思わなかった』と
驚く人もいるんですよ」と駒ヶ嶺さん。
実はふたりに話を聞いた際、ほっとゆだ駅の裏手に位置する
〈カモシカハイキングコース〉を案内していただいたのだが、
名前のようなのどかなコースではなく急な坂道が続き、思いのほか汗が吹き出た。
これこそ西和賀の山の縮図なのかも……。
標高が高くなくても、油断は禁物、ということだろう。

「ハイキングコース」のイメージとはちょっと異なる坂道だが、駒ヶ嶺さんと高橋さんの足どりは軽い。

川尻保育園脇からスタートして5分ほど登った場所からの眺望。その眺めの良さに、道中の疲れが吹き飛ぶ。

西和賀登山ガイドの会の駒ヶ嶺能弘さんと高橋勇一さん。ともに若い頃から登山を趣味にしており、平成25年のガイド養成講座を受講後、翌年3月に発足した同会の会員として活動している。

ほかにはない、この山ならではの花も!
「お花畑」で高山植物を楽しもう

一方で、バラエティに富んだ魅力を持つ、西和賀の山々。
例えば、町の南端に位置し、栗駒国定公園内にある町内最高峰の南本内岳(1486メートル)は、
高山植物が咲き乱れる「花の山」だ。
夏でも一部に雪が残る中腹の「お花畑」では、ミズバショウ、ハクサンチドリ、
リュウキンカ、キヌガサソウ、ヒナザクラなどが咲き誇る。
そのうちキヌガサソウは、花びらと、花の周囲に生えている大きな葉の数が同じという
ユニークな植物で、町内ではここだけに自生するとのこと。
「花びらと葉の数は地域によって違うようで、ここは7枚。
南本内岳ならではの植物といえるでしょう」と駒ヶ嶺さん。
さらに山頂付近にも「お花畑」があり、そこではチングルマ、ミヤマダイコンソウなど、
中腹とは違う植物が楽しめるという。

南本内岳の高山植物「キヌガサソウ」「ハクサンシャジン」など  撮影:駒ヶ嶺さん

そんな花好きにはたまらない南本内岳だが、
「実は今から40数年前までは無名峰で、登山道もなかったんですよ」と
高橋さんが教えてくれた。
駒ヶ嶺さんが登山客を案内する際に使う
『西和賀の自然と文化シリーズ12 西和賀の高山植物102種』
(西和賀エコミュージアム 西和賀町企画課発行)によると、
昭和48年、当時の湯田山岳会会員が、
国土地理院が作成した地図に名前のない高い山があることに気づき、同会が現地調査。
その結果、前述のような美しいお花畑や頂上からのすばらしい眺望が報告され、
公募により〈南本内岳〉と命名されて登山道が整備されたという。

南本内岳の山頂から真昼岳〜和賀岳を望む。眺望がすばらしい。 写真提供:西和賀町観光協会

町内北部に位置し、国の自然環境保全地域に指定されている和賀岳(1439メートル)も、
高山植物が楽しめる山だ。
山頂付近の稜線では、7月上旬から8月上旬にかけてニッコウキスゲ、ハクサンフウロ、
ツリガネニンジンなどの花畑を目にすることができる。

残雪の中の花畑  写真提供:西和賀町観光協会

また、登山口から1時間30分から2時間ほど歩いたところにあるのが、和賀川の源流。
ここから錦秋湖へと流れる和賀川は、渓流釣りやアユ釣りが楽しめる清流として知られる。
「西和賀の水の豊かさ、美しさを感じてほしいですね」と駒ヶ嶺さんはアピールする。

さらに、和賀岳のもうひとつのお楽しみが、山頂からの眺望。
太平洋と日本海の分水嶺となっているため、
天気が良ければ、北に岩手山や秋田駒ヶ岳、田沢湖、東に早池峰山、
南に鳥海山や月山まで一望できるという。

秋の和賀岳山頂からの展望  写真提供:西和賀町観光協会

和賀岳の北側は、高下岳、根菅岳、大荒沢岳、沢尻岳などの和賀岳山塊が取り巻いている。
「中級者以上なら、貝沢登山口から登って
沢尻岳、大荒沢岳、根菅岳、高下岳へと縦走するコースもおもしろいと思います」
沢尻岳では眺望を、大荒沢岳や根菅岳では高山植物を、
高下岳では東北一の胸高幹周を誇る大ダケカンバなどを楽しむことができるそうだ。

中富良野の〈Cafe てくり〉
石窯焼きの本格派ピザと
地野菜たっぷりのランチタイム

素材を生かした丁寧な料理が人気のカフェ

手づくりの石窯で焼かれる、カリッとした焦げまでおいしいピザ。
メニューのなかでも人気を誇る「4種のチーズピザ」が焼きあがると、
チーズのいい香りがふんわりと漂ってきます。

北海道の中心にある、大雪山系の十勝岳連峰を望む中富良野で
2016年にオープンした〈Cafe てくり〉は、
札幌のイタリアンレストランで修業を積んだシェフ竹内裕介さんの
本格的なイタリアンメニューが楽しめるアットホームなカフェです。

赤い屋根が目印のてくりを秋に訪れると、黄金色の風景が出迎えてくれます。その向こうには、晴れた日には雄大な姿を見せる十勝岳連峰が。

全国的にも有名な旭川の観光庭園〈上野ファーム〉から
美瑛・富良野を通り、占冠(しむかっぷ)までの国道237号線は
〈花人街道〉の愛称で親しまれ、車窓から美しい景観を楽しめるルートです。
中富良野のまちを通る花人街道を道道750号線へ折れてしばらく進むと、
田園風景にそっと佇む、赤い屋根のCafe てくりが見えてきます。

田園風景に佇む、納屋をリノベーション

明るい光が差し込む店内は木のあたたかな雰囲気も心地いい。左のテーブルセットは、富良野にあった〈北の国から資料館〉が閉館するときに譲り受けたものだそう。

もとは農家の納屋だった建物を自分たちでリノベーションしたお店は、
まわりの風景を切り取るような大きな窓と高い天井が開放的な空間です。
店内の、サイズもさまざまな窓、テーブルや椅子、
キッチンの什器類に至るまでほとんどがいただきもの。
それぞれ物語のある家具たちは、どれもお店にしっくりと馴染んでいます。

注文を受けてから、ピザ生地を手早く丁寧に伸ばし始めます。

まちはずれにありながらランチタイムは
混み合うCafe てくりでぜひオーダーしたいのが、石窯焼きのピザ。
十勝産の小麦と天然酵母を使い、手ごねした生地は
ふっくらもちもちかつ香ばしい焼き上がりで、くせになるおいしさです。
なかでも定番のピザ「4種類のチーズはちみつがけ」は、
重ねられた濃厚なチーズに、トッピングされたはちみつが絶妙なバランスです。

ゴルゴンゾーラ、モッツァレラ、グラナパダーノ、マスカルポーネチーズをたっぷり乗せた生地を窯へ。職人技が光る一瞬。

石窯のレンガは、中富良野の備前焼の窯元から譲り受けて再利用したもの。東川の道の駅に店を構える〈ピッツァ亭〉の方が、窯づくりを一から指導してくれたそう。

愛別町の隠れた名店〈粋人館〉
絶品の地元産きのこ蕎麦。
築95年絢爛豪華な建築は必見!

職人技術を駆使した、居心地よい木の空間

大雪山系の石狩岳に源流をもつ石狩川上流のまち愛別は、旭川から車で40分の距離。
豊かで美しい水を生かした農業がさかんで、きのことお米の名産地として知られています。

このまちのメインストリートに佇むのが、
土地の恵みに趣向を凝らした蕎麦と会席料理が楽しめる〈粋人館〉(すいじんかん)。
由緒ある歴史的建造物をリノベーションした母屋と合わせて、
大雪山をめぐる旅の途中に立ち寄りたい、隠れ家的な名店です。

京都の絵師、浦地 思久理さんが描いた鮮やかな鳳凰に迎えられ、階段を上った2階がメインフロア。お年寄りや足の不自由な方は1階のカウンター席へどうぞ。

広々とした2階。八角形のテーブルが置かれたスペースは半個室にもなる。家具はすべて飛騨から取り寄せたもの。

黒1色の外観からは想像もつかない2階の客席は、
上質で落ち着いた和の趣がすみずみまで感じられます。
内装や設計を手がけたのは、京都を拠点に、全国で活躍するデザイナーの永田正彦さん。
木のぬくもりとともに、障子に当たる光が心地よく、くつろぎます。

直線の欄間と交差する円形の天井に牡丹や獅子の絵画がのぞく精巧なつくり。

地元名産のきのこをたっぷり堪能

空間はもちろん、京都出身の料理長が腕をふるうお料理もじっくりと味わいたいところ。
カジュアルに楽しむなら、ランチタイムの訪問がおすすめ。
旬の素材を織り込んだリーズナブルな「本日の日替わり定食」のほか、
会席料理仕立ての贅沢なプレート「粋人館御膳」、
そしてこだわりの十割蕎麦メニューからお好みをチョイス。なかでも一番人気は、
社長であり蕎麦農家の矢部福二郎さんが無農薬で丹精込めて育てる
愛別産の蕎麦〈キタワセ〉に名物のきのこの天ぷらを添えた「茸天ぷらそば」です。

鰹だしが薫る、やわらかな甘みの京風蕎麦つゆに十割蕎麦がぴったりとマッチ。

毎日、地元農家さんから届く朝採りの
マイタケ、えのき、なめこの天ぷらはサクサクかつ風味豊かでジューシー。
あえて塩ではなく、特製の蕎麦つゆにつけて味わうのが粋人館流です。

「愛別の蕎麦そのもののおいしさを味わってほしい」
という思いが込められた十割蕎麦は、注文を受けるごとに、
蕎麦粉と水分を合わせる水回しの作業を手で行い、
シンプルな機械で麺に仕上げてつくりたてを提供しています。
程よい歯ごたえとみずみずしさをぜひ味わってみて。
矢部社長曰く「愛別は水の質がいいので、おいしい蕎麦ができるんです」とのこと。

もちもちに炊かれた甘みのあるゆめぴりか玄米をしっとり包み込んだ〈開運 稲荷寿司〉(120円)。つくり手の方々とは家族ぐるみのお付き合いをしているそう。

地元生産者の食材や器を使って

蕎麦はもちろん、お米にもこだわりが光ります。
蕎麦とも相性のいい稲荷寿司や定食の玄米ご飯に使われているのは、
希少かつ絶品の無農薬ゆめぴりか玄米。
愛別の米農家〈成田農園〉5代目の成田真市さんが生産を手がけています。
また、蕎麦や玄米稲荷を乗せたお皿、蕎麦湯用のしっくりと手になじむ片口は、
旭川にアトリエとギャラリー〈ウラヤマクラシテル〉を構える
人気の陶芸家、工藤和彦さんの作品です。
食材から器まで、愛別や近郊のまちの魅力あふれるつくり手の存在を知り、
安心してお料理をいただけるのもうれしいところ。

古伊万里や九谷焼など、飾られた骨董品が美しい佇まい。

紅葉名所「大雪高原沼めぐり」と
秘湯〈大雪高原山荘〉へ。
深山の沼に綾なす紅葉が絶景!

秘境と呼ばれる、大雪山の紅葉の名所へ

陽の光に輝く赤、紅色、黄色、オレンジ、深緑の織りなす心奪われるほどの紅葉が、
登山道の先にある沼地を包むように、次々と現れます。

ここは日本の紅葉の始まる地、北海道の大雪山国立公園の深部にあたる大雪高原。
ウラジロナナカマドやダケカンバなどの高山帯の落葉広葉樹と、
針葉樹のエゾマツ・トドマツが入り混じった混交林が特徴で、
秋には、火山活動によって生まれた沼とともに、独特の色彩豊かな紅葉が広がります。

この大雪高原に点在する大小10個の沼をめぐる「大雪高原沼めぐり」コースは、
紅葉のピーク時は多くの登山客でにぎわう、北海道屈指の紅葉の名所です。

冬季間は道が閉鎖されるため年間123日しか営業していない秘境の宿〈大雪高原山荘〉。建物裏には硫黄の煮え立つ沼〈ボッケ〉が。散策のあとは日帰り入浴にぜひ立ち寄って。

沼めぐりの入り口、〈大雪高原山荘〉へは旭川空港から車で約2時間、
柱状節理の峡谷で名高い層雲峡から40分。
大雪山最高峰旭岳の真裏にあたり、上川国道と呼ばれる国道273号線から、
川沿いの険しく細いダート道を20分ほど注意深く進んだ先、
標高1260メートルの高所に位置しています。

北海道の中でもかなりの秘境、
だからこそ残された美しい風景に出会えるのが沼めぐりの魅力。
9月中旬から10月までの間に、ぜひ足を延ばして訪ねたい場所です。

〈ヒグマ情報センター〉の建物やコース内にトイレはないので、出発前には駐車場に設置されたトイレを利用して。

まずはヒグマ遭遇のレクチャーから

沼めぐりコースのスタート地点は大雪高原山荘隣の、
周辺のヒグマの動向を毎日監視し発信する〈ヒグマ情報センター〉。
大雪山は、かつてアイヌの人々に「カムイミンタラ」と呼ばれた理由を
「クマの遊ぶ場所」とする説(『知里真志保地名小辞典』)があるのもうなずけるほど、
ヒグマの多く生息する地です。
入山前に15分ほどのレクチャーを受けて気を引き締めたら、沼めぐりへいざ出発。

ヒグマ情報センター内にあるヒグマ情報板。赤は個体発見、青は足跡、緑は食痕など、形跡があちこちに。本来一周できる右コースが台風被害で通行止めなので、現在は折り返すかたち。

国立公園として守られているコースの行き帰りには内外の種などを持ち込まない・持ち出さないため、小川で靴を洗います。

石や木の根が多くなかなか険しい山道が続くので、散策ではなく登山の気持ちで臨みましょう。

大雪高原山荘から最初の沼までは、澄み切った空気を吸い込み、
水辺を覆う巨大なミズバショウの群落や紅葉を眺めながら歩いて1時間ほど。
登山やトレッキング初心者でもトライできるコースです。
今回は旭川の〈大雪山倶楽部〉のガイド、
浦 幹生さんに見どころを案内してもらいながらコースをめぐります。

沼をめざして、トレッキングスタート

取材に訪れたのは9月中旬、2017年は例年より1週間も早く紅葉の見頃を迎えました。登山道から見える山肌の赤や黄色がきれい。

前日からの雨でコケがみずみずしくフカフカに。

入り口ではほぼ緑だった木々は、次第に黄色や赤が入り混じっていきます。
山歩きについ集中しがちですが、視線を上げると、
高いところや山々にも秋の色合いが見つかります。

紅葉のピークには黄金色のトンネルになるというミネカエデの道。

鉄製の橋が架けられたヤンベタップ川。滑りやすいので足元に注意して。

北海道で一番長い石狩川の支流、ヤンベタップ川を越えれば、沼はもう少し。
川のそばにはヤンベ温泉と呼ばれる噴気孔があり、
水蒸気の煙をもうもうと上げる姿も見ものです。
手前には、ヒグマ情報板にも記載があった、1か月ほど前のヒグマの落し物が残っていました。
大自然のなかに深く分け入っていることを実感しつつ、さらに進みます。

音を立てて煙を上げるヤンベ温泉は生きた火山の証。温泉といっても95度という高温・高圧の水蒸気が沸く危険な場所なので立ち入り禁止です。

ところどころにある看板で距離を確認。右廻りコースは残念ながら通行止。

七飯町〈Hütte(ヒュッテ)〉 森の中の小さなパン屋さん。 地元民が足しげく通う理由は?

地元の旬の食材たっぷりのランチメニュー

七飯(ななえ)町仁山の森。木漏れ日のなかにたたずむ、
小さなパン屋さん〈Hütte(ヒュッテ)〉。
函館市街地から車で30分の距離にある元ガレージを改装した素朴な小屋で、
「親方」の愛称で呼ばれる木村幹雄さんが焼き上げるどっしりとしたドイツパンは、
ライ麦パン、地元野菜を使ったパン、食パンにあんぱん……
並んだそばから売れていく大人気のパンがすべて焼きあがるのは、毎日10時半頃。
ひとつひとつが飽きのこない、毎日食べたくなるパンです。

旅のおともにしたいパンたちがずらり。大きなパンはカットして販売もしています。

パンのテイクアウトはもちろん、お店の小さなカフェスペースでドリンクと一緒に
イートインする、「女将」特製〈ぱんとスープのセット〉(800円)もおすすめです。
手づくりのジャムやパテやハムをのせ、
コース仕立てでひと皿ずつ6種類のパンを味わえるセットには、
季節のスープにデザートとコーヒーまでつくのがうれしい。

パンそれぞれの魅力を存分に引き出す
地元七飯産の旬の野菜に手をかけたペーストや、
親方厳選の道産チーズが乗ったパンはぜひ食べてみてほしいおいしさ。
夏場はテラス席も用意されているので、
心地良い風を感じながらゆっくりとブランチでいただきましょう。

取材に訪れたのは7月。この日のセットメニューは、スープが北あかりのビシソワーズ。手前のプレートは、食パントーストに地元産野菜のラタトゥユ、バゲットに安藤農園(七飯町)のにんじんのラペ、3種のライ麦パンに小栗牧場(八雲町)の生チーズ、福田農園の王様しいたけアンチョビオリーブ炒め、カリフラワームース。左奥は、王様しいたけと十勝コーンと豆乳のピザ。

自然のままに、無理のないパンづくり

「おいしい」をそのままかたちにしたような、
ちょっと無骨で愛らしいパンを焼く親方は、
七飯のまちなかで30年続く、人気のパン屋〈こなひき小屋〉の創業者。
その親方の腕前をよく知るまちの人たちがヒュッテに次々訪れては、パンを買い、
そしてしばらく談笑していきます。おいしいパンを買うのはもちろんのこと、
親方と女将の人柄から、お店はまちの井戸端のような場所になっています。

「僕らのやりたいことはこういうことなんです。
地元に暮らす人たちに必要とされるパンを焼きたいので」

そう話してくれた親方のパン焼き風景を見せてもらいました。

奥に深い窯でスピーディーにパンを焼き上げていく、笑顔がすてきな親方こと木村幹雄さん。「年をとってからタイマーを使っているけど、以前は必要なかった。かっこよく言うと、パンが呼ぶんです。毎日やっているとそうなるものですよ」

お店の奥にある小さな工房も、親方の手づくり。
立派なドイツ製ウェルカーの窯が存在感を放っています。
「この窯は、息子が継いだこなひき小屋からもらってきた24年もの。
ミキサーもそうで、創業時からのものでかなり年季が入っています」

工房で電気を使う機器はこのふたつだけ。
あまりエネルギーを使いたくないので、冷蔵庫も置いていないそう。
60歳でこなひき小屋を引退すると宣言し、
実際に引退することになった転機の年に脳梗塞で倒れた経験をもつ親方は、
独立してヒュッテを始めるとき、無理せず夫婦ふたりだけでできることをやろうと決意。
あるものを使って小さく回していく「身の丈にあった」スタイルを貫いています。

窯の奥から驚くほど大きな田舎風フランスパンが!裏側をボンボンと叩いてみた親方は「あとちょっとだな」。音で焼き上がりがわかるのが職人ならでは。

秋の瀬戸内、豊島を歩く
〈生産者と暮らしに出会う旅〉

シャッターをきりながら、おしゃべりしながら楽しむ豊島時間

暑すぎた2017夏が終わり、ようやく秋らしくなってきました。
まだ日中は畑で作業していると汗をかく暑さですが、
それでも朝夕は肌寒さを感じるくらい。
あー、私の大好きな秋が来たなと、それだけで毎日うれしくなります(笑)。

個人的には、瀬戸内の島をめぐるなら絶対秋がいいなと思ってます。
島をぶらぶらと歩くには、やっぱり夏は暑すぎで、暑さだけで疲れちゃいます。
冬も好きですが、やっぱり景色が少し寂しいかもしれません。
春はなんとなく空気がもわっとしている感じがして(すごく個人的感覚ですが)……。
ま、でも四季それぞれいいところがあるんですけどね!
カメラを持ってぶらぶら島を歩くなら、秋がいいのかなと。

私たちがまだ小豆島に引っ越す前、引っ越すなんて全然考えてなかったのですが、
第1回目の瀬戸内国際芸術祭があり、そのタイミングにあわせて、
小豆島のおじいちゃんちを訪れました。
その時に初めて行ったのが、小豆島のお隣の島、豊島(てしま)。
2010年秋のこと。あのときの豊島の空気感、いまでも覚えています。
とにかくいいところだった。

豊島と小豆島をつなぐフェリーをパシャリ。

島のさりげない風景が好き。ひまわりと家々と海。

小豆島に引っ越してからは、当たり前のように暮らしの中に
「秋の瀬戸内」があるわけで、なんと贅沢だろうと時々思います。
ただ日々の暮らしがあるので、毎日旅人のようにぶらぶらすることもできず。
すぐ隣りにある豊島にもなかなか遊びに行けず。

行きたいなら計画をたてよう! 
というわけで、9月上旬、島で一緒に活動している〈小豆島カメラ〉のみんなで
〈生産者と暮らしに出会う旅 vol.6〉を企画し、OLYMPUSカメラを持って、
約20人で豊島をまわるツアーを開催しました。

〈生産者と暮らしに出会う旅〉は、2014年秋から開催している企画。
ただ観光スポットをまわるだけで終わってしまうのではなく、
もう一歩深く、島の暮らし、島で働く人、現場に触れることで、
もっと小豆島のことを知ってもらおうというもの。
その案内、つなぎ役を私たち小豆島カメラがしています。

今回は私たちだけで豊島を案内するのは少し心もとないということで、
豊島でガイド、さまざまなコーディネートをしている
〈テシマサイト〉の森島丈洋さんに力をお借りしました。

まだ少し夏の暑さが残る9月上旬の日曜日。
小豆島からは片道480円の船に乗って
30分で着きます(こんなに気軽に行けるならもっと行こうっ!)。
船の中でさっそくカメラの貸し出し&説明。
今回のツアーでは、参加者全員にOLYMPUS PEN-Fを貸し出し!
いつも最新のカメラを貸してくださるオリンパスさんに本当に感謝です。

小豆島から豊島に向かう船の中で、OLYMPUS PEN-Fを全員に貸し出し。

まずはカメラの使い方を説明。

豊島に到着後、まずは〈豊島ウサギニンゲン劇場〉へ。
1年半前から豊島で暮らしている〈usaginingen(ウサギニンゲン)〉
こと平井伸一さん、絵美さんご夫妻が出迎えてくれました。
自分たちの手でデザインし改修した劇場、
その中で繰り広げられる映像と音楽のライブパフォーマンス。
豊島を訪れたらぜひ行ってみてほしい場所です。

豊島ウサギニンゲン劇場。倉庫を改修して劇場に。

usaginingenこと平井伸一さんと絵美さんご夫妻(写真右側)。

映像を映し出す道具も楽器もオリジナル。まさにウサギニンゲンワールド。

豊島ウサギニンゲン劇場は、唐櫃岡(からとおか)地区にあり、
近くには〈島キッチン〉や〈檸檬ホテル〉、
少し歩けば〈豊島美術館〉などこれまた行ってみたいところばかり。
また次回のお楽しみに。

劇場の前で、みんなで記念撮影。

函館の〈jazz spot Leaf〉 港町のムーディーなジャズ喫茶

函館駅前エリアにある、まちのジャズ喫茶

旅先だからできること。たとえば市電に乗り込んであてもなくまちを回り、
車窓から気になるお店を見かけたら、次の電停で降り、
普段なら通り過ぎるかもしれないそのお店に飛び込んでみること。

偶然の出会いが似合う、雰囲気あるお店が点在する函館で
〈jazz spot Leaf〉もそんなお店のひとつ。函館駅から歩いて5分、市電なら1駅。
駅前通りからも見える「JAZZ」の看板が目印です。

和洋折衷の函館らしい建物をそのまま生かして手直ししたという店。夏場はテラス席も。

文化の集まる港町の函館は、全国的に名を知られる老舗のジャズ喫茶も残るまち。
現在はLeafを含め、4軒のジャズ喫茶が営業しています。
その中でも、昔からジャズの流れていた駅前の大門地区にある唯一のジャズ喫茶Leafは、
ふらりと訪れてゆっくりと音楽に浸れる、旅人にもおすすめの穴場です。

19時からはバーのスタイルに表情を変える店内には、ライブを行うときに活躍するピアノが。映画の中にいるようなレトロな空間も心地よい。ビールを注ぐのは水山さんの奥さま。

音楽に身を委ねる大人の時間

レコードで1枚ずつかけられるジャズが心地よい店内へ。
音楽をじっくりと味わうなら、良質なスピーカーに向き合って過ごせる
1階席がおすすめです。3人以上で訪れるときはそっと2階席へ。
ジャズ喫茶は音楽を楽しむところなので、大声での会話は厳禁。
ほかのお客さんへの気配りはもちろん、静かにジャズに身を委ねて過ごす、
大人だからこそ体験できるひとときを堪能して。

立派なJBLのスピーカー。現在流れているレコードを飾る、ジャズ喫茶ならではのスタイル。Leafでは主に1960年前後のLPをかけている。

ランチタイムに訪れるなら、おすすめはサラダ付きの〈Leafカレー〉。
マスターがオープン以来つくり続けているという名物カレーには、
細かく刻まれた8種類の野菜がたっぷり入っています。
手間はかかるものの、カッターでは出ないおいしさが出るため、
包丁で時間をかけて切っているそう。フードを注文すると、
オリジナルブレンドコーヒー(400円)ほか、
種類豊富なドリンクが半額になるので、セットでオーダーしてみて。

オープン以来、カレー好きなマスターこだわりの、味も値段も変わらない人気のカレー(500円)。手編みのグラスケースは奥さま作で北海道新幹線のカラーリング! コースターも販売。

函館のバル〈ラ・コンチャ〉 旬の道産食材でバスク料理 一度は訪ねたい名店へ

元米屋の木造建築で、本格スペイン料理

木造洋館や教会が建ち並び、名所として知られる函館市西部地区。
異国情緒漂う大三坂(だいさんざか)を下ると、突き当たりに歴史的建造物があります。
本格的なスペイン・バスク地方の料理を
カジュアルなバルスタイルで楽しめる名店〈ラ・コンチャ〉。

函館近郊や道産の食材をふんだんに取り入れたアラカルトメニューが人気で、
生ハムはもちろん、マヨネーズやアンチョビにいたるまですべてが自家製。
まずはちょっとずついろいろなおいしさを楽しめるおつまみ、ピンチョスを注文。
カラフルな小皿といい香りにワクワクしながら、ワインで乾杯しましょう。

ラ・コンチャの趣ある外観。もとはオーナーシェフ深谷宏治さんの祖父、深谷仁左吉さんが1917年に建てた擬似洋風建築の〈旧深谷米穀店〉。

ラ・コンチャの建物は函館市の歴史的建築のひとつで、
築90年を超える〈旧深谷米穀店〉を改築しました。
実は、ラ・コンチャの本店にあたる〈レストランバスク〉オーナーシェフで、
日本におけるバスク料理の第一人者、深谷宏治さんの生家。

店内は、スペイン風立ち飲み用カウンターのバル、
開放感のある洋風のメインダイニング、
奥には主に団体予約専用の趣ある和室があります。
和室は、函館の歴史を思わせる和洋折衷な空間で
スペイン・バスク料理をゆっくりと味わえるのも魅力のひとつです。

入り口側のメインダイニング。建物の壁や天井を生かしバスク地方の絵画が飾られたカジュアルな雰囲気が心地いい。頭上に吊るされた道産白豚の自家製生ハムが圧巻!

1984年以来つくり続けている生ハムは年間約60本を冬の間塩漬けする。熟成庫を経てお店に吊るされ、1年半以上の長い熟成期間が肉の旨みを凝縮させるそう。

取材に訪れた7月中旬の日替わりのピンチョスは、
近海の新鮮なタラ肝がフワフワにとろける〈尻岸内産タラ肝の白ワイン蒸し〉、
ほんのり辛味が効いた豚肉100パーセントのジューシーな
自家製ソーセージ〈シシトラ〉や〈厚沢部産メークインの揚げいも〉のほか、
〈十勝産マッシュルームと自家製生ハムの鉄板焼き〉など、
冷製と温製に分かれ、目移りする旬のメニューが15種類以上。
迷ったらシェフおまかせの盛り合わせを頼めば、
バランス良くサーブされたピンチョスをいただけます。

光の美しい奥の和室でいただくスペイン料理は新鮮な体験になるはず。

函館のリノベーションホテル 〈HakoBA 函館〉がオープン。 まちの歴史ある建物を再生

函館港を望む絶好のロケーション

幕末の黒船来航によって、下田とともに開港された歴史ある函館港。
まちの繁栄の始まりで、その歴史を今に残す西部地区の港に誕生した
〈HakoBA 函館〉は、2棟の建物をリノベーションしてつなげた、
新しいスタイルのホテルです。

2017年5月オープンのHakoBAの1棟は昭和7年築、
市の指定する歴史的建物で、重厚感あふれる石造りの〈BANK〉。
安田銀行函館支店として建設され、のちに〈ホテルニューハコダテ〉として
2010年まで使われていました。もうひとつの棟は、
BANK隣の赤レンガの壁が美しい〈DOCK〉。
旧西波止場美術館などを経てきた個性豊かな建物です。

それぞれの魅力を最大限に生かしたホテルの中を探訪してみましょう。

クラシカルな雰囲気を楽しむなら

市電通に面した函館山側にあり、重厚感あふれる近代建築が魅力の〈BANK〉。
銀行時代の建物の特徴を生かした
アール・デコ調の装飾が美しい梁や高い天井のクラシカルな客室が人気です。

BANKの〈TWIN〉。ひと部屋ごとに異なる照明がレトロな部屋のムードにマッチ。

高級感漂うこだわりのカーテン。ソファのクッションとともにカラーリングの妙を楽しんで。

ツイン・ダブルの個室タイプのほか、プライベートテラスつきのメゾネットタイプが1室。
レトロとモダンが程よくミックスした空間で、
歴史あるまちならではの、思い出に残るひとときを過ごせます。

BANKの2階のブックラウンジにはTSUTAYA函館がセレクトした、函館にまつわる本が並びます。観光のヒントがたくさんあるので、滞在中に訪れて。

安田銀行、富士銀行と使われてきた〈BANK〉の面影を残す看板。HakoBAオープンを聞きつけてホテルニューハコダテに勤務していた方が訪れ、1階に残された看板や生まれ変わった姿に感動されていたそう。

函館市〈シエスタハコダテ〉 道南グルメも集合の新複合施設。 まちの新たな活性化拠点に

道南の魅力が詰まった新たな複合ビル

2017年4月、函館本町の五稜郭公園前にグランドオープンした、
まちの新しいランドマークとなる複合施設〈シエスタハコダテ〉。
DEAN&DELUCAが初めてプロデュースを手がけた地下1階の函館の食の専門店が集結した、
函館フードマーケットホール〈シエスタキッチン〉をはじめ、
1〜3階には北海道初上陸のMUJI BOOKSやCafe&Meal MUJIを展開する
〈無印良品〉フロア、4階は市民憩いのオープンスペース〈Gスクエア〉と、
多様な魅力がぎっしりつまった空間です。

シエスタの英語表記は五稜郭公園の形、五芒星につなげた〈SHARE STAR〉に。建物向かいの、函館市民に馴染み深い丸井今井百貨店と地下通路で直結しています。

シエスタハコダテは、函館駅から路面電車で15分、〈五稜郭公園駅〉市電停の目の前。
函館駅前市街地の再開発の一環として、
空き店舗となっていた旧五稜郭ダイエー(通称ゴダイ)跡地に、
地上19階建のマンションとともにオープン。
かつてゴダイに集まっていた周辺6つの高校に通う学生たちの新たな憩いの場として、
また、函館をより活気あふれるまちにする場として、注目されています。

まずは、地下1階にある、市民はもちろん旅人にも魅力たっぷりな、
函館や道南地域の誇る11もの名店が一堂に会した
〈シエスタキッチン〉を訪ねてみましょう。

各店でテイクアウトしたメニューをテーブルで自由にいただくスタイルが人気を集め、
スタッフやお客さんの笑顔が行き交う、生き生きとした空間が広がっています。

地元のおいしいもの多ジャンルが一度に楽しめる

オープンな雰囲気が居心地のいい〈rocco〉のイートインスペース。選りすぐりのオーガニックワインとともに賑やかに楽しみたい。

エスカレーターを下ると、まず目に飛び込んでくるのが
〈フレッシュチーズのお店 rocco〉のおいしそうなチーズたち。
世界最高峰と名高い南イタリアのチーズ文化の旗手が手がける、
道産牛乳100%のオーガニックなフレッシュチーズ〈ファットビオ北海道〉をはじめ、
北海道のおすすめの食を集めたショップです。

チーズやピザをテイクアウトできるほか、
フレッシュチーズを中心にした豊富なイタリアンメニューのイートインも人気です。

人気イートインメニュー〈ファットビオ北海道のブッラータとミニトマト〉(1580円)。カットすると中からヒモ状のモッツァレラと生クリームが! トマトとの相性も抜群。

次なるショップ〈お肉のつしま IRWAK(イリワク)〉は、
希少なブランド牛〈はこだて和牛〉を一頭買いしている市内の精肉店が営む、
精肉店とイートインのステーキ&ハンバーグ店。
ここでしか出会えない、はこだて和牛のおいしさを伝えています。
ミニ牛丼(500円)や隣の森町産SPF豚のメンチカツ(250円)などの
気軽なテイクアウトもおすすめ。

鮮度にこだわり、扱う精肉はすべて生肉。はこだて和牛をオーダーカットで販売している〈IRWAK〉は若き2代目ご夫妻のすてきな笑顔が看板。

フロアの一角はおしゃれな寿司店。10時から営業しているのでランチタイムにも立ち寄れる。

函館といえばやはり海鮮。市民お墨つきの老舗鮮魚店〈函館まるかつ水産〉では、
凄腕の目利きが毎朝市場で仕入れる新鮮な魚介を味わえる寿司店、
併設の鮮魚店では、海鮮惣菜を手がけています。
ピカピカに輝く鮮魚をその場で刺身にしてもらうのはもちろん、
気軽に入れる寿司店で握りを楽しむのもよし。持ち帰れる寿司や惣菜も見逃せません。

旬の真イカもその場でさばいてくれます。イカ2枚分のイカ刺し(時価)は甘くてコリコリの歯ごたえ。

新鮮かつリーズナブルな魚介惣菜は、舌の肥えた函館市民の御用達。

北海道ならではのおやつ、べこもちって?

フードのみならず、もちろんスイーツも要チェック。
函館から車で約2時間の松前町に本店を構える、
昭和12年創業の老舗和菓子店〈北洋堂〉の人気商品は〈特製あん入りべこもち〉。
べこもちとは北海道の道南地域などではポピュラーな餅菓子で、
お土産にもぴったりなアイテム。
その場で焼かれるどら焼きや中華まんじゅうも好評です。

左は豆大福(154円)、右はあん入りべこもち(143円)。お土産にとまとめ買いしていくご年配のお客さんも。

ふんわりとろける、ひと口チーズケーキ〈メルチーズ〉で有名な
函館のパティスリー〈プティ・メルヴィーユ〉ではこだわりのフランス菓子のほか、
オーダーごとにその場でパティシエがつくる、
趣向を凝らした季節のパフェをぜひ味わってみて。
向かいの函館発のスペシャルティーコーヒーショップ
〈テーラードコーヒーブリュワーズ〉のハンドドリップで落とされる
良質なコーヒーと合わせて、テーブルでゆっくりといただきましょう。

プティ・メルヴィーユで8月末まで限定販売の〈ピーチメルバパフェ〉(500円)。大沼にある山川牧場の爽やかなソフトクリームに桃とラズベリーソースがマッチ。テーラードコーヒーのハンドドリップコーヒー(450円)と。

各店のおいしいものを、少しずつおつまみに

自由に入って商品を選べる立派なワインセラーには北海道の小規模ワイナリーから仕入れた希少な品も。ひとつひとつに手書きの商品解説つき。ワイン以外に蔵元直送の日本酒も取り扱う。

夜のお楽しみ、各店のお惣菜を集めて
テーブルで一杯傾けるなら〈酒ブティック越前屋〉の日替わりグラスワインで乾杯を。
北海道や国内のヴァンナチュールを中心に選び抜かれたワインの中には、
函館発、少量生産でなかなかお目にかかれない、
人気の〈農楽蔵〉のワインが並ぶことも。
シエスタキッチンは合わせて11軒の名店が集合。すべてのお店をぐるりと回れば、
気になるフードやおいしいお土産がきっと見つかります。

シエスタキッチンの名店を巡ってお気に入りを集め、テーブル席でカジュアルに楽しんで。