松本〈風林火山〉
松本でも指折りの人気大衆酒場。
名物料理×レモンサワーで
幸せな時間を

地元の人にこよなく愛される酒場はまちの宝もの。
ローカル色豊かなおいしいおつまみや、ご主人とお客さんの雰囲気、店の佇まいなど、
思い出すと心がほんのり温かくなるような店を
“酒場LOVE”な案内人の方々に教えてもらいました。
旅先のソトノミガイドとしてもご活用ください。

全国おすすめ酒場探訪記  長野・松本編
大人女子にも愛される大衆酒場の魅力とは?

今回の目的地は長野県の松本市。
冬の松本は気温こそ低くても雪が少ない印象ですが、
全国的な大寒波襲来で朝から雪が降り続いています。
いつもなら観光客で賑わっている松本駅前もとても静か。
「きょうは上雪(かみゆき)ですね」と、
仕事を終えて合流した案内人の島田浩美さん。
豪雪地帯の北信(長野市など)では降っていないのに、
南岸低気圧等の影響で中信(松本市など)や南信(飯田市など)が
大雪になることを、長野県内では“上雪”と表現するそうです。

国宝・松本城

島田さんは飯綱町(北信)の出身。里山に囲まれて育ったので、国宝・松本城のバックに北アルプスが輝く雄大な光景を初めて見たときの感動はいまでも忘れられないとか。あいにくの天気で北アルプスは望めませんが、このモノトーンの風情もいい感じ。“烏城”という愛称がぴったりの堂々たる姿です。

島田さんは長野市在住のライター・編集者で、
“旅とアート”をテーマにした小さな本屋さん
〈ch.books(チャンネルブックス)〉も営んでいます。
松本で過ごした大学時代に沢木耕太郎さんの『深夜特急』を読み、
その内容に感化されて2年間世界中をひとりで旅して歩いた経験も。
「だから、居酒屋のひとり飲みも大丈夫。2年間の旅で度胸だけはつきました。
もちろん誰かと一緒に行ければベストですが、
仕事後の解放感で飲みたい気持ちには勝てません」

ずいぶん冷えてきたので、早く温まりましょうと、
島田さんが向かったのは松本駅のすぐ目の前。
“今日も一日おつかれ様”と書かれた赤提灯が揺れる、
昭和55年創業のローカル酒場〈風林火山〉です。

〈風林火山〉の入り口の暖簾

オーベルジュ・ロテルド比叡の 山床カフェで 〈夏の発酵サロン〉開催。 近江の発酵食文化が堪能できる!

比叡山に建つオーベルジュ〈星野リゾート ロテルド比叡〉で、
琵琶湖周辺で発展した発酵食文化を取り入れた、アペリティフやかき氷を用意した
〈夏の発酵サロン〉が、2018年6月1日よりスタートします。
注目は、標高650mから琵琶湖を望む“山床カフェ”で、
食前の時間を発酵食を学びながら楽しむことができること。

〈夏の発酵サロン〉では、近江の老舗酒蔵〈冨田酒造〉とコラボレーションした
ロテルド比叡限定のオリジナルのスパークリング日本酒をご用意。
シャンパンと同じように瓶内で二次発酵をさせた日本酒なので、甘酸っぱく爽やか。
澱引き(おりびき・酒中の浮遊物を沈澱させ、澄み部分を抜き出すこと)をしていないため、
よりお米の旨みが感じられるスパークリング日本酒です。

また、比叡山を流れる水は「日枝の霊水」と呼ばれている、
硬度が低くとてもやわらかい水。この水を使った、かき氷も開発しました。
かき氷には冨田酒造の酒粕を使った練乳シロップをあわせます。

そして、酒粕や味噌、お酢やチーズなど滋賀県のそれぞれの地域で生産される発酵食を、
アミューズ・ブーシュ(※口を楽しませるものという意味の軽いおつまみ)にしてご用意。

山床カフェに座り、発酵食が栄えた琵琶湖の絶景を眺めながら、
スパークリング日本酒や、滋賀県産のスパークリングワインとともに、
それぞれの特徴をソムリエの解説と共に食べ比べながら、
発酵テイスティングを楽しむことができます。

料金は、発酵テイスティング、発酵かき氷が各1000円(税・サ込)。
スパークリング日本酒は1350円(税・サ込)。
チェックイン時に要予約となっています。

西和賀の郷土料理「すし漬け」や
ツアーで感じる、
雪がもたらす「発酵パワー」

岩手県の山間部にある西和賀町。
積雪量は県内一、人口約6,000人の小さなまちです。
雪がもたらす西和賀町の魅力あるコンテンツを、
全国へ発信していくためのブランドコンセプト〈ユキノチカラ〉。
西和賀の風景をつくりだし、土地の個性をかたちづくってきた雪を、
しっかりタカラモノとしてアピールしていくプロジェクトです。
今回ご紹介するのは、雪がもたらす発酵文化のひとつ、「すし漬け」。
後半には2月に開催されるユキノチカラツアー2018「雪国の発酵をめぐる旅」の詳細を
お知らせしていますので、どうぞ最後までご覧ください。

魚を麹やご飯などと漬けて発酵させる「すし漬け」は、
西和賀の貴重な冬の動物性タンパク源。

これまでさまざまな「ユキノチカラ」を取り上げてきたが、
伝統的な発酵食の文化は、その中の最たるものではないだろうか。
麹によりデンプン質が糖分に分解されたあと、酵母・乳酸菌によってつくられる発酵食。
雪による低温多湿の気候は、この発酵食づくりに適しているといわれる。

しかも奥羽山系の山々に囲まれた盆地の西和賀の場合は、
一日あるいは四季の寒暖差が大きく、土も豊かで、水も空気もきれい。
今回の「ユキノチカラツアー」にも同行していただく発酵デザイナー・小倉ヒラクさんが、
「発酵に良い環境」として挙げている条件を、すべて網羅している。
西和賀の発酵文化が、今も脈々と受け継がれているゆえんだ。

近年ブームの甘酒は、アミノ酸たっぷりの発酵飲料。

そんな西和賀の代表的な発酵食が、「すし漬け」。
魚を貯蔵するためにご飯や麹、塩などと一緒に漬けて発酵させた保存食で、
西和賀の郷土料理でもある。
日本各地に伝わっている「なれずし」「飯ずし(いずし/いいずし)」と同じような料理、
といえばイメージできる人もいるだろう。
発酵により醸し出される、甘みと酸味が複雑に入り交じったその味わいは、
のどを通過しても口中に余韻が残るほど、力強い。
それだけに、好き嫌いの個人差も大きいという。

山に囲まれた西和賀の人々は、昔から隣の秋田県から魚を仕入れ、
冬の貴重な動物性タンパク源として「すし漬け」をつくり、食べていた。
この料理で岩手県の「食の匠」に認定された湯田地区出身・在住の高橋節子さんも、
母親がつくっていたことを鮮明に覚えている。
「子どもの頃、11月になると両親と一緒に隣の横手市にハタハタを買いに行ったものです。
母親はハタハタをすし漬けのほか、麹漬け、塩漬け、米ぬか漬けにしていました。
その頃はすし漬けが苦手で食べなかったですけど、
塩漬けのハタハタを焼いたものは好きで、毎朝食べていましたね」

「すし漬け」で岩手県の食の匠に認定された高橋節子さん。自宅の冷蔵庫には、塩を加えてつくる「塩麹」と、砂糖を加えてつくる「甘麹」の2種類を常備したり、もち米のおかゆに麹を加えて甘酒をつくったりと、発酵食の達人でもある。

そんな高橋さんがすし漬けを食べるようになったのは、嫁いでから。
お姑さんがつくるすし漬けがおいしく、開眼したそうだ。
ただし、魚はハタハタではなくホッケ。
昔はどの家庭でもすし漬けにはハタハタを使っていたが、
高橋さんが嫁いだ頃からハタハタが不漁で値段が高くなったため、
高橋家ではホッケなどほかの魚で代用するようになっていた。
「以来、私もホッケのすし漬けをつくるようになりました。
ほかに、サケ、イカ、生ニシン、身欠きニシン、サンマでもつくります。
ホッケを漬ける時にはカブも一緒に入れますが、
サケの時は赤カブ、イカの時はキャベツと、魚と相性の良い野菜を使います。
すし漬けは家庭料理なので、使う魚も野菜もつくり方も家によってさまざまですよ」

「食の匠」である高橋さんのすし漬けの主なポイントは3つ。
ひとつは、下漬けする時に酢を多めに使い、魚の生臭みを消すこと。
高橋さん自身が、魚の生臭さが苦手だからだという。
ふたつめは、材料を順序よく重ねて漬けること。
ホッケの場合、カブのほかに人参やフノリも使い、
それらを順番に重ねることで彩り良く仕上がる。
これは実家のお母さんから受け継いだやり方だ。
3つめもお母さん譲りで、衛生上の理由から、笹の葉を使うこと。
盛りつけた時も、笹の葉の緑で、見た目がいっそう美しくなる。

絶景の宿〈里山十帖〉の かまくらでお茶会を開催! 亭主に好日居の横山晴美さん ら登場

2018年2月22日(木)、新潟県南魚沼市にある温泉宿〈里山十帖〉にて
〈雪中 中国茶会〉が開催されます。
お茶会の舞台は、なんと巨大かまくらのなか!

こちらのお茶会、昨年は亭主に漆師の赤木明登さんを迎えて開催されたそう。
今年は亭主に京都〈喫茶 好日居〉の横山晴美さん、
ゲスト茶人に陶芸家の市川孝さん、
和菓子をつくる方に〈御菓子丸〉の杉山早陽子さんを迎えて開催されます。

喫茶 好日居は、リノベーションした町家で
おいしい中国茶とゆったり流れるときを提供しているお店。
今回はそんな贅沢な時間を味わってもらいたいと、
一席目は庭に設えた巨大かまくらで、二席目は館内の暖かい空間にて
開催されます。これは楽しみですね!

お茶会には宿泊プランで参加できるそう。
詳細は予約ページ「雪中茶会 2018・今年は中国茶会!」から。
(残席わずかとなっています。客室タイプを選択の上、空室をご確認ください)

また、本イベントでは先着10名で日帰り参加も受けつけています。
日帰り参加費は夕食つきで1名2万5000円。新潟県在住、在勤の方は1万3000円。(税込)
日中の喫茶のみの参加をご希望の方は2席セットで1名3000円です。(税込)
詳細・お申し込みはFacebookのイベントページから。
ご不明点は、お電話でお問い合わせください。

里山十帖で体験できる十の物語とは?

里山十帖は築150年の古民家をはじめとする5つの建物から成り、
13の客室〈HOTEL 自遊人〉のほか、レストラン〈早苗饗 −SANABURI−〉と
ライフスタイルショップ〈THEMA〉を併設しています。

とろとろのお湯が自慢の温泉〈湯処 天の川〉。あえて屋根をかけていない露天風呂から上を見上げれば、そこには満天の星空が。天気のよい日は頭上にくっきりと天の川を眺めることができるのだとか!正面には日本百名山、巻機山(まきはたやま)が見えます。

里山十帖の“十帖”とは、地産地消の郷土食文化に料理人のエッセンスが加わった「食」、
デザインの力によって生まれ変わった古民家での暮らし「住」、
豊かな自然環境と露天風呂による「癒」、
南魚沼産コシヒカリを育てる農作業体験「農」、
美術大学との産学協同でリノベーションに取り組む「芸」、
そして「衣」「遊」「環境」「健康」「集う」という十のテーマ。
ただ泊まってもらうだけではなく、さまざまな機会を用意しているんです。

〈BEAMS EYE on BEPPU〉 青柳文子らが別府をゆく旅行記 『まるで湯けむり』を無料配布!

大分県別府市とビームスによるコラボ
〈BEAMS EYE on BEPPU〉第2弾!

まちのあちこちから湯けむりが立ちのぼるまち、別府。
鶴見岳の山頂から眼下をのぞめば、四国を望む別府湾と、
湯けむりが立つ温泉街が見渡せます。

そんな別府を、モデルで女優の青柳文子さんと
シャムキャッツのヴォーカル、夏目知幸さん、
〈鉄割アルバトロスケット〉を主宰する劇作家で俳優の戌井昭人さん、
写真家の斎藤陽道さん、田附勝さん、清水はるみさんが旅して旅行記をつくりました。

2018年2月7日(水)より、その旅行記を載せたフリーマガジン
『まるで湯けむり』の配布がスタートします。

さらに2018年2月7日(水)〜3月6日(火)は、
新宿のビームスジャパン1階で開催される〈BEAMS EYE on BEPPU〉にて
フリーマガジン『まるで湯けむり』と別府の〈あたらしいみやげもの〉をお披露目! 
同マガジンが無料配布され、掲載された写真も展示されます。

〈BEAMS EYE on BEPPU〉は、
大分県別府市とビームスによるコラボレーションプロジェクト。
2016年にビームス店内で実施され話題を呼んだ〈ビームスの足湯〉に続く第2弾企画です。

この企画で生まれた〈あたらしいみやげもの〉とは?

〈あたらしいみやげもの〉は、昨年の公募で集まった別府の16の事業者と
ビームスジャパンのバイヤーが約3か月の制作期間を経て開発したもの。
長きにわたって支持され、これからの “別府のスタンダード” になりうる
プロダクトを目指したといいます。

別府に本社をおくコーヒー関連機器の総合メーカー〈山陽産業〉と手がけたコーヒードリップセット。地元の伝統工芸「竹細工」を使用しています。

〈竹工房オンセ〉とつくった入れ子式の竹籠。江戸時代から伝わる花籠「四海波」から発想を得たのだとか(写真では籠を入れ子にしています)。

このプロジェクトで開発された商品は、上の写真のほかにもたくさん。
商品は本イベントの会場で販売されるほか、別府市内でも販売が予定されています。

〈BED AND CRAFT taë〉
富山県井波で外国人を引き寄せる
古民家ゲストハウス

富山県南砺市に、木彫刻家が200人以上も暮らす井波というまちがある。
全体の人口が8000人近く(合併前の旧井波地区)と考えると、
人口40人にひとりが彫刻家というユニークな地域だ。
その井波で新たに、宿泊しながら木彫刻や漆塗りなどの
伝統工芸を体験できる古民家ゲストハウス〈BnC taë(たえ)〉
(BnCはBED AND CRAFTの意)がオープンした。

豪農の旧家をリノベーションした宿泊施設

〈BED AND CRAFT〉 とはBed(宿泊)だけではなく、
地元職人の工房でクラフト(Craft)づくりを体験できる旅の仕組み。
現在までに同様のコンセプトで〈BnC KIRAKU-KAN〉、
〈BnC TATEGU-YA〉と2軒のゲストハウスが井波にオープンしており、
2015年のオープン以来、すでに1000人泊を達成。
2017年12月にオープンしたBnC taëは3軒目となる。

BnC taëは井波の中心地で、浄土真宗の名刹である
瑞泉寺(ずいせんじ)の門前町に位置し、
路地に面した豪農・藤澤家の旧家をリノベーションした宿泊施設だ。

間取りは1LDKプラスロフトで、こぢんまりしたサイズの建物ながら、
中に入ると開口部が多く、リビングもロフトと吹き抜けでつながっていて、
天井にもトップライトが切り取られているため、
外観から受ける印象以上に室内は明るく広く感じる。

〈BnC taë〉のリビングで楽しめる石垣の借景。

リビングには隣接した寺院の石垣を借景に取り入れた窓が切り取られていたり、
玄関からは京町屋の走り庭を思わせる土間が伸びていたりと、
設計に遊び心があって飽きがこない。
地方に長期滞在して、田舎暮らしを体験したい人にも最適な空間だ。

BnC taëの和室。玄関から続く土間に面している。

このゲストハウスでは新たな試みとして、マイギャラリー制度を導入している。
マイギャラリー制度とは、ゲストハウスそのものが
専属作家の作品発表の場となっており、
宿泊料の一部が作品レンタル料として作家に還元される仕組み。
展示作品の買い取りも可能で、専属作家の工房でクラフト体験もできる。

BnC taëに関してはリノベーションの段階から、
専属作家で地元の漆芸家の田中早苗さんが深く関わっている。
BnC taëの設計を手掛けた建築家の山川智嗣さんによれば、
田中さんの作品に干渉するような家電を押し入れに隠すなど、
限られたスペース内で設計上の工夫を随所に散りばめたという。

リビングにある椅子に座りながらふと天井を見上げると、
吹き抜けの大空間に古木の太い梁が架け渡されていて、
薄い和紙に朱の漆を吸わせたインスタレーションが、
内気の対流で優しく揺れている様子が見て取れた。

BnC taëの専属作家、漆芸家の田中早苗さんの作品。

星野リゾートより女性のための 〈おひとり日帰り湯治プラン〉 誕生。軽井沢でリフレッシュ!

自然の中でリフレッシュしたいけど、
計画する時間も、さらには一泊する時間もなくて……。

そんな悩みをもつ女性のための日帰りプラン〈おひとり日帰り湯治プラン〉が、
星野リゾートが運営する日帰り商業施設〈軽井沢星野エリア〉から登場。
2018年1月27日(土)~3月31日(土)の期間限定で実施されます。

プランに含まれるのは、温泉、ランチ、タイ古式マッサージ。
滞在時間の目安は約5時間30分、開始時間は11:00~13:00で応相談。
朝東京を出ても18時には東京駅に戻ってこれるような、
絶妙な時間帯のプランになっています。

ランチでは、カマンベールチーズと半熟卵、ジェノベーゼ、トマト、
3種類の味を1枚で味わえるピザが楽しめます。
周りを気にせず食事ができるよう、レストラン内の静かで落ち着いた席が用意されます。
暖炉がある、軽井沢の別荘のような空間です。

ランチが済んだら散策へ。軽井沢星野エリアでは、清流沿いの遊歩道や、
軽井沢野鳥の森、浅間山の雄姿が見えるスポットを、のんびりと散策できます。

PAPERSKY 〈ツール・ド・ニッポン in 浜松〉 まちの魅力をつくる人 に会いにいこう!

春が待ちきれない、早く外で遊びたいという方へ、素敵なイベントのお知らせです。
2018年3月24日(土)・25日(日)、
トラベルライフスタイル誌『PAPERSKY ペーパースカイ』が主宰する
〈Tour de Nippon ツール・ド・ニッポン〉が静岡県の浜松で開催されます。

ツール・ド・ニッポンは、自転車で各地をめぐり、日本の魅力を再発見するプロジェクト。
その醍醐味は、まちの魅力をつくり出す人と出会えること。
自然がうつくしい場所はもちろん、文化的スポットやおいしいお店なども巡り、
魅力的な人たちに会いにいきます。

これまでに開催されたツール・ド・ニッポンのようす

浜松は音楽、ものづくり、そして祭りのまち。
時代とともにさまざまなカルチャーを生み出してきました。
それでは、さっそく今回の旅のルートをご紹介していきましょう。

3月24日(土)は、「浜松まつり」伝統の凧揚げ合戦に挑戦します。
なんと、空の上で大凧を戦わせるのだそう。
その後は、浜松出身の写真家・若木信吾さんによるポートレート撮影会。
これは、またとない機会になりそうです。

写真家の若木信吾さん (c) Yoichi Nakamura, PAPERSKY

天童〈宝(たから)〉
行きたくても行けない超人気酒場で
山形ローカルなつまみを
焼酎のロックで

地元の人にこよなく愛される酒場はまちの宝もの。
ローカル色豊かなおいしいおつまみや、ご主人とお客さんの雰囲気、店の佇まいなど、
思い出すと心がほんのり温かくなるような店を
“酒場LOVE”な案内人の方々に教えてもらいました。
旅先のソトノミガイドとしてもご活用ください。

旅の醍醐味はローカル酒場!
全国おすすめ酒場探訪記  山形・天童編
将棋のまちで噂の酒場が愛され続ける理由とは?

山形県天童市は美しい姿の舞鶴山の麓に広がる、
織田信長の末裔が治めた天童織田藩の小さな城下町です。
将棋の駒づくりも下級武士の内職として始まったとか。
約100万セットが出荷された最盛期には及ばないものの、
いまでも国内生産の9割以上を占めており、
藤井聡太四段の活躍や、羽生善治竜王の永世七冠達成でいま再び将棋ブームの追い風が!
明治10年創業の高級駒製造元〈中島清吉商店〉でも、
一時は在庫がすべて売り切れてしまったそうです。

駒を手彫りする様子

40枚ワンセットの駒を手彫りするには根気と集中力が必要。「木地師(きじし)」「書き師」「彫り師」「盛り上げ師」などの職人さんは70代が中心。「お客さまをお待たせするのは心苦しいのですが」と4代目店主の中島正晴さん。伝統的工芸品でもある手づくりの駒はすぐに量産できるものではないのです。

柘植(つげ)を使った将棋駒セット

こちらは御蔵島産の柘植(つげ)を使った最高級品でお値段は60万円。木目の美しさにも注目を。安土桃山時代から時の権力者に愛されてきた書体・水無瀬(みなせ)を漆で盛り上げた“盛り上げ駒”は、まさに小さな芸術品です。

今回の案内人、イラストレーターの青山タルトさんも、
“中島さんち”のすぐ近所で漆の香りに包まれて育ちました。

「私が幼い頃は、道端のあちこちで駒を乾かす光景が見られ、
いかにも将棋の里らしい風情がありましたね。
ウチは和菓子屋だったので、アイデアマンの父が考えた
〈将棋もろこし(将棋の駒の形をした落雁のようなお菓子)〉が
評判になったのも懐かしい思い出です」

それだけに、職人の高齢化が進む「将棋の里」に、
とりあえず活気が戻ったのは素直にうれしいと、青山さん。
できればこの機会に天童をもっと知ってもらえればと思うそうです。

そこで紹介してくれたのが、きょうのローカル酒場〈宝〉。
昼間だと通り過ぎてしまうほどさりげない店構えですが、
青山さんがずっと気になっていた地元で噂の人気店です。

ローカル酒場〈宝〉の看板

故郷の酒場で旧交を温める

青山タルトさんと今村勝廣さん

東京在住の青山さん(左)が〈宝〉に呼んだのは、お店の常連で弟の親友・今村勝廣さん(右)。今村さんは仲間で神輿の会を立ち上げ、3年越しの交渉で建勲神社(祭神は織田信長公)への奉納にこぎつけた「熱い男」。青山さんとは昔からの仲で、地元ネタにも詳しい頼れる助っ人ですが、ふたりで飲むのはきょうが初めて。まずは再会を祝してスパークリング清酒で乾杯。メニュー選びに迷う青山さんに「ここに来たら魚を頼まなきゃ」と今村さんがさっそくアドバイス。

小雪が舞う外の通りには人影が見当たらないのに、
〈宝〉に一歩入ると50人は入るという奥の宴会場まで満杯。
人は多くてもなごやかで、和気藹々という言葉がぴったりです。

「僕も飲み会の日程が決まると、まずは〈宝〉に電話をかける。
子どもの親同士やクラス会、神輿の会、どんな集まりでもね。
予約が取れればみんな大喜び、ラッキーという感じ。
ふらりと寄りたくても早い時間はほぼ満席。
一度座ると居心地が良いから席がなかなか空かないし。
地元の僕でも行きたいのになかなか行けない店なんです」(今村さん)

「噂には聞いていたけどこの賑わいは想像以上。
お客さんがみんな笑顔なのもいいわね。
私は地元で飲む機会がないので、わくわくします。
それにしても、こんなに人気があるのはなぜ?」(青山さん)
料理が来ればわかるからと、今村さんは余裕の表情です。

本マグロのネギトロとあん肝

最初に登場したのは本マグロのネギトロとあん肝でどちらも650円。あん肝には山形県民偏愛の食用菊、通称“もって菊”がさりげなく添えられています。「菊は見るものではなく食べるもの」とふたりが口を揃えるように、しゃっきり繊細な食感がたまりません。

刺身盛合せ

今村さんイチオシの刺身盛合せはこのボリュームで1人前650円。きょうは本マグロ、サーモン、黒ソイの昆布締め、タコ、シメサバ、ヒラメのエンガワというラインナップ。ちなみに突き出しは、村山地方(山形市、天童市など)を代表する漬物・青菜(せいさい)漬けを塩抜きして炒め煮した、くきな煮。ふたりにはおなじみの家庭料理です。

ネギトロを食す青山さん

青山さんのこの表情!

ロックを飲む今村さん

喜ぶ青山さんを見て満足気な今村さん。お目当ての刺身と一緒に焼酎ロックも進みます。

「天童は内陸でも温泉街があるので
いい魚や食材が市場に集まると聞いてはいたけれど、
ここはおいしいだけじゃなくて、とても良心的なのね」(青山さん)

「まだ先代のオヤジさんが元気だった頃、
飲み放題コースなのに500円返してくれたことがあったんだよ。
もともとの値段自体が十分安いのに、そんなにもらうほど飲んでないだろうと言って。
いまの大将もオヤジさんのやり方をそばで見てきたから、
できるだけいいものを安く出したいとがんばっている。
地元の客はそれをちゃんとわかっていると思いますよ」(今村さん)

魚をさばく細谷敏也さん

ご主人の細谷敏也さんは天童の西隣にある寒河江市出身。〈宝〉は約40年前にお父さんが始めた店で、店名は出身地区名から。約70席が予約で連日埋まると毎朝の仕入れや仕込みも大変そうですが「仕入れの前に〈ゆぴあ〉(市内の温泉施設)に寄ることもありますよ」。どうりで敏也さんの肌はツヤツヤ。天童は県内でも降雪量が少なく、人柄も“開けている”ので、住み心地も上々だそうです。

山形県民のソウルフードとも呼べる芋煮は、
里芋と天然キノコがおいしい“芋煮シーズン”の秋だけ。
その代わりに夏には隣町・河北町の名物冷たい肉そばや、
おいしいと評判の地元産枝豆を。
寒さが厳しい時期は、庄内地方のどんがら汁を熱々でいただきます。
ご主人から料理の説明を聞いていると、
お客さんがいま求めているものを提供したいという強い思いを感じます。

「それはやはりオヤジの影響でしょう。
一緒に板場に立っていたときはわからなかったけど、
厳しく仕込まれたことが、全部あとで役に立っている。
やはりオヤジはすごいなと亡くなってから気がつきました」

5年前に店の敷地を広げたときも、先代と常連さんへの感謝の意を込めて、
カウンター周りはあえて元の店の状態で残しています。

女将の細谷絵理子さん

山形名物のだしは冷奴にかける、刺身に添えるなど一年中大活躍。このだしづくりが女将の細谷絵理子さんの担当で、毎日タライ1杯分のナスやキュウリを刻み続けるんだとか。大変な重労働に思えても「主人が包丁を毎晩研いでくれるので大丈夫」。フードプロセッサーは使わないというのがこだわりです。

そしてご主人の料理のいちばんのファンは、女将の絵理子さんかもしれません。
同じ高校出身の人がやっているおいしい店が天童にある。
そう聞いて〈宝〉に行ったのがご主人との出会いのきっかけ。

「まさか自分が居酒屋の女将になるとは。
いま思えば、彼の料理がおいしかったのが結婚の決め手だったのかも。
それは冗談だとしても、やはりお客さまに運ぶ料理が、
間違いなく喜ばれるとわかっているのは安心できますね。
さあ、行ってらっしゃい、という感じです」

家は? 仕事は?
現地の人に聞く
「島で暮らす、働く」ということ。
移住体験ツアーで長崎・五島列島へ

福岡からおよそ45分で、祈りの島・五島列島へ

「島暮らし」。なんてわくわくする言葉だろうか。
よくよく考えれば私たちは日本という島国で暮らしているのだけど、
ここでは「離島暮らし」について。

毎日満員電車に揺られ、あくせく働き、気づけば季節が巡っている。
「都会での生活を捨てて、自然豊かな島で暮らせたら」
そんな想いを巡らせたことのある人も少なからずいるだろう。
でも実際にそこで暮らすと考えると、仕事はあるのか、
どんな生活になるのか、気になることだらけ。

そうであれば、実際に現地の人に話を聞けばいい。
九州の最西端の島々である長崎県五島列島にて
2017年10月27日〜29日に開催された
「長崎のしまで暮らそう!働こう!移住体験ツアー」。
ツアーは島の職場見学から先輩移住者との交流、住まいの見学など
実際に五島列島で暮らすならどんな生活なのかを体験できる内容となっており、
島暮らしに興味を持つ20〜40代の関東在住の男女が参加した。

五島列島は長崎市の西方約100キロに位置する五島市福江島と、
150あまりの島々がある。
五島市、新上五島町、小値賀町の3つの市町と佐世保市、西海市の離島からなり、
合わせて約6万人が暮らしている。
海と山とが織りなす美しい景観により、一部が西海国立公園に指定され、
ダイナミックな自然を楽しむことができる。

また、五島列島は潜伏キリシタンの島としても知られている。
16世紀にキリスト教が日本に伝えられ、長崎は信仰の中心地となったが、
豊臣秀吉による禁教令が出され、キリシタンへの迫害が始まった。
その後、18世紀後半には約3,000名の潜伏キリシタンが
仏教徒を装って五島列島へと移り住んだ歴史があり、
現在も島のあちこちで美しい教会を目にすることができる。
その歴史を語る「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、
世界遺産候補となっている。

地元民から「かわいい」と愛されているプロペラ機。五島市の福江島にある五島つばき空港へは、福岡空港と長崎空港からアクセス可能。

福岡空港からプロペラ機に乗って45分、
あっという間に五島市の五島つばき空港に到着。
10時前に羽田空港を出発したばかりなのに、まだ13時。
離島って案外近いもんだなあ、なんて思いながら、
〈五島コンカナ王国 ワイナリー&リゾート〉の視察へ向かう。

滞在型リゾートである〈コンカナ王国〉には、宿泊施設だけでなく
レストラン、陶芸館、椿油を使用したエステ、鬼岳温泉、五島ワイナリーなどが揃う。
なかでも気になるのは、2014年からスタートしたという
長崎初のワイナリーである〈五島ワイナリー〉。
ブドウの栽培から醸造までを手がけており、コンカナ王国の敷地内で育った
ブドウを使用した純“王国産”のワインが楽しめる。2016年には3万本を出荷した。

8月に収穫を終えたブドウ畑。うかがった前週の大型台風によって、この畑まで潮をかぶったそう。キャンベル・アーリー、ナイアガラ、マスカット・ベリーAを育てている。

軽やかな味わいの五島ワイン。ワインの製造に携わる移住者も募集中だ。

次の訪問先へ向かう間に、福江島のシンボルである鬼岳へ寄り道。天文台もあり、晴れた夜には満天の星空が頭上に広がるという。毎年ゴールデンウィークには凧揚げ大会が催され、名物である五島ばらもん凧が空に舞う。

小豆島〈ゲストハウス KAINAN〉 廃業したホテルを 瀬戸内国際芸術祭の 拠点となるゲストハウスに!

瀬戸内海の小豆島で、廃業したホテル〈海南荘〉を改装し、
アートの拠点となるゲストハウスにしようというプロジェクトが進んでいます。
ゲストハウスの名は旧ホテルにちなみ、〈ゲストハウス KAINAN〉。
いま、2018年4月のオープンを目指し、クラウドファンディングが実施されています。

プロジェクトの代表は、高松市出身で
〈BOOK MARÜTE ブックマルテ〉代表の小笠原哲也さん。
小笠原さんは同市で〈古道具MARÜE〉〈ゲストハウスまどか〉、
台湾で〈緑光+marute〉も運営されています。

左から代表の小笠原哲也さん、大野顕司さん、高田陸さん、箱崎菜海さん

小豆島といえば現代アートの祭典〈瀬戸内国際芸術祭〉の舞台。
ゲストハウス KAINANではアーティスト・イン・レジデンスや
ブックカフェ、交流スペースを併設し、
島の人とアーティスト、ゲストが交流できるような場をつくっていきたいのだとか。
これは楽しくなりそう!

小豆島へは、香川県の高松港からフェリーで約1時間。

1年を通じて暖かく、島の約7割を占める山間部には数々の絶景スポットが点在し、
真っ白な砂浜のある海ではマリンスポーツも楽しめます。
小豆島の暮らしは、〈HOMEMAKERS〉の三村ひかりさんによるコロカルでの連載、
小豆島日記でもおなじみです。

豊かな食文化も小豆島の魅力のひとつ。豊富な海の幸に山の幸、400年の伝統を有する醤油や手延べ素麺などがあります。また、日本で初めてオリーブの栽培に成功した島としても知られています。

ホテルから砂浜までは、歩いて5分。
客室からはうつくしいオーシャンビューがのぞめます。

ゲストハウスをつくる理由は、遠方からの旅行者や芸術祭を訪れる
アーティストが多いにも関わらず、島内の宿泊施設が不足しているから。

「長く滞在できる場所をつくることで、小豆島を満喫してほしい。
そして、自然ともアートとも触れ合える、ここでしか感じられない空気をゆっくり感じてほしい」
というのが小笠原さんたちの願いなのです。

京都〈日日/冬夏〉隠れ家のような ティールームで味わう、 本物のカカオと悠久のとき

京都御所の東に建つ、築90年を超える日本家屋にあるギャラリー〈日日(にちにち)〉。
そのなかに、まるで隠れ家のようなティールームがあります。

名前は〈冬夏(とうか)〉。
「冬夏青青 とうかせいせい」という、冬も夏も青々としている松の木に、
枯れない志を重ねた孔子の言葉にちなんでいるのだとか。

オーナーはドイツ出身のエルマー・ヴァインマイヤーさんと、奥さまの奥村文絵さん。
職人の手仕事を紹介する仕事はもう20年ほど続けてこられましたが、
ティールームは2015年にオープンしたばかり。
フードディレクターとしても活躍する奥村さんの経験を生かして、
本当においしいお茶とお菓子を提供しています。
(奥村さんのフードディレクションのお仕事についてはこちらから)

御苑の樹々のあいだを歩き、東側の門をぬけたら、日日/冬夏はもうすぐ。

門をくぐり戸を開けると土間があり、廊下の向こうにはギャラリーと
グローサリーを置いているスペースがあります。
ティールームは玄関を入って直ぐ左手。
何も知らなければ、気づかずに通り過ぎてしまうかもしれません。
なかには大きな栃の木のカウンターがあり、低くつくられた窓から庭の緑が見えます。

席は6つのみ。お茶とカカオまたは京都の職人さんがつくる朝生菓子のセット(1500円〜)などがいただけます。

お茶を頼むと、お店の方が目の前で時間をかけていれてくださいます。
慌ただしい時間と隔絶された空間にいると、そのときまで贅沢に感じられるよう。 

ときには、〈日日〉の展示作品が〈冬夏〉の壁を飾ることも。こちらは2017年10月に行われた〈ART BOOKS〉展の開催期間中に展示されていたアレクサ・デアさんの作品。

そのお茶をひと口飲むと、ここちよい苦みがすっと身体に染み込み、
背筋が伸びるような気がします。
こちらで出しているのは、無農薬特別栽培の茶葉を使った冬夏オリジナルのお茶。
滋賀県朝宮などの生産者から仕入れたお茶を、
それぞれの茶葉のおいしさを最大限に生かす湯加減と蒸らし方でいれてくださいます。

「茶づくりは“共存共栄”。農薬を撒かない畑では、猪や鹿が新芽を食べ、
カマキリや蜘蛛が巣を張り、様々な生き物の営みと共にある。
クローバーが茶畑を外敵から守り、てんとう虫が天敵を探して盛んに動き回る。
土は生き生きと茶の根を受け入れ、その恵みの先に茶を喫む私たちがいる。
自然の循環の中で育つ茶の木はおどろくような生命力に溢れている」
(冬夏のリーフレットより)

冬夏では何度も生産者のもとへ通い、品種や畑、収穫年や栽培環境を学びながらオリジナルのお茶をつくっています。

まさに走る料亭! 〈レストランバス〉が 冬の京都に登場。 期間限定運行が決定

レストランバスがいよいよ、京都を期間限定運行します。
期間は、2018年1月26日(金)から2月24日(土)まで。
(※運行日は記事の最後に掲載)

レストランバスとは、バスからの眺めと食を同時に楽しめるバスツアー。
2016年より新潟、北海道、東京、熊本、沖縄などを運行し、
農園で採取したとれたての野菜を味わう料理など、その土地ならではの食を提供してきました。

京都バージョンのレストランバスは、和風のイラストで全面をラッピング。
内装は老舗料亭を意識し、本物の石を使用した階段をつくったのだとか。

レストランバスの醍醐味は、2階建てバスの上階から見る景色です。
屋根はオープンルーフとなっており、寒い日や雨の日でも開放感が楽しめるよう、
ポリカカーボネート製の開閉式ルーフ構造になっています。
日差しの強い日はロールスクリーンで遮ることも可能だそう。

座席は、テーブルをはさんだ対面式。
これなら、ゆっくり食事が楽しめそうです。

〈四季十楽〉 京町家ホテルに菓子屋ここのつ、 冷水希三子、花屋みたての おもてなしプランが登場!

京都御所西に、築100年近い長屋をリノベーションした
十の舎(いえ)からなるホテル〈四季十楽〉があります。

「十の舎からなる」とうたう所以は、1棟貸しの客室が十あるから。
すべての客室に1階と2階があり、どの部屋もひとつとして似ていません。
こんな町家に泊まれるなんてうれしいですね。

門扉とサロンを手がけたのは、パリを拠点に国内外で活躍する建築家、田根剛さん。Photo:Yuna Yagi

Photo:Taisuke Koyama

京町家をそのまま生かした空間になっている1号室。2階からは緑の庭や路地の景色が楽しめます。床の間にあるのは、写真家の小山泰介さんの作品。Photo:Taisuke Koyama

6号室、2階のベッドルーム。照明とエスニックなラグ、アンティーク家具のコーヒーテーブルセットを配したモダンなお部屋です。Photo:Yuna Yagi

こちらでは2016年のオープン以来、さまざまなおもてなしを提供してきました。
ユニークなのは10人の才人による京の時間、京の心を体験するための
十のおもてなしプログラム「十楽」。
おもてなしを提供するのは、次の10人です。

一、味楽 冷水希三子(料理家)

二、美楽 小山泰介(写真家)

三、花楽 西山隼人(花屋みたて主人)

四、匠楽 田根剛(建築家)

五、室楽 小林和人(Roundabout店主)

六、画楽 高岡一弥(アートディレクター)

七、庭楽 西畠清順(そら植物園代表・プラントハンター)

八、身楽 手島渚(WHOLE TREAT SPA Inst. 代表、セラピスト)

九、装楽 野村春花(染士)

十、読楽 光村推古書院

ご存じの名前を見つけた方もいるのでは? そんな四季十楽が、
今年の冬から来春にかけて花屋〈みたて〉、料理家の冷水希三子(ひやみずきみこ)さん、
〈菓子屋ここのつ〉による特別なおもてなしプランを用意しているよう。

菓子屋ここのつによる秋のお茶菓子「柿バタもなか」。ここのつのお菓子は、宿泊のお客さん全員に提供されます。

北海道〈八雲町木彫り熊資料館〉 お土産の定番だった、 木彫り熊が大集結!その歴史を知る

あの、熊の木彫りを集めた資料館

大木を割っただけのような熊、スキーに乗った小さく愛らしい熊、
丸みがあってお地蔵さんのようなたたずまいの熊。
昔はよく親戚の家に置かれていた、北海道土産の代表的な〈木彫り熊〉のイメージは
鮭をくわえた熊の姿。でも、実はその形や表現は幅広く、
ここ数年は北海道オリジナルの工芸品として再評価され、注目を集めています。

道南の八雲町にある〈八雲町木彫り熊資料館〉は、
お土産品から芸術作品までさまざまな木彫り熊をまとめて見られる、
道内でも唯一の施設。その誕生にまつわるエピソードとともに、
八雲独自の木彫り熊文化にもふれることができます。

茂木多喜治の親子熊。(写真提供:八雲町木彫り熊資料館)

渡島半島の北にある八雲町の市街地には、函館から車で1時間半ほど。
2014年にオープンした木彫り熊資料館の入り口では、
立派な木彫り熊が出迎えてくれます。
2階の展示室には八雲でつくり続けられてきたさまざまな作家の木彫り熊を中心に、
旭川など道内から集められた個性豊かな作品が、
時代を追って解説とともに並べられています。

特に見ておきたいのが、八雲で初めてつくられた木彫り熊と、
そのモデルとなったスイスの木彫り熊の2体。
八雲の熊がスイスの熊をよく真似てつくられていることがわかるはず。

1924年、八雲で初めてつくられた木彫り熊(左)と、スイスから持ち込まれた木彫り熊(右)。現在の木彫り熊から見ると長さ10センチ程度と意外な小ささ。道具のなかった時代、八雲の熊は目がクギで、毛並みはコウモリ傘の骨を研いだもので彫られたそう。(管理:八雲産業株式会社)

八雲に込められた歴史

スイスの木彫り熊をお手本につくられた第1号の木彫り熊の作者は、
芸術家ではなく、八雲に暮らす酪農家の伊藤政雄さんでした。
そもそも、木彫り熊をスイスから導入したのは、
尾張徳川家十九代、徳川義親(よしちか)公。
尾張徳川家は、十七代慶勝公が主導し、
明治維新を機に職を失った旧尾張藩士族の新天地として、1878年から
八雲町の遊楽部(ユーラップ)へ入植させ、八雲地域の開拓にあたります。

尾張徳川家19代目 徳川義親公は文化や芸術に明るくより良くするための注文をつけることもあったそう。農民たちに制作を奨めるため、自らもお盆に彫刻をしていたと伝えられています。

人々の貧しさを憂いた義親公は1922年、
ヨーロッパ旅行中に立ち寄ったスイスで
ペザントアート(農村美術、いわゆる民芸品)に触れ、
持ち帰って八雲の農民たちに見せ、
冬季間の副業として家庭での民芸品づくりを奨励しました。
スイスの木彫り熊はその中のひとつです。
続く1924年、八雲を中心とし、全国からも参考品として各地の民芸品が出品された
〈八雲農村美術工芸品評会〉が開催され、木彫り熊が出品されます。

日光で楽しむシャワーウォーク!
Uターンという道を選んだ
アウトドアガイドと歩く

山、森、清流、湖がそろうフィールド

紅葉の隙間からやわらかな光が降り注ぐなか、
川の中を上流に向かってじゃぶじゃぶと歩く。
肌に当たる水はひんやりと冷たく、日に日に秋が深まっていることを教えてくれる。

なだらかな一枚岩の川床が続く、霧降川の「床滑」。水の流れに逆らって上っていくのが楽しい。

「ここの川底は大きな一枚岩になっていて、
シャワーウォークにぴったりの場所なんですよ」
「冷たくないですか? こっちのほうが比較的浅くて、歩きやすいですよ」

前を歩くふたりが、こちらの様子をいちいち気にしながら声をかけてくれる。

「夏にここを歩くのも気持ちよさそうですね」と言うと、
「だけど夏は歩くだけでも汗をかくから、膝下だけ水に浸るシャワーウォークより、
全身ずぶ濡れになるキャニオニングのほうが断然おすすめですよ」とのこと。
シャワーウォークは紅葉シーズン限定の、贅沢なアクティビティなのだ。

川の中でも滑りにくい、沢登り用のシューズを着用。

「これからの季節だと1月下旬くらいから、
雲竜渓谷のスノートレッキングがイチオシですよ。
滝や渓谷が凍って、巨大なつららができるのですが、
その年によって形が全然違うんです。

それと、スノーシューという西洋“かんじき”を履いて奥日光を歩く、
スノーシューツアーもおすすめですね。
本州の北海道と言われていて、サラッサラのパウダースノーの上を
歩くことができるんです。奥日光の温泉とセットで楽しむと最高ですよ!」

厳冬の日光の自然を体験できる雲竜渓谷でのスノートレッキングは、NAOCのトレッキングツアーで一番人気。(写真提供:NAOC)

奥日光は、本州ではなかなかない極上のパウダースノースポット。スキーより手軽に楽しめるスノーシューツアーも人気。(写真提供:NAOC)

八雲町の秘湯〈温泉旅館 銀婚湯〉 源泉かけ流し、5つの露天風呂で 楽しい湯めぐり。

森のなかに佇む、静かな温泉旅館

濃い緑の木々に包まれた入り口を抜け、
樹齢1000年を超える水松の大木越しに見えてくるのは、
歴史を感じる風雅なたたずまいの〈温泉旅館 銀婚湯〉。

JR函館駅から車で1時間半、八雲町市街地からは車で30分の、
落部川上流の山あいにある銀婚湯。宿の対岸には、5000坪もの庭に宿泊者限定で、
“隠し湯”と呼ばれる露天風呂がしつらえられ、
美しい景観に囲まれた源泉かけ流しの湯めぐりを味わえる極上の秘湯宿です。

広々として立派な宿のフロント。建物の中で最も古いつくりを残しています。

創業昭和2年、昭和37年築以来増改築してきた
純和風の広々とした館内は風情にあふれ、上質な木のぬくもりに包まれています。

銀婚湯に滞在するなら、夜は18時まで、
朝は6時から受付の隠し湯めぐりを満喫したいところ。
チェックイン開始は13時。気合を入れて早めの到着か、
もしくは連泊がおすすめです。
5つの隠し湯はそれぞれ貸切なので、運が良ければすべてのお湯に入れることも。

まずはフロントで隠し湯の空きを確認。
ちょうど空いていた一番人気の〈トチニの湯〉へ、
鍵を借りて浴衣姿で出かけてみました。

自然の中を散策しながら、湯めぐりへ

隠し湯の中でも一番奥にあるトチニの湯までは歩いて10分ほど。
館のそばの美しい庭園を抜け、先代社長の川口忠勝さんが
種から植えたという立派なカツラ並木を眺め、
落部川にかかる吊り橋をアトラクション気分で渡ります。
その先に広がるのは、手をかけられた木々や花が自然に寄り添いながら息づく庭。
まるで森の中のような散策路を楽しみつつ、看板を目印に進んでいきます。

旅館の周りのつくり込まれた庭園が四季折々の姿を見せてくれます。

下田〈まとい〉。
地元民が隠しておきたい名酒場。
本物の下田の魚を
芋焼酎の炭酸割りで

地元の人にこよなく愛される酒場はまちの宝もの。
ローカル色豊かなおいしいおつまみや、ご主人とお客さんの雰囲気、店の佇まいなど、
思い出すと心がほんのり温かくなるような店を
“酒場LOVE”な案内人の方々に教えてもらいました。
旅先のソトノミガイドとしてもご活用ください。
第1回 大阪〈天満酒蔵〉

旅の醍醐味はローカル酒場!
全国おすすめ酒場探訪記 静岡・下田編
移住した夫婦が見つけたローカル酒場とは?

熱海から伊東、伊豆高原を経て、伊豆大島を眺めながらさらに南へ。
美しい東伊豆の海岸線に沿っていくつものトンネルを潜り抜け、
標高約180メートルのかわいい“下田富士”が見えれば、終点・伊豆急下田駅に到着です。

きょうの案内人は、津留崎鎮生(しずお)さんと、
コロカルでも活躍するフォトグラファーの徹花(てつか)さん夫妻。
ふたりはこの4月に生まれ育った東京から下田に移住してきたばかり。
その暮らしぶりは夫妻交互に綴られる連載記事でわかってはいたものの
新しいホームタウン・下田で会うのはきょうが初めてです。

下田のひもの横町

ここは干物屋が軒を連ねる“ひもの横町”。下田のまちにはこんな懐かしい光景がそこかしこに残っています。写真が趣味の〈山田ひもの店〉のご主人と思わず話し込んでいるのが、きょうの案内人・津留崎夫妻。

下田といえば、南伊豆を代表する観光と漁業のまちですが、
津留崎夫妻の連載ではいわゆる定番の観光名所は出てきません。
そのかわり暮らしのなかのワンシーンに映り込んだ、
海や山のなにげない風景が驚くほど美しく、
下田というまちの豊かさが自然と伝わってくるのです。
ふたりがお気に入りのローカル酒場〈まとい〉も、
伊豆急下田駅のすぐ近くとはいっても国道沿いで、
観光客がそぞろ歩くエリアとは逆方向。
こんなところに酒場が? と思う地味なロケーションや、
そっけないようで、どこか粋な店構えは、
いかにも酒好き夫婦が行きつけにしそうな気配が漂っています。

まといの入り口には渋い暖簾が

お品書きを見るお二人

芋焼酎の炭酸割りを頼んでからお品書きを検討中。下田でのソトノミはいつも一緒という仲の良いふたりです。

もともとリゾートホテルより、民宿に泊まって、
地元の人と交流するのが好きだという津留崎夫妻。
移住先を探す旅や移住後の生活でも頼りになったのは、
行く先々で縁あって出会った人から得た情報でした。
「この店を訪れたのも、こども園のパパ友からの情報がきっかけで、
奇をてらわない料理をおいしく食べさせる、
酒好きの人じゃないと知らない店だよと教えてくれて」(鎮生さん)
「どんな店だろうとふたりで来てみたら、
“お父さん”がいきなり、このカツオの刺身、食うかって。
それがとてつもなくおいしくて驚いたんだよね」(徹花さん)

きょうも何を頼もうかと迷ってはみたものの
やはりご主人おすすめのものがいいと、おまかせすることに。
「ウチはありきたりのものしかないけどいいの?」と言いつつも
ご主人は丸のままのカツオを鮮やかにさばき始めます。

ご主人イチオシのきょうの刺身

ご主人イチオシのきょうの刺身はどちらも下田産で、カツオもアジも見事な色艶。下田では刺身で食べるのにちょうどいい、あっさりめのカツオが1年中とれるのです。刺身はどれも1人前800~1000円が目安。

渡辺利男さん

「やっぱりおいしい!」と喜ぶふたりを眺めるご主人の渡辺利男さん。「若いっていいなと、このふたりを見ていると思うよ。夫婦仲がいいしね。美しいよ」。ちなみに、ここの常連さんは60代がメイン。“下田一、入りにくい居酒屋”と言われることもあるとか。

〈グランビーチ〉 長崎にグラマラスな キャンプを楽しむ グランピング施設が誕生!

2017年11月、長崎県壱岐市にグランピング施設
〈Glam Beach (R) グランビーチ〉がオープンしました。
グランビーチの大きな魅力は、そのロケーション。

白い砂浜、透明度が高い海、松の緑が美しい壱岐の浜辺にあり、
夏は約20種ものマリンアクティビティ、冬は釣りなどが楽しめます。
近隣には、壱岐の名所「猿岩」や海に浮かぶ「小島神社」なども。
そして夜は、星空の下のテントで波の音を聴きながら眠れます。
海辺の本格的なグランピング施設は、全国でもまだ珍しいのだとか。
気持ちよさそうですね!

グランピングとは、「Glamorous」(魅力的)なキャンプを楽しむ、新しいキャンプスタイル。
テントや食事などはあらかじめ用意され、
アウトドア初心者でも快適にキャンプが楽しめるようになっています。
ホテルよりも自然に近く、かといってワイルドすぎないグランピングは、
新しい宿泊のかたちといえそう。

グランビーチにはテントや寝具、調理器具、Wi-Fiなどが揃っている上、
悪天候の日は近くのペンションへ宿泊を変更することもできます。

宿泊プランは、2名で泊まれる「スタンダードグランピングタイプ」が20,000円から、
4名で泊まれる「デラックスグランピングタイプ」が40,000円から。
どちらも、広々としたかわいいテントに泊まれます。

ぜひ利用したいのがバーベキューメニュー。
長崎を代表する和牛「壱岐牛」と野菜、ごはんがセットになったベーシックBBQセット(3,800円)や、
玄界灘で獲れた海鮮つきのデラックスBBQセット(5,800円)、
サザエやあわび、季節の魚を堪能できる魚貝焼セット(時価)などが用意されています。

コロカル読者はさらに10%オフ! 往復航空券+宿泊のお得な北海道旅

冬の北海道といえば、カニなどのグルメやスキー、温泉という楽しみも。
この冬、そんな北海道を旅したい人に朗報! 
羽田(または茨城)発着のスカイマークで行く、
北湯沢温泉や洞爺湖温泉のおトクなツアー情報です。

札幌から車で約2時間、新千歳空港から約1時間半ほどの
北湯沢温泉や洞爺湖温泉に宿泊。
別途料金で札幌市内のホテルに延泊もできるプランです。

たとえば北湯沢温泉〈緑の風リゾートきたゆざわ〉なら
24600円~(4~6名1室利用)と、かなりリーズナブル。
それに加え、12月と1月は2000円引き(12月28日~1月8日は除く)、
この記事から申し込んだ場合は、さらに10%オフ!
 という、
かなりおトクなプランなのです。

申し込みについては、記事の最後にご案内。
まずは、どんな宿に泊まれるの? 気になるホテルをご紹介します。

バラエティ豊かなお湯が楽しめる〈緑の風リゾートきたゆざわ〉

洞爺湖や支笏湖にほど近い北湯沢温泉。見渡す限り雄大な自然に囲まれ、
豊富な湯量の4つの温泉が楽しめる温泉リゾートです。
〈大露天風呂 HOSHI★ZORA〉は、日本最大級150坪の大露天風呂。
自然に囲まれ、晴れた日にはその名のとおり満天の星空が楽しめます。

〈森の散歩湯 WOOD SPA〉は、森の中を散歩するようにめぐる、
バラエティ豊かな温泉。柚子湯やリンゴ湯のほか、
ワイン湯やヒアルロン酸湯などの変わり湯も。すべて源泉かけ流しです。

そのほか、立ち湯や肩湯などが楽しめる〈お好み風呂 HA-SHI-GO〉、
打たせ湯や檜風呂など大小さまざまな湯がある〈大浴場 DAI-NO-JI〉があります。

楽しめるのは温泉だけじゃないんです。
この緑の風リゾートの屋上には〈天文台 満点星〉が。
冬の澄んだ空に浮かぶ数々の星座を、天体望遠鏡で見ることができます。

岩手〈世嬉の一酒造〉
山あり谷ありの地ビールづくりに、
100周年目の新たなチャレンジ。

日本酒はもちろん、数々の受賞歴をもつクラフトビールの醸造や
郷土料理レストランの運営など、
「酒」を軸に幅広い事業を手がける岩手県一関市の〈世嬉の一酒造〉。
2017年9月には、平泉町に
直営ビアカフェ〈The Brewers of Hiraizumi〉をオープンし、
来年2018年3月には本社敷地内にビール工場増設を予定している。

さらに今後は、酒蔵としての原点に立ち返るべく
日本酒の新しい蔵づくりにも動きだす。
常に進化&深化し続ける同社の思いを社長にうかがう。

創業は、倒産した老舗酒蔵を引き継いだこと

一関市のまちなかを流れる磐井川沿いに、〈世嬉の一酒造〉はある。
江戸期から受け継がれた古い蔵群を残す2000坪の敷地内には
郷土料理レストラン、ビール工場や博物館などが並び、
一関を訪れる観光客にとってのランドマークともいえる場所だ。

世嬉の一酒造の創業は、1918(大正7)年に遡る。
創業当時は、千厩町で代々続いてきた“横屋酒造”の名で呼ばれていた。
もともと江戸時代からこの地で酒蔵を営んだ〈熊文酒造〉が大正期に入って倒産し、
その経営を横屋酒造の次男・佐藤徳蔵氏(初代社長)が引き継いだのである。
ほどなく、現在の社名“世嬉の一酒造”に変更したが、
そこにはこんなエピソードがある。

「初代の頃に髭の宮様で知られる閑院宮載仁親王殿下が当蔵にお立ち寄りになって。
『世の人々が喜ぶ酒をつくりなさい』という言葉をいただき、
『世喜の一』というブランドのお酒をつくりました。
それを機に、初代が社名変更したんです」

そう教えてくれるのは、現在4代目を継ぐ佐藤 航(わたる)さんだ。

4代目を受け継ぐ代表取締役社長・佐藤航(わたる)さん。

しかし昭和後期、航さんの父・晄僖(こうき)さんが3代目を継ぐことになるも、
酒造業の経営は厳しかった。そんなときに
他企業からは、スーパーやホテルにしたいという話もあがったそうだが、
「貴重なこの蔵を残したい」という祖母の思いを受け、
晄僖さんは、千厩町で順調な経営をしていた
ふたつの自動車学校のうちひとつを売却して資金繰りをし、
世嬉の一酒造の経営を続けた。

蔵のひとつを〈cafe 徳蔵〉として活用中。アンティーク家具に囲まれ、居心地の良い空間。

「資金繰りは常に大変だったようです。もうひとつの自動車学校の利益で補てんし、
現金収入を得るために母がレストランを始め、酒を売るために売店をつくったり
親はいつも忙しく動き回っていました」と振り返る航さん。
中学生から高校生にかけて多忙な両親の姿を見ながらも
自身が酒蔵を継ぐことは想定しておらず、
「順調な自動車学校のほうを継ぐと思っていた」のだとか。

敷地内にある蔵元レストラン。一関の郷土料理が楽しめる。

いち早く、地ビールづくりに取り組むが……

1994年に酒税法が改正されると、ビール醸造免許取得の垣根が低くなり、
全国各地で地ビールづくりに取り組み始めた。
同社を中心にする地元企業もまちおこしの一環として、
1997年に〈いわて蔵ビール〉の販売をスタート。東北2番目の地ビールであり
各地から注目を集めたものの、なかなか軌道に乗らずに3年目で赤字に……。

高校卒業後に首都圏の大学へ進学したのち
船井総合研究所に就職した航さんが実家に戻ってきたのは
ちょうどその頃。30歳だったという。
ビール事業を辞める選択もあったが、辞めるにはお金もかかる。
航さんは大学時代に環境微生物を学んでおり、微生物の基礎知識があった。
そこで自身が工場長となり、たったひとりでビールづくりに再チャレンジし始めた。
「やり始めたらおもしろくて、おかげさまで順調に伸びていきました」と振り返る。

美しい湖沼〈大沼国定公園〉から 絶景スポット〈城岱牧場展望台〉へ 函館で楽しめる壮観ドライブルート

古くから親しまれる水と緑の景勝地

渡島半島のランドマーク、優美な姿と尖った山頂が目印の
北海道駒ヶ岳を背に広がる〈大沼国定公園〉。
豊かに水をたたえた3つの美しい湖沼に浮かぶ、
木々におおわれてモコモコとした小島の間を縫うように、
遊覧船やボートが行き交います。湖面をわたる爽やかな空気とともに、
おだやかな風景が心を和ませてくれます。

1903年、日本で最も古い自然公園に指定されて以来
守られてきた自然を楽しめる、
大沼、小沼、蓴菜(じゅんさい)沼の3つの湖沼は、
1640年の北海道駒ヶ岳噴火で川がせき止められて生まれました。
カーブの多い湖岸と大小126もの小島が特徴で、
北海道では珍しい日本庭園的な景観が人気の名所です。

大沼国定公園ならではの楽しみのひとつは、
湖沼の小島に架けられた橋を渡り、四季折々の景色を楽しめる
〈島巡りの遊歩道〉をゆっくり散策すること。
5つあるコースのなかでも20分ほどで回れる「森の小径」コースに沿って橋を渡り、
湖畔を歩けば、立派なミズナラの巨木をはじめブナ、ハンノキの樹々が続き、
ちょっとした森林浴気分。足元にふわふわの苔が息づく
〈コケの丘〉にも立ち寄ることができます。

もちろん、手漕ぎボートやペダルボート、
カヌーに乗って水面から眺める景色は格別。
大沼・小沼の島々をまわる、遊覧船クルージングもおすすめです。
古き良き観光地の雰囲気を残す大沼国定公園には、
自然に包まれてのんびりとリラックスできるひとときが待っています。

小さな入り江に向かって立つ、樹齢100年を超えるミズナラの巨木。あたりは清々しい空気と苔の緑に包まれています。

もうひとつの名物、もちもちのだんご!

散策のあとに欲しくなるのが甘いもの。大沼国定公園でチェックしたいのが、
名物〈元祖大沼だんご〉です。
JR大沼公園駅すぐそば、創業100余年の〈沼の家〉で販売されている
やわらかなひと口サイズのだんごは、ひとついただくと止まらなくなるおいしさ。
ドライブのおともにもぴったりです。
ここでしか買えない、変わらぬ製法でつくられる伝統の味をぜひ体験してみて。

大沼だんご(あんと正油・小390円)。折詰で大沼と小沼を表現し、串に刺さないことで湖面の浮島に見立てた創業以来のアイデアが今に生きています。

〈離島キッチン 札幌店〉 オープン。利尻島や礼文島など 北海道の6つの離島グルメを 味わおう!

現在、神楽坂店と福岡店の2店舗が展開されている〈離島キッチン〉。
このたび、北海道札幌市に、3店舗目となる
〈離島キッチン 札幌店〉がオープンしました!

扱っているのは北海道の離島、利尻・礼文・天売・焼尻・奥尻・厚岸小島からの品々。
貴重な旬の食材や、地元で愛される郷土料理を提供するアンテナショップです。

大正15年建設の醤油の醸造所をリノベーション

〈離島キッチン 札幌店〉は、札幌駅から徒歩圏内。
大正15年建設の醤油の醸造所をリノベーションした建物の中に、
物販スペースと飲食スペースを併設しています。

利尻島のほっけのちゃんちゃん焼き

飲食スペースでは、北海道の離島の郷土料理を中心に提供。
利尻島のうにぎりや、利尻島のほっけのちゃんちゃん焼き、
奥尻島のふっくりんこ、焼尻島のガラメ昆布のお味噌汁、
北のおつまみなどなどなど、お酒もいくらでも進みそう……!

また天売島のタコボッチ、岩城島のレモンポーク、
福江島のじゃこ天、宮古島のカツオのハラガー、
〈島巡り串〉や久米島の紅芋スティック、岩城島のレモンケーキ、
徳之島のみそ豆、屋久島のほうじ茶など、全国の離島の食材を使ったメニューも。

八丈島のくさやチーズ

旬の食材を積極的に取り入れるため、メニューは毎日変わり、
日替わりで新鮮なものだけを提供します!

江差町の〈斉藤籠店〉 東北や道南の竹でつくられた 毎日使いたくなるかご

ニシン漁で栄えた港町の老舗店

ずらりと積み重ねられた手編みの竹かごと
竹のいい香りが出迎えてくれる〈斉藤籠店〉は、
江差町で3代続く製籠店を引き継いで営まれています。

年季の入った店の引き戸を開ければ、
きっと、かご好きな人ならひと目で参ってしまうはず。

「これは一升瓶を入れるかご。昔はお酒の量り売りをしていたから。
これは石鹸かご、そっちの大きいのは洗濯物や衣類を入れるかごね。
雑誌入れに使ってもいいですよ」

店主である元気なお母さん、斉藤純子さんのかごの知識や歴史のお話を聞けば、
さらに参ってしまうはず。

取材に訪れた時は売り切れていた、道南に生える根曲り竹で編まれたじょうぶなかご。竹かごは使い込むと、飴色に輝くのだそう。「重いものを入れられるし、毎日の買い物にも使えますよ。かごは手で撫でて育てるんです」

江差の歴史をひも解く

函館駅から車で1時間半。日本海に面した、
道内でも最も古い歴史を持つ港町のひとつ、江差町。
檜材交易や北前船、ニシン漁で栄え、
1216年創建と伝わる〈姥神大神宮〉の勇壮な山車祭りで知られています。

歴史的建造物を生かしたまちづくりが行われ、
姥神大神宮前に延びる〈いにしえ街道〉には
築160年の旧家〈横山家〉邸宅や国指定重要文化財の〈旧中村家住宅〉が軒を連ね、
そぞろ歩きながらかつての繁栄を体感することができます。
その街道沿いに建つ、1930年築の重厚感ある斉藤籠店を訪ねました。

左は底が高く編まれ水切りできる長ワンかご(4000円)、奥は収納に使えるかご(3800円)、右は茶碗かご(4550円)。すべて弘前の細竹製品。

茹でたものをあけるのに、テーブルまわりの小物をまとめるのに、食器の水切りに。
さまざまな使いみちのある竹かごは、
道南でとれる竹を使う松前郡福島町の職人さんと、
岩木山の細竹で編む青森県弘前市の職人さんのふたりに頼んで
つくってもらっています。手仕事が生きたかごは、たわしでどんどん洗ってよし。
水につけたあとは日に当てて干し、きちんと乾かせば、ずいぶん長くもちます。

「もったいないって言わないでどんどん使ってほしいですね」

と語る、店主の純子さん。

鯛のお頭つきを入れて運んだという、初代の手がけた美しいかごは100年もの。

かごは、漁業でも農業でも必需品だった

お店の建物ができる前から、弘前出身の初代、
斉藤民さんがかごづくりを手がけていたと伝わる斉藤製籠店は、
100年を超える歴史を持っています。
漁業や農業が盛んな江差でプラスチックや発泡スチロールのなかった時代、
いくらの水切りをするのはもちろん、芋掘りなどの農作業など、
あらゆる場面で使われていたのが竹かごでした。

「昔はどこの農家でも、自分の家のかごは自分たちでつくっていましたね。
初代の故郷の弘前は竹かごの産地で、
冬場はみんな囲炉裏のそばでかごをつくっていたそうですよ」

お店の壁には純子さんの旦那さまで、3代目職人だった故 斉藤弘文さんの写真が。注文を受けて弘文さんがもっぱらつくっていたのは、あじろ編みのいくらの水切りかごでした。

斉藤製籠店は、一番多い時には10人近くの職人が
店先にびっしり座ってかごを編んでいました。
その中には住み込みの人もいたのだそう。

「昔は需要がかなりあってどんどん注文が入るから、
家の人たちがみんな作業をしていたんです。
子どもたちも学校から帰ってきたらすぐ手伝うような環境でした」

やがて時代の変化とともにプラスチックが導入されると、
その風景も変わっていきます。
純子さんが東京に暮らしていたとき、かごの注文が減ったため
江差から仕事に出てきていた3代目の斉藤弘文さんと出会い、結婚します。
1978年に一緒に江差へ戻り、斉藤製籠店の跡を継ぎました。

10年来愛用しているという純子さんのかご。パンも崩れないので毎日のお買い物にぴったり。いい色合いに変わってきています。