〈とやま工芸の原点・ いま・未来をめぐる旅〉 ものづくりの国・富山で開催

多くの伝統工芸が今も受け継がれる、
富山県の工芸の原点・いま・未来をたどる!

2017年11月17日(金)、11月18日(土)、11月19日(日)、
11月22日(水)、11月23日(木・祝)の5日間にわたり、
ツアープログラム〈とやま工芸の原点・いま・未来をめぐる旅〉が開催されます。

このツアーは、富山県の伝統産業や工芸作家の工房・工場と、
それを育んできた富山の自然風土・歴史・文化を体感する、日帰りのプログラムです。

8つのテーマに分けて、職人・作家との交流、実際の制作体験、
その地域ならではの食など、深みのある体験をご用意! 
参加費も2000円~と、リーズナブル。現地でのバス代やガイド料、
保険料など実費の一部を主催者が負担する、お得なツアーです。

【ツアーテーマ】

● 高岡の金工と、高岡鋳物発祥の地を訪ねる/11月22日(水)

● 高岡の漆芸と、“動く美術館”御車山に出合う/11月17日(金)

● 越中小京都・城端に根付く工芸と、民藝の深い哲学に触れる/11月17日(金)

● 2つの木工芸(庄川挽物木地・井波彫刻)と棟方志功の住居を訪ねる/11月19日(日)

● 売薬から発展した工芸と食を知り、北前船で栄えたまちなみを歩く/11月23日(木・祝)

● おわらの町・八尾、美しい型染め和紙を訪ね歩く/11月18日(土)

● 神々が宿る山、立山の麓で、越中瀬戸焼と和紙の作り手に出会う/11月22日(水)

● 室町から続く魚津漆器ほか、魚津・黒部の職人・作家とその作品に触れる/11月19日(日)

申し込み方法など詳細は公式サイトにて

中富良野〈ノーザンスターロッジ〉
十勝岳連峰のパノラマと
自然素材の宿でパワーチャージ。

大雪山系の山々を愛でるロッジ

広大なラベンダー園〈ファーム富田〉や〈彩香の里〉が集まる中富良野のシンボル北星山。
そのなだらかな丘を登っていくと、風景に溶け込むように建つ、
ファーグリーンの立派なログハウスが現れます。
ここは、まちや観光地の喧騒からちょっと離れた、
自然のなかの静かな宿〈ノーザンスターロッジ〉。

晴れた日はウッドデッキのハンモックに揺られて
大雪山系十勝岳連峰の雄大な稜線を眺め、
雨の日には大きな窓越しに刻々と変わる空模様を楽しむ。
そんな、自然によりそった豊かな時間を過ごすことができる、
小さくあたたかなロッジです。

ラベンダー畑の横道を登ってロッジに到着。冬を前に薪の準備も進んでいます。

ロッジのドアを開けると、心地よい香りとすがすがしい空気に、
思わず深呼吸したくなります。その理由は、
フィンランドから取り寄せて組み立てたという厚く立派な天然木のログ。
ログハウスは夏でも涼しく、冷え込みの厳しい冬も
薪ストーブと蓄熱暖房機のぬくもりが木に溜められて暖かく快適に過ごせるのだそう。

ダイニング兼リビングでもあるロビー。ミツロウ仕上げの天然木が落ち着ける空間をつくり出しています。特等席のソファは人気の場所。

天然素材でつくられた心地よさ

そして、自然に近い滞在を楽しめるように、
ロッジの中もすべてが天然素材でつくられているのも心地よさの理由です。
ゲストルームなどのぬくもりある白い壁は、
オーナーの加藤雅明さんが自ら塗ったという珪藻土。
湿気やにおいを吸って調節してくれるので、きれいな空気が保たれています。

入り口に飾られた、ドイツの〈ペトロマックス社〉の圧力式灯油ランタンが美しいたたずまい。

旅人の憩うダイニングテーブルは、加藤さんが山形の実家で見つけた栗の板を天板に旭川の家具職人がつくってくれた一点もの。海外からのお客さんが増えたのでローテーブルに高さをプラス。

開放感たっぷりな大きな窓や3つのゲストルームの窓は山に向かった真東にあり、
朝日が差し込むようにつくられています。
窓を開けると大雪山系を望むすばらしいロケーションが待っています。
お天気の朝はぜひ早起きして山から昇る壮麗な日の出を見たいところ。
刻々と姿を変える山を眺めているだけでも、心身ともにリセットされるようです。

2階奥のゲストルームはアウトバストイレでコンパクト。タイル貼りの洗面台はもちろん、なんとベッドまで手づくり。あちこちにすてきなセンスが光ります。

富良野は、生きている自然を感じられる場所

花々で彩られる夏はもちろん、富良野で近年注目が集まっているのは、
冬の険しく美しい雪山を楽しめるバックカントリースキーです。
大雪山系十勝連峰と夕張山地に囲まれ、冬はマイナス30度近くまで冷え込む富良野の、
世界最高の雪質ともうたわれるパウダースノーを求めて
世界各地から多くのスキーヤーが訪れています。

腕利きの大工さんに教わりながら、土地の整地から2年がかりでロッジづくりを手がけたオーナーの加藤雅明さん。風格あるログには既製品が合わないため、戸棚、椅子、テーブルはすべて手づくりしたそう。

「ここはセントラル北海道のちょうど真ん中にあたり、
大雪山エリアのどこにでもアプローチできる、欲張りな場所なんです」

そう教えてくれた加藤さんは
スキー愛好家御用達の雑誌『月刊スキージャーナル』の元編集長。
30年以上も世界の山やゲレンデを旅してきた加藤さんが
終の棲家として選んだのが、ここ中富良野でした。

「晴れた日は噴煙を上げる十勝岳を眺めて、生きている自然をすぐそばに体感できる。
そして冬は一歩外に出たら、平地から高地までどこにでも最高の雪質が待っている。
こんなエリアはほかにはないですね」

奥さまの見千子さんに連れられた2頭のヤギが絵画のよう。ログハウスの端材で建てられた立派なヤギ小屋に暮らしています。

さて、荷物を置いたら、ロッジのそばを散策してみるのもおすすめ。
入口にあるラベンダー畑はもちろん、
ファーム富田や彩香の里などのラベンダー園も徒歩圏内という好立地です。

夜には近くに街灯もなく、深い闇に包まれるロッジからは、
運がよければ天の川や満天の星空が見られることも。
そっと外へ出て空を見上げてみましょう。

除草担当のはずがおいしい草のみを食べるグルメな2頭。毎年近くの牧場から赤ちゃんヤギを秋まで預かり大きくして返すのだそう。ヤギの名は〈レン〉&〈タル〉。ロッジのマスコット的存在です。

ノーザンスターロッジには、
メインロッジとログコテージの2種類の宿泊施設があります。
宿泊の際は、食事をつけることも可能ですが、
富良野市街地や美瑛などで夕食をとるのもよし、十勝岳温泉まで足を延ばすのもよし。
さまざまなスポットへのアクセスが良いので、
自由なスタイルで滞在ができるのもこの場所の魅力です。

歩いて、眺めて、満喫。
西和賀の山を
ベテランガイドとともに巡る

岩手県の山間部にある西和賀町。
積雪量は県内一、人口約6,000人の小さなまちです。
雪がもたらす西和賀町の魅力あるコンテンツを、
全国へ発信していくためのブランドコンセプト〈ユキノチカラ〉。
西和賀の風景をつくりだし、土地の個性をかたちづくってきた雪を、
しっかりタカラモノとしてアピールしていくプロジェクトです。
今回は、おいしい食べ物や美しい自然風景など、
私たちにさまざまな楽しみをもたらしてくれる「山」のお話。
山岳ガイドの方に、西和賀の山の魅力を教えていただきました。

春の新緑、夏の深緑、秋の紅葉。
町内すべての山で、「ブナの原生林」が堪能できる

西わらびやビールなど、西和賀のおいしい食は、清らかな水によってもたらされる。
その清流の「母体」となるのが、奥羽山系にある町内の山々だ。
西和賀の山の魅力はバラエティに富んでいるが、
「すべてに共通するのは、ブナの原生林が楽しめること」と話すのは、
西和賀登山ガイドの会の駒ヶ嶺能弘さんと高橋勇一さん。
ともに登山歴数十年というベテランで、依頼に応じて、
ほかの会員と分担しながら町内の山のガイドを務める。
ふたりによると、ブナの原生林では、春のみずみずしい新緑、夏の繁みの深緑、
秋の錦絵のような紅葉と、季節ごとにさまざまな色が楽しめるという。

そして西和賀の山にはもうひとつ、
「標高はさほど高くないが、急勾配の箇所が多い」という共通点がある。
「ですから案内する登山客の中には、『こんなにキツイとは思わなかった』と
驚く人もいるんですよ」と駒ヶ嶺さん。
実はふたりに話を聞いた際、ほっとゆだ駅の裏手に位置する
〈カモシカハイキングコース〉を案内していただいたのだが、
名前のようなのどかなコースではなく急な坂道が続き、思いのほか汗が吹き出た。
これこそ西和賀の山の縮図なのかも……。
標高が高くなくても、油断は禁物、ということだろう。

「ハイキングコース」のイメージとはちょっと異なる坂道だが、駒ヶ嶺さんと高橋さんの足どりは軽い。

川尻保育園脇からスタートして5分ほど登った場所からの眺望。その眺めの良さに、道中の疲れが吹き飛ぶ。

西和賀登山ガイドの会の駒ヶ嶺能弘さんと高橋勇一さん。ともに若い頃から登山を趣味にしており、平成25年のガイド養成講座を受講後、翌年3月に発足した同会の会員として活動している。

ほかにはない、この山ならではの花も!
「お花畑」で高山植物を楽しもう

一方で、バラエティに富んだ魅力を持つ、西和賀の山々。
例えば、町の南端に位置し、栗駒国定公園内にある町内最高峰の南本内岳(1486メートル)は、
高山植物が咲き乱れる「花の山」だ。
夏でも一部に雪が残る中腹の「お花畑」では、ミズバショウ、ハクサンチドリ、
リュウキンカ、キヌガサソウ、ヒナザクラなどが咲き誇る。
そのうちキヌガサソウは、花びらと、花の周囲に生えている大きな葉の数が同じという
ユニークな植物で、町内ではここだけに自生するとのこと。
「花びらと葉の数は地域によって違うようで、ここは7枚。
南本内岳ならではの植物といえるでしょう」と駒ヶ嶺さん。
さらに山頂付近にも「お花畑」があり、そこではチングルマ、ミヤマダイコンソウなど、
中腹とは違う植物が楽しめるという。

南本内岳の高山植物「キヌガサソウ」「ハクサンシャジン」など  撮影:駒ヶ嶺さん

そんな花好きにはたまらない南本内岳だが、
「実は今から40数年前までは無名峰で、登山道もなかったんですよ」と
高橋さんが教えてくれた。
駒ヶ嶺さんが登山客を案内する際に使う
『西和賀の自然と文化シリーズ12 西和賀の高山植物102種』
(西和賀エコミュージアム 西和賀町企画課発行)によると、
昭和48年、当時の湯田山岳会会員が、
国土地理院が作成した地図に名前のない高い山があることに気づき、同会が現地調査。
その結果、前述のような美しいお花畑や頂上からのすばらしい眺望が報告され、
公募により〈南本内岳〉と命名されて登山道が整備されたという。

南本内岳の山頂から真昼岳〜和賀岳を望む。眺望がすばらしい。 写真提供:西和賀町観光協会

町内北部に位置し、国の自然環境保全地域に指定されている和賀岳(1439メートル)も、
高山植物が楽しめる山だ。
山頂付近の稜線では、7月上旬から8月上旬にかけてニッコウキスゲ、ハクサンフウロ、
ツリガネニンジンなどの花畑を目にすることができる。

残雪の中の花畑  写真提供:西和賀町観光協会

また、登山口から1時間30分から2時間ほど歩いたところにあるのが、和賀川の源流。
ここから錦秋湖へと流れる和賀川は、渓流釣りやアユ釣りが楽しめる清流として知られる。
「西和賀の水の豊かさ、美しさを感じてほしいですね」と駒ヶ嶺さんはアピールする。

さらに、和賀岳のもうひとつのお楽しみが、山頂からの眺望。
太平洋と日本海の分水嶺となっているため、
天気が良ければ、北に岩手山や秋田駒ヶ岳、田沢湖、東に早池峰山、
南に鳥海山や月山まで一望できるという。

秋の和賀岳山頂からの展望  写真提供:西和賀町観光協会

和賀岳の北側は、高下岳、根菅岳、大荒沢岳、沢尻岳などの和賀岳山塊が取り巻いている。
「中級者以上なら、貝沢登山口から登って
沢尻岳、大荒沢岳、根菅岳、高下岳へと縦走するコースもおもしろいと思います」
沢尻岳では眺望を、大荒沢岳や根菅岳では高山植物を、
高下岳では東北一の胸高幹周を誇る大ダケカンバなどを楽しむことができるそうだ。

中富良野の〈Cafe てくり〉
石窯焼きの本格派ピザと
地野菜たっぷりのランチタイム

素材を生かした丁寧な料理が人気のカフェ

手づくりの石窯で焼かれる、カリッとした焦げまでおいしいピザ。
メニューのなかでも人気を誇る「4種のチーズピザ」が焼きあがると、
チーズのいい香りがふんわりと漂ってきます。

北海道の中心にある、大雪山系の十勝岳連峰を望む中富良野で
2016年にオープンした〈Cafe てくり〉は、
札幌のイタリアンレストランで修業を積んだシェフ竹内裕介さんの
本格的なイタリアンメニューが楽しめるアットホームなカフェです。

赤い屋根が目印のてくりを秋に訪れると、黄金色の風景が出迎えてくれます。その向こうには、晴れた日には雄大な姿を見せる十勝岳連峰が。

全国的にも有名な旭川の観光庭園〈上野ファーム〉から
美瑛・富良野を通り、占冠(しむかっぷ)までの国道237号線は
〈花人街道〉の愛称で親しまれ、車窓から美しい景観を楽しめるルートです。
中富良野のまちを通る花人街道を道道750号線へ折れてしばらく進むと、
田園風景にそっと佇む、赤い屋根のCafe てくりが見えてきます。

田園風景に佇む、納屋をリノベーション

明るい光が差し込む店内は木のあたたかな雰囲気も心地いい。左のテーブルセットは、富良野にあった〈北の国から資料館〉が閉館するときに譲り受けたものだそう。

もとは農家の納屋だった建物を自分たちでリノベーションしたお店は、
まわりの風景を切り取るような大きな窓と高い天井が開放的な空間です。
店内の、サイズもさまざまな窓、テーブルや椅子、
キッチンの什器類に至るまでほとんどがいただきもの。
それぞれ物語のある家具たちは、どれもお店にしっくりと馴染んでいます。

注文を受けてから、ピザ生地を手早く丁寧に伸ばし始めます。

まちはずれにありながらランチタイムは
混み合うCafe てくりでぜひオーダーしたいのが、石窯焼きのピザ。
十勝産の小麦と天然酵母を使い、手ごねした生地は
ふっくらもちもちかつ香ばしい焼き上がりで、くせになるおいしさです。
なかでも定番のピザ「4種類のチーズはちみつがけ」は、
重ねられた濃厚なチーズに、トッピングされたはちみつが絶妙なバランスです。

ゴルゴンゾーラ、モッツァレラ、グラナパダーノ、マスカルポーネチーズをたっぷり乗せた生地を窯へ。職人技が光る一瞬。

石窯のレンガは、中富良野の備前焼の窯元から譲り受けて再利用したもの。東川の道の駅に店を構える〈ピッツァ亭〉の方が、窯づくりを一から指導してくれたそう。

愛別町の隠れた名店〈粋人館〉
絶品の地元産きのこ蕎麦。
築95年絢爛豪華な建築は必見!

職人技術を駆使した、居心地よい木の空間

大雪山系の石狩岳に源流をもつ石狩川上流のまち愛別は、旭川から車で40分の距離。
豊かで美しい水を生かした農業がさかんで、きのことお米の名産地として知られています。

このまちのメインストリートに佇むのが、
土地の恵みに趣向を凝らした蕎麦と会席料理が楽しめる〈粋人館〉(すいじんかん)。
由緒ある歴史的建造物をリノベーションした母屋と合わせて、
大雪山をめぐる旅の途中に立ち寄りたい、隠れ家的な名店です。

京都の絵師、浦地 思久理さんが描いた鮮やかな鳳凰に迎えられ、階段を上った2階がメインフロア。お年寄りや足の不自由な方は1階のカウンター席へどうぞ。

広々とした2階。八角形のテーブルが置かれたスペースは半個室にもなる。家具はすべて飛騨から取り寄せたもの。

黒1色の外観からは想像もつかない2階の客席は、
上質で落ち着いた和の趣がすみずみまで感じられます。
内装や設計を手がけたのは、京都を拠点に、全国で活躍するデザイナーの永田正彦さん。
木のぬくもりとともに、障子に当たる光が心地よく、くつろぎます。

直線の欄間と交差する円形の天井に牡丹や獅子の絵画がのぞく精巧なつくり。

地元名産のきのこをたっぷり堪能

空間はもちろん、京都出身の料理長が腕をふるうお料理もじっくりと味わいたいところ。
カジュアルに楽しむなら、ランチタイムの訪問がおすすめ。
旬の素材を織り込んだリーズナブルな「本日の日替わり定食」のほか、
会席料理仕立ての贅沢なプレート「粋人館御膳」、
そしてこだわりの十割蕎麦メニューからお好みをチョイス。なかでも一番人気は、
社長であり蕎麦農家の矢部福二郎さんが無農薬で丹精込めて育てる
愛別産の蕎麦〈キタワセ〉に名物のきのこの天ぷらを添えた「茸天ぷらそば」です。

鰹だしが薫る、やわらかな甘みの京風蕎麦つゆに十割蕎麦がぴったりとマッチ。

毎日、地元農家さんから届く朝採りの
マイタケ、えのき、なめこの天ぷらはサクサクかつ風味豊かでジューシー。
あえて塩ではなく、特製の蕎麦つゆにつけて味わうのが粋人館流です。

「愛別の蕎麦そのもののおいしさを味わってほしい」
という思いが込められた十割蕎麦は、注文を受けるごとに、
蕎麦粉と水分を合わせる水回しの作業を手で行い、
シンプルな機械で麺に仕上げてつくりたてを提供しています。
程よい歯ごたえとみずみずしさをぜひ味わってみて。
矢部社長曰く「愛別は水の質がいいので、おいしい蕎麦ができるんです」とのこと。

もちもちに炊かれた甘みのあるゆめぴりか玄米をしっとり包み込んだ〈開運 稲荷寿司〉(120円)。つくり手の方々とは家族ぐるみのお付き合いをしているそう。

地元生産者の食材や器を使って

蕎麦はもちろん、お米にもこだわりが光ります。
蕎麦とも相性のいい稲荷寿司や定食の玄米ご飯に使われているのは、
希少かつ絶品の無農薬ゆめぴりか玄米。
愛別の米農家〈成田農園〉5代目の成田真市さんが生産を手がけています。
また、蕎麦や玄米稲荷を乗せたお皿、蕎麦湯用のしっくりと手になじむ片口は、
旭川にアトリエとギャラリー〈ウラヤマクラシテル〉を構える
人気の陶芸家、工藤和彦さんの作品です。
食材から器まで、愛別や近郊のまちの魅力あふれるつくり手の存在を知り、
安心してお料理をいただけるのもうれしいところ。

古伊万里や九谷焼など、飾られた骨董品が美しい佇まい。

紅葉名所「大雪高原沼めぐり」と
秘湯〈大雪高原山荘〉へ。
深山の沼に綾なす紅葉が絶景!

秘境と呼ばれる、大雪山の紅葉の名所へ

陽の光に輝く赤、紅色、黄色、オレンジ、深緑の織りなす心奪われるほどの紅葉が、
登山道の先にある沼地を包むように、次々と現れます。

ここは日本の紅葉の始まる地、北海道の大雪山国立公園の深部にあたる大雪高原。
ウラジロナナカマドやダケカンバなどの高山帯の落葉広葉樹と、
針葉樹のエゾマツ・トドマツが入り混じった混交林が特徴で、
秋には、火山活動によって生まれた沼とともに、独特の色彩豊かな紅葉が広がります。

この大雪高原に点在する大小10個の沼をめぐる「大雪高原沼めぐり」コースは、
紅葉のピーク時は多くの登山客でにぎわう、北海道屈指の紅葉の名所です。

冬季間は道が閉鎖されるため年間123日しか営業していない秘境の宿〈大雪高原山荘〉。建物裏には硫黄の煮え立つ沼〈ボッケ〉が。散策のあとは日帰り入浴にぜひ立ち寄って。

沼めぐりの入り口、〈大雪高原山荘〉へは旭川空港から車で約2時間、
柱状節理の峡谷で名高い層雲峡から40分。
大雪山最高峰旭岳の真裏にあたり、上川国道と呼ばれる国道273号線から、
川沿いの険しく細いダート道を20分ほど注意深く進んだ先、
標高1260メートルの高所に位置しています。

北海道の中でもかなりの秘境、
だからこそ残された美しい風景に出会えるのが沼めぐりの魅力。
9月中旬から10月までの間に、ぜひ足を延ばして訪ねたい場所です。

〈ヒグマ情報センター〉の建物やコース内にトイレはないので、出発前には駐車場に設置されたトイレを利用して。

まずはヒグマ遭遇のレクチャーから

沼めぐりコースのスタート地点は大雪高原山荘隣の、
周辺のヒグマの動向を毎日監視し発信する〈ヒグマ情報センター〉。
大雪山は、かつてアイヌの人々に「カムイミンタラ」と呼ばれた理由を
「クマの遊ぶ場所」とする説(『知里真志保地名小辞典』)があるのもうなずけるほど、
ヒグマの多く生息する地です。
入山前に15分ほどのレクチャーを受けて気を引き締めたら、沼めぐりへいざ出発。

ヒグマ情報センター内にあるヒグマ情報板。赤は個体発見、青は足跡、緑は食痕など、形跡があちこちに。本来一周できる右コースが台風被害で通行止めなので、現在は折り返すかたち。

国立公園として守られているコースの行き帰りには内外の種などを持ち込まない・持ち出さないため、小川で靴を洗います。

石や木の根が多くなかなか険しい山道が続くので、散策ではなく登山の気持ちで臨みましょう。

大雪高原山荘から最初の沼までは、澄み切った空気を吸い込み、
水辺を覆う巨大なミズバショウの群落や紅葉を眺めながら歩いて1時間ほど。
登山やトレッキング初心者でもトライできるコースです。
今回は旭川の〈大雪山倶楽部〉のガイド、
浦 幹生さんに見どころを案内してもらいながらコースをめぐります。

沼をめざして、トレッキングスタート

取材に訪れたのは9月中旬、2017年は例年より1週間も早く紅葉の見頃を迎えました。登山道から見える山肌の赤や黄色がきれい。

前日からの雨でコケがみずみずしくフカフカに。

入り口ではほぼ緑だった木々は、次第に黄色や赤が入り混じっていきます。
山歩きについ集中しがちですが、視線を上げると、
高いところや山々にも秋の色合いが見つかります。

紅葉のピークには黄金色のトンネルになるというミネカエデの道。

鉄製の橋が架けられたヤンベタップ川。滑りやすいので足元に注意して。

北海道で一番長い石狩川の支流、ヤンベタップ川を越えれば、沼はもう少し。
川のそばにはヤンベ温泉と呼ばれる噴気孔があり、
水蒸気の煙をもうもうと上げる姿も見ものです。
手前には、ヒグマ情報板にも記載があった、1か月ほど前のヒグマの落し物が残っていました。
大自然のなかに深く分け入っていることを実感しつつ、さらに進みます。

音を立てて煙を上げるヤンベ温泉は生きた火山の証。温泉といっても95度という高温・高圧の水蒸気が沸く危険な場所なので立ち入り禁止です。

ところどころにある看板で距離を確認。右廻りコースは残念ながら通行止。

七飯町〈Hütte(ヒュッテ)〉 森の中の小さなパン屋さん。 地元民が足しげく通う理由は?

地元の旬の食材たっぷりのランチメニュー

七飯(ななえ)町仁山の森。木漏れ日のなかにたたずむ、
小さなパン屋さん〈Hütte(ヒュッテ)〉。
函館市街地から車で30分の距離にある元ガレージを改装した素朴な小屋で、
「親方」の愛称で呼ばれる木村幹雄さんが焼き上げるどっしりとしたドイツパンは、
ライ麦パン、地元野菜を使ったパン、食パンにあんぱん……
並んだそばから売れていく大人気のパンがすべて焼きあがるのは、毎日10時半頃。
ひとつひとつが飽きのこない、毎日食べたくなるパンです。

旅のおともにしたいパンたちがずらり。大きなパンはカットして販売もしています。

パンのテイクアウトはもちろん、お店の小さなカフェスペースでドリンクと一緒に
イートインする、「女将」特製〈ぱんとスープのセット〉(800円)もおすすめです。
手づくりのジャムやパテやハムをのせ、
コース仕立てでひと皿ずつ6種類のパンを味わえるセットには、
季節のスープにデザートとコーヒーまでつくのがうれしい。

パンそれぞれの魅力を存分に引き出す
地元七飯産の旬の野菜に手をかけたペーストや、
親方厳選の道産チーズが乗ったパンはぜひ食べてみてほしいおいしさ。
夏場はテラス席も用意されているので、
心地良い風を感じながらゆっくりとブランチでいただきましょう。

取材に訪れたのは7月。この日のセットメニューは、スープが北あかりのビシソワーズ。手前のプレートは、食パントーストに地元産野菜のラタトゥユ、バゲットに安藤農園(七飯町)のにんじんのラペ、3種のライ麦パンに小栗牧場(八雲町)の生チーズ、福田農園の王様しいたけアンチョビオリーブ炒め、カリフラワームース。左奥は、王様しいたけと十勝コーンと豆乳のピザ。

自然のままに、無理のないパンづくり

「おいしい」をそのままかたちにしたような、
ちょっと無骨で愛らしいパンを焼く親方は、
七飯のまちなかで30年続く、人気のパン屋〈こなひき小屋〉の創業者。
その親方の腕前をよく知るまちの人たちがヒュッテに次々訪れては、パンを買い、
そしてしばらく談笑していきます。おいしいパンを買うのはもちろんのこと、
親方と女将の人柄から、お店はまちの井戸端のような場所になっています。

「僕らのやりたいことはこういうことなんです。
地元に暮らす人たちに必要とされるパンを焼きたいので」

そう話してくれた親方のパン焼き風景を見せてもらいました。

奥に深い窯でスピーディーにパンを焼き上げていく、笑顔がすてきな親方こと木村幹雄さん。「年をとってからタイマーを使っているけど、以前は必要なかった。かっこよく言うと、パンが呼ぶんです。毎日やっているとそうなるものですよ」

お店の奥にある小さな工房も、親方の手づくり。
立派なドイツ製ウェルカーの窯が存在感を放っています。
「この窯は、息子が継いだこなひき小屋からもらってきた24年もの。
ミキサーもそうで、創業時からのものでかなり年季が入っています」

工房で電気を使う機器はこのふたつだけ。
あまりエネルギーを使いたくないので、冷蔵庫も置いていないそう。
60歳でこなひき小屋を引退すると宣言し、
実際に引退することになった転機の年に脳梗塞で倒れた経験をもつ親方は、
独立してヒュッテを始めるとき、無理せず夫婦ふたりだけでできることをやろうと決意。
あるものを使って小さく回していく「身の丈にあった」スタイルを貫いています。

窯の奥から驚くほど大きな田舎風フランスパンが!裏側をボンボンと叩いてみた親方は「あとちょっとだな」。音で焼き上がりがわかるのが職人ならでは。

秋の瀬戸内、豊島を歩く
〈生産者と暮らしに出会う旅〉

シャッターをきりながら、おしゃべりしながら楽しむ豊島時間

暑すぎた2017夏が終わり、ようやく秋らしくなってきました。
まだ日中は畑で作業していると汗をかく暑さですが、
それでも朝夕は肌寒さを感じるくらい。
あー、私の大好きな秋が来たなと、それだけで毎日うれしくなります(笑)。

個人的には、瀬戸内の島をめぐるなら絶対秋がいいなと思ってます。
島をぶらぶらと歩くには、やっぱり夏は暑すぎで、暑さだけで疲れちゃいます。
冬も好きですが、やっぱり景色が少し寂しいかもしれません。
春はなんとなく空気がもわっとしている感じがして(すごく個人的感覚ですが)……。
ま、でも四季それぞれいいところがあるんですけどね!
カメラを持ってぶらぶら島を歩くなら、秋がいいのかなと。

私たちがまだ小豆島に引っ越す前、引っ越すなんて全然考えてなかったのですが、
第1回目の瀬戸内国際芸術祭があり、そのタイミングにあわせて、
小豆島のおじいちゃんちを訪れました。
その時に初めて行ったのが、小豆島のお隣の島、豊島(てしま)。
2010年秋のこと。あのときの豊島の空気感、いまでも覚えています。
とにかくいいところだった。

豊島と小豆島をつなぐフェリーをパシャリ。

島のさりげない風景が好き。ひまわりと家々と海。

小豆島に引っ越してからは、当たり前のように暮らしの中に
「秋の瀬戸内」があるわけで、なんと贅沢だろうと時々思います。
ただ日々の暮らしがあるので、毎日旅人のようにぶらぶらすることもできず。
すぐ隣りにある豊島にもなかなか遊びに行けず。

行きたいなら計画をたてよう! 
というわけで、9月上旬、島で一緒に活動している〈小豆島カメラ〉のみんなで
〈生産者と暮らしに出会う旅 vol.6〉を企画し、OLYMPUSカメラを持って、
約20人で豊島をまわるツアーを開催しました。

〈生産者と暮らしに出会う旅〉は、2014年秋から開催している企画。
ただ観光スポットをまわるだけで終わってしまうのではなく、
もう一歩深く、島の暮らし、島で働く人、現場に触れることで、
もっと小豆島のことを知ってもらおうというもの。
その案内、つなぎ役を私たち小豆島カメラがしています。

今回は私たちだけで豊島を案内するのは少し心もとないということで、
豊島でガイド、さまざまなコーディネートをしている
〈テシマサイト〉の森島丈洋さんに力をお借りしました。

まだ少し夏の暑さが残る9月上旬の日曜日。
小豆島からは片道480円の船に乗って
30分で着きます(こんなに気軽に行けるならもっと行こうっ!)。
船の中でさっそくカメラの貸し出し&説明。
今回のツアーでは、参加者全員にOLYMPUS PEN-Fを貸し出し!
いつも最新のカメラを貸してくださるオリンパスさんに本当に感謝です。

小豆島から豊島に向かう船の中で、OLYMPUS PEN-Fを全員に貸し出し。

まずはカメラの使い方を説明。

豊島に到着後、まずは〈豊島ウサギニンゲン劇場〉へ。
1年半前から豊島で暮らしている〈usaginingen(ウサギニンゲン)〉
こと平井伸一さん、絵美さんご夫妻が出迎えてくれました。
自分たちの手でデザインし改修した劇場、
その中で繰り広げられる映像と音楽のライブパフォーマンス。
豊島を訪れたらぜひ行ってみてほしい場所です。

豊島ウサギニンゲン劇場。倉庫を改修して劇場に。

usaginingenこと平井伸一さんと絵美さんご夫妻(写真右側)。

映像を映し出す道具も楽器もオリジナル。まさにウサギニンゲンワールド。

豊島ウサギニンゲン劇場は、唐櫃岡(からとおか)地区にあり、
近くには〈島キッチン〉や〈檸檬ホテル〉、
少し歩けば〈豊島美術館〉などこれまた行ってみたいところばかり。
また次回のお楽しみに。

劇場の前で、みんなで記念撮影。

函館の〈jazz spot Leaf〉 港町のムーディーなジャズ喫茶

函館駅前エリアにある、まちのジャズ喫茶

旅先だからできること。たとえば市電に乗り込んであてもなくまちを回り、
車窓から気になるお店を見かけたら、次の電停で降り、
普段なら通り過ぎるかもしれないそのお店に飛び込んでみること。

偶然の出会いが似合う、雰囲気あるお店が点在する函館で
〈jazz spot Leaf〉もそんなお店のひとつ。函館駅から歩いて5分、市電なら1駅。
駅前通りからも見える「JAZZ」の看板が目印です。

和洋折衷の函館らしい建物をそのまま生かして手直ししたという店。夏場はテラス席も。

文化の集まる港町の函館は、全国的に名を知られる老舗のジャズ喫茶も残るまち。
現在はLeafを含め、4軒のジャズ喫茶が営業しています。
その中でも、昔からジャズの流れていた駅前の大門地区にある唯一のジャズ喫茶Leafは、
ふらりと訪れてゆっくりと音楽に浸れる、旅人にもおすすめの穴場です。

19時からはバーのスタイルに表情を変える店内には、ライブを行うときに活躍するピアノが。映画の中にいるようなレトロな空間も心地よい。ビールを注ぐのは水山さんの奥さま。

音楽に身を委ねる大人の時間

レコードで1枚ずつかけられるジャズが心地よい店内へ。
音楽をじっくりと味わうなら、良質なスピーカーに向き合って過ごせる
1階席がおすすめです。3人以上で訪れるときはそっと2階席へ。
ジャズ喫茶は音楽を楽しむところなので、大声での会話は厳禁。
ほかのお客さんへの気配りはもちろん、静かにジャズに身を委ねて過ごす、
大人だからこそ体験できるひとときを堪能して。

立派なJBLのスピーカー。現在流れているレコードを飾る、ジャズ喫茶ならではのスタイル。Leafでは主に1960年前後のLPをかけている。

ランチタイムに訪れるなら、おすすめはサラダ付きの〈Leafカレー〉。
マスターがオープン以来つくり続けているという名物カレーには、
細かく刻まれた8種類の野菜がたっぷり入っています。
手間はかかるものの、カッターでは出ないおいしさが出るため、
包丁で時間をかけて切っているそう。フードを注文すると、
オリジナルブレンドコーヒー(400円)ほか、
種類豊富なドリンクが半額になるので、セットでオーダーしてみて。

オープン以来、カレー好きなマスターこだわりの、味も値段も変わらない人気のカレー(500円)。手編みのグラスケースは奥さま作で北海道新幹線のカラーリング! コースターも販売。

函館のバル〈ラ・コンチャ〉 旬の道産食材でバスク料理 一度は訪ねたい名店へ

元米屋の木造建築で、本格スペイン料理

木造洋館や教会が建ち並び、名所として知られる函館市西部地区。
異国情緒漂う大三坂(だいさんざか)を下ると、突き当たりに歴史的建造物があります。
本格的なスペイン・バスク地方の料理を
カジュアルなバルスタイルで楽しめる名店〈ラ・コンチャ〉。

函館近郊や道産の食材をふんだんに取り入れたアラカルトメニューが人気で、
生ハムはもちろん、マヨネーズやアンチョビにいたるまですべてが自家製。
まずはちょっとずついろいろなおいしさを楽しめるおつまみ、ピンチョスを注文。
カラフルな小皿といい香りにワクワクしながら、ワインで乾杯しましょう。

ラ・コンチャの趣ある外観。もとはオーナーシェフ深谷宏治さんの祖父、深谷仁左吉さんが1917年に建てた擬似洋風建築の〈旧深谷米穀店〉。

ラ・コンチャの建物は函館市の歴史的建築のひとつで、
築90年を超える〈旧深谷米穀店〉を改築しました。
実は、ラ・コンチャの本店にあたる〈レストランバスク〉オーナーシェフで、
日本におけるバスク料理の第一人者、深谷宏治さんの生家。

店内は、スペイン風立ち飲み用カウンターのバル、
開放感のある洋風のメインダイニング、
奥には主に団体予約専用の趣ある和室があります。
和室は、函館の歴史を思わせる和洋折衷な空間で
スペイン・バスク料理をゆっくりと味わえるのも魅力のひとつです。

入り口側のメインダイニング。建物の壁や天井を生かしバスク地方の絵画が飾られたカジュアルな雰囲気が心地いい。頭上に吊るされた道産白豚の自家製生ハムが圧巻!

1984年以来つくり続けている生ハムは年間約60本を冬の間塩漬けする。熟成庫を経てお店に吊るされ、1年半以上の長い熟成期間が肉の旨みを凝縮させるそう。

取材に訪れた7月中旬の日替わりのピンチョスは、
近海の新鮮なタラ肝がフワフワにとろける〈尻岸内産タラ肝の白ワイン蒸し〉、
ほんのり辛味が効いた豚肉100パーセントのジューシーな
自家製ソーセージ〈シシトラ〉や〈厚沢部産メークインの揚げいも〉のほか、
〈十勝産マッシュルームと自家製生ハムの鉄板焼き〉など、
冷製と温製に分かれ、目移りする旬のメニューが15種類以上。
迷ったらシェフおまかせの盛り合わせを頼めば、
バランス良くサーブされたピンチョスをいただけます。

光の美しい奥の和室でいただくスペイン料理は新鮮な体験になるはず。

函館のリノベーションホテル 〈HakoBA 函館〉がオープン。 まちの歴史ある建物を再生

函館港を望む絶好のロケーション

幕末の黒船来航によって、下田とともに開港された歴史ある函館港。
まちの繁栄の始まりで、その歴史を今に残す西部地区の港に誕生した
〈HakoBA 函館〉は、2棟の建物をリノベーションしてつなげた、
新しいスタイルのホテルです。

2017年5月オープンのHakoBAの1棟は昭和7年築、
市の指定する歴史的建物で、重厚感あふれる石造りの〈BANK〉。
安田銀行函館支店として建設され、のちに〈ホテルニューハコダテ〉として
2010年まで使われていました。もうひとつの棟は、
BANK隣の赤レンガの壁が美しい〈DOCK〉。
旧西波止場美術館などを経てきた個性豊かな建物です。

それぞれの魅力を最大限に生かしたホテルの中を探訪してみましょう。

クラシカルな雰囲気を楽しむなら

市電通に面した函館山側にあり、重厚感あふれる近代建築が魅力の〈BANK〉。
銀行時代の建物の特徴を生かした
アール・デコ調の装飾が美しい梁や高い天井のクラシカルな客室が人気です。

BANKの〈TWIN〉。ひと部屋ごとに異なる照明がレトロな部屋のムードにマッチ。

高級感漂うこだわりのカーテン。ソファのクッションとともにカラーリングの妙を楽しんで。

ツイン・ダブルの個室タイプのほか、プライベートテラスつきのメゾネットタイプが1室。
レトロとモダンが程よくミックスした空間で、
歴史あるまちならではの、思い出に残るひとときを過ごせます。

BANKの2階のブックラウンジにはTSUTAYA函館がセレクトした、函館にまつわる本が並びます。観光のヒントがたくさんあるので、滞在中に訪れて。

安田銀行、富士銀行と使われてきた〈BANK〉の面影を残す看板。HakoBAオープンを聞きつけてホテルニューハコダテに勤務していた方が訪れ、1階に残された看板や生まれ変わった姿に感動されていたそう。

函館市〈シエスタハコダテ〉 道南グルメも集合の新複合施設。 まちの新たな活性化拠点に

道南の魅力が詰まった新たな複合ビル

2017年4月、函館本町の五稜郭公園前にグランドオープンした、
まちの新しいランドマークとなる複合施設〈シエスタハコダテ〉。
DEAN&DELUCAが初めてプロデュースを手がけた地下1階の函館の食の専門店が集結した、
函館フードマーケットホール〈シエスタキッチン〉をはじめ、
1〜3階には北海道初上陸のMUJI BOOKSやCafe&Meal MUJIを展開する
〈無印良品〉フロア、4階は市民憩いのオープンスペース〈Gスクエア〉と、
多様な魅力がぎっしりつまった空間です。

シエスタの英語表記は五稜郭公園の形、五芒星につなげた〈SHARE STAR〉に。建物向かいの、函館市民に馴染み深い丸井今井百貨店と地下通路で直結しています。

シエスタハコダテは、函館駅から路面電車で15分、〈五稜郭公園駅〉市電停の目の前。
函館駅前市街地の再開発の一環として、
空き店舗となっていた旧五稜郭ダイエー(通称ゴダイ)跡地に、
地上19階建のマンションとともにオープン。
かつてゴダイに集まっていた周辺6つの高校に通う学生たちの新たな憩いの場として、
また、函館をより活気あふれるまちにする場として、注目されています。

まずは、地下1階にある、市民はもちろん旅人にも魅力たっぷりな、
函館や道南地域の誇る11もの名店が一堂に会した
〈シエスタキッチン〉を訪ねてみましょう。

各店でテイクアウトしたメニューをテーブルで自由にいただくスタイルが人気を集め、
スタッフやお客さんの笑顔が行き交う、生き生きとした空間が広がっています。

地元のおいしいもの多ジャンルが一度に楽しめる

オープンな雰囲気が居心地のいい〈rocco〉のイートインスペース。選りすぐりのオーガニックワインとともに賑やかに楽しみたい。

エスカレーターを下ると、まず目に飛び込んでくるのが
〈フレッシュチーズのお店 rocco〉のおいしそうなチーズたち。
世界最高峰と名高い南イタリアのチーズ文化の旗手が手がける、
道産牛乳100%のオーガニックなフレッシュチーズ〈ファットビオ北海道〉をはじめ、
北海道のおすすめの食を集めたショップです。

チーズやピザをテイクアウトできるほか、
フレッシュチーズを中心にした豊富なイタリアンメニューのイートインも人気です。

人気イートインメニュー〈ファットビオ北海道のブッラータとミニトマト〉(1580円)。カットすると中からヒモ状のモッツァレラと生クリームが! トマトとの相性も抜群。

次なるショップ〈お肉のつしま IRWAK(イリワク)〉は、
希少なブランド牛〈はこだて和牛〉を一頭買いしている市内の精肉店が営む、
精肉店とイートインのステーキ&ハンバーグ店。
ここでしか出会えない、はこだて和牛のおいしさを伝えています。
ミニ牛丼(500円)や隣の森町産SPF豚のメンチカツ(250円)などの
気軽なテイクアウトもおすすめ。

鮮度にこだわり、扱う精肉はすべて生肉。はこだて和牛をオーダーカットで販売している〈IRWAK〉は若き2代目ご夫妻のすてきな笑顔が看板。

フロアの一角はおしゃれな寿司店。10時から営業しているのでランチタイムにも立ち寄れる。

函館といえばやはり海鮮。市民お墨つきの老舗鮮魚店〈函館まるかつ水産〉では、
凄腕の目利きが毎朝市場で仕入れる新鮮な魚介を味わえる寿司店、
併設の鮮魚店では、海鮮惣菜を手がけています。
ピカピカに輝く鮮魚をその場で刺身にしてもらうのはもちろん、
気軽に入れる寿司店で握りを楽しむのもよし。持ち帰れる寿司や惣菜も見逃せません。

旬の真イカもその場でさばいてくれます。イカ2枚分のイカ刺し(時価)は甘くてコリコリの歯ごたえ。

新鮮かつリーズナブルな魚介惣菜は、舌の肥えた函館市民の御用達。

北海道ならではのおやつ、べこもちって?

フードのみならず、もちろんスイーツも要チェック。
函館から車で約2時間の松前町に本店を構える、
昭和12年創業の老舗和菓子店〈北洋堂〉の人気商品は〈特製あん入りべこもち〉。
べこもちとは北海道の道南地域などではポピュラーな餅菓子で、
お土産にもぴったりなアイテム。
その場で焼かれるどら焼きや中華まんじゅうも好評です。

左は豆大福(154円)、右はあん入りべこもち(143円)。お土産にとまとめ買いしていくご年配のお客さんも。

ふんわりとろける、ひと口チーズケーキ〈メルチーズ〉で有名な
函館のパティスリー〈プティ・メルヴィーユ〉ではこだわりのフランス菓子のほか、
オーダーごとにその場でパティシエがつくる、
趣向を凝らした季節のパフェをぜひ味わってみて。
向かいの函館発のスペシャルティーコーヒーショップ
〈テーラードコーヒーブリュワーズ〉のハンドドリップで落とされる
良質なコーヒーと合わせて、テーブルでゆっくりといただきましょう。

プティ・メルヴィーユで8月末まで限定販売の〈ピーチメルバパフェ〉(500円)。大沼にある山川牧場の爽やかなソフトクリームに桃とラズベリーソースがマッチ。テーラードコーヒーのハンドドリップコーヒー(450円)と。

各店のおいしいものを、少しずつおつまみに

自由に入って商品を選べる立派なワインセラーには北海道の小規模ワイナリーから仕入れた希少な品も。ひとつひとつに手書きの商品解説つき。ワイン以外に蔵元直送の日本酒も取り扱う。

夜のお楽しみ、各店のお惣菜を集めて
テーブルで一杯傾けるなら〈酒ブティック越前屋〉の日替わりグラスワインで乾杯を。
北海道や国内のヴァンナチュールを中心に選び抜かれたワインの中には、
函館発、少量生産でなかなかお目にかかれない、
人気の〈農楽蔵〉のワインが並ぶことも。
シエスタキッチンは合わせて11軒の名店が集合。すべてのお店をぐるりと回れば、
気になるフードやおいしいお土産がきっと見つかります。

シエスタキッチンの名店を巡ってお気に入りを集め、テーブル席でカジュアルに楽しんで。

〈函館市縄文文化交流センター〉 北海道、唯一の国宝に会える!

縄文の人々のたぐいまれなセンスを知る

道南に、日本で唯一、国宝を鑑賞できる道の駅があるのを知っていますか?
函館市街地から車で約50分、緑深い峠道の先に広がる内浦湾に面した、
上質な真昆布の産地として名高いまち南茅部。

2011年に誕生した道の駅〈縄文ロマン南かやべ〉と
同じ建物にある〈函館市縄文文化交流センター〉は、2007年国宝に指定された、
まちが誇る、縄文の土偶〈中空土偶〉に会える、道南の大きな見どころです。

センター入り口。無機質なコンクリートで有機的なカーブを描き、館内の展示はもちろん、建物の海側にある縄文遺跡と現代とを隔てる結界をイメージしたという建物。

縄文遺跡は、市内に400か所以上!?

厳しい自然と共生し、優れた技術や豊かな精神性をもつ縄文文化。
函館市縄文文化交流センターでは、南茅部で発掘された中空土偶をはじめ、
縄文の歴史が色濃く残る函館市で発掘された
貴重な遺構や出土品をゆっくりと鑑賞することができます。

縄文遺跡の数は函館市内で400か所、南茅部地域だけでも90か所にのぼります。
函館で出土する縄文土器の中には青森県の同時代の土器との共通点も多いことから、
現在、道南〜道央の6つの縄文遺跡と、
青森県・岩手県・青森県の縄文遺跡を〈北海道・北東北の縄文遺跡群〉という名で
世界遺産登録を目指す動きも進んでいます。

博物館2階から眺める海側の丘。左奥の開けた場所には大規模な盛土遺構を有する史跡の縄文遺跡〈垣ノ島遺跡〉が広がっています。

秘境・祖谷の地域問題の解決策!?
フォレストアドベンチャー・祖谷
がオープン

祖谷の自然と戯れる、新たな観光スポット誕生

日本有数の激流、吉野川の上流に位置する徳島県三好市の祖谷(いや)地区。
昨今、祖谷への外国人観光客は2014年から1万人ずつ増えているという。
シラクチカズラでつくったかずら橋が有名だが、
四国一の名峰、剣山や世界的に有名なラフティングの聖地、吉野川もある。
日本らしい原風景の残る秘境を求めて国内外から多くの観光客がやってくる、
それが現在の祖谷の姿だ。

吉野川の渓流で行われるラフティング。今秋には世界大会も行われる。(写真提供:馬場秀司さん)

アウトドア好きが高じて吉野川に魅了され、この地に移住をした馬場秀司さんは、
祖谷でラフティング会社〈ゴーゴーアドベンチャー〉を営んでいる。
クオリティの高いフィールド、そして安全性を求めて
世界中からゲストがやってくるため、
山城地区に彼らを受け入れるゲストハウス〈モモンガビレッジ〉までつくってしまった。
それだけでは飽き足らず、祖谷の自然を山から谷まで遊び尽くす
自然共生型アウトドアパーク〈フォレストアドベンチャー〉を誘致、
この夏、7月29日にオープンさせたのだ。
三好市山間部の魅力を知り尽くす馬場さんが始めた施設とのこと、
ここでしかできないようなおもしろい体験ができるに違いない。

ちなみに祖谷は、徳島空港、高知空港、高松空港からの
いずれからも車で1時間半ほどの移動でアクセスできるという非常にアクセスがよい場所だ。
〈フォレストアドベンチャー・祖谷〉は
ミュシュラングリーンガイド2つ星で紹介されている祖谷街道(県道32号線)沿い、
祖谷ふれあい公園内にあった。

まずは、大きなログハウスにある案内所で受付をし、トレーニングを受けたスタッフに安全器具を装着してもらう。スリル満点のコースだけに安全第一。山の向こうの手前に祖谷川を渡る橋がある。

森の中にあるアスレチックコースは5つ。
すべてのコースを回って、速い人でおよそ2時間かかる。
スケールや難易度も含め、いったいどんなものかわからないまま
祖谷川を渡ってフィールドに向かうのは、ミステリーツアーに参加する気分だ。
傾斜のある深い谷ならではの自然の地形を生かした本格的なアスレチックコースは
四国では初めてだとか。期待に胸は高まる!

旭川〈ウラヤマクラシテル〉
DIYにかけた歳月は15年。
廃墟同然だった旅館が、
器ギャラリーへ

陶芸家が廃墟旅館に込めた、新たな息吹

北海道第二の都市、JR旭川駅から車で30分。
春を告げるカタクリの群生地で有名な〈男山自然公園〉のある突硝山への
細い山道を進んでいくと、森の中に大きな建物が見えてきます。
その名も〈ウラヤマクラシテル〉。

道内外で人気の陶芸家、工藤和彦さんが15年の歳月をかけて
リノベーションしてきた元旭川温泉の広大な施設に、
工藤さんの作品が並ぶ広々としたギャラリーがオープン。
まちから離れた小さな裏山に、多くのお客さんが訪れています。

山の緑に囲まれた入り口そばには、工藤さんの焼きものに使われる薪がうず高く積まれています。

工藤さんの作品〈黄粉引片口鉢〉5000円(税抜)、〈黄粉引片口小鉢〉3500円(税抜)。

「ここ北海道でしかつくれない日本の焼きもの」を探求し、
自ら手掘りした道北の粘土をベースに、土地の素材を使って生みだされる
工藤さんの器は、豪壮さと繊細さをあわせもち、
北の風土を連想させる空気感をまとっています。
手に取るとすっと馴染み、長く使い込んでみたくなる。
ギャラリーにはそんな器との出会いが待っています。

この土地でしかできない陶芸の追求

元旭川温泉の広大な施設のなかで最初に整備したという工房は元宴会場。窓の外の美しい借景に向かいながら主にこの蹴ろくろで作品づくりに励みます。

神奈川出身の工藤和彦さんは、高校生のときに焼きもののおもしろさに魅せられ、
卒業と同時に滋賀県の信楽焼作家、神山清子先生、賢一先生のもとで修業。
その後アウトサイダーアートに興味を持ち、滋賀県立の福祉施設の陶芸の職業指導員として勤務、
続いて、北海道剣淵町の福祉施設開設に伴い陶芸担当として移住し、
退職後、作家として独立します。

色も質感もさまざまな、制作途中の器たち。

工藤さんがこの旧旭川温泉に出会ったのは、まったくの偶然でした。

「剣淵町から当麻町に移り、その後急遽引っ越さなくてはならないときに
知人から紹介された物件が、ここ、元旭川温泉の隣の一軒家だったんです」

北海道愛別町〈成田農園〉
無農薬栽培米のゆめぴりかに感動!
ファームステイ体験も

大雪山の美しい水が育む、おいしいお米

上川盆地の北東端にあり、きのこの一大生産地として名高い愛別町は
源流を大雪山国立公園にもつ石狩川上流のおいしい水を生かした、
米づくりもさかんなまち。旭川市街地から大雪国道を40分ほど走った
愛別町の山あいの傾斜地に広がる田園風景。

ここで、一度食べるとリピーターになってしまうと噂の
無農薬栽培の米〈ゆめぴりか〉を生産している〈成田農園〉を訪ねました。

無農薬の田んぼのあぜ道にはシロツメクサが咲き誇る。無農薬の稲は慣行栽培のものより生育がゆっくりで、最初に田植えし最後に収穫するそう。

農業用水路には石狩川のきれいな水が勢いよく流れこむ。「この水が愛別のお米のおいしさの理由です」と誇らしげな真市さん。

広い敷地で米づくりを行っている成田農園の5代目、成田真市さんは
3枚の田んぼを使って化学肥料不使用、無農薬での米づくりをしています。
もともと味に定評のあるブランド米の“ゆめぴりか”ですが、
真市さんのつくる無農薬ゆめぴりかは、安心とともに、おいしさも格別。
白米は粒感がしっかりしていて、艶やかでみずみずしくふっくらとした炊き上がり。
玄米は香ばしさを残しながらも水分たっぷりでモチモチに。

どちらも、お米の甘みと風味を存分に味わうことができ
おかずなしでも食べられてしまう、ごちそうのような逸品です。

北海道・旭岳のふもとの
セレクトショップ〈SALT〉。
大自然を遊びつくす厳選アイテム

山の暮らしを体現する、セレクトショップ

「このまちで着たい服」。

それは、永く大切に使える良質なもの。
大雪山をはじめ、大自然がすぐそばにある東川で、
厳選された国内のアウトドアブランドを軸に、
つくり手やメーカーの思いの込められたアイテムを提案する〈SALT〉は、
このまちでのライフスタイルを体現するショップです。

〈ランドスケーププロダクツ〉が設計を手がけたショップ。背の高い立派な木々に包まれるよう。

〈道の駅ひがしかわ 道草館〉から旭岳や天人峡へと伸びる道道1160号線沿いを進むこと5分。
田園風景の先にある洗練されたショップには明るい日差しが差し込み、
東川というまちのもつ、自然に寄り添ったアクティブな雰囲気に馴染む
ウェアや雑貨が並びます。

メンズは〈MOUNTAIN RESEARCH〉を主軸に〈and wander〉や〈SASSAFRAS〉など、
すぐに着たくなる、使いたくなる商品が並びます。
ウィメンズでは〈ORCIVAL〉〈NO CONTROL AIR〉など、
タウンユースもできるユニセックスなムードのブランドを取り扱っています。

and wanderのサコッシュなど、アウトドアだけでなく手にした人それぞれの使い方ができるアイテムがたくさん。

共通したコンセプトは、
“山に行くときも山を降りてからも着られる、永く使える上質なもの”

「すぐ外がアウトドアのフィールドという東川のまちで、
SALTが扱っているものの物語や背景を、
お客さんがリアルな魅力として感じてくれたら一番うれしいですね」

そう語るのは、東川のまちで生まれ育ったオーナーの米山勝範さん。取り扱うものを通して、
自身が培ってきたこのまちでの遊び方や暮らし方を訪れる人に伝えています。

自然体で東川の暮らしを楽しむ米山勝範さん。「戻ったときはまだ周りにお店もなかったけど、北の住まい設計社の渡邉さん夫妻の暮らしを見て、東川に可能性を感じました」

ウィメンズのセレクトは奥さまの知美さんが手がける。自身も愛用する長く飽きのこない日常着を提案。SALTはカジュアル寄り、週末オープンの〈due SALT〉では女性らしいブランドをセレクト。

ショップ奥の木陰で、カフェタイムも

店内にはドリンクのテイクアウトができるカフェスタンドを併設。
注文すると、店の奥にある広々としたウッドデッキのカフェスペースに出られます。
チェアに腰かけて風に吹かれるひとときは格別。その奥に佇むテントは、
取引先の〈MOUNTAIN RESEARCH〉代表の小林節正さんから譲り受けたものだそう。

木々の緑に包まれたウッドデッキはカフェ利用者専用。MOUNTAIN RESEARCH〈HOLIDAYS in The MOUNTAIN〉のCpt.S社のベンチとカーミットチェア用のカスタムキットがおしゃれ。

とろりとした飲み心地のクランベリージュース(350円)、美瑛の〈Gosh〉によるオリジナルブレンドのコーヒー(350円)。

ベッドが入るテントはいっとき小林さんの山生活に使われていたもの。ブランドのディスプレイに、友人用ゲストハウスにと活用。

東川町〈北の住まい設計社〉
メイドイン北海道の家具づくりと
未来を見据えた北の暮らし

家具工房と、北国のライフスタイルショップ

大雪山のふもとで、真摯な家具づくり、家づくりをしながら
めぐる季節に寄り添う暮らしをのびのびと楽しむご夫妻がいます。
東川町道の駅から車でおよそ10分。山沿いを走るクラフト街道の先に現れる、
木々に囲まれた、まるで北欧の村のような建物群。
廃校となった小学校に家具工房を構え、
オリジナルの道産無垢材の家具づくりや自然素材の家づくり、
また生活雑貨ショップ、カフェを営むのが〈北の住まい設計社〉です。

自然を生かし、自然に寄り添う北国の暮らしをトータルで提案するショップには、
雰囲気ごと持ち帰り、長く大切に使いたくなるものとの出会いが待っています。

北の住まい設計社入り口に建つ大きな家。2階はオリジナル家具のショールーム、1階は雅美さんがプロデュースする生活雑貨を扱うショップ。

小学校跡地で始まった家具づくり

代表の渡邉恭延さん、雅美さんご夫妻は北の住まい設計社を1977年にスタート。
工房となる廃校の小学校に出会い、東川へ移り住んだのが1985年のことでした。

「自分たちの生業として、できることを通して人生や暮らしに触れながら、
北海道の四季折々の自然にリズムを合わせた生き方を表現していくと決め、
北の住まい設計社という名前をつけたんです」

雅美さんは、設立当時の思いをそう語ってくれました。

北の住まい設計社の家具は、元小学校の工房で加工を、別棟で乾燥や布貼りを手がけています。どの作業も職人の手仕事が中心。

その頃から家の設計を手がけることもあった渡邉さんご夫妻は、今と同じ
無垢材や天然素材の塗料を使った家づくりを提案していたものの
一般的にはその意識が浸透していなかったことから、
はじめの一歩として、オリジナルの家具づくりを始めます。

大手企業の下請けの仕事を経てオリジナルの家具を手がけ始めた頃、
研修に入っていたスウェーデン人学生デザイナーとの出会いが、
ご夫妻のものづくりに北欧デザインの要素を吹き込んでいきます。

すべて道産材でつくられる〈THE FOREST〉シリーズ一番人気、幅のサイズを変えられる〈エクステンションテーブル〉。ベテランの職人が熟練の技で組み立てていく。

乾燥中のエクステンションテーブル。仕上げに塗るのは体やさしい植物性のオイルなので、工房の中は木のいい香りが漂う。

「1年間ここで働いた学生の彼がここに残してくれた家具づくりの情報や
人とのつながりは大きく、そこから、自分たちのいいと思う北欧テイストの
生活雑貨も取り扱うようになったんです」

平泉町、世界遺産〈中尊寺〉は
平安美術と物語の宝庫。
赤いスーツのガイドさんが案内

岩手県一関市と平泉町を舞台に進めるこの連載の
第4回目は、近年世界遺産として登録された「平泉」をレポート。
古くから観光名所で親しまれた史跡のひとつ〈中尊寺〉だが、
長年その魅力を伝えてきた地元でおなじみのガイドさんたちがいる。

東北の地で独自に発展。平安美術の宝庫

平泉は、「仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群」として
2011年に世界遺産に登録され、平泉町に点在する中尊寺、毛越寺、
観自在王院跡、無量光院跡、金鶏山の5つの構成資産からなる。

真っ赤なユニフォームに身を包み、しゃんと背筋を伸ばした立ち振る舞いが若々しいガイドの向井早苗さん。

「平泉には仏教の中でも、とくに浄土思想の考えに基づいてつくられた、
さまざまな寺院・庭園及び遺跡が一群として良好に保存されていたことが、
世界遺産への登録の際に評価されたポイントでした。

それらの寺院や庭園は、度重なる戦乱によって荒廃していた当時の平泉に、
平和な思想世界をつくり出そうとしたもの。
海外からの影響を受けつつも、日本で独自に発展を遂げたものなんです。
平泉の理想世界の表現は、ほかにないものとされています」

中尊寺の門前で、まるで自慢の家族を紹介するように、
親しみを込めて話す向井早苗さん。
真っ赤なスーツが愛らしい〈平泉町観光ガイド事務所〉に所属するガイドさんだ。
彼女たちが着ているこのユニフォームは、半世紀近くデザインは変わっておらず、
地元では、誰もが知っている中尊寺ガイドのシンボルカラーなのである。

「いい歳をして赤いスーツなんてちょっと恥ずかしい気もありますけど、
地元の女性にとっては憧れのユニフォームだった。
だから、誇らしい気持ちのほうがちょっと強いかしら」

今年75歳になる向井さんは、ガイド歴50年の大ベテラン。
中尊寺境内で、北東北地方の歴史に触れながら、中尊寺はもちろん、
毛越寺などほかの世界遺産の構成資産についての説明をしてくれる。
女性ばかり、15名の同僚たちとともに、
大晦日以外は個人・団体問わずガイド業務を行っている。

中尊寺全体マップ。(中尊寺HPより引用

ひとつの山がまるっと、物語あふれる場所

定番コースは、ガイド事務所もほど近い中尊寺表門から続く
月見坂から中尊寺本堂、そして金色堂と讃衡蔵を巡るコース。
その間、参道沿いに点在する小さなお堂や神社など、
つきっきりでそれぞれの個人的なおすすめスポットの情報などを交えながら、
みっちり1時間30分ほどかけて丁寧にガイドしてくれる。

この坂で月見を楽しんだことから「月見坂」と呼ばれるようになった。

樹齢400年ほどの立派なスギの木が立ち並ぶ月見坂を歩きながら、
向井さんの中尊寺ガイドが始まった。

「西暦850年に、宮城県、松島の〈瑞巌寺〉や山形県の立石寺などを開いた
比叡山延暦寺の高僧・慈覚大師円仁によって開かれ、平安時代に奥州を治めた
奥州藤原氏の初代・清衡公が建立したのがここ中尊寺です。

中尊寺は、山号を関山(かんざん)といいます。
17の寺院により構成される天台宗の一山寺院で、本堂や金色堂だけではなく、
小さなお堂、すべての総称として中尊寺と呼ぶのです。
山号の『関山』は、平安時代前にこの辺にあった『衣川関』の『関』。
お隣の一関市の『関』ではないんですよ(笑)、よく間違われているようですけどね」

北海道〈ゴロンタトマトジュース〉
一度飲むと忘れられない味。
そのおいしさの秘密は?

まるでフルーツのようなさわやかな味わい

〈ゴロンタトマトジュース〉。
一度聞いたら忘れない名前のこのジュース。そして、
一度飲んだら忘れられないおいしさのジュースでもあります。
旭川空港から車で約30分、大雪山の麓に広がる旭川市の美しい丘陵地帯、桜岡地区で
不耕起栽培、無農薬のトマトづくりを手がける〈パラダイスファーム〉。
塩も水も使わず、トマト100パーセントでつくられる贅沢なゴロンタトマトジュースは
併設の〈SHOP ゴロンタ〉で手に入れることができます。

直売所〈SHOP ゴロンタ〉はファームを営む大井健太郎さんが古い納屋を移築してリノベーション。右にはトマトジュースをつくる〈工房 ゴロンタ〉がある。畑からは旭岳の山頂が望めます。

ひとくち飲むと、トマトの濃厚な甘みの中にほんのりと酸味も感じられ、
驚くほどさわやかなおいしさが体に染み渡るよう。
トロリとした飲み心地でえぐみもなく、まるでフルーツの後味。
普段はトマトジュースが苦手な人が、ファンになってしまうという逸品です。

訪れたのは、ちょうどトマトの収穫時期。とれたての美しいトマトはみずみずしく、かぶりつくと甘みとともに本来の酸味がしっかり味わえる。

おいしさの秘密

ゴロンタトマトの収穫時期は7〜9月。種から育てているという品種は
サカタの〈シンディースイート〉中玉と大玉の2種類。
トマトジュースは、このふたつをブレンドし、皮と種を除いた
トマトから出る水分だけでじっくりと煮詰められてできあがります。

現在は、収穫するトマトの9割をジュースに加工。
夏の収穫期に1年分のジュースをつくり、保存しているそう。
全体で5000株というトマトのハウスには、整然とトマトの木が並び
あちこちで真っ赤に熟れたトマトが、最初の収穫期を迎えていました。

日差しのたっぷり入るハウスで育つ中玉トマト。1本の木で10段もの実をつける。

先に熟れるのが大玉トマト。無農薬で育てているものの虫の被害もないというゴロンタトマトはつやつやで生命力に満ちているよう。

案内してくれたパラダイスファームの代表、大井健太郎さんに
ゴロンタトマトジュースのおいしさの理由をうかがうと、

「トマトを樹で完熟させていることですね」と教えてくれました。

「普通のトマトジュースの、収穫してから追熟させて赤くするやり方とは
甘みがまったく違うんです。その分、トマトの樹に負担がかかるし
病気になりやすいので管理が大変ですが、味を落としたくないので、
こだわってこのスタイルを続けています」

帯広畜産大学を経て、在学中に農作業の楽しさに目覚め、農家を志したという大井健太郎さん。

東川町〈大雪山旭岳源水公園〉
清流とコケも幻想的!
大雪山が育む美しき甘露の水

マイナスイオンたっぷり、湧き水の公園

東川のまちから旭岳、天人峡方面へ伸びる1160号線を
車で走ること30分ほど。忠別湖を越え、旭岳へと向かう道に
入ってすぐを左折すると〈大雪旭岳源水公園〉が見えてきます。
旭岳をはじめとした大雪山連峰の地下深く蓄えられる
雪解け水が何十年、何百年かけて自然に濾過された
清冽な湧き水を、自由に汲むことができる名所です。

きれいに整備された〈大雪旭岳源水〉への入り口。

駐車場直結の、いつも多くの人でにぎわう取水場〈源水岩〉から
小道を挟んだ向こうには、源泉から流れ出る川に沿って遊歩道があります。
ふかふかの苔や瑞々しい緑が生い茂る川岸を眺めながら、
空のマイボトルを忘れず持参して、300メートルほど先にある源泉へ。

国立公園内に位置するため、森林が守られていることも湧き水が豊かな理由のひとつ。

ミネラルが豊富な旭岳源水が流れる川べりの緑は力強く、ひとつひとつが小さな森のように苔むした石の姿も愛らしい。

緑に包まれた清らかな空気の中、遊歩道を歩くだけでも
心身がすっきりとリフレッシュされるよう。

道の先には、〈平成の水100選〉にも選ばれた、
毎分4600リットルという湧出量を誇る源水の取水口が並んでいます。
こんこんと湧き出る大雪山からの恵みを、ぜひその場で味わってみましょう。