北海道〈東川アウトドアセンター〉
走る森林浴! 自転車、カヌーなど
夏の大雪山を巡る、水の旅

東川の自然を満喫できるツアー

6月、日本一遅い雪解けと同時に、大雪山には短い夏が訪れます。
大雪ならではのさわやかな夏は、登山や散策はもちろんのこと
屋外でのアクティビティを楽しむには最高のロケーション。

〈東川アウトドアセンター〉が6月中旬〜9月中旬に開催しているツアー
〈水の旅〉は、大雪山の育んだ清流、忠別川に沿って自転車で山を下り、
ふもとにあるダム湖〈忠別湖〉でカヌーを楽しむという二本立て。
初心者でも安心して楽しめる、おすすめのツアーです。

まずは、サイクリングからスタート

大雪山の火山活動によって、上川の層雲峡と同時期にできたという天人峡の柱状節理を眺めながら。

サイクリングのスタート地点は、忠別川の上流にある〈天人峡〉入り口。
ここから忠別湖までは約10キロ、ガイドの大友泰治さんの案内で
景勝ポイントに立ち寄りながらゆっくり進んで約1時間の下り坂です。
比較的傾斜がゆるやかで車通りも少ないため、
東川からのサイクリングコースとしても人気のある道のりだそう。

車道やトンネルでの走行、スピードの出し過ぎに気をつけて、いざ出発!

奇岩のそびえる〈七福岩〉に立つ景勝ポイント案内図。天人峡の奥にある日本の滝百選のひとつ〈羽衣の滝〉は、2013年の土砂崩れにより残念ながら現在も通行止め。

忠別川の支流クワウンナイ川は大雪山国立公園の中心、トムラウシ山が源流。雪解け水がなくなる真夏、透明度を増す川はとても美しいそう。沢登りで山へ向かうコースの入り口でもある。

忠別川に沿った道沿いでは、崖に這うツルアジサイの花や
道脇に流れる湧き水の瀬など、車で走るのとはひと味違う
さまざまな風景が目に飛び込んできます。
深い緑が続く道はつい深呼吸したくなる気持ちよさで、
「走る森林浴」という大友さんの表現がぴったり。

自転車から降りて忠別川の岸辺でひと休み。7月初旬の暑い日も、未だ雪解け水が混ざる川の水はひんやりとしています。

大雪山の山々の名づけ親、
小泉秀雄を知ってる?
〈大雪山ライブラリー〉

知られざるパイオニアの足跡を集めたライブラリー

1911年に旭川へ赴任した、山形県出身のとある博物科教師。
以来、彼は大雪山を全山踏破し、膨大な植物を採集して
植生や地形、沢の名に至るまでを緻密に調べ上げ
大雪山の山々の名づけ親となり、その全容を世に知らしめるという偉業を果たします。

彼の名は小泉秀雄(1885〜1945)。その知られざる仕事や文献とともに、
大雪山を中心に集められた山岳資料を閲覧できるのが、
旭岳のふもと東川町に2016年に誕生した〈東川町文化芸術交流センター〉
1階にある〈大雪山ライブラリー〉です。

小学校だった建物につくられた東川町文化芸術交流センターは、大雪山ライブラリーのほか留学生たちでにぎわう日本語学校や、ギャラリースペース、おいしい定食で人気の〈ひがしかわ食堂ワッカ〉などが入っている。

東川町から、大雪山を望む。

大雪山は、最高峰の旭岳を筆頭に黒岳やトムラウシ山など
いくつもの山がゆるやかに連なる巨大な山塊。縦走を楽しむ登山者も多く、
冬はバックカントリーのメッカとしても知られます。

高山植物研究家として名を知られる小泉の北海道、本州での業績や
大雪山の山々のなかにある彼の名を冠した「小泉岳」に光を当てたのが、
〈日本山書の会〉会員の清水敏一さんでした。

若い頃から登山や山スキーに親しんできた京都出身の清水敏一さん。転勤で北海道の岩見沢市へ移住、現在は大雪山ライブラリーの専門員。小泉に関する書籍を何冊も手がけてきた。

ライブラリー開設とともに東川町に移住した清水さん。47歳のとき、登山仲間から

「大雪山には著名な人物の名前のついた山が多いが、“小泉岳”という山の由来は?」

と聞かれたことがきっかけで、謎に包まれた小泉秀雄の存在を調べ始めることに。
やがて、小泉が大雪山の学術調査研究の第一人者であり、
大雪山にある多くの山々の名づけ親であったことがわかっていきます。

登山家のみならず芸術家や作家も寄稿していたという日本山岳会の機関誌『山岳』(1917年刊)に発表された小泉の「大雪山登山記」。自宅のある旭川からの登山行程はもちろんすべて徒歩。

絵を得意とした小泉が手書きした登山ルート記録。現在の天人峡温泉から登山道へ入っている。「テント場」「お花畑」などの記載や、アイヌ語の沢の名も。

ぜひ訪ねたい!
北海道最高峰〈旭岳〉の
壮大なスケールの絶景と花畑

北海道最高峰からの眺めは格別

〈旭岳〉の標高1600メートルにあるロープウェイ姿見駅を出ると、
間近に迫る雄大な山の姿が目に飛び込んできます。

北海道のほぼ中央に広がる、国内最大の広さを誇る国立公園の大雪山国立公園。
標高2000メートルを超える大雪山系の山々の中でも最高峰の旭岳は、
その厳しい気候と緯度の高さから、
本州では3000メートル級の高山帯でしか見られない高山植物が豊富。
短い夏の期間には可憐な花々が一面に咲きほこり、
“天空のお花畑”と称えられる風景が待っています。

7月上旬でも残雪が見られる旭岳は、ちょうど新緑の時期。高山植物の時期は登山客が全国から訪れる。日本で唯一森林限界(森林として生育できる限界の場所)を越えるロープウェイからのパノラマの眺めも堪能したい。

麓のまち、東川町から車で約40分。
標高1100メートルの〈山麓駅〉から旭岳ロープウェイに乗れば、
5合目の〈姿見駅〉まで片道10分とあっという間。
姿見駅到着と同時に、高山植物や注意事項について常駐のガイドさんから
簡単なレクチャーが行われるので、初体験の方は参加してみて。

きれいな歌声で出迎えてくれた野鳥〈ノゴマ〉。喉が赤く愛らしい姿。

今回同行してくれるのは、旭岳のみならず大雪山全体に詳しいガイドで
ネイチャーフォトグラファーとしても活躍する、大塚友記憲さん。

夏の旭岳の楽しみ方、高山植物や絶景ポイントなどを教えてもらいながら、
1周1.7キロ、1時間ほどの〈姿見散策コース〉をベースに、
旭岳の雄姿はもちろん、希少な高山植物に出会える旅へと出発です。

2017年は例年に比べて夏の訪れが遅く、7月上旬でも大きな雪渓が。強風の吹く旭岳の天気は急変することも多く、下界とは気温差が10度を超えるため、脱ぎ着できる防水の上着は必須。雪の残る場所も多いので、登山靴か長靴で出かけましょう。

旭岳を望む第1展望台。これほどクリアな姿はまれだとか。冬はパウダースノーに包まれる旭岳には、世界初の人工雪を製作した中谷宇吉郎氏が雪の結晶観察や研究のため訪れている。

残雪のなかに咲く、可憐な花々

日本一遅い雪解けと日本一早い紅葉が訪れると言われる旭岳の夏は短く、
6月中旬から8月上旬のシーズンには、散策路沿いだけでも
20種類もの高山植物が花をつけ、短い夏を惜しむかのように、
美しい絨毯のごとく咲き誇ります。

お花を探すのはもちろん、あちこちから聞こえる鳥の声に耳を澄ましながら、
極上のおいしい空気を胸いっぱいに吸い込みましょう。

あちこちで群れて咲くチングルマが。あと1週間もすれば一面のお花畑シーズンが始まります。

最初に出会えたのが、落葉小低木のチングルマ。
その後は次々と、コメバザクラ、ヒメイソツツジ、
ツツジの仲間というエゾノツガザクラの群落も見つけることができました。
地面にへばりつくように咲く健気な姿は、
つい立ち止まって写真に収めたくなる愛らしさです。

第3展望台すぐそばの鏡池。すぐ左には摺鉢池があり、ふたつ合わせて夫婦池と呼ばれる。この辺りでは運が良ければエゾシマリスに出会えることも。

ハイマツが生い茂り、このマツをねぐらに日本ではここだけに生息する
希少な野鳥〈ギンザンマシコ〉を待つカメラマンがずらりと並ぶ
第3展望台を通りすぎ、夫婦池の間を抜けて第4展望台へと向かいます。
大塚さん曰く、旭岳の過酷な環境に育つ高山植物は成長が遅く、
特にこのハイマツは、年間で9ミリしか育たないそう。

「一年中風が強いので、冬は雪が降ってもほとんどが吹き飛ばされます。
雪がないと氷点下20度の世界なので、植物は枯れてしまう。
積雪より上には植物は育たないという過酷な環境なんです」

エゾノツガザクラ。

大塚さんに教えてもらった、散策路沿いに見かける穴は地熱の噴き出し口。穴の付近はほかの場所より早く雪解けが始まります。

北海道〈Villaニセウコロコロ〉
一棟貸し宿で、まちの日常を体感!
おすすめ東川のコーヒーショップへ

美しい山を眺めて、のんびり過ごすなら

道内でも有数のおいしい米どころとして知られる、
大雪山が宿した豊かな水が流れるまち、東川。
そんなこの土地を満喫するなら、自然に囲まれた一棟貸しの宿がおすすめです。

旭川空港から車で15分ほど走ると見えてくる
田園風景にそっと寄り添う3棟の愛らしいヴィラが、
大雪山を望む一棟貸しの宿〈ニセウコロコロ〉です。

〈ペロ〉のリビング。素材から厳選された建物は床材も棟ごと、部屋ごとに異なり、こちらはナラの木を、寝室にはウォルナットを使用。木のいい香りが深いくつろぎを誘います。

「ニセウ」とは、アイヌ語で「どんぐり」のこと。
アイヌの人々の暮らしに欠かせない存在だったどんぐりをモチーフに、
それぞれ間取りやインテリアに個性のある3つの棟にも
〈ペロ(ミズナラ)〉、〈チカプ(コナラ)〉、〈トゥンニ(カシワ)〉と
どんぐりの木の名前がつけられています。

どの棟もキッチン用具や食器、洗濯機まで揃った、美しい別荘のような佇まい。
暮らすように滞在できるしつらえが、すみずみまで行き届いています。

気持ちいい対面型キッチンつきの〈チカプ〉では料理も楽しみたい。夏なら野菜は車ですぐの〈道の駅ひがしかわ〉、新鮮な魚介はちょっと足をのばして旭川のスーパー〈ウェスタン〉へ。

新潟県燕市の〈吉田金属工業〉がつくるブランド〈グローバル〉の包丁をはじめ、キッチンの引き出しには、使ってみると良さが実感できて自分の暮らしにも欲しくなる上質なアイテムが並びます。朝食用にパンや卵などの〈ひがしかわのおいしいものセット〉が用意されているのもうれしい。

木材や漆喰など、体にやさしい空間

旅好きのオーナーの正垣智弘さんご夫妻が、自身の旅経験やこだわりを生かし
理想をかたちにしたという建物は、
東川に家具工房とショップ&カフェをもつ〈北の住まい設計社〉に依頼。
機能的でナチュラルな雰囲気をもつ空間と調和するような
雑貨やキッチン道具のセレクトはご夫妻自らで行い、
各棟とも北欧のようにシンプルな心地よさに包まれています。
3棟それぞれの特長や、オープンまでの詳しい経緯についてはコロカルのこちらの記事で。

朝を迎えるのが楽しみになる、光の美しい〈チカプ〉の洗面台。清潔感あふれる白いタイルがポイント。壁には調湿効果のある珪藻土を使用していて、室内の空気も清々しい。

一関、湯治トレッキングの旅!
秘湯〈須川高原温泉〉と栗駒山へ

岩手県の南端にある岩手県一関市には、
昔から地元民に親しまれ、知る人ぞ知る山の上の湯治場がある。
ほぼ秋田県と宮城県と岩手県の3県の県境にある栗駒山の〈須川高原温泉〉だ。

……宮城県と岩手県の県境近くの山の中に、小さなひなびた湯治場を見つけ、
そこでいったん移動を中断することにした。
深い渓谷の奥にある名もない温泉で、
地元の人々が療養のために長逗留するような宿だった。……
村上春樹『騎士団長殺し:第1部 顕れるイデア編』(新潮社)より

実は、村上春樹氏の長編小説にも登場し、
傷心の主人公の男性があてもなく旅をしながら行き着いた
その「ひなびた湯治場」をイメージさせる場所は、一関市の西端にある。

須川高原温泉の大露天風呂。湧き出てすぐは、無色でコバルトブルー。時間が経つと乳白色に変化。

自然が深い、栗駒国定公園の主峰・栗駒山の入り口に位置する須川温泉は、
修験の場として人が入り始めた1130年前に開湯したと伝えられる秘湯だ。
携帯電話もほとんどつながらず(2017年7月時にソフトバンクは圏外)、
原生的な自然以外にはこれといった娯楽もない。

標高1626メートルの栗駒山は、岩手県、宮城県、秋田県の3県にまたがり、
岩手県では「須川岳」の別称で親しまれている。
まずは、比較的初心者向けという須川岳を登ってみた。

真夏でも山頂の気温は10℃以下になることもあり、奥羽山脈の稜線ゆえに天気が変わりやすいので、しっかりとした装備を忘れるべからず。入山にあたっては、登山道口の施設で入山届けを提出すべし。

山の上のお花畑は、メルヘンチックワンダーランド

この山の魅力は、登山ルートが豊富なこと。1時間ほどで登れる緩やかなコースから、
湿原、峡谷、湖沼、ブナの原生林など変化に富んだ地形を楽しみながら
約5時間かけて登るベテラン向きのコースなど、10以上のコースが楽しめる。

岩手県、宮城県、秋田県にまたがる栗駒山は、各県から登山口があり、温泉が沸き出している。マップの赤線が登山道左奥は宮城県、右は秋田県へと続く。(Googleマップより作図)

「一関側からのルートだと、高山植物を楽しめる往復3時間弱の『須川コース』。
須川は、高山植物の宝庫として知られていて、
季節ごとにいろんな草木を楽しむことができる。
5〜6月はミツバオウレンやミネザクラ、
6〜7月のイワハゼにワタスゲ、7〜8月にはイワショウブ。
可憐な高山植物を愛でつつ、写真に収めながら歩くのにちょうどいい、
緩やかな勾配が気持ちいいよ」

そう話す千田典文さんは、地元の一関第一高校在学中から、
50年近く須川岳に登り続ける、岩手県認定の熟練のネイチャー・ガイドだ。

須川岳をはじめとする岩手県内外の山に登りまくること約50年の千田典文さん。岩手県認定の環境アドバイザーとして、取材前日も岩手山のガイドに赴いていたという健脚の持ち主だ。高山植物の知識は博士級。

ちょうど見頃を迎えていたオオバキスミレ。厳しい冬を乗り越えて一時だけ花を咲かせる高山植物の一生は、東北の人のよう。

可憐なピンク色のツリガネツツジ。

この日は秋田県側入り口から八幡平、地獄釜、賽の磧(さいのかわら)を抜け、
まずは、名残ヶ原へ。

幻想的な雰囲気のなか、八幡平から賽の磧へ抜ける。

「高山植物が多く群生するのは、
須川高原温泉の源泉から『ゼッタ沢コース』に向かう途中にある
〈展望台〉と呼ばれる辺り。7月頭のちょうど今頃だと、
通称〈お花畑〉と呼ばれる名残ヶ原の湿原は、
ワタスゲが残っているんじゃないかな」(千田さん)

その言葉通り、お花畑にはタンポポの綿毛にも似たワタスゲが群生しており、
どこかメルヘンチックな雰囲気が広がっていた。

山間に突然広がるその光景は、文字通り“お花畑”。季節に応じて、花の色が変わる。取材時はワタスゲ畑に。

〈キトウシ森林公園家族旅行村〉
レンタサイクルと森のコテージ。
アウトドア滞在ならココ!

まちにも近い、自然豊かな遊び場

澄んだ空気をめいっぱいに吸い込みながら、
気の向くまま美しい自然や一面に広がる田園風景、気になるお店を自転車で巡る……。
夏ならではの東川の魅力をたっぷり体感するなら、
誰でも気軽にトライできるサイクリングがおすすめ。

まちの北側に位置する〈キトウシ森林公園家族旅行村〉は、
レンタサイクルで最新式の高性能な自転車のレンタルができるほか、
一棟貸しケビンでゆっくりとした宿泊も楽しめる、人気のスポットです。

(写真提供:キトウシ森林公園家族旅行村)

アイヌ語で「ギョウジャニンニクが群生する」を意味するキトウシ。山をそのまま生かした、のどかで心地よい自然に包まれています。

超軽量のレンタサイクルで、リフレッシュ!

標高457メートルの岐登牛(キトウシ)山一帯に広がるキトウシ森林公園は、
東川のまちや道の駅から車で10分。
レンタサイクルの受付は駐車場側の事務所で行っています。
アウトドアブランド〈モンベル〉が
日本の地形や日本人の体格に合わせて開発した自転車〈シャイディック〉は
約9キロで、女性でも簡単に持ち上げられる軽さ。
初心者向きから上級者用まで、ハンドルの異なる3タイプから選べます。

今回取材で利用したのは〈ブルホーンハンドル〉タイプ。長く走行しても手の置き所が変えられて重心を動かしやすい。乗り手に合わせて高さを調節しているところ。

大雪山まわりのサイクリングの魅力は、風景のすばらしさはもちろん、
サイクリングロードの整備がしっかりとされていること。
さまざまなコースがあるので、レベルに合わせて選ぶことができます。

「サイクリングで回る東川は最高ですよ! 
ここから出発するなら、少し上級者向けですが、
忠別(ちゅうべつ)ダムへ向かうコースがおすすめ。
車では入れないダムの堤防から見える旭岳や湖がとてもきれいなんです」
そう教えてくれたのは、
キトウシ森林公園を管理する東川振興公社の莫日根(ムリグン)さん。
さっそく、東川ならではのサイクリングコースへと出かけてみましょう。

北海道、旭岳温泉〈湯元 湧駒荘〉
5種の源泉はすべてかけ流し。
静かに過ごす、山の美食宿

道産木材の山小屋ツインがリニューアルオープン!

あたり一面が輝くような緑に包まれる大雪山の夏。
この時期、全国から多くの登山客が訪れる旭岳ロープウェイのほど近くに、
名湯とうたわれる旭岳温泉があり、数軒の宿泊施設が建ち並びます。
冬季の積雪量が45メートルを超えるという旭岳。
大雪山国立公園の雄大な自然に抱かれた、まさに秘湯の宿です。

なかでも、ていねいな料理が味わえ、地下で豊かに蓄えられた
湧き水〈湧駒水(ゆこまんすい)〉とともに5種類もの源泉をもち、
3つのかけ流し温泉を湯巡りできるのが〈湯元 湧駒荘〉(ゆこまんそう)。

訪れたのは7月上旬。緑に包まれた宿の入り口からは旭岳の雄姿が見えます。

山の上の秘境にありながら旭川空港から車で45分とアクセスのいい湧駒荘。
ふもとのまち東川へも片道30分で行き来できます。

滞在するなら、木造建築を改装した別棟2階に
2017年6月にオープンしたばかりのハイグレードな洋室〈山小屋ツイン〉がおすすめ。
本館の趣ある和室とはまたひと味異なり、
北海道の素材やつくりにこだわった、上質な安らぎを感じられる空間です。

傾斜のある天井が高く、広々とした印象の山小屋ツイン。温泉のあとは東京西川の最高グレードの寝具に体を沈めよう。マットレスは快適な睡眠を提供する〈Air〉を採用。

あたたかみのあるサイドテーブルとチェア。木の質感を生かした家具は旭川家具の老舗〈匠工芸〉が手がけています。

自分で挽いた豆でゆっくりとコーヒーを淹れる。そんなくつろぎのひとときも楽しみのひとつ。豆は函館の老舗店〈美鈴コーヒー〉。

ホタテの貝殻でつくられた漆喰があたたかみのある白壁。
高い天井を見上げると、北海道でかつて主に大きな建物に使われた
洋小屋トラスと呼ばれる構造が、どっしりとした存在感を放っています。
建材はタモやトドマツなど北海道産。
地元の素材に包まれた空間でまずはゆっくりとひと息ついたら、
お楽しみの湯巡りに出かけてみましょう。

毛利悠子、大きな作品への旅。
札幌国際芸術祭2017
参加アーティストが旅する北海道

撮影:在本彌生

札幌市内各所で開催され、話題となっている札幌国際芸術祭(SIAF)2017。
公式ガイドブック『札幌へアートの旅』では、
参加アーティストたちによる北海道の旅も紹介している。
その中から、札幌市立大学で作品を展示中の毛利悠子さんの寄稿を掲載。
「スカイウェイ」と呼ばれる、キャンパスをつなぐ長い空中廊下で展開される作品に
インスピレーションを与えた旅。
ぜひこの文章を読んでから作品を体験してほしい!

北海道の海、そして炭鉱遺産へ

大きな作品がつくりたいと思った。
それは、今回のゲストディレクターである大友良英さんから
SIAF2017へのお誘いの電話をもらった時点でうっすらと考え始めたことなのだけれど、
それが、空間的に大きいものなのか、大きな彫刻のことなのか、
時間が長いものなのか、音が大きなものなのか、その時点ではまだ見当もついていない。

大きな北海道の大地で大きな作品を制作する! といささか単純すぎる思考回路に
自分でもあきれつつ、特に具体的な目標を決めずにふらっと旅に出ることにした。
偶然に出会った風景からひとつの道筋を見つけられればと淡い期待を込めながら。

とはいえ、選択肢がメチャクチャ多い北海道。
小樽、根室、別海、知床などを横断していたら、SIAFの会期が終わってしまう。
ひとまず気になっていた場所をさらっと2泊3日にあてはめてみると、
意外にすてきな道のりになった。
石狩の海から始まり、ゆっくりと河口の上流へと身を任せて
音威子府(おといねっぷ)まで北上する、という行程だ。

SIAFスタッフ斎藤ふみさんの運転で、まずは真勲別川(まくんべつがわ)のほとりにある
〈石狩川治水史資料館(川の博物館)〉へ。
ここは事前に電話予約することで、普段は水流管理をしている方が
わざわざ展示の説明をしてくれるシステム。

展示物からは、当時の水害から田畑を守るために
どのような土木の発展があったかが学べる。
実際につくられた人工の川(放水路)を眺めることもできた。
そこから少し北上すると、日本海側にある石狩湾に着く。
初めて訪れる北海道の海で、しばらく深呼吸をした。

数年前、詩人の吉増剛造さんが制作した多重露光写真の作品『廃バス』を購入した。
錆びた亡霊のような姿で写されたバスが
廃材のユートピアのように見えるところが気に入っているのだが、
実はこの光景は湾からもう少しだけ河口のほうに行ったところで撮影されたものだったと、
この数か月後に吉増さん自身から教えてもらうことになる。

前回のSIAFでは水が大きなテーマでもあり、川や海を見ることから旅がスタート。

水の流れをさかのぼるように移動し三笠市に到着。
前回のSIAFと同じ2014年、
ここで〈そらち炭鉱(やま)の記憶アートプロジェクト2014〉という
アートプロジェクトが展開されていた。

私は前回のSIAFに参加していたので、炭鉱の跡地で展示されている
岡部昌生さんや端 聡さんのインスタレーションの噂は耳にしていたのだが、
自分の展覧会準備に追われてしまい、結局訪れることはかなわなかった。
そういった経緯もあったので、アートプロジェクトが
行なわれている時期ではなかったけれど、訪れてみることにした。
かつて北海道の産業を支えた場所はどのようなところなのだろう。

夕張で炭鉱遺産を活用したまちづくりに取り組んでいる
〈清水沢アートプロジェクト〉の佐藤真奈美さんに案内していただく。
まずは幌内(ほろない)炭鉱跡地で、石炭を輸送した線路や
坑口跡(入口はブロックで塞がれていた)などを手づくりの路上地図に沿って見学する。

夏にぴったりなハイヒールを履いていたところ、佐藤さんに
「えーと、その靴だと一気にダメになります」と指摘され、
大荷物を積んだ車のなかから長靴を引っぱりだしてもらった。
ワンピースに長靴を履いて、なんだかグーニーズ気分(そんなシーンはない)。
建物跡には草木がまとわりついているが、当時の炭鉱仕事の様子へと想像が膨らむ。

続いて訪れた旧幌内変電所は、つい先日まで使われていたのではないかと思うほど
しっかりとした建物だった。
大正中期(約100年前)に建てられたというのに、やけに生々しい。

ふと足元を見ると、乳白色の茶碗のようなものがいくつも転がっている。
陶器でできた碍子(がいし)であった。
建物の外観と比べるとまだつるりと真新しく、握ると少しヒンヤリした。
思わず持ち帰りそうになったけれど、グーニーズ的には、
持って帰ることで大きな岩が転げ落ちてくる展開になるのでグッとこらえた。

送電などに使われる、絶縁のための陶磁器製の器具、碍子。作品に使いたい欲望が……。

さらに2、3分ほど歩いたところには、
炭山と地域守護の山神信仰を司る幌内神社の跡があった。
現在は本殿などの建物はすべて撤去されていて、
石が崩れた灯籠や鳥居だけが残されていた。
炭鉱は平成元年に閉山し、建物だけが残された。
草木がまとわりついて遺跡のようになったもの、まだ生々しく建ち続けるもの、
そして跡形もなく消えていったものが同居する、不思議な空気が漂う場所だ。

さらにもう少しだけ車を飛ばして、旧市街地をまわってみる。
そこで目にしたのは数々の廃屋だった。
建具や家具は瓦礫となって、将棋崩しの駒のように青空の下に積まれている。
これらは人の手によって積み上げられたのではなく、むしろ人が住まなくなった途端に
雪の重みによってきれいに押し潰されていったのだという。

瓦礫といえば、東日本大震災後の福島県浪江町を訪れた際に見た
トラクターによって道路脇に積まれた建具や街路灯が思い起こされたが、
ここの印象はそれとはまた少し違ったものだった。

雪で潰れていく炭鉱住宅。北海道の隆盛の象徴であり失われていく風景である炭鉱に、ぐっとくるという毛利。

飛騨市〈FabCafe Hida〉の グリーン・ツーリズムで ハイテクなものづくりにトライ!

2017年8月、岐阜県飛騨市にある〈FabCafe Hida〉にて、
森とものづくりを楽しむ宿泊プランがスタートしました!

FabCafe Hidaは、コロカルでもおなじみのヒダクマこと〈飛騨の森でクマは踊る〉
2016年4月にオープンした施設。

築100年を超える古民家を改装した建物のなかに
宿とカフェ、デジタル工房があり、
木工やデジタルものづくりなどを体験できるようになっています。

飛騨の森でクマは踊る(通称ヒダクマ)は飛騨市と、林業・地域再生を手掛けるトビムシ、ロフトワークの3社が手を組み、広葉樹の活用を通じて地域活性を目指す会社。社名には「クマも踊り出すような健康な森にしよう」という想いがこめられています。

本宿泊プランは、FabCafe Hidaが
農林漁業体験民宿(※)に登録されたことを機に始まるもの。

〈森の宝物探しピクニックプラン〉〈初めての木工体験プラン〉
〈オリジナル家具DIYプラン〉の3つがあり、
飛騨の自然を満喫しながら、森歩きやものづくりに挑戦できます!

※ 農林漁業体験民宿:農林漁業体験民宿とは「施設を設けて人を宿泊させ、農山漁村滞在型余暇活動に必要な役務を提供する」宿。農林水産大臣から「登録実施機関」 の登録を受けた一般財団法人 都市農山漁村交流活性化機構が運用しています。

おいしい長野県の野菜を味わう! 信州デスティネーション キャンペーンに合わせイベント続々

〈銀座NAGANO〉やエキナカに長野の旬がたくさん!

信州を代表する農産物や伝統食、地酒やジビエなど、
信州の暮らしを感じるさまざまな商品をセレクトした
東京・銀座のアンテナショップ〈銀座NAGANO〉。
2014年3月のオープン以来、2階のイベントスペースでは、
長野にまつわる多彩なイベントが行われています。

長野県の農産物や食材、伝統食、世界に誇るNAGANO WINEや地酒、ジビエなど、長野県の暮らしと季節を感じるさまざまな商品と施設を取り揃えているアンテナショップ〈銀座NAGANO〉。

6月に開催されたもののひとつが、「信州産の旬を発信! 
野菜ソムリエKAORUと信州の旬を愉しもう!」というイベント。

全国第1号のシニア野菜ソムリエとして活躍する長野県出身のKAORUさんを進行役に、
「美しすぎるタクシードライバー」としてタレント活動も行う
長野県安曇野市出身の生田佳那さんをゲストに迎え、
自然豊かな長野県で生産される農産物を試食しながら、
その特徴やおいしさをKAORUさんが解説する企画でした。

「旬の時期の野菜はおいしく、見た目の美しさも香りも楽しめるのはもちろん、栄養価も高く、本来、人間の体がその時期に求める栄養素をバランスよく含んでいます」と長野県の旬の野菜を紹介したKAORUさん。

KAORUさんによると、全国4位の面積を誇る長野県は、
日本アルプスをはじめとする2000~3000メートル級の山々に四方を囲まれ、
南北に広く四季の変化に富んだ地域のため、
野菜や果物、米、きのこなど、バラエティに富んだ農産物が生産されているそう。
また、内陸地特有の気候によって昼夜の寒暖差が大きいため、
長野県産の農産物には旨みがギュッと蓄えられているのが特徴だと言います。

そして、農地の標高差を生かして旬の農産物の収穫期が次々とリレーをする
「産地リレー」ができることで、長期出荷が可能なのだとか。
さらに、長野県は関東や中京、関西などの大消費地からも近距離のため、
新鮮な農産物をいち早く都市に出荷できているそうです。

今回は、そんな環境で生産されている長野県の旬のレタスやセルリー、夏ハクサイなど、
15種類の長野県産食材をふんだんに使った「信州森のごちそうサラダ」や、
夏ハクサイとリンゴジュースを使ったヨーグルトスムージーなどを味わいながら、
旬の野菜の見分け方や栄養素、おいしい食べ方などについてトークを弾ませました。

リンゴジュースのドレッシングでさっぱりと味わった「信州森のごちそうサラダ」。レタスやセルリー、ズッキーニやキノコなど、長野県産食材がたっぷり。

デザートには、大阪の名店〈FORMA〉の信州産ブルーベリーを使用したチーズケーキと、長野県産あんずを使用した〈OGGI〉のアプリコショコラテリーヌが登場。

客席ではトークに耳を傾けながら、次々と登場する試食も楽しみました。

実は、こうした長野県産の野菜やスイーツにまつわるイベント、
JR東日本の駅構内でも開催されています。
9月30日までJR東日本の駅構内や新幹線車内で開催されているのが、
地域の素材を生かしたスイーツやお土産を開発し、販売する
〈地域素材応援プロジェクト〉。
長野県産のブルーベリーや信州ジビエを使った44アイテムが販売されています。

長野県はブルーベリーの生産量日本一を誇ります。

また、JR東日本のエキナカ商業スペース〈エキュート〉では、7月23日まで、
信州産食材を使用したオリジナルメニュー全55種を販売する
〈“心のごちそう”信州〉も開催中。エキュートに出店している各ショップで、
〈“心のごちそう”信州〉に沿うオリジナルメニューを開発する企画です。

デザートで提供されたOGGIのアプリコショコラテリーヌもこの〈“心のごちそう”信州〉のために開発されました。JR上野駅構内〈エキュート上野〉で販売中。

スマイルズの〈檸檬ホテル〉は 泊まって鑑賞して楽しむ 体験型アート作品

香川県の豊島に、古民家を改装した体験型アート作品があります。
その名も〈檸檬ホテル〉。
なんでも、鑑賞することも泊まることもでき、
宿泊はキャンセル待ちが出るほどの人気なのだとか。

作品なのにホテル?なぜ人気なの?と
疑問がわいてきますが、いったいどんなホテルなのでしょうか。

シンボルマークデザイン:takram design engineeringの渡邉康太郎さん、山口幸太郎さん、太田真紀さん、前澤知美さん。

ホテルの“作者”は〈Soup Stock Tokyo〉
〈PASS THE BATON〉などを運営するスマイルズ。
〈瀬戸内国際芸術祭2016〉にアーティストとして
参加して〈檸檬ホテル〉を発表し、
会期終了後もホテルを作品および宿泊施設として運営しています。

檸檬ホテルは高台のレモン畑のなかにあります。
おもてなしも、豊島レモンを使った自家製レモンサワーに、レモンを効かせた料理、
レモンの木の下のお風呂、レモンで草木染めされた布などとレモンずくし。

古民家の改装を手がけたのは岡野道子建築設計事務所の岡野道子さん。

シンプルでいて、なんとも温かみのある空間です。
たしかにこんなに素敵なお部屋なら、一度は泊まってみたい!

〈LYURO 東京清澄〉 まちに開かれた シェア型複合ホテルが 隅田川沿いにオープン!

東京の下町エリア、江東区清澄にまちに開かれたシェアスペースや
ギャラリー、ショップ、コーヒースタンド、
ビールブルワリーなどを備えた“シェア型複合ホテル”がオープンしました!

その名も〈LYURO 東京清澄 -THE SHARE HOTELS-
(リュウロ トウキョウキヨスミ ザ シェア ホテルズ)〉は
2017年4月にグランドオープンしたばかり。
隅田川に面し、客室からは下町風情あふれるリバービューが見渡せます。

このホテルがユニークなのは、宿泊客だけではなく、
まちの人や清澄を訪れた人たちも利用できること。

夏の京都でよくみられる「川床」の東京版を目指した〈かわてらす〉。

上の写真は誰でも利用できる多目的スペース〈かわてらす〉。
2階デッキにあり、朝ごはんを食べたりヨガをしたりと、
いろんな使い方ができます。気持ち良さそうですね!

かわてらすへとつながる2階には、バーベキューレストラン〈PITMANS〉と
クラフトビールのブルワリー〈清洲橋醸造場〉も。

清洲橋醸造場はクラフトビールメーカー〈アウグスビール〉初のブルワリー。
アウグスオリジナルや谷中ビールなど、アウグスビールの
オリジナルクラフトビールがいただけます。

お部屋のタイプは、ゆったり楽しめる個室と、
2 段ベッドを備えたドミトリーのふたつ。

RIVER VIEW 個室タイプ

RIVER VIEW 個室タイプ

リバービューがのぞめる個室には、川に面したバスルームが。
夜にはライトアップされた清洲橋とスカイツリ―が見渡せ、
下町好きな方には、たまらないロケーションです。

高速船〈びっぐあーす〉で 天草諸島と長崎をもっと楽しむ! 新たな船旅、長崎~天草特別運航

世界遺産「明治日本の産業革命遺産」もめぐる船の旅

2017年7月7日、天草と長崎に新しい旅のかたちが生まれます。
長崎港と﨑津漁港をつなぐ片道約1時間40分の船の旅。
長崎~上五島航路をつなぐ高速船〈びっぐあーす〉が
2018年3月末までの週末限定で、長崎港~﨑津漁港の定期運航を始めるのです。
ひと足先に、その航路をめぐってみました。

ゆったりとした船旅を叶えてくれる高速船〈びっぐあーす〉。

10時10分に長崎港を出た船は、11時50分には﨑津漁港に到着します。
これまで船とバス、あるいは車を併用しても3~4時間以上はかかっていたこの区間を、
約半分の時間で行き来できるというのはかなりの朗報です。

しかもこの航路のすごいところは、ただの“移動”ではないということ。
最高の海景色と、キリスト教が布教した時代の面影を感じられるほか、
世界遺産「明治日本の産業革命遺産」にまつわる3つのスポットを
見ることもできるという、なんとも“おトクな船の旅”なのです。

朝夕は、上五島~長崎航路を運航。上五島~長崎~天草をめぐる船旅もおすすめです。

「坂のまち」や「丘のまち」とも呼ばれる長崎。
急勾配の山肌のあちらこちらに、空白を惜しむかのように
密集した住宅街が広がっています。

港を出た船は、両岸に建ち並ぶ造船所や巨大な船を眺めつつ、航海を始めました。
鉄の巨人のような風格を放つのは、電動クレーンとして日本で初めて建設された
三菱長崎造船所の「ジャイアント・カンチレバークレーン」。
現役ながら、「明治日本の産業革命遺産」の構成資産のひとつとして
世界遺産に登録された史跡でもあります。

坂道にそって家々がずらりと建ち並ぶ長崎のまち並み。

造船所が建ち並ぶ長崎港。三菱長崎造船所の「ジャイアント・カンチレバークレーン」。

下から見る女神大橋(ヴィーナスウィング)は圧巻です。

女神大橋(通称:ヴィーナスウィング)の真下を通り抜け、沖へ進むと、
炭鉱の島「高島」と「端島」が現われます。
明治から昭和にかけて良質な石炭を産出する炭鉱の島として賑わったふたつの島。
高島炭鉱と端島炭鉱は、日本の近代化を支えた場所なのです。
学校や病院、娯楽施設など、小さな都市として栄えた当時の面影をそのままに
無人島となり、美しい廃墟と化した端島は別名「軍艦島」として知られます。

船から眺める端島。シルエットはまさに軍艦そのものです。

〈宿ルKYOTO 和紙ノ宿〉 IoT設備を取り入れた 京町屋ゲストハウスが オープン

IoT(アイ・オー・ティー)とはモノのインターネット化、つまりこれまではネット化されていなかった
さまざまなモノがネット化されること。

このたび京都市・京都駅の近くに、〈トマルバ〉による
最先端のIoT設備を取り入れた京町屋のゲストハウス〈宿ルKYOTO 和紙ノ宿〉
がオープンしました。京都で初めての、IoT設備を取り入れた京町屋の宿泊施設です。

〈宿ルKYOTO 和紙ノ宿〉は、大正二年建造の、築100年の京町屋を
リノベーションした高級一棟貸しの京町屋ゲストハウス。
京都駅から徒歩9分のアクセスの良い立地にあります。

施設の中には、iPad端末を設置され、〈Smart VR Pad〉のアプリが常に起動しているので、
アプリから各機器の操作、運営会社への連絡が可能になるそう。
スマートロック、音感知センサー、スマートホームデバイスの機能などが搭載されています。
※導入は8月から

泊まれる立ち飲み屋 〈STAND BY ME〉が 福岡にオープン。 まちと学生をもっと元気に!

2017年6月15日、福岡市中央区大手門に
「泊まれる立ち飲み屋」をコンセプトとするホステル
〈STAND BY ME(スタンドバイミー)〉がオープンしました。

こちらは1階が立ち飲み居酒屋、2階・3階が宿泊施設になっているホステル。
飲んだ後に帰らなくていいなんて、うれしいですね!

オープン当日のようす。

お部屋にはドミトリータイプと個室があります。(写真は個室)

ドミトリー

「フレンドリーな立ち飲みスペースを持ったおせっかいホステル」をうたっている
こちらには、ほかにもユニークな仕掛けがあります。

そのひとつがフードやドリンクと交換できる「木札」(4枚1,000円)。
STAND BY MEでは、この木札が余ったら隣の人や若い人へシェアすることをすすめています。
たしかにこんなシステムなら、気がねなくおごれそう。

木札4枚(1,000円)で食べられる立ち飲みメニュー。

気になるメニューは、ほとんどが地元にゆかりのある料理。
それも「福岡のいい場所、どこですか?」という質問に応えたいという
“おせっかい”から生まれたもの。
「お客さんがこの店を媒介に地元の食材や場所を知り、現地まで足を運んでくれたら」
というのがオーナーの願いなのだとか。

立ち飲みメニューは、薬院大通駅にある人気居酒屋
〈二〇加屋長介(にわかやちょうすけ)〉がプロデュース。
「博多水炊き とり田の柚子胡椒でポテサラ」「福岡移住計画の鯖缶」
「鳥飼八幡宮のチーズ盛り」など、約30種類のほとんどのメニューが、
木札1枚でいただけます。

朝ごはんやランチも、すべて木札でやりとり。
モーニングもランチも、木札3枚で食べられます。

糸島産の「つまんでご卵」と〈ふくや〉の明太子、博多海苔、豚汁が食べられる和定食。

薬院にある人気店〈FRUCTUS〉の工房でつくられたグラノーラを九州産の牛乳、ヨーグルトと一緒に。

パンがおいしいブレッドブレックファーストは、大手門の人気ベーカリー〈ラグルッピ〉〈アルティザン〉とコラボ。

モーニングは、和定食、ヘルシーなグラノーラ、
ブレッドブレックファーストの3種から選べるそう。
朝ごはんがこんなに充実しているとは、おどろき!

春はサクラマスカレーが郷土の味。
北海道の小さな村から伝えたい
〈民宿きのえ荘〉若女将の挑戦

村から出たことがない女将による、
地域を知り尽くした宿

高台から神恵内村(かもえないむら)の漁港や集落を眺め、
海に沈む美しい夕陽を堪能できる。そんな場所に〈民宿きのえ荘〉はある。

女将の池本美紀さんは、神恵内生まれ、神恵内育ち。
なんと出産で10日ほど入院したのが、神恵内を離れた最長記録だという。
民宿を営む前は、銀行に勤めていた。しかし結婚と同時に民宿を始めた。

海を見下ろす場所に建つ〈民宿きのえ荘〉。

かつて積丹半島の海岸線を走る国道は、南の岩内方面から北上してきて、
神恵内で行き止まりであった。
現在のように積丹半島を東側までぐるっと1周することはできないから、
神恵内に泊まる宿泊客もいたという。
しかし平成16年に国道が開通し、積丹半島を1周することが可能に。
すると、神恵内に留まることなく通過するまちになってしまった。

「私は神恵内を出たことがありません。
高校を卒業して専門学校に進むと村から出る必要がありましたが、
村を出たくなかったので地元で就職しました。
結局、神恵内が好きなんですよね。だから人を呼びたいと思って宿を始めたんです」

昭和40年代に、池本さんの祖母が神恵内で民宿をやっていたことがあった。
その祖母の名前である「きのえ」をもらった。

漁港から宿まで、〈村田漁業〉がその日とれた魚を届けてくれるので鮮度はお墨付き。池本さんが着ているのは神恵内の岡田商店が発信する〈神恵内アンダーグラウンド〉のTシャツ。

夏になるとウニが有名な積丹半島。もちろんほかにもおいしい海の幸がたくさんある。
〈民宿きのえ荘〉の食事も季節ごとの旬の海の幸が満載。
池本さんの父親が漁師でもあるし、毎日、神恵内漁港にあがる魚が届けられる。

「神恵内のものを食べてもらいたいです。
このあたりでは子どもたちは、『今日もウニか〜、飽きたなぁ』なんて、
都会の人が聞いたら贅沢な愚痴を言ったりしてますよ」

きのえ荘の名物、とれたての豪華お刺身の数々。取材に訪れた5月中旬はヒラメがシーズンだった。

漁港にあがったヒラメ。これを食事として朝に夜にいただいた。

地域の魅力を発信していく
〈神恵内村魅力創造研究会〉

神恵内が好きで、人を呼びこみたい。
宿は始めたけれども、そもそも宿泊したいまちだと思われなければ泊まってはくれない。
そこで地元の仲間と始めたのが〈神恵内村魅力創造研究会〉だ。
まずはSNSでの発信から始めた。

「一緒に始めたのはUターンの若手が中心でした。
彼らは神恵内に帰ってきたときに、
かつてのようなにぎわいがないことを寂しく思っていたようです。
ずっと神恵内にいた私は、そんなこと感じていませんでした」

まるで走るホテル。 豪華寝台列車 〈TWILIGHT EXPRESS 瑞風〉 運行開始

かつての時間や交通費の節約という目的ではなく、
ゆったり旅を楽しむための手段として、人気が高まる寝台列車。
このたび豪華寝台列車の〈TWILIGHT EXPRESS 瑞風(みずかぜ)〉が、
2017年6月17日に運行を開始しました。

6月17日に大阪・京都を出発し、城崎温泉と東萩駅・萩駅などを経て、
18日に下関に到着する、“山陰下りコース”です。

城崎温泉駅

〈TWILIGHT EXPRESS 瑞風〉のコンセプトは、
“美しい日本をホテルが走る”。
西日本にある数々の美しい自然、京都から松江、出雲、宮島や
日本海、大山、瀬戸内海を走り抜けながら、
食堂車で食事を堪能して、展望デッキで風を感じて、
客室やラウンジカーでくつろいで……。とっても上質な旅に浸れそうです。

ザ・スイート(リビング)

ザ・スイート(寝室)

まるで走るホテルのようなこの豪華寝台列車。
デザインを手掛けたのは、建築、工業デザインの匠たち。

デザイン統括・インテリア監修は、建築家・インテリアデザイナーで、
〈ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル〉などをてがけた浦一也さん。
エクステリア監修は、「のぞみ」「つばさ」「はやて」などをてがけた、
インダストリアルデザイナーの福田哲夫さん。
ダークグリーンの外観に、“ちょっと懐かしさのある雰囲気”を取り入れた、
高級感あふれるデザインになっています。

サイクリング×フルーツ狩り! おいしくて健康になる 〈ライドクエスト フルーツハンター〉

楽しくおいしいフルーツ狩りと、心身ともにリフレッシュできるサイクリングがドッキング! 
このたび茨城県かすみがうら市でアクティビティ
〈ライドクエスト フルーツハンター2017夏〉がスタートしました。
シリーズ3回目の開催となる、人気のプログラムです。

〈ライドクエスト フルーツハンター2017夏〉は、
地域を冒険するように自分のペースで様々なスポットを巡り、
いろいろな出会いを楽しむサイクリングプログラム。
ブルーベリー狩り体験や農園内でのヘルシーランチ、
フルーツピッツァ作り体験、地産食材のディナーなど、
さまざまにヘルシーな取り組みを巡る一日です。
料金は大人8,500円から。※プログラムによって異なります

かすみがうら市は都内から車で約1時間半。
クロスバイクや電動自転車のレンタサイクルを行っており、
手ぶらでサイクリングを体験することができるのが人気の秘密。
霞ヶ浦の雄大な景色を眺めながら走ったり、かすみがうら市水族館で
霞ヶ浦に生息する魚や、世界の淡水魚を見たり……。

観光の起点となるのは、かすみがうら市交流センター。
この2階にあるレストラン〈かすみキッチン〉は “地産地消×ヘルシー” を
コンセプトとしており、霞ヶ浦産の魚や地野菜、かすみがうら市産の豚肉等の
食材を使用したメニューを提供中。看板メニューは「蓮根豚のハンバーグ」。
また、毎月、地元シンガーのオニツカサリーさんと
コラボしたディナーライブも開催しているのだそう。

北海道の青い海にうっとり。
「積丹ウエストコースト」ドライブ
おいしい魚介と名湯、観光ならココ

岩内町、泊村、神恵内村を巡る、
寄り道ドライブ

積丹半島は、積丹ブルーといわれる美しい海に囲まれている。
美しい海を眺め、海風を感じながら車を走らせると心地がいい。
南国とはまた異なる雰囲気を楽しめるのだ。

今回、積丹半島西海岸の付け根にある岩内町から北上、泊村を通って、神恵内村まで、
オススメの飲食店や名所を巡った。
ぜひ積丹ドライブをしながら、立ち寄りスポットに組み込んでほしい。

かまぼこ本来の食感を味わえる
〈カネタ吉田蒲鉾店〉

シーズンである5月〜6月に発売される、共和町の新鮮なアスパラを使った揚げかまぼこ「アスパラさん」。ほかにも秋には蘭越町のかぼちゃや倶知安町のじゃがいもなど、毎月限定商品が販売される。

漁業で栄えたエリアだけあって、水産加工業者が多いが、
なかでも創業明治32年〈カネタ吉田蒲鉾店〉のかまぼこは絶品だ。
原料はスケトウダラ100%。
大豆タンパクや卵白などを使用せず、昔ながらの製法を今でも貫いている。

岩内で特にお正月に食べられる「角焼」という厚焼きかまぼこが
定番としてある一方で、伝統製法を使いながらも進化したかまぼこも魅力のひとつ。
かまぼこにチーズをはさんで揚げたコロッケのような「魚ろっけ」や「かまぼこバーガー」、
油揚げにすり身をつめて揚げた「あげあげ」、
さらには季節ごとに旬の地場野菜などをトッピングした商品も発売されるので、
無限にかまぼこの可能性が広がっていく。
いつ訪れてもニューかまぼこが楽しめそうだ。

お話を聞いたカネタ吉田蒲鉾店の吉田奏見さん(右)とスタッフの藤田美香さん(左)。

information

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カネタ吉田蒲鉾店

住所:岩内郡岩内町字御崎1-5

TEL:0135-62-0245

営業時間:9:00〜17:00

定休日:水曜日

http://www.kanetayoshida32.com/

岩内一の熱気あふれる〈岩内神社〉の例大祭

まちの高台に鎮座する岩内神社。
町民は毎年7月7〜9日に岩内神社で開催される例大祭を楽しみにしている。
岩内にある企業のほとんどがお休みになるほどだ。
200年の歴史を持つお祭りで、
2基のお神輿と「赤坂奴」という伝承芸の演舞が町内を練り歩く様が見もの。
「赤坂奴」はまちの青年たちによって受け継がれ、とても勇壮な雰囲気を醸し出す。

参道に大きな鳥居がふたつ。天気が良ければその先には海が見える。

翌日には、大漁旗をはためかせた漁船にお神輿が乗って沖で祈願する海上渡御が行われる。
漁業のまちだけに、昔から海への思いは強い。
その後、2基のお神輿は神社坂と呼ばれる急な坂道を担がれて駆け上がっていく。
これがクライマックス。とても力強さを感じる例大祭だ。

(写真提供:岩内町)

information

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岩内神社

住所:岩内郡岩内町字宮園41

TEL:0135-62-0143

http://www.hokkaidojinjacho.jp/data/04/04037.html

岩内町民の心のオアシス〈喫茶さぼーる〉

素朴なハニートーストをコーヒーと。

常に地元の人々でにぎわう〈喫茶さぼーる〉。
クラシカルで懐かしい、いわゆる純喫茶なので、
落ち着いてゆっくりとコーヒーを飲んだり、食事ができる。
コーヒーはネルドリップでていねいに落とされてまろやか。
お店の雰囲気に反して(!?)、食事メニューはナポリタンやハンバーグ、
とんかつまであって庶民的だ。

ランチ以外の時間帯でマスターのおすすめはハニートースト。
「7、8年前から始めました」というこちらは、食パンを2枚使っているので、
ちょっと小腹が減ったときにちょうどいい。たっぷりのアイスにチョコレート、
はちみつという組み合わせだが、甘過ぎずさっぱりとしたおいしさ。
まずはここで一服して、旅プランを考えたい。

information

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喫茶さぼーる

住所:岩内郡岩内町字万代10-8

TEL:0135-62-3463

営業時間:9:30〜20:00(日祝は10:00〜)

定休日:不定休

人気映像からリアルな旅へ。
『True North, Akita.』
秋田の暮らしと人に出会う旅

男鹿半島の海と里山の暮らしに触れる

秋田の暮らしの風景を映し出し、世界で約300万回再生され
話題となっている映像シリーズ『True North, Akita.』。
これまで五城目町と上桧木内、そして男鹿半島が舞台となってきた。
3作目の男鹿篇は昨年末に展示形式で公開されていたが、
現在は再編集されたかたちでウェブでも公開されている。

『True North, Akita.#3』男鹿篇 (c)augment5 Inc

そして、撮影で訪れた各地域を巡る小さなツアーが、
制作チーム〈augment5 Inc.〉によって開催された。
ツアーには都内から子連れの家族ふた組が参加。
プロデューサーの井野英隆さんをはじめ、映像に関わったスタッフも
同行・案内するという、少し変わったスタイルで実施された。

1日目は秋田駅に集合した後、男鹿半島へ。
美しい海岸線や、八郎潟を干拓した大潟村をぐるっと見渡せる寒風山の展望台を経て、
向かったのは半島の北側に位置するかつての北浦町。
ハタハタ漁で有名な地域だが、かつては北前船の寄港地として
東北の中でも早い時代から栄えていた場所だ。

陸路が中心となった現在は、国道や電車でのアクセスがいい半島の南側から入り、
ゴジラ岩、ナマハゲの五社堂、男鹿水族館〈GAO〉、夕日スポットとして有名な
入道崎あたりまでが主力観光地となっているため、
ここ北浦エリアまで訪れる人は珍しい。

今回のツアーでこの北浦を訪れるのは、
『True North, Akita.#3』の男鹿篇に登場する漁師の一家、
石川さん一家が暮らしているからだ。

北浦漁港のすぐ裏で、井野さんたちが撮影でも拠点にしていた宿、
亀屋旅館に立ち寄りそのまま漁師一家、石川さんご家族のもとへ。
実際に漁に出るのは信之さん、修勢さん親子 。
高齢化の進む男鹿の漁師の中で、親子で海に出る船はとても珍しい。

そして石川さん一家がさらにすばらしいのは、
親子3世代が同じ屋根の下で一緒に暮らしていることだ。
信之さんの奥さんの柾美さん、修勢さんの奥さんの雅子さん、
そして3人の子どもたちという8人の大家族の暮らしは
いつもにぎやかで笑顔が溢れている。

『True North, Akita.#3』映像シーンより。(c)augment5 Inc

到着すると夕方前だというのにすでに食卓には豪勢な夕食の支度が整っている。
早過ぎると思われるかもしれないが、日の出前に仕事を始める漁師は朝早く、
18時頃にはだいたい寝てしまう。
生活のサイクルも、この豊かな海の暮らしとともにあることを感じさせてくれる。

今朝あがったばかりの甘鯛やヒラメの刺身、あんこうのとも和え、
旬のかれいの煮つけ、海の幸盛りだくさんのちらし寿司など、
新鮮な魚料理が豪華に並ぶ。
でも石川さん一家にとって変わらぬいつもの食卓だという。

お魚がおいしいのは言わずもがな、どの料理も絶品なのは、料理担当の柾美さんの、
男鹿半島の魚を知り尽くしたうえでの料理の腕前あってのもの。
新鮮な魚を最高の状態で味わえる機会もなかなか少ない。
「うちの母ちゃんと父ちゃんの息子でほんとによかったと思う」と修勢さん。

石川家は代々漁師で修勢さんで5代目。
北浦の海で育った修勢さんは、漁師仲間からも一目置かれる父を見て
「漁師っておもしろそうだ」と思い、
幼い頃から男鹿で漁師になることだけを考えてきたという。

ただ修勢さんが地元男鹿の海洋高校を出て漁師になる頃、
父の信之さんは北海道での遠洋や鮭漁、関東での線路工事などの仕事で、
長く秋田を離れることも多かったという。
もっと男鹿の海を知りたい、腕を上げたいと思っていた修勢さんは
「父ちゃん、戻ってきてくれ」と素直に伝えたそうだ。

そうして信之さんは再び地元に戻ってきた。
「息子が父を家に呼び戻すなんて、ふつうと逆だな」と修勢さん。

漁師の現場ほどおもしろいものはないと話す修勢さん(左)。

いまでは親子で同じ船に乗り、修勢さんの弟の知幸さんもまた
男鹿の海でエビやカニの漁をする。
「一人前になるにはまだまだ」と言う信之さんだが、
息子とふたりで船に乗れることはうれしそうだ。

『True North, Akita.#3』映像シーンより。(c)augment5 Inc

地元の多くの漁師は高齢で跡継ぎがおらず、次々と船を捨て海を離れていってしまう。
毎日のように親子で船に乗る石川さんたちはいまではとても珍しく、
地元の漁師も「男鹿の漁師の希望だ」と語る。

食事をする間も、「とにかく漁師はおもしろい」と、
豪快な笑い声をはさみながらたくさん海の話をしてくれる石川さん親子。
とにかく男鹿の海が大好きなことが、そこで生きているプライドとともに伝わってくる。

どうしたら魚がかかるか考えながら網をつくるのも漁師の仕事。ものづくりはどんな仕事でもおもしろいという信之さん。

『True North, Akita.』の映像について感想を尋ねると、あまり多くは語らないものの
「ふだんからあんな感じ。日常をよくあんな映像にしてくれたなって感心してしまった」
と修勢さん。

真剣に話し込む間に、東京から来たツアーの参加者家族ともすっかり仲良くなり、
子どもたち同士も一緒に遊び、はしゃぎ回っていた。
こんなふうに、自然と地元の人たちの暮らしの時間のなかで交流できることが、
この旅の醍醐味なのだ。

京都は初夏がおもしろい! 青紅葉(青もみじ)と 御朱印を巡る旅へ

限定の御朱印と京都デニムの御朱印帳袋が特典に。
初夏の京都は魅力がいっぱい

京都といえば春の桜の時期と晩秋の紅葉の時期が人気ですが、
京都ツウに言わせると、「京都は初夏がおもしろい」とのこと。

濃さを増した比叡山の緑、苔むす庭、車窓から見える摘み取りを終えた茶畑。
桜の季節の大混雑から一転、普段の生活を取り戻し、
イキイキとした京都の姿がそこにはあります。
本格的な暑さが到来する前に、ゆっくりと神社仏閣を巡って、
個性豊かな御朱印を集める京都旅はいかがでしょうか?

梅雨時期を避けるなんてもったいない! 雨で濡れた青もみじや苔もまた美しいのです。

JR東海の「そうだ 京都、行こう。」のCMやポスターでも知られている東福寺は、
紅葉シーズンともなれば1日数万人が訪れる大人気スポットです。
こちらでは、ただいま青もみじが見頃を迎えています。

青もみじを両側に臨みながら渡る通天橋の先にある、開山堂の前庭では、
枯山水に、サツキと緑豊かな池水鑑賞式庭園が並びます。
重森三玲によるモダンな方丈庭園の見学もお忘れなく。

通行・拝観料が有料(大人400円)の通天橋ですが、その価値は大いにあり!

ツアー参加者のみがいただける特別な御朱印を持つ、東福寺の爾 英晃さん。

次は、広大な杜を持つ下鴨神社(賀茂御祖神社)へ。
5月15日の葵祭を執り行う神社としても知られるほか、
「古都京都の文化財」のひとつとして世界遺産登録がされています。

本殿でお参りをしたら、下鴨神社本殿の前庭の、
干支の守り神を祀った7つの小さな社「言社」にもお参りしましょう。
お参り後に東京ドームの約3倍もの広さを持つ原生林、
糺ノ森(ただすのもり)を歩くと
歴史と礼節を肌で感じ、背筋がしゃんと伸びるようです。
その糺ノ森を進み、鴨長明ゆかりの神社であり、美の神様を祀る、
下鴨神社の摂末社・河合神社へ足を運ぶのもおすすめのルートです。

東京ドームの約3倍もの広さの糺ノ森。人がまばらだからかものすごく静かです。

通常は、正式名称である「賀茂御祖神社」と書かれる御朱印ですが、ツアー参加者のみいただける特別な御朱印は「下鴨神社」と書いています。

河合神社では、絵馬を自分の顔に見立てて、メイク道具や色鉛筆で“美しくなれますように”と願いを込めて化粧を施す「鏡絵馬」が人気。ここでもやはり特別な御朱印を頂戴できます。

〈水戸 養命酒薬用ハーブ園〉
いよいよ開園!
シャクヤクがつなげた、
水戸と駒ヶ根の縁

茨城県水戸市と薬用養命酒でおなじみの養命酒製造株式会社が、
2016年夏からスタートした官民協働の新たな試み、
薬草活用プロジェクトのシンボルガーデンがついに完成。
それが、この4月29日、開園30周年記念事業の一環として
水戸市植物公園内にオープンした〈水戸 養命酒薬用ハーブ園〉です。

珍しいハーブがたくさん!
市民の憩いの場としてオープンした〈水戸 養命酒薬用ハーブ園〉

薬草に親しんでもらいたい。
そして先人の知恵の結晶ともいえる薬草文化を、いまの暮らしに役立ててもらえれば。
そんな願いが込められた薬用ハーブ園の薬草の一部は
ふたつのアルプスが見えるまち・長野県駒ヶ根市から届けられました。
初夏に美しい花を咲かせるシャクヤクもそのひとつ。
今回は、薬用ハーブ園に関わった裏方さんを紹介します。

薬草園と聞くと地味なイメージがあるけれど、
4月29日にオープン記念セレモニーでお披露目された、
〈水戸 養命酒薬用ハーブ園〉は、憩いの場という言葉がぴったり。
まるでイングリッシュガーデンのような雰囲気です。

「西川綾子園長が描いたイメージを再現しただけで、
私はそのお手伝いや下準備しかしていませんが」
そう前置きしつつも話してくれたのは
入庁4年目の若手技師ながら、ガーデンの設計を任された
水戸市建設部建築課の園岡 藍さん。
いままでの仕事は公共建築物の修繕が主だっただけに、
園長からぜひ手伝ってほしいとの依頼に驚いたとか。
「あなた、名前が薬草よね、と誘われて」
未体験の仕事にチャレンジすることに。
藍染めの染料“藍”は水戸藩ゆかりの薬草でもあると聞き、
この仕事に不思議な縁を感じたのです。

思わず座りたくなる? 快適なウッドデッキと園岡さん。シンボルツリーのキハダも樹皮に抗菌作用がある薬木。

そこで考えたのが、自分のように薬草を知らない人でも
心地よくくつろげる空間にしたいということ。
なかでもシンボルツリー・キハダを囲む円形ウッドデッキは、
“憩いの空間”らしい印象的なデザイン演出ですが、
これは地元の大工さんからのアドバイス。
「直線的な形状にするつもりで相談したら、
放射状に板を並べたほうがキレイだし長持ちするんだよと」
ただし扇型に1枚ずつ板を加工するのは大変な作業。
それをこころよく職人さんに引き受けてもらい、
予想以上に見事な出来映えに園岡さんも感動したそうです。

柔らかな曲線を描く石積み看板。蜂蜜色の自然石は、美しい村々で知られるイギリス・コッツウォルズ地方から。

また、特に思い入れがあるのが自然石を積み上げた看板。
これはドライストーンウォーリングと呼ばれる、
セメントなどを使わない英国伝統の技法ですが、
実は、このモニュメントの構想がまとまったのは、開園4か月前というぎりぎりの時期。
「私自身が最終的な段階で煮詰まってしまって」
この薬用ハーブ園ならではの何か。それって何だろうと思い悩む園岡さんに、
“バラの先生”が教えてくれたのがこの石積み。
英国といえば料理にはもちろんのこと、
ホリスティックな医療など、さまざまなシーンでハーブを活用してきたお国柄。
旧水戸藩校・弘道館の古瓦をあしらった、
隣接する“江戸時代の水戸藩にまつわる薬草エリア”とも好対照。
この看板が決まるとあとはとても順調に進み、
オープニングの日を無事に迎えることができたのです。

薬草ではトップクラスの美しさ。シャクヤクは女性の味方のような効能を持つ生薬でもあるのです。

「ただ、こうして完成した薬用ハーブ園を見ると、やはり主役は薬草なんだなと。
2週間前のがらんとした状態とは見違えるようです。
美しく咲いてくれたこのシャクヤクとか、“花を添える”という言葉通りですね」

駒ヶ根から水戸へ、遠路はるばるようこそ。薬用ハーブ園誕生を祝うかのように花開いたシャクヤクと園岡さん。

こんなにいい空間になったのも、薬草を大切に育ててくださった方々のおかげ。
この園岡さんの言葉を聞いたら、駒ヶ根にいる“あの人”はきっと安心するはず。
伝えてあげたいなと思うと同時に、ふたつのアルプスを望む広い畑を思い出しました。

無人なのにリピーター続出!? 天理市〈せんぎりや〉 日本最古のハイキングコース にある無人販売所

奈良県北部の天理市に、日本最古の道といわれているハイキングコースがあります。
その名も「山の辺の道」は、北は奈良から南は三輪山の麓まで、
山裾を縫うように続く道。
その道程には『記紀』『万葉集』ゆかりの地名や、旧跡、
社寺、古墳がたくさんあります。

しかもうわさによれば、超個性あふれる無人販売所もあるとのこと。
そうと聞いては、行かないわけにはいきません。
コロカル一行、山の辺の道をゆき、うわさの無人販売所
〈せんぎりや〉の店主にお会いしてきました!

〈せんぎりや〉店主の仲谷一之さん。仲谷さん節が炸裂するインタビューは次ページにて!

昔からたくさんの人が足跡を重ねてきた山の辺の道。
せっかくいくなら、その道のりを辿ってみたいものです。
というわけで、スタート地点の天理駅にやって来ました。(※1)
駅前には、2017年4月にオープンした話題の〈天理駅前広場 コフフン〉があります。

〈天理駅前広場 コフフン〉Photo : Takumi Ota

今回は駅前で自転車を借りられると聞き、自転車でいくことに。
こちらの〈吉本サイクル〉でレンタルしているのは、なつかしのママチャリです。

駅前にある吉本サイクル。自転車はコフフン内にある〈バイシクルカラー奈良天理店〉でも借りられます。

それではいざ、いにしえの古道をめぐる旅へ。
駅前から東の山の方へ向かって自転車をこいでいくと、
やがて大きな建物が姿を消し、小さな民家や畑が増えてきました。
小さな道に入り坂道を上りきると、森の奥に神社が。
ここは、日本最古の拝殿をもつ〈石上(いそのかみ)神宮〉。
古代へと通じる道の入り口です。

〈石上神宮〉このまちへ来るとよく「日本最古の」という言葉を聞きますが、天理市は古代大和時代にヤマト政権がつくられた場所。永い歴史をもつ場所がいたるところにあるんです。

その後は山を下ったり、畑のあいだにある急な坂道をのぼったり。
ママチャリでもいける所なら楽勝と思っていたら、ちょっと甘く見ていました!

木の下は涼やか。太古の森が体の熱を冷ましてくれるようです。でも、途中には日を遮るものがない場所も。夏場は日射病にご注意を。帽子は必須です。

その後は〈天理観光農園/CAFE WAWA〉でひと休み。

〈天理観光農園/CAFE WAWA〉石窯ピッツァやフレッシュジュースを楽しめます。季節によってきんかんやみかん、ブルーベリーなどの収穫体験もできるのだそう。

それからしばらく進んでいくと、
珍しい茅葺き屋根の拝殿がある〈夜都伎(やとぎ)神社〉があり、
その辺りから静かな集落に入りました。

突き当たりに見えるのが〈夜都伎神社〉の鳥居。神社のまわりに木々が集まり、小さな森のようになっています。お社を守る鎮守の森とは、このこと。

辺りにあるのは、歴史を感じる家々と田んぼ、草むらのみ。
温かい空気に包まれ、どこかなつかしさを感じさせます。

※1 山の辺の道のハイキングコースには天理駅から奈良市に通じる〈山の辺の道 北コース〉と櫟本から奈良市に通じる〈伝・山の辺の道コース〉、天理駅から桜井駅に通じる〈山の辺の道 南コース〉があります。今回訪れたのは南コースです。

撮影:出地瑠以 ※天理駅前広場 コフフンの写真を除く

〈TWILIGHT EXPRESS 瑞風〉 が出発進行! トワイライトエクスプレスの 伝統と誇りを受け継ぐ 新たな寝台列車

山陽・山陰旅の新しいかたち

1989年7月より運行を続けてきた〈トワイライトエクスプレス〉(大阪〜札幌間)が、
運行終了となったのは2015年3月。
鉄道ファンのみならず、寝台列車の旅のロマンに胸躍らせていた人にとっては
大変残念なニュースでした。

そのトワイライトエクスプレスの伝統と誇りを受け継ぐ新たな寝台列車が、
2017年6月17日に運行を開始します。
1日に1か所立ち寄り観光をし、1泊2日だと2か所立ち寄ります。

山陽コース(下り)1泊2日の、せとうちの歴史に触れる旅では、
大阪・京都を出発し、倉敷駅(大原家旧別邸など)、
南岩国駅(錦帯橋、古川資料館)に立ち寄って観光し、
車内から、明石海峡や、和気町、尾道水道、瀬戸内海などが眺められます。

山陰コース(下り)1泊2日の、文豪と維新の歴史をたどる旅では、
大阪から京都を経て山陰線に入り、
城崎温泉駅、萩駅・東萩駅(松下村塾など)に立ち寄り下車して観光し、
余部橋梁、折居海岸、世界遺産の萩反射炉、深川湾を車内から見ることができます。
また、立ち寄り場所を変えたそれぞれの上りのコースもあります。

惣郷川橋梁を通る瑞風。

外観は、N700系など数々の列車のデザインを手がけてきた
インダストリアルデザイナー・福田哲夫さんによるデザイン。
デザインコンセプトは「ノスタルジック・モダン」。
トワイライトエクスプレスの伝統と上質さを表現した「瑞風グリーン」の車体は、
自然にもよく馴染みます。

丸目のヘッドライトや、往年のボンネット型を彷彿とさせる運転室などが懐かしさを感じさせます。