高速船〈びっぐあーす〉で 天草諸島と長崎をもっと楽しむ! 新たな船旅、長崎~天草特別運航

世界遺産「明治日本の産業革命遺産」もめぐる船の旅

2017年7月7日、天草と長崎に新しい旅のかたちが生まれます。
長崎港と﨑津漁港をつなぐ片道約1時間40分の船の旅。
長崎~上五島航路をつなぐ高速船〈びっぐあーす〉が
2018年3月末までの週末限定で、長崎港~﨑津漁港の定期運航を始めるのです。
ひと足先に、その航路をめぐってみました。

ゆったりとした船旅を叶えてくれる高速船〈びっぐあーす〉。

10時10分に長崎港を出た船は、11時50分には﨑津漁港に到着します。
これまで船とバス、あるいは車を併用しても3~4時間以上はかかっていたこの区間を、
約半分の時間で行き来できるというのはかなりの朗報です。

しかもこの航路のすごいところは、ただの“移動”ではないということ。
最高の海景色と、キリスト教が布教した時代の面影を感じられるほか、
世界遺産「明治日本の産業革命遺産」にまつわる3つのスポットを
見ることもできるという、なんとも“おトクな船の旅”なのです。

朝夕は、上五島~長崎航路を運航。上五島~長崎~天草をめぐる船旅もおすすめです。

「坂のまち」や「丘のまち」とも呼ばれる長崎。
急勾配の山肌のあちらこちらに、空白を惜しむかのように
密集した住宅街が広がっています。

港を出た船は、両岸に建ち並ぶ造船所や巨大な船を眺めつつ、航海を始めました。
鉄の巨人のような風格を放つのは、電動クレーンとして日本で初めて建設された
三菱長崎造船所の「ジャイアント・カンチレバークレーン」。
現役ながら、「明治日本の産業革命遺産」の構成資産のひとつとして
世界遺産に登録された史跡でもあります。

坂道にそって家々がずらりと建ち並ぶ長崎のまち並み。

造船所が建ち並ぶ長崎港。三菱長崎造船所の「ジャイアント・カンチレバークレーン」。

下から見る女神大橋(ヴィーナスウィング)は圧巻です。

女神大橋(通称:ヴィーナスウィング)の真下を通り抜け、沖へ進むと、
炭鉱の島「高島」と「端島」が現われます。
明治から昭和にかけて良質な石炭を産出する炭鉱の島として賑わったふたつの島。
高島炭鉱と端島炭鉱は、日本の近代化を支えた場所なのです。
学校や病院、娯楽施設など、小さな都市として栄えた当時の面影をそのままに
無人島となり、美しい廃墟と化した端島は別名「軍艦島」として知られます。

船から眺める端島。シルエットはまさに軍艦そのものです。

〈宿ルKYOTO 和紙ノ宿〉 IoT設備を取り入れた 京町屋ゲストハウスが オープン

IoT(アイ・オー・ティー)とはモノのインターネット化、つまりこれまではネット化されていなかった
さまざまなモノがネット化されること。

このたび京都市・京都駅の近くに、〈トマルバ〉による
最先端のIoT設備を取り入れた京町屋のゲストハウス〈宿ルKYOTO 和紙ノ宿〉
がオープンしました。京都で初めての、IoT設備を取り入れた京町屋の宿泊施設です。

〈宿ルKYOTO 和紙ノ宿〉は、大正二年建造の、築100年の京町屋を
リノベーションした高級一棟貸しの京町屋ゲストハウス。
京都駅から徒歩9分のアクセスの良い立地にあります。

施設の中には、iPad端末を設置され、〈Smart VR Pad〉のアプリが常に起動しているので、
アプリから各機器の操作、運営会社への連絡が可能になるそう。
スマートロック、音感知センサー、スマートホームデバイスの機能などが搭載されています。
※導入は8月から

泊まれる立ち飲み屋 〈STAND BY ME〉が 福岡にオープン。 まちと学生をもっと元気に!

2017年6月15日、福岡市中央区大手門に
「泊まれる立ち飲み屋」をコンセプトとするホステル
〈STAND BY ME(スタンドバイミー)〉がオープンしました。

こちらは1階が立ち飲み居酒屋、2階・3階が宿泊施設になっているホステル。
飲んだ後に帰らなくていいなんて、うれしいですね!

オープン当日のようす。

お部屋にはドミトリータイプと個室があります。(写真は個室)

ドミトリー

「フレンドリーな立ち飲みスペースを持ったおせっかいホステル」をうたっている
こちらには、ほかにもユニークな仕掛けがあります。

そのひとつがフードやドリンクと交換できる「木札」(4枚1,000円)。
STAND BY MEでは、この木札が余ったら隣の人や若い人へシェアすることをすすめています。
たしかにこんなシステムなら、気がねなくおごれそう。

木札4枚(1,000円)で食べられる立ち飲みメニュー。

気になるメニューは、ほとんどが地元にゆかりのある料理。
それも「福岡のいい場所、どこですか?」という質問に応えたいという
“おせっかい”から生まれたもの。
「お客さんがこの店を媒介に地元の食材や場所を知り、現地まで足を運んでくれたら」
というのがオーナーの願いなのだとか。

立ち飲みメニューは、薬院大通駅にある人気居酒屋
〈二〇加屋長介(にわかやちょうすけ)〉がプロデュース。
「博多水炊き とり田の柚子胡椒でポテサラ」「福岡移住計画の鯖缶」
「鳥飼八幡宮のチーズ盛り」など、約30種類のほとんどのメニューが、
木札1枚でいただけます。

朝ごはんやランチも、すべて木札でやりとり。
モーニングもランチも、木札3枚で食べられます。

糸島産の「つまんでご卵」と〈ふくや〉の明太子、博多海苔、豚汁が食べられる和定食。

薬院にある人気店〈FRUCTUS〉の工房でつくられたグラノーラを九州産の牛乳、ヨーグルトと一緒に。

パンがおいしいブレッドブレックファーストは、大手門の人気ベーカリー〈ラグルッピ〉〈アルティザン〉とコラボ。

モーニングは、和定食、ヘルシーなグラノーラ、
ブレッドブレックファーストの3種から選べるそう。
朝ごはんがこんなに充実しているとは、おどろき!

春はサクラマスカレーが郷土の味。
北海道の小さな村から伝えたい
〈民宿きのえ荘〉若女将の挑戦

村から出たことがない女将による、
地域を知り尽くした宿

高台から神恵内村(かもえないむら)の漁港や集落を眺め、
海に沈む美しい夕陽を堪能できる。そんな場所に〈民宿きのえ荘〉はある。

女将の池本美紀さんは、神恵内生まれ、神恵内育ち。
なんと出産で10日ほど入院したのが、神恵内を離れた最長記録だという。
民宿を営む前は、銀行に勤めていた。しかし結婚と同時に民宿を始めた。

海を見下ろす場所に建つ〈民宿きのえ荘〉。

かつて積丹半島の海岸線を走る国道は、南の岩内方面から北上してきて、
神恵内で行き止まりであった。
現在のように積丹半島を東側までぐるっと1周することはできないから、
神恵内に泊まる宿泊客もいたという。
しかし平成16年に国道が開通し、積丹半島を1周することが可能に。
すると、神恵内に留まることなく通過するまちになってしまった。

「私は神恵内を出たことがありません。
高校を卒業して専門学校に進むと村から出る必要がありましたが、
村を出たくなかったので地元で就職しました。
結局、神恵内が好きなんですよね。だから人を呼びたいと思って宿を始めたんです」

昭和40年代に、池本さんの祖母が神恵内で民宿をやっていたことがあった。
その祖母の名前である「きのえ」をもらった。

漁港から宿まで、〈村田漁業〉がその日とれた魚を届けてくれるので鮮度はお墨付き。池本さんが着ているのは神恵内の岡田商店が発信する〈神恵内アンダーグラウンド〉のTシャツ。

夏になるとウニが有名な積丹半島。もちろんほかにもおいしい海の幸がたくさんある。
〈民宿きのえ荘〉の食事も季節ごとの旬の海の幸が満載。
池本さんの父親が漁師でもあるし、毎日、神恵内漁港にあがる魚が届けられる。

「神恵内のものを食べてもらいたいです。
このあたりでは子どもたちは、『今日もウニか〜、飽きたなぁ』なんて、
都会の人が聞いたら贅沢な愚痴を言ったりしてますよ」

きのえ荘の名物、とれたての豪華お刺身の数々。取材に訪れた5月中旬はヒラメがシーズンだった。

漁港にあがったヒラメ。これを食事として朝に夜にいただいた。

地域の魅力を発信していく
〈神恵内村魅力創造研究会〉

神恵内が好きで、人を呼びこみたい。
宿は始めたけれども、そもそも宿泊したいまちだと思われなければ泊まってはくれない。
そこで地元の仲間と始めたのが〈神恵内村魅力創造研究会〉だ。
まずはSNSでの発信から始めた。

「一緒に始めたのはUターンの若手が中心でした。
彼らは神恵内に帰ってきたときに、
かつてのようなにぎわいがないことを寂しく思っていたようです。
ずっと神恵内にいた私は、そんなこと感じていませんでした」

まるで走るホテル。 豪華寝台列車 〈TWILIGHT EXPRESS 瑞風〉 運行開始

かつての時間や交通費の節約という目的ではなく、
ゆったり旅を楽しむための手段として、人気が高まる寝台列車。
このたび豪華寝台列車の〈TWILIGHT EXPRESS 瑞風(みずかぜ)〉が、
2017年6月17日に運行を開始しました。

6月17日に大阪・京都を出発し、城崎温泉と東萩駅・萩駅などを経て、
18日に下関に到着する、“山陰下りコース”です。

城崎温泉駅

〈TWILIGHT EXPRESS 瑞風〉のコンセプトは、
“美しい日本をホテルが走る”。
西日本にある数々の美しい自然、京都から松江、出雲、宮島や
日本海、大山、瀬戸内海を走り抜けながら、
食堂車で食事を堪能して、展望デッキで風を感じて、
客室やラウンジカーでくつろいで……。とっても上質な旅に浸れそうです。

ザ・スイート(リビング)

ザ・スイート(寝室)

まるで走るホテルのようなこの豪華寝台列車。
デザインを手掛けたのは、建築、工業デザインの匠たち。

デザイン統括・インテリア監修は、建築家・インテリアデザイナーで、
〈ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル〉などをてがけた浦一也さん。
エクステリア監修は、「のぞみ」「つばさ」「はやて」などをてがけた、
インダストリアルデザイナーの福田哲夫さん。
ダークグリーンの外観に、“ちょっと懐かしさのある雰囲気”を取り入れた、
高級感あふれるデザインになっています。

サイクリング×フルーツ狩り! おいしくて健康になる 〈ライドクエスト フルーツハンター〉

楽しくおいしいフルーツ狩りと、心身ともにリフレッシュできるサイクリングがドッキング! 
このたび茨城県かすみがうら市でアクティビティ
〈ライドクエスト フルーツハンター2017夏〉がスタートしました。
シリーズ3回目の開催となる、人気のプログラムです。

〈ライドクエスト フルーツハンター2017夏〉は、
地域を冒険するように自分のペースで様々なスポットを巡り、
いろいろな出会いを楽しむサイクリングプログラム。
ブルーベリー狩り体験や農園内でのヘルシーランチ、
フルーツピッツァ作り体験、地産食材のディナーなど、
さまざまにヘルシーな取り組みを巡る一日です。
料金は大人8,500円から。※プログラムによって異なります

かすみがうら市は都内から車で約1時間半。
クロスバイクや電動自転車のレンタサイクルを行っており、
手ぶらでサイクリングを体験することができるのが人気の秘密。
霞ヶ浦の雄大な景色を眺めながら走ったり、かすみがうら市水族館で
霞ヶ浦に生息する魚や、世界の淡水魚を見たり……。

観光の起点となるのは、かすみがうら市交流センター。
この2階にあるレストラン〈かすみキッチン〉は “地産地消×ヘルシー” を
コンセプトとしており、霞ヶ浦産の魚や地野菜、かすみがうら市産の豚肉等の
食材を使用したメニューを提供中。看板メニューは「蓮根豚のハンバーグ」。
また、毎月、地元シンガーのオニツカサリーさんと
コラボしたディナーライブも開催しているのだそう。

北海道の青い海にうっとり。
「積丹ウエストコースト」ドライブ
おいしい魚介と名湯、観光ならココ

岩内町、泊村、神恵内村を巡る、
寄り道ドライブ

積丹半島は、積丹ブルーといわれる美しい海に囲まれている。
美しい海を眺め、海風を感じながら車を走らせると心地がいい。
南国とはまた異なる雰囲気を楽しめるのだ。

今回、積丹半島西海岸の付け根にある岩内町から北上、泊村を通って、神恵内村まで、
オススメの飲食店や名所を巡った。
ぜひ積丹ドライブをしながら、立ち寄りスポットに組み込んでほしい。

かまぼこ本来の食感を味わえる
〈カネタ吉田蒲鉾店〉

シーズンである5月〜6月に発売される、共和町の新鮮なアスパラを使った揚げかまぼこ「アスパラさん」。ほかにも秋には蘭越町のかぼちゃや倶知安町のじゃがいもなど、毎月限定商品が販売される。

漁業で栄えたエリアだけあって、水産加工業者が多いが、
なかでも創業明治32年〈カネタ吉田蒲鉾店〉のかまぼこは絶品だ。
原料はスケトウダラ100%。
大豆タンパクや卵白などを使用せず、昔ながらの製法を今でも貫いている。

岩内で特にお正月に食べられる「角焼」という厚焼きかまぼこが
定番としてある一方で、伝統製法を使いながらも進化したかまぼこも魅力のひとつ。
かまぼこにチーズをはさんで揚げたコロッケのような「魚ろっけ」や「かまぼこバーガー」、
油揚げにすり身をつめて揚げた「あげあげ」、
さらには季節ごとに旬の地場野菜などをトッピングした商品も発売されるので、
無限にかまぼこの可能性が広がっていく。
いつ訪れてもニューかまぼこが楽しめそうだ。

お話を聞いたカネタ吉田蒲鉾店の吉田奏見さん(右)とスタッフの藤田美香さん(左)。

information

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カネタ吉田蒲鉾店

住所:岩内郡岩内町字御崎1-5

TEL:0135-62-0245

営業時間:9:00〜17:00

定休日:水曜日

http://www.kanetayoshida32.com/

岩内一の熱気あふれる〈岩内神社〉の例大祭

まちの高台に鎮座する岩内神社。
町民は毎年7月7〜9日に岩内神社で開催される例大祭を楽しみにしている。
岩内にある企業のほとんどがお休みになるほどだ。
200年の歴史を持つお祭りで、
2基のお神輿と「赤坂奴」という伝承芸の演舞が町内を練り歩く様が見もの。
「赤坂奴」はまちの青年たちによって受け継がれ、とても勇壮な雰囲気を醸し出す。

参道に大きな鳥居がふたつ。天気が良ければその先には海が見える。

翌日には、大漁旗をはためかせた漁船にお神輿が乗って沖で祈願する海上渡御が行われる。
漁業のまちだけに、昔から海への思いは強い。
その後、2基のお神輿は神社坂と呼ばれる急な坂道を担がれて駆け上がっていく。
これがクライマックス。とても力強さを感じる例大祭だ。

(写真提供:岩内町)

information

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岩内神社

住所:岩内郡岩内町字宮園41

TEL:0135-62-0143

http://www.hokkaidojinjacho.jp/data/04/04037.html

岩内町民の心のオアシス〈喫茶さぼーる〉

素朴なハニートーストをコーヒーと。

常に地元の人々でにぎわう〈喫茶さぼーる〉。
クラシカルで懐かしい、いわゆる純喫茶なので、
落ち着いてゆっくりとコーヒーを飲んだり、食事ができる。
コーヒーはネルドリップでていねいに落とされてまろやか。
お店の雰囲気に反して(!?)、食事メニューはナポリタンやハンバーグ、
とんかつまであって庶民的だ。

ランチ以外の時間帯でマスターのおすすめはハニートースト。
「7、8年前から始めました」というこちらは、食パンを2枚使っているので、
ちょっと小腹が減ったときにちょうどいい。たっぷりのアイスにチョコレート、
はちみつという組み合わせだが、甘過ぎずさっぱりとしたおいしさ。
まずはここで一服して、旅プランを考えたい。

information

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喫茶さぼーる

住所:岩内郡岩内町字万代10-8

TEL:0135-62-3463

営業時間:9:30〜20:00(日祝は10:00〜)

定休日:不定休

人気映像からリアルな旅へ。
『True North, Akita.』
秋田の暮らしと人に出会う旅

男鹿半島の海と里山の暮らしに触れる

秋田の暮らしの風景を映し出し、世界で約300万回再生され
話題となっている映像シリーズ『True North, Akita.』。
これまで五城目町と上桧木内、そして男鹿半島が舞台となってきた。
3作目の男鹿篇は昨年末に展示形式で公開されていたが、
現在は再編集されたかたちでウェブでも公開されている。

『True North, Akita.#3』男鹿篇 (c)augment5 Inc

そして、撮影で訪れた各地域を巡る小さなツアーが、
制作チーム〈augment5 Inc.〉によって開催された。
ツアーには都内から子連れの家族ふた組が参加。
プロデューサーの井野英隆さんをはじめ、映像に関わったスタッフも
同行・案内するという、少し変わったスタイルで実施された。

1日目は秋田駅に集合した後、男鹿半島へ。
美しい海岸線や、八郎潟を干拓した大潟村をぐるっと見渡せる寒風山の展望台を経て、
向かったのは半島の北側に位置するかつての北浦町。
ハタハタ漁で有名な地域だが、かつては北前船の寄港地として
東北の中でも早い時代から栄えていた場所だ。

陸路が中心となった現在は、国道や電車でのアクセスがいい半島の南側から入り、
ゴジラ岩、ナマハゲの五社堂、男鹿水族館〈GAO〉、夕日スポットとして有名な
入道崎あたりまでが主力観光地となっているため、
ここ北浦エリアまで訪れる人は珍しい。

今回のツアーでこの北浦を訪れるのは、
『True North, Akita.#3』の男鹿篇に登場する漁師の一家、
石川さん一家が暮らしているからだ。

北浦漁港のすぐ裏で、井野さんたちが撮影でも拠点にしていた宿、
亀屋旅館に立ち寄りそのまま漁師一家、石川さんご家族のもとへ。
実際に漁に出るのは信之さん、修勢さん親子 。
高齢化の進む男鹿の漁師の中で、親子で海に出る船はとても珍しい。

そして石川さん一家がさらにすばらしいのは、
親子3世代が同じ屋根の下で一緒に暮らしていることだ。
信之さんの奥さんの柾美さん、修勢さんの奥さんの雅子さん、
そして3人の子どもたちという8人の大家族の暮らしは
いつもにぎやかで笑顔が溢れている。

『True North, Akita.#3』映像シーンより。(c)augment5 Inc

到着すると夕方前だというのにすでに食卓には豪勢な夕食の支度が整っている。
早過ぎると思われるかもしれないが、日の出前に仕事を始める漁師は朝早く、
18時頃にはだいたい寝てしまう。
生活のサイクルも、この豊かな海の暮らしとともにあることを感じさせてくれる。

今朝あがったばかりの甘鯛やヒラメの刺身、あんこうのとも和え、
旬のかれいの煮つけ、海の幸盛りだくさんのちらし寿司など、
新鮮な魚料理が豪華に並ぶ。
でも石川さん一家にとって変わらぬいつもの食卓だという。

お魚がおいしいのは言わずもがな、どの料理も絶品なのは、料理担当の柾美さんの、
男鹿半島の魚を知り尽くしたうえでの料理の腕前あってのもの。
新鮮な魚を最高の状態で味わえる機会もなかなか少ない。
「うちの母ちゃんと父ちゃんの息子でほんとによかったと思う」と修勢さん。

石川家は代々漁師で修勢さんで5代目。
北浦の海で育った修勢さんは、漁師仲間からも一目置かれる父を見て
「漁師っておもしろそうだ」と思い、
幼い頃から男鹿で漁師になることだけを考えてきたという。

ただ修勢さんが地元男鹿の海洋高校を出て漁師になる頃、
父の信之さんは北海道での遠洋や鮭漁、関東での線路工事などの仕事で、
長く秋田を離れることも多かったという。
もっと男鹿の海を知りたい、腕を上げたいと思っていた修勢さんは
「父ちゃん、戻ってきてくれ」と素直に伝えたそうだ。

そうして信之さんは再び地元に戻ってきた。
「息子が父を家に呼び戻すなんて、ふつうと逆だな」と修勢さん。

漁師の現場ほどおもしろいものはないと話す修勢さん(左)。

いまでは親子で同じ船に乗り、修勢さんの弟の知幸さんもまた
男鹿の海でエビやカニの漁をする。
「一人前になるにはまだまだ」と言う信之さんだが、
息子とふたりで船に乗れることはうれしそうだ。

『True North, Akita.#3』映像シーンより。(c)augment5 Inc

地元の多くの漁師は高齢で跡継ぎがおらず、次々と船を捨て海を離れていってしまう。
毎日のように親子で船に乗る石川さんたちはいまではとても珍しく、
地元の漁師も「男鹿の漁師の希望だ」と語る。

食事をする間も、「とにかく漁師はおもしろい」と、
豪快な笑い声をはさみながらたくさん海の話をしてくれる石川さん親子。
とにかく男鹿の海が大好きなことが、そこで生きているプライドとともに伝わってくる。

どうしたら魚がかかるか考えながら網をつくるのも漁師の仕事。ものづくりはどんな仕事でもおもしろいという信之さん。

『True North, Akita.』の映像について感想を尋ねると、あまり多くは語らないものの
「ふだんからあんな感じ。日常をよくあんな映像にしてくれたなって感心してしまった」
と修勢さん。

真剣に話し込む間に、東京から来たツアーの参加者家族ともすっかり仲良くなり、
子どもたち同士も一緒に遊び、はしゃぎ回っていた。
こんなふうに、自然と地元の人たちの暮らしの時間のなかで交流できることが、
この旅の醍醐味なのだ。

京都は初夏がおもしろい! 青紅葉(青もみじ)と 御朱印を巡る旅へ

限定の御朱印と京都デニムの御朱印帳袋が特典に。
初夏の京都は魅力がいっぱい

京都といえば春の桜の時期と晩秋の紅葉の時期が人気ですが、
京都ツウに言わせると、「京都は初夏がおもしろい」とのこと。

濃さを増した比叡山の緑、苔むす庭、車窓から見える摘み取りを終えた茶畑。
桜の季節の大混雑から一転、普段の生活を取り戻し、
イキイキとした京都の姿がそこにはあります。
本格的な暑さが到来する前に、ゆっくりと神社仏閣を巡って、
個性豊かな御朱印を集める京都旅はいかがでしょうか?

梅雨時期を避けるなんてもったいない! 雨で濡れた青もみじや苔もまた美しいのです。

JR東海の「そうだ 京都、行こう。」のCMやポスターでも知られている東福寺は、
紅葉シーズンともなれば1日数万人が訪れる大人気スポットです。
こちらでは、ただいま青もみじが見頃を迎えています。

青もみじを両側に臨みながら渡る通天橋の先にある、開山堂の前庭では、
枯山水に、サツキと緑豊かな池水鑑賞式庭園が並びます。
重森三玲によるモダンな方丈庭園の見学もお忘れなく。

通行・拝観料が有料(大人400円)の通天橋ですが、その価値は大いにあり!

ツアー参加者のみがいただける特別な御朱印を持つ、東福寺の爾 英晃さん。

次は、広大な杜を持つ下鴨神社(賀茂御祖神社)へ。
5月15日の葵祭を執り行う神社としても知られるほか、
「古都京都の文化財」のひとつとして世界遺産登録がされています。

本殿でお参りをしたら、下鴨神社本殿の前庭の、
干支の守り神を祀った7つの小さな社「言社」にもお参りしましょう。
お参り後に東京ドームの約3倍もの広さを持つ原生林、
糺ノ森(ただすのもり)を歩くと
歴史と礼節を肌で感じ、背筋がしゃんと伸びるようです。
その糺ノ森を進み、鴨長明ゆかりの神社であり、美の神様を祀る、
下鴨神社の摂末社・河合神社へ足を運ぶのもおすすめのルートです。

東京ドームの約3倍もの広さの糺ノ森。人がまばらだからかものすごく静かです。

通常は、正式名称である「賀茂御祖神社」と書かれる御朱印ですが、ツアー参加者のみいただける特別な御朱印は「下鴨神社」と書いています。

河合神社では、絵馬を自分の顔に見立てて、メイク道具や色鉛筆で“美しくなれますように”と願いを込めて化粧を施す「鏡絵馬」が人気。ここでもやはり特別な御朱印を頂戴できます。

〈水戸 養命酒薬用ハーブ園〉
いよいよ開園!
シャクヤクがつなげた、
水戸と駒ヶ根の縁

茨城県水戸市と薬用養命酒でおなじみの養命酒製造株式会社が、
2016年夏からスタートした官民協働の新たな試み、
薬草活用プロジェクトのシンボルガーデンがついに完成。
それが、この4月29日、開園30周年記念事業の一環として
水戸市植物公園内にオープンした〈水戸 養命酒薬用ハーブ園〉です。

珍しいハーブがたくさん!
市民の憩いの場としてオープンした〈水戸 養命酒薬用ハーブ園〉

薬草に親しんでもらいたい。
そして先人の知恵の結晶ともいえる薬草文化を、いまの暮らしに役立ててもらえれば。
そんな願いが込められた薬用ハーブ園の薬草の一部は
ふたつのアルプスが見えるまち・長野県駒ヶ根市から届けられました。
初夏に美しい花を咲かせるシャクヤクもそのひとつ。
今回は、薬用ハーブ園に関わった裏方さんを紹介します。

薬草園と聞くと地味なイメージがあるけれど、
4月29日にオープン記念セレモニーでお披露目された、
〈水戸 養命酒薬用ハーブ園〉は、憩いの場という言葉がぴったり。
まるでイングリッシュガーデンのような雰囲気です。

「西川綾子園長が描いたイメージを再現しただけで、
私はそのお手伝いや下準備しかしていませんが」
そう前置きしつつも話してくれたのは
入庁4年目の若手技師ながら、ガーデンの設計を任された
水戸市建設部建築課の園岡 藍さん。
いままでの仕事は公共建築物の修繕が主だっただけに、
園長からぜひ手伝ってほしいとの依頼に驚いたとか。
「あなた、名前が薬草よね、と誘われて」
未体験の仕事にチャレンジすることに。
藍染めの染料“藍”は水戸藩ゆかりの薬草でもあると聞き、
この仕事に不思議な縁を感じたのです。

思わず座りたくなる? 快適なウッドデッキと園岡さん。シンボルツリーのキハダも樹皮に抗菌作用がある薬木。

そこで考えたのが、自分のように薬草を知らない人でも
心地よくくつろげる空間にしたいということ。
なかでもシンボルツリー・キハダを囲む円形ウッドデッキは、
“憩いの空間”らしい印象的なデザイン演出ですが、
これは地元の大工さんからのアドバイス。
「直線的な形状にするつもりで相談したら、
放射状に板を並べたほうがキレイだし長持ちするんだよと」
ただし扇型に1枚ずつ板を加工するのは大変な作業。
それをこころよく職人さんに引き受けてもらい、
予想以上に見事な出来映えに園岡さんも感動したそうです。

柔らかな曲線を描く石積み看板。蜂蜜色の自然石は、美しい村々で知られるイギリス・コッツウォルズ地方から。

また、特に思い入れがあるのが自然石を積み上げた看板。
これはドライストーンウォーリングと呼ばれる、
セメントなどを使わない英国伝統の技法ですが、
実は、このモニュメントの構想がまとまったのは、開園4か月前というぎりぎりの時期。
「私自身が最終的な段階で煮詰まってしまって」
この薬用ハーブ園ならではの何か。それって何だろうと思い悩む園岡さんに、
“バラの先生”が教えてくれたのがこの石積み。
英国といえば料理にはもちろんのこと、
ホリスティックな医療など、さまざまなシーンでハーブを活用してきたお国柄。
旧水戸藩校・弘道館の古瓦をあしらった、
隣接する“江戸時代の水戸藩にまつわる薬草エリア”とも好対照。
この看板が決まるとあとはとても順調に進み、
オープニングの日を無事に迎えることができたのです。

薬草ではトップクラスの美しさ。シャクヤクは女性の味方のような効能を持つ生薬でもあるのです。

「ただ、こうして完成した薬用ハーブ園を見ると、やはり主役は薬草なんだなと。
2週間前のがらんとした状態とは見違えるようです。
美しく咲いてくれたこのシャクヤクとか、“花を添える”という言葉通りですね」

駒ヶ根から水戸へ、遠路はるばるようこそ。薬用ハーブ園誕生を祝うかのように花開いたシャクヤクと園岡さん。

こんなにいい空間になったのも、薬草を大切に育ててくださった方々のおかげ。
この園岡さんの言葉を聞いたら、駒ヶ根にいる“あの人”はきっと安心するはず。
伝えてあげたいなと思うと同時に、ふたつのアルプスを望む広い畑を思い出しました。

無人なのにリピーター続出!? 天理市〈せんぎりや〉 日本最古のハイキングコース にある無人販売所

奈良県北部の天理市に、日本最古の道といわれているハイキングコースがあります。
その名も「山の辺の道」は、北は奈良から南は三輪山の麓まで、
山裾を縫うように続く道。
その道程には『記紀』『万葉集』ゆかりの地名や、旧跡、
社寺、古墳がたくさんあります。

しかもうわさによれば、超個性あふれる無人販売所もあるとのこと。
そうと聞いては、行かないわけにはいきません。
コロカル一行、山の辺の道をゆき、うわさの無人販売所
〈せんぎりや〉の店主にお会いしてきました!

〈せんぎりや〉店主の仲谷一之さん。仲谷さん節が炸裂するインタビューは次ページにて!

昔からたくさんの人が足跡を重ねてきた山の辺の道。
せっかくいくなら、その道のりを辿ってみたいものです。
というわけで、スタート地点の天理駅にやって来ました。(※1)
駅前には、2017年4月にオープンした話題の〈天理駅前広場 コフフン〉があります。

〈天理駅前広場 コフフン〉Photo : Takumi Ota

今回は駅前で自転車を借りられると聞き、自転車でいくことに。
こちらの〈吉本サイクル〉でレンタルしているのは、なつかしのママチャリです。

駅前にある吉本サイクル。自転車はコフフン内にある〈バイシクルカラー奈良天理店〉でも借りられます。

それではいざ、いにしえの古道をめぐる旅へ。
駅前から東の山の方へ向かって自転車をこいでいくと、
やがて大きな建物が姿を消し、小さな民家や畑が増えてきました。
小さな道に入り坂道を上りきると、森の奥に神社が。
ここは、日本最古の拝殿をもつ〈石上(いそのかみ)神宮〉。
古代へと通じる道の入り口です。

〈石上神宮〉このまちへ来るとよく「日本最古の」という言葉を聞きますが、天理市は古代大和時代にヤマト政権がつくられた場所。永い歴史をもつ場所がいたるところにあるんです。

その後は山を下ったり、畑のあいだにある急な坂道をのぼったり。
ママチャリでもいける所なら楽勝と思っていたら、ちょっと甘く見ていました!

木の下は涼やか。太古の森が体の熱を冷ましてくれるようです。でも、途中には日を遮るものがない場所も。夏場は日射病にご注意を。帽子は必須です。

その後は〈天理観光農園/CAFE WAWA〉でひと休み。

〈天理観光農園/CAFE WAWA〉石窯ピッツァやフレッシュジュースを楽しめます。季節によってきんかんやみかん、ブルーベリーなどの収穫体験もできるのだそう。

それからしばらく進んでいくと、
珍しい茅葺き屋根の拝殿がある〈夜都伎(やとぎ)神社〉があり、
その辺りから静かな集落に入りました。

突き当たりに見えるのが〈夜都伎神社〉の鳥居。神社のまわりに木々が集まり、小さな森のようになっています。お社を守る鎮守の森とは、このこと。

辺りにあるのは、歴史を感じる家々と田んぼ、草むらのみ。
温かい空気に包まれ、どこかなつかしさを感じさせます。

※1 山の辺の道のハイキングコースには天理駅から奈良市に通じる〈山の辺の道 北コース〉と櫟本から奈良市に通じる〈伝・山の辺の道コース〉、天理駅から桜井駅に通じる〈山の辺の道 南コース〉があります。今回訪れたのは南コースです。

撮影:出地瑠以 ※天理駅前広場 コフフンの写真を除く

〈TWILIGHT EXPRESS 瑞風〉 が出発進行! トワイライトエクスプレスの 伝統と誇りを受け継ぐ 新たな寝台列車

山陽・山陰旅の新しいかたち

1989年7月より運行を続けてきた〈トワイライトエクスプレス〉(大阪〜札幌間)が、
運行終了となったのは2015年3月。
鉄道ファンのみならず、寝台列車の旅のロマンに胸躍らせていた人にとっては
大変残念なニュースでした。

そのトワイライトエクスプレスの伝統と誇りを受け継ぐ新たな寝台列車が、
2017年6月17日に運行を開始します。
1日に1か所立ち寄り観光をし、1泊2日だと2か所立ち寄ります。

山陽コース(下り)1泊2日の、せとうちの歴史に触れる旅では、
大阪・京都を出発し、倉敷駅(大原家旧別邸など)、
南岩国駅(錦帯橋、古川資料館)に立ち寄って観光し、
車内から、明石海峡や、和気町、尾道水道、瀬戸内海などが眺められます。

山陰コース(下り)1泊2日の、文豪と維新の歴史をたどる旅では、
大阪から京都を経て山陰線に入り、
城崎温泉駅、萩駅・東萩駅(松下村塾など)に立ち寄り下車して観光し、
余部橋梁、折居海岸、世界遺産の萩反射炉、深川湾を車内から見ることができます。
また、立ち寄り場所を変えたそれぞれの上りのコースもあります。

惣郷川橋梁を通る瑞風。

外観は、N700系など数々の列車のデザインを手がけてきた
インダストリアルデザイナー・福田哲夫さんによるデザイン。
デザインコンセプトは「ノスタルジック・モダン」。
トワイライトエクスプレスの伝統と上質さを表現した「瑞風グリーン」の車体は、
自然にもよく馴染みます。

丸目のヘッドライトや、往年のボンネット型を彷彿とさせる運転室などが懐かしさを感じさせます。

人気シリーズ 「真鶴半島イトナミ美術館」の プロジェクトムービーが公開中!

記事で紹介した人たちが映像にも登場!

神奈川県の西、真鶴半島に息づくさまざまなものづくりを「作品」と捉え、
半島そのものを美術館に見立ててそのストーリーを発信してきた
真鶴半島イトナミ美術館」。
相模湾に突き出すようなかたちで浮かぶ真鶴半島の先端には、
「お林」と呼ばれる豊かな森があり、
『美の基準』と呼ばれる真鶴らしさをまとめた規範が、
まちの暮らしの風景を守ってきました。

そんな真鶴の魅力を映像で表現したムービーが公開されています。

真鶴半島イトナミ美術館(Short ver.)

映像では、真鶴半島イトナミ美術館の記事にも登場したまちの人たちが、
それぞれのストーリーを語っています。

真鶴においしい魚が集まる理由。
真鶴のアトリエでものづくりをする風景。
まちづくりに携わる人。
アートが好きな干物屋さん。
真鶴に暮らす人たちの営みの風景が映し出されます。

〈県南レストランへGO! 春のグランツーリズムグルメ〉 熊本県南をドライブしながら グルメめぐり!

熊本県の“おいしい魅力”を、海の幸、山の幸、野の幸が豊富な、
南のほうから発信するプロジェクト「くまもと県南フードバレー構想」が進行中です。
そのプロジェクトの核となっているのは、
熊本県南の豊かな風土から生み出される、季節の野菜、その土地の特産品、
そして、生産者が心を込めてつくる加工品です。

この熊本県南の土地で生まれたそれらのお宝を、
〈RENGA〉という名のブランドとして発信。
豊かな食だけでなく、そのまわりにある文化や土地柄、
そして人の魅力を広めていく取り組みが行われています。

海と山、そして平野部と変化に富んだ熊本県南部は、農林水産物の宝庫。バラエティ豊かな食の魅力を体感できます。

季節が変化するこの時期は、おいしいものも変化する時期。
春の熊本県南の魅力をギュギュッと詰め込んで、
「RENGA三昧のおいしい旅に出かけよう!キャンペーン」が開催されています。

そのなかのイベントのひとつとして、
〈県南レストランへGO! 春のグランツーリズムグルメ〉が
4か所の物産館レストランで、5月10日まで開催中です。

各地域の旬のものや特産品を使い、
今回のイベントのために特別に開発されたご当地グルメを提供。
以前コロカルでも取材した熊本の料理研究家・相藤春陽さんが、
レシピの監修を行っています。
熊本県南の物産館をくまなくまわり、メニューを考案。

「地元の人が当たり前に食べているものを、新しい食べ方で提供することで、
料理を担当する地元の人に楽しんでつくってもらいたい」
との思いで、レシピを工夫されています。

熊本の食の発信に取り組む料理研究家の相藤春陽さん。(撮影:山口亜希子)

〈八代よかとこ物産館〉のメインは、特産のトマトを使った麻婆豆腐。
レストランの大人気メニューとなり、イベント終了後も定番メニューになるとか。

晩白柚(ばんぺいゆ)と白菜のサラダ、球磨川の手摘み青のりスープ付きで850円(税込)。

産直〈ふれあいの駅 うりぼう〉
とれたて野菜に、惣菜やお酒まで。
生産者と消費者をつなぐ場所へ

地域の農産物が地元の人に回るための場所を

その土地のおいしいものや食文化が知りたかったら、
農産物直売所に行ってみるのが手っ取り早いが、
いなべ市員弁町にある〈ふれあいの駅 うりぼう〉は、
置かれている商品の多彩さにまず驚かされる。

それもそのはず、いなべには全国的に知られているような特産品があるわけではないけれども、
少量多品目生産をしている農家が多いのだ。
地元の農産物などを扱う産直施設はいまや日本各地にあるが、
うりぼうはその先駆けといえる存在で、1989年に員弁町で始まった朝市を前身としている。

うりぼうの正面入口。開店時間から、多くのお客さんが訪れていた。

「朝市からふれあいの駅うりぼうになった2004年当時、
この辺りは三岐鉄道北勢線の大泉駅がぽつんとあるだけの寂しい場所でした」
と話すのは、農事組合法人うりぼうの代表理事を務める日紫喜淳さん。
農事組合法人とは、小さな農協のような組織。
もともと農協で営農指導をしていた日紫喜さんは、
地域の農業が活性化する方法をかねてから考えていて、
先述した朝市を立ち上げた人物でもあるのだ。

ほのかな甘みを感じ、一度食べたらクセになる〈さくらポーク〉は、うりぼうの売れ筋商品。〈松葉ピッグファーム〉は、いなべで唯一豚肉を生産している。

「四日市などの市場に出荷するためには、
ある程度の安定した生産量を確保しなければいけないけれども、
簡単なことではない。それならば地域の農産物が地元の人に回る、
つまり地産地消をするのが一番いい。地域おこしなんていうと大げさだけど、
旧員弁町は何もないところだったので、自分たちでどうにかしたいと思い、
生産者と協力してうりぼうを始めたのです」

「地域のため」を常に考えている日紫喜さん。

店内に並んでいるのは、野菜や肉などの生鮮食品だけでなく、お菓子や調味料、
お惣菜なども充実。6次産業という言葉が一般的になる前から、
ここでは地元の農産物を使った加工品も積極的につくってきた。

「今でこそ冬場でもいろんな農産物が揃っていますが、
昔はどうしても品薄になってしまったため、加工品にも力を入れてきた結果なんです。
たとえば黒米なんかはお酒をはじめとして、
これまで30種類くらいの加工品を商品化しましたよ。
今残っているもののほうが少ないですけどね(笑)」

売り場の隣にある厨房でつくられたばかりのお惣菜が、店頭に並ぶ。

販売している全商品に、生産者名が表示されている。

涙ぐましい努力と言えるが、うりぼうの店舗の前に2014年にオープンした
〈ジェラートの駅うりぼ~の〉のジェラートは、
近年のヒット作のひとつ。いちごやトマト、さつまいもなど、
いなべでとれた旬の野菜やくだものを使うのはもちろん、
良質なお茶の産地である大安町石榑の緑茶やほうじ茶のフレーバー、
黒米をリゾットにして練り込んだジェラートもあって、ついつい目移りしてしまう。

ジェラートも地産地消が基本。卵を使わず、低カロリーなのが特長。

神戸の煉瓦倉庫カフェ で植物を愛でる 〈VERT de MER〉オープン

1890年代後半に建造され、神戸港の貨物の倉庫として
使用されていた〈煉瓦倉庫〉。
現在は〈神戸煉瓦倉庫再生プロジェクト〉のもと、
海辺の気持ち良い立地を活かしたレストランやショップなどが営業し、
観光名所になっています。

そしてこのたび、2017年4月15日(土)に、
新しいライフスタイル・ショップ
〈VERT de MER(ヴェール・デ・マーレ)〉がオープンします。
場所はライフスタイルショップ〈FELICE.KOBE〉に併設された
カフェ〈RED BRICK 1898〉店内。
カフェタイムを楽しみながら、
本格的なグリーンアイテムを購入できるショップです。

RED BRICK 1898 店内

ショップがあるのは、カフェの海側からの入り口付近。
定番のモンステラやアルテシーマ、ドラセナのほか、
エアープランツや多肉植物を使ったテラリウムなど、
すぐに持ち帰れるアイテムも。

今人気のテラリウム

“テラリウム”とは、空き瓶などのガラスボトルに土を入れ、
苔や植物、オーナメントなどを自由にレイアウトしてつくる園芸。
エアプランツや多肉植物を使った寄せ植えなど、
おしゃれなインドアグリーンとしてちかごろ人気を集めています。

京都に十の舎からなる宿 〈四季十楽〉誕生! 冷水希三子さんら 十の才人がおもてなし

Photo:Yuna Yagi

10人の才人による京都のおもてなし「十楽」を体験できる宿

2016年12月、京都御所西の閑静な場所に
まったく新しいタイプのホテルがオープンしました。
大きな特徴は、築100年近い長屋をリノベーションした1棟貸しの客室に泊まれること。
すべての部屋に1階と2階があり、広々と、暮らすように滞在できるんです。

Photo:Taisuke Koyama

Photo:Taisuke Koyama

特筆すべきは「十人十楽」という名の通り、
10人の才人による京の時間、京の心を体験するための
「十楽(十のおもてなしプログラム)」が楽しめること。

Photo:Taisuke Koyama

十楽を提供するのは、次の10人。
クリエイティブディレクターの後藤繁雄さんが選びました。

一、味楽 冷水希三子(料理家)

二、美楽 小山泰介(写真家)

三、花楽 西山隼人(花屋みたて主人)

四、匠楽 田根剛(建築家)

五、室楽 小林和人(Roundabout店主)

六、画楽 高岡一弥(アートディレクター)

七、庭楽 西畠清順(そら植物園代表・プラントハンター)

八、身楽 手島渚(WHOLE TREAT SPA Inst. 代表、セラピスト)

九、装楽 野村春花(染士)

十、読楽 光村推古書院

7号室、2階のベッドルーム。1階には土間があるそう! Photo:Yuna Yagi

客室は10棟あり、どの部屋もひとつとして似ていません。
こちらは京町家をそのまま生かした空間になっている1号室。
2階からは緑の庭や路地の景色が楽しめます。

1号室 Photo:Taisuke Koyama

床の間には、写真家の小山泰介さんの作品と
京都・紫竹にある花屋〈みたて〉の西山隼人さんによる花の設えが。
こんな伝統の息づく空間で現代の美を愛でられるなんて、贅沢!
檜風呂とミニキッチンがついているのもうれしいです。

1号室の檜風呂。Photo:Taisuke Koyama

門扉とサロンは、パリを拠点に国内外で活躍する建築家、田根剛さんによるもの。
こちらのサロンではウエルカムドリンクや朝食をいただけるほか、バータイムも。
ヴァンナチュールや京都産のジンを使ったお酒が楽しめます。

Photo:Yuna Yagi

ゲストが驚く、真っ赤なサロン。日常とは異質な反転の美を試みたのだとか。Photo:Yuna Yagi

6号室、2階のベッドルーム。照明とエスニックなラグ、アンティーク家具のコーヒーテーブルセットを配したモダンな部屋です。Photo:Yuna Yagi

坂本龍馬の書簡だけじゃない! ちりめん丼に焼きナスアイス &かんば餅。 おいしい食とともに楽しむ 〈志国高知 幕末維新博〉

高知県ではただいま〈志国高知 幕末維新博〉が開催中!
大政奉還150年となる今年と、明治維新から150年となる平成30年にかけ、
歴史を中心とした大規模な観光博覧会を催しています。

幕末維新博のなかで今最も注目されているのは、
なんといっても昨年新らしく発見された〈坂本龍馬の書簡〉の公開。
京都で暗殺される5日前に書かれた手紙で、
〈新国家〉という文字が初めて確認されたという貴重な資料となっており、
龍馬が〈新しい幕府〉ではなく〈新しい国家〉の設立を
目指していたことがよくわかります。

新発見された龍馬の書簡。

3月にオープンしたばかりの高知城歴史博物館にて5月7日まで展示されています。

しかしもちろん、幕末維新博の魅力はそれだけではありません。

龍馬の書簡が展示されている高知城歴史博物館や、
坂本龍馬記念館(平成30年春リニューアルオープン)といった施設のほかに、
高知県内各地にある歴史文化施設が会場となっているのです。
その数なんと23か所!

土佐が生んだ多くの偉人達ゆかりの地を巡りながら、
そこにしかない貴重な歴史資料を見たり、
各地域ならではのおもてなしが体験できるようになっています。

幕末維新博の会場のひとつ中岡慎太郎館。ゆずで有名な北川村にあります。

薩長同盟締結の際活躍した慎太郎の生涯をドラマ仕立ての映像や展示で演出。企画展も開催予定。

近くには生家が残されており、いろりを囲みながら地元の方たちが慎太郎や幕末時代の話を聞かせてくれました。

歴史を学びつつ……。おいしい地元グルメも楽しみ!!

また、歴史を学びつつ注目したいのがやっぱり食!
幕末維新博をまわりながら食べられる
おいしいものたちを、一部ですがご紹介したいと思います。

今回周ったのは、龍馬の盟友である中岡慎太郎の生家と、
海援隊を支え、現在の三菱グループの礎を築いた岩崎弥太郎の生家。
どちらも高知県の東側に位置する安芸・室戸エリアで、
ゆずやナスや海産物が豊富な地域です。

まずは安芸地方の名物、シラスをこれでもかというくらい使った釜揚げちりめん丼。

こちらはかき揚げちりめん丼。かき揚げの下にもシラスがたっぷり!

安芸地方にきたらぜひ食べたいのがちりめん丼。
他の地域で食べるシラス丼と一風違うのが、
地元産のユズ酢をかけて食べるところです。
特にかき揚げとの相性はバッチリ!
爽やかでサッパリとした風味がクセになります。

安芸地方はナスが特産のため、ナスカレーも人気。

台湾の人気旅ブロガー
キャロル・リンが
震災前の熊本を行く。

台湾の旅ブロガーの中には、日本の地方を記事にする人も少なくない。
彼女たちは私たち日本人が驚くほどの情報通。
キャロル・リンさんは2003年より活躍する人気旅ブロガーで、
いつも私も彼女の記事から日本のいろいろな情報や視点を教えてもらいます。
そんな台湾と日本の距離感から生まれる、日本通の台湾人と
台湾通の日本人の交流はおもしろいと思います。
今回お届けする記事はキャロル・リンさんが
震災前の熊本を訪れ感じた、日本のローカルの姿。
(by LIP)

台湾の人気旅ブロガー・キャロルの見た、
震災1週間前の熊本の美しい記憶

2016年4月、熊本地震が発生したその夜、
私はテレビで馴染みの地名を聞きながら、心苦しくなりました。
上益城郡、山都町、南阿蘇、地震の1週間前に行った場所ばかりです。
熊本についての美しい記憶は、質素で活力のある、山のように落ち着いた印象でした。

通潤酒造

〈通潤酒造〉に初めて行ったときはわくわくしていました。
ゲームやアニメに特別詳しいわけではないですが、
ファンの間ではこの地の聖地巡礼がブームになるほど、
ゲーム『刀剣乱舞』の人気の高さは前から聞いていました。
通潤酒造で熊本の名刀「蛍丸」にちなんでつくられた日本酒にファンが殺到し、
話題を呼んだこともありました。そのため、通潤酒造に行ける機会があって、
少しだけファンの気持ちがわかりました。

通潤酒造は創業240年の小さな酒蔵です。
地産の山都米と阿蘇山脈の地下水で生産し、
定番酒の〈大吟醸 通潤〉は地元山都の地酒として輝き続けています。
いまでも酒蔵には200年の歴史のある木造倉庫があり、
時代を刻んだ酒づくりの器具などが保存されています。

近年、時代の流れに合わせて、新しいお酒を開発し続けるほか、
観光客向けに酒蔵見学ツアーも始まりました。
100年の歴史ある蔵と工場を見学できるほか、売店ではお酒の試飲もあり、
近年は「蛍丸」人気もあって観光客がたくさん集まるようになりました。

お酒のパッケージデザインと発想もとてもすばらしく、
例えば淡麗辛口の純米吟醸〈蝉〉、純米酒〈雲雀〉、
女性向けにつくった深い香りの純米吟醸〈SOIGNER ROSE〉などがおすすめです。
私は純米酒〈雲雀〉と「蛍丸」をモチーフにしたお猪口をお土産にしました。

通潤酒造の規模は大きくないですが、ネットのおかげで
ローカルのご当地ブランドとして脚光を浴びました。
酒蔵を継いだ12代目蔵元には、次の100年に向かって
自社ブランドを発展させる決意が見られます。
熊本地震の影響で販売中止になった品目も少なくないですが、
2017年に通常生産が再開するように祈ります。

清和文楽館

次に紹介するのは清和村の道の駅〈清和文楽邑〉です。
清和村は人口4000人未満の小さな村ですが、一番の名所が
九州唯一の「文楽人形浄瑠璃」専門劇場の〈清和文楽館〉です。
清和文楽浄瑠璃は江戸末期に始まって、160年の歴史があると言われています。
ここでは劇場のほか、文楽資料館、熊本ご当地物産館と道の駅が統合し、
総合的公共文化施設になっています。

この日、ちょうど研修団体の発表会があり、
演目『傾城阿波の鳴門』を観ることができました。
文楽はとても重要な日本伝統芸能とは知っていましたが、
実際鑑賞するのはこれが初めてです。

文楽には3つの重要な要素があります。
浄瑠璃太夫、三味線奏者、人形遣いです。
文楽人形のサイズは私が想像していたよりはるかに大きくて、
大人の半分くらいの高さがあり、手、足と頭部に滑らかな動きを出すため、
操るには3人が必要です。人形遣いとして舞台に立てるようになるには
10年以上の修練が必要と言います。

ここで実際に文楽を鑑賞できたことがうれしいだけでなく、
私は文楽館の建物にも魅かれていました。

案内の方に聞いた情報と資料確認によると、この文楽館は
70年代の重要な建築家、石井和絃が手がけたものです。
香川県の直島を何回か訪れたことがあり、
彼が設計した直島町役場と直島小学校を見たことありますが、
熊本でも彼の作品を見られるとは思いませんでした。

清和文楽館は「くまもとアートポリス」のうちのひとつです。
建物は「舞台棟」「客席棟」「展示棟」からなり、
特にすごいのは劇場とつながっている客席棟です。
木材を美しく組んだ「騎馬戦組み手工法」でつくり上げられ、
観客が頭を上げれば豪華な天井が見られます。
また、展示棟も、天井は木材で正十二角形に組み合わせた美しい形で、
このふたつの建物だけでも見応えがあります。

幸い熊本地震は文楽館の建物に大きな被害をもたらしていませんでした。
このような災害が少ない地区は積極的に地震後の復興に力を入れ、
熊本を守る力になりました。

働く女子の休日に密着! 〈アクティ部 みなまた〉 水俣のアクティビティを動画で紹介

熊本県の南部、鹿児島との県境に位置する水俣。
美しい不知火海に面するマリンスポットや、
ほどよいトレッキングコースがある山、海の温泉、山の温泉が、
ギュッとコンパクトに行きやすい場所に点在しています。

福岡からも、鹿児島からも、新幹線にポーンッと飛び乗って、
新水俣駅でポーンッと降りちゃえば、めいっぱい、アクティブな休日が楽しめる。
そんな水俣の休日を動画で紹介している〈アクティ部 みなまた〉をご紹介します。

これは、水俣の真の魅力を知ってもらうべく、地元を愛する人々が取り組んでいる
アクティビティにスポットをあてたもの。
温泉とともに楽しむ水俣ならではのアクティビティで、
水俣での新しい休日の過ごし方を提案したい、と
水俣市観光アクティビティプロモーション実行委員会が制作しました。

平日をがんばって働いてきた女子たちが
水俣でめいっぱい遊んで、食べて、飲んで、楽しむ週末に完全密着。
働く女子ふたり組の、ありのままの休日を
小さなカメラで追っかけたドキュメンタリーです。

シーカヤックに、スウィーツをハシゴの女子旅

現在公開されているのは、#01から#03までの、1泊2日の旅と、
#04、#05の1日旅。

シーカヤック編

1泊2日の水俣旅を体験したのは、福岡県と熊本市から新幹線でやってきた
仲良しふたり組。水俣で合流し、女子旅をスタート!
「普段やらないことやって、思いっきり楽しみたいよね!」
と、ふたりが選んだ旅のコンテンツは、マリンスポーツとスウィーツの食べ歩き。

シーカヤックも、ダイビングも初体験のふたりでしたが、
シーカヤックは、ものの10分で乗りこなし、
風に背中を押されながら、ススイノスイと恋の伝説が残る、恋路島に。
追っかけるカメラマンの存在を忘れて、水遊びや日なたぼっこを楽しんでいました。

食いだおれ編

その後はスウィーツの食べ歩き!
「甘いものは別腹」、とばかりに水俣のスウィーツ店をハシゴ。
できたてアツアツの饅頭を食べたり、フルーツたっぷりのケーキを頬張ったり、
コバルトブルー色のかき氷に驚いたり。

かき氷をスマホで撮影している最中に、
ザザザーっと氷の山を崩してしまうハプニングも!
もちろんその模様も、しっかり動画に収められています。

ちょこちょこと寄り道しながら、ちょこちょこ食べまくるのは、
女子旅の醍醐味。合計4軒をハシゴしました。

まちの人に開かれた美術館。
〈真鶴町立中川一政美術館〉から
生まれる新たな息吹

美術館にまた来たくなる体験を

真鶴半島先端に豊かに生い茂る「お林」に寄り添うように佇む
〈真鶴町町立中川一政美術館〉。そこに新しい息吹が次々と吹き込まれている。

日本を代表する洋画家のひとりである中川一政。
戦後まもなくから1991年に没するまで真鶴にアトリエを構え、
油彩だけでなく書や陶芸など多くの作品を残し、
溢れんばかりの情熱で創作活動に情熱を注ぎ込んだ。
その作品650点余りを所蔵するのが、真鶴町立中川一政美術館だ。

美術館には、全国各地、また海外からも一政のファンが訪れる。
その美術館がいま、地域に根づき、町民に愛される場所となるよう、
新たな歩みを踏み出している。

2017年2月18日、19日には、書家の川尾朋子さんを招いて
「書に触れる」イベントが開催された。
生命感あふれる絵画に加え、一政の「書」という新たな魅力を開拓する試みの一環で、
18日には川尾さんによる書のライブパフォーマンスと、
真鶴町の小学生を対象にした書道教室が、
19日には美術館にあるお茶室で、川尾さんと美術館の指導員であり
生前一政の秘書を務めた佐々木正俊さんのトークショーが行われた。

川尾さんの書のパフォーマンスに、子どもたちも魅入られていた。

書道教室には、町内の小学生10名ほどが参加。
川尾さんが墨のすり方や基本的な筆遣いを教えるだけでなく、
半紙に円を何重にも書いてもらったり、
子どもたちを周囲に集めて間近で文字を書いてみせたりなど、
学校などの習字の時間とは少し違ったワークショップに、
子どもたちも目を輝かせていた。

最後に、子どもたちに今年の目標を一文字で書いてもらうということになり、
「紙からはみ出すように書いてください」と川尾さんが言うと、
子どもたちの顔つきが変わり、のびのびと一文字を書き上げていた。

これまでも子ども向けのワークショップをしたことがあるという川尾さんは、
毎回自分にとっても発見があると話す。

「子どもたちは想定外のことをしてくれるので、私も勉強になります。
習字は美しい文字を習うことなので、それもとても大事なことですが、
書道では、はみ出してもいいんだよということを教えたかった。
そうでないとみんな同じになってしまいます。ものづくりをするうえで、
ちょっとはみ出してみると、こんなにおもしろい世界があるよ、
ということを知ってもらえたらと思います」

子どもたちにとっても、川尾さんにとっても有意義な時間になったようだ。
参加した小学生のひとりが、翌日のイベントにも来たいと言って帰って行った。
このように、町民が美術館にまた来たくなるような、
そんな体験の場づくりが始まっている。

棚田の再生活動からツアーへ! 
岡山県美作市の〈上山集楽〉から
〈上山ツーリズム〉が始まる

千年の歴史を刻む千枚田を再生させたい

岡山市内から北東へクルマで1時間ほど。
中山間地域ならではの、のどかな風景を眺めながら山道に入ると、
やがて視界が開け、小さな神社と大きな谷が姿を現します。
谷の斜面には棚田と、その間を縫うように走る狭い農道。
さらにその道沿いには民家が点在し、
春には桜、夏には蛍、四季折々の風景が広がります。

ここは岡山県美作市上山地区。
かつて、ここには奈良時代に拓かれたと伝わる、
日本最大級の「上山の千枚田」がありました。
その棚田の数は、実に約8300枚とも言われています。

上山地区のランドマークである上山神社。旧英田(あいだ)町による観光案内には「今でも『田毎の月』『耕して天に至る』と言った、農耕にまつわる風流な言葉が残っております」と紹介されています。

1970年代中頃まで、上山では棚田を中心にした昔ながらの生活が営まれ、
棚田の集落に独特の、伝統や文化が受け継がれていました。
しかし残念なことに、その後の減反政策や高齢化により、
千年の歴史を刻む“循環型の食料生産プラント”とも呼ぶべき千枚田は、
続々と耕作放棄されていきます。
やがて、一面の笹藪や竹藪、あるいは植林による杉林となり、
すっかり荒れた谷へと姿を変えてしまいました。

すっかり草や蔓に覆われてしまった棚田。2003年10月。(撮影:高田昭雄)

このままでは、千年の歴史も知恵も景観も二度と取り戻せなくなる。
上山の千枚田を再生させようというグループが現れたのが2007年。
やがて、2011年にNPO法人〈英田上山棚田団〉が結成されます。
「どうせ再生なんてできない」と眺めていた地元のお年寄りたちも、
竹藪を切り払い、野焼きを始めた彼らの姿に「本気」を感じ、
やがて懐かしい石積みの畦畔が現れたときには、彼らと一緒になって歓声をあげました。

上の写真と同じ場所に再生された棚田。耕作放棄された1枚の水田を掘り起こし、再び作付けできる状態にするには3~4年かかると言われています。2016年10月撮影。

2016年現在、若い移住者も増えて再生活動は加速し、
約60ヘクタールある農地の、17ヘクタールが再生され、
約4分の1の棚田が息を吹き返しています。とは言え、まだまだ先は長い。
かつての棚田を取り戻す活動は、これからが本番です。

自然に寄り添う暮らしと知恵を学ぶ、観光ツアーがスタート

一方で、再生活動を支える経済的な基盤もつくらなくてはなりません。
生産される米の収入だけでは、とてもおぼつかないからです。
そこで、米を酒造好適米に変えて、日本酒の製造、販売。
あるいは高齢化する住民たちの足として、超小型電気自動車の活用。
野菜や果物など、新たな農作物の開発。などなど、多くの取り組みが行われています。

2016年10月、全国のICT技術者たちが上山に集まって、農林業の課題に向き合った「上山集楽農業ハッカソン」を開催。

いずれも、かつての棚田を取り戻し、
棚田ならではの景観や文化を未来に残すための取り組み。
そんな、「未来の田舎」を目指す上山のようすは、
すでに多くの企業や自治体から熱い視線を浴び、
今では絶え間なく、視察や研修のツアーが開催されています。

野草の豊かな土地柄、視察や研修のツアーでは、野草料理やジビエが評判を呼んでいます。

であれば、このツアーを一般の観光客に向けて開放してはどうか?
千枚田の景観はもちろん、棚田での農業体験や、食材としての野草やジビエ、
晴天率の高い岡山県ならではの星空キャンプ、あるいは超小型電気自動車の体験試乗。
それは棚田千年の歴史を通じて培われてきた、“自然に寄り添う暮らし”を学ぶ観光です。

そんな〈上山ツーリズム〉が、この4月からスタートします。
具体的なツアーの内容は、次のページから。

新茶の天ぷらってどんな味?! 茶どころ・静岡で 新茶摘み体験ツアー

製茶問屋の新茶摘み体験ツアー。
一度食べてみたいのが新茶の天ぷら!

毎年、4月の半ばから始まる新茶の時期。
一大産地である静岡では、〈新茶摘み体験ツアー〉が開催されます。
主催は静岡県静岡市に本社を置く製茶問屋の
小柳津清一商店(おやいづせいいちしょうてん)
お茶の樹やお茶の葉に直接触れられる、貴重な体験ツアーです。

新茶摘み体験ツアー

ツアーが行われるのは、新茶時期と呼ばれる4月20日から6月30日までの期間限定。
静岡の人でも機会が少ないお茶摘み体験や、お茶袋詰・菓子製造工場の見学、
大人気のお茶の詰め放題など、さまざまな体験ができます。

気になるのは、摘みたての新鮮な茶葉を使った「新茶の天ぷら」。
新茶をさっと上げた天ぷらは、爽やかなほろ苦さと新芽の甘みを感じる、
この時期だけの特別な料理。ぜひ味わってみてはいかがでしょうか。

ほんのり甘みがあるのだそう

クリエイティブツーリズムって? 〈ホテルエメラルドアイル石垣島〉 に見るクリエイティブ発信

石垣島がめざすクリエイティブツーリズムとは?

「クリエイティブツーリズム」という言葉をご存知ですか? 
アート資源やクリエイターによる活動などに着目し、
訪れた人に土地の新たな魅力を体験してもらおうという動きが各地で活発化しています。
2017年1月14日に石垣市で開催された文化観光シンポジウム
『島の文化と魅力の創出』でも、そんなクリエイティブツーリズムについての
論議が交わされました。

クリエイティブシティー(創造都市)のコンセプトを日本に初めて持ち込んだ、
文化庁文化芸術創造都市室長の佐々木雅幸さんは、
「近年は製造業で雇用が生まれる時代ではないので、
小さいけれどクリエイティブな仕事を増やしていくことが大事です。
そして新しいクリエイティブは決して中心の都市だけから生まれるわけではありません」
と話します。

さらに世界的な建築家で、この島の新しい市役所を設計する
隈研吾さんは、地方都市の魅力についてこう話をつなげます。
「中心でなく周縁。大都市に毒されない場所が世界的におもしろい。
イギリスのスコットランドでは先住人のケルトの文化とつながっていて、
ロンドンとは違った文化が盛り上がっています。20世紀は都市中心だったが、
いまは地方がおもしろくなるという競争が始まっています」

佐々木さんによると、アメリカのサンタフェで、
クリエイティブシティーの新しい取り組みとして、
世界に先駆けてクリエイティブツーリズムが提唱されたそう。

「クリエイティブツーリズムは、地域の歴史・文化・芸術への理解を深め、
体験することで地元との一体感を持つことを重視する観光のあり方。
それによって地方都市にも大きなアートマーケットが生まれました。
アーティスト、クリエイター、ツーリストをつなぐものが必要になってきます」

また、文化政策分野の中間支援を各地で行う
一般社団法人クリエイティブクラスター代表の岡田智博さんは、
「クリエイターを集めて、どのように情報発信するのかが重要。
石垣市は、積極的にクリエイターの橋渡しを行って、
いままで島になかったデザインなどの新しいタイプの仕事をつくろうと進めています」
と話しました。

いまから2020年の東京オリンピック、パラリンピックに向けて、
クリエイティブツーリズムの地盤づくりを、行政や民間含めて前進させていることが、
今回のシンポジウムのディスカッションでわかりました。