連載
posted:2017.8.23 from:北海道上川郡東川町 genre:暮らしと移住 / 旅行
PR 北海道観光振興機構
〈 この連載・企画は… 〉
“北海道の屋根”と言われ、日本最大の〈大雪山国立公園〉を有する大雪山。
深く美しい大自然のなかで、コテージや温泉宿に滞在しながら、北の暮らしを旅します。
photographer profile
Asako Yoshikawa
吉川麻子
フォトグラファー。北海道苫小牧市生まれ。札幌市在住。2006年からのスタジオ勤務を経て2011年より独立し、フリーランスとなる。主にポートレイト、衣食住、それらに関わる風景など幅広く撮影。おいしいものといい音楽があると笑顔になります。
気のいい犬1匹と現在二人暮らし。
writer profile
Akiko Yamamoto
山本曜子
ライター、北海道小樽生まれ、札幌在住。北海道発、日々を旅するように楽しむことをテーマにした小冊子『旅粒』発行人のひとり。旅先で見かける、その土地の何気ない暮らしの風景が好き。
旅粒
http://www.tabitsubu.com/
あたり一面が輝くような緑に包まれる大雪山の夏。
この時期、全国から多くの登山客が訪れる旭岳ロープウェイのほど近くに、
名湯とうたわれる旭岳温泉があり、数軒の宿泊施設が建ち並びます。
冬季の積雪量が45メートルを超えるという旭岳。
大雪山国立公園の雄大な自然に抱かれた、まさに秘湯の宿です。
なかでも、ていねいな料理が味わえ、地下で豊かに蓄えられた
湧き水〈湧駒水(ゆこまんすい)〉とともに5種類もの源泉をもち、
3つのかけ流し温泉を湯巡りできるのが〈湯元 湧駒荘〉(ゆこまんそう)。
山の上の秘境にありながら旭川空港から車で45分とアクセスのいい湧駒荘。
ふもとのまち東川へも片道30分で行き来できます。
滞在するなら、木造建築を改装した別棟2階に
2017年6月にオープンしたばかりのハイグレードな洋室〈山小屋ツイン〉がおすすめ。
本館の趣ある和室とはまたひと味異なり、
北海道の素材やつくりにこだわった、上質な安らぎを感じられる空間です。
ホタテの貝殻でつくられた漆喰があたたかみのある白壁。
高い天井を見上げると、北海道でかつて主に大きな建物に使われた
洋小屋トラスと呼ばれる構造が、どっしりとした存在感を放っています。
建材はタモやトドマツなど北海道産。
地元の素材に包まれた空間でまずはゆっくりとひと息ついたら、
お楽しみの湯巡りに出かけてみましょう。
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湧駒荘の誇る5つの源泉はすべてそのままかけ流されているので、
それぞれのお湯の個性をたっぷり感じられる湯浴みは贅沢そのものです。
日帰り入浴に対応している別館〈神々の湯〉と、
宿泊者専用の本館〈ユコマンの湯〉〈シコロ(アイヌ語でキハダ)の湯〉合わせて
17もの浴槽は、滞在の間にすべてを味わってみたいもの。
特に、シコロの湯にある炭酸泉は驚くほどまろやかな肌当たりなので、
ぜひゆっくりと浸かってみて。加温や加水をしていないため、
季節によってお湯の温度や量が変わるのも、天然の温泉の証。
本館にあるふたつの露天風呂が開放されるのは夏から秋にかけての期間のみなので、
夏の爽やかな時期、旭岳の澄んだ空気を味わいながら湯浴みを楽しみましょう。
この一帯は地名を勇駒別(ユコマンベツ)といい、
かつては勇駒別温泉と呼ばれていました。
アイヌ語で「湯に向かってゆく沢」と言われ、古くから温泉が湧いていた土地で、
大正4年に開かれた勇駒別温泉は、はじめは材木の切り出しに訪れる作業員の休憩所でした。
前身となる温泉宿が廃業したのち、湧駒荘の前社長 竹内隆治さんが、
ここにあったすばらしい5つの源泉と湧き水、そして周囲に広がる国立公園の大自然に惹かれ、
多くの人にこの貴重な温泉を伝えようと、1997年に湧駒荘を創業します。
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湯めぐりの後は、和食をベースに趣向の凝らされた夕食が待っています。
夏季と冬季で内容の変わるコース〈遊食膳〉は、
ここが山の上であることを忘れるほどのおいしさと満足感。
毎年6月末からは、大人気メニュー〈夏限定 メロンとヴィシソワーズ〉がスタート。
豪華なハーフサイズの道産メロンを器に見立て、
中はほのかに塩気のあるジャガイモの冷製スープがたっぷり。
合わせていただいてみると、メロンの甘みにヴィシソワーズの塩気が絶妙なバランス。
これを食べたくて夏に訪れるお客さんも多いそう。
「山奥の宿なので、ちょっとした遊び心を取り入れて
お客さまに楽しんでいただけるよう、
“冷める興奮よりも、よみがえる感動”を心がけています」
ボリュームたっぷりのフルコースで旬の素材に工夫を凝らし、
ここにしかないおいしさを提供しているのは、
湧駒荘の料理長を10年間務めてきた竹内 崇さん。
2017年6月から2代目社長に就任した崇さんは、
高校卒業と同時に料理人の道へ進み、いずれも名店・名宿として知られる、
赤坂の料亭〈津やま〉や石川県の和倉温泉〈加賀屋〉で合わせて6年間修業したのち、
湧駒荘へ戻り、料理長として腕をふるっています。
「いずれ父の跡を継ぐことを決めていたので、
宿づくりの中でも大切な料理の道に進みました。
これまでの経験で得た技術をもとに、社長として動きながらさらにいいものを吸収し、
調理場でかたちにしてお客さまに喜んでいただきたいですね」
受け継がれていく志とともに、進化を続ける秘境の宿。
すみずみまで心のこもったおもてなしが待つ湧駒荘で、
大自然の恵みを体感できる豊かな週末を過ごしてみませんか?
information
湯元 湧駒荘
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