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暮らすように泊まる
〈Villa ニセウコロコロ〉。
旭岳の絶景を望む、一棟貸しの宿

おでかけコロカル|北海道・道北編

posted:2016.2.13  from:北海道上川郡東川町  genre:旅行

〈 おでかけコロカルとは… 〉  一人旅や家族旅行のプラン立てに。ローカルネタ満載の観光ガイドブックとして。
エリアごとに、おすすめのおでかけ情報をまとめました。ぜひ、あれこれお役立てください。

photographer profile

YAYOI ARIMOTO

在本彌生

フォトグラファー。東京生まれ。知らない土地で、その土地特有の文化に触れるのがとても好きです。衣食住、工芸には特に興味津々で、撮影の度に刺激を受けています。近著は写真集『わたしの獣たち』(2015年、青幻舎)。
http://yayoiarimoto.jp

writer's profile

Akiko Yamamoto

山本曜子

ライター、北海道小樽生まれ、札幌在住。北海道発、日々を旅するように楽しむことをテーマにした小冊子『旅粒』発行人のひとり。旅先で見かける、その土地の何気ない暮らしの風景が好き。
旅粒
http://www.tabitsubu.com/

credit

取材協力:北海道観光振興機構

パチパチとはぜる薪ストーブ。
部屋中がやさしい暖かさに包まれて……
まるで個人の住まいのような リビングルームをはじめ、
ベッドルームやキッチンを備えたこの建物は、
旭川空港からもほど近い東川町の田園地帯にそっと立つ
愛らしい宿〈ニセウコロコロ〉のヴィラのひとつ。

こちらは、東川のまちに惹かれて移住した、
正垣智弘さん、芳苗さんご夫妻が2013年にオープンした、
“自然のなかの上質なくつろぎと癒し”を提案する一棟貸しタイプの宿。
建物や家具はすべて東川の〈北の住まい設計社〉が手がけ、
小さなお子さん連れの方が安心して滞在できることも大切にしています。
それぞれ間取りやインテリアが異なる個性をもった3つの棟には共通して、
キッチンツールはもちろん、
トースターやレンジ、2ドア冷蔵庫、炊飯器、洗濯機、
ナイトウェアやアメニティ、
知育玩具の積み木〈KAPLA(カプラ)〉など、
質とデザインにこだわりぬいた
暮らしの設備や道具がまるごとセットされています。

旭川空港からも15分ほどと便利な立地。
ここを起点に富良野や旭川方面へ足を伸ばしたり、
旭岳で温泉に浸かったり、東川をじっくり満喫したりと、
幅広い楽しみ方ができます。

宿泊の建物とは別にあるのが宿の受付兼オーナーの自宅。
ここでチェックインを済ませたら、個性豊かなヴィラへ案内してもらいましょう。
いずれの棟も4〜5名までの宿泊が可能です。

まずは、腰折れ屋根が北海道らしい建物〈ペロ(アイヌ語で「ミズナラ」)〉。
木のいい香りがふんわりと漂う玄関からドアを開けると、
明るいリビング&ダイニングルームが広がります。
夜も薪ストーブの炎がまたひと味違う表情で部屋にぬくもりを添えてくれそう。
石の敷かれた部分には床暖房を導入しています。

ペロのリビングルーム。大人と小学生以上の子ども合わせて5名まで宿泊可能。大人2名利用でひとり16000円、大人3名以上ひとり14000円、小学生4000円、小学生未満は無料。(すべて税抜)

各棟のテーブルの上には、胸がときめくような朝食セットが置かれています。
かごにぎゅっとつめこまれた食材は、簡単な調理ですてきな朝ごはんに変身。
東川でつくられている日替わりの天然酵母パン、
平飼いたまご、無添加トマトジュースに無添加ベーコン……
そしてとれたての野菜。すべてが東川や旭川などの近郊産です。
安心の素材を使い、自分たちの手でつくった朝ごはんは、
きっと格別なおいしさのはず。

宿での夕食は〈北の住まい設計社Cafe〉のデリを注文して届けてもらえるほか、
おいしいお米や野菜の宝庫の東川で、
食材を買い込んでゆっくりと料理をするのもおすすめ。
もちろん、東川町の中心街までは車で5分という距離なので
近隣のおいしいお店の紹介や予約も引き受けてもらえます。

テーブルに用意されているカフェセット。

くつろぎのコーヒータイムも、ちょっとひと手間かけて。
東川の自家焙煎コーヒー店〈yoshinori coffee〉の豆を
ミルでごりごりと挽いたあと、
ケメックスのコーヒーメーカーでゆっくりと落としてみる。
普段なかなかできないことも、ここでは旅の思い出のひとときに変わります。
フェアトレードの紅茶やハーブティーも。
手づくりクッキーと一緒に、リラックスしたひとときを過ごすことができます。

日々姿を変える大雪山系旭岳を望む。

ドアのキーには木製のドングリが。ニセウコロコロの“ニセウ”とはアイヌ語で「どんぐり」のこと。どんぐりがアイヌ民族にとって重要な存在だったことから、この名前を選んだそう。

次のヴィラ〈チカプ(アイヌ語で「コナラ」)〉は、
小さな村の教会をイメージした建物です。
吹き抜けの天井が高く取られたつくり。
広くとられた対面のキッチンで料理をしながらにぎやかに食卓を囲めるので、
女性同士の滞在にも人気です。
床材はチェリーの木が使われ、あたたかな空間を明るく彩っています。

二階建てのチカプは、3棟のなかで一番広い。大人と小学生以上の子ども合わせて4名まで宿泊可能。大人2名利用でひとり18000円、大人3名以上ひとり15000円、小学生4000円、小学生未満は無料。(すべて税抜)

2階のベッドルーム。絵本に出てくるような2段ベッドもついています。晴れた日の夜には天窓から星空が見えるはず。寝室横には、大人も使える小さな勉強机が。

立ち上がるとちょうど旭岳が見えるという絶景つきの浴室。

雄大な景色を眺めながら過ごせる、テラスのベンチとテーブル。
夏場はバーベキュー(レンタル可)を楽しんだり、お酒を飲んだり、自由に使うことができます。

最後のヴィラは〈トゥンニ(アイヌ語で「カシワ」)〉。
北欧に多い片屋根の平屋で、室内は3棟に共通している、
珪藻土を使った漆喰が落ち着ける空間を演出しています。
それぞれの部屋でゆっくり過ごせるように、
入口を挟んだ廊下の先に寝室が配されているのも特徴。

広々としたリビングはナラの木の床材を使用。大人2名+子ども2名が最適。大人2名利用でひとり16000円、小学生4000円、小学生未満は無料。(すべて税抜)

食器も棟によって変わります。トゥンニにはフィンランド〈アラビア〉の復刻版〈ブラック・パラティッシ〉が。

トゥンニ寝室の壁塗りのみ、オーナーご夫妻が手がけられたそう。カーテンの中には小さめの2段ベッドが置かれています。

“こんな家やこんな自然の中に暮らしてみたい”
というイメージがまるごとかたちになったヴィラ。
東川に住む感覚を味わえるからと、移住を考えている方の宿泊も多いそうです。

この素敵なヴィラのオーナーである
正垣智弘さんと奥さまの芳苗さんは、4人のお子さんと家族6人暮らし。
それぞれ千葉と新潟のご出身で、家族で東京に暮らしていましたが、
震災後、自分たちらしい生き方をするために移住を決意します。
土地を探して北海道を旅する中で、
以前訪れた時は通過点だったという東川の美しい田園風景と、
上水道がなく旭岳から流れる伏流水での暮らしに惹かれ、東川での生活を選びます。
長く東京住まいだったご夫妻は、
蛇口からおいしい地下水が出てくることになかなか慣れなかったそう。

敷地内にはお客さんも自由に使える手漕ぎの井戸も! 東川に住む昔ながらの井戸職人のおじいさんがつるべ落としでつくってくれました。

その後、東川で北の住まい設計社と出会い、
この地で宿泊施設を始めると決めたご夫妻は
“子ども連れの方も安心して泊まれる空間”といった、
いくつかの希望以外はお任せするかたちで、
デザインや施工までを北の住まい設計社に依頼して生まれたのが〈ニセウコロコロ〉です。

「自分たちが旅好きであちこち訪れていたんですが、
子どもが生まれてからは宿泊や食事で気を遣うことが多かったので、
旅で得た自分たちがいいなと思う要素を集めた宿をつくろうと思いました」と智弘さん。

その「いいな」という要素は、建物の外にもたくさん。
豊かな水の源である旭岳や大雪山系の峰が織りなす景色はもちろん、
8月中旬にはまわりの田んぼでカエルの大合唱が聞け、
秋には黄金色の稲穂、冬は真っ白な世界……
季節とともに移ろう東川の風景も体験してほしいもののひとつです。

トゥンニの前で、正垣智弘さん、芳苗さん、そして背中にはすやすや眠る末っ子の玲三郎くん。

宿の詳しいシステムなどは、オフィシャルサイトで確認できます。
サイトは、元システムエンジニアという肩書きを持つ芳苗さん作!

「東川の水で東川産のお米を炊いて食べてもらうこともできます。
この宿が、まちの豊かさを伝える場所になっていけたら」と話す智弘さん。
まちのもつ数々の魅力に、旅人目線の「いいな」が合わさって生まれたニセウコロコロ。
滞在するだけでこのまちを好きになってしまう、
そんなきめ細かくあたたかなおもてなしが、ここにあります。

information

map

Villa ニセウコロコロ

住所:上川郡東川町東3号北12

TEL:0166-82-4747

※駐車場 あり

http://nisew-corocoro.com/

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