陶芸を学びに、沖縄の北窯へ
2009年にここ厚沢部に移り住み、窯を開いた臼田さんは山口県生まれで、
23歳まで東京暮らし。もともと、焼きものはもちろん、
美術にも興味がなかったという臼田さんは、
ひとり暮らしを機に近所で食器を探したとき
「自分の欲しい器がない」という思いを抱きます。
その後、偶然見かけたポスターに惹かれて、
臼田さんはある陶芸展に足を運びます。
それが、民藝運動の中心的存在として知られる
陶芸家・濱田庄司の弟子、島岡達三の展覧会でした。
「それまで焼きものは職人の仕事だと思っていたので、濱田さんや島岡さんのように
大学を出て焼きもの作家をしている人がいることに驚きました」

民藝の世界に出会い、あちこちの民藝店を巡るようになったという臼田さん。
あるとき、知り合った民藝店主から
「焼きものがしたいのか?」と聞かれ、
「全然そのつもりはなかったのに『はい』って言ってしまったんです」
そう笑って振り返ります。店主から紹介された全国の窯元を訪ね歩き、
臼田さんが一番しっくりときたのが、沖縄県読谷村にある北窯、松田共司工房でした。
「民藝店でやちむんを見て気に入っていたのと、活気があって若い人も多かったので」
幸いにも空きがあり、この工房で働くことが決まります。

よく焼かれたものはいい出来になる反面、失敗につながることも。藍のような青色が美しい花瓶は残念なことに底にヒビが入ってしまったそう。
きっかけは不思議な縁だったものの、臼田さんの心は決まり
「焼きものを生業にしようという思いで、すぐに沖縄に移住しました」。
12年間の修業を経て、結婚後独立を機に奥さまの故郷の北海道へ。
函館界隈でも土地を探していたところ、
たまたま数か月前に廃校になったこの小中学校と出会い、
はるか北の地への移住を決意しました。

近所の方から、廃校となった学校を解体したときに出た資材を「もう自分では建てないから」とそのまま譲り受けてつくられたという小屋。中に窯がある。
ソロソロ窯という名前は、すぐ近所に流れている
〈ソロソロ沢〉という川にちなんでつけたのだそう。
「土地に根づいた名前だし、響きもいいところが気に入って」
厚沢部に根を下ろしながら、さまざまな土地の要素を土に乗せて生まれる臼田さんの器。
直接見られるギャラリーショップへは、あらかじめ電話連絡のうえで訪れましょう。
手にした人それぞれの暮らしに寄り添う、美しい道具がここに待っています。

ギャラリーショップ入り口。小さな学校だったので、教室は小中学校を合わせてわずか7つ。
information
ソロソロ窯
住所:北海道桧山郡厚沢部町字清水101-1
TEL:0139-64-3772
営業時間:10:00〜16:00
定休日:不定休(事前に電話で要確認)
駐車場:あり
