引き続き、富山の港町、魚津からお届けします。
前回、お会いした漁協の浜住博之さんの案内で、
甘エビ漁を営む魚住義彦さん繁子さんご夫婦のお宅を訪ねました。
浜住「今回は無理言ってすみません」
テツ「すみません」
母「上がってください、どうぞ」
テツ「おじゃまします」
応接室へ通していただき、今回の取材内容を説明した。
母「たいしたもんできないよ~。ゲンゲと甘エビだけ、それだけ」
テツ「はい、十分です、ありがとうございます!
ところで、ゲンゲというのを初めて聞いたのですが、
どんなものなんでしょうか???」
父「この辺りでよく獲れる魚でね、私の船でもたーくさん揚がってましたよ」
代々続く漁師の家に生まれたお父さん、自然と海の世界に入っていったそう。
父「生まれつきの漁師でね、10歳から海に行ってたんだよ。いまは陸まわりの仕事でね」
現在は、息子さんが漁師として後を継いでいる。
お父さんは息子さんが捕ってきた魚を、浜で氷詰めをして市場に出しているそう。
テツ「息子さんは、甘エビとゲンゲを獲るんですか?」
母「うん、そうそう」
テツ「昔からよく食べられていたのでしょうか?」
母「そうやよ~。吸い物でも煮付けでも、なーんでもおいしいよ。
寄せ鍋にしたら最高だよー!
おかずの支度が面倒になったら、大きい鍋にゲンゲをぶつぶつと切って、
そこへ、白菜、糸こんにゃく、豆腐入れて食べると、
子どもたちも、だまぁ~って、口でチューチュー吸って、歯のところに骨だけ残るのよ、
それをパッと出してね、これやったら、ほかなんにもいらんね~って言うよ」
ゲンゲの話になった途端、お母さんのテンションが急上昇。
そんなにもすごい奴なのか、ゲンゲ。
しかも、チューチューで、骨をパッとって、いったい……。
母「そんで、余った汁にうどん入れて、またチュチュッと食べてね」
お母さん、相当ゲンゲがお好きなよう。
ゲンゲ(幻魚)は富山湾に棲む深海魚で、体長は20センチほど。
色は薄灰色で、全身がヌルヌルとしたゼラチン質で覆われている。
身は白く透き通っており、適度な脂がのっている。
漁村では昔から味噌汁や吸い物の具として使われていた。
いまでは、天ぷらや立田揚げなどでも食べられている。
テツ「お母さんはもともと、魚津のご出身なんですか?」
母「(ニヤリ)ぜぇ~んぜん違うの、北海道」
テツ「あら、じゃぁお父さんに見初められて、はるばる富山にお嫁入りを?」
母「うん、そう、っていうことかね。ハハハハ」
父「まぁ、なんていうか、ついてきた格好でね。エサ投げたら、食いついてきたの」
母「ぼけーっとしとったから、イカの針にくっついてきた」
ワハハハハ。
テツ「おふたりは、なんだかお顔立ちが似てらっしゃいますね」
母「おんなじ魚食べとるから」
ワハハハハ。
テツ「毎日お魚は食べるんですか?」
母「いや、朝昼晩」
おっと!
テツ「朝は干物ですか?」
母「いやいや、刺身」
なーんと、うらやましい~。
母「浜行ってきて、獲ったもんと物々交換したりしてね」
うわ、その交換会に混じりたい。
母「2、3日食べないとね、あ~、刺身食べたいな~ってなるのよ」
体に染みついているのですね。
母「そうすると、ちんこいのでも何でもいいから貰ってきて、
ご飯の上にバーッとのせて食べるとおいしいよー」
やはり、お母さんは魚の話になると熱がこもるようだ。
父「ガパーんて食べるんだよ、食べ方があんだよ。ガパーんて食べんだよ」
ギャハハハハ。
母「さあ、そろそろ作ろうか? お父さんゲンゲね!」
お父さん、にやりと嬉しそう。
父「よっこいしょー」
待ってましたとばかりに膝をポンとひとつ叩き、キッチンに移動。
