「場所の声を聞く」
照明デザイナー長町志穂さんが生み出す
地域再生の“あかり”とは?

取り組みやすいイベントの欠点とは

“あかり”を用いたイベントが、全国の温泉地でよく行われるようになった。
竹灯籠、和紙あかり、イルミネーションや冬花火をはじめ、
季節限定から通年開催までさまざまにある。

あかりは、場所の印象を変える。

“写真映え”を工夫すれば、世界から注目が集まる時代だ。
撮影を楽しむ人によって印象的な写真がSNSで拡散され、
温泉街が一躍話題になる。そういったあかりが、
温泉街に泊まる理由のひとつになれば主催側の狙い通りである。

住民の手による「湯西川温泉かまくら祭」(栃木県日光市)は、2019年も多くの観光客を楽しませた(1月下旬〜3月上旬開催)。

住民の手による「湯西川温泉かまくら祭」(栃木県日光市)は、2019年も多くの観光客を楽しませた(1月下旬〜3月上旬開催)。

「歩きたくなる温泉街」を掲げる新潟県月岡温泉。観光庭園〈月あかりの庭〉では、夕刻から和柄の円柱にあかりが灯る。

「歩きたくなる温泉街」を掲げる新潟県月岡温泉。観光庭園〈月あかりの庭〉では、夕刻から和柄の円柱にあかりが灯る。

和紙あかりをはじめ、その手法は意外にもさほど難しくないと聞く。
真似しやすいから、全国でたびたび行われる。
しかし取り組みやすいことは反面、誰でもできるイベントになりがちだ。
一時の流行は飽きられる。どこでも同じような夜景なら、
わざわざ遠くの温泉地に行く必要はない。近ければ日帰りできる。
泊まる必要はなくなる。

だからほかを圧倒する独自の仕掛けがあかりのイベントに必要になる。
コアなファンを獲得するために。

それはどういう仕掛けか?

「心の準備」とあかりの関係

プランで示した夜間照明。これは新たに誕生する「竹林の階段」。温泉街の玄関口となる駐車場から音信川まで結ぶ。

プランで示した夜間照明。これは新たに誕生する「竹林の階段」。温泉街の玄関口となる駐車場から音信川まで結ぶ。

〈長門湯本温泉〉再生プロジェクトの中にも、あかりの演出が入っている。
それは、再生の6つのキーワード(第2回参照)のひとつ、
「そぞろ歩き(回遊性)」を成功させる大事な役割を担う。
計画的に配置された照明によって、
「夜こそ歩きたくなる」魅力的な温泉街に変えていく。

担当は照明デザイナーの長町志穂さん(株式会社LEM空間工房・代表取締役)。
長門湯本温泉観光まちづくり計画を推進する「デザイン会議」のメンバーである。

長町さんが手がけるあかりによるまちづくり。これは京都府宮津市「天橋立まち灯り」。夏は砂浜が幻想的に照らされる。

長町さんが手がけるあかりによるまちづくり。これは京都府宮津市「天橋立まち灯り」。夏は砂浜が幻想的に照らされる。

長町さんは松下電工株式会社(現・パナソニック)に長年勤務し、
照明器具デザインによるグッドデザイン賞を104作品で受賞するなど、
あかりの達人として知られる。
2004年の自身の独立以降は関西を拠点にして、
大阪・御堂筋イルミネーションを筆頭に、
近年は島根県邑南(おおなん)町の「INAKAイルミ@おおなん」、
鳥取県境港市の「水木しげるロード」リニューアル照明演出、
京都府宮津市「天橋立まち灯り」をはじめ、
あかりによる公共空間のにぎわいづくりを手がけている。

長町さんによる鳥取県境港市の「水木しげるロード」リニューアル照明演出。照明デザイン賞の最優秀賞に輝いた。

長町さんによる鳥取県境港市の「水木しげるロード」リニューアル照明演出。照明デザイン賞の最優秀賞に輝いた。

長町さんが長門湯本温泉でまず取り組んだのが、
温泉街の軒先を照らすあかりである。
オリジナルの「湯本提灯」を企画し、
同プロジェクトメンバーのグラフィックデザイナー・白石慎一さんに
長門湯本温泉を象徴するマークの制作を依頼。
それらを使った複数の提灯デザイン案を住民ワークショップで示し、
提灯をつくり有料で販売することを参加者に提案した。
多くの参加者が、有料で購入して軒先に吊るすことに賛同した。

提灯のデザインは長門湯本の3つの地区(湯本、門前、三之瀬)を、温泉マークと川とに見立てている。

提灯のデザインは長門湯本の3つの地区(湯本、門前、三之瀬)を、温泉マークと川とに見立てている。

当時、シンボルの公衆浴場・恩湯(おんとう)さえ、
改修解体のため光を失った状態(2017年に解体、2019年冬に再建予定)。
温泉街のあかりは減少し、人通りも激減して寂しい状況だった。

長町さんはチームで手分けして、
興味があると意思表示のあった温泉街の全戸を訪ねて、
「湯本提灯」の目的を説明しながら、取り付け方などを検討してまわった。
ひとつ3000円と有料にしたのは、
「予算の問題はもちろんあるけれど、それ以上に、
まちづくりの共感者を増やしたい、
住民参加型にしたいという思いがありました」と、胸のうちを話す。

「湯本提灯は“心のために”やってみたいと思いました」と、長町さん。
「長門湯本は変わっていく、みんなで変えていくという、
“心の準備”のようなものにあかりがなれたらと考えたのです」

2017年の社会実験では長町さんが大西倉雄市長と星野リゾートの星野佳路代表を招き温泉街を案内。照明演出による効果などを説明した。

2017年の社会実験では長町さんが大西倉雄市長と星野リゾートの星野佳路代表を招き温泉街を案内。照明演出による効果などを説明した。

設置から2年ほど。川沿いの軒先には、湯本提灯が変わらずにある。
夕刻になると点灯し、通りを行き交う人々を優しい光が出迎える。
心のあかりが温泉街を照らしている。

京都・西院〈エラマサ〉
宇治抹茶ハイと〈プリプリ中華炒め〉で
至福のカウンター飲み

旅の醍醐味はローカル酒場!
全国おすすめ酒場探訪記 京都編
京の夏の夜に欲しくなるのは、どんな料理にも合うすっきり抹茶ハイ

真剣に語り合うのはちょっと照れ臭い。
うまい酒とアテでお互いの趣味の話をゆるゆると。
そんな時は、おもしろい店主とお客さんが集まる酒場がいい。
粋な京都人たちだけが知っている開けっぴろげの隠れ家へ。

祇園祭の宵々山

今日の舞台は京都市。今年も7月16日に祇園祭の宵々山が行われました。そして、京都といえば伝統と革新がちりばめられたまちで、酒場の激戦区でもあります。

今回のローカル酒場は京都・西院の〈エラマサ〉。
京都観光の中心部で、繁華街のある四条河原町界隈から
阪急電車でわずか3駅と至近ながら、観光ではなかなか訪れない、
住宅地が広がるエリアです。

〈エラマサ〉の入り口

パッと見には昭和の喫茶店。でもポップで明解なメニューが、酒場好きの期待感を高めてくれます。

一緒に楽しんでいただくのは、共に京都の最新&トップカルチャーを知る……、
いえ、そのシーンを牽引するおふたり。

「泊まれる雑誌」をコンセプトに掲げ、町家を改装した体験型宿泊施設
〈マガザンキョウト〉のオーナーである岩崎達也さんと、
「京都喫茶文化遺産」という取り組みを立ち上げ、
古き良き京都の喫茶店を継承した〈喫茶マドラグ〉など、
複数の人気のカフェを営む山崎三四郎裕崇さん。
おふたりは岩崎さんが会社勤めをしていた頃に仕掛けた、
イベントを通じて知り合いました。

そこからの縁で、京都の文化や地域の活性化などを共に牽引する仲に。
普段飲む時にもこうしたことで激論を交わすのでしょうか? と聞くと
岩崎さんは苦笑しながら
「いやぁ、これからの京都をこうしたいとか、そういう話は全然しないです。
なんか同志っていうのも恥ずかしいですし。
とても居心地のいい空気をつくってくださる兄貴感があるんですよ」と岩崎さん。
「〈エラマサ〉の名前は、クリエイターの友人たちから聞いていたので、
どんなお店か気になっていたんです」

さあ、それでは、乾杯といきましょう。
今回は京都ということで、〈寶「宝焼酎の宇治抹茶のお酒」〉を使った抹茶ハイ。
エラマサでもメニューに出して以来、かなりの人気とのこと。

抹茶ハイで乾杯

「この抹茶ハイ、いい色だね~」と言いながら乾杯。多少照れ臭そうですが、1杯飲んだころにはすっかりいつもの調子に。(左・山崎さん 右・岩崎さん)

山崎さんは「見た目は濃厚だけどさっぱりいただけますね。これは食がすすみそう」と感心。
お店を見渡せば壁一面の黒板に、ポップに書かれたメニュー。
これはエラマサのマスター・井上宏幸さんの手書き。
そしてカウンターには大皿・小皿のお惣菜が並びます。
最新のヒップなブルックリンのスタンディングバーのようであり、
田舎の気のいい大衆食堂や小料理屋のようでもあり。

壁一面に手書きのメニュー

壁一面に描かれたマスター手書きのメニュー。最初は圧倒されますが、次第に楽しくなってくるから不思議。描かれているイラストは3名の作家さんの作品。「この店で知り合った人が描いてくれたんですよ」(井上さん)

弘前〈菊富士〉
酒と郷土料理を通じてかみしめる幸せ

旅の醍醐味はローカル酒場!
全国おすすめ酒場探訪記 弘前編
“なぜおいしい?”その探究心が家族の笑顔をつくる

家族の時間、夫婦の時間。
家での日常の会話は大切ですが、酒場だからこそ話せること、深まることがある。
弘前の郷土料理酒場で、地元のご夫婦に教えてもらったのは、
酒と食がある場所で、じっくりと、でも軽やかに語り合う幸せでした。

今回の酒場は青森県弘前市。
青森は県東側の南部エリアと県西側の津軽エリアで
食文化、気質、言語も大きく違っていることが
時に真剣に、時にバラエティ番組などでもおもしろく紹介されています。

岩木山とりんごの花

標高1625メートル、県内最高峰で、日本百名山かつ新百名山にも選出。別名は津軽富士……という説明が軽く感じられるほど、弘前のみなさんにとって大切なシンボル。岩木山とりんごの花。

弘前は、津軽エリア。
歴史的にも進取の気性と郷土愛に熱い土地柄で、
地元の豊かで独特な食材を使った郷土料理があります。
今回のローカル酒場は、その津軽らしい郷土料理を味わえる店、
〈菊富士〉をご案内しましょう。

〈菊富士〉の外観

ルーツを辿れば1927(昭和2)年。地元に愛され、VIPも訪れ、現在は世界各国からの観光客の受け入れや電子マネーの対応など、伝統と進取その両面で酒場好きを迎えてくれる菊富士。カウンターで津軽の家庭料理を味わいながら隣の旅人と外国語で語り合う、なんて楽しみもあります。

今回の酒場案内人は、弘前で「料理研究一家」というユニークな活動をしている
〈古川(こがわ)家〉のご夫妻、勝也(まさや)さんと恵里さん。
2012年にスタートした愛娘と3人で活動するこのユニットでは、
郷土料理を日常の楽しいテーブルのレシピにアレンジするなど、
新しい、今だからこそ楽しめるものにするという取り組みもされています。

QR決済の先駆け!
飛騨の電子地域通貨〈さるぼぼコイン〉
が目指すお金の地産地消とは?

金融機関が手がけるQRコード決済

「QRコード決済元年」ともいわれた2018年。
大手企業が次々と参入し、大規模なキャンペーンを打つなど、大きな進展を見せた。
しかしそれに先駆けて2017年12月から事業を開始していたQRコード決済がある。
岐阜県飛騨地域で展開されている〈さるぼぼコイン〉だ。
〈飛騨信用組合〉が高山市、飛騨市、白川村限定で行っているサービスで
加盟店は約900軒、累計コイン販売額は約6億円に上る(2019年3月現在)。

当時、海外にいくつかあっただけで、
日本国内のQRコード決済サービスは知られていなかった。
そうした未知のサービスを普及させていくには、
導入のハードルを低くすることが必要になる。
しかも流行に対して抵抗の少ない東京ではなく、ターゲットは飛騨という地域だ。

「電子決済のようなものを説明するとアレルギーが出るような人が多かったので(笑)、
懇切丁寧に説明して回りましたね」
そう語るのは飛騨信用組合の古里圭史さん。

フィンテックプロジェクトチームリーダーの古里圭史さん(右)と経営企画部田中直樹さん(左)。

フィンテックプロジェクトチームリーダーの古里圭史さん(右)と経営企画部田中直樹さん(左)。

さるぼぼコインのQRコード決済システムは「静的QRコード」と呼ばれるもの。
店頭に掲示してある店舗ごとのQRコードを自分のスマートフォンで読み込み、
自分で金額を打ち込んだあと、お店の人に画面を確認してもらってから決済する。
店舗の端末に「ピッ」ではない。
ユーザーにとっては少し面倒くさいように思われても仕方がない。

「最初は加盟店を増やし、電子決済のインフラを広めることが重要だと思いました。
だから導入コストが限りなくゼロで、
お店に新しく端末を置かなくてもいいシステムを目指して、現在のかたちになりました」

飛騨信用組合が店舗ごとに用意してくれるボード。

飛騨信用組合が店舗ごとに用意してくれるボード。

加盟店側は、飛騨信用組合が用意してくれた自分のお店専用QRコードが印刷された
ボードを店頭に設置するのみ。極端にいえば、プリントアウトした紙1枚でも構わない。
このくらい簡単でないと、加盟店は増えなかったのだろう。

こうした仕組みで進めていくことになった背景には、
「さるぼぼコインが単なる電子マネーではなく、電子地域通貨である」ことが挙げられる。
カードやスマートフォンをピッとやるだけで支払いが済むという便利さや
キャッシュレスという手軽さではなく、目指したのはお金の地産地消。
その手段としてのQRコード決済なのである。

「自分たちの事業課題を解決するときに、
可能な限り地域の課題も解決していけるようなビジネスをやっていきたいと
思っていました」という古里さんのビジネスへの思いが透けて見える。

「地域の課題は、年間450万人を超える観光客が来てくれるこの地で、
落としてくれたお金を外に逃さないように地域で回していくこと。
観光客へのアンケートで、常に不満点の上位に挙げられるのが、
“クレジットカードや電子マネーを使えるお店が少ない”ということでした」

スーパーマーケットなどにあるチャージ機を使って、現金でチャージできる。

スーパーマーケットなどにあるチャージ機を使って、現金でチャージできる。

しかし、観光客にさるぼぼコインを使ってもらうことには苦戦しているという。
原因はスマホへのコインチャージ。
現状、飛騨信用組合に口座を持っている人は24時間365日、口座からチャージが可能。
しかしそれ以外の人は、窓口か、自動チャージ機で現金からチャージしなくてはならない。
これが特にインバウンド観光客にはハードルが高い。
当然、クレジットカードでチャージするのが一番簡単ではあるが、
地方の地域通貨が担うにはその手数料は高すぎる。
日本の地方でクレジットカードの導入が進まないのと、結局、同じ理由だ。

「居酒屋以上、旅未満」!?
仲間とルーズな旅時間を過ごすホテル〈星野リゾート BEB5 軽井沢〉

「TAMARIBA」という新しいパブリックスペース

長野県軽井沢町に「仲間とルーズに過ごすホテル」をコンセプトにする、
〈星野リゾート BEB 5(ベブファイブ) 軽井沢〉が
2019年2月5日にオープンした。軽井沢駅からバスで15分ほど。
軽井沢星野エリアの一角にあり、
ウッドデッキの中庭を囲むようにして73室の客室が広がる。

24時間利用できるパブリックスペース「TAMARIBA(タマリバ)」

24時間利用できるパブリックスペース「TAMARIBA(タマリバ)」

客室はロフトベッドのある「YAGURA Room」と「Twin Room」が中心。

客室はロフトベッドのある「YAGURA Room」と「Twin Room」が中心。

メインターゲットは20〜30代だ。
客室はロフトベッドのあるカジュアルな造りの
「YAGURA Room(ヤグラルーム)」が40室、
「Twin Room(ツインルーム)」が32室、ユニバーサルルーム1室を用意する。

全室に広めの風呂を完備。館内の自販機でアメニティや入浴剤などを販売する。滞在着は有料。徒歩すぐのところにはコンビニンスストアがある。

全室に広めの風呂を完備。館内の自販機でアメニティや入浴剤などを販売する。滞在着は有料。徒歩すぐのところにはコンビニンスストアがある。

金子尚矢・総支配人は、「新しいホテルのかたちとして、
『居酒屋以上、旅未満』の空間を若者に提供したい」と話す。
その象徴としてあるのが、「TAMARIBA(タマリバ)」と名づけられた
24時間利用できるパブリックスペースだ。

「TAMARIBA」は持ち込みOK。ワインの量り売りも人気。DJブースもあり、リクエストも大歓迎!

「TAMARIBA」は持ち込みOK。ワインの量り売りも人気。DJブースもあり、リクエストも大歓迎!

TAMARIBAには、中庭、カフェ、ライブラリー、ショップ、DJブースがあり、
カフェでは24時間、ビールや量り売りのワイン、軽食を販売する。
おしゃべりが弾んでつい夜更かし……、ソファで寝落ちも、朝寝坊も大丈夫!

朝食一例「羽根つきフレンチトースト」はスープとドリンク付きで1296円。チェックインは15時、チェックアウトは11時。

朝食一例「羽根つきフレンチトースト」はスープとドリンク付きで1296円。チェックインは15時、チェックアウトは11時。

すでにあなたも食べているかも!?
植物工場の先駆け〈MIRAI〉が描く
未来の野菜とは?

1日2万株のレタスを生産する植物工場

野菜の未来を感じさせる植物工場。
まだまだ一般的な認知度の高くない植物工場で育てられた野菜ではあるが、
アグリテックやフードテックベンチャーなどの言葉とともに、
急激に成長を続けている産業でもある。知らないうちに私たちも食しているかもしれない。

その先駆けとなっている企業が、2004年創業の〈MIRAI〉だ。
実は2015年に民事再生法の適用を申請し、
社名をかつての〈みらい〉から〈MIRAI〉へと変え、事業再生に成功しているが、
一貫して行ってきたのは植物工場の事業だ。

現社長である野澤永光さんは、2010年に旧みらいの創業者に出会った。
当時の野澤さんは1日に6000万人の購買行動を集積しているマーケティングの会社で、
食品会社と一緒に仕事をしていた。そこで、1次産業への課題を感じたという。

社長の野澤永光さん。植物工場に囲まれた事務所にて。

社長の野澤永光さん。植物工場に囲まれた事務所にて。

「食品会社は、商品をつくりたくても原材料が入ってこないことも多い
という話をしていました。つまり農作物は通年で安定しているわけではないということ。
1次産業が世の中に与える影響は大きいんだなと感じました。
そんなときに、植物工場ならば世界の食糧問題のなかで、
少なくても野菜に関しては解決していけるのではないかと思いました」

こうして野澤さんは2012年に入社。
2014年には現在でもメインで稼働している千葉と宮城に野菜工場が建設された。
2工場合わせて、1日に2万株のレタスを収穫できる。それを1年365日。
当時は植物工場として日本一の生産量を誇っていた。
野澤さんの主な仕事は、その野菜を売ることだった。

「くしくも民事再生法を受けた2015年は、野菜の売り上げがピークでした。
だからこそ破産ではなく再生の道が残されました」

まだまだ小さいバジル。

まだまだ小さいバジル。

2017年には、野澤さんが社長に就任した。
それまでは植物工場のシステムを売ることに力を入れていたMIRAI。
しかし野澤さんはもう一度、足下を見つめ直し「野菜を売る」ことにシフトする。

「生産した野菜をきちんと売り切って利益を出せるモデルにしたかったのです。
MIRAIの本業は、あくまで野菜の生産者であるということ。
そこに立ち返ろうと思いました」

たしかにある企業がシステムを買いたいと思っても、
そのシステムを使っている本体の野菜の売り上げが赤字では、説得力に欠ける。
植物工場のモデルケースとして声高にアピールできないだろう。

右へ向かうほど、少しずつ生長していることがわかる。

右へ向かうほど、少しずつ生長していることがわかる。

体にいいラーメン!?
〈BASE FOOD(ベースフード)〉
が仕掛ける主食のイノベーションとは?

栄養をとるのが一番難しい

「アメリカ人がピザばかり食べて健康になったら?」
そんな無邪気な発想で主食にイノベーションを起こそうとしているのが〈ベースフード〉だ。

〈ベースフード株式会社〉代表の橋本舜さんは、
前職では自動運転バスやタクシーの事業に携わっていた。
高齢者や運転ができない人たちが、外出する機会を創出できる事業だ。
そのなかで、特に地方における少子高齢化から来る健康寿命の問題に直面した。
健康寿命を延ばすための基本的なファクターは、栄養と睡眠、適度な運動である。
橋本さんが自分のライフスタイルを顧みたときに、
「栄養をとる」ということが一番ハードルが高いと感じた。

ベースフード株式会社代表取締役の橋本舜さん。

ベースフード株式会社代表取締役の橋本舜さん。

「食事に関しては、なんとなく不安がありました。
ひとり暮らしなので、ファストフード、カレー、ラーメン、どんぶり……。
みんなで食事するときは、お酒を飲みながら派手に食べる。
ひとり飯か、パーティみたいな(笑)」

実際に同じような食生活を送っている人も多いことだろう。
そこでどのような手段があれば、みんなが栄養をとりやすいか考えた。

「栄養を正しくとったほうがいいことは誰もがわかっているのに、
ほとんど実行されていません。
ということは、徐々に変わっていくことはないのだろうと思いました。
それならば、一番直接的なソリューションにアプローチしようと、主食に注目したんです」

毎日食べるパンや麺の栄養バランスが良ければなによりだ。
こうして橋本さんはまずはパスタ麺をつくろうと、
まるで“麺職人”のごとく自宅で試作を始める。
前職での最後の仕事が、伊勢志摩サミットのメディアセンターで
自動運転のデモンストレーションを行うことだったというから、
そのギャップは周囲に驚きを与えただろう。

「実は、誰もつくり方を知らないんです」と橋本さん。麺づくりは今や当たり前過ぎて、
「“水と小麦粉、入れても卵”という制約のなかで、どれだけ技術を磨くか」という世界。
だから“栄養素の入れ方”は誰も知らなかった。

試作は100種類以上に及んだ。
近所のスーパーなどで海苔、きなこ、ドライフルーツやナッツなどの
乾燥食品を購入してきて、1食で食べるべき栄養素が揃う組み合わせをたくさんつくった。

さまざまな食材を粉末にしたもの。

さまざまな食材を粉末にしたもの。

「最初は、動画サイトで勉強したパスタのつくり方に従って、
家庭用製麺機で試作していました。でも当然、うまくいきません。
茹でたら溶けてしまったり。
では“なぜパスタは溶けないんだっけ?”という基本に戻って始めました」

試作をつくって、専門家に話を聞きに行く。アドバイスを得たら、また試作にトライ。
それを何度も繰り返すことで、人脈も増えていった。
当然、最初は誰もが「できるわけない」という冷たい反応だったが、
次第に反応が変わっていく。

「30回目くらいの試作だとかたちはできているのですが、
おいしくなかったり、見た目が悪かったり。
そうすると、一応もの自体ができているので“できない”という人はいなくなるんですね。
次は、どうおいしくできるかという議論に変わっていくんです。
食品業界ではなかったからこそ業界の常識を知らず、
基本や原点に立ち返ることができたのが役に立ったと思います」

こうして試行錯誤を繰り返し、〈ベースパスタ〉が完成した。
1食に約30種の栄養素が含まれ、厚生労働省が定める「食事摂取基準」が定める
1日に必要な栄養素の3分の1をとることができる麺である。

麺はスパゲッティとフェットチーネの2種類。

麺はスパゲッティとフェットチーネの2種類。

落ち込んだ時ではなく、
楽しいときに飲む。
熊本〈こもれび家〉で飲む紅芋焼酎と
馬肉しゃぶしゃぶ

旅の醍醐味はローカル酒場! 全国おすすめ酒場探訪記 熊本編
「それでも」郷土料理があるから出会いがある

酒場にお酒を飲みにいくことは、ストレス解消? 憂さ晴らし?
いやいや、美酒を楽しみ、美味を堪能し、豊かな時間を過ごすことです。
でも、それだけじゃない。いや、それと同じくらい大切なことがある。
それは、美酒や美味を通して、人と出会い、自分の世界が広がること。
だから、世代が違っても一緒に酒場に行ける。
熊本の郷土料理居酒屋で、地元のみなさんに教えてもらったのは、
熊本のクリエイター流の酒と出会いの楽しさでした。

熊本市内中心部の繁華街といえば、下通り(しもとおり)と上通り(かみとおり)。
中でも下通りから新市街にかけては、飲食店の激戦区。
大衆居酒屋、バーやスナックはもちろん、
地元の名士、出張族にも愛され続けている
本格的な郷土料理や老舗も多いエリアです。
今回のローカル酒場は、気軽ながらもしっかり郷土料理を味わえる店。
そんな〈こもれび家〉をご案内しましょう。

〈こもれび家〉の外観

雑居ビル店舗の多い下通り、新市街エリアで堂々の門構えを誇る〈こもれび家〉。一歩入れば居心地の良さがわかります。

さて、熊本の郷土料理といえば、馬刺し、辛子蓮根などが浮かびますが
実際に地元の酒場好きにはどのような存在なのでしょう?
そのあたりの事情も合わせて、熊本の酒場の楽しみ方を教えてくれるのは
当地でデザインプロダクション〈ネストグラフィックス〉を運営し、
自らも最前線で腕を振るう河北信彦さんと酒場仲間の女性3人。

河北信彦さん

「酒場の楽しみは知らない世界と出会うこと」と語る河北さん。「来熊(らいゆう=熊本を訪れること)される際には、郷土料理や地元の酒という、知らない世界と出会っていただければ」。クリエイターや趣味人が集まる店も多数知っているだけに酒場の引き出しは多いようです。

酒場仲間の女性というから誰かと思えば若い社員さんとバイトスタッフさん。
年齢は親子ほども違う4人。しかも職場のメンバー。
最近ではなかなかなさそうな組み合わせですが普段から仲良く酒場へ。
「なぜか趣味が合うんですよ」と笑う河北さん。
社員の上妻(こうづま)莉子さんとは映画、
バイトの前田優佳さんとは『シン・ゴジラ』で盛り上がり、
村上亜由美さんは現役の熊本大生でデザインの世界に興味津々。
職場の愚痴をこぼすような酒ではなく、楽しい会話の場だから集まれる。
「落ち込んだ時ではなく、楽しいときに飲む。反省はなし(笑)」(河北さん)。

では、女性も多いので甘く爽やかな香りの焼酎で乾杯といきましょう。
今日は熊本の郷土料理を味わっていただくのですから、やはり焼酎。
と思ったところ河北さんから意外なひと言が。
「実は普段飲みでは、あまり郷土料理の店には行かないですねえ」
上妻さんも「そうですね、なにか普通のものばかりあるところ」
前田さんも「家で食べようと思っても馬刺しって安くないですから
あまり外でも食べに行こうとしないですね」
「でも」と河北さんはメニューをめくりながら、
「なんだかんだいって、熊本の人間は地元のものが好きなんだな」

その理由は? と聞けば、
「阿蘇とか有明とか天草とか地元の地名がついてるとおいしそう(笑)」
こもれび家は、地鶏の天草大王や有明あさりをはじめ、
地元食材を使った料理のバリエーションが豊富。
「こうなると郷土料理を食べたくなってくる。この焼酎とも合いそうだし」
という河北さんに、3人は「ラッキー」という笑顔。

「地元で愛される車エビも!」(上妻さん)
「久々に馬も。ヒモ(アバラ肉)の溶岩焼き」(前田さん)
「それなら僕の好きな天草大王もだな」(河北さん)
なんだ、やっぱり好きなんじゃないか、というところで村上さんがひと言。
「辛子蓮根と一文字のぐるぐるも……!」
すばらしいチームワークで注文が決まります。

農家や漁師の旬の素材を
いつでも届けられる。
〈カンブライト〉が開発する
プレミアム缶詰とは?

缶詰に込められた地域と食へのまなざし

困ったときの、缶詰。そんな非常食のようなポジションを覆す高品質な缶詰が、
最近はたくさん発売されている。
「プレミアム缶詰」ともいえるシーンを牽引しているのが〈カンブライト〉だ。

代表の井上和馬さんは、ITやソフトウェアなど、まったくの畑違いの業界で生きてきた。
そしてあるとき見たテレビ番組で、
現在のビジネスにつながるアイデアを思いついたという。

「テレビのドキュメンタリー番組で、〈パン・アキモト〉が行っている
救缶鳥プロジェクトを見ました」

これは賞味期限の長いパンの缶詰を飢餓地域などに届ける仕組み。
いつかはこんな取り組みをしてみたい。

初の国産ジビエ認証施設である〈かきうち〉の鹿肉を使用したプレミアムジビエ缶詰シリーズ。左から、〈鹿の千代漬アヒージョ〉、〈鹿のみやび漬〉、〈鹿のフレッシュコーンミート〉。

初の国産ジビエ認証施設である〈かきうち〉の鹿肉を使用したプレミアムジビエ缶詰シリーズ。左から、〈鹿の千代漬アヒージョ〉、〈鹿のみやび漬〉、〈鹿のフレッシュコーンミート〉。

そう思っていた井上さんに直接的な転機が訪れたのは、これまたテレビ番組。
そこに出演していた社会起業家に投資をしているという投資家を見て、すぐに連絡をした。
6月にテレビを見て、7月に会いに行き、8月後半には会社を立ち上げていた。
ツテも何もないうえに、事業計画を作成する間もない電光石火の動き。
もちろん缶詰をつくったこともないし、食品業界ですらない。
しかし井上さんの熱意が投資家を動かしたのだ。

〈カンブライト〉代表の井上和馬さん。

〈カンブライト〉代表の井上和馬さん。

井上さんは食品業界ではなかったが、母親の手料理を存分に食べて育った。

「キッチンに立っている母親の横が、子どもの頃の私の定位置でした。
豊かな食生活は豊かな人間を育むと思っています」

その影響もあって、自身も料理好き。
買い物に行っては、地方の食材に興味を抱いていたという。

「これから日本の一次産業が厳しくなっていくことは明白でしたので、
少しでも地方にお金が落ちるような仕組みを考えられないかと思っていました」

賞味期限が長く、容器が丈夫な缶詰ならば海外に持っていきやすい。
そうした利点と日本の地方の産業がうまくはまった。

「これからの日本は人口が減って、どんどん市場は小さくなる一方で、
世界の人口は増え続けるわけです。
それならば日本の地方がお金を回すには、海外を市場と考えていかなくてはならない。
缶詰ならばそれが実現できます」

錦市場近くにある店舗には数々の缶詰が並ぶ。

錦市場近くにある店舗には数々の缶詰が並ぶ。

神秘の島・神津島で
キンメダイづくしの料理に舌鼓!
5つのおすすめスポット

山に登ってキンメを食べて。
神津島をダイナミックに遊ぶ!

神々が集う島として、さまざまな神話や伝説に彩られている神津島。
火山島が織りなす海や山などのダイナミックな自然、
漁が盛んな島ならではの新鮮な魚介類、そして笑顔の絶えない温かな島の人々。
見どころの多い島だ。

断崖と白砂のコントラストが美しい、多幸湾側から見る天上山。

断崖と白砂のコントラストが美しい、多幸湾側から見る天上山。

そんな神津島でぜひとも訪れておきたいスポットや、
島の魅力を存分に味わえる飲食店や宿泊施設をご紹介。
とりあえずここを押さえておけば、間違いなしの神津島案内スタート!

1. 【体験する】 天上山
初心者も、トレッキング好きも大満足

天上山に登る

神津島で楽しめるアクティビティとして年間を通して人気なのが、
島のほぼ中央に位置する天上山のトレッキング。
標高572メートルとそれほど高くはないのだが、
標高だけで魅力を測れないのが、この山のおもしろいところ。

スタート地点は、白島登山口と黒島登山口のふたつ。
それぞれの登山口から中腹まではそれなりに傾斜がきついものの、
木の生い茂った林道は深呼吸をしたくなるような清々しさ。
外輪に出ると、それまでとは打って変わって視界を遮るものがなくなり、低木と岩や砂がむき出しになった高山のような世界が広がる。

山頂周辺は台形状になっていて、眺望以外にも見どころの多いエリア。
たとえば、伊豆諸島の神々が集まり、
水の配分について会議をしたという神話の舞台「不入ガ沢(はいらないがさわ)」や、
中洲に竜神様がまつられているハート型の「不動池」、
山の上とは思えないような白砂が広がる「表砂漠」と「裏砂漠」の荒涼とした世界、
そして“黒潮に浮かぶ展望台”というこの山の通称を実感できる「天空の丘」などなど。

森を抜けて視界が開けたときの開放感は最高

森を抜けて視界が開けたときの開放感は最高。眼下には紺碧の海と、山全体が抗火石でできている神戸山が。

不入ガ沢は神聖な場所なので、名前の通り足を踏み入れることは禁じられている。

不入ガ沢は神聖な場所なので、名前の通り足を踏み入れることは禁じられている。

また、本州では2000メートル級の山にしか生息していないような高山植物を
山頂付近では見ることができ、伊豆諸島の固有種も多いことから、
「花の百名山」に選ばれている。
山頂を周遊して、全行程を踏破するには6~7時間かかるが、
初心者など登山に自信がない人は、途中まで車でアクセスすることも可能。
登ったあとは、島の景色がちょっと違って見えるかも!

information

map

天上山白島登山口

住所:東京都神津島村那智(詳細は下記、神津島観光協会サイトをご確認ください)

Web:https://kozushima.com/sightseeing/mttenjo

2.【食べる】 居酒屋たつみ
島民が夜な夜な集うローカル酒場

来店者のポラロイド写真がずらり

小上がりの壁一面には、店の人も「いつから撮り始めたのかわからない」という、島内外からの来店者のポラロイド写真がずらり。

夜ごはんを宿ではなく外で食べるなら、島民御用達のお店はやはり気になるところ。
「ちょうちん」や「赤ちょうちん」という通称で親しまれている
〈居酒屋たつみ〉は、島民でいつも賑わっている人気店。

以前は入り口に赤ちょうちんがぶら下がっていたらしいが
(今も気が向いたら、お目見えするとか、しないとか……)、看板やのれんも特にないので、
お店であることが一見わかりにくいのが難点といえば難点。
しかし煌々と明かりが漏れるガラス戸を思い切って開けると、
カウンター席と小上がり、ずらりと並んだ短冊メニューなど
“THE 居酒屋”な空間が(奥には座敷席も)。

本格麦焼酎〈盛若〉

島のおいしい水で仕込んだ本格麦焼酎〈盛若〉は、すっきりとしたまろやかな味わい。

メニューは豊富で、島らしい味を楽しみたいなら、刺し身の盛り合わせ、
うつぼの唐揚げ、イカの塩辛などがおすすめ。
チェーン飲食店のない島で、
この店は居酒屋だけでなくファミリーレストラン的な役割も兼ねているようで、
おつまみ以外にもご飯ものや麺類なども充実していて、家族連れも多い。

刺し身の盛り合わせ

地魚をメインにした刺し身の盛り合わせ。左から中トロ、ムツ、アカサバ(ハチビキ)、アカイカ。

今でこそ何でも食べられるお店となっているが、もともとは焼き鳥屋だそうで、
地元の人には焼き鳥が人気とのこと。
島外から遊びに来た人を島民は瞬時に判別できるので、
気さくな人が話しかけてきて、思わぬコミュニケーショが生まれる可能性も。

information

map

居酒屋たつみ

住所:東京都神津島村74

TEL:04992-8-0289

営業時間:17:00~23:00

定休日:水曜

水にまつわる人々の営みを知る島の旅 
斉藤アリスさんが巡る神津島

天然のダムを有する、水に恵まれた島

東京から南へ約180キロに位置する、伊豆諸島のひとつ、神津島。
高速ジェット船だと竹芝から約3時間40分、
調布飛行場から小型飛行機に乗ればわずか45分でアクセスできるこの島には、
同じ東京都であることが信じられないような豊かな自然が溢れ、
島特有のゆったりとした時間が流れている。

伊豆諸島の有人島としては最も西にある神津島。面積は18.58平方キロメートル。

伊豆諸島の有人島としては最も西にある神津島。面積は18.58平方キロメートル。

『Hanako』や書籍のライターとしても活躍している、モデルの斉藤アリスさんは、
国内外いろんな場所を旅しているものの、
東京の島、伊豆諸島に降り立ったのは今回が初めてとのこと。

「海外旅行のときは必ず飛行機に乗るので、
そのプロセスを踏んだことで飛行時間は短いのにすごく遠くに来た気分です。
しかも定員19名の飛行機は人生で初めてで、
プライベートジェットで離島に行くセレブみたいでワクワクしました(笑)」
と早くも興奮気味。

神津島は周囲約22キロ、人口約2000人の島。
遊ぶにも暮らすにも、何かとちょうどよいサイズ感といえるのだが、
なかでも突出しているのが、水の豊かさ。
離島は水不足に悩まされる場所というイメージがあるかもしれないが、ここは別。
そもそも神津島は、その昔「神集島」という字を当てていたそうで、
伊豆諸島の神々がこの島に集まって水の配分について会議をしたという
「水配り伝説」があるほど。

まさに神津島の水の豊かさを物語る逸話といえるが、島暮らしに限らず、
水は人間が生きていくために必要不可欠なもの。
アリスさんもモデルという職業柄、美容の面でも水の重要性を日々感じているようだ。
「人間も動物も植物もどんな生き物にとっても、水は体を構成する一番多い要素。
だから生命は水があるところにしか宿りません。
そんな生き物にとって最も大切な水を誇れる土地というのは、
それだけでエネルギーに溢れていて、パワーをもらえそうな気がします」

前浜海岸には、水配り伝説をモチーフにした水配り像が。神津島の神様がほかの島々の神様に、水を配分する様子が表現されている。

前浜海岸には、水配り伝説をモチーフにした水配り像が。神津島の神様がほかの島々の神様に、水を配分する様子が表現されている。

向かったのは、水の恵みを象徴するようなポイントのひとつ、多幸湧水。
ここは目の前に海が広がる絶景ポイントでもあり、
ポリタンクを持って水を汲みに来る人の多い、島民愛用の湧き水。
アリスさんも島の水をさっそく飲んでみることに。
「柔らかい味わいですね。手で触れるとひんやり冷たいんだけど、
突き刺すような冷たさではなく、感触も柔らかいんです。
洗ったあと、自然と手がポカポカしてきて不思議な心地よさです」

「東京の名湧水57選」にも選ばれている多幸湧水。心地よい冷たさに、思わず頬がゆるむ。

「東京の名湧水57選」にも選ばれている多幸湧水。心地よい冷たさに、思わず頬がゆるむ。

テングサの洗い場。生活用水としても島民に親しまれている。

テングサの洗い場。生活用水としても島民に親しまれている。

そもそもなぜ、神津島は水に恵まれているのか。
自然ガイドをしている古谷亘さんは、
トレッキングでも人気のある標高572メートルの天上山にその秘密があるという。

前浜港に鎮座する、水や漁業の神様とされる龍神様から望む天上山。

前浜港に鎮座する、水や漁業の神様とされる龍神様から望む天上山。

2018年3月に移住し、〈Full Earth〉代表として神津島の自然ガイドを務める古谷亘さん。

2018年3月に移住し、〈Full Earth〉代表として神津島の自然ガイドを務める古谷亘さん。

「天上山は言ってみれば、天然のダムのようなもの。
冬に吹く強い西風の影響で、
8合目以上は木がほとんど生えていないエリアがあり、
岩や石が風化して、山頂近くには白砂の砂漠が広がっています。
雨が降るとその砂地にしみこんでろ過されて、
地下水として山の周辺から湧き出てくるのです」

白島登山口から天上山をトレッキング。序盤は鬱蒼とした森が続き、植生の豊かさを感じさせる。山登りが好きだというアリスさんの足取りは軽い。

白島登山口から天上山をトレッキング。序盤は鬱蒼とした森が続き、植生の豊かさを感じさせる。山登りが好きだというアリスさんの足取りは軽い。

8合目を過ぎると一気に低木に。パノラマの絶景に大興奮!

8合目を過ぎると一気に低木に。パノラマの絶景に大興奮!

山頂近くにある「不入ガ沢(はいらないがさわ)」は、水配り伝説の会議の舞台と言い伝えられる神聖な場所。こうした砂地に雨がしみこみ、やがて湧き水となる。

山頂近くにある「不入ガ沢(はいらないがさわ)」は、水配り伝説の会議の舞台と言い伝えられる神聖な場所。こうした砂地に雨がしみこみ、やがて湧き水となる。

例えるなら、島の真ん中に巨大な水瓶がどっしりと置かれているようなもの。
水が豊富なのも納得なのである。

中山間地で賃貸住宅を仕掛ける
新しいビジネス。
〈里山ながや・星野川〉が目指す
ローカルの姿とは?

中山間地でお試し移住の、その先へ

自然豊かな中山間地に住んでみたいと思っている人も多いだろう。
しかし多くの人にとって、「住む場所をどうするか」という問題が立ちはだかる。
いきなり一軒家を購入するにはハードルが高いし、
そもそもあまり物件が市場に出回っていない。

そのまちに馴染めるかもわからないから、
最近では仮住宅に住んでみる「お試し移住」を体験できる仕組みも増えている。
ただし、お試し移住でその地域を気に入ったとしても、
その後に住むことができる住宅はかなり限られているのが現状だ。
地域としては、やはりその土地に住んでほしい。
そんな声を後押しする新しいタイプの物件が生まれた。
福岡県八女市にある〈里山ながや・星野川〉だ。

8戸が連なる長屋スタイル。

8戸が連なる長屋スタイル。

里山ながや・星野川は中山間地にある賃貸住宅である。
運営会社は〈八女里山賃貸株式会社〉。
代表の長谷川繁さんは、不動産会社〈福岡R不動産〉代表でもある。
これまで福岡県内を中心に、中山間地でのお試し移住を進めてきた経験もある。

「都会の喧騒から離れた暮らしをしたいという層が、
一定数いるという実感はありました。そこでお試し移住後の物件を手がけてみようと。
中山間地の賃貸は、地縁がないと簡単に見つけることはできません。
ニッチな市場ではありますが、
だからこそ事業として成立する見込みがあるのではないかと思っています」

〈八女里山賃貸株式会社〉代表の長谷川繁さん。

〈八女里山賃貸株式会社〉代表の長谷川繁さん。

そもそもこの事業が始まったきっかけは、
全国で森や木材などを通して持続可能な地域の実現を目指そうという
ビジネスを展開している〈トビムシ〉にある。
トビムシは、中山間地で活動をしているような移住者が、
その土地に住める住居が少なく、結果的に周辺都市に住みながら、
中山間地に通っているという事例をいくつも見てきた。
それならば、中山間地に移住者でも借りやすい賃貸住宅をつくってしまうのがいい。
それを実現できたのが八女市だった。

この事業は民間資本による民間プロジェクトだ。
八女市は用地借上や近隣との関係などをサポートしているが、
補助金などは使っていない。

「税金や補助金ばかり使っていると、中長期的な持続性が失われがちです。
民間であるということは、私たちは知恵を出して稼がなければならないわけです。
それ自体が地域のためになるだろうと思っています」

木材が全体に使われ、モダンさもありながら、中山間地でも馴染むデザイン。

木材が全体に使われ、モダンさもありながら、中山間地でも馴染むデザイン。

住宅には、ふんだんに八女杉が使われている。
中山間地では林業が重要な産業であるが、
担い手や後継者が少ないという問題を抱えている地域も多い。
八女市も豊富な杉が採れるが、同様の問題を抱えている。
だから地域の材をふんだんに使用した木造住宅を建てるということは、
地域の象徴にもなりやすい。

「地域にとっても、家を建てた地元の職人にとっても、山の世話をしている人にとっても、
わかりやすく伝えられる建物ができました」と長谷川さんもいう。

まずは八女市で八女杉をたくさん使うことに意義がある。
林業や森林再生への象徴としての役割も果たしているのだ。

遠くからでも、わかりやすい木造建築になっている。

遠くからでも、わかりやすい木造建築になっている。

一方で、「建ててからが本当のスタートです」と長谷川さんも身を引き締めてもいる。
ボランティア精神は心意気としてはすばらしいが、
その人がいなくなると終わってしまったり、実はサステナブルとは言えない側面もある。
ビジネスとしてのせていくことも重要だ。

「この物件を通して、地域に担い手を増やして活性化させたい。
逆に言えば、誰でもウエルカムではありません。
まだ入居者は全戸埋まってはいないのですが、
地域に積極的にコミットできるような人に入居してほしいのです。
中山間地の暮らしがこんなに厳しいのかとすぐに出ていってしまうような
ミスマッチを起こさないためにも、きちんと説明していくことも重要です」

オリジナルの「ちいさな映画館」
をつくって、映画を上映できる
〈popcorn〉のサービスとは?

映画館だからこそできる、コミュニケーションの場づくり

地域のコミュニケーションのあり方が多様になってきている。
そう感じさせてくれるのが〈popcorn〉。
簡単に映画の自主上映を行うことができるサービスが、
ローカルにおける場づくりにかなり寄与しているようだ。

ローカルにおいては、コミュニティスペースのような場所がどんどんできている。
しかしそこで何をするのか。
たくさんのコンテンツに可能性が広がっているなか、映画上映というニーズがあった。

〈popcorn〉代表のナカムラケンタさんは言う。
「人口が減っているエリアでも、人が集まる機会は求められています。
映画は好きな人も多いし集まりやすい。
しかし本格的な映画館をつくってもなかなか黒字で運営していくことは難しい。
そんな状況において、自主上映をうまくやっていく手段がないかと考えていました」

ナカムラケンタさんは求人サイト『日本仕事百貨』を企画運営するほか、いろいろな生き方・働き方に出会うことのできる場所〈リトルトーキョー〉や多分野で活躍している方をゲストに招くイベント〈しごとバー〉も監修している。

ナカムラケンタさんは求人サイト『日本仕事百貨』を企画運営するほか、いろいろな生き方・働き方に出会うことのできる場所〈リトルトーキョー〉や多分野で活躍している方をゲストに招くイベント〈しごとバー〉も監修している。

ナカムラさんは、身近で一番映画に詳しそうな人=大高健志さんに相談を持ちかけた。
大高さんは、東京藝術大学大学院で映画製作を学び、
その後、クラウドファンディングサービス〈MotionGallery〉を立ち上げた人物だ。

「ナカムラの話を聞いていると、たしかにポテンシャルがあると感じました。
まちづくりが建築や場づくりの側面で盛り上がっていることは理解していましたが、
映画と重なるとは思っていませんでした。
これは映画業界が“お客さん”として捉えていなかった層なので、
新規顧客という意味でも開拓できそうでした」と言う大高さん。

同時に、難しさや問題点もすぐに浮かんできた。
自主上映であっても、映画配給会社から映画上映の権利を借りるのに、
10〜20万円という金額がかかってしまう。カフェやバー、コミュニティスペースなどで、
20人や30人の規模で上映するには苦しい金額だ。
お客さんに払ってもらう金額では足りないと、
企画者が自腹で補填していくようなやり方だと当然、続いていかない。ここが問題点だった。

「映画配給会社に作品提供の交渉をしに行くと、その点を指摘され、
“以前にもそういう取り組みに挑戦したけどダメだったんだよね”と
言われることが多いです。
しかし今の社会は地方のマスが融解して、小さな集まりがたくさん生まれています。
そこに届けられるのであれば、これまでの仕組みとは、文脈も届け方も変わってきます。想定しない動きが生まれてくるかもしれません」(大高さん)

〈popcorn〉代表の大高健志さんは、クリエイティブと資金のより良い関係を目指してクラウドファンディングサービス〈MotionGallery〉を立ち上げている。

〈popcorn〉代表の大高健志さんは、クリエイティブと資金のより良い関係を目指してクラウドファンディングサービス〈MotionGallery〉を立ち上げている。

来場者が何人でも絶対赤字にならない〈popcorn〉の仕組み

実際に〈popcorn〉の仕組みを見てみよう。
ホームページには上映可能な157作品(2019年2月現在)の映画が並んでいる。
利用者は上映場所を登録して、これらを上映することができる。
上映場所はカフェやバー、イベントスペースなど。
インターネット環境とスクリーンやオーディオが整っていればどこでも構わない。
なんと“自宅”という上映場所もある
(自宅を登録する場合は、住み開きをしている場所に限定している)。

ひとり当たりの手数料が作品ごとに設定されていて、
利用者はそこに上乗せするかたちで入場料を設定できる。〈popcorn〉からは後日、
売上から、ひとり当たりの手数料×来場者数を差し引いた金額が支払われる。
だから来場者が10人であれば10人分。30人であれば30人分の手数料を支払えばいい。
とても明朗会計でわかりやすい。

前述のように、通常の自主上映では、権利を借りるのに10万円以上かかる。
仮に10万円であったとすると、それをペイするにはひとり1800円(平均的映画料金)の
入場料を取っても50人以上の集客が必要になる。
自主上映としてはハードルが高いし、ローカルが求めている上映スタイルではない。

「ひとりからお金が発生するモデルをつくりました。
それを配給会社にもご理解いただいて運営しています」(ナカムラさん)

2017年4月にサービスを開始して以来、
上映回数の合計は1000回を超えた(2019年1月現在)。
2年弱と考えると、1日1回以上、全国のどこかで〈popcorn〉を使って映画が
上映されている計算になる。小さな映画館がどんどん増えている。

〈popcorn〉が入るリトルトーキョーでは、これまでたくさんの「しごとバー」が開催されている。

〈popcorn〉が入るリトルトーキョーでは、これまでたくさんの「しごとバー」が開催されている。

宮崎〈居心地屋やまぢ〉
なごめる人気店で
レモンサワー片手に技アリの地鶏料理を

地元の人にこよなく愛される酒場はまちの宝もの。
ローカル色豊かなおいしいおつまみや、ご主人とお客さんの雰囲気、店の佇まいなど、
思い出すと心がほんのり温かくなるような店を
“酒場LOVE”な案内人の方々に教えてもらいました。
旅先のソトノミガイドとしてもご活用ください。

旅の醍醐味はローカル酒場!
全国おすすめ酒場探訪記 宮崎・宮崎編
宮崎での酒の肴は鶏がマスト?

新婚旅行ブームに沸いた昭和40年代から、
宮崎県宮崎市は観光の拠点として多くの人を迎え入れてきました。
2月になるとプロ野球の春季キャンプも始まって、
春の気配が漂うまちにファンや関係者が次々と訪れます。

県庁楠並木通り

温暖な気候に恵まれた宮崎市のシンボルツリーは、暖地に自生する楠。〈県庁楠並木通り〉は樹齢100年以上の見事な巨木が並ぶ市内中心部の憩いの場です。毎月第1・第3日曜の午前中は〈いっちゃが(いいね)宮崎・朝市〉で歩行者天国に。繁華街でもサンデーマーケットや街市が開かれるなど、住む人と訪れる人、つくる人をつなぐ試みも盛んに行われています。

宮崎のなかでも賑わいを増すのが市内中心部の飲食店街。
ローカルな酒の肴で飲み歩きができる、
地元で“ニシタチ”と親しまれている西橘通り界隈です。

5年前に東京から宮崎市にJターンした
今回の案内人・土屋有さんも飲むときは必ずニシタチへ。
IT企業を経て3年前に宮崎大学の講師に着任。
地域の魅力づくりに取り組む学生を指導しています。
出身は同じ宮崎の都城市(みやこのじょうし)とはいえ宮崎市は未知のまち。
早く馴染めたのはニシタチのおかげだと言います。

「そのかわり5年で10年分の量を飲みました(笑)
宮崎の人は飲むことが好きで飲み方も上手。
からっと明るい酒なので面倒くさくないのが特徴です。
またニシタチでは店の人もみんなフレンドリー。
一見さんお断りという雰囲気は全然ないので安心して飲める。
新しい人やコトをこだわりなく受け入れるのが、
宮崎の土地柄だとニシタチで飲みながら理解できました」

そんな話を聞きながら向かったのは、
約1400軒の店が集まるニシタチのメインストリート。
西橘通りは紅白の提灯が飾られたどこか懐かしい佇まい。
黒一色の外観で素朴ながら逆に目を引くのが、
土屋さんが人を案内するときの1軒目に選ぶ
きょうのローカル酒場〈居心地屋 やまぢ〉です。

居心地屋やまぢの外観

店内に入ると外観と同じく黒が基調の内装で、
ゆっくりと飲めそうな落ち着ける雰囲気です。
カウンター以外の39席はすべて個室で、地元でも人気。

「いまでは僕がもてなす側の立場ですが、
やはり真っ先に思い浮かぶのが〈やまぢ〉さん。
特に県外からの友人知人と飲むときですね。
宮崎に来たらここで地鶏をぜひ食べてもらいたい。
地元の人がそう思う“ちょっといい店”なので
予約を早めに入れないとなかなか押さえられません」

ここのカウンター席に座るのは久しぶりと、
土屋さんはご主人の黒木浩一さんの前をすぐさま確保。
今年は暖冬ですから、と冷たいレモンサワーを頼み、さっそく飲み始めました。

土屋さんと大将と呼ばれる黒木さん

最初からくつろいだ様子の土屋さん(左)。「いつも挨拶だけして奥に向かうし、大将も忙しそう。ゆっくり話すのは初めてですね」。大将と呼ばれる黒木さん(右)は東京出身で24年前に宮崎県へ。ご両親の実家がある川南町を経て宮崎市に落ち着きました。

メニューを見ると鶏料理を中心に、
宮崎の郷土料理やオリジナルの酒の肴など多彩な品揃え。
〈やまぢ〉は開店した17年前から宮崎産地鶏にこだわり、
いまは宮崎県を代表する希少なブランド地鶏
〈みやざき地頭鶏(じとっこ)〉メインに提供しています。

「宮崎のローカルフードといえば、
地鶏の炭火焼、地鶏の刺身、チキン南蛮、メヒカリの唐揚げ。
この4つが王道だと僕が思っているのは、
どれも地元の人が日常的に食べているものだから。
〈やまぢ〉では全部揃うのでちょっと自慢しながら飲む感じ。
宮崎っておいしいものが多いでしょ、と。

それに定番の料理でも守りに入るのではなく、
おいしくするために変えるべきところは変えている。
それがよくわかる名物料理が、そろそろ出てくるはずですよ」

焼き場では大きな炎があがる

地鶏の炭火焼独特の香ばしさはこの炎から。髪が焦げるほどの勢いが必要だと黒木さん。

モモ肉に網の上で火を入れる

オリジナルの特製塩を揉みこんだモモ肉を、鶏脂を塗った網の上でコーティングするように火を入れる。その火加減とタイミングが難しいそうです。

みやざき地頭鶏の炭火焼

〈みやざき地頭鶏の炭火焼〉。無添加の自家製柚子胡椒をたっぷりつけていただきます。1人前(200g)1590円。

みやざき地頭鶏の炭火焼を頬張る土屋さん

「うん、この味。やっぱりうまいなー。炭のいい香りがしてプリプリ感がたまらない。
ちょうどいい噛み応えと弾力感です。これは絶対に食べてもらわないと。
柚子胡椒も市販のものとは全然違います。辛さは鮮烈だけど風味がとても豊か。
この柚子胡椒だけでも飲めますね」

地鶏の炭火焼は、これがあればほかは何もいらないと言われるほど、
宮崎の人に愛されている酒の肴で、真っ黒な見た目がインパクトあり。
この黒さが少々控えめなところが黒木さんのこだわりです。

「もともとは親鶏特有の匂いを消すために、
真っ黒になるほどすすで風味づけしたのが始まりだと聞いています。
でも〈みやざき地頭鶏〉は本当においしい鶏ですからね。
すすをつけすぎてはちょっともったいない」(土屋さん)

「そうなんです。すすを控えめにしたほうが鶏の旨みがよくわかる。
この鶏の品種改良に関わった身内から苦労話も聞いていたし、
愛情と手間をかけて育てているいとこもいます。
できるだけおいしくお客さんに提供するのが自分の役割かなと。
極力すすをつけずに炭の香ばしさは楽しめるように焼き方を工夫して、
専用の煎り塩も考えました」(黒木さん)

地鶏の炭火焼用の煎り塩

専用の煎り塩は、干し椎茸、鰹節、昆布を粉砕して塩に混ぜて焼いたもの。素材の良さを引き出すためなら手間は惜しまないと黒木さん。独立した弟子たちにもそのレシピを教え、命をいただく鶏を少しでもおいしくしてほしいと思っています。

大将と談笑中の土屋さん

「宮崎は芋焼酎文化で、好き嫌い以前に焼酎が当たり前という世界。
僕も幼い頃から周りの大人が飲むのを見て育ちました。
みんな湯のみ茶碗に生のままの焼酎を入れて飲んでいたので、
透明なお茶もあるんだなと思っていました」(土屋さん)

いつもは2杯目から焼酎のロックかお湯割りに移りますが、
「爽やかさが地鶏の炭火焼によく合う」と、今日は何度もレモンサワーをお代わりする土屋さん。
黒木さんは満足げに次の料理を手渡します。

上勝町のごみまで資源にする
〈RISE & WIN〉のクラフトビール。
山奥に人が集まる斬新なしかけとは?

自然のなかに突然現れる地域密着クラフトビール工場

徳島県の山奥の上勝町に、突如として現れるユニークな形をした建物。
その奇妙さは周囲ののどかな風景にインパクトを与えているが、
よく見ると味のある木材が多く使用されていて、マッチしていないこともない。

特徴的な開口部が印象的なショップ兼ブルワリー。〈中村拓志 & NAP建築設計事務所〉による建築設計だ。

特徴的な開口部が印象的なショップ兼ブルワリー。〈中村拓志 & NAP建築設計事務所〉による建築設計だ。

さらに目を凝らしてみると、使われている木材は窓枠や机のリユースなのだ。
それらは上勝町にあるごみステーションから集められたもの。
まちに沈殿している思い出や歴史を、新しい価値として生まれ変わらせた。

中央の“空き瓶シャンデリア”はもちろん、壁には棚机がそのまま設置されている。

中央の“空き瓶シャンデリア”はもちろん、壁には棚机がそのまま設置されている。

それが〈RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Store〉(以下、RISE & WIN)。
店名のとおり、クラフトビールを製造販売し、現在4年目を迎えている。
主力のビールは〈KAMIKATZ LEUVEN WHITE〉だ。
上勝の特産である柚香という柑橘を香りづけに使用している。
しかも果汁が搾られたあとの皮を利用。地産地消であり、無駄もない。
ほかにも〈KAMIKATZ IPA〉は、上勝の名産である乳酸菌発酵の上勝晩茶を
使用するなど、地域性を打ち出したビールを展開している。

〈LEUVEN WHITE〉や〈IPA〉などの定番に加えて、このときに発売していたのは〈Morning Summer〉。

〈LEUVEN WHITE〉や〈IPA〉などの定番に加えて、このときに発売していたのは〈Morning Summer〉。

上勝の野菜や鹿肉、豚肉を練り込んだ自家製ホットドッグのプレートと、ビーフブリスケットサンドプレート。

上勝の野菜や鹿肉、豚肉を練り込んだ自家製ホットドッグのプレートと、ビーフブリスケットサンドプレート。

最近は海外のブルワーが訪れ、ここでビールを仕込んでいくことも多いという。
そのなかには、普段は口にすることがないような変わったビールもある。
徳島の海水から採った塩を大量に利用するゴーゼビールや、
メキシカンチリと上勝の柑橘を使ったビールなど、
地域の原材料と外国人ブルワーの感性が出会うラボのようにもなっているのがおもしろい。
なかには長い時間かかるビールもあったよう。代表の田中達也さんが教えてくれた。

「上勝晩茶を発酵させる使用済みの桶を譲ってもらい、
そこに麦汁を入れて醸すビールをつい先日仕込みました。
ただし2年間かかるらしいです(笑)」

火をおこしながらインタビューに答えてくれた代表の田中達也さん。

火をおこしながらインタビューに答えてくれた代表の田中達也さん。

ほかにもユニークなビールをたくさんつくっている。
さまざまなものを実験的につくってみる気持ちが強いようだ。
そんな遊び心が表れた第2工場も昨年オープンさせた。
〈KAMIKATZ STONEWALL HILL CRAFT & SCIENCE〉と名づけられた工場は、
ターナー賞を受賞したこともあるイギリスの建築集団〈Assemble Studio〉の
手によるものだ。この工場ができて以来、生産能力が飛躍的に増え、卸し業も開始。
上勝産のクラフトビールが全国へと広がっていくことになった。

あえて統一されていないひとつひとつの窓枠がいいアクセント。

あえて統一されていないひとつひとつの窓枠がいいアクセント。

温泉街に新たな交流拠点!
空き家リノベ第1号は、
陶芸家とデザイナーと旅館若旦那によるカフェ

内と外がつながるカフェに人が集まる

長門湯本温泉に〈cafe & pottery 音(カフェ・アンド・ポタリィ・おと)〉
という名のカフェが2017年8月に誕生した。
〈長門湯本温泉〉再生プロジェクトによる、
空き家リノベーションの第1号である。温泉街のほぼ中心にあり、
音信(おとずれ)川を望むロケーションだ。

築50年ほどの木造住宅を、地域の有志でカフェにした。
通りからは店伝いに川の気配が感じられ、
外と内がつながっているような空間である。
ガラス戸を開け放していると、時折鳥が迷い込んでくる、
そんなのどかなカフェだ。
店内は漆喰の壁やウッドデッキのテラス、古木を利用した家具をはじめ、
手仕事のぬくもりにあふれている。

〈cafe & pottery 音〉。風が吹き抜ける心地よい空間。

〈cafe & pottery 音〉。風が吹き抜ける心地よい空間。

リノベーションで空き家がカフェ&ギャラリーに。

リノベーションで空き家がカフェ&ギャラリーに。

この場所を交流拠点にしようと考えたのは、
同プロジェクト推進リーダーの泉 英明さん(第4回参照)だ。
空き家の活用に役立つし、何より眺めがいい。
泉さんは長門湯本での活動を始めた2017年春、
長門市役所の松岡裕史さんらに空き家利用を提案した。
その時はまだカフェになるとは決まっていなかった。

松岡さんは以前より、年々増える空き家の調査を徹底する必要性を感じていた。
そこは温泉街に人を呼び込む拠点になるし、
賑わいもお金も生み出せる可能性を秘めた場所だからだ。
とはいえ、空き家の問題はデリケートだ。まず、持ち主の多くは県外にいる。
地元の年配者などに相談を重ねて、件の家主から了承を得ることができた。

異業種6人でカフェを運営する会社を創立

場所の確保はできた。ではどう使うのが最善か。
実は長年、地域の若手を中心にして、とある空間構想があった。
それは〈萩焼深川窯(ふかわがま)〉のサテライトショップだった。
深川窯は長門湯本三之瀬(そうのせ)地区に360年ほど前、
萩藩の御用窯として誕生した萩焼の窯元で現在は5軒の窯元がある。

水と緑豊かな三之瀬の谷に萩焼深川窯の5軒の窯元がある。

水と緑豊かな三之瀬の谷に萩焼深川窯の5軒の窯元がある。

長門湯本温泉・大谷山荘の大谷和弘さん(第5回参照)は、
「世界に誇る伝統の焼き物を、
旅館の外でも気軽に見ていただける場所が地元にあるといいなと思っていました。
できれば萩焼深川窯の器を使ったカフェを併設して、
ここに暮らす私たちも一服できるようだといい。
そういう案はずっと仲間内でありました」と話す。

また旅館〈玉仙閣〉の伊藤就一さんは、
「『温泉街に気軽に休める場所がない』というお声は
お客様からよくいただいておりました。
身内からも、うちの若女将からは長年、『カフェがないのは寂しい。残念だ』
と言われていました」と話す。
大阪から長門に嫁いだ〈玉仙閣〉若女将の伊藤昌代さんは、
バックパッカーとして全国を巡った旅好き。
旅先にあるとうれしいもののアイデアがいろいろと浮かぶそうだ。

外からの訪問者にとって、
カフェはその土地に親しむ入り口のような場所かもしれない。
ひと息ついて地図やスマホを広げて、さてどこを巡ろうかなどプランを練る。
まちにすてきなカフェがあるかは昨今、旅の大事な要素になっている。
特に女性には!

〈cafe & pottery 音〉のロゴマーク。音信川が流れる谷あいの温泉地・長門湯本温泉がモチーフ。

〈cafe & pottery 音〉のロゴマーク。音信川が流れる谷あいの温泉地・長門湯本温泉がモチーフ。

「交流拠点としてのカフェ構想」は随分前からあったものの、
人材不足や運営コストの問題から実現には至らなかった。
しかし官民連携の温泉街再生プロジェクトである。今回は違った。
「これが最後のチャンスかもしれない」と、
関わる者は並々ならぬ決意で取り組んでいる。

行政職員からの激励もあり、先の大谷さんと伊藤さんは
萩焼深川窯の次世代に声をかけた。幸いにもこの10年、
萩焼の若手が外での勉強を経て故郷へ戻っていた。
「温泉街で“器をテーマにしたカフェ”を一緒にやらないか。
そぞろ歩きの拠点になるような場所づくりを、
ひとりひとりが経営者の意識を持って運営していこう」と。

そうして〈cafe & pottery 音〉を営む〈合同会社 おとずれプランニング〉が誕生した。
メンバーは代表者の大谷和弘さん、伊藤就一さんを筆頭に、
萩焼深川窯から〈田原陶兵衛(たはらとうべえ)窯〉の田原崇雄(たかお)さん、
〈坂倉新兵衛(さかくらしんべえ)窯〉の坂倉正紘(まさひろ)さん。
長門市在住のグラフィックデザイナー・白石慎一さんと、
長門市で花屋やカフェを営む山村亨(あきら)さんが後に加わった。

店名に込めた思い〜〈cafe & pottery 音〉

店の最終的な名付け親は白石さんだった。
「音信川沿いなので“音”の漢字を使いたい。
“音カフェ”もいいけど、カフェと同時に
萩焼深川窯のギャラリーとしての役割も重要です。
メンバーで話し合い、〈cafe & pottery 音〉に決まりました」

〈cafe & pottery 音〉。視覚的にデザイン性を感じる。
地元では、親しみを込めて「音(おと)」と呼ばれているのもなんだかいい。

グラフィックデザイナー・白石慎一さん。カフェのテラスで自身のUターンの経緯やプロジェクトへの思いをうかがった。

グラフィックデザイナー・白石慎一さん。カフェのテラスで自身のUターンの経緯やプロジェクトへの思いをうかがった。

「テーブルやカウンター、陳列棚は、
坂倉新兵衛先生と田原陶兵衛先生の工房にあった、
樹齢を重ねた一枚板をご好意でいただきました。
それを萩市の家具職人、中原忠弦さん(中原木材工業)にお願いして、
古材に新たな命を吹き込んでもらいました」と白石さん。

陶芸家の坂倉正紘さんは、
「まさか自分がカフェをやるとは思っていませんでした」と胸の内を語る。「だけどやるからには徹底する」と決心したという。
「長門湯本温泉を再開発するタイミングで、
自分も何か動き出すべきでないかと考えていましたから」

萩焼深川窯の窯元には、作品を展示販売するギャラリーがある。
茶陶として発展した歴史から茶道具が中心で、高価な品が揃う。
工房内にあるため、ふらりと訪ねるにはどこか敷居が高く感じられる。

それを踏まえて〈cafe & pottery 音〉では、
気軽な「日常の食器」をテーマに萩焼深川窯の3人の若手作家が創作に励む。
カフェを運営する田原さんと坂倉さん、
そして坂倉善右衛門窯の坂倉善右衛門さんだ。

「店内の色調や照明、展示台なども、みんなでアイデアを出し合いました」
と坂倉正紘さん。
「山口県でリノベーションを数多く手がける木村大吾さんに相談しながら、
地元大工の池永正成棟梁に専門的な橋渡しをしてもらい、進めていきました」

職人に指導を仰ぎながら、皆で一生懸命漆喰塗をした。

職人に指導を仰ぎながら、皆で一生懸命漆喰塗をした。

木村大吾さんは泉さんのまちづくりの旧友で、
山口県で住宅の新築・改装を行う一級建築士である(金剛住機株式会社)。
カフェのプランニングなどに関わった木村さんは、
「歩道と川を結びたいと思いました。向こう側が見えていると、
店に入りやすくなるんです。オーナー陣から『自分たちで〈DIY〉をしたい。
予算削減につなげたい』と要望があり、
みなさんへの指導も地元の工務店にお願いするかたちをとりました」と話す。

「カフェのリノベーションをきっかけに地域の若手がひとつにまとまった気がする」と、ある行政職員は話す。

「カフェのリノベーションをきっかけに地域の若手がひとつにまとまった気がする」と、ある行政職員は話す。

図面が仕上がり、オープンまでは4か月ほど。
改装は進み、住宅の壁や天井板、畳などが取り払われ、
閉ざされていた和室に外からの光が降り注いだ。
〈cafe & pottery 音〉の当時のFacebookページを見ると、
工事中の写真が並び、空間は人の手でこうも変わっていくのかと感動する。みなさんの充実ぶりが笑顔から伝わる。

世界遺産の島・黒島で、
何を見る? 何を体験する?
黒島を遊びつくす完全ガイド!

長崎県佐世保市本土から、西へ約12キロの沖合いに浮かぶ黒島。
400人余りの島民のうち、約8割がカトリック信者で、
人々の信仰の歴史を物語る「黒島の集落」は、
2018年7月、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の
構成資産のひとつとして、世界文化遺産に登録されました。
しかし、黒島の魅力はそれだけではありません。
釣りやサイクリングを楽しみたくなる、ダイナミックで豊かな自然。
半農半漁で暮らす、昔ながらの営みの風景……。
ガイドブックには載っていない、よりディープな黒島の楽しみをご案内します。

小さな島の大きな自然を、からだいっぱいに感じて

空と海と緑。なんにもないけれど、それだけで美しい風景が、島内のあちこちに広がっています。

空と海と緑。なんにもないけれど、それだけで美しい風景が、島内のあちこちに広がっています。

これまでの連載でもご紹介してきましたが、黒島周辺の海域は、
複雑に入り組んだリアス海岸と島々が織りなすダイナミックな景観が特徴で、
大小208もの島々が点在する〈西海国立公園 九十九島(くじゅうくしま)〉として、
国立公園に指定されています。

黒島は、その九十九島の中で最も大きな島。
樹々が黒々と生い茂る姿から「黒島」と呼ばれるようになったという説もあり、
1周12.5キロほどの小さな島ながらも、
特徴的な地形や地質、動植物が、さまざまな表情を見せてくれます。

黒島の西端、女瀬(めぜ)付近の海辺。

黒島の西端、女瀬(めぜ)付近の海辺。

この透明度の高さ! 岩礁が多く、海水浴には向いているとは言い難いですが、この海の青さには感動を覚えます。

この透明度の高さ! 岩礁が多く、海水浴には向いているとは言い難いですが、この海の青さには感動を覚えます。

火山性のゴツゴツとした岩肌と、澄んだ美しい海。
この豊かな海を求め、遠方から訪ねてくる釣り人も多いそう。
ひじきなどの海藻、貝なども採れます。

ひじき発見!

ひじき発見!

県下最大規模の岩脈で、県の天然記念物にも指定されている串ノ浜岩脈。

県下最大規模の岩脈で、県の天然記念物にも指定されている串ノ浜岩脈。

こちらは黒島西端の海岸部に広がる、串ノ浜岩脈。
岩脈とは、地層や岩石の割れ目にマグマが入り込み、板状に固まったもので、
この串ノ浜岩脈は、800万年前の地殻変動によって形成されたといいます。
干潮時には総全長300メートル以上にも及ぶ岩脈が現れ、
長い年月がつくり出した壮大な自然の造形を間近で見ることができます。

海辺に横たわる巨大な岩も大迫力。火山活動や海の浸食が生み出した自然の彫刻です。

海辺に横たわる巨大な岩も大迫力。火山活動や海の浸食が生み出した自然の彫刻です。

次は、黒島随一の絶景スポット蕨(わらべ)展望所へ!
黒島は島全体が標高100メートル前後の台形状の地形となっており、
南側の海岸線は、高さ50〜100メートルの切り立つ浸食崖となっています。
断崖絶壁の長崎鼻と、その向こうに続く五島灘……。
黒島特産の御影石のベンチに座って眺める景色は、息を飲む雄大さです。

黒島に来たら必ず訪れたい景勝地長崎鼻。天気が良ければ上五島まで見渡せます。

黒島に来たら必ず訪れたい景勝地長崎鼻。天気が良ければ上五島まで見渡せます。

そして、黒島の海の恵みを体感するなら、ぜひ釣りにチャレンジを!
九十九島周辺、なかでも黒島は、
多種多様な魚が釣れることで有名で、全国から釣り人が訪れます。
釣り具を持参しての磯釣りはもちろん、
島内の民宿や漁師さんによる、漁船のチャーターも可能。
島旅ならではの思い出づくりにおすすめです。

information

map

船釣り体験・漁船のチャーターに関する問い合わせ 
黒島ウェルカムハウス

住所:佐世保市黒島町8-4

TEL:0956-56-2311

実は養殖には中山間地が適していた!?
〈森のうなぎ〉が目指す
サステナブルなうなぎとは?

実は謎多き、うなぎの生態

〈森のうなぎ〉は養殖うなぎのブランド。
岡山県・西粟倉村でローカルベンチャー育成事業を行う〈エーゼロ〉が昨年5月に始めた事業だ。
里山にある廃校を利用し、体育館に設置した水槽でうなぎを育てている。
なぜうなぎの産地でもないこの場所なのだろうか。
それは西粟倉が林業の村ということと深く関係している。

「村の製材業で木の端材がたくさん出てくるので、
それを使って新しい事業や産業をつくっています。
うなぎの養殖には温かい水の環境が必要で、その熱源に端材が利用できるのです」
と教えてくれたのは、
〈エーゼロ〉自然資本事業部として〈森のうなぎ〉に携わっている岡野 豊さん。

会社が入っているのは旧影石小学校。黒板に書かれている校内マップを使って案内してくれた〈エーゼロ〉の岡野 豊さん。

会社が入っているのは旧影石小学校。黒板に書かれている校内マップを使って案内してくれた〈エーゼロ〉の岡野 豊さん。

世の中に出ているうなぎは99%が養殖。
しかしうなぎは一般的に完全養殖ではなく、「蓄養」に近い。
つまり卵から育てることはできず、稚魚を海からとってきて育てているのだ。
すべてが天然由来なので、稚魚をとればとるだけ、
うなぎの数は少なくなっていくのである。
現在は絶滅危惧種に認定されており、
このままだと数十年後には絶滅してしまうともいわれている。

日本で食べられているニホンウナギの稚魚はグアム沖からやってきて、
日本や東アジアの川を上っていく。
グアム沖で生まれていると判明したのも2006年と最近のことだ。
どのくらいのうなぎが日本に来ていて、
どのくらいのうなぎがグアム沖に戻っているのか、という数字はわかっていない。
ちなみに昔から日本には「うなぎは山芋が化けている」という言い伝えがあり、
アリストテレスは「生き物には3種類いる。卵を産む生き物、子どもを産む生き物、
そしてうなぎという生き物だ」と言い、「泥から自然発生する」と考えていたという。
うなぎはこんなにたくさん愛され、消費されているのに、
そもそも謎に包まれた部分が多い生き物なのだ。

1尾ずつ手焼きしている〈森のうなぎ〉の〈手焼き蒲焼き 蒸しあり〉。

1尾ずつ手焼きしている〈森のうなぎ〉の〈手焼き蒲焼き 蒸しあり〉。

旭川〈せんや〉
おいしいもの好きが集まる
カウンター席で、北海道の味を
本格米焼酎の水割りで楽しむ

旅の醍醐味はローカル酒場! 全国おすすめ酒場探訪記
北海道・旭川編 安心してひとり飲みできる酒場とは?

帯広に続いて訪れたのは、北海道で人口第2の都市・旭川。
到着した旭川駅の広々としたコンコースでは、
誰もが思い思いに木の椅子やモダンなソファでくつろいでいます。
これは今年5月に誕生した〈旭川家具ラウンジ〉で、
旭川で受け継がれてきたクラフトマンシップを、
地元の人にも知ってもらいたいという新たな試み。
この駅正面から始まる平和通買物公園が、
きょうの案内人・阿部路子さんがこよなく愛する
旭川のまちなかへのメインストリートです。

石狩川と大雪山連峰

石狩川と大雪山連峰。旭川は北海道を代表する山河に育まれた“川と橋のまち”。大雪山連峰を水源とする大小160本もの川が石狩川に合流し、架けられた橋は750本以上。まちのシンボルも80年以上風雪に耐えた旭橋。豊かな森が背後に控え木工家具やクラフト製作が盛んな、道北地方の中心地です。

阿部さんはデザイン事務所〈よつば舎〉を営みながら、
旭川のおいしいものを描くイラストレーターとして知られています。
いつでもふらりとひとり飲みできるようにと、
あえて車の免許を取らず、まちなかの移動は徒歩が基本。
特にカウンターの居心地にこだわる酒場好きです。

「これからご案内するのは私がずっと行きたかった店。
あそこはいいねとよく話題になるのに、
なぜか飲みに行くチャンスがないままでした。
だからきょうは楽しみです」と、阿部さんは元気良く歩き出しました。

噂のローカル酒場は駅から歩いて10分ちょっと。
有名な飲み屋街「さんろく街」の少しだけ先にあり、
料理と値段が書かれた看板が目立ちます。
これなら初めてでも安心、親切ですよねと、
阿部さんは〈せんや〉の赤い暖簾をくぐりました。

帯広〈平和園〉
地元っ子が普段使いする人気焼肉店で、
ジンギスカンをスパークリング清酒と
一緒に

旅の醍醐味はローカル酒場! 全国おすすめ酒場探訪記
北海道・帯広編
思い出すと食べたくなる故郷の味とは?

きょうは北海道十勝地方の中心都市、帯広市へ。
十勝地方は、北海道を代表する大規模農業&酪農・畜産地帯。
広さは岐阜県とほぼ同じで、“十勝”としての一体感が昔から強く、
いまは“フードバレーとかち”として帯広市から魅力を発信しています。
十勝特産といえばじゃがいも、小麦、小豆、生乳、乳製品、黒毛和牛など。
地域ブランドとしては抜群の知名度を誇り、食料自給率も1200%を超えるそうです。

カラマツや白樺の並木道

帯広から郊外に車で向かうと、次々に広大な農場や牧草地が現れます。その境界線を縁取るようなカラマツや白樺の並木は、防風林として開拓初期に植えられたもの。人の営みと自然が調和した美しい景観は、見飽きることがありません。帯広の隣町・音更(おとふけ)町にある十勝牧場・白樺並木は、十勝を象徴する全長1.3キロのビューポイント。数々のドラマや映画のロケ地に使われ、馬や羊の放牧風景が見られる展望台も。“とかち晴れ”と呼ばれるほど、晴天の日が多い帯広・十勝地方は、雄大な大平原という北海道らしさが存分に楽しめるエリアです。

今回の案内人は、帯広市のお隣、音更町出身。
現在は都内でPR業を営む村上晴香さんによると、
帯広など十勝の人たちは屋外での焼肉「外焼肉(そとやきにく)」が大好きで、
初夏になるとスーパーにも「外焼肉コーナー」が登場。
晴香さんの家でも網と炭火を用意して、
毎週末のように自宅前で外焼肉を楽しんでいたそうです。

「焼けるものならなんでも網に乗せてみんなで食べる。
ただそれだけですが、野菜も地元の新鮮なものばかり。
真夏でも湿気がないので屋外で過ごすのが本当に快適です。
梅雨がない北海道ならどこでも見かける光景でも、
この外焼肉という言い方は帯広・十勝界隈だけ。
札幌のジンパ(ジンギスカンパーティ)や
東京のBBQのようなオシャレ感がないところが、
焼肉好きな人が多い十勝らしい言葉だとも思います」

外焼肉の主役は味付けマトンの薄切り肉、ジンギスカン。
これを帽子型のジンギスカン鍋ではなく、網でそのまま焼くのが村上家での食べ方です。

この焼肉スタイルのジンギスカンを、
北海道で最初に始めたと言われるのが帯広に本店がある〈平和園〉。
晴香さんの“帰省時に行きたい店リスト”で
不動のトップバッターが、きょうのローカル酒場です。

平和園の外観。

ケーキの世界にも高校生が
夢をかける舞台があった!
歓喜と涙の〈貝印スイーツ甲子園〉

ケーキにかける “ひたむきさ”は、やはり“甲子園級”だった

高校生が涙する甲子園は、高校野球だけではない。
スイーツづくりで全国一を成し遂げた優勝校は、歓喜の涙を流した。
そんな物語を紡いでくれるのが、貝印が主催する〈貝印スイーツ甲子園〉である。
2008年の第1回から数えて、今年で11回目を迎えた。

9月16日に行われた決勝大会。全国から266チームの応募があり、
そこから書類審査と東西予選大会を勝ち抜き、
会場である〈東京調理製菓専門学校〉に集まったのは、
北海道三笠高等学校の「北の国から」、愛知・名古屋調理師専門学校の「I’ll」、
大阪・太成学院大学高等学校の「ミラクルGirls」、
熊本・慶誠高等学校の「educate」の4チーム。

東日本ブロックから勝ち上がった名古屋調理師専門学校「I’ll」チームは、昨年の優勝校。2冠を目指す。

東日本ブロックから勝ち上がった名古屋調理師専門学校「I’ll」チームは、昨年の優勝校。2冠を目指す。

「わたしたちの“極上”スイーツ」というテーマにそって考えてきたケーキを、
2時間半という時間内に3人で協力してつくり上げていく。
審査はケーキの完成度のみならず、製作過程も含まれる。
だから〈Toshi Yoroizuka〉オーナーシェフの鎧塚俊彦さんや
〈Patisserie Noliette〉オーナーシェフ永井紀之さんをはじめ、
プロのパティシエとして活躍されている審査員が、
ときに鋭い眼光を光らせながら、調理台の間を歩いている。
さすがにプロの視線を浴びながらのケーキづくりは緊張しそうなものだが、
意外と生徒たちは落ち着いているようだった。
何度も練習して繰り返してきたケーキづくり。自然と体が動くのだろう。

大阪府の太成学院大学高校「ミラクルGirls」は飴細工で“時計”を製作中。

大阪府の太成学院大学高校「ミラクルGirls」は飴細工で“時計”を製作中。

「ミラクルGirls」の3人をモデルにした(!?)マジパンの成形技術はお見事。

「ミラクルGirls」の3人をモデルにした(!?)マジパンの成形技術はお見事。

前半は製作工程を見ていても、まだまだ全体像がわからない。
しかし土台をつくっているはずなので、
「正確さが重要です」と永井シェフも注意点を教えてくれた。
鎧塚シェフも「ここからどう変化していくのか。楽しみですね」と言う。

大会アドバイザー大森由紀子先生に話しかけられる生徒。

大会アドバイザー大森由紀子先生に話しかけられる生徒。

生徒たちはお互いに声をかけ合い、製作に励んでいる。
チームプレイはどの学校も抜群だ。ときに、笑い声もあがる。
集中しているなかにも、思わず楽しさが上回る瞬間がある。
ゲスト審査員の関根勤さんに、
ロールケーキの美しい断面をドヤ顔で見せた生徒もいた。
成功して思わず自慢したくなったのだろう。

ゲスト審査員「貝印スイーツ甲子園絆サポーター」として参加していた関根勤さんは場をやわらげてくれた。

ゲスト審査員「貝印スイーツ甲子園絆サポーター」として参加していた関根勤さんは場をやわらげてくれた。

とにかく作業台の上をきれいに保っていたのが印象的だ。
洗いものも手が空いた人がすぐに洗ってほとんどためないので、
常に清潔感がある。こうした丁寧さや衛生観念なども審査対象に含まれるのだ。

北海道三笠高校「北の国から」チーム。

北海道三笠高校「北の国から」チーム。

どの学校も順調に進んでいるように見えた。
しかし終了5分前になってもどの学校からも「できました!」の声が上がらない。
周囲からも不安の声が上がり始めるが、残り2分を切るころ、
続々とケーキが完成し始めた。
名古屋調理師専門学校の「I’ll」は、なんと5秒前に完成。
見ているこちらがヒヤヒヤしたが、生徒たちのタイムマネージメントは完璧だった。

その後、各チームは審査員たちに実際に食べてもらいながら、
プレゼンテーションを行った。
最後のアピールを終え、とうとう優勝校の発表を迎えることになった。

数日限りのプレミアム野外レストラン〈ダイニングアウト〉が
鳥取県八頭町で見せた進化と、
地域へのノウハウの還元

数日限りのプレミアムレストラン、
ダイニングアウトが鳥取・八頭町で開催。
ミラノの人気店〈Ristorante TOKUYOSHI〉
徳吉洋二シェフ凱旋登板の夜

鳥取県八頭町。鳥取市内から10キロほど南に位置する小さなまちが、
2018年9月7日からの3日間ちょっとしたお祭り騒ぎになった。
プレミアムな野外レストラン〈DINING OUT with LEXUS〉(以下、ダイニングアウト)の
八頭町での開催。
それはずっとダイニングアウトチームを誘致していた鳥取県としても
念願叶ってのことだった。

これまでダイニングアウトは、北は北海道ニセコ町、南は沖縄県八重山諸島まで、
さまざまなロケーションで開催され、13回という回数を重ねてきた。
国内外の超一流シェフが、あたかもその“まち”を調理するように、地域の食材を厳選し、
ライブ感たっぷりに惜しげもなくその腕をふるう。
そのダイナミックさとプレミアム感、
当日まで参加者には「どこ」で「どんな料理を食べられるのか」といった
詳細が伝えられないというミステリーツアー感覚が、
全国の美食家のみならず、“食”や“ツアー”を地域おこしの目玉にと考えている
行政担当者の地域創生のヒントとしても注目されているのだ。

今回の舞台となった八頭町は、緩やかに流れる八東川とそこに沿うように走る若桜鉄道、
いにしえの伝説残す霊石山、気持ちよく広がる田園風景の傍らでは、
名産の花御所柿がたわわに実り、秋の空に彩りを添えるという、
昔ながらの日本の風景を今に残す小さなまち。

天照大神が八上郡(現八頭郡)に降臨した際に、
霊石山への道案内をしたのが白兎だったという「白兎伝説」が今日も伝えられており、
町内に3社あるという「白兎神社」をはじめ、
数多くの寺院や古墳の存在が古代の栄華を物語っている。
八頭は、古来よりのパワースポットでもあったのだ。

成田山青龍寺の社殿の中にある白兎神社。内陣(ないじん)の厨子に、波うさぎを見ることができる。

成田山青龍寺の社殿の中にある白兎神社。内陣(ないじん)の厨子に、波うさぎを見ることができる。

そんな八頭で開催するダイニングアウトのテーマは「Energy Flow〜古からの記憶を辿る〜」。
八頭という地に宿る、“生命力”や“自然の神秘”を、食だけでなく、
場所、人からも感じとれるプログラムを用意。
ミラノの人気店〈Ristorante TOKUYOSHI〉の徳吉洋二シェフが
ニセコ編に続き2回目の登場。
東洋文化研究家のアレックス・カーさんがホストとして会を進行し、
レストランプロデューサーの大橋直誉さんがサービス統括に着いた。

大橋直誉さん(左)がワインのセレクトを託され、アレックス・カーさん(右)が軽快なトークで場をあたためる。

大橋直誉さん(左)がワインのセレクトを託され、アレックス・カーさん(右)が軽快なトークで場をあたためる。

ところが、開催期間は秋の集中豪雨のまっただなか。
残念ながら9月10日は野外での食事は中止に。
その代わりとして築130年を超える古民家・太田邸で開かれることになった。
この日のためにロケハンを重ね、お客さんに喜んでもらおうと
最高のプログラムとロケーションを用意してきた運営スタッフたちの気持ちを考えると、
お天道さんへの恨み節しか出てこないのだが、
「弁当忘れても傘忘れるな」という標語が伝えられている地域だけあって、
じっとりと雨に濡れてほんのりと薄暗い景色は、
回想するといつもの八頭の風景ではあったのかもしれない。

歩いて楽しむ温泉街を取り戻すために、
旅館の若旦那が覚悟したこととは?

1両編成のローカル線で訪ねる温泉地

山口県を南北に走るJR美祢(みね)線は、
山陽新幹線が停車する厚狭(あさ)駅と長門市駅を結ぶローカル線だ。
車窓には田園風景が続き、
時折、赤い石州瓦の家並みがアクセントのように色を添える。
めざす長門湯本駅へは厚狭駅から1時間ほど。
ロングシートの1両編成に揺れらながら、ゆっくりとした旅時間である。

音信川に面して敷地が広がる大谷山荘

音信川に面して敷地が広がる大谷山荘

長門湯本駅を間近にして、まず見える大きな旅館が〈大谷山荘〉だ。
明治14(1881)年創業の老舗で、客室数は107室。
敷地内には全18室が露天風呂付きのラグジュアリー旅館〈別邸音信(おとずれ)〉もある。
近年は安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領が
「日露首脳会談」を行った宿として話題になった。

2006年に誕生した別邸音信(https://otozure.jp)。アプローチやラウンジをはじめ、ゆったりとした空間使いが魅力。

2006年に誕生した別邸音信。アプローチやラウンジをはじめ、ゆったりとした空間使いが魅力。

ゆくゆくは大谷山荘の5代目を継ぐ大谷和弘・専務取締役は、
〈長門湯本温泉〉再生プロジェクトの主役と言える人物だ。
1979年、長門湯本生まれ。海外留学と県外での旅館修業を経て20代後半で家業に入った。

作務衣を着こなす大谷和弘さん。一見すると僧侶のような風貌。

作務衣を着こなす大谷和弘さん。一見すると僧侶のような風貌。

大谷さんは映画と読書とお酒が好きで、地元の萩焼を愛し、
茶の湯のこころを大切にする趣味人だ。
「好きなことすべてが、今の仕事につながっているから驚きます」と、
大谷さんは笑う。そうかと思うと、真剣な表情でまちを語り始める。
この、人なつこくも情熱あふれる大谷さんに惹かれて、
長門をリピートする人は多いと思う。もちろん宿のよさがあってのうえだ。

大谷山荘は、旅行新聞社が主催する〈プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選〉で
名を連ねる人気旅館だ。長門湯本温泉のことはあまり知らなくても、
大谷山荘や別邸音信の名を知る人は多い。

食も遊びもお土産も欲張っていこう!
黒島と佐世保でやりたい10のこと

2018年7月に世界文化遺産に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」。
その構成資産のひとつ「黒島の集落」を中心に、
黒島と佐世保の魅力を余すところなく詰め込んだ、とっておきの旅のプランをご紹介します。
漫画/映画『坂道のアポロン』にも登場する〈黒島天主堂〉はもちろん、
定番の佐世保グルメや話題のニュースポット、大自然の中でのクルージングも!
黒島・佐世保のよくばりなショートトリップへ、出かけてみませんか?

旅のはじまりは黒島から。 フェリーに乗って、祈りの島へ

潮風を浴びながら、旅への期待に胸がふくらむ約50分の船旅。

潮風を浴びながら、旅への期待に胸がふくらむ約50分の船旅。

長崎県佐世保市に属する黒島は、
佐世保市本土から西へ約12キロ離れたところに浮かぶ島です。
周辺の海域は、大小208もの島々が点在する
〈西海国立公園 九十九島(くじゅうくしま)〉となっており、
黒島は、その九十九島の中で最も大きな島。
現在は400人余りの島民が暮らしており、うち約8割がカトリック信者です。

黒島へのアクセスは、佐世保市の相浦桟橋から〈フェリーくろしま〉で。
10:00発、13:00発、17:000発の1日3便が運行(※)しており、
約50分で、佐世保と黒島をつなぎます。

※ゴールデンウィーク(4月29日〜5月8日)、お盆(8月13日〜8月16日)、
年末年始(12月29日〜1月5日)の期間は「増便ダイヤ」となり、
8:30発、11:00発、14:30発、17:00発の1日4便運行(2018年10月現在)。

2016年3月に誕生した〈黒島ウェルカムハウス〉。旅人を出迎える島の玄関口。

2016年3月に誕生した〈黒島ウェルカムハウス〉。旅人を出迎える島の玄関口。

島に到着すると、すぐに目に入るのが〈黒島ウェルカムハウス〉。
黒島観光の拠点となる場所で、
各種体験の受付やレンタサイクルの貸し出し、特産品の販売などを行っています。
島内の観光マップなども揃っているので、到着したらまずチェックを。
さあ、いよいよ黒島散策のはじまりです!

information

map

黒島ウェルカムハウス

住所:長崎県佐世保市黒島町8-4

TEL:0956-56-2311

営業時間:9:00〜17:00(売店は10:00〜16:00)

定休日:不定休