QR決済の先駆け!
飛騨の電子地域通貨〈さるぼぼコイン〉
が目指すお金の地産地消とは?

金融機関が手がけるQRコード決済

「QRコード決済元年」ともいわれた2018年。
大手企業が次々と参入し、大規模なキャンペーンを打つなど、大きな進展を見せた。
しかしそれに先駆けて2017年12月から事業を開始していたQRコード決済がある。
岐阜県飛騨地域で展開されている〈さるぼぼコイン〉だ。
〈飛騨信用組合〉が高山市、飛騨市、白川村限定で行っているサービスで
加盟店は約900軒、累計コイン販売額は約6億円に上る(2019年3月現在)。

当時、海外にいくつかあっただけで、
日本国内のQRコード決済サービスは知られていなかった。
そうした未知のサービスを普及させていくには、
導入のハードルを低くすることが必要になる。
しかも流行に対して抵抗の少ない東京ではなく、ターゲットは飛騨という地域だ。

「電子決済のようなものを説明するとアレルギーが出るような人が多かったので(笑)、
懇切丁寧に説明して回りましたね」
そう語るのは飛騨信用組合の古里圭史さん。

フィンテックプロジェクトチームリーダーの古里圭史さん(右)と経営企画部田中直樹さん(左)。

フィンテックプロジェクトチームリーダーの古里圭史さん(右)と経営企画部田中直樹さん(左)。

さるぼぼコインのQRコード決済システムは「静的QRコード」と呼ばれるもの。
店頭に掲示してある店舗ごとのQRコードを自分のスマートフォンで読み込み、
自分で金額を打ち込んだあと、お店の人に画面を確認してもらってから決済する。
店舗の端末に「ピッ」ではない。
ユーザーにとっては少し面倒くさいように思われても仕方がない。

「最初は加盟店を増やし、電子決済のインフラを広めることが重要だと思いました。
だから導入コストが限りなくゼロで、
お店に新しく端末を置かなくてもいいシステムを目指して、現在のかたちになりました」

飛騨信用組合が店舗ごとに用意してくれるボード。

飛騨信用組合が店舗ごとに用意してくれるボード。

加盟店側は、飛騨信用組合が用意してくれた自分のお店専用QRコードが印刷された
ボードを店頭に設置するのみ。極端にいえば、プリントアウトした紙1枚でも構わない。
このくらい簡単でないと、加盟店は増えなかったのだろう。

こうした仕組みで進めていくことになった背景には、
「さるぼぼコインが単なる電子マネーではなく、電子地域通貨である」ことが挙げられる。
カードやスマートフォンをピッとやるだけで支払いが済むという便利さや
キャッシュレスという手軽さではなく、目指したのはお金の地産地消。
その手段としてのQRコード決済なのである。

「自分たちの事業課題を解決するときに、
可能な限り地域の課題も解決していけるようなビジネスをやっていきたいと
思っていました」という古里さんのビジネスへの思いが透けて見える。

「地域の課題は、年間450万人を超える観光客が来てくれるこの地で、
落としてくれたお金を外に逃さないように地域で回していくこと。
観光客へのアンケートで、常に不満点の上位に挙げられるのが、
“クレジットカードや電子マネーを使えるお店が少ない”ということでした」

スーパーマーケットなどにあるチャージ機を使って、現金でチャージできる。

スーパーマーケットなどにあるチャージ機を使って、現金でチャージできる。

しかし、観光客にさるぼぼコインを使ってもらうことには苦戦しているという。
原因はスマホへのコインチャージ。
現状、飛騨信用組合に口座を持っている人は24時間365日、口座からチャージが可能。
しかしそれ以外の人は、窓口か、自動チャージ機で現金からチャージしなくてはならない。
これが特にインバウンド観光客にはハードルが高い。
当然、クレジットカードでチャージするのが一番簡単ではあるが、
地方の地域通貨が担うにはその手数料は高すぎる。
日本の地方でクレジットカードの導入が進まないのと、結局、同じ理由だ。

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