瀬戸内海特有の風土が生み出す自然の恵み
ここ最近、美容や健康に関する話題のなかでよく目にする
「菌活」や「腸活」といった新習慣。
塩麹ブームなども記憶に新しいが、体によいとされる日本古来の発酵食品が
いま、あらためて全国的に注目を浴びている。
広島の観光地として名高い尾道やしまなみ海道沿いの因島(いんのしま)もまた、
古の時代から独自の発酵文化を築いてきたという。
具体的にはどのような営みが根づいているのだろう。
地元で発酵関連食品を扱う企業に話を聞いてみた。

因島屈指のビュースポット、白滝山山頂より瀬戸内海を見渡す。
尾道の南、芸予諸島の北東部に浮かぶ因島は、中世の時代に
「村上海賊」と呼ばれる有力な水軍の本拠地だった場所。
近世以降は主に廻船・造船業などで栄えた。
夏はカラリとして、冬も雪が積もることはない。
こうした穏やかな気候は、発酵の環境に適しているらしい。

つづら折りの坂道を下ると現れる「地蔵鼻」。恋愛成就のパワースポットとして知られ、小石を持ち帰ると願いが叶うといわれている。

この土地の暖かさを象徴するかのように咲く冬の桜。地元の人によると、毎年この時期に花開くのだそう。
進化し続ける発酵のカタチ〈万田発酵〉
因島の西岸に、今回のテーマ「発酵」を社名に掲げる企業がある。
健康食品を軸に、農業・園芸資材やスキンケア製品など、
国内外で幅広い分野の事業を展開する〈万田発酵〉だ。

2018年初夏オープン予定のショップ&カフェ棟。毎年3月には〈全国ジャンボ大根フェスティバル〉が開催されている。
「妊婦さんに元気な赤ちゃんを生んでもらいたい」
1961年、開発者である現会長・松浦新吾郎さんの強い想いから、
発酵に関する研究がスタート。
植物由来の発酵食品〈万田酵素〉は、23年の月日をかけて産声をあげた。

特徴はバランス複合発酵。素材を皮ごと仕込み、持ち味をじっくり引き出していく。

ライフスタイルに合わせて、多彩な商品を提案。
特筆すべき点は、果実、穀物、海藻、野菜など、
トータルで53種類もの原材料を使用していることだろう。
味噌は大豆、チーズなら牛乳など、通常は1品目を発酵させるものが多いなか、
これほど多種多様な素材を扱う発酵食品はほかに類を見ない。
もとは〈田中屋〉の屋号で、元禄時代から300年以上続く老舗の造り酒屋だった同社。
水を一滴も使わず、常温で3年3か月以上の歳月をかけて発酵・熟成する製法には、
長年蔵元として培った知恵と高度な技術が生かされている。
「発酵食品を毎日手軽に」
酵素をサプリメントやドリンクといったとり入れやすい形態に
落し込むアイデアは、現代人のニーズにもうまくマッチしている。

因島の恵まれた自然環境のなか、生き生きと育つ野菜たち。
万田酵素の発酵技術は、〈万田アミノアルファ〉をはじめとする
植物用の液体肥料にも活用。
敷地内の自社農園「びっくりファーム」では、研究対象の農作物が栽培されており、
予約をすればその豊かな成長ぶりを見ることができる。
また工場見学と合わせて、子どもたちの食育の場にもなっているという。
さらに、ミャンマーなど開発途上国への農業技術支援も実施。
人や植物の健康維持にとどまらず、地球規模の食料問題や
環境問題の分野まで視野に入れているというのだからスケールが壮大だ。
健康食品以外のジャンルを合わせると、販路は世界30か国以上に及ぶという。
発酵がもたらす未知なる可能性に、これからも目が離せない。















































































