無機質テナントがどう変わった? 間伐材を使って 森と都市をつなぐシェアオフィス。 IVolli architecture vol.5

IVolli architecture vol.5

アイボリィアーキテクチュアの原崎です。
前回に続き、ぼくたちがふだん活動している、
横浜で関わらせていただくことになったオフィス計画、
そして神奈川県西部の山北町に伺い、現地の林業についてお話させていただきます。

カーペットが敷かれた無機質なオフィステナントの改装のため、
材料に間伐材を活用することになり、
さらに山北町森林組合のみなさんのご協力のもと
実際に山へ入り、間伐作業を体験させていただいたのが前回までのお話
今度はその間伐した丸太をもって森林組合のご紹介で
近くにある製材所に持ち込み、製材をお願いすることになりました。

ぼくらの知っている“木材”のできるまで

ここは山北町の隣、南足柄市にある製材所〈木材工房あしがら〉。

この大きな木造の倉庫は、製材した木材を乾燥させるための乾燥機です。
その手前には、乾燥の終わったものとこれから乾燥させるものがあります。
丸太から四角に切り出したばかりの木材は
水分が多く強度が不十分でそのままでは使うことはできないので、
このなかで木を2週間ほど寝かせて、じっくりと乾燥させます。

乾燥機にて乾燥中の木材。

続いて木材の加工場へ。
大きな丸太をタテに転がして、大きな機械式のこぎりでカットしていく、
製材作業のメインといえます。こののこぎりは帯鋸といって、
丸太もズバズバ切れる機械なので、安全に、かつ慎重に作業が進められています。

丸太をかかえて帯鋸で切っているのは、〈木材工房あしがら〉の代表、小髙誠仁さん。

ぼくらもなにかお手伝いできることはないか、ということで、
機械を使うのではなく手作業の工程をやらせていただくことになりました。
それは“桟積み(さんづみ)”というもので、
のこぎりで切り出された木材を先ほどの乾燥機に入れて乾燥させるために、
木材1本1本の間隔を空けて桟と木材を交互に積み上げていきます。

桟と交互に木材を敷いていき、

まず一段できました。
これを繰り返して、最終的にはここまで積み上がりました。

この真ん中に積み上がった木材が、
このあとの乾燥と仕上げを経て横浜までやってきます。

「山北材」到着! 早速組み立て

そしてついに、横浜に木材が到着です!
こちらで指定した寸法通りの厚み、
長さに切り揃えられた木材が、オフィス内に積み上がりました。

間伐材が積まれたオフィス。

テーマは”有田焼×異文化”。 展覧会 〈Arita Porcelain Today〉が アムステルダムで開催

2016年4月22日から、オランダの
〈アムステルダム国立美術館アジア館〉にて、
佐賀県で400年の歴史を誇る“有田焼”を
テーマにした展覧会〈Arita Porcelain Today〉が開催されます。

これは、歴史ある有田焼を、
コンテンポラリーデザイナーの手によって
新たに表現した展覧会。コロカル商店でもおなじみの、
佐賀県とオランダのコラボレーションによる〈1616 / arita japan
に続くプロジェクト〈2016/ project〉による、
〈2016/ collection〉が展示されます。

Arita Japan. Photography Kenta Hasegawa

〈2016/ project〉では、〈1616 / arita japan〉とおなじく、
柳原照弘とショルテン&バーイングスが
クリエイティブ・ディレクターをつとめています。

目的は、存続が危ぶまれる有田の磁器産業が十分に再興することと、
重要な技術を継承していくこと。
いまは佐賀県にある16の窯元・商社と、
ヨーロッパ、アメリカ、日本のデザイナー16組が
商品開発を行っているのだそう。

Glaze dipping at Housengama. Photography Kenta Hasegawa

かつてオランダは多くの有田焼をヨーロッパへ輸入する窓口でした。
そこから今も続く日本とオランダの特別な関係が、
有田焼を再興するための大切なインスピレーションとなっています。

地方で暮らし制作すること。 若木信吾と志賀理江子 トークイベント開催

メイン写真 © Lieko Shiga

都市を離れて暮らすこととは、地方で制作していくこととは。
3月27日(日)、写真家の若木信吾さんと志賀理江子さんが浜松にて
「これまでとこれから」「地方で暮らし制作すること」などをキーワードに
トークイベントを開催します。

ドキュメンタリー、コマーシャル、アートの垣根を超え
活躍する若木さん。このトークイベントでは、
そんな若木さんが聞き手となり、気鋭の写真家をゲストに迎え、語り合います。

ロンドンで写真家としてのキャリアをスタートさせた写真家・志賀理江子さんは、
2008年にロケーション探しに訪れた宮城県沿岸の浜辺の松林に恋をし、移住を決意。
以来宮城に移り住み、2012年には日本写真史の事件とも評される『螺旋海岸』発表。
現在も宮城に暮らし、制作を続けています。

志賀理江子写真展〈静かな昼食〉(BOOKS AND PRONTS)

一方若木さんは静岡県浜松市に生まれ育ち、
アメリカのロチェスター工科大学を卒業後、ニューヨークで活動。
現在は東京を拠点に活動を展開しながらたびたび故郷へ足を運び、
身近な人々を撮り続けています。

また、2010年には浜松に写真集専門店〈BOOKS AND PRONTS〉をオープン。
自身が発行人を務める出版社ヤングトゥリー・プレスの書籍や
オリジナルグッズなどを販売し、展示やトークイベントなども開催しています。

そんなふたりの対談から、どんな生き方が見えてくるのでしょうか?
おふたりの写真が好きな方、移住に興味がある方には、
さまざまな発見があるかもしれません。

志賀理江子写真展〈静かな昼食〉(BOOKS AND PRONTS)

〈BOOKS AND PRINTS〉では、このトークイベントの開催を記念し、
志賀さんの写真展〈静かな昼食〉を開催中。
店内ではテキスト集 『螺旋海岸 | notebook』と
写真集『螺旋海岸 | album』も販売しています。

『螺旋海岸 | notebook』は、志賀さんの制作に興味がある方にお薦め。
ひとつの場所に暮らしながらそこに住む人々や土地に
独自のアプローチとリサーチを重ね、
鮮烈なイメージを写真におこす志賀さんの軌跡と制作風景が垣間見えます。
(展覧会は3月27日まで)

今回のトークイベントは、おふたりの話を浜松で聴ける貴重な機会です。
ぜひお出かけになってみてください!

information

map

写真家対談 志賀理江子×若木信吾

開催日:2016年3月27日(日)

時間:15:00 〜 16:30(開場14時)

会場:KAGIYAビル4Fギャラリー

住所:浜松市中区田町229-13 KAGIYAビル401

会費:予約1500円/当日2000円(コーヒー1杯付)

出演:志賀理江子

聞き手:若木信吾

進行:清水チナツ(せんだいメディアテーク学芸員)

定員:45名

予約方法:件名を【志賀理江子】とし、お名前(ふりがな)/連絡先/人数を明記しメールをお送り下さい。予約は店頭またはお電話でも受け付けています。

メール:event@booksandprints.net

TEL:053-488-4160

Web:

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BOOKS AND PRONTS

志賀理江子

〈としまミュージアム〉 クローズする豊島区旧庁舎で 現代アートを展示!

多くの芸術家が暮らしたアトリエ群〈池袋モンパルナス〉や、
漫画家たちが巣立っていった〈トキワ荘〉など、
古くから文化的な土壌が醸成されてきた、池袋。
現在では、演劇や映画、そしてアニメのまちとなり、
新しい文化を発信し続けているところ。

そんな豊島区の中心にある、豊島区旧庁舎と豊島公会堂、
2つの施設がその歴史に幕を閉じます。
その跡地には、8つの劇場、を含む国際的な“文化にぎわい拠点”が
2020年に誕生する予定です。

この大きな転換期を迎える豊島区にて、
旧庁舎と豊島公会堂にお別れを告げるべく、
アートに演劇、音楽ライブ、アニメ、食など様々な文化が
一同に会するイベント〈としまミュージアム〉が
2016年3月20日(日)と21日(月・振休)の二日間にわたり、開催されます。
としまミュージアムの館長は、豊島区長の高野之夫さん。
メインビジュアルイラスト制作はしりあがり寿さんです。

まずはメイン会場の豊島区庁舎。旧庁舎4フロアすべてを使って、
2日間だけのカルチャー・ミックスが展開されます。
1階は、旧庁舎跡地開発プロジェクトを紹介する
〈ウェルカム&プレゼンテーション・フロア〉と、
キッズやファミリーのためのワークショップとステージプログラム
〈としまチルドレンズミュージアム(Produced by フジテレビKIDS)〉。

2階は〈アニメ・フロア Produced by animate〉。
大人気TVアニメ『おそ松さん』の映像で、声優アフレコ体験を実施します。
そして3階は〈アート・フロア〉。
田原唯之、ミラーボーラー、山下拓也、泉太郎、宇治野宗輝ら
8組のアーティストが旧庁舎の空間を生かした作品を展開します。

田原唯之

ミラーボーラー

泉太郎

また、3階では、靴をテーマにユニークな作品を
作るアーティスト、靴郎堂本店によるワークショップも。

靴郎堂本店

〈Founder Clock〉 高岡の砂型鋳造の技術から 生まれたアルミ鋳物の時計

“ものづくりのまち”と呼ばれる、富山県高岡市。
なかでも鋳物は有名で、かつては仏具、花瓶、茶道具など
日本で大きなシェアを誇ってきました。
最近は需要の変化から生産量が減少しており、
現状の打開のためにさまざまな新しい試みが行われています。

そんな高岡が誇る鋳造の技術を活用した、
アルミ鋳物の時計〈Founder Clock(ファウンダークロック)
がこのたび発売されました。
デザインは大阪を拠点に活動するプロダクトデザイナーの小池和也さん。
家具、雑貨、家電などのプロダクトを手がける
デザイン・スタジオ〈Doogdesign.〉を主宰されているクリエイターです。

いっけんすごくシンプルなデザインですが、文字盤の数字は、
鋳物に不可欠な抜け勾配と文字盤形状との
バランスを考慮してデザインされたオリジナルフォント。
鋳造された金属が内側から放つ力を存分に活かすために
計算されてデザインされた、存在感のある時計です。

日本の美しい籠、100点。 Center for COSMIC WONDER で 『にほんくらし籠』展

各地で生まれ、培われた手仕事を見ると、その土地の気候や育つ作物をはじめ、
さまざまな暮らしの環境が、折りたたまれているように感じられますよね。
日本の風土と「用の美」が丁寧に合わさった「籠」もそのひとつ。

高度成長や工業化によって残念ながら職人さんの数が減っていくなか、
日本各地の職人さんに制作してもらった籠の展示『にほんくらし籠』が、
3月19日からはじまります。場所は、Center for COSMIC WONDER
「コズミックワンダーで籠の展示が行われるの?」と、
意外に思う人がいるかもしれません。
彼らと籠について、ちょっとご紹介しましょう。

葛藤の背負い籠/鹿児島県

真竹の脱衣籠/熊本県

パリコレクションへの参加、各地の美術館でアート活動も行うなど
ジャンルにこだわらない活動を行っているコズミックワンダーですが、
並行して「縄文」や「原始」をルーツに掲げ、
手織りの自然布、手漉き和紙、草木染めなど古からの希代な手仕事に注目し、
衣服から小物まで制作・販売しているのはご存知でしょうか。
いわゆる「オーガニック」からさらに進んだ、
「エシカル(環境や社会に対して意識的・倫理的)」とも言えそうな姿勢は、
近年さらに強まっているようにも感じられます。

真竹のふご/千葉県

また籠は、日本各地の縄文時代の遺跡からも出土しているように、
古代からさまざまな生活の様式で用いられていた一方で、
現代の暮らしにも残る、数少ない生活の手道具のひとつ。
というわけで、コズミックワンダーが籠に注目する理由をおわかりいただけたでしょうか。

今回の『にほんくらし籠』展を開催するにあたり、
コズミックワンダーでは秋田から鹿児島まで日本列島各地の職人さんを訪ね、
さまざまな用途の籠を制作してもらったのだとか。
会場では手仕事の籠が、約100点、展示・販売されるそうです。

沢胡桃の手付き籠/秋田県

実家の空き家を大改修。 店も人も集まる、まちに開かれた 編集室〈四国食べる商店〉とは。 仏生山まちぐるみ旅館 vol.5

仏生山まちぐるみ旅館 vol.5

ぼくは、香川県高松市の仏生山町というところで、

建築の設計事務所と、仏生山温泉を運営しています。
ここでにやにやしながら暮らすために、まち全体を旅館に見立てる、

〈仏生山まちぐるみ旅館〉という取り組みを10年がかりで進めています。

今回、ご紹介するのは〈四国食べる商店〉です。
場所は仏生山温泉から徒歩2分、北に100メートルほどのところにあります。
温泉の窓から見える(笑)。
オープンしたのは2015年の4月です。

店主の眞鍋邦大さんは、高松出身です。
大学進学時に高松を離れ、東京をはじめ県外で暮らしたあと、
香川県の小豆島に3年滞在し、
昨年生まれ育った仏生山にUターンしました。
四国食べる商店となった建物も、眞鍋さんの実家です。

隣接する農園で収穫する、眞鍋邦大さん。

四国食べる商店は、もともと
『四国食べる通信』という活動から派生しています。
食の情報誌でありながら、
食材が付録のように一緒に送られてくるユニークな仕組みです。
会員になると、2か月に1度、つくり手の想いが冊子+食材という
組み合わせとなって手元に届きます(詳しくはこちらでも)。
最初は東北から始まった、この『食べる通信』という取り組みは
全国に広がりつつあり、その四国地域の編集長を務めるのが眞鍋邦大さんです。

眞鍋さんのすてきなところは、
四国食べる通信の拠点をただの編集室にしないで、
商店という形式にしたことです。

四国食べる通信の仕事としては、
取材や編集、発送が中心だから、
ふつうの事務所のような感じでも大丈夫なんだけど、
商店という形式にすると、店になる。
それがとてもいい。
閉鎖的な事務所と、開かれた商店では
0と100ほどの違いがあります。
場所があってもみんなが日常的に利用できなければ、ないのと同じだからです。
まちのなかで、みんながその場所を利用できて、
価値の受益者になれる、ということがとっても大切です。
実際に四国食べる商店は、店として食材や調味料などを販売しているし、
食にまつわるイベントも不定期に開催しています。

さらに、商店の中には、
リンパドレナージュ(マッサージ)の〈巡舎〉(金・土曜日営業 予約制)、
グラノーラの量り売りカフェ〈寧日〉(月曜日営業)、
というふたつの店が場所の一部を借りて営業しています。
商店では場所を借りて、飲食や販売ができるようにもなっていて、
これからもそういうお店が増えていく予定です。
つまり、売る側、買う側、どちらにも開かれた自由な場所になっているのです。

これはもう、プラットフォームですね。
単に開かれた編集室、っていう感じではなくて、
四国食べる商店というプラットフォームがあって、
そのうえに、
①四国食べる通信の編集室と作業場、
②食材を販売する商店、
③〈巡舎〉〈寧日〉という独立したお店、
さらに段階的に整備しつつある四国食べる農園、
なども増え、さまざまな活動が乗り入れている。
そういう状況では新しい動きが偶発的に生まれやすくなります。

この、開かれてて、自由で、親しみやすい感じは、
おもしろいことに、眞鍋さんの人柄といっしょ。
店は人そのものって、よく言われていますけれど、
それは本当です(笑)。

すてきな店は、店の人の顔が見えること。
そういうお店が集まって、
人の顔が見えるお店が集まると、
すてきなまちができあがると思っています。

なので逆に、
人の顔の見えないチェーン店なんかは、いらないわけです。
暮らしのなかで、にやにやできませんから。

そんなわけで、なんでもできるような場所をつくりたいと依頼がありました。
リノベーションを行ったのは、
眞鍋さんが幼少のころ暮らしていた実家、2階建ての住居です。
現在ご両親は別のところで暮らされているので、
空き家になっていました。

改修前の土間部分。

改修前の居間。当時のジャージがそのまま残っています。

デザインでも アートでも民藝でもない “雑貨”こそおもしろい! 21_21 DESIGN SIGHT〈雑貨展〉

東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTにて、
雑貨をテーマとした企画展〈雑貨展〉が開催されています。

日本では、つい約半世紀前まで“雑貨”といえばやかんやほうき、
バケツなどの荒物(生活に必須な道具)のことを指していたのだそう。
いまではデザイン性の高いグラスやナイフ、うつわ、ブラシから、
用途が分からないもの、実用性を持たないものまで、
あらゆるものが雑貨と呼ばれています。

私たちは、とかくそんな雑貨が大好き。
本展では、そうした雑貨をめぐる環境や感性をひとつの文化として俯瞰し、
その佇まいやデザイン、魅力にあらためて目を向けています。

松野屋+寺山紀彦(studio note)『荒物行商インスタレーション』(画像 荷車を引く行商/横浜開港資料館所蔵)展示では、明治時代、荷車に日用品を積んで販売していた行商の姿を現代の日用品で再現。

会場イメージ

展示作品は、荒物問屋の松野屋さんと
デザイナーの寺山紀彦さんによる『荒物行商のインスタレーション』や、
青田真也さん、フィリップ・ワイズベッカーさんをはじめとする
アーティストによる雑貨を感じるアート作品、
雑貨にまつわる資料を閲覧できるライブラリー、
〈森岡書店〉の森岡督行さんや〈Roundabout, OUTBOUND〉の小林和人さんら、
さまざまな分野のプロフェッショナルが集めた雑貨の展示などなど。

青田真也「ZAKKA OBJECTS & DRAWINGS」撮影:伊奈英次/『MOTアニュアル2014 FRAGMENTS』東京都現代美術館

WE MAKE CARPETS『Peg Carpet』(Photo: Bollmann/参考画像)

展覧会ディレクターは、プロダクトデザイナーの深澤直人さん。
深澤さんは本展の開催にあたって次のように言葉を寄せています。

なぜ“雑貨”がこんなに魅力的なのだろう。
なぜ雑貨店がこんなに私たちを惹きつけるのだろう。
もうこれは“新しいデザイン”という魅力を超えているかもしれない。
生活に溶け込んだ親しみやすさや心地、
細やかな配慮の上に成り立ったささやかな幸福感のシンボルのように
人の心に響いているのかもしれない。
(中略)
デザインやアートや骨董、民藝や工芸とは異なる、魅力を放つ
もう一つのカテゴリーに“雑貨”というものが登場したように思う。
これは常に少し前の時を振り返るノスタルジックな心持ちにも繋がっている。
いつも“あれはよかった”という安堵の感情を揺さぶるものではないか。
人はモノに疲れているし流れの速い時の移り変わりに戸惑っている。
だから“雑貨”は心を落ち着かせてくれる。
この魅力を放つモノ、“雑貨”という美学に焦点を当て、
共にその魅力を語り合ってみることがこの展覧会の目的である。

(深澤直人)雑貨展公式サイトより

1Fショップスペース什器イメージ(デザイン:長坂 常/スキーマ建築計画)

〈Cul de Sac – JAPON〉 ファッションブランドが始めた、 青森ひばの洗練アイテム

東京・中目黒を拠点に、
国内生産とオリジナルテキスタイルにこだわった
パンツスタイルなどを手がけるブランド〈cul de sac〉。
性別のないスタンダードなリラックスクローズが人気です。

そんな〈cul de sac〉から、このたび
青森ひばプロダクトの新ブランド〈Cul de Sac – JAPON〉が誕生!
廃棄処分される天然青森ヒバの端材を利用した、
たくさんのすてきなアイテムがラインナップしています。

ただいま販売されているのは、
ヒバ精油やキャンドル、ホホバオイルとヒバ精油で作られた〈天然バーム〉、
ヒバ精油、蜜蝋、亜麻仁油で作った〈ヒバワックス〉、
ヒバ精油とひば粉のみでつくった〈フィードディフーザー〉や
ヒバ精油とひば水で作った〈消臭&防虫スプレー〉に、
ヒバを削った〈ヒバチップ〉。

そしてキッチンアイテムも充実していて、〈ヒバしゃもじ〉や〈ヒバくびれ箸〉、
〈ヒバへら〉、〈正方形まな板〉等。
さらに靴用消臭材や枕用消臭・リラックス材などもあるんです。
いずれも、中目黒のショップ〈cul de sac〉で購入することができます。

青森ヒバ籠バッグ 19,800円(税抜)

青森ヒバ篭(かご)/筒型 左から5,800円、8,800円、10,800円(いずれも税抜)

注目は〈青森ヒバ篭〉。
青森ヒバの柾目材を1本ずつ薄くテープ状にしたものを、
職人さんが手作業で編み上げた籠です。
香りも良く、美しい光沢感も自然そのままですてきです。

リノベーションは不要!? 熊本最古の貸ビルに生まれた ギャラリー〈でんでん舎〉。 ASTER vol.4

ASTER vol.4

こんにちは。ASTERの中川です。
早くも第4回、後半に突入しました。
今回は熊本市で最古の貸しビルにできたギャラリーをご紹介したいと思います。

このなんとも萌える味のあるビル。
名称は〈早野ビル〉と言います。
1924(大正13)年に建てられた早野ビルは
熊本で最初の貸しビルだったそうです。
鉄筋コンクリート造3階建(一部4階建)で特徴的な外観。
築90年を超えた抜群の存在感は古ビルというより、まさにビンテージビル。
熊本の歴史をずっと前から見てきた早野ビルは
登録有形文化財にも登録されています。

場所は熊本市中心市街地から歩いて行ける練兵町というまちにあります。
熊本駅からも中心市街からも市電で10分くらいのところです。

早野ビルは現在も貸しビルとして現役です。
2、3階はデザイン事務所などが入居しています。

2階には、デザイン事務所〈JAM〉が入ります。

3階には同じくデザイン事務所〈PREO DESIGN〉のオフィス。

1階にあるのは、誰でも気軽に活版印刷を楽しめる〈九州活版印刷所〉。
この活版印刷のレトロ感とビルの雰囲気がとてもマッチしていて
ずっと前からここにあるような感じです。

明治より受け継がれてきた昔ながらの校正機を使っている九州活版印刷所。

活版印刷所の上にはまた別のWEBデザイン事務所〈media punta〉があります。

広々とした屋上は入居者みんなの共用スペース。
天気がいい日は昼寝も気持ちよさそうです。
床にはレトロなタイルも。

このようにいまは、主にデザイン事務所が多く入居する早野ビル。
さまざまなデザイナーやクリエイターが集まってきたキッカケは、
最初に入居しているデザイン事務所〈JAM〉の小山田さんの影響でした。

小山田さん。

“写真の町”、北海道東川町の 写真賞コレクション展 『地霊―呼び覚まされしもの』

鈴木理策《Mont Sainte Victoire − NZ P-57》2001年

青森県十和田市の〈十和田市現代美術館〉では、
写真展『地霊—呼び覚まされしもの〜東川賞コレクションより〜』が開催されています。

〈東川賞〉とは、“写真の町”を掲げる北海道上川郡東川町で
毎年開催される国際写真フェスティバル〈東川町フォトフェスタ〉で授与される賞。
1985年から30年以上にわたり開催され、海外作家賞、国内作家賞、新人作家賞、
特別作家賞(北海道出身、在住者の作品、または北海道をテーマにした作品)、
また2010年からは東川在住の写真家、飛彈野数右衛門にちなんだ賞も新設され、
多様な作品を展示、収集してきました。

そのコレクションから、写真評論家の飯沢耕太郎氏をゲストキュレーターに迎え、
「地霊」というテーマでセレクトされた展覧会です。

荒木経惟《センチメンタルな旅・冬の旅 − 手指をにぎりしめると、にぎりかえしてきた。お互いにいつまでもはなさなかった。午前3時15分、奇跡がおこった。目をパッとあけた。輝いた。》1990年

川内倫子《Illuminance − 無題》2009年

「地霊」とは、ラテン語の「ゲニウス・ロキ」の訳語で、
その土地に固有の守護精霊のこと。
写真にはそういったものが表象として浮かび上がることがあります。
写真家たちはときとして、地霊を呼び起こすようにシャッターを切るのかもしれません。

会場は3部構成。第1部「生と死をつなぐもの」では、
此岸(現実の世界)と彼岸(向こう側の世界)を往還するように
写真を撮り続ける写真家たちをピックアップ。
グラシエラ・イトゥルビーデ(メキシコ)、高梨豊、鈴木理策、
志賀理江子、川内倫子ら、生と死の境界があいまいになるような作品が並びます。

志賀理江子《螺旋海岸 − いまださめぬ》2010年

絶景の〈みはらし亭〉を ゲストハウスに。坂のまち、尾道発 空き家再生プロジェクト

瀬戸内海に面した坂のまち、尾道。
中心地には町屋や土蔵、茶室や日本庭園のあるお屋敷、洋風建築など、
各時代を象徴する建造物がたくさん残っています。
なかでも山の手地区には、起伏の多い地形に合わせてつくられた不定形な家や、
絶景の家、増築を重ねたユニークなかたちの家など、
個性的な家がたくさんあるのだそう!

写真提供:尾道学研究会

写真提供:尾道学研究会

ところがいまでは、このまちにも高齢化と空洞化の波が押しよせ、
空き家が増加しています。
約2キロの徒歩圏内に500軒近い空き家があるという調査結果も。
今回は「そんな空き家をどうにかしたい」
そして「尾道建築の面白さや失われつつある職人技などを多くの人に伝えたい!」
という思いから発足されたプロジェクトをご紹介します。
その名も、〈尾道空き家再生プロジェクト〉。

2007年より活動を始め、手がけてきた空き家の数は、なんと100軒近く!
多様な空き家をコミュニティ、環境、建築、アート、観光の視点から眺め、
シェアハウスやゲストハウス、個人住宅、子連れママための井戸端サロン、
洋品店、ものづくりの拠点などに再生させてきました。

〈北村洋品店〉

ゲストハウス〈あなごのねどこ〉

そしていま、このプロジェクトのみなさんがこれまでで最大規模の空き家を
ゲストハウスとして再生させるために、大奮闘しているんです。
物件の名は〈みはらし亭〉。石垣の上に建つ、絶景の別荘建築です。

国登録有形文化財にも登録されており、
尾道の茶園文化のシンボルともいえる建物なのだとか。

映像制作:山口 翔平(尾道市立大学)空撮:野田尚之 協力:大谷治 土堂小学校のみなさま

〈みはらし亭〉は、尾道が港町として栄えた時代に、
当時の豪商たちがこぞって山の手に建てた“茶園”と呼ばれる別荘住宅のひとつ。
大正10年に、自然が豊かな千光寺の真下にある石垣の上に建てられました。
当時の家主さんは、尾道水道を見下ろしながらお茶をたしなんだり、
客人をもてなしたりと、優雅に暮らしていたのだそう。
ところが最近では、その不便さと老朽化から20年近くも空き家になっていました。

そこで、こんなに素晴らしい建物を時代の変化とともに
失ってもいいのかという思いと、家主さんの建物に対する思い入れを
受けて立ち上がったのが、代表の豊田雅子さんをはじめとする
〈尾道空き家再生プロジェクト〉のみなさんだったのです。

〈尾道空き家再生プロジェクト〉代表 豊田雅子さん 撮影 吉田亮人

『和ごころを伝えるデザイン』 “新しい和のデザイン”の アイデアが詰まった一冊

書籍『和ごころを伝えるデザイン』が
パイ インターナショナルより発売中です。
これは、和風のデザインを表現している作品を手法別に掲載し、
細やかな和ごころをつたえるポイントに焦点をあて紹介するデザイン書。

日本の名風景などを使った〈フォトグラフィー〉、
日本古来の文字や和風テイストのロゴマークをあしらう〈タイポグラフィー&ロゴ〉、
和の伝統色を効果的にあしらったものや四季を彩る配色などの〈カラーリング〉、
浮世絵や錦絵の雰囲気を漂わせたり、日本画を用いる〈イラストレーション、
海外の方にも届けたい新しさを感じるデザイン〈ニュー・ジャポニズム〉など。

地方創生、古き良き日本やこれからの新しい日本を
伝えていくためには、どのようにしたらよいでしょう?

日本人の心の機微やわびさび、凛とした美しさ、雅な世界観など。
そうしたものを“伝える”ために、
様々なかたちで和風のデザインを表現している作品を手法別に掲載し、
細やかな和ごころをつたえるポイントに焦点をあて紹介していきます。

参加者は延べ3000人。 市民の力で守ってきた、 もうひとつの古民家再生とは。 一般社団法人ノオト vol.9

一般社団法人ノオト vol.9

ノオトの連載も第9回目を迎えました。
今回は、前回の記事でも取り上げた、〈NPO法人 町なみ屋なみ研究所〉(通称“町屋研”)
の理事長である酒井宏一さんに執筆をお願いしました。

町屋研は、我々の本拠地である兵庫県篠山市を中心に、
ボランティアの力を活用した古民家再生・活用や、
伝統的なまち並み景観の保全活動を行うNPO法人です。
町屋研にはノオトの社員が2名参画していることもあり、
ノオトとは物件情報の共有や人材の交流、物件状況に応じた役割分担など、
お互い連携しながら古民家再生・活用事業を行っています。

具体的には、所有者・事業者の意向や用途に応じ、
ボランティアを活用し低コストで時間をかけて改修する場合には町屋研、
プロの人材を活用して事業化や産業化を積極的に進める場合にはノオト、
といった役割にあることが多いです。
今回は、市民活動の立場から見た古民家再生の現場をご紹介できればと思います。
以下、酒井宏一さんにバトンタッチします。

古い町家を残すためには

こんにちは。〈NPO法人 町なみ屋なみ研究所〉の酒井宏一です。
私たちは、「伝統的なまち並み景観や伝統的な建物は、歴史や文化と同じように、
大切に守らなければならない日本全体の財産である」という思いを持って、
ノオトとはゆるやかに連携しながら、
市民の力による伝統的なまち並みの保全、活用に取り組んでいます。

そのスタートは2004年。
丹波地方の地域づくり団体であるNPO法人たんばぐみの一部門(まちなみ景観部会)、
として〈丹波篠山古民家再生プロジェクト〉を立ち上げました。
その後、2010年に〈NPO法人 町なみ屋なみ研究所〉として独立した団体です。

立ち上げから10年以上「伝統的な建物が壊されないようにする活動」
「伝統的な建物の活用」「古民家再生ボランティア活動」などを
ボランティアベースで続けています。

例えば、壊されそうな町屋があると聞くと飛んでいって
「なんとか壊さないでください」とお願いしたり、
景観上大切な建物が空き家になっていれば
具体的な保存・活用方法の提案などもお手伝いしています。

まずは、この活動を始めたきっかけを少しお話したいと思います。

私はなぜか昔から古いまち並みが好きで好きでしょうがなくて、
日本各地のまちを巡るのを最大の楽しみにしていました。
私にとっては理屈抜きに、古い建物や伝統的なまち並みはすごく大切なものだったんです。

ところが、訪ねた歩いたそれぞれのまちで、
久しぶりに行ってみると町家などの古い建物が壊されて、
ずいぶんとまち並みの雰囲気が変わってしまっていることもたびたびありました。
こんなときはすごくかなしいイヤな気分になってしまいます。
伝統的な建物が壊されて古いまち並みが失われるのは
私にとってもったいないという以上に、
何か大切なものを失った気持ちになり、落ち込んでしまうのです。

古いまち並みを守る仕組みとして、
国の制度である重要伝統的建造物群保存地区のような、
法令による規制や補助金制度があるのですが、
そのように国に守られる保存地区は日本の中でごく一部で、
そのほかの大部分の建物については、
壊されていくのを防ぐことが難しいのが現実です。

そんな風に古いまち並みが失われていくのがイヤで、
なんとか、規制や補助金以外に守る仕組みができないかといろいろと考えたのが、
現在の活動の原点です。

篠山市河原町の伝統的なまち並み。

市民の力でまち並みを守る「古民家再生ボランティア」

そのなかで、10年以上定期的に実施しており、
私たちの中心的な活動となっている「古民家再生ボランティア」の仕組みついて、
詳しくご紹介します。

「古民家再生ボランティア」とは、
古民家再生工事の現場で、プロの職人の指導のもとに、
市民ボランティアが、ワークショップ形式で行う取り組みです。
壁塗りや床張りをはじめとした大工仕事や、荷物の片付けなどを行います。

篠山を中心に、毎月2回の開催を継続的に続けており、今年で11年目となりました。
ボランティアの方は毎回10名程度で、これまでの実施回数は230回、
参加者は延べ3000人近くになっています。
最初はそこまで続くと思っていませんでしたので、
本当によく続いているものだと思います。

ワークショップで人気の土壁塗りの様子。

毎月第1・3土曜日に開催しているワークショップ。見学も自由です。

サンマが繋いだ縁。 目黒区美術館で 『気仙沼と、東日本大震災の記憶』 展開催

3月21日(月・休)まで、東京都・目黒区の目黒区美術館にて
「気仙沼と、東日本大震災の記憶
―リアス・アーク美術館 東日本大震災の記録と津波の災害史―」展が開催中です。

これは、宮城県気仙沼市の〈リアス・アーク美術館〉で
2013年4月に公開された常設展示をもとにするもの。
被災現場と被災物の写真パネル約260点に加え、
被災物の現物のインスタレーションや、
歴史資料などが展示されます。
この写真は、2011年11月24日、気仙沼市波路上瀬向、
高校校舎3階図書室の状況。
本は水に浸かると3〜4倍に膨張するのだといいます。

この常設展示のコンセプトは、東日本大震災の記録活動を、
記録資料を残すことで終わらせず、正しく伝えようとすること。
展覧会では、リアス・アーク美術館が中心となって震災発生直後から行なった、
気仙沼市と南三陸町の被災状況の調査や記録活動を基にした写真や資料、
被災物で震災の記憶を伝えます。

撮影した被災現場の写真は約30,000点。収集した被災物は約250点。
また新聞や、過去に起きた大津波に関する資料を加えた約500点が
リアス・アーク美術館には展示されているのだそう。

2011年3月25日、気仙沼市本吉町三島(大谷地区)の状況。JR気仙沼線、大谷海岸駅構内から仙台方面に伸びる線路。左手は大谷海岸になるが、引き波によって枕木ごと盛り上げられたレールがめくれあがり、螺旋を描いてしまっている。ジェットコースターの軌道ならば疑問は感じない。しかし、これはあくまで鉄道のレールである。本線の再開については全く見通しがたっていない。

気仙沼市と目黒区の交流は、毎年秋に開催されている〈目黒のさんま祭〉に、
気仙沼市が目黒区にサンマを提供したのがきっかけで始まりました。
2010年9月には友好都市協定を結び、さらに絆を深めましたが、
その半年後に東日本大震災が起きたのです。

もともと地域のミュージアムとして、現代美術の紹介とともに、
歴史、民俗、生活文化を伝える資料の収集・展示にも力を入れてきた
リアス・アーク美術館。
この震災以前から“津波”を地域の文化を築いてきた大切な要素の一つと捉え、
過去の大津波を展覧会で取りあげてきたのだそう。

2011年3月29日、気仙沼市浜町(鹿折地区)の状況。津波被災現場を歩くと、目にする光景の非現実性、あまりの異常さに思考が停止してしまう。常識に裏付けられた論理的な解釈ができず、一瞬、妙に幼稚な思考が顔をのぞかせる。「巨人のいたずら…」、などと感じたりするのだ。実際、そんな程度の発想しかできないほどメチャクチャな光景が果てしなく続いていた。

〈餃子の王将〉が 憧れのデートスポットに! 王将女子チームによる 女性向け店舗がオープン

京都発の餃子レストランチェーン〈餃子の王将〉といえば、
手頃な価格でボリュームたっぷり、
今まではどちらかというと男性向けのイメージでした。

そんなイメージを覆す、女性をメインターゲットとした
新コンセプトの店舗〈GYOZA OHSHO 烏丸御池店〉が
2016年3月3日のひな祭り、京都市中京区に開店します。
スタイリッシュな内装に色彩豊かな新メニューで、
憧れのデートスポットになりそうな、新機軸のレストランなのに驚きです。

〈GYOZA OHSHO〉は、〈餃子の王将〉でも初となる試み。
社内で〈王将女子チーム〉を結成し、
女性デザイナーによる設計、女性料理研究家によるメニュー開発で、
女性がより多く入店しやすいような店舗創りを目指したんです。
コンセプトは、今後の世界進出を視野に入れた〈ジャパニーズカジュアル〉。

設計を手がけたのは、oriharamiki design officeの折原美紀さん。
店舗の外にはウッド調のスタンディングテーブルを設置し、
店内前面にはバルスタイルをイメージした空間を取り込んでいます。

店舗奥にはセミ個室も。
見えないところにも工夫があり、厨房では新たな試みとして
〈ドライキッチン方式〉を取り入れました。
床に水を流さない設計なので、衛生的で長持ちする厨房設備なのだそう。

さて気になるお料理ですが、お店で提供されるのは、
バランス料理研究家の小針衣里加さんが監修した、
烏丸御池店限定のオリジナルメニュー。

ケーキのようなふわふわ玉子焼き

人と人の縁を生み出す 東京足立区のアートプロジェクト 〈音まち千住の縁〉

学生とまちの人たちがつくるアートプロジェクト

東京都足立区千住。
古くは日光街道の宿場町として江戸四宿のひとつに数えられ、
いまもところどころに史跡が残る下町風情のまちだ。
ここで、音を通じて人と人とのつながりを深めることをめざし
展開されているアートプロジェクトが〈音まち千住の縁〉。
千住に限らないことだが、人情味あふれる下町も、
高層マンションなどが増え、ひとり暮らしの高齢者が増えると、
どうしても地域の人同士の結びつきが弱くなる。
また、新しく地域に入ってきた人は、
どうやって地域とつながっていけばいいのかわからない。
そんな状況を少しでも改善し、地域で新しいつながりをつくるために
約5年前にスタートしたプロジェクトだ。

これまでも音楽家の大友良英が中心となり、
凧を使って「空から音が降り注ぐ演奏会」を試みた〈千住フライングオーケストラ〉や、
美術家の大巻伸嗣が無数のシャボン玉により幻想的な空間をつくり出す
〈Memorial Rebirth 千住〉などのプロジェクトが展開されてきた。

この音まちで大きな求心力となっているのが、東京藝術大学音楽学部。
旧千寿小学校を改築した千住キャンパスには音楽環境創造科の教室や
研究室、スタジオなどの設備があり、ここに通う学生たちが、
音まちの運営にも携わっている。
音まちは東京都や足立区、NPO、東京藝術大学音楽学部らが
ともに主催するアートプロジェクトであり、
藝大のアートマネジメントを学ぶプログラムにおいて、
プロジェクトの運営を実践で学ぶことができるというわけだ。

これまで〈Memorial Rebirth 千住〉などのプロジェクトを展開してきた大巻伸嗣が、古い民家を使ってインスタレーション展示をする〈くろい家〉。2016年3月13日(日)まで展示中。(撮影:松尾宇人)

「音まち」とプロジェクト名で謳ってはいるが、音を広義に捉えて
多種多様なプロジェクトが同時並行で展開されている。
それらのイベントやプロジェクトをサポートする
ボランティアサポーターが〈ヤッチャイ隊〉。
千住には江戸時代から続く足立市場があり、
「やっちゃ場」と呼ばれてにぎわっていたが、それにかけたネーミングだ。

そのヤッチャイ隊の拠点ともなっているのがコミュニティスペース〈たこテラス〉。
店舗兼住宅だった古い民家を借り受け、ヤッチャイ隊のメンバーたちが
改装したたこテラスは、宿場町通り沿いにあり、
大きなタコの遊具が印象的な〈たこ公園〉の向かいにあるため、
子どもたちも多く出入りする。
近所に住む人たちも立ち寄って、なんとなくお茶を飲んだり、
おやつを食べたり、鍋パーティが始まったり、
もはやアートなど関係なく、幅広い年齢層の人が集まる場所になっている。

コミュニティスペースとしてさまざまな人が集う場となっている〈たこテラス〉。もとは自転車屋さんだったそう。

近所の子どもたちも遊びに来るのでおもちゃがあったり、工作の道具があったり。楽器づくりをして遊ぶことも。(写真提供:音まち)

展示やトークで空き家を活性化! 〈空き家をつかった みんなの居場所づくり展〉

2016年2月19日(金)から21日(日)にかけて、
千葉県松戸市にて〈空き家をつかったみんなの居場所づくり展〉が開催されます。

これは、MAD Cityと千葉大学大学院園芸学研究科らが共同して
松戸駅東口で始める、空き家活用のプロジェクトにまつわる展覧会。
松戸駅東口にある空き家を地域のために活用するべく、
その一部を開放し、学生による展示とトークイベントを行う取り組みです。
テーマは“食”。食を通じて地域とつながったお店をつくるべく、
“食”について考えるミニトークやオープン・ミーティングを開催します。

千葉大学で行った設計発表会の様子

会場に展示される学生の提案は、
松戸駅から千葉大学松戸キャンパスまでのランドスケープ計画と、
その中間に位置する空き家〈浮ケ谷邸〉の地域拠点としての活用案。
日本、中国、韓国、ロシア、インドネシア5カ国9名の学生が取り組み、
“食べられる景観”などのアイデアを盛り込んだ計画です。

この会期中、開催されるトークイベントは3つ。

うなぎのねどこ

1つめは、2016年2月19日(金)の15時から開催される、
品川宿にある空家空店舗を活用した
コワーキングスペース〈うなぎのねどこ〉の亭主であり、
まちひとこと総合計画室の田邉寛子さんをお招きしての
トークイベント〈「空き家を活用した場づくりの事例1」うなぎのねどこ〉。
うなぎのねどこの場づくりのプロセスや活動に関するお話をうかがいます。

食とものづくりスタジオ FERMENT

2つ目は、2016年2月20日(土)14時から。
フードデザイナーズネットワーク理事の中山晴奈さんを招いての、
地域と食の関係性やその可能性などを考えるトークイベント「地域と食を考える」。

地元の小学生と大学生が 〈子ども宣伝部〉を結成! 商店街活性化プロジェクト

地元の小学生と大学生が協力して、
商店街を盛り上げよう!
そんな試み〈子ども宣伝部〉が、大阪府のベッドタウン、
池田市の〈石橋商店街〉で行われました。

ここは阪急石橋駅と直結した、古き良き昭和の香り漂う商店街。
毎月18日に商店のお店がそれぞれ得意な“十八番”を準備するイベント
〈おはこ市〉を行うなど、活気のある商店街です。

さてこの〈子ども宣伝部〉とは、地元の石橋南小学校4〜6年生と、
大阪大学の学生(以下 阪大生)が中心となった
〈子ども宣伝部〉を結成し、店舗の広告コピーや販売など、
PR活動にチャレンジするプロジェクトです。

2016年1月に行われた第一回目のテーマは
「商店街のお店ののぼりを考えよう!」。
阪大生と小学生がそれぞれチームを編成し、担当店舗を訪問。
店主や従業員の方からヒアリングを行い、
そのヒアリングをヒントにそれぞれのぼりを制作しました。

たとえばこちらは、パン屋さんののぼり。
それぞれ視点の異なるコピーに、各店舗からもとても好評だったのだそう。

商店街に飾られるのぼり

こどもたちが考えたコピー

アートで都市の可能性を開放する、 おおさかカンヴァス ミズベリング 後編

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アートで都市の魅力を創造する

全国に広がる水辺のソーシャルアクション〈ミズベリング〉。
大阪では“水都大阪”として官民連携のまちづくりを進めてきた。
なかでもアートを効果的に使った戦略を展開している。

大阪府都市魅力創造局 文化・スポーツ課 主任研究員 寺浦 薫さんにお話をうかがった。

「なにも起こっていないエリアでまずはアートで“こと”を起こして、
エリアのポテンシャルや可能性を引き出していければと考えています。
ヨーロッパでは盛んに取り組まれている都市再生の手法ですが、
まずアートでエリアの新しい魅力や可能性を引き出し、
その後そこに民間の投資などを呼び込んで活性化する仕組みです」

「都市開発系と都市環境をつくるアート系とが連携・協働して一緒にやっていく、
そんな動きですね。
アートはすぐに予算が削られがちですが、都市の再生や活性化の動きと並走し、
補完関係にあるような取り組みを進められれば、と考えています」

きっかけは橋下徹前知事の時代に“水都大阪”を盛り上げようということで、
部署を横断したチームがつくられたところから始まる。

オランダ人アーティスト、フロレンティン・ホフマン氏により2007年に製作されたラバーダック。公共の河川や海などの水辺をバスタブに見立てたパブリックアート。提供・水と光のまちづくり推進会議

「大阪府・大阪市・経済界が協働して2009年に開催を予定していた
〈水都大阪2009〉というイベントがありました。計画もほぼ固まっていた2008年、
前府知事の橋下さんが突然、“計画を認めない。府独自でプランをつくる”と、
いわゆる“ちゃぶ台返し”をしたんです。
橋下前府知事からは、都市の魅力をアップする“ハード整備”と
“賑わいづくり”を同時に進めるプランをつくるべきという指示があり、
都市整備系の部局と文化系部局とが協働しないと前に進めない状況が生まれました。
プランには橋梁のライトアップや護岸のウォールペインティングも含まれ、
そこで初めて河川室などの土木系部局と文化課(現在は文化・スポーツ課)とが連携して
ハードとソフトを一体的に構想していくチームが組まれました」

アートと市民協働を柱とした水都大阪2009が成功を収めたあと、
そこで培われた人的ネットワークなどを糧として、
行政課題などをクリエイティブに解決する拠点
〈大阪府立文化芸術創造センター(enoco)〉を2012年に開設。
enocoでは、現在も、都市整備部局や文化・スポーツ課などと連携し、
ハードとソフトが一体となって都市を活性化する事業を引き続き展開している。

「例えば、木津川に遊歩道をつくる事業では、
従来ですと一定の資格を持った大手企業しか参入できず、
また入札金額だけで内容が決まってしまう仕組みでしたが、
それを河川室と協働してつくり変え、地域の想いを要件に入れたうえで、
誰でも参画できる開かれたデザイン・コンペとしてスタートさせました」

木津川遊歩空間アイデアデザインコンペ

土木と文化が組むことで、都市の魅力を創造する仕組みが生まれた。
それにともない行政と住民が一緒になってまちをつくるスキームづくりも進んでいる。

「護岸整備を確実に行い、人々の命を安全に守ることは何より大切ですが、
それと同時に、それらの土木インフラをいかに愛着を持ってたくさんの人に使ってもらえるか、
という視点もこれからの都市には必要です。
維持管理と活用も住民と一緒にやっていかないと、行政だけではお金も人も足りない。
通常、護岸は行政が管理するのですが、
木津川で整備を進めている遊歩道設備は行政主導ではなく、
より多くの地域の人々に管理し、活用してもらう。
花や果樹を植えたり、好きなように使ってもらえるよう、仕組みづくりを進めています。
住民は自分が知らない間にできあがってしまったインフラ施設には
愛着を持って関わってはくれませんよね? 
木津川の場合は設計の前の段階から地域の方々と一緒につくっていきましょうと、
地元でワークショップを何度も行って、
そこに住む人がこんな遊歩道があるといいな、愛着が持てるな、
という想いを集約し、デザインコンペの条件として盛り込んでいったんです」

そこに住んでいる地域の方でも学生でも自由に応募できる、開かれたデザインコンペを実施。
誰もが参加できる土木インフラのコンペは注目を集め、全国から40件もの応募があった。
その結果、20代の建築家、岩瀬諒子さんの案が選ばれた。
人と人を結びつけ、関わり続けられる機能としての“だんだんばたけ”のある遊歩道だ。
地域の交流拠点としての可能性を大きく期待させるデザインである。
(3月に一部共用開始予定)

木津川遊歩空間アイデアデザインコンペの最優秀アイデア提案。岩瀬諒子さんの「だんだんばたけでハマベをつくる-立売堀のマーケットプレイス」©Ryoko Iwase 提供:大阪府

水辺をもっと楽しい場所にするための規制緩和

大阪では水辺を楽しい場所に変えていこうという
さまざまな取り組みが官民協働で行われている。
規制やルールがいろいろとある河川空間ではあるが、一方で緩和の動きも進んでいる。

「かつては河川敷での営業行為の禁止など規制がいろいろとありましたが、
現在では河川法の準則などを活用することで、
水辺を活性化する仕組みにいろいろとトライすることは可能です。
例えば法律が施行される前から存在していた京都の川床は別にして、
新たに川床を設けることは河川法上は禁止されていました。それが河川法準則の緩和により、
現在は仕組みさえ整えれば設置可能です」

ミズベリングでは河川法についてまとめている。

「準則を活用し、行政が特区指定をしたエリアを対象に、
協議会を設け、地域の合意を得たうえで占用主体を公募で選ぶ、という手続きをふめば、
河川敷でも川床を設置したり、カフェなどの営業行為を行ったりすることは可能です。
しかし一般的にはその“気運”をつくっていくのがなかなか難しい」

大阪ではそれができるのだという。

「大阪では自主的にそういった動きを進めていこうとする人がたくさんいるんです。
“水辺で気持ち良くお酒を飲みたい!”、その一心で協議会までつくり、
民間主導で川床を次々と設置している〈北浜テラス〉の動きがあったり、
民間のアイデアで水都を活性化させようという〈水都大阪パートナーズ〉が
〈水都大阪フェス〉を毎年開催する一方、
〈中之島GATE〉で魚市場と食堂を常設で運営する事業者を誘致したり……
おもしろい動きが次々と生み出されています。
また、それらをサポートする行政側にも、
意欲的に新しい仕組みに挑戦する河川専門の職員がいたり、
と本当におもしろい人たちが水都大阪にたくさん関わっています」

もともと大阪にはそういう“気質”があった、と寺浦さんは言う。

大阪府都市魅力創造局 文化・スポーツ課 主任研究員 寺浦 薫さん

水を浄化するボールを使ったNANIWAZA(ナニワザ)によるアート作品『GREEN to CLEAN』。一般に川にモノを投げ入れる行為は厳しく禁止されるが、川の中に打ち込むゴルフボールを水質浄化に効果があるとされる材料で特別に開発するなど、環境に配慮することを条件として、河川管理者や公園管理者と協議し特別に許可を得た。おおさかカンヴァス2012より。提供:おおさかカンヴァス推進事業

地域の価値と デザインを掛け合わせる 『地域×デザイン -まちを 編みなおす20のプロジェクト-』

いま全国各地では、地域の特色を活かした
様々な取り組みが行われています。
2016年2月18日より、
東京・六本木の〈東京ミッドタウン・デザインハブ〉にて、
第56回企画展『地域×デザイン -まちを編みなおす20のプロジェクト-』が
開催されます。

これは、日本の地域で地域活性化のために
デザインを取り入れて行われている取り組みを紹介する展覧会。
地域が持つ価値にデザインを掛け算することで生まれた、
興味深い取り組みがたくさんです。

本展で取り上げるのは、
もともとその地が持っていた価値を改めて見出して「まちを編集」すること、
また生活・文化やコミュニティの「編みなおし」と考え、
デザインの視点から分析、紹介すること。
例えば、北海道の〈清里焼酎醸造所〉が、
40年間作られ続けてきたじゃがいも焼酎をリブランディングした〈清里〉。

〈じゃがいも焼酎 北海道 清里〉

また、宮城県で、震災後に大規模な花火大会を中止し、
地域の祭りを30年ぶりに復活した〈松島流灯会 海の盆〉。

松島流灯会 海の盆実行委員会〈松島流灯会 海の盆〉

徳島県で、高齢化した集落でITやロボットを
活用したリサーチを展開する〈暮らしのロボット共創プロジェクト〉。

株式会社たからのやま〈暮らしのロボット共創プロジェクト〉

そして埼玉県の、大手バス会社が撤退した赤字路線を引き継ぎ、
利用者を増やした〈川越市イーグルバス〉。

イーグルバス株式会社〈川越市イーグルバス〉

そのほか、いずれも個性的な20のプロジェクトを紹介。
会期中には新潟県三条市長や兵庫県豊岡市長らの
ゲストを招いた充実のトークセッションを活発に開催します。
是非地元の声を聞いてみてはいかがでしょう。
プログラム日程は、公式サイトにて。

大開発中の渋谷駅を 知り尽くすツアー開催! 地下工事現場から幻のアーチまで

どんどん変わっていく渋谷駅。
2012年4月に開業した〈渋谷ヒカリエ〉を皮切りに、
東急東横線が地下にもぐったり、
〈東急プラザ〉がなくなったり、その周辺はいま
大規模な開発工事の真っ最中。

この開発はこれから11年に渡り続きます。
2018年度に渋谷駅南街区と道玄坂一丁目駅前地区、
2019年度には渋谷駅街区東棟、
2020年頃には渋谷駅桜丘口地区、
2027年には、渋谷駅街区中央棟・西棟が完成予定なのだそう。
渋谷駅はどんどん拡張していくんですね。

そんな変わりゆく渋谷駅の“今を見る・過去を知る”
イベントシリーズがスタート。
第1弾として、2016年3月26日(土)、
〈渋谷トリビア「最後の玉電アーチ」と「地下工事現場」探検〉が開催されます。

こちらがスケジュール

このツアーの目玉は、
〈東横のれん街〉の天井板を剥がして現れた
美しいアーチ型天井で話題となった、
かつて渋谷駅と二子玉川園駅(現二子玉川駅)間を走っていた電車、
〈玉川電気鉄道(玉電)〉のアーチ。
このアーチを見られる、最後の機会になるのだそう。

さらに、いま進められている、
東口の地上と地下の移動を便利にする
地下広場整備工事の一部も特別に見学ができます。

その後は渋谷ヒカリエにて
劇場〈東急シアターオーブ〉を見学したら、
地下2階で店舗を展開する辻口博啓さん、鎧塚俊彦さん、青木定治さんの
スイーツでコーヒーブレイク。
渋谷駅周辺再開発にまつわるトリビア話が聞けるほか、お土産も付いてきます。

申し込みは2月15日(月)10:00~より、以下Webサイトにて。

■午前の部 ■午後の部

information

map

渋谷トリビア「最後の玉電アーチ」と「地下工事現場」探検

日時:2016年3月26日(土)

午前コース 10:00~12:30 午後コース 14:00~16:30

集合場所:渋谷ヒカリエ 11階 Hikarieカンファレンス

参加費用:一人3,900円(税込)

募集人員:各回40名限定

申込開始:2月15日(月)10:00~

申込Webサイト:■午前の部 ■午後の部

山形市民による ビエンナーレ展示作品とは? 〈みちのおくつくるラボ〉の プロセスデザイン展

今秋、山形で開催される〈みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ 2016〉。
昨年の開催テーマは「山をひらく」だったこの芸術祭、
今年はいったいどんな祭典になるのでしょうか?

今年の開催に向けて、芸術祭の参加作品を
山形市民とクリエイターがともにつくりあげていく
〈みちのおくつくるラボ〉の成果発表が、
東京・荻窪の〈カフェ6次元〉にて、
2月19日(金)~21日(日)の三日間にわたり展示されます。

カフェ6次元(杉並区上荻)

〈みちのおくつくるラボ〉とは、
山形県内外の市民と第一線で活躍するクリエイターが、
ともに山形の魅力を掘り起こし形にしていくプロジェクト。
東京では「本と街と芸術祭」をテーマに
マイクロライブラリー本棚や、街歩きガイドブック、
山形ビエンナーレ記録集を中心にご紹介。
<EHON LABO>講師のミロコマチコさんによる原画も展示しています。

3期目となる今回は、新たに70名の市民が参加し、
第一線で活躍するデザイナーや絵本作家とともに、
野や街に出て“山形の魅力を掘り起こし、市民目線で表現する”活動に参加しました。

行われたプログラムは、山で採集した天然素材や和菓子の技を、
新発想で活かす〈WAGASHI LABO〉と〈MIYAGE LABO〉のお土産づくり。
街をまるごと図書館にする、
〈MAP LABO〉と〈KAGU LABO〉によるマイクロライブラリーの実験。
心市街地や里山の暮らしの変化を聞き書きによって捉え、
絵本や記録集にまとめる〈EHON LABO〉と〈BOOK LABO〉など個性的!
いったいどんな展示になっているのでしょうか。

郊外と都心を間伐材でつなぐ、 シェアオフィス。 かながわの森と林業の現在。 Ivolli architecture vol.4

Ivolli architecture vol.4

アイボリィアーキテクチュアの原崎です。
vol.1vol.2vol.3では、横浜中心部にある特徴あるまちのなかで、
それぞれのもつ歴史的背景、あるいは現状をベースにどのような空間のあり方があるか、
その実践をいくつかご紹介しました。
今回は、明治から官民のオフィス街として続く横浜・関内にある、
新しいビジネスとその起業家を支えるインキュベーションセンターで行った
オフィススペースの内装計画についてと、
そこにつながる神奈川の森のことを、お話したいと思います。

地域とつながるシェアオフィスのつくりかた

まず、この施設〈mass×mass関内フューチャーセンター〉(以下マスマス)について
簡単に紹介します。
みなとみらい線・馬車道駅にもほど近い中心市街地のオフィスビル内に、
コワーキング、シェアオフィス、共用のワークショップスタジオをもつこのセンターは、
2011年春に開設。現在70社を超える企業やプロジェクトが入居するワークプレイスです。
こちらのクリエイティブディレクターである森川正信さんは、
以前から親しくさせていただいていて、お互いの職場を度々行き来していました。
そんななか2年前のある日、森川さんから、
「ビル内の空き室にマスマスのシェアオフィスを増床することになったので、
内装デザインを考えてほしい」とお誘いいただきました。
さっそくその空き室を調査のために見に行くと、
そこは、隣のビルが間近に迫り、
壁にはひとつだけしか窓がないため、時間感覚を取りづらく、
既存内装は賃貸オフィスの典型で、
壁天井は白塗装、床はタイルカーペットとちょっと退屈な空間。

終日、日光のほとんど入ってこない空き室。

シンプル、ではありますが、
いかんせん無機質で息苦しい空気感のこの部屋にどういったことができるのか……

ビルの規定上、内装施工に関しては
「基本現在の内装仕上げを維持したうえで、できるものでなければならない」という、
厳しいルールもありました。いわゆる通常の「原状回復義務」よりハードルの高いものです。

これらを勘案してぼくらは、
家具を並べるようにワークブースを組み上げて並べる、
もちろん既存の床壁天井にはビス止めなどの固定はしない方向性としました。
また、一般の貸オフィスと比べて短いスパンで入居者が入れ替わることを想像して、
状況に応じてワークブースはカスタマイズも可能ということを考えました。

初期の計画案の模型。

初期案は畳サイズのモジュールで木造架構を組み、
入居者の必要な面積に合わせて
柱と柱の合間に建具や間仕切りを入れて可変性をもたせる、というものでした。
しかし、設計検討を進める最中に、
事情により工事費を大きくカットすることになってしまったのです。

そのため、材料の造作や加工が多いものは省き、
できれば施工は僕らやマスマスのスタッフだけでもできそうなものを
再検討することになりました。