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posted:2016.2.25 from:青森県十和田市 genre:アート・デザイン・建築
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writer profile
Ichico Enomoto
榎本市子
えのもと・いちこ●エディター/ライター。東京都国分寺市出身。テレビ誌編集を経て、映画、美術、カルチャーを中心に編集・執筆。出張や旅行ではその土地のおいしいものを食べるのが何よりも楽しみ。
青森県十和田市の〈十和田市現代美術館〉では、
写真展『地霊—呼び覚まされしもの〜東川賞コレクションより〜』が開催されています。
〈東川賞〉とは、“写真の町”を掲げる北海道上川郡東川町で
毎年開催される国際写真フェスティバル〈東川町フォトフェスタ〉で授与される賞。
1985年から30年以上にわたり開催され、海外作家賞、国内作家賞、新人作家賞、
特別作家賞(北海道出身、在住者の作品、または北海道をテーマにした作品)、
また2010年からは東川在住の写真家、飛彈野数右衛門にちなんだ賞も新設され、
多様な作品を展示、収集してきました。
そのコレクションから、写真評論家の飯沢耕太郎氏をゲストキュレーターに迎え、
「地霊」というテーマでセレクトされた展覧会です。
「地霊」とは、ラテン語の「ゲニウス・ロキ」の訳語で、
その土地に固有の守護精霊のこと。
写真にはそういったものが表象として浮かび上がることがあります。
写真家たちはときとして、地霊を呼び起こすようにシャッターを切るのかもしれません。
会場は3部構成。第1部「生と死をつなぐもの」では、
此岸(現実の世界)と彼岸(向こう側の世界)を往還するように
写真を撮り続ける写真家たちをピックアップ。
グラシエラ・イトゥルビーデ(メキシコ)、高梨豊、鈴木理策、
志賀理江子、川内倫子ら、生と死の境界があいまいになるような作品が並びます。
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第2部「土地と暮らし」では、1914年に東川で生まれ、
役場に勤務しながら東川町民の暮らしを記録し続けた飛彈野数右衛門の写真を展示。
戦前、戦後の東川の人々の慎ましやかで力強い姿が印象的に浮かび上がります。
そして第3部「精霊たちの交歓」では、地霊たちを呼び覚まし、
交流しようとする儀式をテーマに撮影する写真家たちを紹介。
掛川源一郎、ブラジルのクラウディオ・エディンガー、
タイのマニット・スリワニチプーンらの写真には、
シャーマンの姿を通して異世界が映り込んでいるようです。
地域に根づいた写真賞に着目しながら、
土地に眠るものを映し出す写真の数々を紹介する展覧会。
奥深い世界が広がるようです。
また会期中にはイベントも開催。
4月9日には、飯沢氏と青森県立美術館学芸員の高橋しげみ氏が、
本展出品作家であり39歳の若さで急逝した青森を代表する写真家、
小島一郎の作品について語り合う
「トークシリーズ 小島一郎について語る」も開催されます。
information
地霊—呼び覚まされしもの
〜東川賞コレクションより〜
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