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posted:2016.2.21 from:宮城県気仙沼市 genre:アート・デザイン・建築
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writer profile
Akiko Saito
齋藤あきこ
さいとう・あきこ●宮城県出身。図書館司書を志していたが、“これからはインターネットが来る”と神の啓示を受けて上京。青山ブックセンター六本木店書店員などを経て現在フリーランスのライター/エディター。
3月21日(月・休)まで、東京都・目黒区の目黒区美術館にて
「気仙沼と、東日本大震災の記憶
―リアス・アーク美術館 東日本大震災の記録と津波の災害史―」展が開催中です。
これは、宮城県気仙沼市の〈リアス・アーク美術館〉で
2013年4月に公開された常設展示をもとにするもの。
被災現場と被災物の写真パネル約260点に加え、
被災物の現物のインスタレーションや、
歴史資料などが展示されます。
この写真は、2011年11月24日、気仙沼市波路上瀬向、
高校校舎3階図書室の状況。
本は水に浸かると3〜4倍に膨張するのだといいます。
この常設展示のコンセプトは、東日本大震災の記録活動を、
記録資料を残すことで終わらせず、正しく伝えようとすること。
展覧会では、リアス・アーク美術館が中心となって震災発生直後から行なった、
気仙沼市と南三陸町の被災状況の調査や記録活動を基にした写真や資料、
被災物で震災の記憶を伝えます。
撮影した被災現場の写真は約30,000点。収集した被災物は約250点。
また新聞や、過去に起きた大津波に関する資料を加えた約500点が
リアス・アーク美術館には展示されているのだそう。
気仙沼市と目黒区の交流は、毎年秋に開催されている〈目黒のさんま祭〉に、
気仙沼市が目黒区にサンマを提供したのがきっかけで始まりました。
2010年9月には友好都市協定を結び、さらに絆を深めましたが、
その半年後に東日本大震災が起きたのです。
もともと地域のミュージアムとして、現代美術の紹介とともに、
歴史、民俗、生活文化を伝える資料の収集・展示にも力を入れてきた
リアス・アーク美術館。
この震災以前から“津波”を地域の文化を築いてきた大切な要素の一つと捉え、
過去の大津波を展覧会で取りあげてきたのだそう。
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展覧会においては、“被災現場写真”に場所と状況の説明を加えたり、
“被災物”を生活の記憶の再生装置と捉えて、単なる資料展示をこえた、
説得力のあるインスタレーションとして展示したり、
工夫のある構成がなされています。
震災から5年が経ついまも、被災地域の復興は進行形。
“東日本大震災をいかに表現するか、地域の未来の為にどう活かしていくか”
をテーマに編集されたこの展覧会が、
震災をめぐるさまざまな物・事を想い、
地域と世代を超えてともに考えるきっかけになるといいですね。
会場では、リアス・アーク美術館のもう一つの常設展示、
地域の歴史・民俗資料をまとめた『方舟日記―海と山を生きるリアスな暮らし―』をもとに、
気仙沼・南三陸地域が育んできた豊かな地域文化の一端も紹介されます。
写真提供:リアス・アーク美術館
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