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posted:2016.3.7 from:東京都 genre:ものづくり / アート・デザイン・建築
〈 コロカルニュース&この企画は… 〉
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各地で生まれ、培われた手仕事を見ると、その土地の気候や育つ作物をはじめ、
さまざまな暮らしの環境が、折りたたまれているように感じられますよね。
日本の風土と「用の美」が丁寧に合わさった「籠」もそのひとつ。
高度成長や工業化によって残念ながら職人さんの数が減っていくなか、
日本各地の職人さんに制作してもらった籠の展示『にほんくらし籠』が、
3月19日からはじまります。場所は、Center for COSMIC WONDER。
「コズミックワンダーで籠の展示が行われるの?」と、
意外に思う人がいるかもしれません。
彼らと籠について、ちょっとご紹介しましょう。
パリコレクションへの参加、各地の美術館でアート活動も行うなど
ジャンルにこだわらない活動を行っているコズミックワンダーですが、
並行して「縄文」や「原始」をルーツに掲げ、
手織りの自然布、手漉き和紙、草木染めなど古からの希代な手仕事に注目し、
衣服から小物まで制作・販売しているのはご存知でしょうか。
いわゆる「オーガニック」からさらに進んだ、
「エシカル(環境や社会に対して意識的・倫理的)」とも言えそうな姿勢は、
近年さらに強まっているようにも感じられます。
また籠は、日本各地の縄文時代の遺跡からも出土しているように、
古代からさまざまな生活の様式で用いられていた一方で、
現代の暮らしにも残る、数少ない生活の手道具のひとつ。
というわけで、コズミックワンダーが籠に注目する理由をおわかりいただけたでしょうか。
今回の『にほんくらし籠』展を開催するにあたり、
コズミックワンダーでは秋田から鹿児島まで日本列島各地の職人さんを訪ね、
さまざまな用途の籠を制作してもらったのだとか。
会場では手仕事の籠が、約100点、展示・販売されるそうです。
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あらためて籠の魅力を尋ねると、
コズミックワンダーがこんなメッセージを寄せてくれました。
「東北から九州では自生する植物も異なり、
籠の素材は、真竹、孟宗竹、根曲竹、鈴竹などの竹類、
通草蔓、沢胡桃、山葡萄、山桜、つづらなど、多岐にわたります。
形状や編み方も、稲作の土仕事に用いるもの、木の実や穀物を採取するもの、
海で魚や海苔を採ったものなど、その地の風土を反映し、暮らしの営みに応じています。
自然の特性を生かして編み込まれた形には、無理な力が働かず、
流れるような美しさをたずさえているからでしょうか。
個であり全体である、やわらかな力を感じるようです。
そうしたひとつひとつの素材の面持ちや味わいの違いが、個性となるのでしょう」
時代やライフスタイルの変化とともに、手仕事の籠をめぐる環境も変わりました。
古くから日本の風土に寄り添って育まれてきた「暮らしの記憶」を、
会場でもう一度、見つけてみてください。
information
Center for COSMIC WONDER 『にほんくらし籠』展
住所:〒107-0062 東京都港区南青山5丁目18−10
営業時間:11:00〜19:00
定休日:水曜日
会期:2016年3月19日(土)〜4月3日(日)
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