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沖縄出身の写真家・石川竜一
が挑んだ北陸と東北の山。
新作展〈CAMP〉

コロカルニュース

posted:2016.2.3   from:東京都  genre:アート・デザイン・建築

〈 コロカルニュース&この企画は… 〉  全国各地の時事ネタから面白情報まで。
コロカルならではの切り口でお届けする速報ニュースです。

writer profile

Yu Miyakoshi

宮越裕生

みやこし・ゆう●神奈川県出身。大学で絵を学んだ後、ギャラリーや事務の仕事をへて2011年よりライターに。アートや旅、食などについて書いています。音楽好きだけど音痴。リリカルに生きるべく精進するまいにちです。

2016年2月、沖縄出身の写真家・石川竜一さんの
個展が東京、横浜にやってきます。

1つめは、初期の作品から新作を含む大規模個展
あざみ野フォト・アニュアル〈考えたときには、もう目の前にはない 石川竜一展〉。
こちらは1月30日(土)〜2月21日(日)まで、
横浜市民ギャラリーあざみ野にて開催中。
2つめは、石川さんが初の試みに挑戦した新作展〈CAMP〉。
こちらは2月6日(土)〜 2月14日(日)まで、
東京・原宿のWAG galleryにて開催されます。

石川竜一《八重瀬, 2014(絶景のポリフォニーより)》 2014年、インクジェット・プリント

大学生の時にリサイクルショップでカメラを
購入したことがきっかけで写真を撮り始めたという石川さん。
島をバイクで巡り、話してみたいと思った人々にカメラを向け、
シャッターを切る——そうして撮りためた写真が注目を集め、
2014年に写真集『絶景のポリフォニー』と
『okinawan portraits 2010-2012』(いずれも赤々舎)を刊行し、
その年の第40回木村伊兵衛写真賞を受賞。
ポートレートを収めた写真集『okinawan portraits 2010-2012』の帯には、
森山大道さんが「一瞬、オレは石川竜一に嫉妬した。」と言葉を寄せています。

そこに写されているのは、高校生や暴走族、スケーター、
しかめっつらの女の子、ストリートに立つ人、まちのエッジに住まう人、
過剰なまでにあふれた収集物のなかに佇む人、寂寥とした廃屋、などなど。
『okinawan portraits 2010-2012』を撮り下ろした当時、
石川さんは沖縄で出会った人、約3000人を撮影していたといいます。

石川竜一 《OP.001143 那覇 (okinawan portraits 2010-2012より)》2011年、インクジェット・プリント

「ある人は好きな人の話をしてくれて、

ある人は親への不満を打ち明けてくれて、

ある人は宗教の勧誘をしてきて、

ある人は戦争体験を話してくれて、

ある人は夢のような話を聞かせてくれた。

ある人は子どもで、ある人は大人で、ある人は男で、

ある人は女で、ある人はどちらでもあった。

何もかもが不思議で、何もかもが当り前で、

一人一人のなかにみんながいて、それぞれの命を強かに生きている。

一瞬のうちに寄せては返していく波。そこに立った時、

僕はただ、震えながらシャッターを切ることしかできない。」

『okinawan portraits 2010-2012』石川竜一(赤々舎)あとがきより

あざみ野フォト・アニュアル〈考えたときには、もう目の前にはない 石川竜一展〉では、
ポートレイトのほか、『ryu-graph』をはじめとする初期作品なども展示されています。
これまでの写真を一気に見たいという方は、必見。

そしてもう1つの展示〈CAMP〉では、
沖縄を離れ、極限状況のなかで撮影した新作を発表します。

石川竜一《和賀岳(CAMPより)》 2015年、インクジェット・プリント

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登山家の服部文祥さんと向かった“誰も見たことがことがない山”

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石川竜一(CAMPより)2015年、インクジェット・プリント

〈CAMP〉の撮影地は、沖縄でもまちなかでもない、
北陸と東北の山の奥。
石川さんは登山家の服部文祥(ぶんしょう)さんについて
最小限の装備で山へ入り、登山の合間に写真を撮ったのだそう。
話を聞くと、現地で捕獲した生きものを食べていたとか、
台風の風が吹きつけるなか山にしがみついていたとか、
崩れゆく雪渓の上を走ったとか、身のすくむような話ばかり。
これまで、沖縄の繁華街や郊外で写真を撮っていた
石川さんからは、考えられなかった展開です。

石川竜一(CAMPより)2015年、インクジェット・プリント

そこに写っていたのは、どこなのかも、
いつの時代とも知れない、人の気配のない世界。
その荒唐無稽な自然の姿には、言葉を失ってしまいます。

もともとコンセプトやイメージ先行で写真を撮ることは
ほとんどないという石川さん。
〈CAMP〉は金沢のギャラリー〈SLANT〉の
発案から始まったそうですが、企画を終えた石川さんは
「とてもおもしろかった」と語ります。
まちのなかであっても、自然のなかであっても、
“出会ったものすべてを撮る”という石川さんの姿勢に変わりはないのでしょうか。

石川竜一(CAMPより)2015年、インクジェット・プリント

この〈CAMP〉シリーズはあざみ野フォト・アニュアル
〈考えたときには、もう目の前にはない 石川竜一展〉にも展示されています。
〈CAMP〉展が始まる2月6日には、同名の写真集も出版されるそう。
こちらも楽しみですね。
2月11日(木)には、青山ブックセンター本店にて
石川さんと編集者・都築響一さんによる刊行記念トークもあります。(詳しくはこちら
目の覚めるようなイメージの数々を、どうぞお見逃しなく。

横浜市民ギャラリーあざみ野

WAG gallery

写真集『CAMP』(SLANT)

写真集『okinawan portraits 2010-2012』(赤々舎)

information

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あざみ野フォト・アニュアル〈考えたときには、もう目の前にはない 石川竜一展〉

会期:2016年1月30日(土)〜2月21日(日)

時間:10:00 〜 18:00

休館日:会期中無休

会場:横浜市民ギャラリーあざみ野 展示室1

住所:横浜市青葉区あざみ野南 1-17-3

アクセス:東急田園都市線「あざみ野駅」東口徒歩5分/横浜市営地下鉄「あざみ野駅」1・2番出口 徒歩5分

電話:045-910-5656

主催:横浜市民ギャラリーあざみ野(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団)

information

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石川竜一 写真展〈CAMP〉

会期:2016年2月6日(土)〜 2月14日(日)

時間:12:00 〜 19:00 

休館日:会期中無休

会場:WAG gallery

住所:東京都渋谷区神宮前4-26-28 JUNK YARD 3F

アクセス:東京メトロ千代田線/副都心線「明治神宮前」駅 徒歩6分/JR山手線「原宿」駅 徒歩8分

電話:03-6447-2083

主催:SLANT

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