どんな人がつくったか。どんな想いでつくったか。
それを知ったうえでモノを買った、という経験は多くの人にもあるはず。
かくいう私も、大好きな陶芸家がいて、
その方のつくった器は、一生大切にしたいという気持ちで、
丁寧に、大事に、使う。
ほかにも、パン職人の友人が焼いたパンや、知人が育てた米や野菜など、
その人の顔を思い浮かべながらいただくのは、なんだか少し、心持ちが違うのだ。

これらの手ぬぐいや漆器も、どんな職人が手がけたのかを知ると、より愛着が湧いてくる。(写真提供:五感市実行委員会)
いま日本各地で、地域にある工場を一斉に開放し、
職人と交流しながら、モノづくりの現場を見学・体験するイベント
“オープンファクトリー(工場見学)”が始まっている。
どんな人がつくったか。どんな想いでつくったか。
それらを知る恰好の機会だ。
モノづくりに関心の高い人々は、はるばる遠方からもやってくる。

(写真提供:五感市実行委員会)
昨今、モノづくりに携わる職人が高齢となり、後継者不足が叫ばれるようになった。
数字に表すと、現在の工芸従事者の70%以上が60歳を超え、
30代の職人は、なんと10%にも満たない、とも。

(写真提供:五感市実行委員会)
そんな危機的状況の打破という意味も込められているオープンファクトリー。
工場を訪ね、職人と出会い、モノづくりへの想いや、
臨場感あふれる、息をのむような作業工程を目にすれば、
来場者は工芸品に興味を持つ。
なかには職人の技に魅せられて、自ら職人志願する人も実際にいるようだ。

工場見学のようす。(写真提供:五感市実行委員会)
2013年に始まった新潟の〈燕三条 工場の祭典〉を皮切りに、
オープンファクトリーは、山梨、三重、福井など、伝統産業が残る地域で続々とスタート。
岩手県の一関市、平泉町、奥州市も、
平安時代にこの地を治めた奥州藤原氏により、多くの工芸品や産業が生まれたエリア。
いまもその伝統を受け継ぐ老舗が残り、それらをもっと多くの人に知ってもらおうと、
2018年11月9~11日の3日間にわたり、
地域に根づく老舗の若き職人たちを中心に、
東北初のオープンファクトリー〈五感市〉が開催された。

(写真提供:五感市実行委員会)
といっても、実は2017年にも、
試験的に小規模な五感市が開催されている。
漆器、染物屋、彫金、タンス屋、太鼓店の6社で開催した五感市だったが、
県内外から多くの来場者が集まり、手ごたえ十分。
そのときに得た感覚やアイデア、客の声を反映したのが、
2018年のオープンファクトリーだ。

今回の五感市に参加した会社は、なんと前年の約4倍となる26社!
“工場見学”という枠にとらわれず、
普段は入れない映画館の映写室、名勝「猊鼻渓」の船頭体験、
古刹の坐禅堂(通常非公開)の開放などが含まれるのがユニーク。
五感市が目指すのは、個々の職人の技を知ってもらうだけでなく、
“地域”そのものを知ってもらうことでもあるのだ。


































































































































