連載
posted:2019.1.21 from:全国(一関市・花巻市・隠岐の島町・白川村) genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
毎月コロカル編集部からテーマを出し、
日本各地で活動している地域おこし協力隊の方から集まった写真とメッセージを紹介していきます。
その土地ならではのものだったり、自分の暮らしと変わらないものだったり……。
どんな暮らしをしてどんな景色を見ているのか、ちょっと覗いてみませんか?
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Kanta Suzuki, Fuko Nagasaka, Kanae Fujiwara, Ami Igarashi
櫻井 陽/鈴木寛太/五十嵐杏美/長坂風子
正月飾り、雑煮の具材や、おもちの形、祭りに初詣、三が日の過ごし方―
地域性が色濃く表れる「お正月」。
自分の暮らすまちのお正月を、みんなに話したくなるのも不思議です。
今回は、地域おこし協力隊のみなさんから、
その土地ならではのお正月の風景、モノ、コトを投稿してもらいました。
お正月、家族で神棚に向かってお祈り。
毎年続く光景ですが、ふと神棚の紙飾りが、ちょっと不思議な気がしました。
聞くところによると、「網飾り」と呼ばれるこれらは
旧伊達藩の岩手県南、宮城県北にしかないとのこと。
それぞれの神社の神主さんが、和紙を何度も折りたたみ、
カッターなどで複雑な切り込みを入れてつくりあげています。
神社によってその形はさまざま。
扇、巾着、小判、小槌、俵など、縁起の良いものを組み合わせたお飾りが、
たった1枚の紙で表現されているのには感服します。
この複雑な手しごとが、来年も拝めますように。
information
photo & text
櫻井陽 さくらい・よう
岩手県一関市出身。2016年よりUターンで一関市の地域おこし協力隊に着任し、農業分野の地域団体の活動支援を行う。好きな食べ物はカレー。趣味の硬式テニスをやらないと病にかかる体質。2017年より一関で楽しく暮らしたい20代のための地域団体「一関を面白く企む会」を発足し、各々がまちを楽しむためのさまざまな企画を実施する。
新しい年になり、まちを歩けば、正月飾りが家々にお祝いムードをもたらし、
「年が明けたんだ」と実感が湧いてきます。
もうひとつ、年明けを実感するのが、
約1200年以上の歴史を誇る〈早池峯神社(はやちねじんじゃ)〉の境内で、
神楽の舞い初めの光景を目にした瞬間です。
力強く舞う姿に、新年の幕開けを感じます。
岩手県花巻市には複数の神楽団体が存在しますが、
大迫町には「岳(たけ)」と、「大償(おおつぐない)」のふたつの神楽が。
このふたつの神楽を総称して〈早池峰神楽〉と呼び、
今回、写真で紹介しているのは〈岳神楽〉です。
早池峰神楽は、昭和51年(1976年)に国の重要無形民俗文化財に指定され、
平成21年(2009年)には、ユネスコの無形文化遺産に登録されました。
世界各国からも注目を集め、各地で舞が披露されるとなれば、海外から観に来るファンもいるほど。
今年、ユネスコに登録されて10年目の記念すべき年を迎えます。
年明けに行われた舞い初めには、たくさんの人が訪れ、新年を祝いました。
早池峰神楽は、およそ500年前から舞われてきたといわれています。
これからどんな時代になったとしても、神楽は美しく、そのままの姿で、
我々に希望を与えてくれることだと思います。
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鈴木寛太 すずき・かんた
1991年東京都出身。2011年に発生した東日本大震災以降、大学のボランティアプログラムで、繰り返し岩手県を訪れるようになる。一度は就職するも、2015年8月、地域おこし協力隊として花巻市に移住。大迫(おおはさま)地区で、減少が続くぶどう農家の支援やイベントの企画・調整を行っており、2018年5月にぶどう農家となる。2018年7月末、3年間の地域おこし協力隊の任期を終え、本格始動中。
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華やかな輪っかのしめ飾りを買って飾り、
年越しにはざるそばを食べ、
元旦の朝は焼いた角餅を入れたお雑煮を食べる。
私のお正月の“当たり前”は、こうでした。
それがこちらでは、
シンプルなしめ縄を自分たちでつくって飾り、
年越しには隠岐そばを食べ、
お雑煮には丸餅を入れるのだから、
おもしろいなぁと思います。
隠岐そばは、温かいサバ出汁でいただく十割そば。
お雑煮は、シンプルな味つけのご家庭が多い印象ですが、
香り豊かな岩海苔をたっぷり乗せると、深い味わいになります。
年末になると、島のスーパーにはこの隠岐そばと丸餅が並びます。
隠岐の岩海苔は高級食材。
自分で海苔を摘んで、乾燥させて、お正月のお祝いに備える島人も多いです。
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五十嵐杏美 いがらし・あみ
平成2年生まれ。元ギャルの島ガール。2017年3月末、東京から島根県隠岐の島町へ移住し、現在は地域おこし協力隊として活動中。移住のテーマは、【自然との共生】と【丁寧な暮らし】。四季の移ろいのなかで豊かに生きる術を学び中。また、自分らしく生きることを探求するためにヨガとアーユルヴェーダを学んでおり、同時に広める活動も行っている。
雪の白川郷を練り歩く7人の神。
白川郷春駒保存会の一行が、七福神、舞妓に変装し、
三味線や締太鼓を引き連れて、合掌集落内の家々を訪ねる「春駒踊り」の風景です。
もともと春駒は、お正月に神が仮装し「客人神」として現れ、
人々に幸福をもたらすと考えられていましたが、
白川村の春駒踊りは、養蚕の盛んな時期にお蚕の豊作を祈り、2月の初午に行われていました。
養蚕が行われなくなった近年では、
お正月やどぶろく祭、結婚式披露宴などの祝事で踊られます。
新年に七福神の舞を拝めれば、良い年になること間違いないでしょう。
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長坂風子 ながさか・ふうこ
愛知県生まれ。大学卒業後、映像制作会社に勤務。地域の“今”を残したいと思い、岐阜県白川村に移住。好きなことは、映画を観ること、おいしいものを食べること。
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