連載
posted:2018.10.20 from:全国(白川村・花巻市・隠岐の島町・一関市) genre:暮らしと移住 / 活性化と創生
〈 この連載・企画は… 〉
毎月コロカル編集部からテーマを出し、
日本各地で活動している地域おこし協力隊の方から集まった写真とメッセージを紹介していきます。
その土地ならではのものだったり、自分の暮らしと変わらないものだったり……。
どんな暮らしをしてどんな景色を見ているのか、ちょっと覗いてみませんか?
photo & text
Fuko Nagasaka, Kanta Suzuki, Ami Igarashi, Yo Sakurai
長坂風子/鈴木寛太/五十嵐杏美/櫻井陽
ヒーローといえば! 正義の味方? 旅の勇者? はたまた、大活躍した野球選手?
いえいえ、日本各地にだって、いろんなヒーローがいるものです。
たとえ名は知られていなくとも、そのまちにとって、なくてはならない人物。
彼らはどこか魅力的で、多くの人が一目置く、かっこいい存在。
そんな地域のヒーローを、日本各地に暮らすみなさんから紹介してもらいました。
“合掌づくり”と呼ばれる茅葺きの家が建ち並ぶ、岐阜県白川村。
これらを維持するには修復や屋根の葺き替えが必要不可欠で、
30~40年に一度、大がかりな工事が行われます。
その葺き替えを担い、
白川村の風景や文化を守っているのが「茅葺き職人」です。
現在、白川村で活動している職人は6名。
彼らの仕事は、幅広い知識や技術が必要で、
ときには屋根の結束の材料となるマンサクの木を採りに山へ入ることもあります。
重労働な作業から、繊細な作業までこなし、
白川村の人々の暮らしを守る職人は、まさにスーパーヒーロー。
集落では「結(ゆい)」と呼ばれる、同量程度の労働力をお互いに返しあう文化があり、
古くより、村民同士の助け合いによって集落は守られてきました。
現在は、結の精神や葺き替え技術を伝承するため、
年に一度、合掌づくり家屋を所有している村民が集まり、葺き替えを行っています。
合掌づくりの家には、自然の恵みを巧みに利用した先人の知恵が詰まっていて、
その智恵や技術は、茅葺き職人によって現在も守り続けられています。
photo & text
長坂風子 ながさか・ふうこ
愛知県生まれ。大学卒業後、映像制作会社に勤務。地域の“今”を残したいと思い、岐阜県白川村に移住。好きなことは、映画を観ること、おいしいものを食べること。
花巻市大迫町で、唯一のチーズマイスターである伊藤行雄さんは72歳。
小さな工場でチーズをつくるその後ろ姿には、ただならぬものを感じます。
行雄さんのチーズづくりは昭和49年からスタート。
このまちでワインづくりが盛り上がってきた約50年前から、
チーズとワインのマリアージュを提唱していました。
「ワインにいい嫁はんを見つけてあげなきゃいけなかった」と、行雄さん。
「チーズを通していろんな人と出会えることが楽しい」と話す行雄さん。
僕もそんなすてきな行雄さんに出会えたことに、とても感謝しています。
チーズ文化だけでなく、人と人をつなげる、まちのヒーロー。
photo & text
鈴木寛太 すずき・かんた
1991年東京都出身。2011年に発生した東日本大震災以降、大学のボランティアプログラムで、繰り返し岩手県を訪れるようになる。一度は就職するも、2015年8月、地域おこし協力隊として花巻市に移住。大迫(おおはさま)地区で、減少が続くぶどう農家の支援やイベントの企画・調整を行っており、2018年5月にぶどう農家となる。2018年7月末、3年間の地域おこし協力隊の任期を終え、本格始動中。
私にとって、やさしさや学びを与えてくれる地域の方たちは、みんながヒーロー。
なかでも地域唯一の個人商店〈たけのや〉を営んでいる、“としちゃん”こと武田年弘さんは、
木々を愛する山の達人でもあり、山にまつわるさまざまなことを教えてくれます。
この日は、としちゃんがつくった丸木小屋を見せてもらいました。
山でちょうどいい木を探して伐り出すところから始めて、
奥さんとたったふたりでつくりあげたのだそう。
「ひとりでできんことも、ふたりならできる。
ふたりになれば、その力はふたり分じゃなくて3人分になる。
でも、7人いても5人分にしかならん、ということもある。
多すぎると、見てるだけの人もおるけんね〜」
人はひとりでは生きていけないけれど、多ければいいというわけでもない。
何ごとも適度に。
こんなふうに、としちゃん流の人生哲学が飛び出すのも、魅力のひとつです。
photo & text
五十嵐杏美 いがらし・あみ
平成2年生まれ。元ギャルの島ガール。2017年3月末、東京から島根県隠岐の島町へ移住し、現在は地域おこし協力隊として活動中。移住のテーマは、【自然との共生】と【丁寧な暮らし】。四季の移ろいのなかで豊かに生きる術を学び中。また、自分らしく生きることを探求するためにヨガとアーユルヴェーダを学んでおり、同時に広める活動も行っている。
水車で音楽を奏でる。
こんなことを思いつく人がいるでしょうか?
学生時代の岡淳さんは、水力で米をつき、粉を挽く水車小屋を見て、
これで音楽を奏でられないかと思ったといいます。
それから約30年、現在はサックス奏者として活躍する岡さん。
音楽水車をつくりたいという話は、たびたび飲みの席で語ることはあっても、実現には至らず。
あるとき、“夢を語るだけのおじさん”になっている自分に恥ずかしくなった岡さんは、
縁あって訪れた奥玉という地で音楽水車をつくることに。
毎年9月の第1日曜日、音楽水車はやってきます。
不思議なカラクリで奏でられる音楽を楽しみに、全国から数100人が集うイベントに!
いくつになっても夢を忘れない。
その遊び心が、今年もまちのヒーローを動かすのです。
information
音楽水車プロジェクト
WEB:www.musicmill.jp
Facebook:www.facebook.com/MusicSuisha/
MAIL:info@musicmill.jp
TEL:080-3577-4268(代表:岡淳)
photo & text
櫻井陽 さくらい・よう
岩手県一関市出身。2016年よりUターンで一関市の地域おこし協力隊に着任し、農業分野の地域団体の活動支援を行う。好きな食べ物はカレー。趣味の硬式テニスをやらないと病にかかる体質。2017年より一関で楽しく暮らしたい20代のための地域団体「一関を面白く企む会」を発足し、各々がまちを楽しむためのさまざまな企画を実施する。
Feature 特集記事&おすすめ記事