連載
posted:2018.11.25 from:全国(隠岐の島町・一関市・白川村・花巻市) genre:旅行
〈 この連載・企画は… 〉
毎月コロカル編集部からテーマを出し、
日本各地で活動している地域おこし協力隊の方から集まった写真とメッセージを紹介していきます。
その土地ならではのものだったり、自分の暮らしと変わらないものだったり……。
どんな暮らしをしてどんな景色を見ているのか、ちょっと覗いてみませんか?
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Kanta Suzuki, Fuko Nagasaka, Kanae Fujiwara, Ami Igarashi
五十嵐杏美/櫻井 陽/長坂風子/鈴木寛太
1年365日、毎日、当たり前のようにやってくる夕方。
でも秋のそれは、なんだかいつもより色が深くて、
ちょっとセンチメンタルな気分になったり、不思議と元気をもらったり。
清少納言も随筆に詠んだ、秋の夕暮れ。
日本各地に暮らすみなさんの、とっておきの夕景スポットと、
夕刻にあふれた心の想いを投稿してもらいました。
隠岐の島では「ローソク島」の夕日が有名ですが、
もうひとつ特別な夕日が観られる場所があります。
それが、「油井の前の洲」。
某アーティストのPVのロケ地になったことでも話題になりました。
波が穏やかで、海の鏡がくっきりと空を映し出す。
夕日と、海と、人と。
夢のような写真が撮れるのは、ずっと広がる遠浅だからこそ。
今年は、近くへ移住してきた地域おこし協力隊の仲間が椅子などを設置して、
くつろぎの夕日鑑賞を演出してくれました。
「水平線に沈む夕日を観たくなったら、西へ向かおう」
お気に入りの場所をみつけて、変わりゆく空と海を眺める。
やがて真っ暗になり、瞬く星と漁火にあと押しされて家路につく。
そんなふうに空と時間と共に生きることは、
私の島暮らしの楽しみ方のひとつです。
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五十嵐杏美 いがらし・あみ
平成2年生まれ。元ギャルの島ガール。2017年3月末、東京から島根県隠岐の島町へ移住し、現在は地域おこし協力隊として活動中。移住のテーマは、【自然との共生】と【丁寧な暮らし】。四季の移ろいのなかで豊かに生きる術を学び中。また、自分らしく生きることを探求するためにヨガとアーユルヴェーダを学んでおり、同時に広める活動も行っている。
一関の夕日は、奥羽山脈のひとつ「栗駒山」に沈み、
山のシルエットが浮かび上がります。
その栗駒山から流れる「磐井川」と、
東北最大の河川「北上川」の合流点である一関のまちは、
水害の常襲地帯だったため、大きな堤防に囲まれているのが特徴です。
堤防から観る夕日もきれいですが、私の一番のお気に入りは「遊水池展望台」から観る夕日。
遊水地とは洪水時の川の水を一時的に貯留し、流量の調節を行う土地のこと。
一関の遊水地展望台からは一面に広がる田んぼと北上川、
それに沿ってどこまでも続く新幹線の線路が望めます。
北上川の水面に輝く夕日の眺めは1日の疲れをすっかり忘れさせてくれます。
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櫻井陽 さくらい・よう
岩手県一関市出身。2016年よりUターンで一関市の地域おこし協力隊に着任し、農業分野の地域団体の活動支援を行う。好きな食べ物はカレー。趣味の硬式テニスをやらないと病にかかる体質。2017年より一関で楽しく暮らしたい20代のための地域団体「一関を面白く企む会」を発足し、各々がまちを楽しむためのさまざまな企画を実施する。
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白川村は周囲を山に囲まれているため、普段はなかなか夕日を観ることができません。
村外から来た私にとっては、少し寂しいことです。
夕日が恋しくなったときは山に登ります。
山に囲まれて観えないのであれば、一番高い山に登ればいいのです。
標高2,702メートルある「白山」から観える夕日はとてもきれいで、
とてつもないパワーを感じます。
雲海にだんだんと沈んでいく夕日、時刻とともに変化する空の色。
苦労して登ったからこそ味わえる景色がそこにあります。
疲れている体にスッと染み込む、最大級の癒し効果。
言葉に表すのは難しいので、ぜひ体感してほしいのです。
そして、夕日のあとの満天の星空、早朝のご来光。
どれも、最高。
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長坂風子 ながさか・ふうこ
愛知県生まれ。大学卒業後、映像制作会社に勤務。地域の“今”を残したいと思い、岐阜県白川村に移住。好きなことは、映画を観ること、おいしいものを食べること。
まちが夕焼け色に染まり、
今日1日を「お疲れ様!」と労ってくれるような秋の夕日に出合うとき、
癒される人が何人いるでしょうか?
都会でも、田舎でも、その色は人によって特別な情景となり、
人の心を動かす色なのかもしれません。
色もさることながら、夕日はいい匂いがします。
それは晩ごはんの匂い。
子どもたちは駆け足で家路へと急ぎ、賑やかな声が遠くで聞こえます。
橋の袂から葉が落ちる瞬間や、川の流れを感じ、音が色を交えるとき、
ゆっくり沈む夕日と心地よい風は、いつしか少し肌寒さを感じさせ、
冬の足音が聞こえてきます。
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鈴木寛太 すずき・かんた
1991年東京都出身。2011年に発生した東日本大震災以降、大学のボランティアプログラムで、繰り返し岩手県を訪れるようになる。一度は就職するも、2015年8月、地域おこし協力隊として花巻市に移住。大迫(おおはさま)地区で、減少が続くぶどう農家の支援やイベントの企画・調整を行っており、2018年5月にぶどう農家となる。2018年7月末、3年間の地域おこし協力隊の任期を終え、本格始動中。
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