東京都離島区大島プロジェクト vol.03
大島、ひいては東京諸島全体を盛り上げるために東京都のバックアップのもと、
“あなたらしい大島の物語”をつくっていくことを目指し、
さまざまな活動を行っていく「東京都離島区大島プロジェクト」。
この企画では3回に分けて、プロジェクトの6人のキーパーソンを紹介していく。
3回目となる今回登場してもらうのは、
ダイビングショップ〈オレンジフィッシュ〉の粕谷浩之さんと
〈BookTeaBed〉の村上悠さん。
かたや自然を相手にする粕谷さんと、かたや都会的な感覚を大島に持ち込む村上さん。
古くからあるものを大切に守りつつ、新しいチャレンジを模索する。
そんな動きの両輪となるふたりだ。
熟練ダイバーも感動する大島の海の多様性
元町で〈オレンジフィッシュ〉というダイビングショップを営む粕谷浩之さんは、
もともと伊豆大島には縁もゆかりもなく、知り合いすらいなかった。
だから1年目は、ダイビングショップとは名ばかりの、
スズメの涙程度の収入しかなかったそうだ。
「新規のお客さんはほとんどおらず、
前職の渋谷のダイビングショップ時代のお客さんがご祝儀感覚で来てくれたくらいです」
そういう苦労はおそらく始めからわかっていたはず。それでもなぜ大島を選んだのか。
「2006年に開業する前にも何度か大島の海は潜っていたんですが、
いつ来ても透明度は高いし、魚も多い。
もちろん、都心からジェット船で1時間45分で来ることができるアクセスの良さも、
商売を始めるには大きなメリットです。
渋谷時代のお客さんも来やすいだろうなという考えもありました」

世界の海にも潜っている〈オレンジフィッシュ〉の粕谷浩之さん。
粕谷さんはインストラクターとして、日本各地はもちろん、モルディブ、パラオなど、
ダイビングを知らなくても“聖地”だとわかるような世界中の海に潜っている。
そんな経験を持つ粕谷さんからしても、大島の海は“特別”なのだという。
「最初の頃は、都心からも近くていいね、くらいの感覚だったんですが、
潜れば潜るほど特別であると感じました」
それは、関東エリアにあるダイビングポイントの目玉が、
大島ならすべて見ることができるという凝縮感。
通常だったら、長距離を移動しないと見られない各ポイントのアイドル級の魚たちを、
大島だったら一挙に見ることができるのだ。
「移動時間を考えても、例えば東京から西伊豆に行くよりも早い。
コスパがめちゃくちゃいいんですよ」

オレンジフィッシュの外観は青空に映える白色。
それ以外にも、ウミガメはほぼ100%見ることができるし、
憧れのハンマーヘッドシャークでさえ、大島なら高確率で狙える。
「ほかの場所でハンマーヘッドのような大物が見たかったら、
沖合のポイントまでボートで行く必要があります。
でも大島なら磯場からエントリーできちゃうんです。
世界的に見てもそんな場所はここだけじゃないでしょうか」
そんな希有な大島のダイビングの魅力が世間に広まってきたのは8年ほど前。
思ったよりも最近の出来事なのだ。
それはハンマーヘッドシャークが現れる時間帯にも関係があった。
「日の出から1時間くらいが高確率なんです。普通はそんな時間に潜る人はいません。
でも磯からエントリーできる大島だったから、たまたまその時間に潜ってみた人がいた。
そうしたらハンマーヘッドシャークがいたんです」

ガスボンベなどの器材。
その後、地元のダイバーたちがこぞって早朝に潜り始め、その結果、
毎日、決まった場所をハンマーヘッドシャークの群れが通ることがわかった。
しかも、初心者でも潜れるような浅い場所を通る。
それもあって、ハンマーヘッドシャーク目当てのダイビング客も増え、
粕谷さんのオレンジフィッシュも盛況となった。いまではリピーターも数多くいるという。
「大島の海はいくら潜っても飽きないんです。
沖縄でダイビングショップをやっている人が『なに、この海!』と驚くくらい、
多くの種類の魚が一年中いるんですよ。それと、黒潮に乗ってたまにレアな魚も現れる。
毎日潜っていても、そのつど新しい発見があります」




































































































