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posted:2021.9.27 from:長崎県東彼杵郡波佐見町 genre:旅行 / アート・デザイン・建築
〈 コロカルニュース&この企画は… 〉
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コロカルならではの切り口でお届けする速報ニュースです。
writer profile
Mayo Hayashi
林 真世
はやし・まよ●福岡県出身。木工デザインや保育職、飲食関係などさまざまな職種を経験し、現在はフリーランスのライターとして活動中。東京から福岡へ帰郷し九州の魅力を発信したいとおもしろい人やモノを探しては、気づくとコーヒーブレイクばかりしている好奇心旺盛な1984年生まれ。実家で暮らす祖母との会話がなによりの栄養源。
photographer profile
Horikawa Erika
堀川 絵里香
ほりかわ・えりか●福岡生まれ。福岡の老舗写真館で経験を積みフリーのカメラマンに。思いを込めたものやポートレートに気持ちをのせて撮るのが好き。現在は冷泉荘のテトラグラフ写真室に所属しファッションや人物などさまざまなジャンルの撮影を行う。スペシャルティコーヒーも淹れる、二児の母。
https://tetragraph.com/長崎県東彼杵郡波佐見町は、400年もの歴史がある焼き物のまち。
長らく有田焼や伊万里焼として生産された時代を経て、
2000年代からは「波佐見焼」として全国に広がりました。
そんな波佐見焼の産地メーカーである〈マルヒロ〉が、
私設公園〈HIROPPA〉をオープンします。
2021年9月25日から波佐見町民限定でプレオープン、
10月1日にグランドオープンを迎えます。
1957年、露天商に始まったマルヒロは、
2010年にリリースした〈HASAMI〉のマグカップが大ヒット。
以降〈BARBAR〉〈ものはら〉などのブランドを次々と展開し、
波佐見焼の人気を押し上げた産地メーカーとなりました。
そんなマルヒロがつくるHIROPPAはどんな場所なのでしょう?
一足先にHIROPPAを見学させてもらいました。
エントランスを抜けて園内に入ると、
広々とした敷地に明るい芝生が目に飛び込んできます。
HIROPPAのデザインを手掛けたのは、
〈DDAA/DDAA LAB〉の元木大輔さん。
約1200坪の敷地は、高低を描く稜線や
幾何学的なラインが見えるように設計されており、
風景の中に緩やかな動きが感じられます。
車椅子で一周できるバリアフリーの公園で、
アーティストの遊具で遊べるほか、
マルヒロの直営店やキオスク、カフェも併設されています。
そしてひときわ目立つのは、こちらのオブジェ。
国内外のアーティストと積極的にコラボを行うマルヒロが、
以前から縁のあるオランダのアーティストBoris Tellegenに
オーダーしたという遊具で、上から見ると「HIROPPA」と読むことができます。
Borisさんはオランダ・アムステルダムで1980年~2000年代初め
ヨーロッパグラフィティの代表格として知られる〈DELTA〉として活動、
現在は本名のBoris Tellegenとして世に作品を送り出しています。
「まちの子どもたちにアートを身近に感じてほしい」という依頼に、
Borisさんは快く応じてくれたのだそう。
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園内にはたくさんの樹木が植えられています。
ケヤキや桜、キウイやパッションフルーツなど、
職人の手によって大切に育てられた多種多様な樹木や果樹が集められました。
3代目社長の馬場匡平さんは、
地元で造園業を営む〈西海園芸〉とともに
「1年中、花が咲いていたり実がなっている公園にしたい」と
四季折々で移り変わる景色をいつ来ても感じられるような公園づくりを考えたのだそう。
アーティストや職人のセンスと技能が光る、ユニークな公園のHIROPPA。
社長の馬場さんは、子どもたちが走り回って転んでも、
また笑って走り出す、そんな風景を思い描いているのだそう。
晴れた日に家族でレジャーシートを広げてピクニックをしても◎。
大声を出して、芝生の上を思いっきり走り回れそう!
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公園の構想はいつごろからあったのでしょう?
「『焼き物というプロダクトから領域を広げたい』
という思いが5年くらい前からありました。
当初は焼き物とは別分野で何かつくれないかを
考えていたんですけど、できるだけ『脱・物質』。
ものから広げるための場所として、公園をつくることにしたんです」と話す馬場さん。
HIROPPAの裏手につくられた、ひまわりの畑と迷路もそのひとつ。
遊ぶ場所として来た人に喜んでもらえるだけでなく、
ひまわりを資源として捉えることでさまざまな発展ができるといいます。
「社員や関わる人がそれぞれに持っているキャラクターや秘めている能力を生かして、
例えばカレーを出したりお弁当を出したり、
HIROPPAを使って得意なことで何かを始めていい。
僕はできるだけ物質、プロダクトから離れた考えを持って、
若い子たちがやりたいことをやりやすいように。
スケボーを教えられる22歳のスタッフもいるから、
スケボー教室もやろうって話していますね」(馬場さん)
生まれ育った波佐見に20代半ばで戻り跡を継いだ馬場さん。
「公園は、僕らに必要だからつくる。
地元のおっちゃんが、食べたことのないものを食べるだけでも異文化の交流になる。
そんな風に文化をまちの人たちと共有できれば、
またひとつ違う文脈の波佐見町が重なっていって、
そのときものすごく楽しいことが
起こっていくんじゃないかと思うんです」
小さな産地問屋から始まったマルヒロを、
さまざまなアイデアで変革してきた馬場さんは、
大きな視野で未来を見つめています。
HIROPPAのほかにも、現在新しいプロジェクトが進行中。
近隣には、日本家屋を利用した〈OUCHI〉や
新オフィス兼出荷作業などを行う〈KOUBA〉が
着々と整備されているのでそちらも楽しみですね。
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HIROPPAでは、カフェ〈OPEN-END〉やキオスク、直営店も同時オープン!
OPEN-ENDはコーヒーと軽食が用意され、
飲食スペースは室内だけではなく公園内全体も客席として使えます。
日頃は子どもを連れて大変な親御さんも、
ここでは子どもたちが遊ぶ姿を見守りながらゆっくり過ごせそう。
直営店ではマルヒロの全ラインナップが揃えられるとのことで、
実際に手に取って確かめて、心置きなくお気に入りを探せそうです。
キオスクは、「子どもが100円を握りしめて遊びにこれる場所」。
町の子どもたちが、駄菓子やジュースを買いに
笑顔で駆け込んでくる光景が目に浮かんでしまいます。
こんな公園、ほかにはないはず!
日常で通いたくなる親しみやすさとアーチスティックな魅力がたっぷり詰まった
HIROPPAは、10月1日よりどなたでも利用いただけます。
大人も子どもも老若男女が楽しめる、
波佐見のニュースポットを訪れてみませんか?
information
HIROPPA
住所:長崎県東彼杵郡波佐見町湯無田郷682
TEL:0956-37-8666
Instagram:@maruhiro.hasami
Instagram:@maruhiro.official
YouTube:MARUHIRO inc.
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