PR会社〈HOW〉の代表で、国内外を飛び回る小池美紀さんが推薦するのは
城崎温泉にて2022年9月にオープンしたベーカリー〈PARADI〉の
井上祖人さん、有紀さんご夫妻です。
推薦人
小池美紀
HOW inc.
Q. その方を知ったきっかけは?
仕事でもプライベートでも足繁く通う城崎温泉の知人から、同じ兵庫でギャラリーと茶寮を営む〈井上茶寮〉の名前を聞いていました。特に興味を惹かれたのは、ある時、城崎の〈OFF KINOSAKI〉にあったフライヤー。井上茶寮ギャラリースペースのアーティストインレジデンスの告知でした。私が現在、東京と沖縄の2拠点生活をするなかで、個人的にも追いかけている今村能章が展示をするというものでした。
その後、井上茶寮が城崎に〈PARADI〉というペストリー&コーヒーショップをオープンし、交流が生まれました。彼らの幅広い活動を知るにつれ、底知れぬ活動に興味を寄せています。
Q. 推薦の理由は?
フレンチのシェフやパティシエとして修業を積まれた井上祖人さん。
大学職員からフランスに移住し、ミュージアムで働いていた井上有紀さん。
ふたりの活動は、現在展開する年数回のアーティスト・イン・レジデンスと並行して国内外のアーティストや作家の展覧会を企画する〈M1997〉(的形)、お茶やカヌレ型を使った羊羹などのスイーツを展開する〈井上茶寮〉(的形)、焼きたてのペストリーやコーヒーを提供する〈PARADI〉(城崎)。
お茶やお菓子、パッケージに至るまでおいしいのに加え、いつ見てもすてきなプロダクトは、デザインの文脈に通じるところがあります。実際にデザイン関係者のファンも多く、私は今年、インテリアの発表会で彼らにケータリングを依頼しました。味だけでなく、しつらえの美しさにも感動しました。
また、今年は、コペンハーゲンのベーカリーで短期留学をされており、出張の際にも彼らの活動を拝見しました。デザインの都コペンハーゲンでの滞在を経た彼らの今後の活動に注目しています。
待望のパン屋さんが、城崎にできた
晴れたと思ったら、鈍色の雲が広がり、冷たい雨が降ったり止んだりする。
そんな日本海沿岸特有の不安定な天気が、
この城崎温泉というまちの冬の風物詩だったりする。
瀬戸内に面する的形から豊岡市城崎に移住し、
2度目の冬を迎えた井上祖人(そひと)さん、有紀(ゆき)さん夫妻は、
「ここのところいつもこんな天気ですよ」と話す。
その“こともなさげ”といった雰囲気で、彼らがいかにこのまちに馴染んでいるかを知れた。

山陰地方には、「弁当忘れても傘忘れるな」という言葉がある。冷たい雨雪が降れば降るほど温泉も心地いい。
祖人さんと有紀さんは、
同じ兵庫県でも城崎とは北と南の関係にある、的形という地で
和菓子店〈井上茶寮〉と、
アーティストインレジデンス〈M1997〉を営む。
港まちに溶け込む、築114年の庄屋をリノベーションしたお店は、
土日だけの営業にかかわらず、お客さんが後を絶たない。
札幌市や大阪市の名だたるレストランで修業してきた祖人さんと、
大学職員を経てパリの美術館で勤務した経験を持つ有紀さん。
井上茶寮とM1997は、ふたりの経験を生かした唯一無二の場だ。

井上茶寮の外観。(撮影:間澤智大)

井上茶寮の内観。(撮影:間澤智大)

M1997の展示室。(撮影:間澤智大)
ふたりが城崎を訪れたのは6年ほど前のこと。
〈OFF KINOSAKI〉をオープンしたばかりの料理人・谷垣亮太朗さんに
会いに行ったのがきっかけだった。
そこでさまざまな“城崎人”を紹介してもらったことで、
地域コミュニティの温かさや、観光客と地元住民のバランスの良さに惹かれ、
城崎への移住を考えるなかで運良く物件の話が耳に入り、
住居兼店舗として開業することを決めた。

定期的に手入れがされている状態のいい空き家を取得・リノベーションし、1階を店舗、2階を住居として利用。
「やるなら井上茶寮とは違う業態で、
城崎に滞在する価値を高められるような店舗を目指したかったんです」(有紀さん)
井上茶寮としてのポップアップ出店を経て、OFF KINOSAKIの3軒隣に、
2022年10月、ペイストリーショップ〈PARADI〉をオープンした。

〈OFF KINOSAKI〉、ポップアップスペース〈MMM〉の並びにできた〈PARADI〉。

名物は「クロワッサン」(290円)。香ばしいクラスト(外側)と、弾力あるクラム(内側)のコントラストが芸術的! 噛みしめるほどに北海道産小麦のほんのりとした甘みとバターの芳醇な香りが鼻を抜ける。「うちのクロワッサンは、割ると生地が切れずにもっちりと伸びるんですよ」と祖人さん。昼前に行けば焼きたてが買えるかも。

イートインはワンドリンク制。コーヒーやカフェラテのほか、井上茶寮のアイスティーや自家製コンブチャも。

井上茶寮の看板商品の「カヌレ羊羹」はPARADIでも扱いがある。贈答用としても人気が高い。
店内は賑々しく、平日にもかかわらず多くのお客さんが訪れていた。
スイーツとコーヒーとともに写真を撮り合う外国人観光客。
カップル温泉旅行だろうか。大きなバッグでやってきて、
お目当てのパンを買いホクホク顔の彼女と、それをやさしく見守る彼氏。
休憩時間に颯爽とパンを買っていく旅館の従業員は常連だそうだ。
甘いものを前に、人は自然と笑顔になる。

「基本的には地元の方が7割で、観光客は季節によって変動があります。
眼の前が桜並木なので、桜の時期は混み合いますね。
地元の人に来てもらうお店になることを最初から意識しています」(有紀さん)

































































































