連載
posted:2024.10.28 from:青森県八戸市 genre:旅行 / 食・グルメ
PR 宝酒造
〈 この連載・企画は… 〉
各地のライターが、全国のまちで思わずその場で缶を空けたくなるほど魅力的な「焼酎ハイボールのお供」を見つけます。
“お供”とはご当地グルメに限らず、風光明媚な景色や地域の方々との対話なども立派な酒のアテ!
焼酎ハイボールを通してそのまちの多面的な魅力を発信していきます。
writer profile
Chihiro Kurimoto
栗本千尋
くりもと・ちひろ●青森県八戸市出身。旅行会社勤務→編集プロダクション→映像会社のOLを経て2011年よりフリーライターに。主な執筆媒体はマガジンハウス『BRUTUS』『CasaBRUTUS』『Hanako』など。2020年にUターンしました。X(@ChihiroKurimoto)
credit
撮影:黒川ひろみ
全国で、思わずその場で缶を開けたくなるほど魅力的な
「焼酎ハイボールのお供」を見つけるこの連載。
今回は、青森県八戸市にUターン移住し、
八戸市の情報を発信するウェブメディア『はちまち』の編集長も務める
ライターの栗本千尋さんがアテンドします。
八戸の横丁からこんにちは。
2020年に青森県八戸市へUターンした、ライターの栗本千尋です。
すでに酒場を堪能して“いい気分”状態なのだが、
まずは八戸のことを紹介していきたい。
青森県はおおまかに津軽地方、下北地方、南部地方にエリア分けされ、
それぞれに異なるカルチャーが根づいているのだが、
八戸市はこのうちの南部地方にあたる。
県の南東部に位置し、太平洋に面するため漁業が盛んだが、
農業や畜産業も行われ、さまざまな食べ物が集まるため、
食通にはたまらないまちだ。
しかも、八戸には酒好きが多い。
中心街には8つの横丁が張り巡らされ、さまざまな酒場を楽しむことができる。
そんなわけで、酒場帰りに撮ってもらった写真を見たら、
普段あまり笑わない私もいい笑顔をしていた。
さて、時を戻して、昼頃からの様子をお届けしたい。
取材班が八戸にやってきたので、まず案内したのが種差海岸。
なかでも種差天然芝生地は、波打ち際まで天然芝が広がる
全国的にも珍しい場所だ。
なんでも、海水面の変動や隆起によって
海底が地上に現れた地形で、「海成段丘」と呼ばれるらしい。
ゴツゴツした黒い岩肌に、緑色をした芝生のコントラストが美しい。
司馬遼太郎は著書『街道をゆく』のなかで、
「どこかの天体から人がきて地球の美しさを
教えてやらねばならないはめになったとき、
一番にこの種差海岸に案内してやろうとおもったりした」
と評した。そんな場所が地元にあるなんて!
この風光明媚な種差海岸から、市街地エリアへ向かう。
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まずは、江陽という市街地にある〈大金食堂〉へ。
八戸市民だけでなく近隣市町村からも買い物客が訪れる
ショッピングセンター〈ラピア〉のすぐ近くにある。
私の出身の学区にあるのだが、実は初入店!
ドキドキしながらのれんをくぐると、なかなかディープな空間が広がる。
民芸品のお面にだるま、招き猫、プロレスのポスターに野球チームのカレンダーなど、
統一感のなさが、かえって心地よい。
カウンターの上に掲げられた短冊メニューには、「バラ焼」「ホルモン焼」の文字が。
このふたつが、〈大金食堂〉の名物らしい。
ホワイトボードに貼られた紙にはその日食べられるメニューが並ぶ。
キムチやチャンヂャ、チヂミ、スンドゥブなど、韓国料理が多い。
その理由は、このお店のルーツにあった。
「先代のおばあちゃんは、韓国からこの南部地方に流れ着いた人。
このへんだと十和田のバラ焼きが有名だけど、もともとは韓国からきた
おばあちゃんたちが、韓国のプルコギによせてつくったのがはじまり。
プルコギは野菜がいっぱいだけど、バラ焼きはタマネギと牛バラ肉でつくるの。
それが南部地方で広がっていったんだね」
そう話すのは、2代目の原井栄子さん。
先代の君子さんは、結婚を機に19歳で来日すると、山口、福島を経て八戸へやってきた。
そうして八戸で約60年前に開いたのが〈大金食堂〉だ。
栄子さんは、40年ほど前から義母である君子さんの手伝いをするようになったという。
もとはJR小中野駅の高架線沿いに店を構えていたが、2015年に現在の場所へ移転した。
その2年後に君子さんが他界。栄子さんは先代直伝の味つけを今も守り続けている。
にんにく、コチュジャン、ゴマなどを使った自家製のタレに
たまねぎと牛バラをもみ込み、甘辛く仕上げるという。
「バラ焼きとホルモン焼をあいのせにするお客さんが多いよ」と
栄子さんにおすすめされ、「それでお願いします!」と即答。
豚のレバーやコブクロ、タンなどをミックスしたホルモン焼きは、
みそベースのタレで、バラ焼きとは味つけを変えている。
ホルモンは、かたいところを取り除き、
においがするところはこそげ落とすから、処理するのも半日がかりだという。
各テーブルに設置されたコンロに、開店当初から使っているという浅型の鉄製鍋をセット。
火にかけてもらうと、香ばしい香りが漂いはじめる。
……そうだ、お酒を用意しなくちゃ!
〈大金食堂〉では、飲み物用のショーケースから自分でとるスタイル。
ありました、焼酎ハイボール!
缶や瓶をテーブルに上げておくと、最後に計算して会計してくれる。
バラ焼きとホルモン焼きができあがるまで少し時間があるので、
まずは栄子さんが出してくれたタコの頭の刺身(800円)と、
菊のおひたし(300円)で乾杯!
この地域には食用菊を食べる文化があり、私も幼い頃によく食べたのだが
当時はあまりおいしいと思っていなかった。
だが、久しぶりに食べた菊はシャッキリとした食感でおいしい。
「お湯に酢を少し入れてゆでると、シャキッとするし色もキレイに出るのよ」と
栄子さんが教えてくれた。
タレの水分が飛んで、白いたまねぎが飴色になってきたら、できあがりの合図。
牛バラ肉とホルモンを混ぜながら食べると、味が絡まって深みが出る。
そこに焼酎ハイボールで追いかけて脂をすっきり流すと、また食欲がわいてくるのだ。
「これで足りる? お肉もっと追加しようか?」と栄子さん。
いえいえ、2軒目もあるので……と遠慮して、後ろ髪を引かれる思いで店をあとにした。
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〈大金食堂〉から、八戸市の中心街へ。
ショッピングセンターの〈ラピア〉からバスが出ていて便利だ。
先述したように、八戸市の中心街には8つの横丁が張り巡らされている。
2002年の東北新幹線八戸駅の開業にともないオープンした
〈みろく横丁〉が今では有名だが、〈花小路〉、〈ロー丁れんさ街〉、
〈長横町れんさ街〉、〈たぬき小路〉、〈五番街〉、
〈八戸昭和通り〉、〈ハーモニカ横町〉などの昔ながらの横丁は、
赤提灯が吊るされたり、カラフルな看板が灯ったりしていて、歩くだけでも心踊る。
さて、〈長横町れんさ街〉へやってきた。
ここは鎖をつなぐようにして飲食店が並んだことから
昭和20年代からそう呼ばれているという。
なかでも最古参なのが、〈章(あきら)〉。
2軒目の目的地はこちらです!
〈章〉は予算を伝えるとおまかせでコース料理を出してくれる。
1人前で4000円からが目安だ。
人気店なので、事前に予約することを強くおすすめする。
戦後まもなく、お茶漬けの専門店として開店した〈章〉は、
その後、定食屋を経て今のようなスタイルに。
現在お店を切り盛りするのが、3代目の青山いく子さん。
名物女将として地元で愛されている。
「初代はすごく儲けたみたい。2代目はそこそこ。
3代目はぜーんぜん儲かってない」と笑う。
連日満席の人気店なのに、「原価率、大丈夫そ?」ってくらい
採算を度外視したおもてなしをしているからだろう。
刺身の盛り合わせ、なんとこれで1人前。
まぐろやサーモン、エビ、アワビなど、10種類以上乗っていた。
しかも、どれもプリッとコリッと、それぞれの食感がしっかりあって
これぞ海の幸〜〜〜〜! という感じ。
「魚屋さんは3軒くらいハシゴして鮮度のいいものを仕入れているの」といく子さん。
さて、アテが到着したので、缶をプシュッと開けてまいりますよ。
〈章〉ではなんとお酒の持ち込み可なのだ。
「みなさんお金を持っているとは思うんだけど、お酒ってお金かかるでしょう。
たくさんいただくのは申し訳なくてね〜」と、なんという商売っ気のなさ!
馬刺しや刺し盛りを食べた時点ですでに満足してしまっているのだが、
実は、〈章〉はこれからが本番。
カセットコンロがテーブルにセットされると、「あきら風すき焼き」の登場だ!
八戸市のお隣、五戸町のブランド黒毛和牛「倉石牛」が、
これでもかというほど乗っている。
美しい赤身の肉に網目のサシが入っているのが見てわかるはず。
火をかけると……
白い脂身が熱で溶け出していく。あまり火が通りすぎないうちにひと口。
思わず天をあおいで笑ってしまうほどのうまさ……
うまい脂を、〈焼酎ハイボール〉ドライで流し込む。
辛口でキレがいいので牛肉の味わいを邪魔することなく、
しかも毎回お口をリセットしてくれるので、食事もお酒も飽きずに楽しめる。
八戸の名物料理に最適じゃないか。
牛肉の下に敷いてあるトマトと玉ねぎが熱されてきたら、
一緒に食べるとコクとほのかな酸味も感じられる。
たらふく食べてすっかり満腹なのだが、この割り下を使って雑炊をつくってくれる。
肉や野菜のうまみがたっぷり染み出した割り下にごはんが合う……。
お腹がはちきれそうになるほどなのに、
女将さんに「足りた? まだ食べられる?」と聞かれ、ふき出してしまう。
なんてサービス精神旺盛なんだ!
おもてなし精神にあふれた2軒をめぐって、大満足してしまったが、
東京時代によくご一緒したフォトグラファーの黒川さんに久しぶりに会えたので、
さらにもう1軒お誘いした。
八戸の横丁は夜遅くまで営業しているので、
〆ラーメンに〆寿司、〆カレー、〆焼肉など、飲み会の〆を選び放題なのだ。
かの司馬遼太郎の一節が浮かぶ。
どこかの天体から人がきて地球の「おいしいもの」を
教えてやらねばならないはめになったら、
私は一番にこのディープな八戸酒場コースを案内してやろうと思う。
ガツンとくる辛口ドライチューハイ!
昭和20年代後半の東京・下町の大衆酒場で生まれた
元祖“焼酎ハイボール”の味わいを追求。
ベースアルコールに伝統の宝焼酎を使用することで実現した、飲みごたえと
キレのある辛口な味わいに加え、プリン体ゼロ※1、甘味料ゼロ※2、糖質ゼロ※3
といった機能面もうれしいひと缶です。
※1 100ml当たりプリン体0.5㎎未満をプリン体ゼロと表示。
※2 食品添加物としての甘味料は使用していません。
※3 食品表示基準に基づき、100ml当たり糖質0.5g未満を糖質ゼロと表示。
information
大金食堂
住所:青森県八戸市江陽1-29-7
TEL:0178-43-6940
営業時間:17:00〜22:00
定休日:日曜
information
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