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連載

庭で、道端で、畑で、山で。
“手摘み野草”でつくる、
簡単「七草粥」レシピ
七草の味わい比べも!

糸島での自給自足の日々を綴った
―田舎暮らし参考書―
vol.072

posted:2024.12.20   from:福岡県糸島市  genre:食・グルメ

〈 この連載・企画は… 〉  田舎へ移住を考えている人、すでに移住した人。
そんな方の、暮らしの参考やアイデアになるはずです。農業、狩猟、人とのつながり、四季のこと。
福岡県糸島で自給自足生活を営む〈いとしまシェアハウス〉の暮らしをお届けします。

writer profile

CHIHARU HATAKEYAMA

畠山千春

はたけやま・ちはる●新米猟師兼ライター。3.11をきっかけに「自分の暮らしを自分でつくる」活動をスタート。2011年より鳥を絞めて食べるワークショップを開催。2013年狩猟免許取得、狩猟・皮なめしを行う。現在は福岡県にて食べもの、エネルギー、仕事を自分たちでつくる〈いとしまシェアハウス〉を運営。2014年『わたし、解体はじめました―狩猟女子の暮らしづくり』(木楽舎)。第9回ロハスデザイン大賞2014ヒト部門大賞受賞。
ブログ:ちはるの森

※野生植物は毒を持つものもあるため、必ず毒性がないか調べてからつくりましょう。
※採取する際は、土地の持ち主さんに許可をとってからにしましょう。

こんにちは。
「食べもの・お金・エネルギー」を自分たちでつくる
〈いとしまシェアハウス〉のちはるです。

2024年も終わろうとしていますね。
そろそろ「おせち」の準備にとりかかる方もいると思いますが、
今回はちょっと気を早くして、年明けの1月7日に食べる
「七草粥」について書いてみたいと思います。

豪華なおせち料理が続いたお正月の胃の疲れを
やさしく癒してくれる、七草粥。
この日にお粥を食べると、一年息災で過ごせるといわれています。

器に盛られた春の七草粥をスプーンですくっている写真。

春の七草は、セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、
ホトケノザ、スズナ(かぶ)、スズシロ(大根)。

旧暦の1月7日「人日(じんじつ)の節句」の風習として食べられてきましたが、
新暦に当てはめれば2月中旬頃にあたるので、
正月明けにすべての野草を探すのはなかなか難しいともいわれています。

とはいえ、せっかくなので
年明けに備えて、七草の生えている場所に目星をつけるべく、
家の周辺、畑や山を探索してみました。

庭で、道端で、畑で、山で。意外と見つかる「春の七草」

まずは、庭で見つけたのは野草の王道「セリ」。
以前、川の近くに生えていたものを移植して、普段使いしています。

庭に根づいたセリを手にしている写真。

我が家の庭に根づいたセリ。

独特の爽やかな香味が食欲をそそるので、
お味噌汁に入れたり卵とじにしてみたり、とても身近な野草。
おいしいだけでなく、鉄分が豊富で増血作用が期待できるのだとか。

続いて「ハコベラ」。
わさっと大量に生えていて、
ぽきっと折ると、爽やかないい香りが鼻に抜けていきます。
やわらかく、苦みも少ないので、サラダなどでもいけます。
我が家の鶏も大好きな野草。

小さな花を咲かせたハコベラの写真。

小さな花を咲かせたハコベラ。

ハコベラは消炎作用が強く、歯槽膿漏や歯肉炎などにも効果があるとされ、
乾燥させたものを塩と合わせて歯磨きに使う人も。
我が家でも昔、搾り汁と塩を混ぜて乾燥させた
「ハコベ塩」を手づくりしていました。

そして、畑に向かう道端で
ピンクの花を咲かせた「ホトケノザ」(シソ科オドリコソウ属)を見つけました。

シソ科オドリコソウ属の「ホトケノザ」の写真。紫色の花を咲かせている。

ホトケノザ……という名前の植物だけれど、七草に詠われている野草ではない⁉

「あった!」と喜んだものの、実は春の七草に使われるホトケノザは
この植物ではないんです。

食用とされるのは「コオニタビラコ」というキク科の植物で、
黄色い花を咲かせた、まったく別の植物なのです。

黄色い花を咲かせたコオニタビラコの写真。

春の七草に詠われるホトケノザは、このコオニタビラコなんです。

じつは、間違えて収穫し、食べちゃった年もありましたが、
とりあえず大量に食べなければ毒性はないようなのでホッとしました。(笑) 
みなさんは、どうかお間違えのないように! 

そのまま歩いて行くと、
野生の大根「ハマダイコン」を見つけました。
葉や茎の風味は大根そのもの! 
ビタミンCや食物繊維が豊富といわれています。
ただ、根っこは細く繊維質なので、
普通の大根と比べると、ちょっと味が落ちるかも。

ハマダイコンを上から撮った写真。

見つけたハマダイコン。春には紫色の花を咲かせます。

これが正確に「スズシロ(大根)」の代わりになるかは微妙ですが、
なるべく山に生えているもので春の七草を揃えてみたいので、
今回はこのハマダイコンを使っていきます。

小さな白い花をつけたナズナの写真。

ナズナを発見!

そしてその先には、ぺんぺん草ともいわれる「ナズナ」を発見。
普段からよく見かける身近な野草のはずなのに、
いざ探してみると意外と見つからないから不思議です。
まだ季節が寒かったかな? 

その後、残りの野草「スズナ(かぶ)」と「ゴギョウ」を探しに畑へ。

収穫したばかりの小さな赤カブを手にした写真。

スズナは畑から収穫しました。

新鮮な「スズナ」を収穫したら、
すぐ下に「ゴギョウ」が生えているのを発見! 

小さな産毛と黄色い花がかわいらしいなあと思っていましたが、
春の七草だったとは知らなかった。
食べるのは今回が初めて。どんな味がするのか楽しみ! 

黄色い花のつぼみをつけた、ゴギョウの写真。

こちらがゴギョウ。ハハコグサとも呼ばれています。

山の散歩を兼ねた春の七草探し、7種類無事に揃いました!

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七草粥の簡単レシピ

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野生の春の七草で「七草粥」をつくろう!

トレーに乗せられた、春の七草の写真。

野草をしっかり洗っておきます。

では、さっそく「七草粥」をつくっていきます。

まず野草をしっかりと洗い、
さっと茹でて冷水へ。
ぎゅっと絞って、食べやすい大きさにカットしておきます。

春の七草を湯がいて、水気を絞り、まな板にのせた写真。

春の七草を湯がいたもの。水気をしっかり絞るのがポイント。

たっぷりの水でご飯をコトコト煮て、
おかゆができたら、食べる直前に
野草を混ぜ混ぜ、塩を振ったらできあがり。

春の七草を湯がいて細かく切り、器に盛った写真。

春の七草を湯がいて細かく切ったもの。これをお粥に混ぜていきます。

とろけたお米のやさしい甘さと、野草の香りが合わさって、
するするとお匙が進みます。
疲れた胃腸をいたわってくれる、まろやかな味わい。
豆乳ベースにしたり、中華風にアレンジしてもよさそう。

器に盛られた七草粥のまわりに、生の七草を飾りつけた写真。

次のページ
お気に入りの味があるかも? 春の七草食べ比べ

Page 3

春の七草、それぞれどんな味わいがする?

せっかくなので、
七草のいくつかを別々に湯がいて、食べ比べをしてみました。

手で折ったときにすごくいい香りがした「ハコベラ」。
生でかじったときも野生の風味たっぷりでおいしかったけど、
湯がくとさらに風味がイイ! 
クセの強いセリを少しマイルドにしたような味わい。
これは普段使いできそうです! 

「セリ」は安定のおいしさ。
三つ葉にワイルドさをプラスしたような風味です。
おひたしでも、お味噌汁に入れても、炒めものでも使える万能の野草なので、
野菜が足りないとき庭から摘んで使っています。

ナズナのズームアップ写真。

菜の花のような風味でおいしい「ナズナ」。

「ナズナ」も予想外においしい。
ちょっとかためなので、しっかり茹でる必要がありますが、
菜の花のような味がしました。
見た目が華やかでかわいいので、これはこれでアリ!  

そして「ゴギョウ」。
青臭さが少々気にはなるものの、春菊のような風味がしました。
香りの強い食べ物が大好きなので、
個人的にはイチオシ。おいしかったです! 

オリジナルの「おせち」「お屠蘇」「七草粥」を手づくりしませんか?

「山に行くのはちょっとハードルが高いな」という方でも、
この時期であれば「七草粥セット」がスーパーで簡単に手に入ります。
もし売っていなかったとしても、
かぶと大根で二草粥! なんていうのもお手軽で楽しそう。
オリジナルの七草粥、ぜひ楽しんでみてくださいね。

また、「おせち」を手づくりする予定の方や、
オリジナルの「お屠蘇」をつくってみたいという方は、
以前にご紹介した
「お正月準備はこれでOK! 野草の手づくり『お屠蘇』と『3種のおせち』レシピ」
もぜひ参考にしてみてくださいね。

ガラスの器に入った、あめ色のオリジナルお屠蘇と、薬草・野草の写真。

以前ご紹介した、野草の手づくり「お屠蘇」。

おまけ

年末に、コロカル編集長の山尾信一さんが我が家に遊びにきてくれました! 
じつはオフラインでお会いするのは初めて。
やっとお会いできてうれしい〜! 
野草とイノシシの料理をたくさんつくりました。

畠山千春さん、その夫、こども、山尾さんが、シェアハウスの玄関前で一緒に写った写真。

一番右が山尾さん。

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