ホビーのまち静岡で初開催 高校生がプラモデルの出来栄えを競う 〈第1回全国プラモデル選手権〉

"模型の世界首都"で開かれるプラモデルの甲子園

静岡市は日本全国のプラモデル製造品出荷額の80%を超えるシェアを誇ります。
静岡に本社や事業所を置く模型関連メーカーは13社以上。
国内外の模型ファンたちの間で静岡は"模型の世界首都"と認識されているのだとか。

静岡市内にある久能山東照宮

静岡市内にある久能山東照宮には、プラモデルが奉納されています。

静岡におけるプラモデル製造の背景には長い歴史があります。
古くから木材加工がさかんな静岡市には
寺社仏閣の造営のため、全国各地から優秀な職人が集められました。
こうして地域に受け継がれた技術を生かし、木製模型産業が生まれ、
さらにそれがプラモデル産業に発展しました。

このような背景から静岡市は世界に誇るプラモデルを核に「ホビーのまち静岡」として
さまざまな取り組みを行っています。

その一環として12月7日、8日に記念すべき第1回が行われるのが、
〈全国プラモデル選手権大会 次世代模型フェスティバル
in ホビーのまち静岡(以下プラモデル選手権)〉です。

大会に参加できるのは全国の高校生。
部活動として模型を作る模型部などを中心に、
学校単位で参加する大会で、いわばプラモデルの甲子園です。

大会は

(1)課題テーマ部門

(2)ジオラマ部門

(3)単体部門

の3つの部門で行われます。

課題テーマ部門とジオラマ部門は5人までのチーム、
単体部門は1人で制作することになっているほか、
プラモデルキットの使用や、展示面積など、
参加の条件やレギュレーションに従う必要があります。

大会への参加申込は、7月12日~9月末までに行われました。
課題テーマ部門には4作品、 ジオラマ部門には19作品、
単体部門には133作品がエントリー。
12月7日、8日に行われる本戦に進めるのは30校ほどです。

『全国プラモデル選手権大会 次世代模型フェスティバル in ホビーのまち静岡』のポスター

〈全国プラモデル選手権大会 次世代模型フェスティバル in ホビーのまち静岡〉のポスター。

大会当日は、会場のツインメッセ静岡 北館に制作した作品を持ち込んで展示。
高校生たちは審査員や一般来場者に向けて
プレゼンテーションも行うことになっています。

くず餅の原料「葛」は、花も美味!  酵素シロップ、砂糖漬け、花茶…… 葛の花の活用レシピ5選

こんにちは。
「食べもの・お金・エネルギー」を自分たちでつくる
〈いとしまシェアハウス〉のちはるです。

山道を歩いていて、ブドウのような甘い香りがふわりと漂ってきたら、
近くに「葛(くず)」の花が咲いている証拠かもしれません。
それほど、葛の花は目が覚めるほどにいい香り! 

葛は、秋の七草のひとつに数えられ、
和菓子や料理などに使われる“葛粉”の原料として
古くから日本で親しまれてきた植物です。

紫色の花を連ねて咲かせた葛の花の写真。

葛の花は、昔から漢方薬として重宝されていました。

一方で、驚異的な繁殖力を持つ外来種として、
アメリカを中心に世界から恐れられていることを知っていますか? 

アジアを原産地とするこのツル植物は、
1日に30センチ以上も成長することがあるといわれ、
ほかの植物を覆いつくすように繁殖するため
IUCN(国際自然保護連合)による
「世界の侵略的外来種ワースト100」にも選定されています。

ほかの植物を覆うように繁殖した葛の写真。

田んぼに侵入する葛。ほかの植物の育成を阻害し、生態系を破壊するといわれています。

厄介な植物として駆除の対象となってしまった葛ですが、
日本では古来から薬として用いられたり、和歌にも詠われたりしてきました。

今回は、そんな葛の花でつくる
「シロップ」や「花の砂糖漬け」のレシピなどをご紹介します。

スミレ、レンゲ、たんぽぽ、梅……
今までいろんな野花のシロップをつくってきましたが、
今回は、過去最高においしいものができあがったと思います‼ 
どうぞご期待ください! 

葛の花を房からとる作業の写真。

「栗」の鬼皮・渋皮、捨てないで! 汚れた子ども服がかわいく復活 “草木染め”レシピ

こんにちは。
「食べもの・お金・エネルギー」を自分たちでつくる
〈いとしまシェアハウス〉のちはるです。

甘くてホクホクな秋の味覚「栗」。
私は栗が大好物で、毎年栗拾いを楽しみにしています。
以前、「旬の「栗」レシピ4選」という記事で、
お気に入りの栗レシピや、田舎の知恵がつまった保存&調理法、
鬼皮がスルッと剥ける裏技をご紹介しました。

そして、栗拾いをしたら、我が家で必ずつくるのが「栗の渋皮煮」。
つくったことがある方はご存じかと思うのですが、
渋皮ごと煮込んだ栗の煮汁って、すごく美しい色なのです! 
ビンテージワインのような深い赤茶色。
あまりに美しいので、
いつもこれで何か染められないかと考えていました。

そこで、今回はちょっと汚れがついてしまった子ども服を
この煮汁で草木染めし、復活させたいと思います! 

鍋で煮られている渋皮付きの栗。赤茶色の美しい染液に浸っている。

栗の渋皮煮をつくると、赤茶色の美しい染液ができます。

大人の服を草木染めするには、それなりの量の煮汁が必要ですが、
小さな子ども服なら、少ない量でOKなのがうれしいところ。

そして、既に汚れがついてしまっている服なら
ちょっと失敗しても「まあいっか」とおおらかな気持ちになれます(笑)。

今回草木染を行う、白地に文字イラストが入った子ども用Tシャツと、ピンク地にイヌのようなイラストが描かれた子ども用Tシャツが並んだ写真。

白とピンクのTシャツで染まり具合を比べてみたいと思います。

染めるのは、テキスタイルデザイナーの友人からいただいた
かわいいTシャツたち。

食べこぼしのシミが気になって、
なんとなく手にとらなくなってしまったこの服たちを、
栗染めで生まれ変わらせたいと思います。

包丁、ハサミ、爪切りなど 良質な刃物製品が集まる! 〈関市刃物まつり〉が 10月12・13日に開催

〈刃物〉の国内シェアが50パーセント以上を誇る、岐阜県関市

岐阜県関市では、毎年10月第2週の土日に〈関市刃物まつり〉が開催されます。
市内の刃物メーカーや卸売業者が出店し、包丁やハサミ、爪切り、ナイフなど、
関市が誇る高品質な刃物製品をリーズナブルに購入できるとあって、
毎年国内外問わず、多くの人が来訪する関市の一大イベントとなっています。

また、“刃物のまち”ならではのイベントも盛りだくさん。
なかでも必見なのは、刀匠による「古式日本刀鍛錬実演」や、
「居合切り」といった伝統と歴史に裏づけされた関市ならではの行事です。

「古式日本刀鍛錬実演」は迫力満点。

「古式日本刀鍛錬実演」は迫力満点。

関市の刃物は、鎌倉時代に誕生した刀鍛冶による産物

700年以上の日本刀の歴史を持つ関市。
この地域を流れる長良川と津保川の良質な水と土、
炉に使う松炭が豊富だったことから、
古くは、鎌倉時代に刀鍛冶の「元重」と「金重」が
移り住んだことにより始まります。
このふたりは、“関鍛冶の刀祖”と呼ばれ、関の刀は
「折れず、曲がらず、よく切れる」と有名になりました。

その後、理想的な日本刀をつくれる材料があるという噂が広まり、
各地から刀鍛冶が集まるようになり、室町時代にはその数が
300人を越えるまでになったのだとか。

関で受け継がれた刀剣。

関で受け継がれた刀剣。

現代でも包丁として有名な「関の孫六」は、まさにこの時代に誕生したもので、
独特な鍛刀法でつくられた頑丈な刀には、〈三本杉〉の刀文が施されています。
この技術と精神が受け継がれた関市は「世界三大刃物産地」となり、
その名は海外にも知られるまでになりました。

石川県の繊維加工メーカー 〈小松マテーレ〉が開発。 汚れがつきにくいエプロンの秘密

1943年創業の繊維加工メーカー〈小松マテーレ〉が技術力を結集させた商品

1943年に石川県小松市で繊維加工メーカーとして創業した〈小松マテーレ〉。
「合成繊維の産地・北陸から世界へ」を合言葉に、日本人ならではの感性、
独自の技術力を素材に折り込み
染色後加工の領域を中心にさまざまな生地を手掛けています。
創業以来、独自の高度な染色技術と高次後加工技術を生かし、国内だけでなく、
世界中のファッションブランドやスポーツブランドとともに
ハイレベルなモノづくりを行ってきました。

繊維加工メーカー〈小松マテーレ〉

〈小松マテーレ〉が掲げるスローガンは「Art in Technology」。
最先端の技術を核に、これまで培った匠の技と感性を組み合わせ、
いままで以上に素晴らしいモノづくりを実現し、
新たなマーケットをつくり出そうとしています。
ヨーロッパを中心に世界的ファッションブランドの数々と取引を進め、
フランス・パリのテキスタイルの世界最大級の国際見本市「プルミエール・ヴィジョン」では
2013年にグランプリを受賞しています。

さらに最近では、繊維分野だけにとどまらず、建築や土木、車輌をはじめ、
エレクトロニクス、環境関連事業など、さまざまな分野へ多角的に事業を拡げました。

また、〈小松マテーレ〉は1999年に地球環境の保全を経営の最重要課題として位置づけ、
「小松精練(当時)環境管理宣言」を策定。
これからの持続可能な社会の実現に向け、2020年度に5つの項目に整理・統合した
「小松マテーレ・サステナビリティ・ビジョン」をあらためて制定するなど
サスティナブルな取り組みにも力を入れています。

耐久防汚ファブリックを使った自然派エプロンを新開発

家族で使える自然派エプロン

そんな〈小松マテーレ〉が新たに企画したのが、天然素材のような見た目でありながら
汚れがつきにくく、家族で使える自然派エプロンです。
きっかけは企画担当者が結婚し、真っ白なリネンのエプロンを購入したものの
油や調味料で汚れてしまった経験から。
そこで注目したのが、優れた汚れ除去スピードを実現した
耐久防汚ファブリック〈ダントツオチール(R)〉。
調味料や調理油、機械工作現場での機械油等に加え、さまざまな場面で発生する皮脂や
襟垢汚れまで幅広い汚れを、すばやく、きれいに落とす〈小松マテーレ〉独自の素材です。

耐久防汚ファブリック「ダントツオチール(R)」

本来共存させることが難しい撥油性と親水性を兼ね備えたエプロンで、
撥油性を持たせていて汚れを適度に弾き、汚れても洗濯で簡単に落とすことができます。
しかも洗濯機で100回洗濯しても、機能性をキープ。
撥油性と親水性が長く持続します。
また洗濯してもシワになりづらいポリエステル生地を採用しているため
アイロンがけも不要です。

地域発信の本がおもしろい! それぞれの編集長が推す ローカルブックス7選

ローカル情報一辺倒ではない、誌面づくり

出版への物理的・経済的なハードルが下がったこともあり、
ローカルにおいても、
個人や小さな会社からたくさんの雑誌や書籍が発売されている。
そしてそのクオリティはどんどん高まっている。

そこでローカルをベースにしながら出版されている本を紹介したい。
ひとつ共通しているのは、距離の近さだ。
物理的な近さはもちろん、人と人との心理的な近さも内容に大いに影響しているようだ。
その「距離感」をどう捉えて誌面にしているのだろうか。

本の紹介文は、それぞれの編集長が自ら、思いを込めて書いてくれた。

栗や柿、ブルーベリーの残渣が原料。 サステナブルな服づくりを目指す 岐阜県大垣市の〈のこり染〉

ファッション衣料の生地を染色し、風合いを整える
「染色整理加工」を行っている岐阜県大垣市の株式会社艶金。
染色過程ではたくさんの水を使用したり、大量のCO2を
排出することから、この会社では、環境に配慮した取り組みを行っています。
工場内では、早くから木材チップを燃料とするバイオマスボイラーを導入し、
カーボンニュートラルを実現。また、染色機メーカーとの共同で、
開発した省エネルギー染色機の導入や、2021年より太陽光、風力、水力などの
再生可能エネルギー率を高めてきました。

染色工場内での墨勇志社長。

染色工場内での墨勇志社長。

岐阜県との共同で食物残渣(ざんさ)から染色技術を研究開発

そういった企業理念の一貫から、岐阜県産業技術総合センターと
共同開発でスタートしたのが、食物残渣を生かした染色です。
当時のことを墨勇志(すみゆうじ)社長はこう話します。
「岐阜県産業技術総合センターは、県内の繊維、食品、和紙などの
研究をしているのですが、食品部に地元のピーナッツ加工のメーカーから、
廃棄する殻や渋皮を有効利用できないかという相談がありました。

そこで、繊維部が試し染めをしてみると黄色く染まったのですが、
天然染めは、洗濯したら色が落ちてしまったり、
干すと色が変色してしまったりといった難点があるため、弊社が技術協力し、
1年以上かけて実験、試作を繰り返し、ようやく染料をつくることができました」

初めてピーナッツの皮でつくったあたたかい色合いは、社員たちにも好評だったとか。
それ以後、近隣の農家さんから出る地元産の栗や柿、ブルーベリーをはじめ、
植物廃棄や、企業から持ち込まれるワインの搾りかすやカカオの皮、
老舗の和菓子屋から出るアズキの皮などから、染料をつくり、
現在は12色の天然染料を製造しています。

やさしい色合いの天然染料。

やさしい色合いの天然染料。

〈のこり染〉をスタートしたときには、まだ天然染料に関心を持ってもらうことは難しく、
染色から縫製まで自社工場で一貫して製造し、製品化したのだとか。
展示会に出展しながら、アピールしていくうちに、徐々に環境への意識が高まり、
「廃棄されたカカオの皮で染めた会社のユニフォームをつくりたい」と
飲料メーカーから依頼がきたり、「ノベルティや記念品をつくってほしい」
との依頼で、大手メーカーとコラボするまでに成長しました。

カカオの皮を粉砕して染料の粉に。

カカオの皮を粉砕して染料の粉に。

久留米絣を世界へ! 〈藍染絣工房〉と〈IKI LUCA〉が 切り開く、絣の新しい可能性

愛媛県の伊予絣(かすり)、広島県の備後絣とともに、
日本三大絣のひとつとされる福岡県の久留米絣。

その伝統を受け継ぐ〈藍染絣工房〉を、
久留米絣を用いたブランド〈IKI LUCA(イキルカ)〉の小倉知子さんとともに、
三菱UFJモルガン・スタンレー証券福岡支店の田中鈴音さん、矢原寛人さん、
三菱UFJフィナンシャル・グループ経営企画部の糸川佳孝さんが訪問。
久留米絣を世界へ、そして現代のライフスタイルへつなぐ方法を模索します。

手づくりと量産、共存してこそ成り立つ産地

福岡県南部の久留米市を中心とする筑後地方で
伝統的につくられてきた藍染めの綿織物、久留米絣。
糸の段階で染め分けて柄を織りなす先染めの織物です。

広川町にある〈藍染絣工房〉を訪れると、
織り上がった藍色の反物が青空の下にはためいていました。
1891年創業のこの工房は現在、4代目の山村健(たけし)さんと
5代目の山村研介さんが親子で営んでいます。

「私にとってこの工房は、藍染めの冒険が始まった場所なんです。
偶然ですが、研介さんと私は同い年。
隣町同士、筑後川の水で育ったので、妙に親近感が湧くんですよね(笑)」
と元気よく話すのは、久留米絣を100%使用したファッションブランド
〈IKI LUCA〉の代表を務める、久留米市荒木町出身の小倉知子さん。
金融業界から転身した、異色の経歴の持ち主です。

〈IKI LUCA〉の小倉知子さん。この日着ているのも同ブランドの服。

〈IKI LUCA〉の小倉知子さん。この日着ているのも同ブランドの服。

制作現場を見せてもらう前に、まずは久留米絣の歴史や特徴を
研介さんと小倉さんが説明してくれました。

「久留米絣は、1800年頃に井上伝という
当時12~13歳の少女が考案したと伝えられています。
着古した着物のかすれた部分に注目して、生地をほどいてみると、
藍染めの糸がところどころ白くなっていたんです。
そこから逆算して、糸に最初から白い部分をつくって織り上げたら、
模様ができるのではないかと考えたのです」(研介さん)

最初に作成する図案。黒く塗りつぶされているところに括りを入れる。出来上がりは、この部分が白くなる。

最初に作成する図案。黒く塗りつぶされているところに括りを入れる。出来上がりは、この部分が白くなる。

筑後地方には、九州最大の河川であり、日本三大暴れ川のひとつで
「筑紫次郎」の異名を持つ筑後川が流れ、
肥沃な大地では綿花や藍の栽培が盛んに行われていました。
そんな綿織物の産地で、久留米絣を発案した井上伝は、
やがて1000人もの弟子を抱えるほどに。
西南戦争の際は、官軍兵士が土産として久留米絣を持ち帰り、全国に広まっていきます。

同じ柄だが、左は新品で、右は40年着ている生地。「藍染めには青い成分以外に、アクと呼ばれる不純物が入っていて、繰り返し洗ううちにそれが抜けることで色が冴えてくるんです」(研介さん)

同じ柄だが、左は新品で、右は40年着ている生地。「藍染めには青い成分以外に、アクと呼ばれる不純物が入っていて、繰り返し洗ううちにそれが抜けることで色が冴えてくるんです」(研介さん)

「基本的には普段着の生地に用いられていたのですが、
当時の着物はほとんどが無地や縞、格子。
久留米絣ように柄の入った着物は革新的だったようです」(研介さん)

〈藍染絣工房〉4代目の山村健さん(左)と5代目の研介さん(右)。

〈藍染絣工房〉4代目の山村健さん(左)と5代目の研介さん(右)。

おしゃれな日常着として一世を風靡した久留米絣。
その歴史に驚きつつ、MUFGの糸川さんが質問をします。

「つくるのに手間も時間もかかったと思うのですが、
普段着のわりに高価格にはならなかったのでしょうか?」

「最盛期の戦前は、年間200万反も生産していたそうですが、
色や柄のバリエーションは少なく、効率重視で簡単につくっていました。
戦後は洋装化に伴い生産量が減り、デザインは逆に複雑化していきます」(研介さん)

白い部分が多いほど括りが多くなるので、そのぶん手間がかかる。細かなグラデーションも表現。

白い部分が多いほど括りが多くなるので、そのぶん手間がかかる。細かなグラデーションも表現。

生産量は現在も年々減っていて、10年ほど前は30軒あった織元が
20軒ほどになっているといいます。

「現代の久留米絣は、うちのような藍染め・手織りの織元と、
化学染料・機械織りのところの、2パターンに大きく分けられます」(研介さん)

IKI LUCAの生地は藍染絣工房ではなく、八女市の〈下川織物〉で織られたものですが、
そのようにさまざまな織元がいるのもこの産地の魅力。

「私が履いているこの赤いスカートは、IKI LUCAの最初のアイテムで、
化学染料で赤に染めた糸を機械織りした生地でつくっています。
無地の絣ですが、IKI LUCAでは、敢えてシンプルな
無地や縞の生地を使用した服を展開することで、
いままでアプローチできなかった層にも久留米絣が広がっていけばいいな、
という思いと狙いがあります。

なので、そういった生地をつくる工房に行くと、色とりどりの反物が置いてあって、
こことはまた異なる雰囲気ですよ」(小倉さん)

すると、MUFGの田中さんからも質問が。

「山村さんの工房のように昔ながらの伝統的なつくり方をしている方たちは、
化学染料・機械織りの久留米絣に対して、
どういう思いを持っていらっしゃるのでしょう?」

「価格的に手に取りやすいものと、昔ながらのもの、
両方あることが産地の強みだと思っています。
自分たちのような工房だけなら、おそらく産地として存続できていなかったと思うので、
このふたつがあって現在の久留米絣ということができるでしょう」(研介さん)

北海道富良野の高校生が 企画した地場産品 〈富良野トマトパテ〉が誕生

シビックプライドを育む「産官学連携によるふるさと納税共創プロジェクト」が始動

1999年に、富良野農業高校、富良野工業高校、富良野高校商業科の2校1学科を併せて
開校した、農業科・工業科・商業科の3学科を有する全道で唯一の富良野緑峰高校。
2025年4月には富良野高校と統合した新設校が誕生のため、
本年度は富良野緑峰高校として最後の1年となっています。

富良野緑峰高校の商業クラブ「ビーグルCoCo」

同校で25年の歴史を持つ商業クラブの〈ビーグルCoCo〉は、
地場産品を活用した商品開発などに取り組んでいます。

そんな富良野緑峰高校のビーグルCoCoのメンバー6人が
富良野市と市内事業者である共済農場、地域創生を基幹事業とする
レッドホースコーポレーションと行ったのが
「産官学連携によるふるさと納税共創プロジェクト」です。

「産官学連携によるふるさと納税共創プロジェクト」キックオフミーティング

同プロジェクトは、富良野緑峰高校の生徒が地域資源の価値や魅力について考え、
それを創造することにより、地元地域に対する誇りと愛着を育むことを
目的として企画されました。

「産官学連携によるふるさと納税共創プロジェクト」キックオフミーティング

キックオフミーティングにて、ふるさと納税について理解後、ターゲットの
ペルソナを踏まえ、誰にどんな商品を届けたいか、メンバーひとり最低1アイデアを企画。
生徒の企画を元に、協力事業者が開発商品を選定し、商品化に向けて、開発・試食を行い、
決定した商品を7月~9月の富良野市のハイシーズン(グリーンシーズン)に
学校行事や市内イベント、特産品売り場などで販売し、
並行して、ふるさと納税返礼品として登録するまでを
プロジェクト内容として設定していました。

「産官学連携によるふるさと納税共創プロジェクト」キックオフミーティング

商品開発においては「瓶詰めで保存がきくもの」「甘いもの・塩辛いものが製造可能」
「ソース・ジャム・ドレッシング・味噌であること」「使用可能食材はほうれん草・
チンゲン菜・スナップエンドウ・アスパラ・とうもろこし・トマト・人参のいずれか」
が条件として盛り込まれていました。

丹後の魅力を集めた ポップアップイベント 〈SHARE THE LOCAL 丹後〉 9月より東京、大阪でスタート!

地元のカルチャーが詰まったユニークなアイテムが勢揃い

京都府の最北部に位置する丹後地域。
日本の原風景が残され、土地に根づいたものづくりが今も続いています。

そんな丹後をフィーチャーしたイベントが、
アーバンリサーチが展開する、日本の地域の魅力発信プロジェクト
〈JAPAN MADE PROJECT〉で始まります。

今回は同プロジェクトのなかでも、
各土地の名産品やつくり手たちの想いを届ける
期間限定ポップアップイベント〈SHARE THE LOCAL〉が
9月に東京、10月に大阪で開催。

「NEW WeAVE NEW TANGO(ニューウィーブ ニュータンゴ)」ビジュアル

「NEW WeAVE NEW TANGO(ニューウィーブ ニュータンゴ)」地図

丹後の26ブランドが集って設立した
NEW WeAVE NEW TANGO(ニューウィーブ ニュータンゴ)〉と連携し、
丹後を拠点に活動するつくり手やメーカーのユニークな作品や名産品が登場します。

〈AIKA CRAFT(アイカクラフト)平皿

〈AIKA CRAFT(アイカクラフト)カップ

大阪から京都府北部ののどかで穏やかな海の城下町・宮津へ移住し、
工房を開いた秋鹿(あいか)さんが手がける〈AIKA CRAFT(アイカクラフト)〉。
宮津のような素朴であたたかな器をコンセプトに、
自然の風景や素材をテーマにシンプルで飽きのこない器を手がけています。
底面には鹿のシンボルマークが。

〈PARANOMAD(パラノマド)クッション

〈PARANOMAD(パラノマド)ストール

丹後の織物文化を用い、趣向を凝らした
オリジナルテキスタイルを展開している〈PARANOMAD(パラノマド)〉。
「世界にひとつの窓へ、世界に1枚のカーテンをつくりたい」
という思いからスタートした同ブランドならではの、
唯一無二のテキスタイルが見つかるはず。

〈たてつなぎ)ポーチ

〈たてつなぎ)バッグ

約1300年続く織物産地である丹後で、「やさしい、を織りなす。」をコンセプトに
丹後ちりめんを使ったアイテムを企画・製造している〈たてつなぎ〉。
地元の食品メーカーとコラボレーションした
キャッチーなプロダクトは、持っていると一目置かれそうです。

岡山の気鋭デニムブランド 〈MOMOTARO JEANS〉が 京都に新店舗をオープン!

UNTITLED(THE JEANS IN KYOTO #51–402)2024 ©︎GOTTINGHAM IMAGE COURTESY OF JAPAN BLUE, AS AND STUDIO XXINGHAM

設計は青木淳と品川雅俊による〈AS〉

世界屈指のデニム産地、岡山・児島で
2006年にスタートしたデニムブランド〈MOMOTARO JEANS〉。

デニム織機

〈MOMOTARO JEANS〉

デニム製造の知見と、
染め・織り・縫いの徹底的な探究によって生まれる最高峰のジーンズを、
世界26か所の国と地域に展開しています。

MOMOTARO JEANS KYOTO

“UNTITLED (THE JEANS IN KYOTO #51–402)”, 2024 ©︎ GOTTINGHAM IMAGE COURTESY OF JAPAN BLUE, AS AND STUDIO XXINGHAM

そんな同ブランドが、さらなるグローバル展開をするにあたり、
京都にブランドの世界観を体感できる新店舗を2024年7月13日にオープンさせました。

渾身のZINE 『のへのISSUE3』が完成! 青森と岩手をまたぐ 「戸(のへ)」エリアの文化に触れる

一戸、二戸、三戸……九戸まである「戸(のへ)」の地域

青森県八戸市。コロカルにも何度も登場しているお馴染みのまちですが、
「八戸」という字を初めて見て、「はちのへ」と正しく読める人は、
そう多くないのでは?

この「戸」を「のへ」と呼ぶ地名は、
青森県東部から岩手県北部にかけて一戸、二戸と続き、
四戸を飛ばして九戸まで存在します。

さかのぼること平安時代末期、これらの地域は馬の産地として有名でした。
「戸」には「牧場」という意味もあることから、
地域を9つに分けて馬産を管理していたことが、戸の始まりだといわれています。

鎌倉時代に入ると戸の地域は南部藩の領地となり、
明治時代の廃藩置県によって、一戸と二戸、九戸は岩手県に、
三戸と五戸、六戸、七戸、八戸は青森県に分かれました。
とはいえ、地域に伝わる食や言葉などから、
文化圏としてはいまも同じだということがわかります。

こうした戸に根づく文化を、
現代の視点で編集・デザインをするプロジェクトが〈のへの〉です。
主宰しているのは、青森県八戸市のデザイナー・編集者である髙坂真さん。

髙坂真さん

髙坂真さん。自作のZINE『のへの』と。

「藩政の区分って、いまみたいに自動車もなく移動が困難だった時代のものだから
地形的にも理にかなっているんです。
例えば、同じ青森県内でも八戸から津軽までは山を越えないと行けませんが、
同じ南部藩だった岩手県北部は行きやすくて、心理的にも遠くない。
〈のへの〉の活動によってこのエリアの人たちがつながって、
お互いに助け合えるような関係性ができたらいいな、と思っています。
県は違っても、いろんな輪があるといいですよね」

〈のへの〉が編集するエリア

戸(オレンジ色)と、その周辺地域(黄色)が、〈のへの〉が編集するエリア。

3〜4年ごしの取材を経てつくられた『のへの ISSUE3』

〈のへの〉の活動のひとつに、
戸のものづくりや文化を発信するZINE『のへの』の制作があります。
企画から撮影、執筆、デザインすべてを髙坂さん自身で行っています。

2018年に発行し、現在は〈のへの〉のサイト上で閲覧できる
『のへの ISSUE1』は、八戸市にも残る活版印刷所を取り上げており、
復刻版が2号の付録になっています。
2021年に発行した『のへの ISSUE2』では、
八戸市に伝わる郷土玩具「八幡馬」のつくり手を訪ねています。

そして、完成したばかりの『のへの ISSUE3』では、
戸に唯一残る昔ながらの染物屋に取材。
さらに、エリア内の30の風流山車まつりを紹介しています。

“靴下三大産地”の 兵庫県靴下組合による地域ブランド 〈Hyogo Quality〉が始動

「紳士用の靴下」で日本一の生産量を誇る兵庫県

靴下の三大産地のひとつとして、明治時代から約130年に渡り、
日本の靴下文化をけん引してきた兵庫県。
紳士用の靴下においては、日本一の生産量を誇ります(※2022年時点)。

しかし近年輸入が拡大し、海外製品が安価に出回るようになり
靴下三大産地のひとつとされる兵庫県の靴下業界、ならびに組合もその影響を受け、
会員企業数も減少し続けています。

〈Hyogo Quality〉くつ下

国内の靴下産業全体も例にもれずそのあおりを受けており、
「日本靴下協会・日本靴下工業組合連合会による靴下統計情報」によると
国産靴下の製造量は年々低下しています。

「兵庫のくつ下」を全国有数の地域ブランドへ

〈Hyogo Quality〉くつ下

そんな兵庫県靴下工業組合が、兵庫県産の靴下の魅力を広めようと立ち上げたのが
地域ブランドの〈Hyogo Quality〉です。
研修を通じて新たに開発した新商品を〈Hyogo Quality〉のブランドをつけて販売し、
兵庫の靴下産業を盛り上げる取り組みになっています。
各事業者の強みを活かした付加価値の創出とブランディング戦略で販売を促進し、
「兵庫の靴下」を全国有数の地域ブランドへと成長させるため、
BAN-BANネットワークス株式会社の協力のもと立ち上がりました。

〈Hyogo Quality〉くつ下

新商品開発に向けたワークショップ型研修とその後の商品化に向けた支援を行ったのが、
マクアケが展開する企業の中の研究開発技術を生かした製品プロデュース事業を行う
〈Makuake Incubation Studio(以下、MIS)〉。

今回実施されたワークショップ型研修では、各社が自社技術の強みを定義したうえで
その強みを生かした商品を企画し、販売時の価値設計までが行われました。
在庫を持たずともテストマーケティングとして活用できる
「Makuake」でのプロジェクト実施を見据えた企画です。
プロジェクト終了後にはその結果を元に市場のニーズの
把握やアイデアの仮説検証、およびブラッシュアップも今後行われるそうです。

アンテナショップの「正解」とは? 乃村工藝社に聞いた、 ローカルをつなぐお店のつくり方

2024年8月8日、新潟県の新たなアンテナショップ〈銀座・新潟情報館 THE NIIGATA〉が
銀座5丁目のすずらん通りにオープンした。

銀座のメインストリートから一本離れた通りであるすずらん通りには、
老舗料理店が並び、格式高い雰囲気が漂っているが、
そのなかでも、ひと際開放的な雰囲気を放っているのが〈THE NIIGATA〉だ。

通りに開けた明るいファサードに惹かれて店内に入ると、
従来のアンテナショップのイメージとは大きく異なる、
セレクトショップのような洗練された内装と随所に施された工夫に目が奪われる。

そんな〈THE NIIGATA〉のショップ、イベントスペース、
〈にいがた暮らし・しごと支援センター〉のデザイン・設計をはじめとした
企画・施工・ロゴデザイン・ビジュアルデザインを手がけたのが、
さまざまな空間の総合プロデュースを手がける乃村工藝社だ。

2024年8月8日にグランドオープンした〈THE NIIGATA〉。新潟県のアンテナショップは、表参道から心機一転、銀座5丁目すずらん通りにオープンした。

2024年8月8日にグランドオープンした〈THE NIIGATA〉。新潟県のアンテナショップは、表参道から心機一転、銀座5丁目すずらん通りにオープンした。

本特集「アンテナショップ、進化論。」では、
誕生から現在までのアンテナショップの変遷をたどりながら、
進化を続けてきたアンテナショップに焦点を当てた

その流れのなかで、オフィスや商業施設、ホテルなどを手がける
乃村工藝社のような空間づくりのプロフェッショナルたちが
アンテナショップを手がけるようになった。
そこでは、どのようにしてアンテナショップ〈THE NIIGATA〉が
つくられていったのだろうか。

今回のプロジェクトメンバーのなかから、
施設のコンセプトづくりなど企画を担当したプランナーの二宮咲さん、
空間デザインを担当した清水茂美さん、
ロゴなどのグラフィックデザインを手がけた萩谷(はぎや)綾香さんの3名に話を伺った。
新時代のアンテナショップに求められるものを、
空間をプロデュースする側からひもといていく。

左からプランナーの二宮さん、空間デザインを担当した清水さん、グラフィックデザインを手がけた萩谷さん。

左からプランナーの二宮さん、空間デザインを担当した清水さん、グラフィックデザインを手がけた萩谷さん。

客観と主観の間で揺れる
アンテナショップの「正解」

――今回、〈THE NIIGATA〉の空間づくりを手がけるうえで、
まずどのようなことを心がけたのですか。

二宮: アンテナショップの空間づくりをするうえで、モノを買うためだけの場所ではなく、
きちんと情報をインプットできて、「新潟に行きたい」という気持ちを
抱くような場所にしたいと思っていました。

そのためには、インターネット上ではなく
リアルな場だからこそ得られる情報とはどんなものなのかを考えました。

越後妻有で開催されている〈大地の芸術祭〉に参加したことがあるなど「プロジェクト始動前から新潟県には親近感を感じていた」と二宮さん。

越後妻有で開催されている〈大地の芸術祭〉に参加したことがあるなど「プロジェクト始動前から新潟県には親近感を感じていた」と二宮さん。

例えば、新潟清酒の利き酒ができる有料の試飲スタンド〈THE SAKE Stand〉では、
壁一面に酒瓶をきれいに並べて視覚的に楽しめる空間にしています。

また、中央に設置した大きなテーブルは、
訪れた人たちでテーブルを囲んで、コンテンツの入った情報タブレットを触りながら
お喋りができる空間を演出しました。
店内でより濃い時間を過ごしていただくことで、
新潟への気持ちが高まるのではないかという狙いがあります。

〈THE NIIGATA〉2階の〈THE SAKE Stand〉。日本一の酒蔵数を誇る新潟の日本酒が、中央のテーブルを囲むように並ぶ。

〈THE NIIGATA〉2階の〈THE SAKE Stand〉。日本一の酒蔵数を誇る新潟の日本酒が、中央のテーブルを囲むように並ぶ。

清水: 酒蔵へのリスペクトも込めて、酒瓶はひとつひとつプロダクトとして
ちゃんと見せたい思いがありました。
ラベルのデザインはもちろんですが、
同じ一升瓶でも酒蔵によってビンの色味が違いますし、
それらがきれいに見えるような照明にもこだわりました。

日本酒が美しく見えるようにデザインされた陳列棚。照明にもこだわりが。

日本酒が美しく見えるようにデザインされた陳列棚。照明にもこだわりが。

二宮: 1階の階段奥には新潟の「ものづくり」に焦点を当てた
〈新潟のものづくり採集〉コーナーがあります。
そこには新潟の職人さんたちが実際に使っていた道具や素材を見て、触れて、学べる、
リアルだからこその情報が詰まっています。

「感覚的にストーリーを感じてもらう」というコンセプトは、
〈THE NIIGATA〉としてかなりこだわった部分です。
だから単なるパネル展示で終わらせるのではなく、
実際に店内での「体験」を大切にしています。

〈新潟のものづくり採集〉は3人が新潟に繰り返し足を運んで、見て・聞いて・感じたことが表現されている。

〈新潟のものづくり採集〉は3人が新潟に繰り返し足を運んで、見て・聞いて・感じたことが表現されている。

ーー一般的な店舗や商業施設、オフィスなどの空間デザインとは異なり、
アンテナショップの場合、あくまで自治体が手がけているという点がありますよね。
そのうえで、まずはその地域について「知ってもらうこと」が重要になってきますが、
どのような空間デザインを意識しましたか?

清水: 空間をつくるということ、つまり「3次元で表現する」うえで、
新潟県をどう表現すればいいのか、ということは意識しました。

二宮さん同様、〈大地の芸術祭〉に参加経験のある清水さん。本プロジェクトを経て、さらに新潟愛が深まった様子。

二宮さん同様、〈大地の芸術祭〉に参加経験のある清水さん。本プロジェクトを経て、さらに新潟愛が深まった様子。

ポイントとしては、床材に新潟の川砂利を混ぜてみたり、
商品の陳列棚やイスなどに新潟の木材を使用したり、
来館者の方々から見える場所、触れる場所には
できるだけ県産材のものを使用していることです。

ただし、来館者の方々にこうした情報を得てもらうことは重要ですが、
どこまで「説明」するかは、デザイナーとして葛藤がありました。
商品説明や内装のこだわりはポップなどでも紹介もしていますが、
やはりリアル空間ならではの「感覚的に触れてもらう」ということを大切に考えていました。

萩谷: 私は新潟に行くのが今回のプロジェクトでほぼ初めてだったんです。
ロゴやアイコンなどビジュアルデザインを担当するうえで、
地元の方や関係者との対話を重ねて、新潟のことや先方の想いをしっかりと汲みながら
デザインに起こそうと考えていました。

二宮: 大変だったよね。みなさん地元の特産物に対する思い入れが強いから、
いろいろビジュアルモチーフに関しては細かいところまでフィードバックがあったり。

萩谷さんは「初めての新潟」だったからこそ客観性を持ち、新潟県の人たちとの対話を通してデザインを心がけた、とのこと。

萩谷さんは「初めての新潟」だったからこそ客観性を持ち、新潟県の人たちとの対話を通してデザインを心がけた、とのこと。

萩谷: そうでしたね(笑)。ノドグロのビジュアルに関しては
ヒレの角度とか、アゴのしゃくれ具合とか……みなさんのこだわりを感じました。

これはノドグロの話に限らず、新潟県の方々が思い入れのある「主観」と、
新潟を外から見てきた私たちがいいと思う「客観」に、
ギャップがあることを目の当たりにしました。

でも、そこで県庁さんの想いだけでもなく、
私たちの色に染めるだけでもなく、
これから銀座でお店に来てくれるお客さんにも、
また、新潟県出身の方にもそうでない方にも親しんでもらうためには、
それぞれの視点がアンテナショップには必要なんだと感じました。

新潟の「N」をモチーフにした〈THE NIIGATA〉のロゴ。「見る人によって地図だったり、工芸品だったり、いろんな方向に想像が膨らむデザインにした」と萩谷さん。

新潟の「N」をモチーフにした〈THE NIIGATA〉のロゴ。「見る人によって地図だったり、工芸品だったり、いろんな方向に想像が膨らむデザインにした」と萩谷さん。

〈THE NIIGATA〉のショッパーやホームページのデザイン等に使用された、新潟の魅力を訴求するビジュアルデザイン。

〈THE NIIGATA〉のショッパーやホームページのデザイン等に使用された、新潟の魅力を訴求するビジュアルデザイン。

受け継がれた伝統の美濃焼を 現代のスタイルに合わせて楽しめる。 本町オリベストリートの おすすめスポット4選

古くは1300年以上の歴史を持つ美濃焼。
この文化を受け継ぎ、町ぐるみで美濃焼の魅力を知ってもらおうと誕生したのが、
岐阜県多治見市にあるオリベストリートです。

ここ多治見市には、窯元やギャラリーが点在する
〈市之倉オリベストリート〉、高田焼で知られる〈たかた・おなだオリベストリート〉、
そして今回ご紹介する〈本町オリベストリート〉の3つのスポットがあります。

このオリベストリートの名称は、美濃焼のひとつである「織部」で有名な
美濃出身の戦国武将で、茶人でもあった古田織部に由来。
織部が茶の湯に新風を巻き起こした、その斬新で自由な精神を生かした
まちづくりを進めています。

古民家が続く静かなまち並み。

古民家が続く静かなまち並み。

なかでも、ここ〈本町オリベストリート〉は、古民家を再生した個性的な店舗が建ち並び、
古くから続く焼き物の歴史に触れながら、私たちの生活に根づいた
新たな焼き物との出合いをさまざまなかたちで楽しむことができます。
このエリアを中心に、4月、2日間にわたって開催される〈たじみ陶器まつり〉は、
毎年、約30万人もの人が訪れるほどの人気イベントとなっています。

今回は、〈本町オリベストリート〉のおすすめスポットをご紹介します。

趣のある店内で、「挽きたて」「打ちたて」「ゆでたて」の「三たて」を味わう

古い梁やアンティークの調度品が飾られ、
懐かしい雰囲気を醸し出している〈そば処 井ざわ〉。

打ちたてそばのほか、地酒や地元で採れた食材でつくる逸品がおいしい。

打ちたてそばのほか、地酒や地元で採れた食材でつくる逸品がおいしい。

1901(明治34)年に創業した懐石料理と鰻料理の澤千の系列として、
2000年にオープンしました。
石臼で挽いた自家製粉のそば粉で打ち、汲み上げた井戸水でしめた新鮮で
おいしいそばをゆったりとした空間で、味わうことができます。
地元の名物料理や地酒を地元作家の器で楽しめるのも、陶磁器のまちならでは。
手づくりのぬくもりが伝わり、懐かしさに心癒やされます。

information

そば処 井ざわ

住所:岐阜県多治見市本町5-22

TEL:0572-25-6688

営業時間:11:00~14:30(L.O.) 17:00~22:00(20:30L.O.)※なくなり次第終了

定休日:火曜(祝日の場合は振替)

Web:そば処 井ざわ

波佐見焼ブランド〈zen to〉が 2024年新作をリリース! 五十嵐可菜〈餃子皿〉と 伊藤ひいな〈てのひら湖〉で 食卓を彩って

〈zen to〉が提案する多様なスタイルの“肥前のやきもの”

日本有数の陶磁器の産地として知られる、長崎県東彼杵郡波佐見町。

この地で1917年に創業した陶磁器メーカーの〈株式会社中善〉は、
江戸時代から波佐見焼の技術と精神を継承してきた歴史を土台に、
2020年にオリジナルブランド〈zen to〉を立ち上げました。

zen toブランドディレクターの陶磁器デザイナー・エンジニア阿部薫太郎氏。

zen toは、ブランドディレクターに陶磁器デザイナー・エンジニアである阿部薫太郎氏を迎え、肥前地区(長崎、佐賀のやきもの産地の総称)のさらなる発展と新しい伝統の創造を目指し発足した。

中善の窯元での作業風景。

中善の窯元での作業風景。陶磁器は生地づくりや型づくり、焼き、絵付けなど多くの工程を分業し製造される。

zen toでは2020年以降、ミュージシャンや文筆家、建築家、
プロダクトデザイナーなどさまざまな分野で活躍するクリエイターらを監修者に迎え、
肥前伝統のやきもの技術を駆使した製品を開発。
これまで計8回のリリースを行ってきました。

9回目にあたる2024年の新作は2種。
“食べること、飲むことを通して誰かの幸せに寄り添う”といった思いを大切にする、
90年代生まれのふたりの監修者から生まれた食卓を彩るアイテムをご紹介します。

高台と曲線のバランスが美しい〈餃子皿〉

“餃子皿”。

こんがりきつね色の焼き餃子がベストマッチの“餃子皿”。

東京・永福町に店を構える〈中華可菜飯店〉の
オーナーシェフ・五十嵐可菜さんが提案するのは、
ゆるやかなフォルムが印象的な高台付きの〈餃子皿〉です。

五十嵐さんいわく、町中華でよく餃子が盛り付けられている、
あの楕円形の“愛おしいフォルム”をイメージしているそう。

五十嵐可菜

五十嵐可菜:2021年東京都永福町に〈中華可菜飯店〉をオープン。「健全でヘルシーな中国料理」を届けることをモットーに、肩の力を抜いて楽しめる中国料理を提供する。(2024 年7月にはプロデュース店である〈中華可菜点心〉がオープン予定)

五十嵐さんは、この餃子皿をつくるにあたって
“料理に寄り添ってくれる高台付きのお皿”をイメージしながら、
理想的な曲線になるように何度も議論しこの形に行き着いたといいます。

「私は普段から高台付きのお皿ラバーで、お店でも家でもよく使います。
ですがこの高台付き皿というものは一点物が多かったり、
高台が高すぎると何を盛るかのハードルも上がってしまったりして、
実はなかなかの曲者だったりします。」と、五十嵐さん。

1年以上かけてプロジェクトを進めていったとのことで、
何度もデザインが練られ、曲線のディティールや全体のサイズ感、
高台のバランスがよい美しい一皿に仕上げられています。

うぐいす色の〈餃子皿〉に盛りつけた水餃子

ダークなうぐいす色の器には白くてもちもちの水餃子はいかが?

カラーはアイボリーとうぐいす色のシンプルな2色展開で、
どんな料理にも食材がよく映えそうですね。

カヌレ羊羹を乗せた〈餃子皿〉

季節の生菓子を上品に飾っても◎(カヌレ羊羹:井上茶寮)

“餃子皿”とはいえ波佐見焼ならではのシンプルさとおおらかさ、
温かみも感じられ、中華以外にも多彩なジャンルの料理を盛り付けて楽しめそう!

中華可菜飯店でもこの餃子皿を使用する予定とのことで、
お店に足を運んで料理との相性や使い勝手を実感してみるのもよさそうです。

人間国宝や気鋭作家の工芸作品が集結! 能登半島地震チャリティイベントが 都内で開催

桐本滉平が手がけた器。

3日間のスペシャルイベント

2024年の年明け1月1日に起きた能登半島地震。
7か月経った現在も、未だ手が行き届いていないところがあり、
復興活動が続いています。

そんな能登の伝統や魅力を知ってもらい、復興につなげようと、
「能登からの風」と題して、7月26日(金)〜28日(日)の期間、
東京・代官山で復興支援イベントが開催。

同地の文化を現代的に昇華した気鋭のアーティストから、
重要無形文化財保持者の漆芸家まで、豪華な作家の工芸品が登場します。

漆芸家 桐本晃平

漆芸家 桐本滉平

1992年に石川県輪島市で生まれ、
漆、麻、米、珪藻土を素材とした乾漆技法を用いて
「生命の尊重」を軸に創作を行う漆芸家の桐本滉平。
共同創作にも意欲的で、工芸の領域を超えた作品を生み出しています。

抒情書家 室谷文音

抒情書家 室谷文音

〈滝 | Waterfall〉室谷文音

〈滝 | Waterfall〉室谷文音

抒情書家の室谷文音。
抒情書家の両親のもとに生まれ、箸を持つより先に筆を持っていたという彼女。
ロンドンへ留学後、両親の移住をきっかけに訪れた能登町に惚れ込み、
以来そこにアトリエを能登町に構え、国内外で精力的に活動しています。
能登町ふるさと大使、いしかわ観光特使も務めています。

福岡の伝統工芸「八女提灯」が モダンなライトに生まれ変わって新登場

伝統工芸が現代のライフスタイルになじむデザインに

ご先祖様の道しるべとなる盆提灯として、福岡県八女地方で
約200年前から生産されている「八女提灯(やめちょうちん)」。

この伝統的工芸品の提灯絵とモダンなデザインを融合させた
新しい盆提灯〈tocco(トッコ)〉が誕生しました。

近年、住宅環境の変化に伴う需要の減少や職人の高齢化により、
つくり手の数がこの20年で約1/3にまで減少し、衰退の危機に
直面している八女提灯。

〈tocco〉

〈tocco〉2万8600円。

そこで、〈中川政七商店〉と提灯メーカー〈シラキ工芸〉は、八女提灯を
未来へ継承していくため、産地再生プロジェクトをスタート。

現代の住まいに合うモダンなデザインと、夏に限定せず通年楽しめる
インテリアライトとしての要素をプラスした提灯を開発しました。

緑のパノラマから生まれる、 100年後のジャパニーズウイスキー。 〈久住蒸溜所〉ができるまで

日本国内にウイスキーの蒸溜所が誕生したのは、約100年前。
1923年、京都に建設された〈サントリー山崎蒸溜所〉からはじまり、
現在は全国に100か所を超える蒸溜所があります。
ジャパニーズウイスキーは海外での評価も非常に高く、
今では世界の5大ウイスキーに数えられるほど。

ウイスキーの産地といえば「寒冷地」というイメージですが、
温暖な気候の九州にも、実はいくつかの蒸溜所があります。
そのひとつが、大分県竹田市久住町に設立された〈久住蒸溜所〉です。

代表の宇戸田祥自さんは、ご実家である久住町の酒販店を継ぎ、
世界のウイスキーを販売しながら、「自分の生まれ育ったまちでウイスキーをつくりたい」
という夢を叶えた、めずらしい経歴の持ち主。
そんな宇戸田さんに、蒸溜所の誕生についてうかがいました。

困難の連続だった、はじまりの年

〈久住蒸溜所〉

久住蒸溜所が設立されたのは、世界がパンデミックの最中にあった2021年。
緊急事態宣言や外出の制限もあり、生活様式も大きく様変わりした時期です。
日々の暮らしさえままならないなかでの事業のスタートは、
いったいどんな状況だったのでしょうか。

「ひと言で『あれが大変だった』といえないほど、困難の連続でした。
すべてつながりがあり、どれかひとつでもピースが外れたら
全部ストップしてしまうので、気が抜けないことばかりでした」

例えば、久住蒸溜所の設備について。
スコットランドの〈フォーサイス〉社に設備を発注し、
いよいよ組み立てというとき、コロナ禍の渡航制限によって
フォーサイス社のエンジニアの来日が叶わなくなってしまったのです。

そこで、宇戸田さんは醸造設備を専門とする〈平野商店〉に設備の組み立てを依頼。
地元の大きな焼酎メーカーの設備も手掛ける、大分のエンジニアカンパニーです。

「工場内のフォーサイスが担当する箇所以外の部分は
すべて同社へご依頼するつもりで事前打ち合わせは続けていました。
それがすべてをお願いすることになったということです」

ポットスチル

フォーサイス社の担当者から受け取った図面を頼りに、
設備のプロフェッショナルたちが集結。
フォーサイス社からもオンラインで指示を仰ぎながら、
約半年の期間を経て、ついに蒸溜所の設備が完成しました。

「通常の環境でも困難を極めるプロジェクトですが、
パンデミック下でのセットアップとなると
おそらく世界でもレアケースだと思います。
もう一度やれと言われてもできるかどうかわからないほどです」

世界の動きが止まってしまったようなあの数年のうちに、
「蒸溜所の設立」という大きな夢を実現させることが
どんなに難しいことだったか、想像にかたくありません。
多くの人々の協力に支えられながら、
いよいよ久住町でのウイスキーづくりが始まりました。

畑から始まるウイスキーづくり

清酒蔵「小早川酒造」の跡地

久住蒸溜所のウイスキーづくりには、大分における
さまざまな「ご縁」が集まっています。
まず、蒸溜所がつくられたのは、宇戸田さんが先々代から
お世話になっていたという清酒蔵〈小早川酒造〉の跡地。
第1熟成庫は、酒蔵時代の貯蔵庫を利用しています。

酒蔵時代の貯蔵庫を利用した第1熟成庫

さらに、ウイスキーの原料となる麦芽の約1割に、
県内の契約農家に委託栽培したローカルバーレイを使用。
生産しているのは、大分県豊後大野市清川村中野地区の農家が集まり設立された
集落営農法人〈農事組合法人グリーン法人中野〉の皆さんです。

「品種選びや栽培方法をすべて提案いただいたり、
こちらからリクエストしたりしながら、
“畑から始まるウイスキーづくり”を一緒に取り組んでいただいています」

代表の宇戸田さん自らがコンバインを操作

記念すべき最初の種まきには、久住蒸溜所の製造メンバーが参加。
そして、初めての収穫では代表の宇戸田さん自らがコンバインを操作し、
原料となる麦の収穫を体験したそう。
ウイスキーづくりにかける情熱はもちろん、地域の未来に対する思いや、
地域への愛が繋いだご縁でもあるのではないでしょうか。

花期を迎えた「ドクダミ」で手づくり! 虫刺され薬・化粧水にもなる ドクダミ蒸留水&チンキの 使用感や効果の違いとは?

こんにちは。
「食べもの・お金・エネルギー」を自分たちでつくる
〈いとしまシェアハウス〉のちはるです。

蚊やブヨに悩まされる季節がやってきました。
虫除け、虫刺されに効果のある「ドクダミ」は、今が収穫どき。

コロカルでも過去に野草の「虫除け&虫刺され薬」
「チンキ&軟膏」のつくり方をご紹介しましたが、
虫刺され薬のつくり方として一番ポピュラーなのが
野草をアルコール漬けにしてエキスを抽出する「チンキ」という方法。
加水したり、保湿効果のあるグリセリンなどを加えることで
美白化粧水としても使えるすぐれものです。

半日蔭に生えたドクダミの写真。

ドクダミは、生葉をすりつぶして虫刺されに擦りつけるだけでかゆみが和らぎます。

ただ、あるときこのレシピを見た友人から
「肌が敏感で、アルコールは刺激が強く肌が荒れてしまう」
と相談されました。

そこで考えついたのが「蒸留」です。
これなら肌への刺激が少なく、いろんな人が使えるのでは……? 
と考え、さっそく実験してみることにしました! 

(蒸留水でも、植物によっては濃度が高く出るものがあるので
注意してご使用ください)

ドクダミを蒸留する

ガラスの蒸留器にセットされたドクダミの花の写真。

蒸留とは、植物を煮出したり蒸したりすることで
植物のエキスや芳香成分が蒸気のなかに溶け込み、
その蒸気を急激に冷却することで液化するという仕組み。

取り出した液体にはさまざまな効能があり、
化粧水やヘアケアなどに活用することができます。

今回は、「梅の花のアロマウォーターづくり」の際にご紹介した
ガラス製の蒸留器と、
家庭用のホーロー鍋を使って蒸留していきます。

(1)ガラス製の蒸留器を使って蒸留してみる

化粧水として使いたかったので、美白効果が高いといわれている
ドクダミの白いお花だけを集めて贅沢に蒸留してみました。

ガラスの蒸留器にセットされたドクダミの花を上から見た写真。

庭に生えているドクダミの花をさっと水洗いして蒸留器へ。熱が加わると一気にかさが減るので、花は多めに入れるくらいでOK。

ビーカーの周りにドクダミの花を敷き詰めて水を入れ
蓋部分に氷をセッティングしたら、
氷を溶けにくくするためにさっと塩をふります。
準備が整ったらスイッチオン!

蒸留器を熱して、ドクダミの花を煮だしている写真。

お湯を沸騰させると、ドクダミのエキスを含んだ蒸気が部屋いっぱいに広がります。

ドクダミの香りというと青臭い印象で嫌われがちですが、
集めた蒸留水は、青臭さがなくなり、
フレッシュで爽やかな香りがしました。
(でも、ドクダミらしさはしっかりと残っているから不思議です!)

30分程でドクダミのエキスが集まった蒸留水ができあがりました。

(2)ホーロー鍋と耐熱容器で蒸留してみる

「蒸留してみたいけど、家に蒸留器がない……」
という方もご心配なく。
キッチンにある鍋や蒸しザルでも、簡単に蒸留できます。

こちらでは、ドクダミの葉っぱを原料に
蒸留水をつくってみたいと思います。

ホーロー鍋にドクダミの葉っぱを敷き詰めて水を注いている様子の写真。

煮ている間に耐熱容器がカタカタと揺れて、中心からずれてしまうことも。蒸留水をこぼさないように容器を固定したりと、ちょっとコツが必要です。

鍋の中心に耐熱容器を置き、周りにドクダミの葉を入れます。
耐熱容器の周りに葉っぱがひたひたになるくらいまで水を入れ、
鍋蓋を逆さにして被せ、
その上に氷を置いたら火にかけて、ドクダミを煮出します。
こうすることで、立ち上った蒸気が蒸留水となり
裏返した蓋の取手を伝って、耐熱容器に集まってきます。

ホーロー鍋の蓋を逆さにして、蓋の上に氷を置いている写真。

蒸気を急冷するために氷を使います。なければ保冷剤でもOK。

強火でボコボコ沸騰すると、
鍋のなかで耐熱容器が揺れて割れてしまうことがあるので、
弱火で試してみてください。

耐熱容器が割れるのが不安な方は、
蒸しザルの上に耐熱容器とドクダミの葉を置いて
容器が揺れないようにするなど工夫してみてください。

20分ほど煮出して、無事に蒸留水ができました。

蒸留水を溜めたビーカーの写真。

さて、蒸留して気になったのが香りの変化です。

ドクダミの独特な匂いのもととなる「デカノイルアセトアルデヒド」は
強力な殺菌作用があるといわれており、
お肌のトラブルを解決に導く重要な成分です。
けれど、ドクダミを乾燥させると
独特の匂いと共に殺菌効果が失われるため、
この成分を活用したい場合は生葉を使うことが勧められています。

今回、蒸留でドクダミ特有の青臭さがなくなったことで
「デカノイルアセトアルデヒド」に何か影響があったかも? 
と思い調べてみました。
加熱によって成分が変質する可能性はあるそうですが、定かではない様子。
確実に殺菌効果を高めたい場合は加熱せず、
アルコールに漬け込むチンキのほうが向いているかもしれません。

とはいえ、蒸留してもさまざまな効能は十分残っているはずなので
化粧水としての役割を果たしてくれると期待しています! 

「梅仕事」の裏技! 梅を傷めない保存術、 青梅を長持ちさせる方法、 数分で追熟させる方法とは?

こんにちは。
「食べもの・お金・エネルギー」を自分たちでつくる
〈いとしまシェアハウス〉のちはるです。

6月といえば、梅が旬。
梅仕事、進んでいますか?  

今年は梅が不作といわれ、手に入りにくい場所もあるようです。
貴重な梅を、傷めることなく活用したいですよね。

以前に「5つのレシピ、教えます! 傷んだ梅も余さず使いきる、私の“簡単”梅仕事」という
記事も書きましたが、
梅仕事にもいろいろな手法や段階がありますよね。

意外と知られていませんが、
梅は収穫されてからも熟していくもの。
これを「追熟(ついじゅく)」といい、
緑色でかたい実は、日を追うごとに黄色くやわらかくなり
甘い桃のような香りがしてきます。

酸味が強くキリッとした風味が楽しめる「青梅」はシロップに、
「完熟梅」はそのやさしい甘さを生かして、コンポートや梅干しに。
梅の熟し具合によって仕込めるものが変わってきます。

ところが、その「追熟」のコントロールがなかなか難しい! 
「仕込みたいけれど、今は時間がない」
逆に「今、仕込みたいのに、梅が熟していない」
また「追熟を待っていたらカビてしまった」なんて声も。

今回は、数々の失敗を経験してきた梅仕事歴11年の筆者による、
「適切な梅の保存方法」、「梅を数分で追熟させる方法」、
「青梅の状態をキープする方法」をご紹介します。
梅の保存方法に悩んでいた方、必読です! 

オレンジ色だけではないんです! 和歌山のみかんの廃材から生まれた 〈みかんくれよん〉

みかんの木のさまざまなパーツから生まれた鮮やかな色

子どものお絵描きアイテムを探している親御さんたち。
〈株式会社はまさと〉が手がける、和歌山県のみかんの廃材を
アップサイクルした〈みかんくれよん〉を手にとってみてはいかがですか?

はまさとは、一次産業の課題解決を目指す和歌山県のベンチャー企業。
「浜と里をもっとおもしろく」をコンセプトに、
県内の生産者を取材・産品を販売する産直ECサイト〈5STAR MARCHE〉の運営や、
生産者と連携しながら一次産業の課題解決と伴走型支援を目指しています。

左から、はまさと代表の南村真衣さん、和歌山県内果物農家の方。

左から、はまさと代表の南村真衣さんと、和歌山県内の果物農家の方。

同社は、県内の生産者への取材・圃場訪問を通し、
「一次産業をもっと身近に感じられるきっかけづくりとなれば」
との思いから、みかんくれよんの商品開発をスタート。

〈みかんくれよん〉

色の種類と活用素材は、

青みかん色:間引きで落とされる摘果みかん

じゃばら色:温州みかんと時期をずらして収穫される雑柑(晩柑)

完熟みかん色:加工品をつくる時に出る、完熟みかんの皮

みかんの枝色:木の健康を保つための選定でカットされた、剪定枝

みかんの炭色:畑に撒かれる、みかんの木が材料の柑炭

全5色展開で、みかんの皮や剪定枝など、
みかんを栽培・販売する過程で出てきる素材を使用しており、
1年間の栽培プロセスを楽しく想像しながらお絵描きできそう。
原材料はすべて自然由来なので、
子どもが口に入れてしまっても大丈夫だといいます。
それはありがたいですね。

名古屋の伝統工芸 「有松鳴海絞り」の体験で 初心者でもできるオリジナルストール

自分だけの有松鳴海絞りがつくれる体験ワークショップ

愛知県名古屋市の南部に位置し、
伝統的工芸品「有松鳴海絞り」の産地として知られる有松・鳴海エリア。
特に有松は江戸時代の面影が残る町屋が並び、美しい景観を楽しむことができるまちです。

有松・鳴海エリア

そんな有松に、有松鳴海絞りの体験ができる施設がいくつかあるのをご存知ですか?
今回紹介するのは、
〈株式会社スズサン〉が運営する体験施設〈Studio Suzusan〉のワークショップです。
2019年から有松鳴海絞りの体験事業を始めたという同社が、
新しい施設を構えるタイミングで、
ワークショップの内容を2024年4月20日にリニューアルしました。

体験コースは、基本的な技法を体験できる「ベーシックコース」と
初心者でも気軽にトライできる「ビギナーコース」の2種類。
有松鳴海絞りは「縫う」「くくる」「畳む」というシンプルな手技を組み合わせることで、
これまで100種類以上もの染色技法が生み出されてきました。
糸でくくった部分や、塗った部分が白く防染され、さまざまな模様が表現できます。
ベーシックコースで学べるのは定番技法の「手筋絞り」と「手蜘蛛絞り」です。
手ぬぐいやストールを糸でくくったあと、
全6色のなかから好きな色の染料を選んで染め上げます。

「手筋絞り」と「手蜘蛛絞り」

写真奥が「手筋絞り」。手前の「手蜘蛛絞り」は染め上がりが蜘蛛の巣のように見えることからその名がつきました。

一方、ビギナーコースでは三角形に折った生地を
板で挟んで染める「雪花絞り」を体験できます。
いずれも縛り方や縫い方で模様の表情が変わるので、
世界にひとつしかない自分だけのオリジナルの一枚が完成しますよ。

「雪花絞り」の様子

雪の結晶のような模様が生まれる「雪花絞り」。

体験コースの会場は、築150年の古民家。
趣のある場所で、伝統的工芸品の魅力や手仕事の奥深さを感じながら、
有松鳴海絞りについてじっくり学んでみませんか?

〈Studio Suzusan〉

〈いとしまシェアハウス〉の クラフトサケ・プロジェクト! 糸島の棚田でお米を育て、 お酒ができるまで

こんにちは。
「食べもの・お金・エネルギー」を自分たちでつくる
〈いとしまシェアハウス〉のちはるです。

以前紹介した、お米の栽培から参加できる
お酒づくりのプロジェクト〈棚田のクラフトサケ計画〉
その集大成となるオリジナルのクラフトサケがついに完成しました! 

酒蔵、日本酒バー、そして〈いとしまシェアハウス〉が主体となり
それぞれの声掛けで集まった一般参加者さんと、
1年間みんなで育てた棚田のお米が、お酒に! 

今回はプロジェクトのスタートから、クラフトサケの完成まで、
楽しかった1年の道のりを
振り返りながら綴っていこうと思います。

みんなで栽培し、収穫した、クラフトサケの「原材料」のこと

手作業で田植えをしている人々の様子。

田植えが初めてという方も「楽しい!」と笑顔に。

プロジェクトがスタートしたのは2023年6月。
参加者みんなで田植えを行い、そして決起会へ。
初めましての方が多いなか、「お酒が好き」という共通点もあり、
田植えを通じて一気に距離が縮まりました。

青々と成長した棚田の稲と、澄み渡る青空の写真。

石垣の草とりをみんなで。農薬を使わない田んぼには、トンボがたくさん飛んでいます。

夏は草とり。
棚田の石垣の雑草をきれいに刈ったら、
水路に流れる冷たい山水で足を冷やし、そのまま海へ! 

参加者さんからアイスの差し入れもあったりと、
大人も子どもも大はしゃぎの夏でした。

波打ち際で、大人と子供が手をつないで遊んでいる様子の写真。

田んぼ作業で気持ちよく汗をかいたあとの海は最高! 海の近い田んぼだからこそできるアクティビティです。

秋は稲刈り。
お米は昔ながらの天日干しで乾燥させていきます。

田植えのときは細くて頼りなかった苗が大きく育ち、
黄金色の稲穂がたっぷりと実りました。
参加者さんも、稲の見事な成長ぶりに
「大きくなったなあ!」と満足げ。

収穫時のメンバーの集合写真。背後には、刈り取った稲穂がハザにかけられている。

つい無心になってしまう稲刈り。今回は参加者さんたちの驚くべき集中力とスピードで、予定の半分ほどの時間で稲刈りが終わり、私たちもびっくり! 大きな稲をかついで一生懸命お手伝いする子どもたちの姿に胸キュン。この体験を覚えていてくれるとうれしいな。

刈りとられた稲がきっちりと束ねられ、天日干しされていくと
「やっとここまで来た……」という気持ちで
胸がいっぱいになりました。

クラフトサケの材料が揃うまで、あと少し! 

かごにたっぷり入った橙の写真。

橙の爽やかな香りに包まれながらの収穫。

年が明けると、
お酒のフレーバーとなる“副原料”の収穫が待ち構えています。

収穫作業に訪れたみんなとお酒を酌み交わしながら
「ハーブがいいかな」「いや柑橘がいいかな?」
と盛り上がった結果、酸味が強く、旨みもある
“橙(だいだい)”を使うことになりました。

棚田のすぐそばにある柑橘畑で橙を収穫。
新鮮なうちに加工すべく、
その日のうちに福岡県福岡市にある〈LIBROM〉の醸造所へ運びました。
橙が積まれた車を見送りながら
「いよいよお酒が仕込まれるんだ……!」
という実感が高まってドキドキしたのを覚えています。

これで、すべての材料が揃いました。
約100キロの棚田米と、約60キロの橙を使ったクラフトサケ、
どんな味になるのでしょうか。

高枝切りバサミを使って、橙を収穫する男性の写真。

高枝切りバサミを使って、高いところの大きな橙を狙います。