連載
posted:2019.7.9 from:福岡県糸島市 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
田舎へ移住を考えている人、すでに移住した人。
そんな方の、暮らしの参考やアイデアになるはずです。農業、狩猟、人とのつながり、四季のこと。
福岡県糸島で自給自足生活を営む〈いとしまシェアハウス〉の暮らしをお届けします。
writer profile
CHIHARU HATAKEYAMA
畠山千春
はたけやま・ちはる●新米猟師兼ライター。3.11をきっかけに「自分の暮らしを自分でつくる」活動をスタート。2011年より鳥を絞めて食べるワークショップを開催。2013年狩猟免許取得、狩猟・皮なめしを行う。現在は福岡県にて食べもの、エネルギー、仕事を自分たちでつくる〈いとしまシェアハウス〉を運営。2014年『わたし、解体はじめました―狩猟女子の暮らしづくり』(木楽舎)。第9回ロハスデザイン大賞2014ヒト部門大賞受賞。
ブログ:ちはるの森
こんにちは。
「食べもの・お金・エネルギー」を自分たちでつくる
〈いとしまシェアハウス〉のちはるです。
田舎に住んで一番最初に受ける洗礼、それは「虫刺され」です。
田舎暮らしを始めて気づいたことなのですが、
虫たちは今までになかった“新しい血”が大好き。
私はここに住んでもう6年も経つので全然狙われませんが、
住み始めたばかりのメンバーたちには、嬉々として襲いかかります。
福岡に引っ越してきて驚いたのですが、こちらの蚊は関東の2倍くらいの大きさ。
腫れ方も、それはそれはたいしたものなのです。
今回は、そんなパワフルな虫たちと楽しく(?)共存していくために、
身近に生えている野草を使ってつくる「虫除け&虫刺され薬」を紹介します。
もはや田舎暮らしの、夏の “必須アイテム” と言っても間違いないでしょう。
我が家の庭にたくましく生える和ハッカ。
これに含まれるメントールという成分は、清涼感のある強い香りが特徴で、
虫たちはこの香りが大嫌いなため、防虫効果があります。
和ハッカはミント類のなかでもメントールの含有量が特に多いとされ、効果も絶大。
というわけで、この和ハッカを使って「虫除けスプレー」をつくります。
和ハッカは洗って瓶にパンパンに詰め、
アルコール(ホワイトリカーでもOK)をひたひたに入れます。
2週間程度冷暗所で保存したらできあがり。
リラックス効果もあり、クーラーは使いたくないけれど、
体感温度を下げたいときのリフレッシュとしても使っています。
(虫たち、こんな爽やかな香りが嫌いなんて信じられない!)
生の和ハッカが手に入らない、という方には
お手軽にネットで買えるハッカ油が◎。
ハッカ油5~10滴と、無水エタノール10ミリリットルを振って混ぜ、
そこに水(精製水がベター)90ミリリットルを混ぜれば、虫除けスプレーの完成!
ハッカ油はかなり強力なので、数滴で十分の効果あり。
(入れすぎると痛いくらいです!)
ハッカ油はポリスチレンを溶かす作用があるので、
ポリスチレン製ボトルはさけ、ガラス製のスプレーボトルがオススメです。
手づくりすれば、1本50円以下とコスパがいいので、ぜひお試しあれ!
網戸に吹きかければ、爽やかな空気を楽しみながら、蚊の進入を防げちゃいます。
生ゴミ周りのコバエや、夏場のゴキブリ対策にも効果があるそうです。
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ドクダミは身近で採れるすぐれた薬草で、
10種類の効能があるとされ、“十薬”とも呼ばれています。
独特の匂いは「デカノイルアセトアルデヒド」という成分によるもので、
この強力な香りが防虫に効果アリとされています。
虫除け・虫刺され・肌を整える効果のある「ドクダミエキス」のつくり方は、
生のドクダミを摘んで瓶に敷き詰め、アルコールをひたひたに入れるだけ。
有効成分はアルコールに溶けやすいため、1週間程度で使えるようになります。
私は肌を整える効果がある花だけを摘んで、化粧水をつくっています。
こちらは1年程度、じっくり寝かせてから使います。
ドクダミの成分には強力な殺菌作用があるため、
虫刺されの塗り薬としても効果があります。
「蚊に刺されて痒くて眠れない」というシェアメイトに塗ってあげたところ、
痒みが一瞬で止まったそうで、
すぐに庭に飛び出して、Myドクダミエキスをつくっていました(笑)。
飲まない焼酎の瓶に、摘んできたドクダミをそのまま入れるという
かなりワイルドなつくり方でしたが、
この夏はこれで乗り切る! と張り切っていました。
どちらも「原液だと刺激が強い」という方には、
精製水で薄めて使うのがオススメです。
化学薬品を使用した市販の虫除けに比べると、やはり「強力さ」は劣ってしまうと思います。
一度だけでなく、こまめにスプレーすると効果が長続きするので、
小さなボトルに入れて持ち歩くと便利です。
それから、我が家で重宝している常備薬が、
ビワの種を焼酎に漬けてつくる「ビワの種エキス」です。
ビワは昔から万病を治す植物として知られており、
我が家では、打ち身・腫れ・虫刺され・シップなど、
日頃の小さな怪我はこのエキスを使っています。
杏仁豆腐のようなフルーティな香りがするので、
我が家では天然の香料として、お菓子づくりに活用することもあります。
ビワの種は今の時期しか入手できないので、
ビワを手に入れたら種は捨てずに、ぜひ活用してみてくださいね。
「野草は、その季節に必要な養分を蓄えて生えてくる」といわれます。
春の野草には、冬に体に溜まった毒素を解毒させる力があるといわれるように、
今ぐんぐんと生えている野草も、虫刺されによく効くと実感しています。
身近な野草で薬の自給を始めてから、
厄介な道端の雑草が、急にキラキラと輝いて見えるようになりました。
コスパよし、効果よし、自分でつくるワクワクも含め、
エンターテイメント性があって楽しいです! お試しあれー!
ちなみに、私が参考にしている自然療法の本はこちらです。
『家庭でできる自然療法 誰でもできる食事と手当法(改訂版)』
東城百合子著
自然療法のバイブルといわれている東城百合子さんの本、
300を超えるコラム、野草でつくれる薬のレシピはもちろん、
暮らし方や自然との関わり方など、参考にしている考え方がたくさん書かれています。
我が家では病院に行く前に、体調不良の予防に、まずこの本を開いています。
一家に1冊あると心強いですよ◎。
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新シェアメイトはなんと養豚家の男の子!
彼が自分で育てた豚のソーセージを持ってきてくれたので、
さっそく庭のアースオーブンでパーティーをしました。
(焼いてくれたのは、大学生シェアメイトのがんちゃん)
カリッと焼けた皮に、ジューシーでプリプリなお肉。
庭に生えていたドクダミを巻いて食べると、独特の香りとマッチして最高においしいのです。
予想外の組み合わせに、みんな大興奮でした!
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