木造の空き家が、 可愛い和菓子のお店へ。 シーンデザイン一級建築士事務所 vol.02

シーンデザイン一級建築士事務所 vol.02 
リノベが繋いだ縁

土屋ビル(vol.01参照参照)のあと、2009年11月から始まったのが
「KANEMATSU PROJECT」(山崎 亮ローカルデザイン・スタディ#052参照)でした。
明治、大正、昭和に建てられた3つの蔵と、
それをつなぐ平屋で構成される550㎡の空間を7人でリノベーションし、
シェアオフィスにしたり、カフェや古本屋に貸し出したり。
このプロジェクトでは本当にたくさんの人との出会いがあり、
同時に仕事ではリノベの依頼も増えていきました。

「KANEMATSU PROJECT」が始動してから半年ほどが過ぎた2010年5月、
「シェアオフィスであるKANEMATSUに不動産事務所を構えたい」と、
優しそうな容姿の男性がシーンデザインを訪ねてきました。
雰囲気も服装も全く不動産屋っぽくありません。
聞けば、遊休不動産をまちの有用なストックとして
リノベーションしていくことを事業としていきたいと言います。
わざわざ土屋ビルのリノベ設計者を探し、私のところを訪ねてきてくれたのです。
それが、(株)MYROOMの倉石智典さんとの出会いでした。
倉石さんがKANEMASTUで不動産事務所を開設してからしばらくは、
各々の立場でリノベに関わる仕事を続けていました。
そのうち、土地や中古物件探しを倉石さんに相談したり、
逆に、倉石さんが扱う物件の実測調査や古い建物の図面作成などを
私がお手伝いするというように、連携して仕事をする場面が徐々に多くなっていきました。

キャンプを楽しむように、みんなでリノベを楽しみたい

私も倉石さんも、従来の新築を建てる時と同じような建物の、
予定調和的な“つくりかた”がリノベには合わないのではないか、
また単一の業界の価値基準ではなく、
リノベとはもっと多角的な視点から取り組むべき課題であるのではないか、
とも感じていました。その思いが重なり、
2012年12月、それまで別々に携わってきたリノベに関わる一連の事業について、
各事務所のスキルを横断的に生かしながら取り組んでみようと
「CAMP不動産」という活動を始めました。

建築や不動産、まちのことは
“難しくて面倒”と思い込んでいる人は多いのではないでしょうか。
野外での〝キャンプ〟もそういうところがあると思うんです。
やり方、楽しみ方を知らないと、
ただただ虫が多いとか夜寒いとかBBQのナスが真っ黒で炭みたいだとか、
そういうちょっと残念な思い出で終わってしまう。
でも、虫除けのキャンドルを灯せば雰囲気だってよくなるし、
たき火の付け方を知っていたら一緒に魚も焼けるかもしれない、
ナスはホイルやダッチオーブンで蒸し焼きにすればトロリとしておいしい。
楽しみ方がわかれば見方も変わると思います。
それはキャンプも、地域も一緒。
見方が変われば、不便だと思っていたことが楽しみに変わったり、
使えないと思っていたものが、案外役に立ったりするかも。
だから、「CAMP不動産」はリノベの楽しみ方をサポートしながら
地域(キャンプ場)を良くしていくことを仕事にできたら素晴らしいと考えました。

使う人と建物との相性

そんな「CAMP不動産」が考えるリノベのカタチ(つくりかた)
をおぼろげながらイメージした最初の物件は
2013年5月に完成した「藤田九衛門商店」でした。

善光寺からほど近く、東之門町という場所にある木造2階建ての小さな民家。
もう十年以上、空き家となっていた物件です。

リノベ前の藤田九衛門商店。

床は傾き、外壁や内壁の一部は崩れ落ち、もちろん設備は使えない状態。
あまりの状態の悪さに、これまでこの空き家を紹介しても
なかなか借り手が現れなかった物件です。

柱は傾き、床は今にも抜け落ちそう。

そんな、だれも見向きもしなかった古い建物を借り受けて、
リノベしてお店にしたいと依頼してきたのは、
長年日本料理の世界に携わってきた藤田 治さん。

藤田さんはここで“鯉焼き”(!?)を売る和菓子屋を営みたいという。
鯛(たい)焼きならぬ、“鯉(こい)焼き”のお店を始めたいと
熱く語る関西出身の藤田さんに、「なぜ鯉なんですか?」と聞くと、
「信州と言ったら鯉でしょ」という屈託ない答え。

どちらかというと、鯉と言ったら北信の門前ではなく、
東信の佐久鯉が有名なんだけどな……と、うっすら思いながらも、
そういうノリは嫌いじゃない。県外から見れば北信も東信も“信州”には変わりはないし、
地元民だから持ってしまっている固定概念を軽く壊してくれる藤田さんには、
むしろ好感を抱いてしまいました。

さらに、藤田さんからいただいたイメージスケッチがとてもいい。

最初に藤田さんから頂いたイメージスケッチ。

ボロボロの建物の状況から、ここまでイメージを膨らませた藤田さんの絵は、
よほどこの建物に想い入れがあるのだなと感じさせてくれました。
私には、藤田さんの建物へ向けたラブレターにすら見えたほどです。

使う人と建物との相性はぴったり。

きっと藤田さんなら、一緒にこの建物のリノベを楽しんでくれそう。
そして、藤田さんの思い描くイメージをこの建物で具現化してみたいと思ったのです。

すべてを決めずに始めてしまう思い切り

先ず、藤田さんの要望を聞きながらラフな図面とイメージスケッチを描きます。

簡単な平面図とイメージパースで工事を始めてしまいます。

イメージが了承されれば、この図面だけで概算見積もりを立てて、工事をスタート。

一般的な建築工事では、工事に入る前に詳細な既存調査と実施設計図面を描き、
工務店などに見積もりを取って、詳細な工事金額が確定してから、
ようやく着工となりますが、CAMP不動産ではその部分を大幅に省いています。

これは、設計サイドと施工サイドとの信頼関係(もちろん施主とも)と、
リノベ物件を多く扱ってきたこれまでの経験値によるところが大きいのですが、
そもそもリノベーション工事は予測不可能な部分が多く、
新築工事のような予定調和的な進め方は合わないのです。

“やってみなければわからないのだから、やってみちゃおう!”ということです。

最初にいろいろと決めすぎず、その場その場の状況に合わせて柔軟に、
そしてアドリブいっぱいに工事が進んでいきます。
もちろん、構造的な不具合が見つかればその場で対処していきます。

状況に合わせて考えながらつくっていく

早速、簡単リノベプランをもとに建物の解体工事が始まります。

傍目には、いよいよ駐車場にでもなるのかな・・・と見えたかもしれません。

この時点では、詳細な図面がないのですから、
職人さんは何をどう壊していいかわかりません。
私たちは工事を進めながら解体する部分を現場で即決していきます。

この、行き当たりばったり感(言葉は悪いですが)というか
ライブ感がCAMP不動産の面白いところ。施主はドキドキだと思いますが……。

特に木造一戸建てのリノベ工事は、
解体してみて、初めてわかることも多いので、
状況に応じて構造や工法、施主の要望や使い勝手、
デザインや工事費、時には大家さんやご近所との関係なども総合的に考慮して、
その都度、最適最善と思われる工事を行っていきます。

例えば、壁の足元の「土台」という構造部材が
傷んでいるだろうことは想像していましたが、
傷みの程度と範囲は解体してみなければわかりませんでした。

解体してみて初めて傷んだ部材の範囲が明確になります。

それを、「土台」の状況を確認しながら解体して、
補強が必要な部分を現場で確定していきます。

新しくなった「土台」。

そして本当に必要な部分の「土台」を入れ替えていきます。

一般的に“やってみなければわからない”ことが多いリノベ工事においては、
想定されるリスクを最大限に見積もってしまいがち。
しかし、CAMP不動産ではリスクの内容を現場で見極めてから、
その都度必要に応じた対処をしているので、無駄がありません。
ただし、予想以上の対処が必要な場合もありますので、施主の理解は第一条件です。

ちなみに、藤田九衛門商店の工事では、
解体工事と躯体補強工事などはCAMP不動産主体で進め、
仕上げ工事では施主の藤田さんが中心となって工事が進められました。

そんなこんなで、藤田九衛門商店の場合も、
建物が傾いていたり、土台が腐っていたり、あるはずの柱がなかったり、
木造一戸建ての“リノベあるある”な問題点はひと通り経験して、
ひとまず躯体を使用可能な状態にしていきます。

細かいことまで決まっていないからこそできる“遊び”

躯体の補強を終えて、次は店舗の土間床の仕上げをどうするのか頭を悩ませていました。
というのも、最初に考えていた「洗い出し」(モルタルに砕石や玉砂利などの骨材を
混ぜて塗り完全に乾かないうちに水で洗って表面に石の粒が浮き出るようにしたもの)
という仕上げは、予算的にかなり厳しかったからです。

コンクリート金ゴテで仕上げてしまうのもよいですが、
コストをかけずにひとひねりほしいところ。
そんな時に、CAMP不動産のメンバーでもある、
デザイナーの太田伸幸さんからよいアイデアが出てきました。

「土間床を川に見立てて鯉を泳がせましょう」

忘れていました。
藤田九衛門商店では、鯉のかたちをかたどった『鯉焼き』を看板菓子としていたのでした!
こういう発想は、建築的な仕上げばかり考えて凝り固まった頭をほぐしてくれます。
早速、その頃KANEMATSUに入居していた、
デザイナーの廣田義人くんにお願いして、鯉のデザインと型紙を作成してもらいました。

切り絵が得意な廣田くんにつくってもらった鯉の型紙。

その型紙を土間コンクリート打設時に配置して押さえ、全体に、
ほうき目をつけてでき上がった床がこれ。

店内の床のいたる所に、蓮の葉と鯉が型押しされています。

派手さこそありませんが、なんとも渋い意匠になりました。

きっと、土間床に鯉の型を見つけたお客さんは、ニヤリとするに違いない。
まるで隠れミッキーのようです。

こういう“遊び”をどんどん取り入れちゃうことができる機動力の高さも、
CAMP不動産の面白いところです。

つくることの楽しさを共有する

積極的にリノベという“つくりかた”を選択した施主が、
自ら施工も行いたいという考えに至るのは自然な流れだと思います。
善光寺門前界隈で多数行われているリノベも、
施主自ら施工に関わるケースも少なくありません。

単にコスト削減という理由から、しかたなくセルフリノベを行うのではなく、
むしろ楽しみながら地域のコミュニティに溶け込む手段として
セルフリノベを行おうとする人が増えているのではないかと思います。
これまで誰からも価値がないと思われていた建物が、
自分たちの手で甦る過程を経験することの魅力に多くの人が気づき始めています。

藤田九衛門商店の場合も、土壁や板張り、塗装、かまど制作などは
施主直営のかたちで工事が進められました。
特に土壁は、“土壁づくりを通じて、家や街づくりを自分サイズで考える
緩やかなネットワーク「塗り壁隊」の指揮のもと、
左官工事に関心がある人が自由に参加して仕上げていただきました。

ご近所の金属造形作家の角居康弘さんによる店舗の壁に埋め込まれたタグには、
左官工事に携わった方々の名前が刻まれていたり、
お店のロゴや暖簾は、これまたご近所のデザイナーの関谷まゆみさんがデザインしたりと、
地域に住むたくさんの人の関わりを経て、藤田九衛門商店はできました。

できたばかりなのに、すでに老舗の風格が漂う佇まい。

2013年5月5日、藤田九衛門商店はめでたくOPEN。
そして肝心の鯉焼きは、こんなに素敵な和菓子となりました。

長野県産の花豆を使った自家製餡、生地も長野県産小麦を使用。仏像彫刻家が手掛けた鯉のデザインは躍動感たっぷり。

藤田さん自身、1日50個売れればいいだろうと言っていましたが、
OPEN初日は、なんと10時で完売。
一度店を閉めてから新たに焼いて、12時に再開。
しかし、14時に完売してしまうという売れっぷり。
しかも、その状況が3か月間続いたというから驚きです。

開店時間は朝の6時30分。朝の空気感とお店の雰囲気がとてもよく似合っています。

鯉焼きは、今ではすっかり信州門前のお土産として定着しました。
あの、だれも見向きもしなかったボロボロの建物は、
藤田さんと出会うことで、こんなにもたくさんの方から愛されるお店へと変わったのです。

「土屋ビル」でも感じたことですが、リノベという“つくりかた”は、
今ここにある建物やまち、そして、ひとを“知る”機会をたくさん与えてくれます。

それが、建物やまちやひとに親しみを抱かせ、
つながりを生む要因でもあると強く感じた楽しいリノベとなりました。

informaiton


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藤田九衛門商店

住所 長野県長野市東之門町400-2
電話 026-219-2293
営業時間 6:30~売切次第終了、月曜休
※駐車場はお店の向かい側に1台分あり

information


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シーンデザイン一級建築士事務所

住所 長野県長野市 東町207-1 KANEMATSU内
電話 026-262-1175
http://scenedesign.jp/

大工さん自ら設計! 大胆かつ洗練された空間。 MAD City vol.11

MAD City vol.11
設計から現場もこなす、MAD Cityの頼れるアニキ。

DIYの基本は、「自分でいいものをつくりたい」という気持ちが大事だと思うんです。
常にこの「Do It Yourself」の精神を忘れない大工さんがMAD Cityにはいます。
それが、千葉市稲毛区に事務所を構える昭和12年創業の工務店・木村建造の三代目として、
さまざまな物件の建築に携わってきた木村光行さんです。

まず、MAD Cityと木村さんの関係性について語る前に、
少しだけ「木村さんがどんな人なのか」について説明させてください! 
大工さんというと、どこか伝統的な職人気質なイメージがありますが、
木村さんはそんな「大工」の固定観念を覆す超アグレッシブな大工さんなのです。
まず、学校を出て、稼業の大工を継いだ後、当初は注文住宅などを建てる、
「受注仕事」をメインにおこなっていた木村さんですが、
仕事を重ねるごとに、個性が光る店舗リノベーションや、
家のリノベーションなどにも興味を抱くようになったのだとか。
(詳細はこちらhttp://kimurakenzo.com/

ちなみに、木村さんが「自分の好みをふんだんに盛り込んだ家」と自負する自邸がこちら。

外観からもその広さがうかがえます。

光がたっぷり入る広々リビング。まるでモデルハウスのよう!

清潔感のあるホワイトカラーの浴室。

何から何まで、オシャレすぎるご自宅。
「ウン千万のローンを組んでしまいましたが、おかげでいろいろと勉強になりました」
という木村さん。「自分でやってみたいから」という理由で、
そこまで大金を投じるスタンス。規模が違います!

いろいろ前置きが長くなりましたが、
MAD Cityが管理する物件のひとつである旧・原田米店のあるお部屋の改装時、
現場の作業を木村さんにお願いしたことがきっかけで、
MAD Cityと木村さんのお付き合いが始まりました。

「地域住民やクリエイターなど誰かと一緒に、まちづくりや物件づくりがしてみたい」
と考えていた木村さんは、MAD Cityと意気投合。そして、
かねてからマンションのリノベーションに興味を持っていた木村さんが、
MAD City運営の「いろどりマンション」にやってきてくれたのです。

「いろどりマンション」は、松戸にある大型分譲マンションの一部を
MAD Cityが借り上げ、リノベーション可能な賃貸物件。
住居者の方々の個性を反映して、自由にDIYしている個性豊かな物件です。
木村さんは、そのなかの一室を契約し、
木村スタイルのリノベーションをスタートさせました。

改装前のお部屋の様子。

まずは、壁や押入れ、床など、すべてを取り払って、部屋をワンルームに。

もともとの内装もとり、あらわれたコンクリートの壁。

壁も床も取り払ってすっきり、広々空間に!
むき出しの床に、少しずつフローリングを張っていきます。
もちろんこの作業は当然大工の木村さん自ら全部やられたそうですよ。

床材を貼っている様子。

最終的にはこんなにキレイになりました!

どんな物件を手がけるときも「常に“ハッ”とするポイントをつくりたい」
と語る木村さん。このいろどりマンションで言えば、
特に気を使ったのがブロックを積んだキッチンカウンターです。

カウンターキッチンの脇には、棚のような小さなスペースを設けるなど、
ちょっとひと味違ったカウンターづくりを目指したそうです。

作業としては、ブロックを床に積んで、接着剤とベニヤ板を重ねます。

積み上げていって、一部に「棚」の部分となる空間を作ります。

そして、カウンターとなる板を載せて完成!

実にいい感じです! 以前の畳張りの部屋が嘘のようです。

「ブロックを使用したカウンターって、たくさんあるんですけれども、
こうやってベニヤを積んだかたちでつくることはとても珍しいんです」と木村さん。
というのも、本職の大工さんだったら、「崩れないように」と安全性を重視して、
ぎっしりブロックを上から下までビッチリと積むため、
棚のような空間を作ることなどはまずないのだとか。
「たしかにブロックはきっちり積んだほうが安全ですが、
このくらいのスペースだったら問題ないのはわかっているし、
接着剤とベニヤ板で補強できているので、耐久性には問題ないんですけどね」とのこと。
本職の大工さんだからこそ、
「融通をきかせてもよい部分」が肌感覚でわかっているってことですね!
その他にも床の貼り方など、
同様の「大工ならでは」の工夫をたくさん凝らしているそうです。

一般人のリノベーションだとさじ加減がわからない水回りも
「少しでも広く使えるように」と、トイレの位置を動かしたり、
扉を取り払ったりしたそうです。
このあたりの思い切り具合、さすがプロです。

洗面台の土台。

大きな洗面ボールと鏡を採用し、より開放感のある洗面台に。この大きな洗面ボールはなんと、学校用の製品でお値段も手頃なんだとか。

現在、この部屋はモデルルームとして公開しており、
この部屋を見た同じマンションの住人の人々から、
「自分の部屋もやってほしい」「キッチンのリノベの相談にのってほしい」
などと声をかけられることが増えたそうです。

それにしても、なんでこんなに木村さんは
現状に満足することなく、いろんなことに果敢にチャレンジするのでしょうか?

「まず、ひとつには僕は自分がやったことがないことは、
お客さんに薦めたくないんですよ。たとえば、自宅をつくったときも
『ガラス張りのバスルームを勧めるデザイナーって多いけど、本当にいいのかな?』
『窓が大きくてたくさんあるように設計された家が増えているけど、
それって本当に便利なのかな?』といった疑問があったから。
実際、やってみたらガラス張りのバスルームはオシャレだけど、
すぐに水滴がつくので掃除が大変だし、
窓が多いと夏場は暑くて家のなかが蒸し風呂状態になってしまう(笑)。
こういうことは、自分で実践してみないと、絶対にわからないことだと思うんですよね」
成功と失敗が渾然一体のコメントです。

そして、もうひとつの理由が木村さんの「好奇心」。

「大工の世界は、伝統を重んじる傾向があって、
あまり新しいことにチャレンジしようとする人っていないんですよ。
でも、僕はすごく好奇心が強いほうなので、ほかの人と同じことじゃなくて、
ちょっと違ったことをしてみたい。
そして、誰も見たことがないような新しいものをつくってみたい。
だから、いろんなジャンルに手を出してしまうんでしょうね」

「デザイナーのほうが大工よりカッコイイ、イメージがありますが、『大工だってすごいんだぜ!』ってとこを、もっと見せつけたいですね」と木村さん。

その好奇心はとどまるところを知らず、
現在は、木材でビルをつくるという、
国土交通省の主導する国家事業のプロジェクトチームの一員として参加している木村さん。
そちらは耐震の問題をどうクリアするかという内容らしく、
今では耐震についても詳しくなっているとのこと。
「松戸のまちに木造のビルをバンバン建てたい!」
と目をキラキラと輝かせながら語る木村さんにますます目が離せません。

実はこれから、木村さんがMAD Cityの一員として、
ある企画のプロジェクトを進める計画がありますので、
注目いただけたらと思います! (詳しくはMAD City HPにて)

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MAD City(株式会社まちづクリエイティブ)

住所 千葉県松戸市本町6-8
電話 047-710-5861
http://madcity.jp/

伊藤存、幸田千依「磯部湯活用プロジェクト」。群馬県前橋の廃業した銭湯で創られたアート。

コロカルの「ローカルアートレポート」にてご紹介した、
群馬県前橋市に誕生した美術館「アーツ前橋」。
この美術館で、記事でもご紹介した、
アーティストの伊藤存さんと幸田千依さんによる「磯部湯活用プロジェクト」の
報告展がただいま開催中です。
2013年10月から2014年1月にかけて開催された本プロジェクト。
前橋にある、廃業した銭湯「旧磯部湯」を舞台に、
二人が作品を創りあげたのです。

伊藤存

伊藤存さんは、市内を流れる馬場川や利根川、街のなかに生息する生き物をリサーチ。
それらのドローイングを制作したのち、街のなかに潜む生き物の世界を表現した
刺繍作品を創りあげました。

幸田千依

そして幸田千依さんは、前橋に2か月滞在。市民のみなさんと交流しながら、
自身が見た前橋の景気を絵画で表現しています。

この報告展では、「磯部湯活用プロジェクト」で制作した作品に加え、
新たな作品も展示されます。
2名のアーティストが異なる視点で捉えた、前橋生まれの作品を
お楽しみください。

アーツ前橋
住所:〒371-0022 群馬県前橋市千代田町5-1-16
開館時間:11時~19時(入場は閉館時間の30分前まで)
休館日:水曜日
電話番号:027-230-1144 

写真:KIGURE Shinya

京都の町家を インタラクティブな空間へ。 HAPS vol.1

HAPS vol.1
20年間空き家だった町家を、ワークショップリノベーション。

京都の祇園や清水寺といった名所にもほど近い東山区の静かな住宅地の一角、
大和大路沿いに、白く塗られた町家があります。
ここは、私たちHAPSが活動拠点とするオフィス。
小さいながらもギャラリースペースやイベントスペースを兼ね備えた複合的な空間です。
HAPSとは、「東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス」の略で、
京都市の事業として市内の若手芸術家をサポートしています。
アーティストと彼らを支える人たちのよろず相談にのったり、
ネットワーク形成を目指し国内外のキュレーターを招聘して、
ワークショップやレクチャーを開催したりと、芸術家支援のために日々活動中です!

そんなHAPSの活動の大きな柱に、
アーティストに向けた京都市内の物件マッチングがあります。
なんと、京都市内には現在、約11万戸の空き家があり、
景観や防犯上、大きな問題となっているのです。
空き家の状態が続けば、家は荒廃します。
しかし、通常の不動産流通のためには
貸し主の側で大がかりな改修が必要で費用もかかります。

一方で、京都には4つの芸術大学がありますが、
卒業生たちの活動拠点となるスタジオに適した物件(広さ、予算、土間ありなどの条件)を
市内では自力で見つけることが難しいという状況があります。

そこで、アーティストが自身で手を動かし空き家をDIY。
大家さんの改修費は抑えられ、アーティストたちは、家賃コストを抑えられ、
双方にとってメリットとなるマッチングサービスが始まりました。

ここでは、そんなさまざまなマッチング事例を綴っていきますが、
まずは、HAPSのオフィスからです。

HAPSの2階のオフィススペース。

2階のミーティングルーム。ここで、アーティストなどの相談に応じています。

1階入り口部分はギャラリースペースとして、夜間展示「ALLNIGHT HAPS」を行っています。
写真は、向井麻理企画「ミッドナイトサマーシアター」での「最後の手段」による上映の様子。

HAPSのオフィスの建物自体も京町家を改修した空き家活用のモデルケースとなっています。

HAPSのオフィスが位置する六原学区は、京都市内でも早くから空き家活用に取り組み、
オフィスとなった空き物件も、地域の自治会から紹介していただきました。
およそ築100年、20年ほど空き家だったもので、長く借家として使われており、
中国地方にお住まいの大家さんは、相続して初めてこの家の存在を知ったそうです。
大家さんとしては、
相続時点で既に10年以上空き家で、床も一部腐っているような惨状だったので、
ご自身で手をかけて賃貸することは考えていなかったそうです。

全体に傾いてしまった物件の歪みを直すための土台からのジャッキアップ、
さらに屋根補修、電気・ガス、水回りの整備など全てを含めると、
設計事務所からの当初の改修見積りは2000万円くらいになりました。
しかし、大家さんとHAPS、どちらにもその予算はありません。
悩んだ結果、建築リサーチチーム「RAD」に相談したところ、
ワークショップ形式での改修をやってみようということになりました。
「RAD」は、Research for Architectural Domainの略で、
彼らは、「建てること」のみならず、
「現にあるものを、どう活かすのか」という視点から活動しています。

ワークショップなどで派生する改修費を全てHAPSで担う代わりに、
家賃は大家さんの固定資産税と火災保険料をまかなえる、
最低限に抑えていただくことになりました。

改修前の建物外観。

ワークショップの講師は、地元の大工さんや左官屋さん、そしてアーティスト。
参加者は、京都ならではの伝統技法や、アーティストの斬新なアイデアを体験でき、
さらに、自身で空き家を活用する際に必要な技術を習得できるので、
空き家活用促進にもつながります。

最初のワークショップの日、
空き家に入ると、床は両端で15cmほど傾き、屋根には大量のホコリが溜まっている状態。
まずは、ワークショップ参加者とともに、
床などの内装や造作家具など不要物の片付けからスタートしました。
2012年7月のことです。
水道・電気設備、コンクリート土間こそはプロの方に工事をお願いしたものの、
ほかは各分野のエキスパートやアーティスト指導のもと、
HAPSが募った一般の参加者とともに改修していきました。
解体や撤去の次は、床を水平にし、建物の骨組みや壁の補強、
棚階段やロフトづくり、壁の塗装や表面の加工、新たな壁や床づくり、
三和土工法での土間づくりなどを行っていきました。

解体・撤去作業1日目(2012年7月)。

アーティスト・市村恵介さんの指導のもと、1階ギャラリー部分の壁を制作(2012年11月)。

町家に用いられる伝統工法のひとつ、古い土壁に布海苔で和紙を貼っていくことで剥落を防止(2012年12月)。

毎回、ワークショップは、中心となるRADの木村慎弥さんによる朝礼からスタート。
グループワークで作業を進めるので、初対面同士でもすぐに打ち解けます。
最初は全くの初心者であっても、繰り返し参加していくことで、
スキルは目に見えて上がっていきました。
力仕事や暑い・寒い時期など、ハードな面もありましたが、常に和気あいあいとしたムード。
昼食や時には夕食もともにしたり、近くの銭湯、大黒湯で一日の作業を終えて汗を流したり。
特にリピーター同士は、その後もイベントに誘いあうなど、交流が続いています。

hyslomによる、アーティストならではの視点で改修を楽しむ塗装ワークショップ(2013年2月)。

ワークショップの合間には、炊き出しをしてともに食事を囲んだ。

RADの提案で、
単に解体したり改修したりするだけではなく、工程を全て記録に残していったのも、
一連のワークショップの特徴です。
今後空き家を活用したいアーティストがDIYで改修する際の参考にできるよう、
手順、作業にかかる人手、時間などをレシピとしてまとめています。
記録の一部は、写真を中心に、Facebook上でHAPS Office renovation projectのページで
見ることができます。

また、この物件の難点だった歪みは、
「歪んだまま見せる」というテーマのもとで改修を行い、
隠すのではなく、見せるための工夫が随所に施されています。
例えば、2階の床は板張りの周囲四辺をモルタルで囲まれています。
歪みによって、端まで板を張ることができない代わり、
歪みをポジティブに見せるデザインとして取り込んでいきました。

はなれの改修では、元の構造に波板をかぶせることで見せつつ補強(2012年12月)。

週末を中心に、数十回のワークショップを行い、
約100日の作業日数を経て、2013年8月にオフィスは開館しました。
京都内外(愛知、三重、なんと関東、九州からも!)からの参加者の中には、
リピーターとなってさらに友人を連れてきてくれる人もいて、
参加者登録は100人近くにのぼりました。
「建物を自力で解体するというのは、できると普段想像していなかったことだったけれど、
テレビ番組のような体験で印象深かった」とは、ある参加者の証言です。

現在もなお、さまざまな部分の手入れの目的で改修ワークショップは継続しています。
「オープン時点での完成度は80%で、
残りの20%を残したことで、他の人が遊びを加えていけたので、結果として面白くなった」と、改修ワークショップで現場監督を務めたRADの木村さんが、
当時を振り返り話してくれました。

壁づくりワークショップで参加者に説明する木村さん(中央)。

オープン後も意匠や装飾といった部分を改修し続けました。
例えば、オフィスに着くとまず目に付く「HAPS」の看板下部分は、
「都市表層研究所テグラ」によるワークショップででき上がったものです。

ワークショップで制作したタイルを入り口壁面に設置(2014年3月)。

集会スペースには黒板が設置され、改修で出た廃材を使用した本棚が設置されています。
この場所では現在、知識や経験、
技術を共有していく開放的なレクチャープログラム「OUR SCHOOL」が展開されています。

1階はレクチャーやワークショップ等に活用。

今年3月には1階の耐震補修を兼ねた土壁のワークショップを実施。
左官職人の萩野哲也さんをお招きし、
竹小舞(たけこまい/土壁の下地に使う細い竹)の編み方や
材料のつくり方から土壁の塗り方までを指導してもらいました。
素材として用いられる土は、練り直して繰り返し使われているため、
HAPSオフィスの土壁には、江戸時代からの土も混ざっているそうです。

また、この夏は新たに「同じ景色を見ている」
(建築家で一級建築士の木村慎弥さんと映像や舞台制作を行う山田毅さんによるプロジェクト)チームによるワークショップで中庭の壁が完成。
これまでは、お隣の壁面がむき出しで少し殺風景な庭でしたが、
縁あって、ある家から譲り受けてきた、
丹精込められた植木たちとあわせ、潤いある憩いの空間が出現しました。

壁づくりワークショップで、壁の構造につくった木のうろこを貼っていく(2014年6月)。

木村さんによる「土壁の中塗りのワークショップ」も今年の秋に控えています。
建物の歴史にも思いを馳せながら、今も続く改修ワークショップで、
HAPSオフィスは進化を続けています。
最近では親子向けのお話会が定期的に開催されていたり、
またご近所の方々が夜に足を止めて展示を眺めていたりも。
さらに、ご近所で不要品となった毛布やちゃぶ台など、
「誰か必要としている人いないかしら」といった、
ありがたいお話が舞い込んでくることも増えてきました。
一方で、京都のアーティストが日々相談に訪れ、
さらに、世界的なアーティストやキュレーター、美術やまちづくり、
建築などの関係者が国内外から視察に訪れるなど、
HAPSのミッションのひとつでもあるネットワーク形成を体現するような場所になっています。
地元に深く根差しながら、
同時に世界に向けて京都のアートについて発信していくような場でありたいと思います。

次回は、HAPSがコーディネートしたアーティストのスタジオなどを紹介します。

書籍『おみやげのデザイン』。全国で愛されるおやつの共演、洗練パッケージのご当地お菓子図鑑

日本各地で作られている、趣向を凝らしたお菓子。
土地の個性を活かしたお菓子たちは、たいせつな人に旅の思い出を伝える
お土産として、また日頃の感謝を伝えるプレゼントとしても喜ばれるもの。
とくに、センスが良い、すてきなパッケージのお菓子をもらうと
嬉しくなってしまいます。

書籍「おみやげのデザイン」は、魅力的な「包装」が施された
日本のお菓子を写真で紹介している本。パッケージのみならず、
商品の内容も合わせて掲載しています。
デザイナーの方から、デザインに興味がある方、お取り寄せお菓子を
探している方など、幅広く楽しめそうな一冊。

東京・阿佐ヶ谷「釜人鉢の木

神戸「ARUKUTORI

広島「エスト・エット

本の中身は、和菓子、郷土菓子/ケーキ、焼き菓子/その他
/ジュレ、ジャム、調味料/飲料などのジャンルごとに紹介されています。
ローカルデザインのブランディングを研究する資料としても参考になりそうです。

・書名:おみやげのデザイン
ビー・エヌ・エヌ新社
ISBN:978-4-86100-934-1
定価:本体2,600円+税
商品の詳細はこちら

大館市の秋田犬 「ののちゃん」日記 第4回。 お盆と大館・北秋田芸術祭 Web公開!

こんにちのん!

日中はあいかわらず水浴びが気持ちいい毎日ですが、
朝晩は涼しく(秋田犬的にも)すごしやすくなってきた大館です。

お盆の間は全国からたくさんの方がののに会いにきてくれました。
いろいろな方にお会いできてうれしかったですのん!

そしてお盆のハイライト「大文字祭り」の時は、
歩行者天国となった大町商店街の人出は最高に。

編集部註:「大館大文字まつり」は大館のお祭り。
昼間は大館市内の「おおまちハチ公通り」で大館大文字踊りなどのパレードが、

お祭りでは、ののもスタッフさんと一緒に
「ののクッキー」でおもてなし。
焼きあがるたびにすぐになくなっちゃうほど大好評!
少しはお手伝いできた気がしますのん♪

「大文字祭り」の夜の恒例、大文字焼きと花火です。

■大館・北秋田芸術祭Webサイト公開!

ここ最近スタッフの皆さんは大館・北秋田芸術祭2014 「里に犬、山に熊。」の
ガイドマップやWEBサイトの制作を夜遅くまでがんばってました。(ののは寝てたのん!)

そして情報がたっぷりつまったWEBサイトがついに公開されました!

DOMMUNEオープニングイベントで始まる芸術祭、
途中には「ののと行くツアー」なんかもあったりして大充実ですのん!
ぜひ一度ホームページをチェックしてくださいのん!

WEBサイトにはのののページ「あいにいける秋田犬・のの」もあるのん!

そういえばののはこのあいだNHK・Eテレの「東北発☆未来塾」
という番組に出たのです。
8月の番組講師がのののお父さんなので少し夜更かししてみていました。

2ヶ月前の収録だったのですが、なんだかののちっちゃいのん。
収録時よりはすこーし大きくなってしまいましたが、
相変わらずのんびりとみなさんをおまちしておりますのん!

大館・北秋田芸術祭2014『里に犬、山に熊。』

ののちゃんと行く芸術祭ツアーはこちらから

ごはんもアートも楽しめる!神戸にて室内型の音楽会「港町ポリフォニー2014」開催

9月7日(日)、神戸のKIITOにて
音楽やマルシェ、ワークショップなどが集まる
室内型の音楽会「港町ポリフォニー」が開催されます。

昨年からはじまったこのイベントは、
ライブはもちろん、
さまざまな楽しみ方ができる音楽会。

出演アーティストは、
トクマルシューゴさん、湯川潮音さん、
WATER WATER CAMEL、
Predawn、三田村管打団?、ショピン、
YankaNoi、ゑでぃまぁこん、
CANTUS、森は生きている、 ペ・ド・グ。

ミュージシャンのほか、
画家・絵本作家のミロコマチコさんらのパフォーマンスや、
アニメーション・スープによるアニメーション上映会などもあり、
子どもから大人まで楽しめます。

■港町ポリフォニーの楽しみ方

会場となるKIITOは、旧神戸生糸検査所をリノベーションした施設。
当日は、KIITOの広い会場にステージ、フードブース、
物販ブース、ワークショップブースが並びます。

ごはんを提供してくれるのは、
香川県にある小さな食堂「Benの台所」(上写真)、
大阪から健康ごはんにこだわる「ピンポン食堂」、
大阪発、豆乳とおからを使ったドーナツのお店「DONUTS DEPT」、
神戸より、やさしい味のお菓子のお店「two spoon」。

そして昨年につづき、今年も
ヤヱガキ酒造と港町ポリフォニーのコラボカクテル「日本酒モヒート」が登場。
辛口の日本酒「八重垣純米」にフレッシュミントをそえた、
すっきり爽やかな味わいのカクテルです。
おいしいお酒を片手にライブを楽しみましょう。

ワークショップは、
イラストレーターのyamyamさんと絵をかく「yamyamの似顔絵屋さん」、

emiumigumiさんによる「好きなものに刺繍をしよう!」、

好きな色のレザーを組み合わせてアクセサリーをつくる
「21% レザーアクセサリーづくり」などを開催。

マルシェには、足立珠美・大西雅子によるアートユニット
「kemania」のポストカードや
ちょっと楽しくなる服をつくっているお店「ハンカチ」のオリジナル商品、
陶工芸師 中田誠さんの陶器などが並びます。
きっとお気に入りの一品に出会えるはず!
ポリフォニーとは、“多声楽”という意味の音楽用語だそう。
多種多様なアーティストの音楽が港町に響き渡るように、
との願いをこめて名づけられました。
音楽やおいしいごはん、かわいいものが出会って、
今年もあたらしいポリフォニーが生まれそうです。
チケット情報は、公式サイトをご確認ください。
港町ポリフォニー2014
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富山市の51%(五割一分)で「さる山展」。濱中史朗、寒川義雄、古橋治人らの作品を展示

おでかけコロカルでもご紹介した、
富山県富山市の「51%」。
五割一分、ごわりいちぶ、と読みます。
ここは建築から内装のデザイン、グラフィック、
さらにインテリアや雑貨のコーディネート・販売など
幅広いクリエイティブを発揮するデザイン事務所。
「TORANOMON HILLS ANDAZ TOKYO」51階の
ラウンジスペースとSWEET ROOMの書籍セレクト&スタイリングや、
つくば市の「da Dada」の内装なども手がけられています。

この51%のオフィスの2階は「51%Furniture Store」として
開放されており、憧れのテーブルやチェアを自由に楽しめる、
インテリア好きにはたまらないショールームとなっているんです。
このストアで、8月23日(土)から、麻布十番のお店「さる山」による
古陶磁やガラスなど手仕事のテーブルウェアなどを展示する
「さる山展」が開催されます。

寒川義雄

「さる山」の店主、猿山修氏は、グラフィック、プロダクト、
空間など、ジャンルにこだわらず独自のスタイルでモノを作り出していく
デザイナーでもあります。そして陶磁、金属、ガラスなど、さまざまな
作り手と共作し、さまざまな品物をつくりだしているのです。

辻野剛

この展覧会では、猿山氏がつくり手と共作してきた品物の数々を、
つくり手のオリジナル作品とともに紹介します。
陶磁器の濱中史朗さん、陶器の寒川義雄さん、
木工の古橋治人さん、ガラスの辻野剛さん、金属の竹俣勇壱さんらが
参加されます。
会期は9月7日(日)まで。

古橋治人

「さる山」展
会期:8月23日(土)~9月7日(日)
時間:10:00~18:00 無休       
会場:51% 五割一分[富山] 2F Store
住所:富山県富山市磯部町3-8-6

見て、聴いて、参加して楽しむもう一つのトリエンナーレ、横浜にて始動!「ヨコハマ・パラトリエンナーレ 2014」

今年、ヨコハマ・トリエンナーレでにぎわう横浜に
もう一つのトリエンナーレが誕生しました。

その名も「ヨコハマ・パラトリエンナーレ」。
障がい者と多様な分野のプロフェッショナルの出会いから生まれた
現代アートの国際展です。

8月1日(金)〜11月3日(月・祝)まで、
ヨコハマ・トリエンナーレと並行して開催されます。

目【め】Photo:麻野喬介

主催は、横浜ランデヴープロジェクトとSLOW LABEL。
横浜ランデヴープロジェクトは、
2009年に障がい者施設とアーティストによる
新しいものづくりを試みる実験事業を立ち上げ、
SLOW LABELは2011年にスローな手法で
1点もののモノづくりを行う手づくり雑貨ブランドをスタート。

そして横浜トリエンナーレが開催される今年、
“アートの力で多様な人々の出会いと協働の機会を創出し、
誰もが参加できるフェスティバル”を、という思いから
「ヨコハマ・パラトリエンナーレ2014」を開催します。

アンリアレイジ Photo:麻野喬介

第1回目のテーマは、「first contact –はじめてに出会える場所-」。
会場の象の鼻テラスを舞台に、
これまで出会うことのなかった人々が出会い
ともに試行錯誤しながら、さまざまなプログラムを展開します。

■ヨコハマ・パラトリエンナーレ 2014の楽しみ方

真鍋大度+石橋素+照岡正樹+堤修一 Photo:麻野喬介

パラトリエンナーレには、展示、パフォーマンス、展示の3つの柱があります。

展示プログラムでは、
現代芸術活動チーム 目【め】による自閉症の世界に
インスパイアされた作品「世界に溶ける:リサーチドキュメント」や、
メディアアーティストの真鍋大度+石橋素+照岡正樹+堤修一と
聴覚障害のダンサー SOUL FAMILYによる
コラボレーション作品「music for the deaf」などを展示。
そのほか、ファッションブランドのアンリアレイジ、
アーティストの岩崎貴宏、ミハイル・カリキス(9月中旬〜)などの作品が見られます。

パフォーマンスには、
ベルギー・エスパスカタストロフ総合アートディレクターのカトリーヌ・マジや、
カンドゥーコ・ダンス・カンパニー共同芸術ディレクターのペドロ・マシャドを
はじめとするディレクターやダンサーが参加。

プロジェクトでは、井上唯 × SLOW FACTORY、
ダイアログ・イン・ザ・ダーク × 三角みづ紀などによる
プログラムが予定されています。

岩崎貴宏 Photo:山崎真

「ヨコハマ・パラトリエンナーレ」が目ざしているのは、
誰もが参加できるフェスティバル。
プロのサーカスアーティストやミュージシャンと一緒に
パレードを行う「パラトリパレード2014」や
カトリーヌ・マジさんによる「サーカスワークショップ」など、
さまざまな参加型プログラムが用意されています。
象の鼻テラスの前には港や海が広がり、ロケーションも抜群!
ぜひ五感を総動員させて、新しいアートにふれてみてください。

ヨコハマ・パラトリエンナーレ 2014
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下町・荒川とアフリカがアートで繋がる!小沢剛、西尾工作所ら参加「アラカワ・アフリカ5」

東京の下町、東京都荒川区東尾久にある、賑わいあふれる
「おぐぎんざ商店街」にあるギャラリー「OGU MAG」を中心に、
荒川区とアフリカをつなげるアートプロジェクト「アラカワ・アフリカ」。
日本で活躍するアーティストを迎えて、
荒川区の公共施設から土手からまちかどから、
あらゆる場所を舞台にワークショップや展覧会などを行なうプロジェクトです。

2010年から毎年夏に開催されているこのイベントが、
今年は2014年8月20日(水)から8月25日(月)にかけて開催!
会場はギャラリーOGU MAGのほか、「町屋文化センター」や
「尾久宮前小学校」など、地元の施設を大活用。
荒川とアフリカとアートを体験しながら、ゲスト講師陣とともに学び合う
夏のキャンプを開催します!

それにしても、なぜアフリカなんでしょう?
荒川区内には一昔前、アフリカからの働き手がたくさんいたとか、
今でもアフリカで仕事をしている日本人が拠点にしているとか。
アフリカの布と太鼓の品揃えが日本一豊富なお店があるとか、諸説はあるのですが、
荒川区がもっている独特の風土に魅せられて、
アフリカ好きが立ち寄る街になり始めているのだそう。

2013年に開催された「アラカワ・アフリカ4」での音楽ワークショップ。蓮沼執太《キベラ・エクスチェンジ》 撮影:桜木奈央子

今年の参加アーティストは、こちらの方々。

尾崎竜二(映像ディレクター) 
小沢剛(現代美術家) 
日光(ダンサー) 
西尾工作所ナイロビ支部(アートマネジメント) 
ママ(料理講師) 
ミヤザキケンスケ(アーティスト) 
茂木佐和子(「アフリカ屋」店主) 
矢野原佑史(音楽人類学者)

ワークショップは、初心者向けの「アフリカンダンス教室」(23日)や
マリ出身のママさんを講師にお招きし、アフリカの伝統料理を
一緒に作る「アフリカ料理教室」(24日)。
レクチャーは、音楽人類学者の矢野原佑史さんによる、
「カメルーンのヒップホップ・カルチャー」(23日)や、
現代美術家の小沢剛さんがアフリカの印象を語る
「昼休みの荒川の土手でアフリカ人と出会った。」(24日)などを開催します。

また、アーティストのミヤザキケンスケさんと、尾久宮前小学校の
児童たちがサマースクールで制作した「アラカワとケニアを結ぶフラッグ」を
五町会連合盆踊り大会の会場でお披露目したり(23日・24日)、
西尾工作所ナイロビ支部さんたちと、アフリカの生活を描いた映像を
テントの中に入って鑑賞したり(20日〜25日)。
アフリカに想いをはせることで、
荒川区の良さを再発見。区民も区外のみなさまも、子どもから大人まで
「アラカワ×アート×アフリカ」を体験し楽しめるイベントです!

・「アラカワ・アフリカ5 アラカワ・アフリカ キャンプ
ギャラリーOGUMAG
住所:東京都荒川区東尾久4-24-7

「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ」みちのく山形から“山をひらく”芸術祭がはじまります。

2014年9月20日(土)〜10月19日(日)、山形にて
今年初開催となる「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ」が開催されます。

開催テーマは「山をひらく」。
みちのく山形への旅の入口と、震災以降の未来をひらき、
ここからアート、音楽、詩、ファッションなど、
ジャンルをこえた創造の物語がはじまります。

参加アーティスト/団体は、
写真家の梅佳代さんや小説家のいしいしんじさん、日本画家の三瀬夏之介さん、
映像作家/音楽家の高木正勝さん、シンガーソングライターの七尾旅人さん、
トラフ建築設計事務所などなど。

芸術監督は、山形県出身で「たいようオルガン」や、
「あさになったので まどをあけますよ」などの
絵本作家として世界的に知られるアーティストの荒井良二さん。

「ぼくらの山形を山門にして、『みちの(お)く』への入口をひらき、
そこから東北を旅する人たち、子どもたちが、
新しい東北のイメージを持ち帰ってくれればいいなぁ」
とあいさつの言葉をよせています。

■ みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレの楽しみ方

この芸術祭では、山形市内にある山形県郷土館 文翔館をメイン会場に、
東北芸術工科大学、やまがた藝術学舎ほかでアート作品が展示されるほか、
さまざまな参加型プログラムが用意されています。

ぜひ参加したいのが、公式ツアープログラム。
イラストレーターの平澤まりこさんと
森のものづくりや信仰に触れるスタディツアー
「Yamagata Touring ―平澤まりこさんと“みちのおく”をいく」や、
県産材をつかったものづくりを体験するツアー
「YAMAMORI TRAVEL EX 鈴立山+天童木工」など、
山形ならではのツアーがたくさん。

東京からバスで行く「秋の山形で、アートと音楽、修験文化を体験」ツアーもおすすめ。
各会場のアート作品をめぐり、山伏の坂本大三郎さんと修験の山を歩く、
泊まりがけのツアーです。
芸術祭のオリジナルブック「山形をいく」などの特典もあり。

もう一つの目玉は、
国の重要文化財、山形県郷土館「文翔館・議場ホール」で行われる音楽プログラム。

高木正勝

佐藤那美、七尾旅人

会期中の週末を中心に、7夜にわたって
ペインティング、ダンス、パフォーマンス、映像とのコラボレーションによる
音楽プログラムが開催されます。
ほとんどの公演はセッション形式となっており、
大友良英さん × 吉増剛造さん、七尾旅人さん × 佐藤那美さん、
青葉市子さん × 中島ノブユキさんなどのセッションが予定されています。
(高木正勝さんのみソロ公演)
1916年に創建された「文翔館・議場ホール」は、250名限定の小さな講堂。
ここでしか見られない特別な一夜が繰り広げられそうです。

そのほか、こどもから大人まで参加できる荒井良二さんの
イベントやワークショップなども、多数開催予定。
ライブチケットの販売やツアーの申し込みはもうはじまっています。
詳しい情報は、下記サイトからご覧ください。
みちのおくの芸術祭
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道頓堀に輝くグリコ看板5代目がまもなく引退!「グリコネオン展」で歴代看板を振り返る

大阪道頓堀のシンボルとして長く愛されているグリコ看板。
その5代目の最終点灯日が
いよいよせまってまいりました。
8月17日(日)の点灯を最後に、
6代目が設置される予定の秋まで
あのさわやかな笑みのゴールインマークと
しばしのお別れとなります。

1998年から16年間輝き続けた5代目は、
大阪城や通天閣など大阪名所が描かれた背景が印象的。
空の部分のネオンが朝、昼、夕、星空と変わり
違った表情を見せてくれています。
しかし老朽化がすすみ、この夏ついに引退することに。
次にバトンタッチする6代目のデザインはまだ公表されていませんが、
今まで使われていたネオン管から
省エネを考慮したLED照明に変わり、
より華やかな見せ方ができるようになるそう。

初代と今では形もゴールインマークのタッチもだいぶ違います

その看板交代を記念し、
ただいま江崎記念館にて
「グリコネオン展」が開催。
歴代の看板の再現模型や(5代目の模型展示は8/18~)
設計図面、デザイン画などとともに
これまでのグリコ看板の歴史を紹介しています。
また、スマートフォン用のARアプリで
当時のグリコ看板との記念撮影もできるそう。

阪神タイガースユニフォームに着替えた5代目の大きさも体感できる

時代に合わせて変わり続けるグリコ看板。
5代目の最後を見届けつつ
この機会に見比べにいってみては。

【道頓堀グリコネオン展】
期間:2014年 11月 28日(金)まで
場所:江崎記念館
所在地:〒 555-8502 大阪市西淀川区歌島 4-6-5
電話番号:06-6477-8257

江崎グリコ

シーンデザイン 一級建築士事務所 vol.01: そこにあることの意味に 想いを巡らすこと

シーンデザイン一級建築士事務所 vol.01 
リノベーションの魅力を知る

9年前の2005年、冬季長野五輪を終えてから8年。
かつて開会式会場をはじめ、オリンピックの中心地となり賑わいを見せた長野市でしたが、
その頃にはうってかわって中心市街地の空洞化が顕著となっていた時期でもありました。
そんな状況のなか私は地元長野の設計事務所、宮本忠長建築設計事務所在籍中に
中心市街地の百貨店跡地再開発の一担当者として関わっていました。
たくさんの古い建物の解体撤去から
現在の再開発ビル群が完成するまでの一部始終を見ることとなり、
長野市の中心市街地の大きな転換点を体感することにもなりました。

古き良き時代の……などというノスタルジックな気持ちではなく、
なんとなくこのプロジェクトに関わっている間中、
心のどこかで気にかかる事柄がありました。

それは、初めて経験する“再開発の現場”が、
都市の多様な考え方や思いを画一化する作業をしていくように思えたことです。
再開発プロジェクトに対する批判ではなく、
そうせざるを得ない状況も多々あることで仕方がないことでもあると思っています。

その一方で、この再開発とほぼ同時期、
私はもうひとつのプロジェクトに携わっていました。
善光寺表参道大門町に江戸の頃から続く老舗旅館「藤屋御本陣」の
リノベーションプロジェクト「THE FUJIYA GOHONJIN」です。
この周辺地域の再生をも視野に入れた老舗旅館のリノベーションと
中心市街地再開発のふたつの案件を担当しながら、
時には同じ日に両方の打ち合わせを行ったりもしていました。

まちの“つくりかた”にはいろいろな方法があるのだと思いますが、
このふたつのプロジェクトほど対照的なものはありませんでした。
どちらも、事業としての成功は企業にとって大きな願いであるし、
まちを元気にしたいという気持ちは同じベクトルのはずですが、
アプローチは全てが真逆でした。どちらが良い悪いといった話ではなく、
同じ時代、同じ地域のまちづくりの一端を担うプロジェクトの意思決定のプロセスが、
これ程までに違うものかと単純に驚き、戸惑ったものでした。

この経験から、リノベーションについて……というか
“つくりかた”について、いろいろなことを考えるようになり、2006年に独立をして
「シーンデザイン一級建築士事務所」を開設するきっかけにもなりました。

独立後、自分の設計事務所の仕事のほかに「ツリーハウスプロジェクト」や
「プロジェクトカネマツ」などの活動も行っています。
それについてはコロカルに取材されたこともありますが、
(山崎 亮ローカルデザイン・スタディ#052 参照)
この連載でも後々もう少し詳しく触れるとして、今は仕事も、そのほかのプロジェクトも、
2005年に携わったあのふたつのプロジェクトに感じた違和感を片隅に留め
“つくりかた”に心を置きながら取り組んでいるように思います。

土屋ビルとの出会い

そんなことを思いながら4年、
2009年のはじめに「THE FUJIYA GOHONJIN」の仕事でお世話になった方を通じて、
築52年の鉄筋コンクリート造の土屋ビルという建物のリノベ計画のお話をいただきました。

善光寺へと通じる長野市中央通り、
長野冬季オリンピックの表彰会場にもなった「セントラルスクゥエア」のほど近くにある
「土屋ビル:長野外国語センター(現ナーガ・インターナショナル)」のことは、
実を言うと知りませんでした。というより、
雑多なまちの風景に完全に溶け込んでしまっていたそのファサードに
意識的な眼差しを向けることがなかったからです。
きっと、ある日、突如としてここが更地になっていたとしても、
かつてここに何があったのか思い出せなかったかもしれません。

リノベ前の土屋ビル外観。周辺には木造、RC、鉄骨、新旧建物が混在している。

この土屋ビルはこれまで、さまざまなテナントが入居してきましたが、
今は「ナーガ・インターナショナル」という語学学校になっています。
英語のみならず、さまざまな国のことばを学べ、同時に文化の違いや、
違う言語の人たちがお互いの考え方を理解するためのお手伝いをする、
長野では老舗の語学学校です。

当時、長野外国語センター30周年の節目を迎えるにあたり、
オーナーは建て替えるのではなく、もう一度このビルに新しい息吹を吹き込んで
リユースすることを選択し、シーンデザインに声をかけてくれました。

さて、依頼を受けてからまじまじ建物を見てみると、3階以上の外壁は、
ほぼすべて金属でできた飾り格子で覆われているという、
かなり個性的なファサードを持った建物であることがわかります。

でも、歩いている人の目線には、こんな光景しか見えません。

エントランスは、所狭しとサインで埋め尽くされていました。

自分が何者であるか、名札をたくさん貼られ、
かえって自分の個性に自信をなくしてしまっているようで建物が可哀そう……。

いや、でももしかしたら、
この特徴的な外壁の飾り格子は室内からはとても役立つ機能を持っているのかもしれない。
たとえばまぶしい日差しを遮るブラインド的な役割とか。

さっそく内部から飾り格子部分を見てみると……

通りに面した空間がもったいない使われ方をしています。

うーん……内部は室内を石こうボードで間仕切られ、室内は倉庫と化していました。
外壁に施された飾り格子には
何の意味も機能も期待されなくなって久しい現況が見て取れまました。

あの鉄格子のファサード、すごく個性的で、この建物にとってなくてはならない、
素晴らしい特徴になり得る可能性をひしひしと放っているのに、
使用者がそのことを忘れてしまっていたり、あるいは気付いていなかったり、
そんな状況がそこにはありました。

近年、リノベーションという言葉や活動を頻繁に目や耳にしますが、
ただ単純に時代の変化を押し付けたり、
目的や用途の変化に合わせて着せ替えても建物は生きてこない。
使う人たちが建物の性格をよく理解してあげていれば、
もっと魅力的な建物になっていくと思うのです。

世の中のどんな建物も、つくられた当時は
必要とされて生まれてきたに違いはないですよね。
でも、この長野外国語センターも然り、
たいていの場合リノベの依頼を受けて古い建物を下見にいくと、
大概、建物が物理的にダメというよりも、使い手がこの建物の神髄を理解しておらず、
無用の長物にしてしまっている、ということが多いように感じました。
そして、もっと、建物の声に耳を傾けたい、そう思ったのです。

“いいところ”を伸ばすデザイン

調べてみると、土屋ビルは1962年(昭和37年)に竣工し、
長野市では鉄筋コンクリート建築の先駆けであり、
当時は長野で一番高いビルと大変な注目を集めていたそうです。

時は流れて周辺にはより高層の建物が建ち並び、
ビルの用途も薬局、ブティック、ケーキ屋、喫茶店、ディスコ、外国語教室と
さまざまな業者が入れ替わり、その都度改装が重ねられてきました。

改装が重ねられるたびに使用者が変わり、用途が変わるたびに
竣工当初にこの建物に込められた願いは薄れ、忘れられてきたのでしょう。
もはや、飾り格子が何のために施されていたのか
外国語センターの誰も憶えていませんでしたが、
そんな建物の“いいところ”を見つけ出し、
伸ばしていくことができたらと思い、このビルの改修プランを考えました。

依頼を受けてから7か月が経った2009年7月。
実施設計が終わり、いよいよ工事が始まります。

厨房床の跡など、解体工事で建物の履歴が推測できます。

まずは解体工事です。

建物の素顔を見ることができるので、私はこの解体の工程が好きです。
度重なる改修の痕跡を辿るうちに、
建物が本来持っている思いがけない表情に出くわしたりすることも多々。
例えばケーキ屋時代の防水床の跡だとかディスコ時代のミラーボールの残骸など。
今は真面目で教育熱心な先生が、実は昔「暴走族だったんだぞ」と。
そんな話に似ています。
解体してみて初めてわかることも多いから、
その都度、設計を修正しながら工事は進みました。

そして、今回のプランの目玉は、
この建物の最大の特徴である飾り格子をどう生かすかというところに絞られました。
なぜなら、外壁の飾り格子と窓との隙間で見つかったライトアップ用電源などから、
約50年前の竣工当初、まだ明かりが少ないまちなかで、
このビルは行燈のように浮かび上がっていたらしいことがわかったからです。
きっと、当時のまちのランドマークだったのだと思います。
今回の工事では当時のデザインコンセプトを尊重して、
ライトアップを復活させることにしました。
ただし、どんな光源や角度でライトアップされていたかは、
資料が無かったのでわかりません。

この飾り格子には、どんなライトアップが似合うのか、関係者総出で実証実験です。

そこで、クライアントや工事関係者を交えて、
どんなライトアップがこの飾り格子を美しく見せることができるのか実験をしました。

通りを歩く人も、車で通り過ぎる運転手も、みんなこの建物を見上げていく。
その姿を見るのが楽しかった。聞き耳を立てると、行きかう人々からは
「何ができるの?」「いつの間にできたの?」
なんて、会話が聞こえてきます。この建物は約50年間、ここに建っていたのに(笑)。

こうして、照明の色や角度、光の強さなど、
関係者みんなが納得のライトアップが決まりました。
テーマは多文化の融合。外国語センターという用途に由来してのことでした。
その他、外装の工事は1階エントランス部分のみに留め、
2階以上の外壁は既存を生かす計画として、内部に少し手を加えました。

生まれ変わった土屋ビルの外観(でも外装で変えたのは1階部分のみ)。

その他、語学学校の教室となっていた2階の部屋の窓に多数貼られていたサインシート。
これをすべて剥がし、外からも授業の様子がうかがえるようにしたり、
ラウンジで生徒が講師の先生と会話している様子が外からちらちら見えたりします。
内部のアクティビティーがまちに漏れ出すことが建物の表情を豊かにし、
もう過剰なサインが無くても、
語学学校であることは建物自体が語ってくれるようになりました。

内装は暖かい色調で、親しみが持てる雰囲気へと変えました。

土屋ビルがリニューアルオープンしたのは2009年9月のこと。
土屋ビル改修の仕事は、私にとってある視点を得る、転機となるものでした。

そこにあることの意味に想いを巡らすこと

何らかの意図をもってつくられた建物の記憶をたどること。
それは謎解きのようでもあり、新しい物語を綴る作業のようでもあります。
その建物や空間は年月とともにどう進化したか。
ここで何が起こり、それはどのように進展または消滅したか。
模様替えされたところとされなかったところはどこか、そしてそれはなぜか。

そんな風に問いを常に建物に投げかけては想像する。
いま既にあるものを無視したり、否定することなく、
肯定するところから始める姿勢が、まちとどんな関係を
これから結んでいけるのかを考える大事なきっかけになると学んだ気がします。

そして、まちには同じような境遇の建物がたくさんあるかもしれないし、
まずは今ある建物のことを、みんなが“知る”だけでも
まちは変わるんじゃないかと思うようになりました。

真新しいビルに囲まれても、そのなかに埋もれることなく、
むしろ50年間このまちに存在し続けたことを誇らしげに建つことができた土屋ビルは、
見る人にいろいろなことを語りかけてくれたのではないかと思います。

そんなわけで私はリノベーションという“つくりかた”の面白さを確信したのです。

information


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シーンデザイン一級建築士事務所

住所 長野県長野市 東町207-1 KANEMATSU内
電話 026-262-1178
http://scenedesign.jp/

太宰府天満宮の自然、神事、人に神を感じる。「神さまはどこ? 酒井咲帆・前田景写真展」

福岡県太宰府市にある、「太宰府天満宮」。
学問の神様「菅原道真公」を祀っており、「学問の神様」として
全国から参拝者が絶えない場所。年間に訪れる参拝者は約700万人にものぼります。

この場所をこれまで4年間にわたって撮影している二人の写真家がいます。
ひとりは福岡市で、ひとあじ違うフォトスタジオ「ALBUS(アルバス)
を営む写真家、酒井咲帆さん。
もうひとりは東京都在住の写真家、アートディレクターであり、
太宰府天満宮にも多数のデザインを提供する前田景さん。
二人はいままで、同時もしくは別々に太宰府へ足を運びながら、
この天満宮と宝満宮竈門神社の境内の自然、四季の移ろい、
神事、人を切り取ってきました。
それではしばし、お二人の作品をお楽しみください。

・前田景さん

・酒井咲帆さん

■宝物殿にて写真展「神さまはどこ?」開催中

このお二人が、初めてのコラボレーションである
展覧会「神さまはどこ?」を開催中です。
場所はなんと、太宰府天満宮宝物殿第2・第3展示室。
二人による写真を中心に、「365日お祭り」、「太宰府の四季」、
「神職さんへのラブレター」などいろいろな切り口で編集し、展示しています。
太宰府天満宮の神事に関連する文化財の展示や、
神職さんの言葉の紹介なども。
8月10日、8月24日にはワークショップも開催されます。

展示会場。撮影:前田景

日々の繰り返しの中で時折現れる、息を呑むような景色。
そのなかに、神様の存在を感じるような写真たち。
ぜひ会場で、神さまを探してみてください。

神さまはどこ? 酒井咲帆・前田景写真展

いよいよ開幕!3年に一度の現代アートの国際展「ヨコハマトリエンナーレ 2014」

8月1日(金)〜11月3日(月・祝)まで、
現代アートの国際展「ヨコハマトリエンナーレ2014」が開催されます!

「ヨコハマトリエンナーレ2014」は、みなとみらい地区をはじめとする
横浜の都心臨海部の施設・屋外広場を会場に、
国内外の絵画、彫刻、映像、インスタレーション、プロジェクト、パフォーマンスなどを
紹介する大規模な展覧会です。

5回目をむかえる今年のアーティスティック・ディレクターは、
ゴッホの自画像に扮したセルフポートレイト写真などで知られる、
美術家の森村泰昌さん。

(c)Morimura Yasumasa + ROJIAN

「華氏451の芸術:世界の中心には忘却の海がある」をコンセプトに
来場者を「芸術」という名の舟に乗せ、
「忘却」という名の海を巡る旅へと誘います。

■ヨコハマトリエンナーレ 2014の見どころ

横浜美術館 撮影:笠木靖之

主会場は、横浜美術館と新港ピア(新港ふ頭展示施設)。
展覧会全体を2つの序章と11話の挿話により、1冊の本のように構成しています。

横浜美術館には、
ヴィム・デルボア、マイケル・ランディ、エリック・ボードレール、
サイモン・スターリング、アンディ・ウォーホル、
福岡道雄、中平卓馬、毛利悠子など、

新港ピアには、
やなぎみわ、大竹伸朗、メルヴィン・モティなどの作品が並びます。

そしてぜひチェックしておきたいのが、
会期中、主会場周辺の5拠点で開催される連携プログラム。

「まちにひろがるトリエンナーレ」をテーマにかかげるヨコハマトリエンナーレ2014は、
横浜臨海部の創造界隈拠点をはじめ、
市内でクリエイティブな活動をしている団体やアーティストと連携し、
アートを通じた横浜のまちづくりを目指しています。

今年は、下記の会場にてさまざまなプログラムが予定されています。

BankART Studio NYK
初黄・日ノ出町地区
象の鼻テラス
ヨコハマ創造都市センター(YCC)
急な坂スタジオ

BankART Studio NYKでは、作品のコレクションやアーカイヴを公開。
蔡國強、ダニー・ユン、ノリダン、開発好明などのアーティストが参加。

象の鼻テラスで開催される、障害者と多様な分野のプロフェッショナルの
協働から生まれる現代アートの国際展「ヨコハマ・パラトリエンナーレ2014」には、
真鍋大度+石橋素+照岡正樹+堤修一、目【め】、
ミハイル・カリキス、岩崎貴宏などのアーティストが参加。

黄金町の街中で展開される「黄金町バザール2014」には、
小沢剛、チェン・シャオション、ギム・ホンソックからなる西京人など、
アジアを中心とした若手アーティスト約38組が参加します。

ほかにも、魅力的なプログラムが多数!
チケット情報など、詳しくは、公式サイトからご覧下さい。
ヨコハマトリエンナーレ2014

MAD City vol.10: きっかけをつくる! 「成長する空間」をつくり続ける 建築家

MAD City vol.10
成長し続ける空間づくりとは!?

千葉県松戸市は年2回のお御輿、花火大会、献灯祭り、松戸まつりなど、
地域イベントも盛んな土地柄。
その都度MAD Cityの関係者も関わらせていただいたり、
ほかにもMAD Cityが運営するイベントスペースFANCLUBなど、
毎週のようにさまざまなイベントが開催しています。
そんなとき、MAD Cityがいつも「知恵袋的存在」として頼りにしているのが、
建築家・デザイナーの西尾健史さんです。

松戸在住の西尾さんは、数年前からMAD City周辺で開催される、
イベントの什器制作などでよく中心となって活躍してくださっており、
もはやMAD Cityにはなくてはならない重要人物なのです。

実はMAD cityの新オフィスの設計や家具の制作をしてくださったのも西尾さんです! 本当にお世話になりっぱなしです!

ちなみに、普段西尾さんがメインで手がけているお仕事は、
都内を中心とした展覧会の設計デザイン、プロダクトのデザインなどです。
たとえば……。

渋谷パルコで開催されたネコ好きクリエイターたちによる、ネコをテーマにしたポップアップショップ「POPMOTTO du CAT LOVER」。こちらのデザインと什器制作は西尾さんが担当! おしゃれです。

森アーツセンターギャラリーで開催された「スヌーピー展」の物販スペース。こちらの会場設計も西尾さんが行ったとか。壁面がゆるやかにつながっていてお店というよりひとつの家のようになっているのが特徴です(photo:kenta hasegawa)。

東京でもデザイナーとして活躍している西尾さんが、
いったい松戸ではどんな活動をしているのか。
今回はそれをちょっとご紹介したいと思います。

たとえば、前回紹介したMAD マンションの住民の方で、
屋外で「食」に関するイベントを行っている、
フードユニットteshigotoさんを中心に開催された「Outdoor Kitchen」。
これは松戸中央公園の林のなかでかき氷を作って食べるというイベントだったのですが、
西尾さんはキッチンカウンターのデザインと制作を担当してくれました。
「さまざまな場所でこのカウンターキッチンを使用したい」
というteshigotoさんの要望に応えて、分解ができて、どこででも組み立てが可能。
さらに移動も可能なキッチンカウンターをつくったのだとか。
ちなみに、全部西尾さんの手づくりです。

また、MAD Cityが管理する物件 古民家スタジオ旧・原田米店にある
「松戸探検隊ひみつ堂」さん。
この古民家物件の改装デザインを手がけたのも西尾さんでした。

もともとは何年も使われていなかったこのスペースが……

素敵な観光案内所になりました!

いまでこそ、デザインのみならず、インテリアや家具など
実際に「つくる」ところまで手がけている西尾さんですが
実はこの頃はまだあまりリノベやDIYをやったことがなかったのだとか。

「ひみつ堂さんは、色んな条件が重なり、
僕がDIYリノベをやりはじめるきっかけとなった物件だったので、思い出深いですね。
本格的に大工修業をしたことがあるわけでもないので、
最初は『ちゃんとできるかな』と心配だったんですが、
意外とやってみるとできるもので(笑)。
この物件に携われたのは、ものづくりの達成感以上に
DIYのもつ魅力を感じることができて、すごく自信になりましたね」

出身は長崎で、数年前まで都内に住んでいたという西尾さん。
いったい、なぜ松戸に興味を持つようになったんでしょうか。

西尾さんが松戸に興味を持つようになったのは、
以前の職場が柏だったので土地勘があったということがひとつ。
もうひとつは、MADCityを知り、
いい意味でも悪い意味でも「手を入れる余地を感じられるまち」だったから。

「最近は、いろんな地方都市でその土地に合わせて
デザインの取り組みがおこなわれるようになってきています。
松戸も都心に近く、人口も多いので、おもしろいことができるはず。
活動や取り組みがまちの人に受け入れてもらえれば、
少しずつかもしれないけどきっと成長していくと思うんですよね。
だから、僕はそのきっかけになる『場やコト』を松戸でつくれればいいな、
と考えています」

そんな西尾さんが空間づくりのときに常に大事にしているコンセプトが
「これからの暮らし方、及びそれを取り巻く状況全般をデザインする」ということ。

「僕はもともと単に建築物をつくったり、家具をつくったりするというよりは、
『空間そのもの』をデザインすることに興味があるんです。
できればつくった後も、その場で起きる出来事とともに
成長していくような空間をつくりたいんです」

だからこそ、空間をつくるときには
決して「モノだけのデザイン」にならないように意識するそうです。
では、いったいどんな空間づくりをしているんでしょうか?

たとえば、先日西尾さんがMAD Cityプロジェクトとともに手がけたのが、
松戸市内のショッピングセンターオウル五香の
コミュニティスペース 「ほうほうステーション」。
ショッピングセンターから空きテナントを一時的に活用するアイデアを依頼され、
「親子の交流が生まれる公園のような場をつくろう」という提案をし、実現しました。

西尾さんがつくったのは、本棚にもなるキャスターつきのベンチ。
単なる休憩スペースだけではなく、ここで買い物途中の親子連れが、
本を読みながらひと息つき、
絵本を介したコミュニケーションが生まれるよう配慮したのだとか。
今後は、本の内容も絵本だけでなく、料理本や旅行本等も増やしていきたいそうです。
「お母さんと子どもがここで本を見ながら今日の献立を相談して、
ショッピングセンター内で買い物をしたり、
週末の予定を考えたりと日常的に来てもらえる場所にしたい」
という構想もあるそうです。

また、利用者同士の交流を生むために、
「2冊本を持ってくれば好きな本1冊と取り替えてもOK」
という絵本の交換サービスを行ったりもしているそうです。

平常時はこんな感じ。お母さんと子どもが、お買い物の途中に、絵本を読みながらまったりとひと休みできます。

本棚も兼ねたベンチにはキャスターがついているので、自由にレイアウトの変更が可能なんです! 写真は、よみきかせイベントの様子です。

可動のベンチや山の形をしたパーテーションで、
いろいろな用途に合わせて空間をつくれるため、
「ここでイベントをしたい」という希望者の方も出てきているそうです。
ショッピングモールからは、この場所に次のテナントが埋まったら終わりではなく、
今回の可動式の什器を別の空きテナントに持っていけば
引き続き活動できるというアイデアも評価をいただいたとのこと。

「自分がつくったスペースを地元の方々が気に入ってくれて、
さらにいろいろな利用方法を考えだしてくれるのは本当に嬉しいです。
このスペースも、もっと地元の方々に使っていただけるようになったらいいですね」

「ベッドタウンとしての側面を持つ松戸は、通勤等でどこかしら都内と繋がっています。だからこそ『松戸でやっていることのほうが、都心でやっているものよりおもしろいしカッコいい!』と言われるのが理想です」と西尾さん。MAD Cityと一緒に、もっともっと周辺エリアを盛り上げていきたいですね!

せっかくつくった空間だから、成長させないともったいない。
その場限りで終わらせず、その後も独自に成長していくきっかけとなる種を植えていく。
そんな西尾さんと一緒にMAD Cityもエリア中に
さまざまな種を残していきたいと思います!

information


map

MAD City(株式会社まちづクリエイティブ)

住所 千葉県松戸市本町6-8
電話 047-710-5861
http://madcity.jp/

「大坂城 豊臣石垣公開プロジェクト」がスタート! 豊臣秀吉が築いた大阪城を掘り起こそう

大阪のランドマーク、大阪城。
いわずと知れた豊臣秀吉ゆかりの城です。

でもじつは、豊臣秀吉が手がけた大阪城は、
現在の大阪城の地下に埋まっているそう。
1615年の大坂夏の陣で徳川家康に敗れ、
豊臣大坂城を覆い隠すように徳川大坂城が築かれて以来、
地下に眠り続けているというのです。

そこで大阪市では、大阪城エリアの世界的観光拠点化にむけて、
「豊臣石垣公開プロジェクト」をスタート。
大坂夏の陣から400年の節目を機に、
豊臣石垣を掘り起こし、石垣公開のための施設をつくろうというこころみです。

石垣公開施設内覧イメージ

施設は、豊臣秀吉が築いた初代豊臣期大坂城の石垣と、
徳川幕府が築いた徳川期の大坂城石垣を
見くらべられるものを計画しているとのこと。

7月からは、このプロジェクトの資金をあつめるために、
クラウドファンディングも開始。
プロフィギュアスケーターの織田信成さん、漫画家の尼子騒兵衛さん、
作家の有栖 川有栖さん、わかぎゑふさん、
講談師の旭堂南陵さんなど
大阪城にゆかりのある著名人33 名がサポーターに就任し、
このプロジェクトを盛り上げています。

クラウドファンディングサイトを通じて募金をすると、
5 名のサポーターのサイン入り記念 メダル「太閤通宝」など
金額に応じてさまざまな特典があるそう。

今も地下に眠る豊臣石垣

クラウンドファンディングの募集は2014年8月31日まで。
目標額達成後は、大坂夏の陣から400年にあたる2015年に向けて、
石垣公開施設を準備していきます。
クラウドファンディングやこのプロジェクトの詳細は、下記サイトからご覧ください。
豊臣石垣公開プロジェクト太閤なにわの夢募金
クラウドファンディングサイト

大分で、アートと国東半島が出会って生まれた。歩いて旅する芸術祭「国東半島芸術祭」

今年の秋、大分県の国東半島から
あたらしい芸術祭がはじまります。

周囲を別府湾・伊予灘、周防灘に囲まれ
半島の真ん中に火山群がそびえる国東半島を舞台に、
さまざまなプロジェクトが展開します。

会期中には、プロジェクトを巡るトレッキングツアーや
トークイベントなどを開催。
国東に流れる時間とともにアートを体験できる芸術祭です。

photo by Naoki Ishikawa/(C)国東半島芸術祭実行委員会

柱となるのは、オノ・ヨーコ、
アントニー・ゴムーリー、チームラボらによる、
大自然を舞台にしたサイトスペシフィックプロジェクト、

ピチェ・クランチェン、勅使川原三郎、
飴屋法水らによるパフォーマンスプロジェクト、

梅田哲也、鈴木ヒラク、西光祐輔らが
滞在制作を行うレジデンスプロジェクト。

photo by Naoki Ishikawa/(C)国東半島芸術祭実行委員会

さらに、石川直樹写真展、
国東半島フォトコンテスト写真展 vol.3、
モデルのKIKIさんと巡るバスツアーなど、
魅力的なプログラムがたくさん。

撮影:宇壽山貴久子

国東半島は、渡来の文化と土着の文化が混じり合うことで
独自の文化が育まれてきた場所。
今年の秋は国東の奥へと歩き、
この土地で生まれたアートにふれてみませんか?

7月20日(日)は、東京・恵比寿のOVER THE BORDERにて、
参加アーティストの宮島達男さんと、
芸術祭の総合ディレクターである山出淳也さんによるトークイベントも開催!

詳しい情報は公式サイトからご覧ください。
国東半島芸術祭
トークイベント「国東半島芸術祭Tokyo Preview」

京都・富山でも開催!写真家・石川直樹とTOO MUCH Magazineのレクチャー「The Seven Continents」

こちら、ビロウの葉で仮装した、まるで怪人のような人々。
まるで遠いポリネシアあたりの光景のようですが、
実は鹿児島県で撮影されたもの。
彼らは「ボゼ」と呼ばれる、家々を訪れる祝福の神様。
トカラ列島の悪石島に伝わる、夏の伝統行事なんです。
村人の無病息災・子孫繁栄を願い、人々を追いかけ回すのだとか。
鹿児島版の「なまはげ」のようです。
この写真を撮影したのは冒険家・写真家の石川直樹さん。
石川さんの作品「異人 the stranger」からのもので、
インディペンデント・マガジン「TOO MUCH」vol.5
表紙なんです。

■京都、富山、東京でレクチャー開催

ⓒ Naoki Ishikawa

この「TOO MUCH Magazine」と、
石川直樹さんによるレクチャーシリーズ「The Seven Continents」が、
この夏、東京に加えて出張編として京都と富山でも開催されます。
京都は2014年7月17日 (木)に恵文社一乗寺店 COTAGEにて。
富山は2014年7月19日(土)に、南砺市にある利賀芸術公園にて。
そして東京は、2014年8月5日(火)に東京・原宿のVACANTにて。
富山のイベントは、石川さんが審査員として参加する「利賀演劇人コンクール2014」との
共同開催になります。

今回のレクチャーの内容は、2011年春のエベレストから
始まった石川さんのヒマラヤ8,000m級峰の登頂の道のりを、
石川さんが撮り下ろした写真や映像とともに語るもの。
世界5位の標高を誇り、ヒマラヤの中でもとりわけ難易度の
高い山として知られるマカルーに至る道程はどのようなものだったのでしょうか。
さらにご来場の皆さまには、旅の全貌を記録した
「STRAIGHTREE TIMES Makalu edition」のプレゼントも。

ご予約の方法は、Eメールにて。
info@hutu.jp宛に、件名を「The Seven Continents」とし、
本文に「お名前 / 人数 / ご連絡先 / 希望日」を記入したメールをご送信ください。
詳細は下記Webサイトにて。

TOO MUCH Magazine presents 石川直樹「The Seven Continents」

※「ボゼ」を「トシドン」と間違って記載しておりましたので、修正いたしました。(7月15日 18:00)

ビルススタジオ vol.09: MET不動産部のコト

ビルススタジオ vol.09
地方で生きていくということ。

さて、これまでは当社が関わったリノベーション事例を紹介してきましたが
今回は当社のいち部門である
MET不動産部」について。

当社を立ち上げる前、私は
建築家さんの主宰するアトリエ系設計事務所、
何100人もいる組織系設計事務所、
さらには地方の設計事務所と渡り歩いてきました。
独立するにあたり、あたりまえのように設計事務所としてスタートしようとしました。
設計事務所の仕事は通常、敷地や建物(改装の場合)、
予算や使い道があらかじめ決まったところから始まります。
もちろんその中で自分なりの答えを見つけ出すことが仕事だし、その楽しみもあります。

しかし、これまで渡り歩いた中で共通して疑問に思っていたことがあります。
「果たしてその敷地がふさわしいのか?」
「その建物で理想の環境が手に入るのか?」
「工事などにかける予算はそれが妥当なのか?」
「この立地にその用途は必要あるのか?」
「その施設の認知のされ方はそれでいいのか?」
などなど、設計事務所では、期待される、
そしてできる業務の範囲が限られてしまっていることから
生まれる疑問が積み重なっていました。

せっかく独立するならこれらが決まる前からプロジェクトに関わりたい。
もっともっと広範囲にそして深くお客さんに、その場所づくりに関係したい。
そのほうが絶対楽しく仕事ができる。
そのためにどうすればいいのか。
 1、敷地や建物を探す際に求められる立場・・・不動産
 2、予算作成や調達に関わる立場・・・コンサルタント、金融機関
 3、その場所の使い道を考えることから関わる立場・・・プロデュース、企画主体
こうみると、3はとにかく経験。そしてお客さんとの信頼関係。
2は加えて金融機関との関係づくり。
しかし1については資格はもちろん、
お客さんが「さて、物件を探そう」と思い立った際に
まず思い起こしてもらえる不動産屋にならないといけない。
しかも自分が楽しく続けられることでそれをしたい。
それでMET不動産部を始めました。

山ひとつが物件。その中にお城が……。

倉庫は自由度と天井が高くて好きです。

リノベーション済みの物件もチラホラ。

簡単に紹介すると、ここで掲載している物件たちの選考基準はふたつ。
・ひとつでも図抜けた特徴を持っていること。
・当社のだれかが強烈にその物件を好きであること。
これだけです。

例えばこんな物件がありました。
※ほんとは全部の物件について何時間でも話せる程の思い入れがあるんですが……。

1、庭(家付き)(入居済)

宇都宮市の中心部にほど近い住宅街に佇む、庭をメインとした物件です。
庭の広さはもちろん、とにかく「庭とのつながり」が考えられたつくりになっています。
広々とした広縁からの圧倒的な景色はもちろん、
広間、奥の間。障子を開けたり閉めたたりと
庭との絶妙な距離感、そして入り込む光をコントロール。
気持ちよくって内見の度に数時間……いくらでも居られる場所です。

2、大谷ポテンシャル(入居済)

宇都宮市は言わずとしれた大谷石の産地。
栃木県内には大谷石組積造の蔵が数多くありますので
県民にとっては当たり前の存在です。
しかしこれは家として造られたもの。蔵のような閉塞感はありません。
しかも川沿いのこのロケーション。
素材感。開放感。そして未開の大谷地域。こりゃあ堪りません。

3、富士エリア前ピンポイント(入居済)

自衛隊基地に面した物件。
そう、窓を開ければ大好きな航空機を存分に眺められる家です。こりゃすごい。
もちろん騒音はついてきますが……。

4、天保名主のお館(入居済)

竣工はなんと天保2年! この地域の名主の家でした。
敷地内には母屋、離れ、蔵、長屋門などなど。もう何も言うことはできません。
そして家賃は月3万!
これは持ち主さんの気持ち。
補修費用も持ちつつ、この建物を、地域を受け継いでくれる方のみのご提供です。

5、裏庭へようこそ

建物自体は古めかしい店舗住居。しかし中に入り勝手口を出ると、
そこには43坪もの裏庭が広がっていました。
こんだけあればガーデンでも畑で秘密のパーティー会場にでも?!
大家さんにとっては死に地。
でも入居者にとってはここがメインといっても良い物件です。
ともかく「裏庭」という淫靡な響きにぐっときます。

6、うなぎ置場(入居済)

特徴があれば、土地も取り扱います。
ここは間口5メートルそして奥行き35メートルのとってもバランス悪い敷地。
しかも前面道路幅が最小2メートルあるかないか。
主にそのせいで、市場的には人気のない物件となっていました。
おかげで価格もだだ下がり。
しかしこの土地のバランスは設計をやる人間にとっては好奇心をかき立てられます。
ここでしかできない建物が、ここでしかできない生活スタイルができるんじゃないか。
その想いを共有できる人がたったひとり現れれば、それで充分。
そして安い土地価格。浮いた分でsmartなぞ買えば道路幅問題は解決しちゃいます。

7、もみじの集積(シリーズ)

このシリーズは物件そのものの特徴ではなく、界隈のちからで紹介しているもの。
この連載でも取りあげた界隈「もみじ通り」の物件たちです。
面白い人たちが店を出し、住み、働き始めている、
そういう“動きある界隈”に入居してみませんか? というもの。
実際にこれまで入居された方々はピンポイントにこの物件! という決め方ではなく、
もみじ通りのなかでいくつか見て、規模価格の比較的見合う物件に落ち着く、
という人が多いです。
まわりの既に入居しているお店が好きで、そこに居る人が好きで決めてくれている。
このまちで生活したい、という想いが決め手になるという、
今では珍しい物件の探し方かもしれません。
でも当シリーズに限らず、MET不動産部では界隈の使い倒し方、
その物件とその界隈を含めたライフスタイルを重視しています。
当たり前のことのハズです。

——やはり止まらなくなるので、この辺にしておきます。

2007年から始めたMET不動産部。
いい物件を見つけた時しか更新されないものの、細々と続けています。
これまでに紹介した事例を含め、
幸いたくさんの入居者たちや面白がってくれる人たちにも恵まれています。
初めて会った人でも「あの物件のココが好きで……」みたいに言ってくれると
「あのバンドのこの曲のこの部分が好き」「あの娘のここが好き」
という話のように盛り上がったりします。まぁ、フェチに近い気がします。
人見知りな自分にとって、出会いから共通の話題があることはとても助かりますし、
そうして出会い、話した人とは不思議と信頼感が生まれています。
なんなんですかね、これ。

「物件好きの物件好きによる物件好きの為のパーティ」と銘打ち、物件情報を肴にお酒を呑む。そんな夜会を開きました。

好きな物件。
知らない人に使われて、その後関係が持てなくなってしまうのはとても嫌なんです。
じゃあ当社で取扱い、入居付けをしてしまおう。
「共通の好き」を持つ入居者と友だちなってしまおう。
そしてその後も関係を持てるようにしてしまおう。

ともかく、「共通の好き」を持つ人と出会うことはとても楽しい。
それをなんとか仕事にしていることで、
自分がこのまちに居る理由をつくっているのかもしれません。

P.S.
そんな株式会社ビルススタジオ、現在「設計スタッフ募集中」です。
興味ある方は連絡ください。

information


map

ビルススタジオ

住所 栃木県宇都宮市西2-2-24
電話 028-636-5136

NO ARCHITECTS vol.9: 最終回にして番外編。 このはなの新しいスペース

NO ARCHITECTS vol.9
まだまだあります

この連載では、NO ARCHITECTSがリノベーションで関わった、
大阪市此花区の物件に絞って、記事にしてきました。
このはなには、実はほかにも魅力的なスペースがたくさんあります。
今回は、番外編としていくつか紹介しようと思います。

まずは、「四貫島PORT」。
正面は四貫島商店街のアーケードに面する建物で、
1階は、もともと魚屋さん。
生臭さの残る冷蔵室は解体、錆びたシャッターなどは撤去。
新たに機能的なキッチンと大きなカウンターの設置など、
きれいにリノベーションされ、店長が日替わりで異なる飲食店に。

四貫島PORT日替わり飲食店の1週間。

月曜と土曜日は、じゃこめしと日替わり定食の「ムクロジ」
木曜は、電子工作やプログラミングの相談ができる持ち込みOKの喫茶「すわる」
金曜は、手づくりパンやキッシュの「喫茶ふっくら」
毎日違う店長が入れ代わり立ち代わり、お店を切り盛りしています。

四貫島PORTの1階。僕らもいつも施工でお世話になっている工務店のPOSさんの内装です。

その他、「MIKIKI」の古着マーケットや、
中津にある「本屋シカク」の出張本棚など、ショップコーナーもあります。
上階は、あまり手を入れずに、共同アトリエとシェアハウスとなっています。
近々、4階の大広間をシアターとしてオープンも計画中とのこと。楽しみです。

ほかでは手に入りにくい本が揃う出張本棚。わかりやすいポップも付いています。

続いて、「FIGYA(フィギャ)」です。
アーティストmizutamaくんの住居兼アトリエで、
定期的に展覧会やライブ、ワークショップも開催されるなど、
ギャラリーやイベントスペースとして活用されています。
写真は、撮影時に開催されていたボン靖二個展「ちゃんとする」の様子です。

FIGYAの1階。左の幕で覆われているのは、居酒屋時代のカウンターです。右の白い壁は、今回の展覧会のためにつくったとのこと。

もともとは、モトタバコヤ(vol.4参照)のように、
モトイザカヤという名前で活用されていた場所でもあります。

2013年3月に行われた劇団子供鉅人による、
散歩と観劇を兼ねたツアー演劇『コノハナ・アドベンチャー2』では、
「未来食堂コノハナ」として舞台のひとつにもなっていました。
その時の舞台装飾の銀色のペンキで塗られた壁が今もそのまま残っています。

FIGYAの1階の奥の部屋は、もとは倉庫。真っ白く塗装され、映像などの展示室に。

2階の和室をそのまま展示室に。

3軒目は、「ASYL(アジール)」です。
OTONARI(vol.2参照)と同じ建物の中にあります。
もともとは、梅香堂というギャラリーとして使われていたスペースが、
建物が持っていた雰囲気を尊重しながら、
現在、共同アトリエとして活用されています。

アーティストの前谷康太郎くんを中心に、
作品の制作場所になっています。
今後は展覧会の企画なども考えているそうです。
週末には、楽しそうな声が聞こえてきます。
写真は、FIGYAで開催が始まったボン靖二の個展のオープニングの様子です。

FIGYAで開催されている個展のオープニングパーティの様子。手前の天井が低くなっている部分は、上がロフトになっています。

まちのリズムを受け入れる

紹介しだすと切りがないのですが、
それぞれが独自のスタイルで日々運営されていて、
付かず離れず、良い距離感で共存しています。
僕らNO ARCHITECTSも、事務所を移して3年半、
住み始めてようやく1年が過ぎました。

連載を始めたころから思い返してみても、
既存の建物を使いながらも、新しく生まれる場所もあれば、
惜しまれながらもなくなっていく場所もあります。
すべてをポジティブに受け入れて、
未来を見守る優しいまなざしのようなものが、
まちに関わる人たちには大事だと思うようになりました。

都会ではあまり実感することができない
「人との距離感」や、「まちの音」、「生活のリズム」が、
個人的な日常の暮らしを通して感じられること。
今しかない時間を共有しているということを味わいながら、
このまちで、日々活動をしています。

これからも、このはなの物件はもちろんですが、ほかのまちでも
そのまちを気に入って住み始めたり、
まちとつながるオープンなスペースを持ちたいと思った人などに対して、
リノベーションを通してサポートができれば幸せだなと思っています。

事務所の屋上から見る夕陽。手前の建物は、最近、解体されてしまいました。日々、景色も変わっています。

ひとまずNO ARCHITECTSの連載はここで終了ですが、
また、まちの様子など報告できたらと思っています。
今回初めて読んでいただいた方、続けて読んでいただいていた方、
どうもありがとうございました。また会う日まで。
このまち、このはなでお待ちしてます。

information


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NO ARCHITECTS

住所 大阪市此花区梅香1-15-20
http://nyamaokud.exblog.jp/
https://www.facebook.com/NOARCHITECTS.jp

information

四貫島PORT

住所 大阪市此花区四貫島1-6-6
http://shikanjima-port.jp/

トイレはアートたりうるか?大分市でトイレが舞台のアートフェス「おおいたトイレンナーレ」

異文化を受け入れてきた歴史を持つ大分市。
そんな大分県大分市の中心市街で、
来年初開催となる「おおいたトイレンナーレ」に向けて
トイレを舞台にしたアートづくりがはじまっています。

3年に一度開催されるアートフェスティバルといえば、
トリエンナーレですよね。
でも、こちらのフェスはトリエンナーレじゃなくて「トイレンナーレ」なんです!

現地では早くもトイレが盛り上がっており、
現在、まちなかのトイレを舞台に、
トーチカ、藤浩志、川崎泰史をはじめとするアーティストたちの
作品がプレ公開されています。

■どうしてトイレ?!

それにしても、なぜ「トイレ」?

来年、シネコンや屋上庭園の入った駅ビル、
美術館などもオープンし、大きく生まれ変わる大分市。
実行委員会の佐藤栄介さんにたずねると、
まちなかに美しいトイレやおもしろいトイレをたくさん作ることで
トイレのアートを手がかりにしまちを巡っていただき、
もっとディープな大分を知ってもらいたい!という思いがあるとのこと。

また、マルセル・デュシャンが既成品の便器に署名した
アート作品「泉」の発表から98年。
「無くても生きていけるがとても尊ばれている現代アートと、
無いと困るがとても厭われているトイレ」を結びつけるのがこのアートフェスの
コンセプトのひとつです。

市中心部の若草通り商店街には、
トイレンナーレの企画とは別に
商店街が企画した「透けるトイレ」も登場したとか。

これから大分のまちで、
ちょっと変わったトイレブームが起きるかも!
気になるコンセプトや詳細は下記Webサイトにて!

おおいたトイレンナーレ

大阪・中之島でgrafとIN/SECTS企画の賑やかアートイベント「ワンワンワンまつり」

大阪の中之島1丁目の「アートエリアB1」にて、今年3月29日(土)より111日間に
わたって繰り広げられた企画展「アパートメント・ワンワンワン」。
キュレーションはクリエイティブユニットgrafと、
編集プロダクションIN/SECTS。
dot architectsが会場設営を行い、高島一精(Né-net)、
203gow、飯川雄大らたくさんのアーティストが
"入居者"として展示を行いました。

そんな「アパートメント・ワンワンワン」が7月6日(日)、ついに
フィナーレを迎えることに。そこで!7月6日の
12:00〜19:00にわたり、入居者のゲストたちが
集結し、ワークショップやトークを繰り広げる「ワンワンワンまつり」が
開催されるんです。

こちらが「アパートメント・ワンワンワン」会場のようす。

出店する京都の植物店「裏庭植物店

気になるイベントのラインナップは...
だれでも30分で作れる「こけ玉ワークショップ」、
203gow「編みたまきのこワークショップ」などのほか
Né-net 髙島一精×graf 服部滋樹によるトーク、
劇団 子供鉅人による公演「ワンワンワン・アドベンチャー」
などの催しがたくさん。
さらに髙島一精さんの古着コレクションや
写真家・倉科直弘があなたの記念の一枚を撮影する「倉科写真館」、
graf特製カレーを提供するカフェもあります。

ぜひこの週末、カルチャー好きの方は
おでかけ下さい!
タイムテーブルなど、詳細は下記Webサイトにて。

・アートエリアB1クロージングイベント「ワンワンワンまつり」

山ノ家 vol.9: 山ノ家はこれで完成?

山ノ家 vol.9
半日のおやすみ、トリエンナーレ、アーティストインレジデンス

ドミトリーがオープンすると、
「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」の開催年ということもあって、
宿泊希望の連絡は早いうちから入ってきていた。
カフェの営業に加え、ドミトリーの営業も始まると
堰を切ったように朝から夜までずっと、スタッフは対応に追われる毎日となった。
運営スタッフの一部は、朝担当と夜担当にそれぞれ分かれて
シフトを組むなどしてなんとかこなしていた。
一日のスタートは、宿泊者のための朝ご飯の準備から始まって、
ランチの仕込み、そしてカフェの通常営業、
合間に、ドミトリーのベッドメイク、夕食を希望する方への夕食準備の対応。
夜はお酒を飲む人も多く、際限なく続いてしまうと次の朝にも影響が出てしまうので
23時を消灯、門限とさせていただいていた。
その後にも片付け、一日の集計や、食材の発注、その他業務は続く。
芸術祭が終わるまでは、休みなしで駆け抜けるつもりだったので、
本当に息つく暇も無い日々。

リノベーションが一応カタチになってからは、
僕もカフェのスタッフとして動いていたり、
毎日来るお客のために、ドミトリーのベッドのシーツを片付けたり、
掃除を手伝ったりと、運営のサポートにまわった。

立ち上げのために現地に滞在してくれたインターンやスタッフには、
シフトの中で週に一度は休日をもうけるようにしていた。
参加してくれたことへのささやかなお礼として、
芸術祭の参加パスポートを皆に渡していた。
これを手に、めいめいプランをたてて、
この時期に展示中の作品を鑑賞する旅に出かけていた。
なかには、ヒッチハイクでまわってきたという強者もいた。
ずっと休みなしで動いていた僕と池田も、半日だけお休みをもらうことにした。
隣町、十日町のキナーレという施設周辺なら、
作品もいくつか集中しているし、さっと見に行って戻って来れる。

十日町にあるキナーレにて。クリスチャン・ボルタンスキーのものすごい作品や、同施設に新たに開館した里山現代美術館を見ることができた。

空き家だった山ノ家を最初に見に来てから約1年。
その間、この土地に展開されたさまざまアートな作品を、ほとんどと享受できていなかった。
こういうかたちで関わるようになって享受していたのは、
まちのことや、人との縁や、めまぐるしい自然の変化だったから。

そんなわけで、久しぶりに旅行者に近い感覚で
ここにあるもうひとつの財産として、
アートが育まれている状況というものに触れる機会を得た。
しばらく滞在しているこの土地のすぐ近くで、
素晴らしいエネルギーをもった作品群があったり、
イベントが行われたりしている状況。
そこには以前見た時とは全く別の、
新鮮なのに親しみがあるような、不思議な感慨が自分のなかに生まれていた。

また山ノ家でも、芸術祭の終わりが近づいた9月初旬の1週間、
アーティストが滞在し、製作と展示を行うことになった。
芸術祭のプログラムではないが、
オープン直前のときに滞在してくれたsawakoさん(vol.5参照)からの紹介で、
ふたりのアーティストが
山ノ家でレジデンスで滞在して展示をやってみたいというのだ。

実は僕らとしても、2階にギャラリースペースを設けたばかり。
と言っても、もともとただの廊下だった部分を行き止まりにしたような、
とてもコンパクトなスペースなのだが。
ここに何かコンテンツを入れたいとちょうど考えていたところだったので
喜んで受け入れることにした。

階段を上がるとすぐに見えてくるこの場所は、もともと部屋の外側にあった回廊の一部だったところで、わざと行き止まりにしてできる不思議なスキマ空間をギャラリーにしたいと目論んでいた。

立ち上げの黎明期において(実際は今でもそうなのだが)、
こういった手つかずのゾーンにスッと入り込むようなタイミングで
お話が持ち込まれることは本当にうれしいこと。
ふたりのアーティストはとても楽しそうにこの地で過ごしながら、
実に上手に2階のスペースを利用して、
音のインスタレーションの空間作品を展開していた。

滞在製作してくれたのは、ベルリンで活動を始めたという日本人のサウンド/ビシュアルアートユニットのpenquo (hisae mizutani,kyoka) のふたり。芸術祭に来たお客や、ドミトリー宿泊の方などが、ここで製作された展示空間を体験した。

まだこのアーティストインレジデンスの仕組みは手探り状態ではあるが、
少しずつ試行錯誤を繰り返しながらも実行し、かたちづくっていけたらと思う。

滞在製作が終わり、展示として始めた初日には、期せずして通り雨の後に虹が。

山ノ家はこれで完成?

工事としてはひとまず終わり、山ノ家はなんとかオープンして、
この土地での日常が動き始めている。
では、これで完成なのだろうか。
東京で芽生えた「開かれた場」をつくりたいという想いが、
縁あってこの土地と結びつき、カフェとドミトリーのある場所をつくった。
ここで何かの問題を解決するために、といった大それた動機ではない。
それどころか気づけば地元の人たちに雪おろしを指導してもらったり、
野菜をいただいたりと、助けてもらうことの方が多いのではないかとさえ思えた。
こういった土地では、ほどよく干渉したくなるようなスキがあるくらいのほうが
関係性を持ちやすいのではないか、
そんなことをさまざまな体験を通してリアルに感じるようになった。

地元の人、移住してきた方たち、芸術祭を軸とした活動をされている方たち、
外から訪れてくれる来訪者、アーティストなど、さまざまな立場、
立ち位置の人たちにとってできうる限りよい刺激となるような存在でありながら、
関わる人々の数だけ視点が生まれる、そのような場所になったら面白い。
当初イメージしていたことだけにとどまらない面白さがこの建物に生まれつつある。
それはリノベーションする前から決定付けられたものではない。
この土地に滞在し、この場所をつくる中で気づいたこと。
空間として、機能として、全てが完成しきっていなくてもよい、
そんな考え方ができるのも、リノベーションだからこそありえる可能性のひとつかもしれない。

気づけば夢中で、ここまで駆け抜けてきてしまった。
豊かな自然や風土、そして10年を超えて育まれてきた大地の芸術祭もある。
そういったことに魅かれてこの地に飛び込んだが、
よき人々に出会うことができ、支えられて
山ノ家が動き出せたことは振り返ってとてもラッキーだった。
いまはまだ、この昔ながらの街道筋の商店街に、
風変わりな事情で気立ての良い移民のお店が一軒できたという感じ。

長い月日をかけてリノベーションをしながら、
東京とまつだいを行ったり来たり、生活を繰り返していくうちに、
ほとんど知らなかった里山のよさをたくさん知っただけでなく、
戻った時に新鮮な視点で東京を見ることができるようになった。
そして、東京と里山、どちらのほうがよいか悪いということではなく
どちらにもよいところがあり、
そこを積極的に拾っていくほうが面白いのではないか。
そう思えるようになったことは自分にとっては大きな変化であり、発見だった。
それは、いつでも戻れる場所をもうひとつ持ったことによる、
安心のようなものから生まれてきたのかもしれない。
僕らが持てたこのような変化は、きっと他の人でももつことができるだろう。

そんな思いを持つ人たちで、この周辺で新たな営みが
2つ、3つと増やしていくことができたりしたら、
また見えてくる風景が少しずる変わっていくかもしれないなと考えている。
気づいたら変わっている、くらいの自然発生的な感じがいいと思う。
それは、まちを変えるというよりは、
いまあるまちにもうひとつ別のレイヤーが加わるという感じで。

大地の芸術祭が終わると、
おそらく地域をおとずれる外からの人が少なくなるだろう。
祭りが終わって、日常が始まる。
でも、ここからが本番だと思っている。試行錯誤はあるだろう。
インターンのシフトも終わり、この先、海外留学に旅立ったメグミさんが
冬に戻ってくるまで、ミナコさんと池田が主に東京とまつだいを行ったり来たりしながら、
山ノ家を運営していくことになる。
また、今まで東京で培ったつながりや、これからこの土地でつながる人々との交流の中で
生まれてくるイベントを企画していけたらと思っている。
都市と里山を行ったり来たりしながら、そのなかで生まれてくる、
どちらのものともつかないような文化をここで紡いでいけたらと思う。
これからまだまだ試してみたいことはたくさんある。

この地域には、中山間地ならではの地形のなかにできた美しい棚田が散見される。
この棚田の美しい景観があるのは、
そこで田んぼをつくり、耕作を続ける農家さんの日々の営みがあるからこそ。
同じように、これから山ノ家の日常の営みを積み重ねていくことが、
新しい風景をかたちづくるきっかけとなることを願って、
いまそのスタート地点に立ったところだ。