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NO ARCHITECTS vol.2:
このまちにとって必要な場所

リノベのススメ
vol.008

posted:2013.11.29  from:大阪府大阪市此花区  genre:活性化と創生 / アート・デザイン・建築

〈 この連載・企画は… 〉  地方都市には数多く、使われなくなった家や店があって、
そうした建物をカスタマイズして、なにかを始める人々がいます。
日本各地から、物件を手がけたその人自身が綴る、リノベーションの可能性。

writer's profile

HIROSHI NISHIYAMA

西山広志

1983年大阪生まれ。建築家。NO ARCHITECTSを共同主宰。神戸芸術工科大学デザイン教育センター非常勤講師。神戸芸術工科大学大学院芸術工学専攻 (鈴木明研究室) 修了後、2009年 奥平桂子と共に活動を開始。2011年事務所を此花区に移すと同時に〈NO ARCHITECTS〉設立。建築をベースに、設計やデザイン、インスタレーション、ワークショップ、まちづくりなど、活動は多岐にわたる。
http://nyamaokud.exblog.jp/

NO ARCHITECTS vol.2
観光案内所のような

NO ARCHITECTSでは、
昭和の風情が色濃く残る大阪市此花区梅香の物件の設計にいくつか関わっています。
その中のひとつ、今やコミュニティの中心的な場所「OTONARI(おとなり)」を紹介します。
ここは、『まちのインフォメーションと寄り合いのスペース(HPより抜粋)』。
オーナーは、おうち料理研究家の溝辺直人さんと、詩人で写真家の辺口芳典さんで、
ふたりはもともと2009年より此花区梅香にて黒目画廊という、
住居兼ギャラリースペースを運営されていました。

僕たちが、初めてお話を頂いたのは2011年の11月頃。
黒目画廊とは別に、まちのインフォメーションスペースと寄合所をつくりたいとのこと。
「年齢や職種を越えて交流を持つというのが、すごく面白いことだなと感じていて、
それを可能にする方法として案内所ってアイデアが出てきたんです。
内側と外側、ベテランとニューカマーをつなぐ存在があれば、
少しずつ広々としたコニュニケーションが得られるはずだって。
ローカルにもグローバルにも目を向けて、
それぞれの身の丈に合った発見と発信を続けている場所っていうのが、
僕らの考える案内所です」(辺口さん)

その考えを自分たちで実行し、
維持していこうという志の高さに、深く感銘を受けました。
最寄りの西九条駅前を見渡してみても、
道路の両脇に2軒とも同じコンビニがあったりします。
まちに住む人からすると、おそらく求められていないもの。
各々の個人的な理由でまちがつくられていってしまう現状に、あきあきしていました。

西九条駅から歩いてきて橋を渡ると、大きな窓から店内の光が溢れているのが、目にとまります。

場所は、梅香エリアの北東のはじっこで、まちの入口です。
建物自体は、木造2階建てのバラック。
同じ建物のなかの1階と2階の隣の部屋は、
以前から梅香堂というギャラリーが入っています。

外装は、銀色に塗りこまれたトタンの波板に包まれています。OTONARIは、大通りに面した2階の部屋です。

梅香堂のお隣さんということで、OTONARI(おとなり)と名付けたそうです。
もともとは紙屋さんの倉庫として使われていた建物で、住居に改装され、
元の住人が引っ越し、長い間、空き物件になってしまって、朽ち果てた状態でした。

窓の納まり、カウンターの高さ関係、板の貼り分けと塗装のイメージ、カウンタースツールなどのスケッチ。

みんなでつくるということ

図面やスケッチで、カウンターの配置、建具のデザインなどの検討をし、
大体のプランニングの方向性が決まったら、最初は解体作業です。
NO ARCHITECTSと事務所をシェアしている工務店の大川 輝さんを中心に、
溝辺さん辺口さんと共に、
ホコリをかぶりながら床を剥いだり壁を抜いたりと進めていきました。
リノベーションは解体がとても大事で、
発掘作業のように残す部分と壊す部分を、その場で判断しながらの作業になります。

解体作業の様子です。解体してみないと解らないことも多いです。

解体が終わってトイレを除いて、ワンルーム状態に。
念入りに掃除をした後、床や壁を貼っていきます。
劣化がひどかった道路側の壁も、コの字型に壁を立てて、補強しています。

床は、構造補強のため、既存の床の上に根太(ねだ)を組んで断熱材をはめ込み、その上に厚めの構造用合板を貼っています。

天井も低く、こぢんまりとした部屋だったので、部屋を広くみせるためと、
窓はできるだけせり出させて、出窓のようにしています。
立食イベントの時など、窓辺がカウンターテーブルにもなるようにと考えました。
さらに言えば、外から見たときに入って来やすいように、
内部はちゃんとリノベーションしていますよ! とアピールするための出っ張りでもあります。

材料のひとつひとつは溝辺さんが楽器を売ったお金で買っています。無駄な装飾や設えは省いて最低限の施しが基本です。

もともと浴室だったところからお風呂の桶だけを取りはずし、
床の防水と排水だけは、洗い場として再利用。
シンクや壁の防水材などは、知り合いの不動産屋さんにご提供いただきました。
使っていないからと、元惣菜屋の空き物件から
ステンレス板を剥ぎ取らせてもらったりもしました。
そして、吊り戸棚、換気扇なども提供してもらい、取り付けていきました。
換気扇のフードは溝辺さんの手作りで、
展開図を描いてトタンの平板を切って作っています。

オープニングの様子です。日野浩志郎さん率いる「彼方」のライブ。

まちに入り込む

年末年始を挟んだ極寒の中での作業ではありましたが、
大川さんの頑張りもあって、
2012年1月7日のオープンの日にはどうにか間に合い、営業がスタートしました。
オープンしてからは、定期的にライブやトーク、
持ち込みイベントなどで、週末ごとに賑わいをみせています。
最近では、辺口さんによる「Wonder Town ツアー」があったり、
近所に住む常連のお父さんによる懐メロDJタイムがあったりと、
日々進化し、まちに定着していっています。

此花区内にある福祉作業所と一緒に作っている広報誌『此花◯◯通信vol.3』にて辺口さんの「Wonder Town ツアー」を特集したページです。 

「OTONARIをやってみてもうすぐ2年が経つけど、
実際、年齢や職種を越えて(人種も越えたりして)、
想像していた以上の交流が日々生まれている実感があります」という辺口さん。

最近お子さんが生まれたという溝辺さんも、世代を越える交流について、こう話します。
「案内所では、この地域で家族を持ち、生活してきた年上の先輩方の話を聞くことができます。
下町ならではの人情や、人生の厳しさを経験している人々の考えからは学ぶことは多い。
案内所での体験をとおして、まちと人との関係が見えてくるこの地域で
子どもを育てたいなと思う気持ちが強くなってきたことが、
この2年間で大きな自分自身の変化です。今後は案内所が、まちでの暮らしを
考えるきっかけになるメディアとして成長していければと考えています」

「今後も交流の軸になれるように、詩の創作や暮らしを楽しみながら、
身の丈に合った発見と発信を続けていきたいと思っています」
と辺口さんも今後の展望を教えてくれました。

これからのOTONARIの展開に、ますます期待が高まります。

このはなに生まれつつある新しいコミュニティの中の内輪な関係を
深めたり広げていくだけではなく、
まちに開放し共有できるスペースをつくることで、
もともとの地域に根付いたコミュニティに接続でき、
より豊かな人間関係を築いていけるということを、OTONARIを通して学びました。

このはなに来られる際は、まずはOTONARIにお立ち寄りください。
イケメンのお兄さんふたりと、気さくな常連さんが、やさしく出迎えてくれて、
今のこのはなを案内してくれますよ。

小田島等さんの大きな絵があったり、辺口さんの写真が貼られていたり、地元の家具作家の宮下昌久さんのテーブルや椅子が並べられたり、見どころいっぱいです。

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NO ARCHITECTS

住所 大阪市此花区梅香1-15-20
http://nyamaokud.exblog.jp/

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OTONARI

住所 大阪府大阪市此花区梅香1−15−18 2階
https://www.facebook.com/otonari.konohana

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