空き家を、落ち着く、懐かしい、
おしゃれな空間にリノベーション。
富山県内川のカフェ〈六角堂〉秘話

マチザイノオトvol.2

前回は、富山県に移住して、情緒ある漁師町と
そこを流れる内川の昭和レトロな風景に出会い、
空き家だった「六角の家」をリノベーションしようと思った経緯について
お話させていただきました。

今回は、実際にリノベーションに着手して経験したいろいろなこと、
そして建築素人だった僕が学んだ数々の知識や技術的なことについて、
ご紹介していきます。

三叉路と橋でまちとつながるロケーション

当時の僕は、建築的な知識がほぼなく、この六角の家は
「古い木造の家」というくらいの認識でした。
古民家の定義もさることながら、町家と長屋の違いもわからないし、
現代的な木造住宅と伝統的な木造住宅がどう違うのかも知りませんでした。

その一方、ロケーションという観点では、全国各地の超過疎地を巡り、
地域活性化のお手伝いをしてきたときの感覚や自分なりの方程式があって、
それが大変役に立ちました。
人通りがあるか、駅に近いか、近くにランドマークがあるか、
などの見方は僕のものさしの中にはありません。

人知れず、毎年春になったらきれいな花を咲かせる山桜のごとく、
当たり前のように日々の暮らしや仕事などの営みを繰り返し、
継承されてきた素朴な生活風景に魅力を感じてしまいます。

僕は、リノベーションという行為が、
地域やそこに暮らす人々との関係にまで影響を及ぼすプロジェクトになってこそ
「リノベーション」なんじゃないかと思い、
当初から建築行為をプロジェクトの中心に置かないようにしようと考えました。
建築にあまり詳しくなかったのが結果的に良かったのだと思います。

前回、この六角の家が建っている三叉路が曳山祭りの見せ場のひとつになっていて、
曳山が角を曲がりやすいように交差点の角が切られているとお伝えしましたが、
これこそが地域との大事な接点だと思いました。

もし六角の家が取り壊されてしまったら、長年続いてきた
「曳山であそこを曲がるのは大変なんだ」という語りぐさがひとつ消えてしまいます。

ここがカフェとして再利用され、毎年、曳山がこの角を曲がるのに苦労する、
曳手は緊張する。そういう様子をカフェの店内から見守る。
そんな場所として地域の営みとつながることができれば最高です。

もうひとつは、ベンガラ色に塗装された屋根つきの木造橋、
「東橋(あづまばし)」が六角の家のすぐ近くにあるというロケーション。

この橋は歩行者専用の小さな橋です。
いまのように改築される以前は、屋根のないシンプルな木造橋でした。
この地域はいまでも銭湯が数軒ありますが、その昔は、
お風呂のある家が少なかったため、もっとたくさんの銭湯があったそうです。

この橋は、銭湯を利用する人が風呂桶を抱えて行き来し、
すれ違いざまに他愛のない会話が繰り広げられた日常使いの通路です。
人の往来は極端に少なくなりましたが、この建物が畳屋だった頃の様子を
語ってくれる先輩方とお会いできるのは、この東橋があるおかげです。

内川には直接面していないけど、三叉路と東橋によって
六角の家がまちとつながっている、そんなロケーションに魅力を感じました。

秋田で一番小さな村が 〈かみこあにプロジェクト2018〉 を開催。村全体が美術館に!

秋田県で一番小さな村「上小阿仁(かみこあに)村」

秋田県内でも最も高齢化と人口減少のすすむ上小阿仁村。
この秋田で一番小さな村が毎年夏に大胆な試みをします。
それが〈かみこあにプロジェクト〉。
今年で7年目を迎えます。

上小阿仁村の八木沢集落の田園。

上小阿仁村の八木沢集落の田園。

かみこあにプロジェクトとは

地域そのものが里山美術空間であるというコンセプトを基に、
村人が中心となり秋田公立美術大学の学生が協力し開催される手づくりの芸術祭です。
多様な人々との交流を図りながら、高齢化、人口減少に立ち向かい、
地域の魅力発信とにぎわい創出を目指します。

2012年に「大地の芸術祭 越後妻有アート トリエンナーレ2012」の
飛び地開催としてスタートし、
7回目を迎える今年は、八木沢会場、沖田面会場、小沢田会場の村内の3つのエリアにおいて
番楽や獅子踊りなどの伝統芸能競演や棚田を舞台にした野外音楽イベント、
廃校した小学校の音楽室でのライブパフォーマンスのほか、
県内外のアーティスト24組による現代アート作品の展示やワークショップが行われます。

木村剛士『alias sculpture』(2017年作品)。

木村剛士『alias sculpture』(2017年作品)。

ワークショップ風景。

ワークショップ風景。

廃校になった小学校がアートの舞台に!

2017年のかみこあにプロジェクトでは10年前に廃校になった旧沖田面小学校で
15組のアーティストのアート作品が展示されました。
小学校の使われなくなった机を利用した作品や
教室に展示された作品たちが廃校となった小学校に光を差しました。

長門あゆみ『ほころびの部屋』(2017年作品)。

長門あゆみ『ほころびの部屋』(2017年作品)。

草彅裕『太陽の種』(2017年作品)。

草彅裕『太陽の種』(2017年作品)。

マスキングテープ〈mt〉の学校 〈mt school〉が北陸巡回中。 石川でのテーマは「修行」!?

デザイン:dream network activity(香川県)

大人気のマスキングテープ〈mt〉。
岡山城をマスキングテープでラッピングした〈mt art project〉も
大きな話題となりました。コロカルでの紹介記事はこちら

ただいま、「mtで学ぶ、mtでつながる」マスキングテープ〈mt〉の学校、
〈mt school〉が北陸3県を巡回中!

7月の富山教室を終え、8月2日から14日までは、石川に上陸。
コロカルでもおなじみのイベント『乙女の金沢 春ららら市』を企画・運営する
「乙女の金沢」とのコラボ企画として開催されます!

なかでも目玉企画となるのが、その名も「mt工芸修行」。まさかの「修行」です!! 
金沢および石川のさまざまな工芸作家・クリエイターを
「師匠」としてお招きし、1日2修行ずつが行われます。

実際の修行内容を見てみますと……

「creava・藤丸枝里子師匠と取り皿に染付で絵付けしよう」

開催日:8/2(木)、8/7(火)、8/9(木)、8/11(土)

費用:2500円(追加ひとつ1000円/配送の場合は配送料別途)

所要時間:30分~1時間ほど ※随時受付・予約も可

creava・藤丸枝里子師匠と取り皿に染付で絵付けしよう

「gris-gris leathers・佐藤晃紀師匠と革を染めてブレスレットを作ろう」

開催日:8/2(木)、8/12(日) 費用:2000円

所要時間:1時間ほど ※随時受付

gris-gris leathers・佐藤晃紀師匠と革を染めてブレスレットを作ろう

gris-gris leathers・佐藤晃紀師匠と革を染めてブレスレットを作ろう

「ガラス作家・田聡美師匠とガラスとレジンのアクセサリーを作ろう」

開催日:8/3(金)、8/4(土)、8/5(日) 費用:1500円

所要時間:30分ほど ※限定数 ※随時受付

ガラス作家・田聡美師匠とガラスとレジンのアクセサリーを作ろう

「能登デザイン室・奈良雄一師匠と時計をつくろう」

開催日:8/7(火)PM、8/8(水) 費用:4200円

所要時間:30分~1時間ほど ※随時受付 ※協力:タカタレムノス

能登デザイン室・奈良雄一師匠と時計をつくろう

暮らしを自由にするオフィスとは? キッチンもシャワーも完備の 〈12 SHINJUKU〉

この夏、東京・新宿に、“暮らしを自由にするオフィス”をコンセプトにした
あたらしいかたちのシェアオフィス〈12 SHINJUKU(ジュウニ シンジュク)〉がオープン!
8月中旬から入居開始を予定しています。

入居者専用 LDK完成予定イメージ

入居者専用 LDK完成予定イメージ

“暮らしを自由にするオフィス”ってどういうことでしょう?
それは、リビング、キッチン、ソファ、シャワーなどの
住まいの機能が導入されたオフィス。
「職住近接」の新しいワークスタイルを目指します。
〈12 SHINJUKU〉という名前も、
住居の1st PLACEと、オフィスの2nd PLACEを足して12ということから
名付けられているんです。

12 SHINJUKU BOOK SHELF完成予定イメージ

BOOK SHELF完成予定イメージ

12 SHINJUKU 8F LOUNGE完成予定イメージ

8F LOUNGE完成予定イメージ

オフィスプランは、1人から使えるフリーデスクから、
十数名規模のオフィスまで、多様なプランがあります。
共用部には、リラックスしたり、食事ができる入居者専用の
リビングダイニングキッチン、ルーフトップ、シャワールーム、
ブックシェルフなどを完備しています。

料金は、1ヶ月の料金が、フリーデスクが3.1万円、
スモールオフィスが13万円台から(予定)。

空き家が、移住者の受け皿に。
京丹後〈桃山ノイエ〉と
〈島津ノテラス〉

blueto建築士事務所 vol.2

「海の京都」といわれる京丹後市にて、建築設計やリノベーション、
空き家の活用などを行っている〈blueto建築士事務所〉の吉岡大です。

vol.1では、京丹後市の魅力やbluetoの設立についてご紹介しました。
今回はそこから少し時を遡り、僕がサラリーマン時代のお話になります。

会社勤めをしながら手がけた〈桃山ノイエ〉と〈島津ノテラス〉。
2軒の空き家のリノベーションが、
どのように移住者の受け皿へとつながっていったのかを振り返っていきます。

「僕も何かを始めたい」地域イベントで芽生えた思い

独立する以前は、工務店で働いていました。
当時は仕事が忙しく、ほとんど地域の人や周りの同年代の人と
関わることがありませんでした。

そんな忙しい日々の中で、「mixひとびと丹後(通称ミクタン)
というイベントに出会いました。
丹後地域内で実施されてきた、地域体験型の交流イベントです。

地域体験型の交流イベント「mixひとびとtango」。

地域体験型の交流イベント「mixひとびとtango」。

「mixひとびとtango」では、丹後に暮らす人々が
日頃の活動や趣味、得意分野を生かした企画を立て、
普段なかなか見られない職人さんの工房や、工場、酒蔵、
あるいはごく普通のおうちなどを開放し、丹後を訪れた参加者たちを案内します。

そこに参加することで、行ったことのない場所や、
自分の特技や仕事や趣味を生かして活動する人々と出会いました。
いきいきと丹後で活動する若い人たちを間近で見て、
ワクワクと胸が高鳴ったことを覚えています。

いままで丹後に暮らしていながら、
地元の本当の良さを知らず過ごしていたことに気がつき、
僕も何かを始めたいと思うようになりました
(残念ながら2018年をもって「mixひとびとtango」は終わりを迎えました)。

商店街ポスターが約300点! 日下慶太著 『迷子のコピーライター』 発売

全国で話題になった、「商店街ポスター展」というプロジェクト。
電通関西支社の若手クリエーターたちが、
ローカルな商店街を取材をして各店舗のユニークなポスターを作り、
まちおこしを図るというプロジェクトです。

この仕掛け人であるコピーライター・写真家の
日下慶太さんによる、初めての著書『迷子のコピーライター』が出版されました。
日下さんの破天荒な人生と人としての魅力がほとばしる一冊です。

■商店街ポスター展とは

『商店街ポスター展』

『商店街ポスター展』

『商店街ポスター展』

『商店街ポスター展』

『商店街ポスター展』

「商店街ポスター展」では、
電通のコピーライターとデザイナーがタッグを組み、
消えつつある昔ながらの商店街を盛り上げる
ポスターを制作。作られたポスターは、商店街のアーケード中に展示され、
商店街はさながらギャラリーのように賑やかに。

最初に行われたのは、2013年、大阪市浪速区の〈新世界市場〉。
その後、大阪市阿倍野区、兵庫県伊丹市、宮城県女川町、鹿児島、大分でも開催されました。

作られた作品のどれもが、ユーモアがあり、クスっとしてしまうようなもの。
制作費もなく、タレントも使用せず、無名の新人がポスターを制作したとしても、
大きく話題になるポスターが制作できるという画期的な試みでした。
約200種類ものポスターが掲示された商店街には活気が生まれ、
広告というものが持つ、本来のちからを感じさせてくれる取り組みです。
本書『迷子のコピーライター』には、この商店街ポスターを300点近く掲載!
地元のまちおこしの、参考にされてみてはいかがでしょうか?

〈大地の芸術祭 越後妻有 アートトリエンナーレ 2018〉 レアンドロ・エルリッヒなど 44の国と地域から 335組のアーティストが参加!

2018年7月29日(日)〜9月17日(月)、3年に1度のアートの祭典
〈大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ 2018〉が開催されます。

大地の芸術祭は2000年に始まり2018年で7回目。
新潟県十日町市と津南町にまたがる日本有数の豪雪地、
越後妻有を舞台に開催される世界最大級の芸術祭です。

今年もアートディレクターの北川フラムが総合ディレクターを務め、
レアンドロ・エルリッヒ、クリスチャン・ボルタンスキー、日比野克彦、目など、
44の国と地域から335組のアーティストが参加します。

アーメット・オーグット『カードリフターズ』

アーメット・オーグット『カードリフターズ』

ネオン・ダンス『パズルクリーチャー』

ネオン・ダンス『パズル・クリーチャー』

日比野克彦 監修「あざみひら演劇祭」写真:中村脩

日比野克彦 監修「あざみひら演劇祭」(写真:中村脩)

お芝居風レストラン「上郷クローブ座レストラン」。企画・料理を手がけるのはアーティストのEAT & ART TARO。

お芝居風レストラン「上郷クローブ座レストラン」。企画・料理を手がけるのはアーティストのEAT & ART TARO。

〈大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ 2018〉の見どころ

レアンドロ・エルリッヒ『Palimpsest:空の池』(作品イメージ)。「Palimpsest」とは文字を上書きした羊皮紙の写本のことを表す言葉だそう。

レアンドロ・エルリッヒ『Palimpsest:空の池』(作品イメージ)。「Palimpsest」とは文字を上書きした羊皮紙の写本のことを表す言葉だそう。

今年、注目が高まっているのは国際的に活躍するアーティスト、
レアンドロ・エルリッヒの新作。

レアンドロ・エルリッヒはアルゼンチン出身のアーティスト。
金沢21世紀美術館に恒久展示されている作品『スイミング・プール』や
森美術館での個展〈見ることのリアル〉をご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。

越後妻有では2006年、2012年にレアンドロの作品を発表し、
そのひとつは恒久展示作品として設置されています。
今回の芸術祭では1作目の作品『Lost Winter』がすでに先行公開されており、
これから2作目『Palimpsest:空の池』が発表されます。

レアンドロ・エルリッヒ『Lost Winter』Photo:Keizo Kioku

レアンドロ・エルリッヒ『Lost Winter』(Photo:Keizo Kioku)

『Palimpsest:空の池』の展示場所は越後妻有を巡る旅のゲート、
越後妻有里山現代美術館[キナーレ]の中央の池。
池の底面に不思議な像が描かれ、レアンドロ特有の視覚トリックを楽しめます。

そして、キナーレの池を取り囲む回廊には、目玉となる企画展『2018年の「方丈記私記」』の
作品として、2.7立方メートルの空間が30ほど出現。
公募によって選出されたアーティストや建築家たちが四畳半の空間をフルに生かし、
展示空間や飲食店、アトリエなどを展開します。

参加団体/アーティストは伊東豊雄建築設計事務所やKIGI、
ドットアーキテクツ、岡藤石、ドミニク・ペローなど。これは楽しみですね!

昭和レトロな内川のまちづくり。
築70年の元畳屋をカフェに
リノベーションした〈六角堂〉

マチザイノオト vol.1

はじめまして、グリーンノートレーベル株式会社の明石博之と申します。

東京から富山県に移住し、射水(いみず)市で暮らしながら、
射水市新湊内川地区をはじめとする県内の昭和レトロな建物や
町家文化を生かしたまちづくりをしています。

漁師町で出会った、元畳屋の空き家をリノベーションして
〈カフェ uchikawa 六角堂〉をオープンしたことがキッカケとなり、
「場」の魅力づくりによって、まちの価値を高めたいと思うようになりました。

この思いを〈マチザイノオト〉としてプロジェクト化。
町家文化など、絶滅が危惧されている「まちの財産=マチザイ」を
発掘・記録・支援(ノーティング)する活動を展開しています。

vol.1では、富山に移住して、新湊内川の魅力に出会い、
そして六角堂を立ち上げるストーリーについて、お伝えしていきます。

富山県射水市新湊内川地区の水辺。

富山県射水市新湊内川地区の水辺。

「地域の主体者として関わりたい」富山にIターンを決意

子どもの頃は、マンガを描くことと秘密基地をつくるのが大好きな少年でした。
広島から上京して、多摩美のプロダクトデザインを卒業、
その後は東京にあるまちづくり会社に入社しました。

学生時代、担当教授に言われた
「君はプロダクトデザイナーに向いていない、
人と社会の間にはもっと多くのデザインがあるから……」
という衝撃的な言葉が引き金になって、まちづくりの世界に飛び込みました。

東京時代は、月の半分が地方出張という日々。
超過疎地の農村、シャッター通り商店街、バブルの遺産が残る観光地などを巡り、
地域活性化のコンサルタントをするのが僕の仕事でした。

行政の仕事は年度完結型です。長期戦で地域のことを考える余裕はありません。
僕のミッションは、最初の歯車を回し始めるまでの仕掛けづくりなので、
これからおもしろくなるというタイミングでコンサルタントは去らねばなりません。
そのうち、本当は自分も主体者として地域に関わりたいという思いが
次第に大きくなっていきました。

思いが募って、30代後半で地方へ移住することを決意。

どこへ行くかが問題なのですが、結局、ご縁のあった数多くの地域から
富山県を選びました。その理由は単純で、妻の実家があったからです。
妻はもともと会社の同僚でした。
時を同じくして、地方で仕事をしたいと考えるようになり、
ふたりで相談した結果、結婚と同じタイミングで移住をすることにしました。

文化財建築とねぶたの競演! 「昭和の竜宮城」を 日本の色彩とかたちが照らし出す 『和のあかり×百段階段2018』

贅をつくした建築と、破格ともいえる豪華な装飾で
"昭和の竜宮城"ともいわれた〈目黒雅叙園〉(現・ホテル雅叙園東京)。
同館の夏の恒例イベント『和のあかり×百段階段』展が、
今年も7月7日から開催されます。

会場となるのは、"竜宮城"のなかでも、ひときわ濃密な装飾で彩られた旧3号館。
昭和10年の建築で、99段の長い階段廊下が、おもむきの異なる7つの部屋を結ぶ
そのつくりから、通称「百段階段」と呼ばれています。
各部屋の壁や欄間を埋めつくす装飾は、いずれも当時の著名な画家や
彫刻家の手によるもので、同館は、東京都有形文化財に指定されています。

7つの部屋を結ぶ「百段階段」

7つの部屋を結ぶ「百段階段」

ねぶたが展示される「漁樵(ぎょしょう)の間」

ねぶたが展示される「漁樵(ぎょしょう)の間」

この豪華絢爛な文化財建築を、祭りや伝統工芸品、アート作品など、
全国から集めたさまざまな「あかり」が照らし出す『和のあかり×百段階段』展。
今年4回目となる人気イベントですが、そのメイン展示として、
第1回から連続出展しているのが、青森のねぶたです。

企画展示 『ニッポンおみやげ博物誌』 国立歴史民俗博物館 にておみやげ展を開催!

2018年7月10日(火)〜9月17日(月・祝)、
千葉県佐倉市の国立歴史民俗博物館にて
おみやげにスポットをあてる企画展示
『ニッポンおみやげ博物誌』が開催されます。

UKOUKU 輪唱(貝澤徹作)国立歴史民俗博物館蔵

UKOUKU 輪唱(貝澤徹作)国立歴史民俗博物館蔵

日常的にやりとりされる、おみやげ。
おみやげは旅の思い出をわけあえるお楽しみです。
でも本展が注目するのは、おみやげの楽しい一面だけではありません。

おみやげの織りなす贈答文化や、
おみやげが生まれる場所とその特質、旅を経験する人々との関係。
そして消費され、保管され、ときに忘却されるおみやげの行方にも注目していきます。

会場には、おなじみの地方名産品から
滅多にお目にかかれない珍品・名品まで、
近世から近・現代のおみやげが大集合。
国立歴史民俗博物館の所蔵資料を中心に、約1300点が展示されます。

また、コレクションを通して、日本人における「人」と
「もの」、そして「物語」のつながりも問い直すそう。
人はなぜおみやげを集めるのか?おみやげのコレクションから、
日本文化の意外な特質が見えてくるかもしれません。

フェティッシュ コンゴ民主共和国 個人蔵

フェティッシュ コンゴ民主共和国 個人蔵

企画展示『ニッポンおみやげ博物誌』の見どころ

東都名所・浅草観世音 歌川広重 和泉屋市兵衛版 国立歴史民俗博物館蔵

東都名所・浅草観世音 歌川広重 和泉屋市兵衛版 国立歴史民俗博物館蔵

第1章では、アーリー・モダン(初期近代)とも訳される江戸時代のおみやげを紹介。
今にも続く旅や観光文化の多くは、江戸時代に育まれたのだそう。
この章では、近代以降のおみやげに見られるいくつかの系譜を紹介していきます。

第2章では、観光地のブランド化とおみやげの波及にフォーカスを当てます。
じつは、新たな「名所」の選定と創造が
行われるようになったは明治期だったのだとか。
それを機に、旅の新たな目的やおみやげが生まれました。
さらに近年は法改正や世界遺産の登録制度などを通じ、
名所や観光地を格付けるように。
この章では、観光地をどのようにしてブランド化していったのか、
おみやげを通して検証していきます。

赤福餅 株式会社赤福蔵

赤福餅 株式会社赤福蔵

〈「毎日が絶景」プロジェクト in 五島列島〉 写真で伝える五島の美しさと力強さ。 東京で写真展を開催中

九州の最西端にある五島列島は、
福江島、若松島、中通島、久賀島、奈留島、小値賀島、宇久島など
有人無人約150の島からなる列島です。
「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として世界遺産候補となった、
江上天主堂(奈留島)、旧野首教会(小値賀島)などの教会群や、
「長崎から1万円・1時間半で行けるハワイ」と評されるほどの海の美しさも魅力です。

その五島のすばらしさを誰よりもわかっている五島在住のプロアマ写真家、
約20名が、「地元の人が日々目にしている風景こそ、
かけがえのない絶景である」というコンセプトのもと、
フォトガイドブックを制作。
その出版を記念して、6月14日(木)まで、
東京・銀座の〈Basement Ginza〉にて、
写真展『光あまねく五島 A holy sunny day in GOTO』が開催されています。

福江島(五島市)で活躍するカメラマン・廣瀬健司さん。元警察官という異色の経歴の持ち主。

福江島(五島市)で活躍するカメラマン・廣瀬健司さん。元警察官という異色の経歴の持ち主。

五島市在住の写真家・廣瀬健司さんが、
この写真で表現したのは、毎年お盆に行われる念仏踊り
「チャンココ」(福江島・下大津町)のひとコマ。
地元の青年団の人たちが、先祖などを供養する
ためにエキゾチックでカラフルな衣装に身を包んで踊ります。

新盆を迎えた家や檀家さん、お墓やお寺を回って、十何軒目。
お盆の最終日、バケツをひっくり返した
ような激しい夕立のあと、疲れきった踊り手の汗の匂い、
ムンとした湿度、立ち上る線香の匂い……。
この島に住む廣瀬さんにしか撮れない独特な風景がありました。

福江島に伝わる念仏踊り「チャンココ」。懐かしい太鼓や鉦(かね)の音が聞こえてきそうです。

福江島に伝わる念仏踊り「チャンココ」。懐かしい太鼓や鉦(かね)の音が聞こえてきそうです。

5月に行われる三井楽教会の聖母祭の様子を撮った1枚。マリア像を乗せたみこしを担ぎ、
祈りながらその地区内を回ります。

5月に行われる三井楽教会の聖母祭の様子を撮った1枚。マリア像を乗せたみこしを担ぎ、
祈りながらその地区内を回ります。

「毎日が絶景」PROJECT in 五島列島には、2018年6月時点で、
下五島と上五島を含め、上田浩一さん、浦上純人さん、大坪昇平さん、
角谷和明さん、片山徹也さん、川口浩さん、神田伸正さん、宿輪忠雄さん、
永井響さん、中里陽道さん、中山亜紀さん、中山正寿さん、橋本賢太さん、
廣瀬健司さん、福井康弘さん、山内翼さん、山口正江さん、
山野眞一さん、山脇正剛さん、若松充さん、@Polardadyさんら21人の写真家が参加しています。

「毎日が絶景」PROJECT in 五島列島に参加している写真家さんたち(一部)

「毎日が絶景」PROJECT in 五島列島に参加している写真家さんたち(一部)

2017年11月にプロジェクトが始動して以来、写真家だけでなく、地元の高校生、
島外の五島出身者たち、五島を愛するインフルエンサーが次々に共感。
クラウドファンディングは目標金額の118%を集め、5月10日「五島の日」に
フォトガイドブック『みつめる旅』創刊号が完成しました。

復興の架け橋に! 福島の青年50名による 〈福島青年管弦楽団〉 が東京公演を開催

福島の中学生〜大学生約50名によって結成された
青年オーケストラ〈福島青年管弦楽団〉が、
2018年8月6日(月)に東京のサントリーホールで公演を行います。

〈福島青年管弦楽団〉の誕生は、2011年の東日本大震災の後の福島。
英国の国際音楽チャリティ団体〈キーズオブチェンジ〉と
福島の学校数校のパートナーシップにより生まれました。

ヴィオラ奏者

ヴィオラ奏者

〈キーズオブチェンジ〉は、世界的に活躍するピアニストの
パノス・カラン氏よって設立。「音楽は世界をより素敵な場所にする」と
いう信念のもと、音楽教育やクラシック音楽のライブ演奏を通じて、
青少年の成長を目指し活動しています。

当初は、被災した子どもたちに希望を届ける目的で設立されたものの、
誕生から5年間、〈キーズオブチェンジ〉をはじめ、
日本フィルハーモニー交響楽団や指揮者・本名徹次氏の指導を受け、
楽団は急速な成長を重ねます。

福島市蓬莱中学校でのパノスと子どもたちの出会い

福島市蓬莱中学校でのパノスと子どもたちの出会い

2014年にはロンドンクイーンエリザベスホール、翌2015年には東京オペラシティで、
美智子皇后陛下の御前でコンサートを行うなど、
地元福島はもちろん公演の度に世界各地で大喝采を受けるまでに。

東京オペラシティ コンサートホールにて美智子皇后様の御前で演奏(2015年8月)

東京オペラシティ コンサートホールにて美智子皇后様の御前で演奏(2015年8月)

〈福島青年管弦楽団〉の団員たちは各地で素晴らしい公演を重ねながら、
福島が元気でクリエイティブな若者に溢れていることや、
音楽を通じて学び成長していることなど、前向きな復興のメッセージを伝えていました。

コントラバス奏者

コントラバス奏者

また、団員の子どもたちのみならず、保護者や教員など関わる
福島の大人たちにとっても〈福島青年管弦楽団〉の
活動が復興の光となっていきました。

さて、今回の公演タイトルは「ふくしまの子どもたちが奏でる
愁いと希望のチャイコフスキー 世界中に復興の響きを!福島青年管弦楽団コンサート」。

築130年の古民家をリノベ。
海の京都「丹後」で、
空き家の活用を考える

blueto建築士事務所 vol.1

はじめまして。こんにちは。
〈blueto(ブルート)建築士事務所〉代表の吉岡 大(だい)と申します。

京都府の北部にある京丹後市を拠点に、
建築設計や住まいのリノベーションをする傍らで、空き家の活用や、
動画を使った取り組み、自治体と連携した活動も行なっています。

この連載では、リノベーションを軸に、
「移住」「DIY」「シェアオフィス」「ドローンによる空撮」など、
いろんなキーワードが登場するかと思います。
建築家としてこのまちにできること、
丹後に起こった変化や生まれたコミュニティ、
そこから感じたことをお伝えしていけたらと思っています。

約半年間、どうぞよろしくお願いします。

今回のvol.1では、丹後の知られざる魅力や近年抱える問題、
そしてblueto設立までの経緯と、
空き家をリノベーションした事務所づくりまでをご紹介していきます。

「海の京都」丹後の魅力

京都といえば、神社、お寺、舞妓さん、伝統的な京町家など、
京都盆地の“古都”なイメージがありますよね。

ところが、僕が住む京丹後市は「海の京都」。
京都府の最北端に位置し、海がとてもきれいで自然が豊かなまちです。

日本海に面する半島のエリアを「丹後半島」と呼び、
京丹後市・伊根町・与謝野町・宮津市のエリアを通称「丹後」と呼んでいます。

京都市の中心市街地から京丹後市までは、車で約2時間の距離です。日本海ならではの壮大な海に面して、家々が並んでいます。

京都市の中心市街地から京丹後市までは、車で約2時間の距離です。日本海ならではの壮大な海に面して、家々が並んでいます。

京丹後市の中でも、僕が生まれ育った京丹後市丹後町間人(たいざ)は、
漁業を中心とした港町です。実家は海のすぐそばにあるので、
子どもの頃は浜辺で遊んだり、釣りをしたりと、よく海に遊びに行きました。

港を中心に家が段々にひしめき合い、
潮風の香りと穏やかな時間が流れているこのまち並みがとても好きです。
夏には海水浴や釣り、港では花火大会もあり、たくさんの人で賑わいます。
冬はカニ漁が盛んで、旅行客が多く訪れます。

港を中心とした京丹後市丹後町間人のまち並み。坂道に家がひしめき合いとてもいい雰囲気です。

港を中心とした京丹後市丹後町間人のまち並み。坂道に家がひしめき合いとてもいい雰囲気です。

京丹後市と隣接する市町には、観光地である日本三景の天橋立、
伊根の舟屋などがあります。
京丹後市は隣接する7市町(京丹後市、与謝野町、宮津市、
伊根町、舞鶴市、福知山市、綾部市)と協力し合い、
「海の京都」として、食や観光など、地域のコンテンツを打ち出しています。

bluetoは、この海の京都を中心としたエリアで活動をしています。

〈酒器の美に酔う〉 酒器だいしゅき! 静嘉堂文庫美術館にて 酒器の展覧会を開催

東京・世田谷の静嘉堂文庫美術館にて、お酒を盛る・注ぐ・酌み交わすうつわ、
そしてお酒を呑む人びとをテーマとする企画展〈酒器の美に酔う〉が開催されています。

東洋では、古くから神に捧げ、神と人とをつなぐ神聖なものとされてきたお酒。
そのお酒を盛る酒器もまた、祭や儀式のなかで重要な役割を果たしてきたといいます。
やがてお酒を飲む習慣が普及すると、季節やおもてなしの趣向にあわせて
多彩な酒器がつくられるように。
本展ではそんな酒器にフォーカスをあて、およそ3000年前の中国古代から
幕末・明治までの中国・朝鮮・日本の酒器の世界とお酒をめぐる美術を紹介します。

〈静嘉堂文庫美術館〉建築や庭園も素敵です。文庫の建物は大正時代のイギリス郊外住宅のスタイルを顕著に表すつくり。

〈静嘉堂文庫美術館〉建築や庭園も素敵です。文庫の建物は大正時代のイギリス郊外住宅のスタイルを顕著に表すつくり。

静嘉堂文庫美術館は、三菱の創業者として知られる岩﨑彌太郎の弟であり、
2代目社長をつとめた岩﨑彌之助と、その息子で4代目社長の小彌太の
父子二代にわたる蒐集品を収蔵・展示する美術館。

所蔵品は静嘉堂文庫と美術館合わせて、
和漢の古典籍約20万冊と、東洋古美術品およそ6,500件。
そのなかには国宝7件、重要文化財84件も含まれ、世界に3点のみ現存する
国宝『曜変天目』は、茶道具そして中国陶磁の至宝として知られています。
本展では、その『曜変天目』も見られるそう!

国宝『曜変天目』建窯 南宋時代(12〜13世紀)口径12.2cm 室町時代の文献『君台観左右帳記』において、唐物茶碗「土之物」(陶製の茶碗)のうち、もっとも貴重で高価な茶碗として分類格付けされてきた「曜変」。福建省建窯の焼成品で偶然の所産と見られている。現在、世界中で現存する曜変天目(完形品)は、日本にある三碗のみ。京都・大徳寺龍光院、大阪・藤田美術館と静嘉堂文庫美術館に所蔵されており、すべてが国宝に指定されている。

国宝『曜変天目』建窯 南宋時代(12〜13世紀)口径12.2cm 室町時代の文献『君台観左右帳記』において、唐物茶碗「土之物」(陶製の茶碗)のうち、もっとも貴重で高価な茶碗として分類格付けされてきた「曜変」。福建省建窯の焼成品で偶然の所産と見られている。現在、世界中で現存する曜変天目(完形品)は、日本にある三碗のみ。京都・大徳寺龍光院、大阪・藤田美術館と静嘉堂文庫美術館に所蔵されており、すべてが国宝に指定されている。

酒器の美に惚れぼれ!展示の見どころ

見どころは、とにかく美しい酒器の数々。
盛期鍋島色絵水注や気品にみちた高麗青磁など、鑑賞陶器の逸品が目白押しです。

こちらは、うつわを酒の池に見立てた盃。
水禽(すいきん・水鳥)が遊ぶ水辺の景を白と黒の象嵌(※1)で表しています。
龍首の彫刻など精緻なつくりも見事です。

右:『青磁象嵌蓮池水禽文龍頭盃』左:『青磁象嵌水禽双魚文龍頭盃』ともに高麗時代(14世紀) 口径(右)8.3/(左)7.1cm

右:『青磁象嵌蓮池水禽文龍頭盃』左:『青磁象嵌水禽双魚文龍頭盃』ともに高麗時代(14世紀) 口径(右)8.3/(左)7.1cm

こちらは女神さまの誕生パーティーに向かう仙人たちを描いた慶賀の杯。
透きとおるような薄さが美しいですね!
この杯のように、青花(※2)で輪郭を描いた文様に淡い緑を主体とする
上絵付を施した技法を「豆彩」というそうです。

『豆彩八仙文杯』(8口のうち)景徳鎮窯清時代(17〜18世紀)口径6.0cm

『豆彩八仙文杯』(8口のうち)景徳鎮窯清時代(17〜18世紀)口径6.0cm

※1 象嵌(ぞうがん):金属・陶磁・木材などの表面に模様を刻み金・銀・貝殻などの他の材料をはめ込む装飾技法

※2 青花(せいか):白磁の素地に青い文様を描き、ガラス質の透明な釉をかけて焼いた陶磁器。 

画像提供:静嘉堂文庫美術館

〈トーハク×びじゅチューン! なりきり日本美術館〉 なりきると、びじゅつは楽しい。 テクノロジーで日本画を体験!

アーティストの井上涼さん。

2018年7月24日(火)〜9月9日(日)、トーハクこと東京国立博物館にて、
〈親と子のギャラリー トーハク×びじゅチューン! なりきり日本美術館〉が開催されます。

東京国立博物館 本館

東京国立博物館 本館

NHK Eテレの〈びじゅチューン!〉は世界のアートをアニメで紹介する番組。
難しい説明は一切なく、絶妙なテンポで楽しくアートを紹介してくれます。

びじゅチューン!の歌とアニメを手がけるのは、アーティストの井上涼さん。
たとえば、菱川師宣の浮世絵『見返り美人図』に着想を得たアニメ『見返りすぎてほぼドリル』や
フェルメールの『牛乳を注ぐ女』に着想を得た『何にでも牛乳を注ぐ女』、
狩野永徳の『唐獅子図屏風』に着想を得た『アイネクライネ唐獅子ムジーク』など、
その独特な発想にはびっくり……! 
過去に放送された動画の一部はこちらから閲覧できます。

『見返りすぎてほぼドリル』(c)NHK・井上涼2018

『見返りすぎてほぼドリル』(c)NHK・井上涼2018

『夢パフューマー麗子』(c)NHK・井上涼2018

『夢パフューマー麗子』(c)NHK・井上涼2018

本展では、びじゅチューン!とトーハクがコラボレーション。
放送されたアニメのなかから5つを選び、
作品に登場する人物や描いた人に“なりきれる”展示を展開。
また、本館展示室と平成館特別展会場にて
岸田劉生の『麗子微笑』など、本物の絵を見ることもできます。

重要文化財『麗子微笑』岸田劉生筆 大正10年(1921)東京国立博物館蔵

重要文化財『麗子微笑』岸田劉生筆 大正10年(1921)東京国立博物館蔵 展示期間:7月24日〜9月9日

こちらは岸田劉生が描いた『麗子微笑』に登場する
「麗子」の気持ちを考える体験展示。
「デジタル顔はめ」で麗子になりきって、
セリフやト書きで気持ちを表現し自分だけの「麗子像」をつくります。

顔パフォーマー麗子 会場イメージ

顔パフォーマー麗子 会場イメージ

〈東京盆栽生活空間〉が生み出す 〈スカル盆栽〉の世界。 獣害駆除された頭蓋骨を有効利用!

本日ご紹介するのは、動物の頭蓋骨(SKULL)を使った盆栽〈スカル盆栽〉! 
頭蓋骨は獣害駆除された動物のもので、通常廃棄されるものを再利用しています。
「盆栽×アート」「盆栽×デザイン」をテーマに活動する、
〈東京盆栽生活空間〉の作品です。

『慟哭~shrieking』(頭蓋骨:猪/盆栽:レンギョウ)

『慟哭~shrieking』(頭蓋骨:猪/盆栽:レンギョウ)

『侵蝕~erosion~』(頭蓋骨:オス鹿/盆栽:アケビ)

『侵蝕~erosion~』(頭蓋骨:オス鹿/盆栽:アケビ)

『侵蝕~erosion~』(頭蓋骨:オス鹿/盆栽:アケビ)

『侵蝕~erosion~』(頭蓋骨:オス鹿/盆栽:アケビ)

現在、日本の山間部では、過疎化や狩猟者の減少などが原因で、
野生動物の数が急速に増え、深刻な森林被害・農作物被害が起こっています。

狩猟者が駆除したとしても、その野生動物の
使い道はほとんどないのが現状です。年間約100万頭が駆除されていますが、
有効活用される個体は約10万頭(わずか10%)にとどまっているそう。

『命の循環~cycle of life』(頭蓋骨:メス鹿/盆栽:黄梅)

『命の循環~cycle of life』(頭蓋骨:メス鹿/盆栽:黄梅)

『命の循環~cycle of life』(頭蓋骨:メス鹿/盆栽:黄梅)

『命の循環~cycle of life』(頭蓋骨:メス鹿/盆栽:黄梅)

いまだ利活用されるのは肉(ジビエ)に限定されており、
その他の骨や皮などの部分はほとんど廃棄されているのが現状です。
そこで、埼玉県の猟師の方々の協力のもと、獣害駆除された野生動物(鹿、猪など)の
頭骸骨を有効活用するために生まれたのが、この〈スカル盆栽〉なんです。

『鹿の王~King of deer』(頭蓋骨:メス鹿/植物:アロエ、カンガルーポケット)

『鹿の王~King of deer』(頭蓋骨:メス鹿/植物:アロエ、カンガルーポケット)

〈スカル盆栽〉は、すべて受注生産品のオーダーメイド。
参考価格として『命の循環~cycle of life』は37,800円、
『慟哭~shrieking』は64,800円という値段がついていますが、
デザインや予算をご相談の上、制作してくれます。

〈BENTO おべんとう展 —食べる ・集う・つながるデザイン〉展 お弁当を開けば コミュニケーションが生まれる!

阿部了『ひるけ』2018年

2018年7月21日(土)〜10月8日(月・祝)、
東京・上野の東京都美術館にて“お弁当”が主役の企画展
〈BENTO おべんとう展—食べる・集う・つながるデザイン〉が開催されます。

日本人には、古くからなじみがあるお弁当。
最近はフランスをはじめ、世界でも注目されているのだそう。
なんといってもお弁当は、色鮮やかで楽しくて、経済的。
さらにヘルシーという点もうけているようです。
今や「BENTO」は「SUSHI」「TEMPRA」に続き、世界に通じる言葉になりつつあるんです。

〈BENTO おべんとう展—食べる・集う・つながるデザイン〉

〈BENTO おべんとう展—食べる・集う・つながるデザイン〉

BENTO おべんとう展では、そんなお弁当が生み出すコミュニケーションに注目。
コミュニケーション・デザインをテーマに、
江戸時代のユニークなデザインのお弁当箱や、
現代の作家たちのインスタレーションや参加型作品などを展示します。

参加作家は、オランダ在住のイーティング・デザイナー、マライエ・フォーゲルサングさんや、
NHKのテレビ番組〈サラメシ〉でも有名なお弁当ハンター/写真家の阿部了さん、
発酵デザイナーの小倉ヒラクさんなど、8名。
また、一度食べたら忘れられないと評判の「チオベン」を手がける
山本千織さんなど、魅力的な講師陣によるワークショップも開催されます。

BENTO おべんとう展の見どころ

『あゆみ食堂のお弁当』2017年 料理:あゆ美、写真:平野太呂

『あゆみ食堂のお弁当』2017年 料理:あゆ美、写真:平野太呂

展示は小倉ヒラクさんが手がけた新作アニメーションからスタート。
歌と振りつけでお弁当のことを楽しく紹介します。

ふたつめの見どころは、お弁当が生み出す
コミュニケーションに注目した作品たち。

料理家の大塩あゆ美さんが〈朝日新聞デジタル&W〉の読者からの
「こんなお弁当をつくってあげたい」というお便りに応えて
お弁当をつくるプロジェクト『あゆみ食堂のお弁当』や、
写真家の阿部了さんが黙々とお弁当を食べる人々の姿を撮った『ひるけ』、
映像作家の森内康博さんによる映像作品が見られます。

また、京都市立芸術大学教授であり、宮城県女川町で行われている
プロジェクト「対話工房」にてコミュニティーの再生にも携わる
小山田徹さんは、自身が日々実践する家族とのお弁当づくりの
アーカイブ『お父ちゃん弁当』を発表。

小山田徹『お父ちゃん弁当』2017年

小山田徹『お父ちゃん弁当』2017年

そのお弁当づくりの方法とは、小学生の姉が保育園に通う弟のために、
お弁当の指示書を書き、父である小山田さんがそれをもとにつくるというもの!
指示書に描かれた桜島の噴火や蛇行する川と三日月湖といったテーマは、寝る前に読んだ本や
散歩のときに見つけた植物や虫から着想されることもあるそうです。

『没後40年 濱田庄司展 大阪市立東洋陶磁美術館 堀尾幹雄コレクションを中心に』 濱田庄司の企画展を開催

2018年6月30日(土)〜8月26日(日)、東京の世田谷美術館にて、
『没後40年 濱田庄司展 大阪市立東洋陶磁美術館
堀尾幹雄コレクションを中心に』が開催されます。

「仕事が生活で、生活が仕事です」とは、生活のなかに美を見出し
数々の名作を手がけてきた陶芸家・濱田庄司さん(1894〜1978)の言葉。
そこには、どんな思いがあったのでしょうか?

濱田さんは東京高等工業学校の窯芸科を卒業し、
京都で陶芸の先端技術を学んだ後、
1920年にイギリス人の陶芸家、バーナード・リーチさんに誘われて
イギリスへ渡り、彼とともに西南端のセント・アイヴスで作陶を始めます。

濱田庄司『塩釉櫛目色差 茶碗』1961年頃 大阪市立東洋陶磁美術館蔵 堀尾幹雄コレクション

濱田庄司『塩釉櫛目色差 茶碗』1961年頃 大阪市立東洋陶磁美術館蔵 堀尾幹雄コレクション

濱田さんはその滞在中にロンドン南方の芸術家村「ディッチリング」を訪れ、
染織家のエセル・メーレさんと詩人で彫刻家のエリック・ギルさんが
都会から離れた地で、生活と結びついた創作を行っていることに
大きな影響を受けたといいます。

「仕事が生活で、生活が仕事です」という言葉は、
1924年に帰国した濱田さんが『大日本窯業協会雑誌』に寄せたものでした。

「彼等は美しい田舎の村に住んで居ますけど、
又楽しんで仕事していますけど、
卑法に資本と機械とから逃げているのでもなく、
徒に田舎へ還るのでもありません、勿論ジレッタント(※1)ではありません、
ペザントアート(※2)が一度死ぬべき事も承知しています。
そこに生み出す新しい道を知っています。
仕事が生活で、生活が仕事です、アーチストではないと表明しています。
此の訪問のお蔭で、趣味と仕事と生活の長い間の板挟みから救われた気がします」
(「英國より」『大日本窯業協会雑誌』365号、大日本窯業協会、1923年)

益子で作陶する濱田庄司さん。写真提供:(公財)濱田庄司記念益子参考館

益子で作陶する濱田庄司さん。写真提供:(公財)濱田庄司記念益子参考館

いまから100年近く前に書かれたとは信じられないほど、心に響く言葉です。
イギリスから戻った濱田さんは沖縄の陶工さんから仕事を学ぶ一方で、
拠点を栃木県益子に移し、陶芸の世界に新たな境地を切りひらきました。

※1 ジレッタント:学問や芸能などを趣味として愛好する人。

※2 ペザントアート:農民芸術。ヨーロッパの農民が自分たちのためにつくった木製の家具や小物。ペザントとは農民や農夫を意味する言葉。

『ダイニングテーブル、イス』(デザイン:濱田庄司)1940年頃(公財)濱田庄司記念益子参考館蔵 撮影:秋山晋一

『ダイニングテーブル、イス』(デザイン:濱田庄司)1940年頃(公財)濱田庄司記念益子参考館蔵 撮影:秋山晋一

盆栽がアートに! インテリアに!クッキーに! #盆栽(ハッシュタグぼんさい)

昔ながらの盆栽を、ポップにアップデート!
2018年5月23日(水)より、大阪・阪急うめだ本店にて
新しい盆栽の楽しみ方を提唱する画期的なイベント〈#盆栽(ハッシュタグぼんさい)
が開催されます。

ドライ加工した植物を使って盆栽の世界を表現した、
一点もののアートピース“ドライ盆栽”など、
見たことのない盆栽の世界が繰り広げられる祭典です!

ドライ盆栽ミニサイズ(高さ約12×幅約8cm)3,564円(税込)

ドライ盆栽ミニサイズ(高さ約12×幅約8cm)3,564円(税込)

アクア盆栽 各14,580円(税込)~

アクア盆栽 各14,580円(税込)~

土を使わず、水で育てる「アクア盆栽」。
お手入れは週に1回の水替えだけ。
従来、土で隠れて見えなかった力強く躍動感のある「根」を鑑賞することができます。

このように、〈#盆栽〉では、盆栽をモチーフに、様々な楽しみ方が提案されます。
四季を楽しむミニ盆栽、手入れが簡単な水栽培のアクア盆栽、
インテリア感覚の苔テラリウム、手掘りはんこを組み合わせてつくる盆栽はんこなどなど...。
日本の自然観や文化を大切にしながら、現代的なセンスで作られた様々な盆栽が登場します。

苔盆栽 はりねずみ 子7,020円/親10,800円(税込)

苔盆栽 はりねずみ 子7,020円/親10,800円(税込)

青々と茂った苔を背負った手のひらサイズの可愛い苔盆栽。
富山の鋳物メーカー「能作」とのコラボレーションから生まれました。

〈六九クラフトストリート〉 10cm、ミナ ペルホネンなど 7つの眼が選ぶ日用美品とは?

六九通りにある木工作家・三谷龍二さんのお店〈10cm〉

爽やかな空気に包まれる5月。
長野県松本市は工芸月間〈工芸の五月〉を迎え、つくり手たちとクラフトファンでにぎわいます。
この期間は〈クラフトフェアまつもと〉をはじめ、展示会が目白押し。
今日はそのなかから、10cm、ミナ ペルホネン、工芸青花、森岡書店、
さる山、gallery yamahon、Roundabout/OUTBOUNDが参加するイベント
〈六九(ろっく)クラフトストリート〉をご紹介します。

〈六九クラフトストリート Vol.6 日用美品〉2018年5月25日(金)〜27日(日)開催

〈六九クラフトストリート Vol.6 日用美品〉2018年5月25日(金)〜27日(日)開催

六九クラフトストリートは、戦前からの古い建物が残る六九通りで
2012年に始まったイベント。作家が中心となるクラフトフェアに対し、
ギャラリーという選者の眼を通して工芸を紹介するのだとか。
今年は7つの眼が「日用美品」をテーマに作品を揃えます。

松本駅から歩いていくと、六九通りへ入ってまず出会うのが
木工作家・三谷龍二さんのお店〈10cm〉。

〈10cm〉

〈10cm〉

もとはたばこ屋さんだった建物を改装したというこちらのお店。
なんとも素敵な雰囲気ですね! 
三谷さんは〈クラフトフェアまつもと〉や〈瀬戸内生活工芸祭〉の
運営に発足時から参加されている方でもあります。
ここは、クラフト好きなら一度は訪れたい聖地といったところでしょうか。

ふだんの10cmの様子。

ふだんの10cmの様子。

三谷龍二さんが手がけた陶磁器のような木のうつわ。

三谷龍二さんが手がけた陶磁器のような木のうつわ。

六九クラフトストリートの舞台となる六九通りは、かつてハイカラな商店街として親しまれた場所。
開発が進むにつれ、にぎわいは駅前へと移っていきましたが、
そのおかげで開発の波を逃れ、新しいまちにはない陰影と奥行きが残されたといいます。

そんな六九通りに10cmがオープンしたのは2011年のこと。
すると、新たな層のお客さんが訪れるようになり、
2013年にはデザイナーの皆川明さんのブランド
〈ミナ ペルホネン 松本店〉もオープンしました。
こちらも何とも雰囲気がある、素敵な佇まいのお店です。

ミナ ペルホネン 松本店 Photo by Takumi Ota

ミナ ペルホネン 松本店 Photo by Takumi Ota

〈山形ビエンナーレ2018〉 が今年もやってくる! 山形を彩るアートのお祭り

山形を舞台に、2年に1度開催されるアートのお祭り
〈山形ビエンナーレ〉が今年もやってくる! 
期間は2018年9月1日(土)から9月24日(月・祝)の週末のみ。
アーティスト・絵本作家の荒井良二氏を芸術監督に迎え、多彩な催しを開催します。

荒井良二「山のヨーナ」

荒井良二「山のヨーナ」

山形県郷土館 文翔館〈World Cup〉トラフ建築設計事務所+石巻工房 | さんもん 2016年出品作

山形県郷土館 文翔館〈World Cup〉トラフ建築設計事務所+石巻工房 | さんもん 2016年出品作

〈山形ビエンナーレ〉は、百年前に建てられた文翔館を中心に、
若者たちが再生させた古い蔵や商店、
丘の上のアトリエ群を舞台に、13日間にわたって、全34プログラムを開催します。

今年の出展作家は、大原大次郎氏、空気公団、坂本大三郎氏、spoken words project、
トラフ建築設計事務所、ミロコマチコ氏ら29組。
アート・音楽・映画・パフォーマンスなど、34の開催プログラムが、
Webサイトで一挙公開されています!

2018年のテーマは「山のような」。
東北の暮らしと地域文化への、深い共感や鋭い洞察から、
現在の山形を表す(=山のような)作品を提示すること。
そして、この芸術祭の制作過程において、
山形の過去・未来に光をあてる創造的なアイデアや
協働をたくさん(=山のように)生み出していくことを目指すというテーマです。
古くてあたらしい「みちの(お)く」の姿が、たくさん生み出されることでしょう。

WOW | ハレとケ〈YADORU〉まなびあテラスでの試作展示/2017年

WOW | ハレとケ〈YADORU〉まなびあテラスでの試作展示/2017年

大原大次郎〈もじばけ〉のためのスタディ/月山にて根岸功撮影

大原大次郎〈もじばけ〉のためのスタディ/月山にて根岸功撮影

茂木綾子〈火の子〉より

茂木綾子〈火の子〉より

〈腑〉foodremedies・ 塩川いづみ・水島七恵が 洞爺に寄せる食と ドローイングの1日

2018年5月27日(日)、菓子研究家・長田佳子(おさだかこ)さんによるfoodremediesと
イラストレーターの塩川いづみさん、編集者の水島七恵さんが
北海道・洞爺の〈toita〉にて食とドローイングのイベントを行います。

〈腑 はらわた〉プロジェクト

〈腑〉

これは、食べる・描く・編むをはじめとするさまざまな行為を通して、
心と体の同時性を探求していくプロジェクト〈腑(はらわた)〉の初イベント。
洞爺をテーマに絵の展示やライブドローイング、お菓子の提供、お話会を行います。

洞爺の空気とつくる食・ドローイング・ことば

絵を描くのは、洗練とユーモアを併せもつイラストレーションで人気の塩川いづみさん。
塩川さんはオリジナル作品を発表するほか、雑誌の挿絵やパッケージイラスト、
音楽のアルバムアートワークなどを手がけられています。
この日は、洞爺をテーマにした絵の展示と、
地域に自生する植物を使ったライブドローイングを行うそう。

toitaから洞爺湖までは歩いてすぐ。

toitaから洞爺湖までは歩いてすぐ。

お菓子をつくるのはトラベルライフスタイル誌『PAPERSKY』の刊行記念イベントや
〈種市〉や熊本の〈泰勝寺〉への出店など、各方面にひっぱりだこの長田さん。
長田さんは体に負担がかかる砂糖の量をなるべく減らし、
自然に寄り添うお菓子をつくっているのだとか。
本イベントでは、植物や食材、甘みの代わりのスパイスなどを使い、
この日だけのお菓子をつくります。

ことばを編む人として参加する水島七恵さんは、雑誌『リンネル』での執筆や
根室を拠点に活動する〈vostok〉が企画する〈EASTERN〉のリーフレットなど、
コロカル読者が気になる企画をいろいろ手がけられています。

当日は腑とご近所のパン屋さん〈ラムヤート〉チームによる
「洞爺と腑」をテーマとしたお話会も開催するとのこと。
どんなイベントになるのか楽しみですね!

〈エイトブランディングデザイン〉
ブランディングデザインは
「伝言ゲーム」?
“売る”よりも“伝える”、
その極意とは

「ブランディングデザイン」とは、どんな仕事?

取材冒頭、〈貝印〉が製造している商品点数を尋ね、
「もし僕が貝印さんからリブランディングを依頼されたら、
半分くらいの点数にするかもしれませんね」とアイデアを話す
〈エイトブランディングデザイン〉代表の西澤明洋さん。
自身でもイベントでファシリテーションをしたり、
雑誌連載や書籍でインタビューをしていることもあり、人に話を聞くのが好きな性分。
西澤さんのもとを訪れた〈貝印〉商品本部デザイン室チーフマネージャーの大塚淳さんは、
いきなり逆質問をされた格好だ。

社名に掲げているように、ブランディングデザインの専門家である西澤さん。
そもそもブランディングの本質を、
企業側もデザイナー側も、正しく理解していないことが多いという話から始まった。

〈エイトブランディングデザイン〉代表の西澤明洋さん(左)と〈貝印〉商品本部デザイン室チーフマネージャーの大塚淳さん(右)。

〈エイトブランディングデザイン〉代表の西澤明洋さん(左)と〈貝印〉商品本部デザイン室チーフマネージャーの大塚淳さん(右)。

「どちらかというと、日本の経営者はマーケティングを学び、
マーケティング視点でものごとを考える人が多い。マーケティングは“売るゲーム”。
どうやって売るかという方法論なので、
経営のゴールを売ることに設定してしまいがちです。
しかしブランディングの本質は、売ることではなく“伝えること”です」

どの企業も情報を提供し、ユーザーに伝えているはず。
西澤さんの考えるブランディングのなかで「伝える」、
そして「伝わっている」とはどういう状態を指すのか。

「伝言ゲームのように、どんどん伝播していくことが理想です。
それが起こらないような情報設計やデザインでは、
ブランディングできていないといえます。
組織自体がブランディングを正しく理解していないと、
途中からなんとなくマーケティング思考になっていって、
短期的な売り上げ増加のみを目標として
プロジェクトが途中で終わってしまうなんてことが多々ありますね」

過去のブランディングデザインで、100点程度あった商品点数を3点程度にまで絞り込んだこともあるという。

過去のブランディングデザインで、100点程度あった商品点数を3点程度にまで絞り込んだこともあるという。

西澤さんの言う「伝言デーム」を〈COEDOビール〉の例で見ていこう。
エイトブランディングデザインが、2005年からブランディングデザインを手がける
埼玉県川越市にあるクラフトビールメーカーだ。
ビールとして大切なのはもちろん、おいしいこと。
しかしそれだけでは、伝言ゲームは起こらないという。大切なのは、物語や背景だ。

「COEDOビールは日本のクラフトビールのパイオニアです。
既存のビールとの違いやCOEDOがビールづくりで大切にしている
クラフトマンシップについて朝霧重治社長ととことん話し合いました。
そしてそこから “BEER BEAUTIFUL”というコンセプトが生まれました。
ここから伝言ゲームが始まります。
コアなファン層になると、ただ『おいしいよ』というだけでなく、
背景やコンセプトを理解して話してもらうことができます。
最初の100人が1000人に、そして1万人にと、
ただ『おいしい』というだけではない伝わり方をする。
これがブランディングデザインに必要な波及効果だと思います」

 国際的なビールのコンテストでも受賞している〈COEDOビール〉。(写真提供:エイトブランディングデザイン)

国際的なビールのコンテストでも受賞している〈COEDOビール〉。(写真提供:エイトブランディングデザイン)

伝わっていく状態が大切だ。企業から「第一波」は可能だろう。
そこから第二波、第三波を生み出していくには、第一波のつくり込みが肝になる。
こうして効果的な波及効果が生まれると、その世界に共感して人が集まってくる。
それは買い手だけでなく、つくり手も同様。
COEDOビールには、最近、若い職人希望者がたくさん来るという。

「伝言ゲームがうまくいくと、リクルートもうまくいくようになります。
〈山形緞通〉という手織じゅうたんの会社では、
リブランディングから数年でスタッフ数が倍近くになるまでに成長しています」

雇用、求人状況まで向上すると、企業からお客様、
そしてまた企業へとフィードバックされ、1周回っていい循環が生まれるのだ。

 エイトブランディングデザインのオフィスで使われている〈山形緞通〉の手織じゅうたん。

 エイトブランディングデザインのオフィスで使われている〈山形緞通〉の手織じゅうたん。

スペシャルティコーヒー専門店〈堀口珈琲〉のリブランディング。(写真提供:エイトブランディングデザイン)

スペシャルティコーヒー専門店〈堀口珈琲〉のリブランディング。(写真提供:エイトブランディングデザイン)

『太宰府、フィンランド、 夏の気配。』太宰府天満宮にて 石本藤雄と津田直の展覧会を開催

木陰からさす光に、ふと夏を感じる5月。
福岡県の太宰府天満宮で、フィンランドとつながりの深い
ふたりの日本人アーティスト、
陶芸家/テキスタイルデザイナーの石本藤雄さんと
写真家の津田直さんによる〈太宰府、フィンランド、夏の気配。〉が始まります。

これは、フィンランドを接点に、
不思議なご縁があるというふたりの展覧会。
宝物殿では石本藤雄さんの陶器作品展〈実のかたち〉を、
文書館では津田直さんの写真展〈辺つ方(へつべ)の休息〉を開催し、
初夏の太宰府天満宮にふたつの才能が響き合います。

石本藤雄〈実のかたち〉

ウォールレリーフ『梅』(C)Chikako Harada/Fujiwo Ishimoto

ウォールレリーフ『梅』(C)Chikako Harada/Fujiwo Ishimoto

若くして世界へ飛び出し、1974年から2006年まで
フィンランドのライフスタイルブランド〈マリメッコ〉の
デザイナーとして活躍した石本さん。
当時手がけたファブリックは、今もなお世界中で愛され、
多くの人に使われ続けています。
そんな石本さんは、愛媛県砥部町の陶芸の里で生まれ育ちました。
若い頃は焼きものに一切興味が無かったといいますが、
フィンランドで暮らすうち、陶の世界に惹かれるように。
1989年にフィンランドを代表する陶器メーカー〈アラビア〉の
アート・デパートメント部門にアトリエを構えてからは、
陶芸へ軸足を移し、独創性あふれる表現を追求し続けています。

ウォールレリーフ『梅』(C)Chikako Harada/Fujiwo Ishimoto

ウォールレリーフ『梅』(C)Chikako Harada/Fujiwo Ishimoto

立体作品『冬瓜』(C)Chikako Harada/Fujiwo Ishimoto

立体作品『冬瓜』(C)Chikako Harada/Fujiwo Ishimoto

角皿(C)Chikako Harada/Fujiwo Ishimoto

角皿(C)Chikako Harada/Fujiwo Ishimoto

今回の展示では、太宰府天満宮の象徴である梅の実や、
夏に旬を迎える冬瓜、ヤマモモ、ブドウ、木苺、南天の実を
モチーフとした新作を展示します。

冬瓜はゴロンとした存在感が忘れられず、この度初めて
取り組んだモチーフなのだとか。なんとも魅力的なかたちですね!

津田直〈辺つ方の休息〉

津田直〈辺つ方の休息〉

(C) Nao Tsuda, Courtesy of Taka Ishii Gallery Photography / Film

神戸・摩耶山のふもとで毎朝登山をする祖父の背中を見て育ち、
いつしか自然を読むことを日課としてきたという津田直さん。
写真家となったいまは、世界中を旅してフィールドワークを重ね、
数々の風景を写してきました。

今回の展示では2017年5月に訪れたフィンランドで撮影した
群島の岩場や岸辺から見つめた草木が新芽を開く様子や、
人々が世代を超えて大切にしているという短い夏を過ごすための小屋、
それを取り巻く自然の姿を発表します。

(C) Nao Tsuda, Courtesy of Taka Ishii Gallery Photography / Film

(C) Nao Tsuda, Courtesy of Taka Ishii Gallery Photography / Film

会場となる太宰府天満宮文書館は、普段は一般公開していない建物。
1901(明治34)年 に菅原道真公の御神忌千年大祭の記念事業の一環として
建設された施設で、本展期間中は特別公開となります。
大きな唐破風のある入母屋造の屋根や、玉座や観梅室を備えた
書院風の木造建築、梅林の庭に面したガラス戸と縁側など、建築を見るのも楽しみ。

その建物を活かした会場構成も、見どころのひとつです。
大広間に置かれた特別な展示台は、
ゴツゴツとした岩の多い島を歩くような心持ちで、
体を斜めにしたり座ったり、視線を変えながら
作品を見るための仕掛けにもなっているのだそう。
フィンランド南西部に位置するVänö(ヴァーノ)島や
津田さんが撮影のために滞在したJyväskylä(ユヴァスキュラ)の
自然のなかを歩くような気持ちにさせるといいます。

また、津田さんはフィンランドの家庭で、日常的に愛用されている
石本さんのテキスタイル「Lepo(レポ)」と出会ったのだとか。
今回はその出会いにちなみ、会場の一部にLepoのテキスタイルを用いた
特製の座布団を並べ、くつろぎながら鑑賞できるようになっています。
ぜひ会場で、その場の空気と一緒に体験したい展示です。

(C) Nao Tsuda, Courtesy of Taka Ishii Gallery Photography / Film

(C) Nao Tsuda, Courtesy of Taka Ishii Gallery Photography / Film