マチザイノオトvol.2
前回は、富山県に移住して、情緒ある漁師町と
そこを流れる内川の昭和レトロな風景に出会い、
空き家だった「六角の家」をリノベーションしようと思った経緯について
お話させていただきました。
今回は、実際にリノベーションに着手して経験したいろいろなこと、
そして建築素人だった僕が学んだ数々の知識や技術的なことについて、
ご紹介していきます。
三叉路と橋でまちとつながるロケーション
当時の僕は、建築的な知識がほぼなく、この六角の家は
「古い木造の家」というくらいの認識でした。
古民家の定義もさることながら、町家と長屋の違いもわからないし、
現代的な木造住宅と伝統的な木造住宅がどう違うのかも知りませんでした。
その一方、ロケーションという観点では、全国各地の超過疎地を巡り、
地域活性化のお手伝いをしてきたときの感覚や自分なりの方程式があって、
それが大変役に立ちました。
人通りがあるか、駅に近いか、近くにランドマークがあるか、
などの見方は僕のものさしの中にはありません。
人知れず、毎年春になったらきれいな花を咲かせる山桜のごとく、
当たり前のように日々の暮らしや仕事などの営みを繰り返し、
継承されてきた素朴な生活風景に魅力を感じてしまいます。
僕は、リノベーションという行為が、
地域やそこに暮らす人々との関係にまで影響を及ぼすプロジェクトになってこそ
「リノベーション」なんじゃないかと思い、
当初から建築行為をプロジェクトの中心に置かないようにしようと考えました。
建築にあまり詳しくなかったのが結果的に良かったのだと思います。

前回、この六角の家が建っている三叉路が曳山祭りの見せ場のひとつになっていて、
曳山が角を曲がりやすいように交差点の角が切られているとお伝えしましたが、
これこそが地域との大事な接点だと思いました。
もし六角の家が取り壊されてしまったら、長年続いてきた
「曳山であそこを曲がるのは大変なんだ」という語りぐさがひとつ消えてしまいます。

ここがカフェとして再利用され、毎年、曳山がこの角を曲がるのに苦労する、
曳手は緊張する。そういう様子をカフェの店内から見守る。
そんな場所として地域の営みとつながることができれば最高です。
もうひとつは、ベンガラ色に塗装された屋根つきの木造橋、
「東橋(あづまばし)」が六角の家のすぐ近くにあるというロケーション。
この橋は歩行者専用の小さな橋です。
いまのように改築される以前は、屋根のないシンプルな木造橋でした。
この地域はいまでも銭湯が数軒ありますが、その昔は、
お風呂のある家が少なかったため、もっとたくさんの銭湯があったそうです。
この橋は、銭湯を利用する人が風呂桶を抱えて行き来し、
すれ違いざまに他愛のない会話が繰り広げられた日常使いの通路です。
人の往来は極端に少なくなりましたが、この建物が畳屋だった頃の様子を
語ってくれる先輩方とお会いできるのは、この東橋があるおかげです。

内川には直接面していないけど、三叉路と東橋によって
六角の家がまちとつながっている、そんなロケーションに魅力を感じました。


























































































