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posted:2018.4.20 from:福岡県太宰府市 genre:アート・デザイン・建築
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writer profile
Yu Miyakoshi
宮越裕生
みやこし・ゆう●神奈川県出身。大学で絵を学んだ後、ギャラリーや事務の仕事をへて2011年よりライターに。アートや旅、食などについて書いています。音楽好きだけど音痴。リリカルに生きるべく精進するまいにちです。
木陰からさす光に、ふと夏を感じる5月。
福岡県の太宰府天満宮で、フィンランドとつながりの深い
ふたりの日本人アーティスト、
陶芸家/テキスタイルデザイナーの石本藤雄さんと
写真家の津田直さんによる〈太宰府、フィンランド、夏の気配。〉が始まります。
これは、フィンランドを接点に、
不思議なご縁があるというふたりの展覧会。
宝物殿では石本藤雄さんの陶器作品展〈実のかたち〉を、
文書館では津田直さんの写真展〈辺つ方(へつべ)の休息〉を開催し、
初夏の太宰府天満宮にふたつの才能が響き合います。
若くして世界へ飛び出し、1974年から2006年まで
フィンランドのライフスタイルブランド〈マリメッコ〉の
デザイナーとして活躍した石本さん。
当時手がけたファブリックは、今もなお世界中で愛され、
多くの人に使われ続けています。
そんな石本さんは、愛媛県砥部町の陶芸の里で生まれ育ちました。
若い頃は焼きものに一切興味が無かったといいますが、
フィンランドで暮らすうち、陶の世界に惹かれるように。
1989年にフィンランドを代表する陶器メーカー〈アラビア〉の
アート・デパートメント部門にアトリエを構えてからは、
陶芸へ軸足を移し、独創性あふれる表現を追求し続けています。
今回の展示では、太宰府天満宮の象徴である梅の実や、
夏に旬を迎える冬瓜、ヤマモモ、ブドウ、木苺、南天の実を
モチーフとした新作を展示します。
冬瓜はゴロンとした存在感が忘れられず、この度初めて
取り組んだモチーフなのだとか。なんとも魅力的なかたちですね!
神戸・摩耶山のふもとで毎朝登山をする祖父の背中を見て育ち、
いつしか自然を読むことを日課としてきたという津田直さん。
写真家となったいまは、世界中を旅してフィールドワークを重ね、
数々の風景を写してきました。
今回の展示では2017年5月に訪れたフィンランドで撮影した
群島の岩場や岸辺から見つめた草木が新芽を開く様子や、
人々が世代を超えて大切にしているという短い夏を過ごすための小屋、
それを取り巻く自然の姿を発表します。
会場となる太宰府天満宮文書館は、普段は一般公開していない建物。
1901(明治34)年 に菅原道真公の御神忌千年大祭の記念事業の一環として
建設された施設で、本展期間中は特別公開となります。
大きな唐破風のある入母屋造の屋根や、玉座や観梅室を備えた
書院風の木造建築、梅林の庭に面したガラス戸と縁側など、建築を見るのも楽しみ。
その建物を活かした会場構成も、見どころのひとつです。
大広間に置かれた特別な展示台は、
ゴツゴツとした岩の多い島を歩くような心持ちで、
体を斜めにしたり座ったり、視線を変えながら
作品を見るための仕掛けにもなっているのだそう。
フィンランド南西部に位置するVänö(ヴァーノ)島や
津田さんが撮影のために滞在したJyväskylä(ユヴァスキュラ)の
自然のなかを歩くような気持ちにさせるといいます。
また、津田さんはフィンランドの家庭で、日常的に愛用されている
石本さんのテキスタイル「Lepo(レポ)」と出会ったのだとか。
今回はその出会いにちなみ、会場の一部にLepoのテキスタイルを用いた
特製の座布団を並べ、くつろぎながら鑑賞できるようになっています。
ぜひ会場で、その場の空気と一緒に体験したい展示です。
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会期初日の5月12 日(土)には、本展のために来日する石本さんがトークイベントを行います。
ヘルシンキで作陶を続ける日常について、そして本展のために手がけた
新作について石本さんご本人が語る、貴重な機会です。
会期2日目の5月13日(日)は、津田さんがスライドショー&トークイベントを開催。
ヴァーノ島とユヴァスキュラの湖畔での撮影秘話、
さらには石本さんとの不思議なご縁についても語られるそう。
こちらも見逃せないトークになりそう!
申込み方法など、くわしくはこちらから。
また、文書館前の菖蒲池では花菖蒲(約55種3万本)が
6月上旬〜中旬に見頃を迎え、夜はライトアップされます。
さらに境内の梅の実が収穫期を迎え、
6月1日には御神木「飛梅」の実を
集めて御神前に奉納する〈飛梅ちぎり〉が斎行されます。
〈太宰府、フィンランド、夏の気配。〉は、5月12日(土)〜7月1日(日)まで。
太宰府に石本藤雄さんと津田直さんの作品が会する、またとない機会です。
ぜひ出かけたいですね。
information
太宰府、フィンランド、夏の気配。
会期:2018年5月12日(土)〜7月1日(日)
時間:9:00〜16:30(入館は16:00まで)
休館日:毎週月曜(6月25日は開館)
拝観料:共通チケット(宝物殿+文書館):一般 700円、高大生 300円、小中生 150円/宝物殿・文書館それぞれ 一般 400円、高大生 200円、小中生 100円
※障害者手帳提示により付添者1名さままで半額
会場:太宰府天満宮 宝物殿企画展示室・文書館
住所:福岡県太宰府市宰府 4-7-1
電話:092-922-8225
主催:太宰府天満宮
後援:フィンランド大使館、Visit Finland (フィンランド政府観光局)
協力:有限会社スコープ、スパイラル/株式会社ワコールアートセンター、東京カラー工芸社、富士フイルム株式会社、 三菱地所アルティアム、MUSTAKIVI、Taka Ishii Gallery Photography / Film 、THE NORTH FACE
会場構成:石本藤雄 陶展「実のかたち」太宰府天満宮宝物殿企画展示室:設計事務所 ima(イマ)小林恭・小林マナ /津田直 写真展「辺つ方の休息」 太宰府天満宮文書館:CASE-REAL(ケース・リアル)二俣公一
アートディレクション:前田景
企画・プロデュース:株式会社ビオトープ
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