〈佐藤茅葺店〉 日本の風景に茅葺屋根を。 そんな夢から生まれた “運べる茅葺小屋”

夏涼しく、冬暖かい茅葺屋根の家。
秋田県に、そんな茅葺屋根の小さな小屋をつくっている方がいます。
それがこちらの「運べる茅葺小屋」。

サイズは2種類。大きなサイズでも分解すれば軽トラック1台で運べます。(※サイズはご希望に合わせて変更可能)

なんとも可愛らしいですね! 使い方は犬小屋として、
展示会のブースとして、遊具として……などなど、自由。
屋根の素材は「穂わら」「ススキ」「ヨシ」の3種類から選べます。

こちらを手がけたのは、秋田県〈佐藤茅葺店〉の佐藤偉仁(ひでと)さん。
屋根部分は佐藤さんが、組み立て式の木の土台は宮大工の方が
ひとつずつ手作業でつくっているそうです。

〈佐藤茅葺店〉佐藤偉仁さん。

じつは現在、新たに茅葺き屋根を設置することは、消防法により、
特定の観光エリアにある特例区でしか認められていないのだそう。
茅葺屋根を見かけない理由は、日本人の暮らしが変わったから
という理由だけではなかったんですね。

そんな茅葺屋根に惹かれた佐藤さんは
「減っていく一方の茅葺屋根を次の世代の景色に残したい」
という思いから宮城県石巻市にある〈熊谷産業〉で修業。
2006年に独立し、地元、秋田に佐藤茅葺店を開業しました。

茅をしまっておく茅小屋。

佐藤さんは、茅葺きの「茅」から自分たちの手でで育てているのだそう!

「現在は家業の稲作りと兼業しながら、自分たちで茅を育て、
ふたりの弟子とともに地元をはじめ、全国の茅葺屋根の工事に赴いています。
現在では新築で設けられるエリアが限られているため
補修工事が主ですが、一般住宅から重要文化財の
屋根工事にまで携わっています」(佐藤さん)

こちらは、佐藤さんのご自宅。

「自宅は風景の一部ような家にしたいと思って建てました。
全体の設計は知り合いの建築家の方に依頼し、
茅葺部分や茅葺小屋は佐藤茅葺店でつくりました。
景色がいいので、庭でおにぎりを食べても、おいしい気がします(笑)。
贅沢な生活をさせていただけて、ありがたいです。
子どもたちも伸び伸びと育てばいいなと思っています」(佐藤さん)

移住でなく「延住」?
地域密着型デザインで仕事が
切れない三好市のデザイナー、
肴倉由佳さん

地域おこし協力隊で、想定外の場所へ

2013年7月に三好市の地域おこし協力隊として東京からやってきた肴倉由佳さんは、
2年9か月の協力隊の任期終了後も、
デザインをなりわいにして三好に住み続けている。

肴倉さんは神戸市出身で、
山を愛する両親に、自然との共存をベースに育てられたという。
週末には郊外で借りていた畑に通い、
長い休みには家族全員で信州の山々へ、山登りに出かけるような家族だった。
ずっと山を愛し、しょっちゅう山に登りにいっていた肴倉さんは、
将来、両親の出身地である青森に近い、北のほうで田舎暮らしをすることを望んでいた。

京都の美大を卒業後、大阪にある会社のデザイン室で働き、
その後神戸を経て東京へ移り住む。
肴倉さんは、自分のやりたいことと、環境を寄り添わせるのに苦悩した時期だと振り返る。
30歳のときに、住み慣れた関西から東京に移ったのは、
「将来を見据え、少しでも北のほうへ移りたかったから」と話す。
東京で2年間の編集の仕事を終え、次の方向性を模索していた時、
三好市の地域おこし協力隊の説明会があることを知った。

「実は、四国へ行くことはまったく考えていませんでした。
でも、これ以上東京暮らしをするのは無理かなと思ったので、話を聞きに行ったんです」
肴倉さんに、東京暮らしのどのあたりが
無理だと思ったのか聞いてみると、こんな答えが戻ってきた。

「私、山歩きが好きなんです。東京でさあ山に行こうと出かけると
休日の高尾山などは、渋谷の通勤ラッシュよりも人が多くて驚きました。
また、信州などの遠方の高い山に行こうとすると交通費もネックで、
契約社員で働く自分は頻繁に行くことはできず、
山登りや自然と触れ合うことにもお金がかかるということに、
疑問を感じてしまったんです」

人間の根本にあるべき自然が、都会では贅沢品になってしまう。
一度抱いた違和感は拭えず、その違和感が肴倉さんの背中を押した。

協力隊時代から現在にいたるまで密にやりとりをしている山崎正さん。過疎集落の再生に日々取り組む山崎さんたち先住の人たちに学ぶことは多いという肴倉さんは、現在でもイベントの手伝いをしており、現地の人たちにかわいがられている。「ここの土地で何かやりたいことがある人が来てくれると、応援しがいがある」と山崎さん。

道の駅や地元のホテルなどで販売されている肴倉さんがデザインを手がけた地域密着型の商品。右の手ぬぐいは肴倉さんの屋号「さかなやデザイン」のオリジナル商品だ。

〈名古屋城本丸御殿〉 素晴らしい修復技術に注目! 10年の復元計画を物語る動画公開

2018年6月8日(金)、10年にわたる復元計画を経て、
〈名古屋城本丸御殿〉が完成公開されます。
先日、完成に先駆けて本丸御殿のトレーラームービーが公開されました。

監督は美術家の山城大督さん、
楽曲は国内外で高い評価を受けている音楽家の蓮沼執太さん!
気鋭の若手アーティストたちが鮮やかな切り口で映像化しました。

400年前の姿をそのままに継承した
復元技術の素晴らしさも垣間見えますね。

名古屋城本丸御殿は、1615年(慶長20年)に
尾張藩主の住居かつ藩の政庁として
徳川家康の命によって建てられたお城。
ところが1945年(昭和20年)の空襲により建物の大部分が焼失してしまいました。

2018年6月、いよいよ復元が完成し、名古屋城本丸御殿を公開。
江戸幕府将軍が宿泊するために建造された、
豪華絢爛な「上洛殿」や「湯殿書院」なども公開されます。

名古屋城本丸御殿は、日本を代表する近世書院造の建造物。
総面積3,100平方メートル、木造平屋建こけら葺き書院造、
13棟の建物で構成されています。

1945年の空襲により建物は焼失してしまいましたが、幸いにも1049面の障壁画や309枚の実測図、約700枚の写真、約2000個の礎石などは焼失を逃れました。

室内は忠実に復元模写された山水花鳥などを
画材とした障壁画や飾金具などで絢爛豪華に飾られ、
建築・絵画・美術工芸史において高く評価されています。

広尾アートアカデミーにて 水原亜矢子さんの俳句教室 〈十七音の楽しみ - 俳句〉が スタート!

2018年4月、〈広尾アートアカデミー〉にて俳人の水原亜矢子さんによる
俳句教室〈十七音の楽しみ - 俳句〉が始まります。

俳句は、5・7・5のわずか17音という短い詩のなかに季節(季語)を入れて、
懐かしい思いや情緒、風景、日常、
すべての事柄を自由に詠う、世界で最も短い詩。

難易度が高いイメージがありますが、特に難しいルールはないのだそう。
昔のように、言葉遊びを楽しんでみたいですね。

講師の水原亜矢子さんは東大俳句会にて山口青邨さん、有馬朗人さんに師事し、
現在は俳句結社〈玖珠の会〉を主宰されています。
1988年に出版した句集『シクラメン』には巻頭に山口青邨さんの俳句と
中川一政さんの書を贈られたのだとか。

水原亜矢子さん

本講座は経験者の方はもちろん、初めての方でも受講可能です。
受講料は3ヶ月全4回で15,000円。
スケジュールと季題は以下の通りです。

4月18日(水)春の灯(春燈)、子猫(猫の手)、桜餅

5月16日(水)若葉、芥子の花、蜜豆

6月6日(水)薔薇、夏衣(夏衣)、サイダー水

6月20日(水)浅き夏、髪洗う、ゼリー

時間:14:00〜16:00

また、4月4日(水)14時から16時は、
俳句体験講座〈ミッドタウンに春を探しに 十七音の楽しみ - 俳句〉を開催。
「春」「花」からイメージする言葉を文章にしてみて、
そこから何を伝えたいのかを考え、言葉を選んでいきます。
体験講座の受講料は3,750円。まずは事始めという方におすすめです。

〈博物館でお花見を〉 春のトーハクで 一足早いお花見はいかが?

国宝で楽しむお花見はいかが?
東京国立博物館で桜にちなんだ名品展開催

桜の開花が待ち遠しい今日このごろ。
東京の開花予想は3月下旬ごろだそうですが、
トーハクこと〈東京国立博物館〉では2018年3月13日(火)から
桜にちなんだ名品展『博物館でお花見を』がスタート! 
一足早くお花見が楽しめます。

本展には、国宝『花下遊楽図屏風』や
重要文化財『厩図屏風(うまやずびょうぶ)』などなど、
桜が描かれた素晴らしい作品がたくさん。
また、桜が開花すれば、庭園で約10種類の桜が見られます。

庭園風景

重要文化財『厩図屏風(うまやずびょうぶ)』(部分)室町時代・16世紀 本館3室にて3月20日(火)から展示。馬たちの繋がれた厩の庭先には満開の桜の花が。桜を見上げるかのような鶴の姿にも注目です。

下の絵は、江戸時代に描かれた国宝『花下遊楽図屏風』(部分)。
満開の桜の下で、歌舞音曲の宴を楽しむ人々の姿が描かれています。
日本の人は、昔からお花見を楽しんでいたんですね!

国宝『花下遊楽図屏風』(部分) 狩野長信 筆 江戸時代・17世紀 本館2室(国宝室)

『観桜図屏風(かんおうずびょうぶ)』(部分)住吉具慶 筆 江戸時代・17世紀 西脇健治氏寄贈 本館7室で3月20日(火)から展示。『伊勢物語』第八十二段「渚(なぎさ)の院(いん)」の一場面。狩りに出掛けた先で花見に興じる惟喬(これたか)親王らを描きます。

『吉野山蒔絵棚(よしのやままきえたな)』江戸時代・19世紀 本館8室で展示。全面に桜花爛漫の山水を描き、平安時代からの桜の名所、吉野山を表現しています。

『嵐山春景(あらしやましゅんけい)』塩川文麟 筆 明治6年(1873) 塩川文麟氏 寄贈 本館18室で3月20日(火)から展示。手前に桂川が流れ、山の斜面に満開の桜が描かれています。嵐山は、平安時代以来の桜の名所の一つです。

〈PRODUCT DESIGN CENTER〉
鈴木啓太さんが考える、
ものの歴史を一歩すすめる
デザインとは?

進化は発生と淘汰の繰り返し。どう未来へ受け継いでいくか

大量にあふれる「もの社会」のなかで、果たしてこれから必要なものは何か。
「ものの歴史を一歩進めたい」と語るのは、
〈プロダクト・デザイン・センター〉代表取締役である鈴木啓太さんだ。
〈相模鉄道20000系〉や〈富士山グラス〉など、数多くのプロダクトデザインを手がけ、
〈good design company〉の水野学さんや〈中川政七商店〉の中川淳さんたちとともに、
〈THE〉というブランドも仕掛けている。

〈貝印〉も今年110周年を迎えた、連綿とものづくりをしてきた企業。
そこで〈貝印〉商品本部デザイン室チーフマネージャーの大塚淳さんと、
歴史あるものづくりにおける共通項を探りに、鈴木さんを訪ねた。

〈プロダクト・デザイン・センター〉という社名からも、
並々ならぬ「プロダクト愛」が感じられるように、鈴木さんはとにかく「もの愛好家」。
なんと弥生土器も個人で所有しているという。

〈プロダクト・デザイン・センター〉鈴木啓太さん(写真右)のコレクションを興味深く見る、〈貝印〉商品本部デザイン室チーフマネージャーの大塚 淳さん。

「価格に関係なく、もの全般がとても好きで、たくさん所有しています。
とにかく手に入れて試してみたい。その傾向は子どものときから変わっていないようで、
今もよく家族に冗談にされています」と笑う。

しかし、プロダクトデザイナーとして
多くの製品に触れている、デザインの歴史を知っているという蓄積は、
発注側としては信頼に値するのではないか。
鈴木さんはこうしたものへの愛情から得た知識や体感を、
自身のデザイン哲学の中心に据えている。

「もののデザインは過去から着々と進化してきて、今の形に落ち着いています。
進化とは“発生と淘汰”の繰り返し。
今残っているデザインは、淘汰されずに生き残ってきた意味と強さを持っています。
だからこそ、過去を大いに参考にし、
未来にどのようにバトンを受け継いでいくかを考えています」

たとえば公共のベンチやイス。
イームズの名作もあれば、アノニマスであってもきちんと機能しているものも多い。
あるとき鈴木さんは〈相模鉄道〉から駅のベンチのデザインを依頼された。

事務所の玄関に置かれていた相鉄線のベンチのサンプル。

「改良すべき点はふたつ。着座率が低いということと、忘れ物が多いということでした。
そこで、各席の横に付いていた荷物置き場をなくし、
5席がつながっていたベンチを4席に減らしました。
すると1席あたりの面積が広くなり、
自然と荷物を自分の座席内に置くようになるので忘れ物は減ります。
さらに席の間隔も広くなるので、隣を気にせず4席すべてに座ってもらえるようになり、
着座率を向上させることができました。
特別、コンセプチュアルなデザインをしたわけではありません」

これが、鈴木さんが考える「ものの歴史を一歩進める」ということだ。
時代に合わせてアップデートし、次世代に受け渡すこと。
もしかしたらこの先、荷物など持たない時代がくるかもしれない。
そのときが来たら、次世代デザイナーがまた新しくデザインを進化させていくのだろう。

相鉄線の車両20000シリーズ。

鈴木さんの作品のなかで、貝印・大塚さんが好きなデザインは、
〈URUSHI Bathtub〉だという。花のフォルムを模した漆塗りのお風呂だ。

「昔、古伊万里の輪花皿を買ったことがありますが、
そういった昔ながらのディテールを今のプロダクトに落とし込んでいるデザイナーは、
意外と少ない」と好きな理由を教えてくれた貝印・大塚さん。

〈URUSHI Bathtub〉(写真提供:PRODUCT DESIGN CENTER)

それに対して鈴木さんは
「梅の花は、江戸時代から日本の美術で頻繁に使われてきたモチーフで、
日本のデザインの原型のひとつです。それを思いきって取り入れてみました」と答える。

さらに貝印・大塚さんは付け加えた。
「以前に〈PLUS〉のハサミをデザインしていましたよね。
あれも私にとっては新しい発想でした。
通常通りデザインすると、持ち手の外側をきれいに整えてから、
内側に穴を開けるという順序になってしまい、指がきつくなってしまいがちです。
しかしあのハサミは、ちゃんと内側のアールから発想していますよね。
その美しさが〈URUSHI Bathtub〉ともリンクしました」

アートブックをプレゼント! 大津発・ArtとTripが融合した 〈Otsu Festival〉

京都から電車でわずか9分!
という滋賀県大津市が、 ArtとTripが融合した
プロジェクト〈Otsu Festival〉をスタートしました!

国内外の多彩なジャンルのアーティストたちが、
実際に大津を旅し、その体験を作品として表現、
Webサイトやアートブック、動画として発信するプロジェクトです。

参加アーティストは、写真家の浅田政志と石川直樹、漫画家の高橋陽一、
イラストレーターのフロラン・シャヴエとウィスット・ポンニミット、
そして振付師の振付稼業 air:manという面々。

写真集『熊を彫る人』に込められた
木彫家・藤戸竹喜と
北海道、アイヌと木彫りの熊の物語

写真家の情熱からかたちになった1冊の本

北海道の木彫りの熊といわれて、
鮭をくわえたその姿をイメージする人は多いだろう。
それくらいお土産の定番だったわけだが、多くの土産物がそうであるように、
どんな人がつくっているのかというところまでは、よほど気になることがない限り、
なかなか考えが及ばないもの。

ましてやこんなに豊かな物語が背後に潜んでいるなんて、
『熊を彫る人』という1冊の本に出会わなかったら、
知ることができなかったかもしれない。

本書の副題は、
『木彫りの熊が誘うアイヌの森 命を紡ぐ彫刻家・藤戸竹喜の仕事』。
藤戸竹喜さんは、1934(昭和9)年旭川に生まれたアイヌの彫刻家。
11歳から熊彫りを始めて、阿寒湖畔にアトリエを構え、
アイヌ民族の伝統を受け継ぎながら現役で活躍しているのだが、
藤戸さんが彫る動物たちは、自然が神様であるというアイヌの考え方や生き方を、
そのまま表しているような躍動感に満ちている。

一方で、木彫り熊の歴史は大きく旭川と八雲、2つのルーツがある。
藤戸さんは、旭川の流れと深い関わりをもつ。アイヌの人たちには
昔から暮らしや祭りで使う道具を木彫りでつくってきた伝統があり、
旭川の木彫り熊は土産物として必要とされて生まれたものといわれている。

アトリエで撮影された藤戸竹喜さん。(『熊を彫る人』より photo:yayoi arimoto)

ワシントンD.C.の世界的に有名な博物館群である〈スミソニアン博物館〉に
作品が展示されたりなど、国内外での評価も高く、
彫刻家として一目置かれる存在なのだが、
この本は藤戸さんの輝かしい功績をたどる種類のものではないし、
図録のように作品を整然と並べたものでもない。
藤戸さんの記憶や、時代とともにかたちを変えてきた阿寒湖の風景が、
写真と文章で叙情的に立ち上がってくる、童話のような1冊だ。

阿寒湖での衝撃的な出会い

写真を担当したのは、コロカルでも活躍している在本彌生さん。
この本はいってみれば在本さんの情熱から生まれたものなのだが、
彼女が藤戸さんの作品と初めて出会ったのも、
実はコロカルの取材先でのことだった。

「2年前に阿寒湖で、藤戸さんのつくった木彫りのオオカミを見たとき、
これを自然のなかで撮ってみたいと直感的に思ったんです。
ちょうど『わたしの獣たち』という自分の写真集をまとめている時期で、
藤戸さんの作品に野性的なもの感じたというか、
この世にひとつしかないようなあり様が独特なものに、興味があったのだと思います」

藤戸さんの作品に魅せられ、北海道に通うことになった写真家の在本彌生さん。

東京に戻ってきてもその気持ちは収まらず、藤戸さんの自宅に直接電話をして、
再び北海道へ。藤戸さんと奥さまの茂子さんにお会いして、
撮影自体は快く承諾してもらえたものの、
在本さんはただ写真を撮って終わりになるようなものにはしたくないと、
そのときすでに思っていたようだ。

誘われたライターの村岡俊也さんも、在本さんが興奮気味に話す作品の魅力や、
藤戸さんという人物に興味を持ち、文章を担当することに。
ふたりで初めて藤戸さんのアトリエを訪れたのは、
マイナス20度を下回る極寒の時期だった。

20年ほど前、バイクで北海道旅行をしたときに訪れた阿寒湖アイヌコタンが印象に残っていたという、ライターの村岡俊也さん。

中学生と地元デザイナーの コラボで公式紙袋をデザイン! 〈Adobe Design Jimoto Student〉

いまだ震災の爪痕が残る宮城県の三陸エリア。
震災以降、地域の魅力を見直す事業が増え、
その学びをどう活かしていくのかが課題になっています。

そんな気仙沼市にある気仙沼市立唐桑中学校で、2018年1月23日(火)、
中学生と地元デザイナーがコラボレーションするデザインイベント
〈Design Jimoto Student with Pensea Next Switch in 気仙沼〉が開催されました。

唐桑中学校はユネスコ認定も受けており、
これまでにも博報堂アイ・スタジオとのコラボレーションなど、
こどもたちの豊かな学びをデザインで深める活動を活動をしてきた学校。

このイベント〈Design Jimoto Student〉は画像加工ソフト「Photoshop」
などで知られるアドビシステムズ社が主催する、地元のキーパーソンと連携して
学生が問題解決を学んでいくデザインワークショップです。
クリエイティブのイベントに社会性を持たせたい、ということから始まり、
これまでに福岡、渋谷、奈良、千葉で開催されてきました。

このワークショップの課題は、気仙沼ブランドの紙袋をデザインすること! 
最優秀アイデアは、実際に町が使う紙袋デザインとして採用される可能性があります。
夢がありますね〜。

当日は大雪!

さて、いよいよイベント開始! 当日は東京でも大雪になった日で、
気仙沼もたった一晩で銀世界になっていました。
そんな中でもコートなしで雪かきする生徒さんたちがスゴイ……!

会場は中学校の体育館。
生徒5名にプロで活躍するデザイナー1名の6人がチームを組み、
全8チームが参加、優勝を競います。デザインにかける時間はたったの1時間半! 
果たしてどんなデザインが出来上がるのでしょうか?

生徒たちへの課題は、“気仙沼をイメージするイラストを描くこと”。
ほたて、ほやなどの海産物から、椿や鹿など気仙沼の誇りと思うモチーフを描いて、
その素材をデザイナーがレイアウトしていきます。

生徒たちもすごく楽しそう!

アドビ主催ということもあって、
iPadでの作業を積極的に取り入れたワークショップに。
スマホから撮影した絵をパソコンに取り込めるアプリ〈Capture CC〉や、
実際のデザインが実際使われるとどう見えるのかという
デジタルモックアップを〈Adobe Dimension CC〉というソフトを使って作っていきます。

そして本イベントの特徴は、地元のキーパーソンと連携していること。
元々都内で活躍していたクリエイターで、震災を機に唐桑にUターンした
鈴木あゆみさんが発起人を務める〈Next Switch Project〉と、
気仙沼のまちづくり会社〈まるオフィス〉らが参加し、
生徒の緊張をほぐすアイスブレイクをするなど、強力なバックアップを得ています。

パティシエとシェフが
空き家の改修に挑戦!?
下呂市で若者を呼び込む
〈小坂リノベーションペダル〉

飛騨への移住は何が違う?
仕事、住居、暮らしを支える飛騨コミュニティ vol.4

世界中から集まる、多くの旅人の心を掴んで離さない飛騨。
観光地として有名な飛騨は、高山市・飛騨市・下呂市・白川村の
三市一村からなる広域エリアだ。
伝統に触れつつ、新しい生き方を実践できるこの地域には、
観光客だけでなく移住者が増えている。

地域で暮らすうえで、大きなポイントとなるのが、人とのつながり。
縁を感じられる地域には、移住者は自然と集まってくる。
コロカル×未来の地域編集部でお届けする、飛騨の魅力に迫る連載。
外の人々を迎え、つながりを強くする。そんな飛騨のコミュニティを訪ねていく。

ゆっくりでも継続的なリノベーションプロジェクト

日本三名泉として、温泉好きに人気の高い下呂市。
まちなかには風情のある温泉旅館が並び、浴衣姿で湯めぐりをする旅行者も多い。

日常を離れて温泉につかるのもいいが、このまちの魅力は、それだけにとどまらない。
地域に根ざした事業者のなかには、自分たちの手を動かし、
地域の価値を高めていきたい、と考えている人たちもいる。

温泉街から少し北上した下呂市小坂町には、
かつて〈夢みどり館〉という喫茶店があった。
建物自体は下呂市の所有物件だが、閉店して10年ほど、空き家になっている建物だ。

かつて喫茶店だった〈夢みどり館〉。多角形で構成された、ユニークな外観が特徴だ。

今後の活用方法が定まらないなか、建物保存のために立ち上がったのが、
パティシエの北條達也さんと、シェフの松山豪さんのふたりだ。

もともと、北條さんたちは、廃校となった地元の小学校を改修する
プロジェクトを考えていたが、所有者である市との話し合いのなかで、
まずは小さな夢みどり館の改修から提案されたという。

下呂市萩原町でお店を営む松山豪さん(左)と北條達也さん(右)。

「改修といっても、まだ始まったばかり。
休みの日に少しずつやっているので、完成するのはいつになるやら……」

ふたりともそう笑って話すが、10年以上空き家だった物件を自分たちで直すのは、
なかなか時間のかかる作業だ。

改修プロジェクトは、〈小坂リノベーションペダル〉と名づけられ、
時間をかけて進められている。
ゆっくりでも、こいで前に進むペダルのように、継続を願ってつけられた名だ。

このまま再起不能な建物になってしまうのを待つのではなく、できるところから改修し、
いずれはより資産価値のあるものに変えていこうとする思いは強い。

将来は、地域を離れていった若者が帰ってくることができるような
場所をつくりたいというふたりに、話を聞いた。

『資生堂のデザイン -新しい価値づくりへの挑戦-』 がファンやクリエイターの聖地、 資生堂企業資料館にて開催!

資生堂デザインファンの聖地〈資生堂企業資料館〉

静岡県掛川市に〈資生堂企業資料館〉があるのをご存知ですか?
同館では商品や宣伝制作物などの資料が見られるほか、
ガーデンやミュージアムショップ、近現代の美術品を収蔵する
美術館〈資生堂アートハウス〉も隣接し、
さまざまなジャンルのアート・デザイン・工芸が楽しめるスポットになっているんです。

2018年1月から、同館にて
『資生堂のデザイン ー新しい価値づくりへの挑戦ー』展がスタートしました。
本展で見られるのは、1960年代から近年までの広告・宣伝物をはじめとする貴重な作品群。

1872年(明治5年)に日本初の
民間洋風調剤薬局として創業し「美」を追求し続けてきた資生堂。
そのデザインは、初代社長・福原信三さんが創設した「意匠部」に集まった
トップクリエイターたちによって洗練されたといいます。

そして資生堂の歴史を語る上で欠かせないのが、戦前・戦後を通じて活躍した、
イラストレーター・デザイナー、山名文夫(やまなあやお)さんの存在。
山名さんの登場により、アールヌーヴォー、アールデコを基調としたデザインが磨かれ、
繊細で優美な「資生堂スタイル」が完成しました。

1960年代に入ると、ライフスタイルの変化とともに新しい表現が登場します。
本展の中心となるのは、そうした「反資生堂スタイル」と呼ばれた作品たち。
当時のクライアントや社会に新鮮な驚きを与えた、資生堂の挑戦を垣間見ることができます。

また、常設展には山名文夫さんや山本武夫さん、前田貢さんらが手がけたポスターや、
資生堂書体・花椿マーク・欧文ロゴの変遷、創業以来の商品パッケージなども。
資生堂のデザインが好きな方にはたまらないですね。

日本初の練歯磨、資生堂初の化粧品「オイデルミン」から現代にいたるまでの宣伝制作物やポスターの展示、CMシアターなどが楽しめます。

常設展で見られるパッケージデザインのコーナー。1階には、1872年(明治5年)の創業から100年間の商品パッケージを時代を追いながら展示。2階には、1972年以降の商品を「スキンケア」「メーキャップ」「サマー・サンケア」などのカテゴリー別に展示しています。

からくり人形はロボットの原点?
〈九代玉屋庄兵衛〉江戸時代から
続く人形師の家系の当主に聞く

名古屋に残るからくり人形

江戸時代初期から中期にかけて発展したからくり人形は、
お祭りにおいて山車の上で踊ったり、お座敷で遊ぶ玩具である。
江戸時代(享保年間)から続く、唯一のからくり人形師の家系である〈玉屋庄兵衛〉。
現当主は九代玉屋庄兵衛さんで、名古屋に工房を構える。
数多くの製造業者が拠点を構える名古屋を含む中部地方は、
ものづくりの精神が息づくエリア。
そんな地域に機械工学の原点のような技術が受け継がれていたとは関連性が深そうだ。
そこで同じく中部地方に本社を構える〈貝印〉の
商品本部デザイン室チーフマネージャーである大塚 淳さんと、
九代玉屋庄兵衛さんの工房を訪ねた。

〈貝印〉商品本部デザイン室チーフマネージャーの大塚淳さん、九代玉屋庄兵衛さん。

時をさかのぼって1733年。京都に住んでいたからくり人形師の庄兵衛は、
名古屋の城下で行われていた「東照宮祭」の山車のからくり人形を製作した。
翌年、玉屋町(現在の名古屋市中区)に移り住む。
その地名を取って玉屋庄兵衛を名乗ったのが、初代の玉屋庄兵衛だ。
現在でも愛知県には、150以上の「山車祭り」が残っている。
そのうち、からくり人形が舞い踊る山車は約140台。
それらの修理・復元の多くが、玉屋さんの元へやってくる。

九代玉屋庄兵衛さんは、オリジナルのからくり人形も製作。
まずは「茶運人形」が実際に動く様子を見せてもらった。

茶碗が「スイッチ」になっている茶運人形。

人形がお茶を持って“歩いて”くる。お茶を取り、飲んだ後に茶碗を戻すと、
Uターンして戻っていく。
1796年に細川半蔵頼直が残した『機匠図彙(からくりずい)』に記されていた機械図をもとに、
父親である7代目が復元したものだ。

『機匠図彙(からくりずい)』のレプリカ。

「図はかなり粗いものでしたので、7代目がかなりアレンジを施したようです。
一番難しいのは歯車。歯に対してタテの木目のみを使って、
8枚を貼り合わせていきます。横の木目だと、細い歯の先が割れやすい。
さらに木はその土地の湿度を受けて変化してしまうのので、影響を受けて変化しやすい」
と言う九代玉屋庄兵衛さん。

木目が美しく放射状に並んでいることがわかる。

木は部位に合わせて7種類を使用している。顔や手足はヒノキ、型枠や胴は山桜、
軸芯は赤樫、歯車はカリン、ほかに黒壇、柘植、竹と、強度や特性に合わせて木を選ぶ。
どのからくり人形も木製なので、当然、木に詳しくないといけない。

九代玉屋庄兵衛さんの代表作といわれるのが「弓曳童子」。
もともとは、江戸末期に田中久重が製作したものだ。
その図面は残っていなかったので、オリジナルを解体、採寸し、完全に復元した。
素材もすべて同じものを使用。製作には1年を要したという。

カタカタという音とともに、矢を1本1本親指と人さし指でつまみ、
弓につがえて狙いを定め、指を離して矢を放つ。
この淀みない一連の動きにはほれぼれしてしまう。
スムーズではあるが、リアルというのとはまた異なる味のある動き。
特に狙いを定めようと少し顎を上げたときの「表情」は、ぜひ動画を見てほしい。

指でしっかりと矢を掴む「弓曳童子」。

「からくりの機械構造は、動きを想定しながら考えるのですか?」
と貝印・大塚さんが聞く。

「理想は、人間の動きに近づけること。
たとえば、『乱杭渡り』は江戸時代からあるからくり人形で、
二枚下駄に乗って杭を上っていくというもの。
これを一枚下駄でつくることになりました。
人間が二枚下駄から一枚下駄になったときに、
どのようにバランスをとっていくかを考え、リアルな動きになるように考えました」

人間らしい動きをするから、愛嬌があるし、感情移入する。
目指すところは人間と同じ動きをすること。
現在のロボット開発がたどっている道筋と似ているような気がする。

「乱杭渡り」をする人形。

スケルトンになった茶運人形を見せてくれながら説明してくれた。

南インドの出版社〈タラブックス〉
小さな組織だからこそできる、
本づくりの可能性

撮影:吉次史成

〈タラブックス〉の編集者、ふたりのギータが日本にやってきた!

いま、わたしが転居を計画中の岩見沢の山里で、“森の出版社”を始めてみたい。
そんな想いを、この連載で以前に書いたことがある

その構想の源になったのは、〈タラブックス〉という小さな出版社の活動だ。
南インドのチェンナイにあり、手漉きの紙に手刷り、手製本による
工芸品のような美しい絵本を生み出す出版社として、その名を知られている。

長年、出版を行うのは都会がベストという固定観念を持っていたのだが、
これらの本を眺めているうちに、過疎化が進む山間部でも、
印刷工房をつくって出版活動ができるんじゃないか? 
という可能性が感じられるようになったのだ。

ハンドメイド本『夜の木』は、やわらかな質感の黒い紙に手で刷られたもの。インクがしっかりとのったシルクスクリーン印刷ならではの力強さを感じさせる。

タラブックスの活動を深く知るようになったのは、つい最近のこと。
きっかけは、板橋区立美術館で開催中のタラブックスの展覧会に、
長年仕事をともにしてきた仲間が関わっており、
準備段階から話を聞いていたことによる。

さらに、7月に玄光社より刊行された書籍『タラブックス』を読み、
出版社の様子を詳しく知ることができた。
しかも、タラブックスのことをもっと知りたいと思っていた矢先、
展覧会を手がけていた仲間から、関連企画として行うシンポジウムの
資料づくりや司会のサポートをしてほしいと頼まれ、
実際にタラブックスの編集者に会えるという、すばらしい機会がやってきたのだ!

2017年11月25日から板橋区立美術館で開催中の『世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦』展。2018年1月8日まで。(撮影:吉次史成)

インドの東部、西ベンガル州に伝わる絵巻物も紹介されている。タラブックスでは、ポトゥア(絵巻物師)の伝統的な語りや新しい物語を、本というかたちで展開する試みを行った。(撮影:吉次史成)

シンポジウムも開催。タラブックスの本づくりの視点とは?

シンポジウムのテーマは「世界を変える本づくり」。
パネリストはこの出版社の編集者、ギータ・ウォルフさんと
V・ギータさん(ふたりのギータと呼ばれている)に加え日本から7名が参加。
日本のパネリストも個性的な本づくりに関わっていることもあり、
開催前から注目度は高く、定員300名の会場は事前予約でいっぱいとなった。

11月28日、東京都港区の〈コクヨホール〉でシンポジウムが開催され、
まずウォルフさんの基調講演が行われた。
20分と短いものではあったが、タラブックスがどんな視点で
本づくりを行っているのかが多角的に語られていった。

1994年にタラブックスを創設した代表のギータ・ウォルフさん。インドの絵本は西洋の翻訳本が中心だった状況のなかで、子どもたちに向けたインドならではの新しい本づくりを開拓。タラブックスから20冊以上の著作を出している。(撮影:南阿沙美)

基調講演ではV・ギータさんも壇上で本を紹介してくれた。広げているのは、日本人作家・タカハシカオリさんとつくった『ぱたぱた絵本 くまさんどこかな?』。上下左右にページが開かれるという独創的なもの。本の形状の可能性を広げる実験も、タラブックスの特徴のひとつ。(撮影:南阿沙美)

コズミックワンダー活動20周年! 島根県立石見美術館にて 展覧会『充溢する光』を開催

グラフィックデザイン:服部一成/写真:木村友紀

2018年1月8日(月・祝)まで、島根県立石見美術館にて
展覧会『COSMIC WONDER(コズミックワンダー)充溢する光』が開催されています。

1997年に現代美術作家の前田征紀(まえだゆきのり)さんによって設立され、
「精神に作用する波動」としての衣服や美術作品の制作、
書籍の発行など多彩な表現活動を展開しているコズミックワンダー。

本展では1999年から2009年にかけてパリで発表されたコレクションの代表作と、
ルックブックやコレクションを記録した写真などを展示します。

パリで発表されたカーテンと一体化したドレス。A Shadow Necessary for Windows / at Palais de Tokyo, Paris, France 2002 写真:木村友紀 (c) COSMICWONDER

コズミックワンダーは2000年よりパリコレに参加し、
インスタレーションの手法で作品を発表したり、
2010年には制作工程で一切化学処理を行わないオーガニックライフスタイルプロジェクト
〈The Solar Garden COSMIC WONDER Light Source〉を発表したりと、
この20年でさまざまな試みを行ってきました。
そして2016年冬には、アトリエを京都の美山(みやま)の
重要伝統的建造物群保存地区に移転。
今後の活動からも、ますます目が離せなくなりそうです。

写真:ホンマタカシ (c) 島根県立石見美術館 (c) ホンマタカシ

この冬の西和賀は、
演劇とアートがアツい!
〈ギンガク〉企画委員
髙野由茉さん

西和賀にんげん図鑑vol.8 髙野由茉さん(ギンガク企画委員)

「西和賀にんげん図鑑」vol.1の小堀陽平さんが運営に携わっている、
演劇専用の〈ギンガク(銀河ホール学生演劇合宿事業)〉は、来年の冬、7年目に突入する。
その企画委員として小堀さんとともに活動しているのが、髙野由茉さんだ。
日本大学芸術学部3年の時にギンガクに参加し、
その後、企画運営に関わって実家のある東京と行き来しているうちに、
「西和賀に住んだほうが、運営がスムーズかも」と、今年7月に移住。
11月中旬にはさっそく「豪雪」の洗礼を受けながらも、
これまでの経験や大学での学びを生かし、充実した日々を送っている。

「町内の人たちからはお米や野菜をいただくなど、本当にお世話になっています。町内産の野菜は味が濃くておいしいんですよ」と、西和賀の暮らしにすっかりなじんだ様子。

WOW『POPPO』展で みんなの顔がこけしに! 東北の郷土玩具を デジタルアートで体験

2017年12月1日(金)〜25日(月)、山形県東根市の〈まなびあテラス〉にて、
ビジュアルデザインスタジオ〈WOW(わう)〉による
『POPPO(ぽっぽ)』展が開催されています。

本展では、東北地方に伝わる「こけし」や「お鷹ぽっぽ」といった郷土玩具を
デジタルアートを通して体験できます。

『YADORU』は、こどもの成長や心身回復、五穀豊穣を願い、
山の神と繋がる縁起物としてつくられてきた「こけし」をモチーフにした作品。

こけしに、世代を超えて願われてきた思いを映しだします。
なんと、鑑賞者の顔がこけしになるというしかけも。
これはユニークですねー!

こちらは「お鷹ぽっぽ」をはじめとする笹野一刀彫という
木彫玩具をテーマにした体験型インスタレーション『ぽっぽの森』。

お鷹ぽっぽは山形県米沢市笹野地区に伝わる木彫りの郷土玩具です。
「ぽっぽ」には、アイヌ語で玩具という意味があるのだそう。

お鷹ぽっぽ

笹野一刀彫には、弾力性があり、色が白く絵つけに適した「コシアブラ」の木が使われます。
本作では、コシアブラの木に見立てたマグネットを壁に積み重ねていくと、
森のなかからさまざまな鳥たちがやってきます。

小豆島〈ゲストハウス KAINAN〉 廃業したホテルを 瀬戸内国際芸術祭の 拠点となるゲストハウスに!

瀬戸内海の小豆島で、廃業したホテル〈海南荘〉を改装し、
アートの拠点となるゲストハウスにしようというプロジェクトが進んでいます。
ゲストハウスの名は旧ホテルにちなみ、〈ゲストハウス KAINAN〉。
いま、2018年4月のオープンを目指し、クラウドファンディングが実施されています。

プロジェクトの代表は、高松市出身で
〈BOOK MARÜTE ブックマルテ〉代表の小笠原哲也さん。
小笠原さんは同市で〈古道具MARÜE〉〈ゲストハウスまどか〉、
台湾で〈緑光+marute〉も運営されています。

左から代表の小笠原哲也さん、大野顕司さん、高田陸さん、箱崎菜海さん

小豆島といえば現代アートの祭典〈瀬戸内国際芸術祭〉の舞台。
ゲストハウス KAINANではアーティスト・イン・レジデンスや
ブックカフェ、交流スペースを併設し、
島の人とアーティスト、ゲストが交流できるような場をつくっていきたいのだとか。
これは楽しくなりそう!

小豆島へは、香川県の高松港からフェリーで約1時間。

1年を通じて暖かく、島の約7割を占める山間部には数々の絶景スポットが点在し、
真っ白な砂浜のある海ではマリンスポーツも楽しめます。
小豆島の暮らしは、〈HOMEMAKERS〉の三村ひかりさんによるコロカルでの連載、
小豆島日記でもおなじみです。

豊かな食文化も小豆島の魅力のひとつ。豊富な海の幸に山の幸、400年の伝統を有する醤油や手延べ素麺などがあります。また、日本で初めてオリーブの栽培に成功した島としても知られています。

ホテルから砂浜までは、歩いて5分。
客室からはうつくしいオーシャンビューがのぞめます。

ゲストハウスをつくる理由は、遠方からの旅行者や芸術祭を訪れる
アーティストが多いにも関わらず、島内の宿泊施設が不足しているから。

「長く滞在できる場所をつくることで、小豆島を満喫してほしい。
そして、自然ともアートとも触れ合える、ここでしか感じられない空気をゆっくり感じてほしい」
というのが小笠原さんたちの願いなのです。

『西山忠男 OWL展』 みどり荘で開催。 開拓の歴史がつまった鍬に光を。 木彫作家が密かにつくり 続けてきたアートピース

2017年12月16日(土)〜12月24日(土)、
〈みどり荘 中目黒ギャラリー〉(東京都目黒区)にて
北海道在住の木彫り作家、西山忠男さんの個展『OWL』が開催されます。

今回展示されるのは、ふくろうやアイヌの女の人の木彫り作品などを
手がけてきた西山さんが密かにつくっていた“燭台”。
一度役割を終えた古い鍬(くわ)の鉄の部分からつくったものだといいます。

「使い終わったからと言って無暗に捨ててはならないものだと思った。
あの鍬には北海道の開拓の歴史が詰まっている。
もう一度、色んな人に見てもらうためには明かりしかないと思ったんだ」(西山さん)

西山さんは、現在80歳。
兵庫のご出身で、若い頃は東京・浅草でアクセサリーデザイナーとして
サラリーマン生活を送っていたそうですが、
あるとき北海道の阿寒へ移住し、木彫り作家としての活動をスタートさせました。

それから30年もの間、北海道のアイヌの人たちと
交流を深めながら作品をつくってきたのだそう。
さらにギャラリーやレストラン、ホテルなどを経営し、ビジネスでも成功を収めました。

西山さんが阿寒、札幌、富良野を経てたどり着いた地が北海道上川郡東川町。
そこに住居兼お店〈ふくろうの店〉をかまえ、生活をいとなんできました。

そんな西山さんが人知れずつくってきた燭台を見い出したのは、
写真家の安永ケンタウロスさんでした。

家族とともに東川町に移住してきたという安永さんは
「北海道道1160号を車で走る度に〈ふくろうの店〉が気になっていたのだが、
なかなか入り辛い、どこか重々しい雰囲気があった。
しばらくした後、意を決して入ってみると、
西山さんは僕を快く受け入れてくれた」と語ります。

それからふたりは徐々に親密になっていき、あるとき西山さんから
「誰にも見せていないんだが、感想を聞かせて欲しい」と燭台を見せられたのだとか。

今回の展示は、安永さんがその燭台に感銘を受け、
「もっと多くの方に見てもらいたい、触れてもらいたい」と思ったことから実現しました。

このたび会場には、その燭台と燭台を写した安永さんの写真50点、
ふくろうの木彫りが並びます。

写真:安永ケンタウロス

愛くるしすぎる! 北海道の森に暮らす エゾモモンガの写真集 『モモンガだモン!』

北海道の森に暮らすエゾモモンガ。
大きな目がチャームポイントのエゾモモンガは、
まるでモルモットやハムスターのような愛くるしい姿で、
頭から尻尾まで、体長わずか20センチ、体重約100gのコンパクトサイズ。
“空飛ぶハンカチ”という愛称で、
その愛らしい姿と仕草にメロメロになってしまう人が続出!

そんなエゾモモンガの写真集『モモンガだモン!』が天夢人より出版されました。
自然のなかでは、なかなか目にすることのできない
小さな森の住人=モモンガが繰り広げる、
まるでぬいぐるみのようなかわいさいっぱいの私生活が盛りだくさん……!

いずれも、気鋭の写真家・太田達也さんが長年かけて撮影した
ベストショットの数々です。

京都〈日日/冬夏〉隠れ家のような ティールームで味わう、 本物のカカオと悠久のとき

京都御所の東に建つ、築90年を超える日本家屋にあるギャラリー〈日日(にちにち)〉。
そのなかに、まるで隠れ家のようなティールームがあります。

名前は〈冬夏(とうか)〉。
「冬夏青青 とうかせいせい」という、冬も夏も青々としている松の木に、
枯れない志を重ねた孔子の言葉にちなんでいるのだとか。

オーナーはドイツ出身のエルマー・ヴァインマイヤーさんと、奥さまの奥村文絵さん。
職人の手仕事を紹介する仕事はもう20年ほど続けてこられましたが、
ティールームは2015年にオープンしたばかり。
フードディレクターとしても活躍する奥村さんの経験を生かして、
本当においしいお茶とお菓子を提供しています。
(奥村さんのフードディレクションのお仕事についてはこちらから)

御苑の樹々のあいだを歩き、東側の門をぬけたら、日日/冬夏はもうすぐ。

門をくぐり戸を開けると土間があり、廊下の向こうにはギャラリーと
グローサリーを置いているスペースがあります。
ティールームは玄関を入って直ぐ左手。
何も知らなければ、気づかずに通り過ぎてしまうかもしれません。
なかには大きな栃の木のカウンターがあり、低くつくられた窓から庭の緑が見えます。

席は6つのみ。お茶とカカオまたは京都の職人さんがつくる朝生菓子のセット(1500円〜)などがいただけます。

お茶を頼むと、お店の方が目の前で時間をかけていれてくださいます。
慌ただしい時間と隔絶された空間にいると、そのときまで贅沢に感じられるよう。 

ときには、〈日日〉の展示作品が〈冬夏〉の壁を飾ることも。こちらは2017年10月に行われた〈ART BOOKS〉展の開催期間中に展示されていたアレクサ・デアさんの作品。

そのお茶をひと口飲むと、ここちよい苦みがすっと身体に染み込み、
背筋が伸びるような気がします。
こちらで出しているのは、無農薬特別栽培の茶葉を使った冬夏オリジナルのお茶。
滋賀県朝宮などの生産者から仕入れたお茶を、
それぞれの茶葉のおいしさを最大限に生かす湯加減と蒸らし方でいれてくださいます。

「茶づくりは“共存共栄”。農薬を撒かない畑では、猪や鹿が新芽を食べ、
カマキリや蜘蛛が巣を張り、様々な生き物の営みと共にある。
クローバーが茶畑を外敵から守り、てんとう虫が天敵を探して盛んに動き回る。
土は生き生きと茶の根を受け入れ、その恵みの先に茶を喫む私たちがいる。
自然の循環の中で育つ茶の木はおどろくような生命力に溢れている」
(冬夏のリーフレットより)

冬夏では何度も生産者のもとへ通い、品種や畑、収穫年や栽培環境を学びながらオリジナルのお茶をつくっています。

「最終的にはAIも喜ばせたい!」
どんな無理難題でも
受け付けてくれる〈ヘンカ〉流
デザインコンサルとは?

型にはまらない「やり方」を生み出す

ホームページを見てみると、
「これってヘンかな? でもオモシロくないですか?」
という会社コンセプトが示されている。
その「ヘンかな?」から取って〈ヘンカ〉という会社名。
ここからでもただものではない雰囲気を感じる。
その秘密を探るために、
〈貝印〉商品本部デザイン室チーフマネージャーの大塚淳さんとともに、
〈ヘンカ〉代表取締役の宇田川直哉さんを訪れた。

渡すその場でハンコを捺していく名刺。「ハンコの人と覚えてもらえればうれしい」

〈ヘンカ〉は平たく言えば、デザインコンサルティング会社だ。
しかしそのあり方は、世の中にたくさん存在する既存のそれとはまったく異なる。
宇田川さん自身も、前職はデザインコンサル会社に勤めていた。
だからこそ2013年に〈ヘンカ〉を立ち上げたとき、差別化が必要だと感じた。

「暗中模索と無理難題やります」
といきなりデザイン業界らしからぬワードを切り出してきた宇田川さん。
実際に無理難題な依頼が舞い込んでくるという。

「たとえば『社員にやる気がないのでどうにかしてほしい』
という依頼を受けたことがあります。
私たちは、これもデザインの範疇と考えています」

デザインコンサルは、
デザイン思考から生まれた作法などをビジネスに落とし込んで
企業に提示していく仕事。
その点では共通しているが、〈ヘンカ〉では既存のものではなく、
新しい視点や考え方を提示していく。
しかもクライアントに合わせたオーダーメイドなので内容も千差万別。
その都度、新しい「やり方」が生み出されるから、事例もそれぞれ特徴的になる。

何でも図式化して説明してくれるのでわかりやすい。

「スマートフォン関連の新しいアイデアがほしいという依頼を
ワークショップ形式で開催したときのこと。
場とみんなの頭がなかなかほぐれませんでした。
ちょうど男性しかいなかったので、
『みんなでガールズバーにでも行ってアイデア出しをしましょう』
と提案しました。
実際に訪れて、女性たちにデザインロジックの話をそのまましても、
当然通じません。そこで初めてリテラシーが違うことや、
ユーザーとの距離感を感じてもらうことができました。
自分たちだけでは絶対に出てこないアイデアも生まれましたよ」

クライアントに喜んでもらえるなら、どんなやり方でも構わない。
もうひとつの事例。

「放送チューナーをデザインする機会がありました。
担当の方がボタンの押し心地にすごくこだわっていました。
クライアントは押し心地のイメージは持っているようでしたが、
「ボタンのプロ」ではないし、感覚的なことを言語化するのは難しい。
『それではこちらもわからない』と言ってしまうのは、
簡単だけどまったく意味がありません。
それよりも『一緒に家電量販店の上から下まで
ボタンを押しまくりに行きましょう』と提案しました。
結局、すごく安いDVDプレイヤーの押し心地が最高って話になりましたが(笑)」

貝印・大塚淳さんと話す「感覚のデザイン」について。

こうした事例を聞いていると「そんなこと、すぐに簡単にできる」
と感じるのではないだろうか。
しかし、大企業になるほど「やらない」という選択をするだろう。
社内で真面目に「ガールズバー会議」や「家電量販店ツアー」を企画しても、
実現することはきっと少ない。
しかし外部のコンサル会社が提案してきたのであれば、
外部刺激として認められやすい。だからこそ、そこにチャンスが生まれる。

「私たちは既存の手法を利用するのではなく、
プロジェクトごとに生み出していきます。
もしその手法が企業内で確立されたら、
それはクライアントのオリジナリティになっていくと思います。
ゆくゆくは共通項を探りたいとは思っています」

UXを重視したサービスやアプリのデザインなども行っている。写真提供:HENKA

〈アッセンブリッジ・ナゴヤ 2017〉港まちと空き家に クラシック音楽とアートが溢れる!

会期終了間近! 今からでも間に合う、
注目イベントをご紹介

2017年12月10日(日)まで、
名古屋にて〈Assembridge NAGOYA 2017
現代美術展「パノラマ庭園 ータイム・シークエンスー」〉を開催中です。

アッセンブリッジナゴヤは、2016年にスタートした、
クラシック音楽と現代美術のフェスティバル。
 
舞台となるのは、名古屋の港まち。
今年は現代音楽から着想を得た展覧会や、
展覧会場でのコンサート、作曲家と映像作家のコラボレーションなど、
音楽とアートをつなぐプログラムが一層充実しているそう!

撮影:岡田和奈佳 画像提供:アッセンブリッジ・ナゴヤ実行委員会

小山友也さんによる作品。今回は、日常で時折耳にする他人のヘッドフォンやイヤホンの音漏れに合わせてダンスをするパフォーマンスを記録した作品『Dancing by myself.』を展示。撮影:怡土鉄夫 画像提供:アッセンブリッジ・ナゴヤ実行委員会

アッセンブリッジ・ナゴヤ 2017の見どころ

豊嶋康子さんによる作品。今回は平面と表裏の関係を明示させる『パネル』シリーズを中心に、旧・名古屋税関港寮に作品を展示。撮影:怡土鉄夫 画像提供:アッセンブリッジ・ナゴヤ実行委員会

ぜひ見たいのは、注目の若手アーティストらが参加する
現代美術展〈パノラマ庭園— タイム・シークエンス —〉。

港まちポットラックビルや、旧・名古屋税関港寮、
名古屋港ポートビル、 ボタンギャラリー、
UCO(旧・潮寿司)ほか、港まち各所にアート作品が展示されます。

参加アーティストは朝海陽子さん、一柳 慧さん、L PACK.、
グエン・チン・ティさん、小山友也さん、鈴木 光さん、冨井大裕さん、
豊嶋康子さん、野村仁さん、法貴信也さん、山城大督さん、
ユーアン・マクドナルドさん。

豊嶋康子さんによる作品。撮影:怡土鉄夫 画像提供:アッセンブリッジ・ナゴヤ実行委員会

タイトルの「タイム・シークエンス」という言葉は、
日本と代表する作曲家、一柳慧さんが1976年に発表したピアノ曲
『タイム・シークエンス』に着想を得たのだとか。
展覧会では一柳さんの『タイム・シークエンス』に関する資料展示や、
自然現象と時間や場所の関わりに言及する作品、建築に作用する作品などが展示されます。

フェスティバルで人とまちをつなぐ

「アッセンブリッジ(assembridge)」とは、「集める」「組み立てる」などの意味をもつ「アッセンブル(assemble)」と「ブリッジ(bridge)」を組み合わせた造語。 音楽やアートが架け橋となってつながりが生まれ、新たな文化が育まれていくことを目指しているのだとか。 撮影:岡田和奈佳 画像提供:アッセンブリッジ・ナゴヤ実行委員会

ぜひ注目してほしいのが、展示会場にもなっている空き家を活用したスペース。
港まちでは、これまでに社会とアートのあり方を模索する〈地域美学スタディ〉、
港まちの空き家を調査し、リノベー ションによって再生する〈空き家再生プロジェクト〉、
土づくりからまちづくりを考える〈みなとまちガーデンプロジェクト〉にも取り組んできました。

このフェスには、そうした継続的なプロジェクトと連動していくことによって
多様な関係性を築き、「場」「まち」「人」を育てていきたいという思いがあるんです。

書籍『しめかざり 新年の願いを結ぶかたち』 日本のわらの造形の 美しさを知る。

俵(たわら)をかたどるしめかざり。山形県鶴岡市

今年も残すところわずか。そして新年を迎えます。
お正月といえば、“しめかざり”。日本各地で、
稲藁を用いて伝統的な手法により作られたお正月の飾りです。

森須磨子(もり・すまこ)さんが全国を訪ね歩き収集した、
わらでつくられた昔ながらのしめかざりをまとめた書籍
『しめかざり——新年の願いを結ぶかたち』(工作舎)が出版されました。

仏教法具のひとつ「宝珠」をかたどるしめかざり。広島市

長野県上田市の「宝珠」をかたどるしめかざり。背面に松が飾られている。

もともと、しめ縄の文化から発生したしめかざり。
通常、しめかざりは橙などで彩られますが、
本書では、それらの装飾を取り外し、飾らない姿を掲載しています。

鶴(大分県由布市)、九州地方には「鶴」のしめかざりが多い。

本書の特徴は、オールカラーの写真で、たくさんのしめかざりが紹介されていること。
鶴(九州各地)、宝船(徳島)、海老(鳥取)など、英文解説とともに
美しいビジュアルページで紹介します。

また、2章:「しめかざり探訪」では、著者の森須磨子さんが
20年近く続ける年末年始のしめかざり探訪の旅から、山形・埼玉・香川・福岡での体験を掲載。
軒下に気になるしめかざりを発見して即取材、作り手たちとの交流や、
しめかざりに込められた土地の願いを綴ります。

鋭利な蛇の歯のようなつらら。しめかざりが巨大な蛇に呑みこまれたかのように見える。岐阜県高山市