〈文化庁メディア芸術祭石垣島展 ひかりきらめくイマジネーション〉 石垣島でメディア芸術祭を開催!

石垣島にメディアアートがやってくる!

沖縄本島の南西約400kmに位置する自然豊かな離島、石垣島。
なんと、年間に150万人もの人々が観光客として来訪します。
そのうちの30万人は外国から訪れる、国際的な観光地です。

2017年11月29日(水)~12月17日(日)、ここ石垣島で初の
文化庁メディア芸術祭・地方展が行なわれています。

落合陽一『コロイドディスプレイ』

メディア芸術祭とは、1997年から毎年行われている
アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門から、
文化庁によって顕彰された国内外の優れた作品を展示するというイベント。
趣向を凝らしたマニアックなアート作品だけでなく、
テレビで見かけるようなアニメやマンガの作品も鑑賞できるのです。

『Pokémon GO』

今回の文化庁メディア芸術祭石垣島展
「ひかりきらめくイマジネーション」では、19日間にわたり、
石垣市民会館をメイン会場に、石垣島各地で開催。

今回の展示作品は、第20回の受賞作品をはじめ、
過去の受賞・入選作や作家による最新の作品を独自に企画し、
広がりつづけるメディア芸術を紹介します。

それだけでなく、日本有数の星空を持つ街での屋外上映や、
南国のまちなかを中心に展開する芸術と自然など、
石垣島ならではの展示や上映が展開します。

こうの史代 『この世界の片隅に』 (C) こうの史代・双葉社/『この世界の片隅に』製作委員会

11月30日は、中心部にある新栄公園を会場に
世界有数の美しさを持つ星空の下、
ヒット作『この世界の片隅に』『ジョバンニの島』などの
長編アニメーションの屋外上映があります。

それだけでなく、中心市街地を中心に展開する各会場では、
児玉幸子さんによる『モルフォタワー』や scope+橋本典久さんによる『life-size』、
チームラボの『百年海図巻 [上映時間: 100年]』 、
落合陽一さんの『コロイドディスプレイ』など
さまざまな現象の美しさや驚きを科学によって象ったメディアアート作品が展示され、
石垣島ならではの観賞体験ができる予定です。

scope+橋本典久『life-size』(C) 加藤健

〈CASICA〉の見所を紹介! 時空を可視化した 大人の遊び場に行こう!

元銘木倉庫〈CASICA カシカ〉

東京・新木場に、古い銘木倉庫をリノベーションし、
新しいものや古いもの、世界各国や日本のものなどが
ヒエラルキーなく混在するスペース〈CASICA カシカ〉が誕生しました。

CASICAという名前の由来は、
「生きた時間と空間を可視化する」というコンセプトから。
建物の外壁に大きくかかれた「福清(ふくせい)」というのは、
古くからあった銘木(めいぼく・希少価値のある木材)倉庫の名前なのだとか。

建物内にも、昔の名残があちこちに。
一部の意匠には倉庫に残っていた端材や材木が再利用され、
天井高が13mあるギャラリーは倉庫の高さを活かした空間となっています。

CASICAの楽しみ方

敷地内にはカフェ、ショップ、ギャラリー、アトリエ、
スタジオ、レコーディングルーム、事業主である〈タノシナル〉のオフィスが入り、
お買いものやごはん、イベントなどが楽しめるようになっています。

ショップに並ぶのは、世界各国の民藝から現代のプロダクトまで、
時代や価格、国籍にとらわれないものたち。

丹念にリペアされた家具やアフリカの布、
和箪笥、新品のプロダクトなどが分け隔てなく並べられています。

ショップで展開しているプロダクトは、国内外の作家さんのうつわや、
高知のデザイン事務所と活版印刷工房による〈土佐和紙プロダクツ〉、
国内の手工業者と生活のための道具を生み出している〈東屋〉、
山梨でリネン製品などを手がける〈オールドマンズテーラー〉、
長野で「Oval Box」を制作している〈IFUJI BOXMAKER〉、
創業100余年の技術力を生かし
今の生活に合うタオルをつくっている〈SHINTO TOWEL〉などなど。

カフェメニューを手がけたのは、南風食堂の三原寛子さん。
ヨーロッパのデリカテッセンのようなスタイルで、
薬膳やアーユルヴェーダの考えをベースにしたお総菜などが楽しめます。

「CASICA Set Menu」1,200円 写真左から「南瓜と茸と鯖のフラン」「豚のフローレンス風」「ローストサツマイモと舞茸のグリルアップルビネガーのソース」。おかず3品、雑穀ごはん、本日の汁椀、お漬ものがセットになったメニューです。おかずは約10種から好きなものを3品選んで頂けます。

CASICAの企画展はインテリア好き目白押しのラインナップ

CASICAでは、定期的にさまざまなイベントや企画展が開催されています。
そのラインナップは多岐に渡り、
古家具、北欧ヴィンテージ、インダストリアルな照明、世界中のラグなど、
あらゆるテーマで企画されており、
インテリア好きにとっては心躍る企画展が目白押しです。

また、作家による展覧会も充実しており、
フラワーアーティストやガラス作家、陶芸家による
インスタレーションやPOP UP SHOPも開催され、
作家との出会いをCASICAならでは切り口でプロデュースしています。

CASICA NIGHT CINEMAでは映画上映も

〈CASICA NIGHT CINEMA 可視化映画夜市〉は、
夜の静まり返った材木倉庫で、暗く、巨大なスクリーンに
UPLINKが厳選した映画を上映するプロジェクト。

さまざまな国の映画を、映画の世界観からインスピレーションを得た
料理家による多彩な料理とともに堪能することができます。

開催は不定期ですが、CASICAの広い空間に響く音、料理の香り、
そして、情緒感あふれる食事の後には、
厳選されたモノと出会える夜市が開催されています。

有田焼×フランスリネンのコラボ! アリタポーセリンラボから テーブルクロス発売

200年の伝統を誇る有田焼。
〈アリタポーセリンラボ〉は、そんな有田焼を現代のライフスタイルに
合わせたラグジュアリーモダンなブランドです。

このたび、アリタポーセリンラボと、フランスの
老舗高級テーブルクロスメーカー〈ボーヴィレ〉がコラボレーション! 
フランスのアルザス地方生まれの最高リネンと出会うことで、
テーブルクロス〈ボーヴィレ Beauvillé〉が完成。発売を開始しました。

この模様は、アリタポーセリンラボが得意とする
伝統柄のひとつ“木甲桐紋”。
鳳凰・竹・梅・桜・菊・七宝の吉祥文様を散りばめた、
有田焼を代表する伝統柄です。

一方、ボーヴィレのテーブルクロスは、
木型を載せて色を重ねるシルクスクリーン技法を用い、
熟練の職人が手作業で印刷するからこそできる鮮やかな発色と、
100%コットンの糸を使いサテン織で織られた生地だからこその、
滑らかな肌触りと光沢の美しさが特徴。

ボーヴィレの高いプリント技術と、
有田焼の進化した釉薬・技術を使ったものづくり。
どちらも職人さんが一つ一つ手仕事で作ることで、
ラグジュアリーモダンな絵柄のテーブルクロスが完成しました。
お値段は37,000円(税抜)。

アート×伝統産業×最先端技術! 国際北陸工芸サミット/ 工芸ハッカソンで目撃しよう

アート×伝統産業×最先端技術

富山県高岡市の伝統産業を、テクノロジーで盛り上げる! 
伝統産業の職人や工芸作家と、エンジニアや研究者、アーティストが
新しいなにかを生み出す試み、〈工芸ハッカソン〉が、
2017年11月19日(日)に開催されます。

ハッカソンとは、“ハック” と “マラソン” を
組み合わせた造語で、プログラムなどのテクノロジーを使って、
短期間で全く新しいプロジェクトなどを生み出すイベントのこと。

今回は、この最先端のハッカソンと、
これまでにあまり出会う機会がなかった、工芸がマッチングする稀な試み! 
全国からアーティストやエンジニア、プログラマー、
サイエンティスト、アパレルのデザイナーや国家公務員など、
総勢37名のクリエイターが集いました。

伝統を守る工芸師と、柔軟な発想のクリエイターたちが出会うことで、
これまでにない自由なプロジェクトが生まれることでしょう。

クリエイターたちが試行錯誤を凝らした
公開プレゼンと審査会は、一般の方の参加も可能。
アート×伝統産業×最先端技術の作品たちは、まったく予測不能! 
ぜひ会場で、熱気を感じてみてはいかがでしょうか?

このイベントにあたり、まったく新しいプロダクトやアート作品、アプリやサービスを
着想するために、2017年9月23日・24日の二日間にわたり、
クリエイターに向けて高岡のツアーが開催されました。
ここでは、その模様をお伝えします!

まずは高岡の作り手をめぐるツアー。
参加者にとっては、コラボレーターを探す旅でもあります。
まず訪れたのは、二宮金次郎や仏像など、銅像や神仏具を手がける
鋳物メーカーの〈平和合金〉。超高温の金属を鋳造する過程や製作途中の
大仏様など、日頃見る機会のない迫力満点のものづくりに圧倒されます。

すごい迫力!

続いて訪れたのは高岡市デザイン工芸センター/富山県総合デザインセンター。
3Dプリンタや三次元測定機など、ものづくりの道具が揃い、
モックアップの制作を支援するセンターです。
高岡の伝統工芸を継承しながら、新しいクラフト製品の開発や
新技術・新素材の研究を目的としています。

高岡市デザイン工芸センター/富山県総合デザインセンター

地元の素材の金額感がわかる見本

『SHIRETOKO! SUSTAINABLE 海と、森と、人。』 石川直樹さんらが発信する 知られざる知床の魅力とは!?

流氷、海、川、森。
生命のサイクルがもたらす豊かな恵みの地、知床。

北海道斜里町にて、そんな知床の新たな魅力を発信していこうと
〈知床ブランディングプロジェクト〉が始まっています。

撮影:石川直樹

これは、2015年にスタートしたプロジェクト。
世界遺産登録から10年を経て知床の魅力をあらためて見直し、
新しいイメージを発信しています。

プロジェクトチームのメンバーは、斜里町役場と知床斜里町観光協会の皆さん、
写真家の石川直樹さん、アートディレクターの原耕一さん・七郎さん・せいさん(TROUT)、
クリエイティブディレクターの初海淳さん、そして地元ミニコミ誌の皆さんなど。

今年、同プロジェクトチームがブランドブック
『SHIRETOKO! SUSTAINABLE 海と、森と、人。』Vol.1をつくりました。

ブランドブック『SHIRETOKO! SUSTAINABLE 海と、森と、人。』撮影:石川直樹/原七郎

〈TOKYO数寄フェス2017〉 日比野克彦さんら アーティストたちが 上野の景色を一変!

(c) Shinji Omaki 撮影:椎木静寧

2017年11月10日(金)~ 11月19日(日)まで、
東京・上野恩賜公園と谷中エリアにて
〈TOKYO数寄フェス2017〉が開催されています。

これは、2016年に開催され32万人が訪れたフェスティバル。
美術館や芸術大学、音楽ホールなど、さまざまな文化施設が集まる
上野恩賜公園と谷中エリアを舞台に、
展示やワークショップ、コンサートなどが行われます。

参加作家/団体は、日比野克彦さん、大巻伸嗣さん、小沢剛さん、
小沢剛さん、海部陽介さん、石川仁さん、橋本和幸さん、
東京藝術大学、パリ国立高等美術学校などなど。
ディレクターは東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科准教授
/アーツ前橋館長の住友文彦さんです。

TOKYO数寄フェスで上野のまちをめぐろう!

ぜひ見ておきたいのは、大巻伸嗣さんによる大型インスタレーション『プラネテス ー私が生きたようにそれらも生き、私がいなくなったようにそれらもいなくなったー』。

大巻伸嗣『プラネテス ー私が生きたようにそれらも生き、私がいなくなったようにそれらもいなくなったー』展示場所:上野公園噴水前広場

上野公園ができる以前、この場所一帯に立ち並んでいた寛永寺の仏閣をモチーフに、
かつてそこに存在したものや時間、空間、記憶の連鎖を表しています。

日没後から20時まで不忍の池を彩るのは、
鈴木太朗さんと空間演出研究所による『ミナモミラー』。
不忍のボート池全周と池に浮遊するオブジェをLEDライトの淡く柔らかい光が囲みます。

11月19日(日)11時からは、上野恩賜公園 ボート場にて
アーティストの日比野克彦さん、人類学者の海部陽介さん、探検家の⽯川仁さんによる
葦舟(あしぶね)『TANeFUNe』の進水式が行われます。

なんと、11月10日~11月18日に実施されるワークショップでつくった舟を浮かべるのだそう。
これは気になりますね!

〈菊池アートフェスティバルvol.2〉 菊池市をアートの里に! 市民とアーティストが始めた 熊本最大級のアートイベント

2017年11月23日(木・祝)~26日(日)、熊本県菊池市にて
熊本県内最大級のアートイベント
〈菊池アートフェスティバル vol.2〉が開催されます。

展示されるのは、国内外のアーティストや市内の中学・高校生など、
約100人による彫刻、日本画、インスタレーション、
ブラックシアター、空中映像などなど。
また、14組のアーティストによるパフォーマンスや
マルシェ、ワークショップなども楽しめます。
2016年は全国から約1万人が来場したのだとか。

本フェスは、市民の皆さんが「菊池市をアートの里として全国に売り出したい」
という思いから始めたフェスティバルなのだそう。
その背景には、過疎の問題を抱える龍門地区を活性化し、
熊本地震の被災者の皆さんをアートの力で元気づけたいという思いがあります。
運営には若手アーティストを支援する団体
〈熊本アートオーガニゼーション(KAO)〉も関わっています。

九州新幹線〈つばめ〉
生みの親・水戸岡鋭治が考える
足し算のデザインとは?

これまで5シーズンにわたって、
持続可能なものづくりや企業姿勢について取材をした〈貝印×コロカル〉シリーズ。
今回からは、刃物やキッチン用品などの
商品企画・デザインを手がける貝印株式会社のスタッフが、
コロカル編集部と共に日本全国の未来志向のクリエイターを訪ねて、
ものづくりの技術から、デザインフィロソフィー、
ビジネススキームの話まで引き出していきます。

公共デザインが感動体験の元になる

九州新幹線800系〈つばめ〉やクルーズトレイン〈ななつ星 in九州〉など、
JR九州の鉄道関連の仕事で有名なデザイナーの水戸岡鋭治さん。
最近では横浜駅から伊豆・下田まで走る豪華列車〈ザ・ロイヤルエクスプレス〉などの
デザインも手がけた。

昨年、長良川鉄道の観光列車〈ながら〉を手がけたときは、
食堂車の展示スペースに物販コーナーを設け、貝印の商品を陳列して販売した。
列車が走る場所の地域性を考える水戸岡さんだけに、
岐阜に拠点を置く貝印の商品は適していた。

週末を中心に運行している長良川鉄道の観光列車〈ながら〉。

〈ながら〉もり号の客室イメージイラスト。

「包丁などの製造から始まったメーカーだと思いますが、
今では美容ツールにも進化している会社ですよね。
うちでも鍋を使っていますよ」と水戸岡さん。

実際にその〈ながら〉に乗ったという
〈貝印〉商品本部デザイン室チーフマネージャーの大塚 淳さんは、
なんとお子さんが水戸岡さんの大ファン。
毎晩、水戸岡さんの著作『ぼくは「つばめ」のデザイナー』を読み聞かせしているという。
そこで、貝印としても、大塚さん個人としても縁の深い水戸岡さんを訪ねた。

大塚さんが持参した水戸岡さんの著作『ぼくは「つばめ」のデザイナー』。

2004年3月に生まれた九州新幹線800系〈つばめ〉。

水戸岡さんはもともとイラストレーター。
しかし次第にJR九州の車両デザインの仕事に携わるようになり、
以降、話題となる列車デザインを数多く手がけている。
水戸岡さんの話を聞いていると、すべてが当たり前のようで、だからこそ普遍的。
突き刺すようなことではなくボディブローのように効いてくる。
「ミュージシャンズ・ミュージシャン」ならぬ
「デザイナーズ・デザイナー」という言葉があるならば、
水戸岡さんのような人を指すのではないか。デザインの職人とも思える。

九州新幹線800系〈つばめ〉の木製シートを配したゆとりのある座席イメージ。

水戸岡さんのデザインは、いわく「自己表現ではなく代行業」。
すべては利用者や公共のためである。

「お客様にとっては、美しく、楽しく、おもしろく、
リーズナブルでなければなりません。
しかし、それらをただ積み重ねていくだけだと予算が膨らんでしまいます」

予算もスケジュールも決まっているなかでどうしていくか。
その答えは、自分たちでやること。そしてその能力をアップしていくこと。

「能力をアップするためには、まずは知ることです。
人より多くの色を知っている。多くの形を知っている。多くの素材を知っている。
多くの経験がある。長く生きている、とか(笑)」

いまでも全国を飛び回っている水戸岡鋭治さん。

たとえば電気屋さんは電気パーツや配線に詳しいし、
八百屋さんはたくさんの野菜や調理法を知っている。
同様に、デザイナーはデザインの要素(言語)を人よりたくさん知っていなければならない。

「経験といっても、ただの経験ではなく成功体験・感動体験でなくてはなりません。
その数がその人の感性に比例します。
人は感動体験を求めて生きています。思い出の量が人生の幸せをつくるといえます。
すると人にもいい思い出になる感動体験を提供したくなる」

利用者の立場に立つということを徹底している水戸岡さんだが、
それでも迷ったり、ブレてしまったりしそうなときは、
「子どもたちのため、次世代のため」と考える。

「子どものときにどういう環境だったか、
どういう人、コト、モノの経験をしたかというのは、
一生を左右する可能性があります。
無意識で見たもの、聞いたもの、感じたものが掘り起こされるのです。
ぼくたちは最高の舞台をつくる義務があるし、
子どもたちはそれを享受する権利がある。
人は感動的な舞台だと、おのずと演技をしてしまうものです」

人はいい環境を与えられると、みずから成長する。
するとその体験を伝えるため、次代にも好環境が整う。
こうしたスパイラルをつくるのもデザイナーの役割なのだ。

〈貝印〉商品本部デザイン室チーフマネージャーの大塚 淳さん。

〈ジャパニーズチップ展〉 全国47都道府県の 飲食店から集めた 8千点の箸袋アート!

日本の飲食店で、だんだん箸袋が使われなくなってきているんだそう。
そんな状況に一石を投じる〈ジャパニーズチップ展〉が、
2017年11月28日(火)~12月10日(日)に
東京都千代田区〈3331 Arts Chiyoda〉にて開催されます。

〈ジャパニーズチップ展〉とは、食事の席でつくられた箸袋の創作物を
チップ(ありがとうのしるし)だと見立てる試み。
北海道から沖縄の全国47都道府県の飲食店から集めた
感謝の形“ジャパニーズチップ”が展示されます。
13,000点以上集まった作品の中から選りすぐった
約8,000点を展示するという大ボリューム!

このプロジェクトは、クラウドファウンディングで集めた資金で
一年間をかけて日本全国をまわって制作されたもの。

「箸袋でなにかつくってね。それがごちそうさま。ありがとうのサイン。」

と書いた木製のPOPを飲食店の机に置き、そこでお客さんに箸袋で
自由に作ってもらったオブジェを収集したのだそう。

協力してくれた店舗は183にものぼります。
なぜこんな形がつくられたのか、そこでどんなやりとりがあったのか。
形のむこうにあるものに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

島根の古民家が海を渡った!?
日本とエチオピア、
2国の伝統建築改修プロジェクト。
伝泊 vol.4

伝泊 vol.4

こんにちは、建築家の山下保博です。
これまで、3回にわたり、伝泊についてお話してきました。
伝泊とは、僕のつくった造語で、伝統的、伝説的な古民家を探し出して、
改修することで宿泊施設としてよみがえらせ、
旅に物語を求める人のために、地域の人との出会いの場を提供する仕組みのことです。

これまで僕の出身地である奄美大島に3棟(第1回を参照)、
加計呂麻島に2棟(第2回を参照)、
そして佐渡島に1棟(第3回を参照)オープンしました。

加計呂麻島の伝泊・奄美「リリーの家」。

日本全国に、その土地の気候や風土に合った構法や、
材料を使って建てられた民家が、空き家のまま放置されています。
次の世代に伝えていくべき伝統的な建物が、住む人なく荒れ果て、
朽ちていくのを黙って見ていることができずに始めた活動です。

50年から200年前に建てられた民家を、
もとの姿に戻したシンプルな伝泊に滞在して、
集落に暮らすように過ごす島時間。

「一歩足を踏み入れた瞬間のわくわく感が忘れられません」

「3世代7人で泊まれる貴重な宿。泳いだ後に畳に寝そべり、
家族でゆっくりおしゃべりできて良かったです」など、

伝泊に宿泊されたお客さんには、
1棟貸しならではの体験を楽しんでいただいています。

逆に、ひとりでお泊りのお客さんからは、「夜ひとりで怖かったです」とも。
都会と違い、島の夜は本当に暗いですからね。虫もいますし(笑)。

伝泊・佐渡「ぐるり竹とたらい湯の宿」。

家の持ち主や、地域の方からも、

「どうしたらいいか途方に暮れていた空き家がよみがえり、
家族で喜んでいる。親戚が集まる時にぜひ使いたい」

「集落に活気が戻ることを期待している」など、うれしい言葉をいただきました。

よみがえった伝泊の庭で開催された8月踊りの輪を、うれしそうに眺める「高倉のある宿」の持ち主さんとご親戚。

第1回目でも触れたように、伝泊を始めるきっかけとなったのは、
奄美大島で空き家問題の相談を受けていたことでした。
ただ、伝泊を始めるまでにも、全国の古民家に携わるさまざまな機会がありました。
僕は、2007年から2009年頃、慶應義塾大学の講師としてゼミの学生とともに、
島根県の過疎地で空き家となった
古民家の再活用についてのリサーチを行っていました。

戦火を免れた島根県には、地場のクリ、クロマツ、ケヤキを使った
優良な古民家が多く現存しています。
しかし、毎年200棟の古民家が解体・焼却されていると言われ、
これらの実態調査や実測調査などを行い、
貴重な古民家や古材の保存活動を行ってきました。

今回は、伝泊からは少し離れて、日本の伝統建築の特特徴のひとつである、
「移築」をキーワードに建築家らしい活動をご紹介したいと思います。

島根の古民家が、海を渡る!?

約10年前に在エチオピアの日本大使館より、
日本とエチオピアの架け橋となる「日本文化会館」をプレゼントしたいという
建築設計の依頼をいただきました。
エチオピア歴2000年のミレニアムに合わせた
〈エチオピア・ミレニアム・パビリオン〉というプロジェクトで、
日本館とエチオピア館をつくります。

日本文化会館をつくることになったエチオピア第2の都市、ゴンダール市は、
17〜18世紀にゴンダール朝の都として栄え、
まちの中心部にある宮殿〈ファジル・ゲビ〉が、
世界遺産に登録されている古都です。

世界遺産ファシル・ゲビ宮殿。ゴンダール様式と呼ばれる独特の建築様式には、ポルトガルやインド、ムーア建築の影響もみられる。

僕はよくあるようなコンクリート造りの建物にはしたくないと思いました。
せっかくのプロジェクトがお仕着せになってしまうと意味がない。
ただお金を出す、施設をつくるというだけじゃ一方通行になってしまいます。
ですから、エチオピアの人々の視点に立ち、
彼らが本当に求めているものを渡せるよう、知恵を出したいと考えました。

日本文化会館を建設する敷地周辺の風景と人々。近くにはスラム地区もあり、貧しい様子だった。

ふたつの国の伝統的な建築とは?

日本とエチオピアの架け橋になる建物。
僕は両国の伝統的な住居に着目しました。
エチオピアの伝統的な円形住居はシンプルな石積みの壁と、
梁は木を渡しただけのシンプルな木造の屋根組みで構成されます。

ファジル・ゲビ周辺には歴史地区がひろがり、現在でも伝統的な石積みの円形住居が残っている。

一方で日本の伝統的な民家は、金物を使わない精緻な木造構築物です。
これらの伝統住居をそれぞれの地で解体、
輸送して敷地で再構築するとおもしろいんじゃないか?
日本で朽ち果てそうになっていた古民家と、
エチオピアの現地で捨てられていた石積みの円形の住居を移築して、
それぞれ日本館、エチオピア館として建て直したら、
新たな価値を見出せるのではないか?
ひと言でいうならば、「価値の再編成」です。

日本とエチオピアの古民家を移築して再利用したら新たな価値が生まれるか?

日本からは当時フィールドワークを行っていた島根県大田市の古民家を
ゴンダールへ移築し、エチオピアの伝統的な円形住居と合わせ再利用し、
地域資源のリサイクルモデルとなるような建築をつくりたいと考えました。

住み手を失い長い間空き家となっていた古民家を解体、移築することになった。

札幌〈COQ〉梶原加奈子さん 
テキスタイルデザイナーが開いた
森の中の複合スペース

魂を込めて伝えたい。心を和らげるテキスタイルの魅力

札幌の中心地から南へ車で約40分、北海道のアートスポットとしてよく知られた
〈札幌芸術の森〉のほど近くに、この夏〈COQ(こきゅう)〉がオープンした。
ここは北海道出身のテキスタイルデザイナー、
梶原加奈子さんが立ち上げたユニークなスペースで、
「テキスタイルのある暮らしを体感してほしい」という彼女の願いが込められている。

〈COQ〉と書いて「こきゅう」と読む。玄関のたたずまいはさりげないものだが、中に入ると開放感あふれる空間が広がる。

暮らしのさまざまなシーンに“布”は使われている。
しかし、それらがどのようにつくられたのか、
その制作者の想いに意識が向かうことは滅多にない。
しかし、このCOQでは、ショップやダイニング、ゲストハウスという空間を通じて、
テキスタイルの魅力を存分に味わうことができるのだ。

1階には、梶原さんがデザインした数々のテキスタイルと、
布によってつくられた雑貨が並ぶ。
艶やかな色彩のストールや、ほおずりしたくなるような風合いのタオルなど、
テキスタイルとはこれほどまでにさまざまな表情があるのかと驚かされる。

ショップスペースには特徴のあるテキスタイルが使われたストールやバッグが並ぶ。

ダイニングスペース。森の景色が窓いっぱいに広がる。

その奥にはフレンチレストラン〈AKI NAGAO〉のシェフ、長尾彰浩さんと
梶原さん率いるデザインチーム〈KAJIHARA DESIGN STUDIO〉で
共同ディレクションをしたダイニングスペースがある。
大きく開かれた窓には森の景色が広がり、
間仕切り代わりに天井からつり下げられている
半透明のテキスタイルとのコントラストがとても美しい空間だ。

ランチプレートやおまかせコースなど、ダイニングでは、札幌の一つ星レストランのシェフ、長尾さんがディレクションした料理を楽しめる。

「素朴だけれど、全身を歓喜させる力強い味わい」を感じるひと皿を提供したいという長尾さん。北海道の良質な素材と向き合い、隠し味にはフランス料理のエッセンスを加えている。

さらに、2階には100平米という広さの
ワンルームタイプのゲストハウスが設けられている。

ここでは梶原さんがディレクションしている客室リネンのブランド
〈Nokton〉のさまざまなアイテムを通して、日本の伝統技術が生かされた
こだわりの布を身近に体験することできる。
『TODAY'S LINEN』という冊子が置かれ、寝具やタオルなどに使われた
布の産地や製法について詳しく知ることもできるのだ。

ゲストハウスの窓から森の木々が見える。

〈鳥取の工芸文化〉展 鳥取の工芸がおもしろい! 民藝を広めた吉田璋也 デザインのお皿も登場

吉田璋也のデザインによる〈牛ノ戸焼染分皿〉明治大学博物館蔵

2017年10月19日(木)~12月17日(日)、明治大学博物館にて
特別展〈鳥取の工芸文化 手仕事の近世、近代、そして現代〉が開催。

鳥取には、江戸時代に発展した因州和紙や弓浜絣(ゆみはまがすり)、
民藝の窯として名高い牛ノ戸焼など、さまざま工芸品があります。
本展では、古文書をはじめとする資料ややきもの、和紙、木綿などの作品を展示。
江戸時代から現代まで継承されてきた鳥取の工芸文化に光をあてます。

複雑な模様が美しい倉吉絣。倉吉絣保存会が継承する手織りの絣織です。

鳥取に民藝を広めたプロデューサー、吉田璋也とは?

見どころは、1930年頃から鳥取に民藝を広めた医師・吉田璋也(しょうや)さんの仕事。

思想家の柳宗悦さんらが起こした民藝運動の同人であった吉田さんは、
鳥取市内で医院を開業する傍ら、地元の陶器や木工、織物など工芸品を発見し、
その技術の再生と継承に力を尽くしてきました。

吉田さんのすごいところは、プロデューサーとして
鳥取の職人たちと工芸品のデザインを考え、
その時代に合った「新作民藝」を手がけたこと。
さらに、鳥取市内に〈たくみ工芸店〉を開店し、
製品の流通や販売、販路の開拓にまで尽力したといいます。

吉田璋也のデザインによる〈因州和紙〉

人間と電磁とが交錯する奇祭 〈エレクトロニコス・ ファンタスティコス!〉 東京港区芝で開催!

和田 永と『換気扇サイザー』(Photo by Mao Yamamoto)

役割を終えた“はず”の「家電」が、「電子楽器」となって輝きだす!

ブラウン管テレビ、レトロな扇風機、古いエアコン、黒電話――
めぐる時代とともにその役割を終え、廃棄物と化していく電化製品たち。
そんな家電たちに新たな風を吹き込み、電子楽器として蘇生させるプロジェクトが
スタートしているのをご存じですか?

その名も〈エレクトロニコス・ファンタスティコス!〉。
通称「ニコス」と呼ばれるプロジェクトです。

〈エレクトロニコス・ファンタスティコス!〉とは?

〈KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭〉『ブラウン管ガムラン』(Photo by Mao Yamamoto)

オープンリール式テープレコーダーを楽器として演奏するバンド
〈Open Reel Ensemble〉のメンバーであり、「一体どうなってるの!?」と、
その演奏スタイルに度肝を抜かれるブラウン管テレビを用いたパフォーマンス
〈Braun Tube Jazz Band〉などを展開するアーティスト、和田 永さん。

第13回メディア芸術祭アート部門優秀賞の受賞や、
〈ISSEY MIYAKE〉のパリ・コレクションで音楽を担当するなど、
各国でのライブや展示活動を繰り広げているアーティストです。

和田 永と『ブラウン管ガムラン』(Photo by Mao Yamamoto)

その和田さんが、廃棄された電化製品を使って
あらゆる人を巻き込みながら新たな楽器を創作し、量産し、奏法を編み出し、
徐々にオーケストラをかたちづくっていくプロジェクトを始動。
それが〈エレクトロニコス・ファンタスティコス!〉なのです。

これまで「初合奏遭遇篇」や「日立通電篇」などのイベントを経て
活動3年目を迎えた2017年には、東京、日立、京都の3か所に活動拠点を広げ、
協業チーム〈Nicos Orchest-Lab(ニコスオーケストラボ)〉を発足。

チームメンバーは、楽器体験会やワークショップを通じてニコスに興味を持った
小学生、サラリーマン、エンジニア、上は60代の年配と幅広く、
親子での参加が多いのも特徴。
彼らとともに、新たな家電楽器の研究開発と制作を行ってきたそう。

Nicos Orchest-Lab(Photo by Mao Yamamoto)

これらの活動の集大成が、2017年11月3日~5日に
「本祭Ⅰ:家電雷鳴篇」として開催されます。

〈KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭〉にて扇風琴を楽しむ来場者。(Photo by Mao Yamamoto)

阪急電鉄のあの色を再現! マルーンいろ入りの 限定クーピーペンシル12色セット が登場!

阪急電鉄とサクラクレパスがコラボ! あの車体色を再現

関西を走る阪急電鉄といえば、
優雅な赤みがかった茶色の車体で知られています。
このなんともいえない素敵なえび茶色(えんじ)は、
“マルーン”と呼ばれているんです。

このたび、阪急電鉄とサクラクレパスとのコラボレーションとのもと、
その「マルーンいろ」がはいった
〈Hankyu Densha〉クーピーペンシル12色セットが
10月22日(日)から数量限定で発売開始されます!

クーピーペンシルの基本12色セットは、
あか、だいだいいろ、きいろ、きみどり、みどり、
みずいろ、あお、むらさき、ももいろ、ちゃいろ、くろ、しろ。

ここに、阪急電車の車体色として親しまれている
マルーンを再現した「マルーンいろ」のオリジナルクーピーペンシルと、
阪急電車を描きやすいように「ペールブルー」「あいいろ」「おうどいろ」や
「ぎんいろ」を含めた12色セット。

パッケージも、おなじみの幾何学模様に〈Hankyu Densha〉シリーズの
イラストをアレンジしたオリジナルデザインです。

〈関内外OPEN!9〉 いつもの横浜を建築家、 クリエイターと楽しむ まちなかフェス

2017年11月3日(金・祝)と4日(土)、
神奈川県横浜市の関内・みなとみらい・中華街エリアにて
〈関内外OPEN!9〉が開催されます。

これは、クリエイターのスタジオや路上を舞台に、
ワークショップやトーク、展示などが行われるまちなかフェス。

歴史的建造物や高層建築、スタジオ、住まいが
混在する港まちを歩きながら、さまざまなイベントが楽しめます。

「横濱帆布鞄ワークショップ」横濱帆布鞄で使用している布を使ったトートバックづくりを体験できます。

横浜にはクリエイターのスタジオがいっぱい!

〈みかんぐみ〉オフィス。みかんぐみのプロジェクトを模型やパネル展示などで紹介します。※11月4日(土)のみ

見どころは、建築家やデザイナー、アーティストたちの仕事場を見学できるオープンスタジオ。

横浜には、マーチエキュート神田万世橋や
マルヤガーデンズなどを手がけた建築ユニット〈みかんぐみ〉や、
ランドスケープデザインを主軸とするデザイン集団〈スタジオゲンクマガイ〉、
デザイン会社〈NDCグラフィックス〉、
〈古市久美子建築設計事務所〉+〈本のモ・クシュラ〉などなど、
気鋭クリエイターのオフィスがたくさん。
普段は入れないスタジオを訪ね、クリエイターの方とお話するチャンスです。

〈NDCグラフィックス〉

道路のパークフェス

もうひとつの見どころは11月3日、関内さくら通りで開催される〈道路のパークフェス〉。

路上に思う存分お絵かきができる「らくがき桟橋〜みんなで道路に絵を描こう!〜」や、
みんなでワイヤレスヘッドホンを装着しひとつの音楽を共有し合う「サイレントディスコ」など、
子どもから大人まで遊べるイベントがいっぱいです。

「アウトドア・ヨガ」街路樹に囲まれた通りで思いっきりヨガタイム。

地域の古材を生かして、
仲間とともにDIY!
カフェ併設の託児所をハーフビルド。
COKAGE STUDIO vol.2

COKAGE STUDIO vol.2

岩手県奥州市にある古ビルをリノベーションし、
カフェと託児所が併設された
〈Café&Living Uchida〉(以下ウチダ)をオープンしました。
前回は私が子育てで感じたことや
カフェと託児所をオープンするに至った経緯をお話しました。

第2回目の今回は物件と改装の話をします。

もとは地域に根づく画材屋さん

私たちがCafé&Living Uchidaを始めたこのビルは、
もともと額縁や画材を販売する〈アートショップウチダ〉というお店でした。
JR水沢駅の東口で50年もの間営業してきたお店です。
私の年齢よりも遥かに長い間、この場所にあり続けたアートショップウチダ。
家族経営の小さなお店でしたが、額装をお願いしたり、
絵の具を買ったりと数少ないまちの画材屋としてなくてはならない存在でした。

アートショップウチダ営業当時の懐かしい外観。

私自身、同店の近所に実家があり、幼少期を過ごした場所です。
水沢駅裏(東口)には、アートショップウチダがあって当たり前。
まちの風景にとけ込むお店だったのです。閉店の話を聞いた時、
馴染みの風景がまたひとつ失われることに寂しさを感じました。

水沢駅東口(駅裏)の様子。

2016年10月、まもなく閉店を迎える店に挨拶にうかがいました。
これまで一度も入ったことのなかった店内に足を運び、
ほんの数分、店主(現在の大家さん)とお話しして店をあとに。

後にこの場所を借りることになるとは思いもしませんでしたが、
とても雰囲気の良い方だなぁという印象でした。

それから数週間が経ち、シャッターに貼られた閉店の案内を見ると
「あぁ、本当に閉まってしまった」というなんとも言えない寂しさと同時に、
この建物を自分の手でどうにかできないか!
という思いがこみ上げてきました。

このとき、ちょうど新しいかたちの子育ての場所を
つくれないかと考えていたところでした。(第1回参照) 
それからすぐに大家さんへ連絡して、私の考えているプランを話したところ、
このビルを改装して使うことを快く承諾してくれて、物件が決まりました。
額縁店として続いてきたストーリーを引き継ぎ、物語の第2章が始まるような、
そんな思いを店名に込めて〈Cafe&Living UCHIDA〉と決めました。

まちぐるみで子育てをしていた昔懐かしさをウチダで見ることができたらいいなと思い描いたイメージ(イラスト:Mako.pen&paper )。

つながりが生んだ心強い仲間たち

改装コストをできる限り抑えつつ、良い空間をつくるために、
今回は空間デザインと施工の一部を業者に依頼して、
DIYできる部分は自分たちでやる
ハーフビルド形式でリノベーションに挑戦しました。

自分たちでDIYするにあたり、結成した〈チームUCHIDA〉。
メンバーとして声をかけたのは盛岡勤務時代の先輩たち。
みんなDIYは好きですが、施工経験のあるメンバーはゼロ。
素人だらけの店づくりです。

〈チームUCHIDA〉の主要メンバー。左から茂庭甲子、私(川島佳輔)、千葉夏生、久保友佳。

下地や電気工事などは地元工務店に依頼。
空間デザインは長野県に店を構える〈ReBuilding Center Japan〉に依頼しました。

ReBuilding Center Japanは、
解体される古民家などから古材や古道具を回収して販売する会社で、
アメリカのポートランドにある〈ReBuilding Center〉から正式に許可をもらい
日本で活動を始めた会社です。

長野県諏訪のRebuilding Center Japan。建物内にはカフェ、古材売り場、古道具売り場があります。

こちらは古材売り場。レスキューされたたくさんの木材が並べられています。

代表を務める東野唯史さん(以下、アズノさん)とは、
2010年に世界一周の旅中に出会い、帰国後も交流のある友人です。
「地元にお店をつくることがあったら相談して! 協力するよ」
という言葉を7年越しで実現することができました。

リノベーション前のビルで現地調査をするアズノさん。厨房スペースの寸法を計っています。

アズノさんは帰国後空間デザインユニット〈medicala〉として
ゲストハウスなどのデザインを手がけていて、
2016年9月にReBuilding Center JAPANを設立しました。
古材を使った空間はかっこいいのはもちろんですが、
建物のストーリーを大切にしたり、地域の素材を生かした空間づくりで、
良い空間を全国につくっています。(※リノベのススメでも連載

2017年1月、物件と改装チームが決まり、いよいよ改装がスタート。

〈DESIGNART 2017〉に 1本の茎から数百の花が咲く 福島県二本松の 『菊の惑星』が登場!

2017年10月16日(月)~22日(日)、福島市二本松市の
〈菊のまち二本松ブランディングプロジェクト〉による『菊の惑星』が
デザイン&アートフェスティバル〈DESIGNART 2017〉にやって来ます。

二本松市では、昔から菊人形や1本の茎から数百、数千の菊花を咲かせる
「多輪咲」などの“魅せる菊”がつくられてきました。
菊のまち二本松ブランディングプロジェクトは、そんな二本松で
もっと多様なシーンに菊を活用してほしいという思いから始まったプロジェクト。

DESIGNART 2017では、渋谷〈MODI〉に多輪咲と現代の感性を融合した作品
『菊の惑星(Planet of Mum)』を展示します。

『菊の惑星(Planet of Mum)』ドーム型に栽培加工された多輪咲が天板のミラーに反射して球体に見えることで、あたかも浮遊する「菊の惑星」のような不思議な光景をつくりだします。

多輪咲は数百、数千の菊花を本当に“1本の茎”から咲かせる、驚きの栽培技術。
約1年半もの月日をかけて栽培されるのだとか。
ぜひほんものを見てみたいですね!

〈DESIGNART 2017〉は、表参道、原宿、渋谷、代官山、六本木など、
東京のまち全体を舞台とするデザイン&アートフェスティバル。
都内70か所以上にさまざまな作品が登場します。

渋谷区富ヶ谷にある有田焼と波佐見焼のお店〈キハラ トーキョー〉に展示される
シンガポールのギャラリーショップ〈SUPERMAMA〉の有田焼コレクションや、
イタリア生まれ、日本育ちの家具ブランド〈アルフレックス東京〉 で
開催されるミロコマチコさんの企画展、
〈トーキョー カルチャート by ビームス〉で開催される漢方薬師の杉本格朗さん、
パラダイスアレイの勝見ジュンペイさんらによるコラボレーション展など、
気になる展示がいっぱいです。
※開館時間、休業日、入場料は会場によって異なります。

〈AQUAVIT〉

また、2017年10月16日(月)~19日(木)は、
北青山にある北欧料理のレストラン〈AQUAVIT〉に
多輪咲がデコレーションされるそう。
モダンノルディックキュイジーヌに合うアレンジメントが楽しめます。

花結い師・TAKAYAさんによる菊を使った花結い ©HANAYUISHI TAKAYA.

歌川広重とドラえもんがコラボ、 浮世絵木版画に登場! 「東海道五十三次内 蒲原 夜之雪」がモチーフ

『ドラえもん』の世界と浮世絵が融合!
江戸の時代、風景画において葛飾北斎と肩を並べる
人気絵師だった、歌川広重の最高傑作と呼ばれる全55図「東海道五十三次」。
その中から、「東海道五十三次内 蒲原 夜之雪」をモチーフにした
『ドラえもん』浮世絵木版画が販売されます。

江戸時代から最高の技術を継承する職人たちによって、
雪明りに照らされたドラえもんたちが描かれる、
美しい作品です。限定300部、販売価格は39,960円(税込)。
ただいま予約を受け付けています。

元絵となっているのは、歌川広重の江戸時代最も売れた
浮世絵連作のひとつであり、後に西洋美術にも多大な
影響を与えた「東海道五十三次内 蒲原 夜之雪」。

現在の静岡県静岡市清水区で、東海道五十三次の十五番目の宿場です。
実際、特に雪深い地域でもないので、謎多き作品とも言われています。

背景の繊細で柔らかな表現、ドラえもん達のそれぞれのキャラクターの
個性を活かしながらの彫上げ、墨の濃淡を巧みに使い分ける摺り。
そして最高級の生漉奉書和紙の風合いを堪能できる作品です。

ドーグデザインが提案する 〈古美術のあるくらし〉 景色・見立て・時間から観る 古美術の楽しみ方

2017年10月13日(金)〜15日(日)、
大阪のデザインオフィス〈Doogdesign. ドーグデザイン〉が
オープンオフィスを兼ねたイベント〈古美術のあるくらし〉を開催します。

Doogdesign.

主催者は、ドーグデザイン代表/プロダクトデザイナーの小池和也(こいけかずや)さん。
本イベントでは「そばに置いて、それが生まれた遠い昔に思いを馳せると、
古美術がもっと身近なものに——」をテーマに、デザインモデラーを務めるかたわら、
古美術品の収集や販売、鑑定を行っている石橋一優(いしばしいちう)さんの
コレクションを紹介します。

会場に並ぶのは、場所も時代もさまざまなうつわやお盆、花器たち。
古美術品はその場で購入することもできるそう。

出展物(一部)

鶏龍山刷毛目茶碗(15〜16世紀)、

楽焼の黒茶碗、

遮光器土偶の頭部(縄文晩期)、

北岡関東の円筒埴輪 (古墳時代)、

丹波水指(江戸時代前期)、

中国浙江省の灰陶布目文碗 (秦時代)

ペルシャの青釉輪花碗(12〜13世紀)、

会寧の壺(李朝中期)、

メヘルガル遺跡の土偶(紀元前3000〜2000年)

奥能登国際芸術祭2017
さいはての芸術祭から見えるもの

さいはての地から美術の最先端を

「さいはての芸術祭、美術の最先端」を謳う、
〈奥能登国際芸術祭2017〉が、石川県珠洲市で開催中だ。

奥能登という言葉のとおり能登半島の最北端に位置する珠洲市は、
陸路から考えるとたしかに「さいはて」だが、
海運交通で考えると能登半島は古来から最先端の地だった。
古墳時代から奈良時代には、朝鮮半島の人々が能登半島に渡り大陸文化を伝え、
江戸時代には北前船の発達で、大坂から北海道までの品が
能登をはじめ日本海の多くの港で売り買いされた。

また能登半島沖は、南下してくるリマン海流(寒流)と、
北上してくる対馬海流(暖流)が交わるため、とれる魚も豊富。
漁業が栄えたのは言うまでもない。
そのほか珠洲には、塩田に海水を汲み上げて塩をつくる
「揚げ浜式」という古い製塩法がいまも受け継がれる。

10のエリアで作品が展開されている奥能登国際芸術祭。海岸沿いに回れるようになっている。

「塩田」という名前にも浅からぬ縁がありそうな、国際的に活躍する塩田千春『時を運ぶ船』。実際に塩づくりに使われていた古い船を使って作品をつくり上げた。

能登には大陸からさまざまなものが流れ着く。それらを「漂着神」として祀る風習が、日本海沿岸に見られるという。実際に海岸に打ち上げられていたものを使ってつくった深澤孝史の作品『神話の続き』。

また能登を語るうえで欠かせないのがお祭り。
キリコと呼ばれる巨大な灯籠を引き回す「キリコ祭り」は、
夏から秋にかけ、能登の各集落で行われる。
芸術祭期間中も、珠洲だけでも多くの祭りが見られそうだ。

芸術祭会期中には多くの集落でキリコ祭りが行われる。芸術祭開幕の夜には、特別にキリコが登場し、オープニングを飾った。

港にある使われなくなった建物を改装した「さいはての『キャバレー準備中』」では、EAT & ART TAROが食にまつわる作品を展開。昼間は準備中のキャバレー、夜はお酒と料理が楽しめる店に。設計は、建築家の藤村龍至が手がけた。

圧倒的な自然と、豊かな特色ある文化が残る土地ゆえに、
アーティストたちも刺激されたのだろう、多彩な、力ある作品が出揃った。

穏やかな木ノ浦の海。

鴻池朋子は、驚くべき場所に作品『陸にあがる』を設置。遠くから眺める作品だが、そのポイントに至るまでの道のりも含めて鑑賞体験となる。

さわひらきは、祖父母がかつて珠洲に暮らしていたという、珠洲と縁のある作家。今回は映像作品のほかインスタレーションなど、いくつかの部屋を使って多層的に作品を展開。

総合ディレクターの北川フラムさんは、新潟県越後妻有エリアの〈大地の芸術祭〉や、
瀬戸内海の島々を舞台にした〈瀬戸内国際芸術祭〉を成功させてきた、
言わずと知れた地域芸術祭の第一人者。
開会式では「あとのまつりになる前に、アートの祭りを」と
しゃれをまじえて挨拶したが、「さいはて」が最先端になり得る、
ポテンシャルを持つ土地での芸術祭開催に、大きな可能性を感じているようだった。

小山真徳の『最涯の漂着神』は破船とクジラをイメージした作品。クジラの肋骨のように見えるものは流木でつくられている。

開催中の第57回ヴェネチアビエンナーレ日本館の作家に選出された岩崎貴宏は、2トンもの塩を使って作品を制作。家の中に枯山水のような塩の庭が広がる。

珠洲にまつわるストーリーを作品に『奥能登口伝資料館』

奥能登の圧倒されるような風景の中で展開される作品も多々あったが、
大型な作品でなくても、珠洲の人たちと関わりながら
つくり上げられている作品にも注目したい。

東京・吉祥寺を拠点に活動するアーティストグループ〈Ongoing Collective〉の
『奥能登口伝資料館』は、10人の参加作家が、
珠洲の小泊(こどまり)という地区の人たちにリサーチしてさまざまな話を聞き、
それをもとに映像やインスタレーションなどの作品を制作。
保育所だった施設を使って作家それぞれが作品を展開している。

〈Ongoing Collective〉の参加作家のひとり柴田祐輔は、珠洲で漁業に従事するインドネシア人に出会い、彼らが暮らす家「パンダワハウス」を再現した作品を制作。インドネシアの人たちから見た珠洲が浮かび上がる。

口伝とは、語り継がれてきた民話や伝承のこと。
ただ、ここでいう“口伝”は昔話や言い伝えばかりではなく、
現代を生きる珠洲の人たちのさまざまなエピソードや思い出だったりもする。
作家たちは地元青年団の草刈りに参加し、その後の飲み会や偶然の出会いなどにより
それらのストーリーを収集し作品に昇華させていったそう。

といっても、その話がストレートに表現されているわけではないのが、
この“資料館”のおもしろいところ。
10人のアーティストの作品はまったく様相が異なるが、
それらすべてに、何らかのかたちで珠洲の要素が表れているはずだ。

小鷹拓郎は『村にUFOを誘致する』という映像作品を制作。地元の人に出演してもらい、彼らの話からさまざまなキーワードを「UFO」に置き換えて物語を構築。現実とフィクションがないまぜになった作品ができ上がった。

小学生デザイナーは
札幌の市電をどうデザインした?
SIAFデザインプロジェクト

札幌国際芸術祭(以下、SIAF)2017のテーマは「芸術祭ってなんだ?」。
それに呼応し、芸術祭にまつわるデザインも
「デザインってなんだ?」という問い直しから始まった。

カラフルなグリッドに文字が踊る芸術祭のメインビジュアルや
シンボルマークはどうやってつくられたのか、
また、そこから派生した、小学生デザイナーによる
ラッピング電車〈SIAF号〉はどう生まれたのか。
さらに札幌のデザインの歴史をたどる展覧会『札幌デザイン開拓使 
サッポロ発のグラフィックデザイン~栗谷川健一から初音ミクまで~』まで。

これら一連の「札幌国際芸術祭デザインプロジェクト」について、
SIAFの“バンドメンバー”と呼ばれる企画メンバーのひとり、
アートディレクターの佐藤直樹さんの話を交えて紹介しよう。

芸術祭のメインビジュアルやシンボルマークはこうして生まれた

ゲストディレクターの大友良英さんから、アートディレクターの佐藤直樹さんに
SIAFのアートディレクションが依頼されたのは、開催の1年半以上前。
大友さんの2009年のプロジェクト
「ENSEMBLES 09 - 休符だらけの音楽装置」でもデザインを担当した佐藤さんは、
展覧会をつくる一員となってデザインを考えていくような人だ。

「大友さんが多様性のある芸術祭にしたいと言っているのに、
外から来たひとりのデザイナーが統括的にデザインして、
その成果物をみんながただ使うというのはちょっと違うなと。
札幌のデザイナーをはじめ地元の人たちと、
ワークショップなど共同作業を通じて組み立てていこうと思いました。
その過程を重視し、開催期間に合わせてデザインも変化させていく。
プロジェクトとして1年半くらいかけて制作していったんです」

バンドメンバーのひとり、アートディレクターの佐藤直樹さん。

こうして2016年4月から「札幌国際芸術祭デザインプロジェクト」がスタート。
〈ワビサビ〉の工藤“ワビ”良平さんと〈COMMUNE〉の上田亮さんほか、
札幌で活動するデザイナーや来場者が意見を交わす
「SIAFデザインミーティング」が数回行われた。

札幌のクリエイティブサロン〈MEET.〉で開催された「第1回SIAFミーティング」。

メインビジュアルやシンボルマークは、まだ芸術祭の参加アーティストや
作品、展示場所、制作予算も確定していない時期から使用を求められる。
佐藤さんは「キーカラーや単一のマークといった
ひとつのアイデンティティを決めるのではないやり方」を模索し、
まず全面に1色ずつ蛍光色を使った大きなボードを数枚試作。
5月には、一般参加者も募ってまち歩きワークショップを行った。

「まちなかで展示やイベントなど何かやろうとしていることはわかっていたから、
にぎやかなすすきのや狸小路でどう見えるかなと。
グラフィックを場所から切り離すのではなく、実際に試してみたんです。
あえてストイックなデザインで日常空間と隔てる手もありますけど、
やっぱりそっちの方向性ではないなとか、
けれど単に目立つだけでは一般の人の興味は引かないなとか、実感としてわかりました」

まちなかでポスターや看板がどんなふうに見えるか考える、まち歩きワークショップ。

メインビジュアルやシンボルマークは、その芸術祭を象徴する「顔」だ。
ポスターやチラシ、ウェブサイトなどのメディアに載って広報的役割を担い、
まちなかや野外などでは会場の目印となり、グッズなどにも展開される。

「芸術祭はたくさんあるけれど、各地事情が違う。
札幌では都市機能がしっかりあり、そこに新たな軸を入れることになるので、
混ぜつつも竣立させるにはどうしたらいいかと。
こうして、その場でできる最善のことをしてみて、
それをつないでいくようなプロセスを経て、いまのデザインが生まれたんです」

メインビジュアルも数パターンある。

どの印刷所でもできるよう、
C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)という色材の三原色に加えて、
R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の光の三原色も
印刷適性を考慮して新たな色へと変換し、基本の6色を用意した。
そのことで、6色の色面の割合や形、“ズレ”たようなリズムのある
黒や白抜きの文字を、パズルのように組み合わせるデザインが可能になった。

組み合わせには数パターンあり、それは芸術祭を象徴する
大風呂敷プロジェクトとも印象が重なり、変化があっても「SIAF」だと認識できる。
また、モエレ沼公園、札幌芸術の森など、
会場ごとにメインの色が顔を出すように変化しているが、
それらはそれぞれの現場をよく知る人と決めており、
プロセスに参加した全員にとっておもしろく愛着の湧くデザインとなった。

じいちゃんばあちゃんを ストリート感覚の写真集に! 『鶴と亀 禄』発売

日本のおじいちゃん・おばあちゃんが
ヒップホップスタイルでグラビアに!

長野発の衝撃のフリーペーパー『鶴と亀』が、このたび株式会社オークラ出版より
集大成となる写真集『鶴と亀 禄』として発売されました。
発売日当日には2,000冊を超える注文が集まるという、
大注目の1冊になっています。

『鶴と亀』は、長野県飯山市に住む小林兄弟(兄=徹也、弟=直博)が
制作してきたフリーペーパー。
おじいちゃん・おばあちゃんををHIPHOP、ストリートカルチャーの視点から切り取り、
2013年8月の創刊後、現在までに5号を刊行。
日本全国の書店やカフェ、ゲストハウスなど約200ヶ所以上で配布を行ってきました。

斬新な内容が話題を呼び、配布する約10,000部はすぐに品切れ。
このたびの写真集の刊行に繋がりました。
フリーペーパーでは表現できなかった数々の特別企画も収録しています。

紙面でおなじみの企画、「お薬調査」「謎の施設への潜入レポ」
「パンチライン」「ファッション特集」。
ほか、じいちゃんばあちゃんたちの伝説エピソードを漫画化したり、
長野を飛び出し、北は秋田、南は沖縄へと飛んで現地のじいちゃんとばあちゃんを
取材したり……。聞いたことない方言、未知の風習など、
波乱万丈の取材になったんだそう。

〈鉄工島FES〉開催!
鉄工のまち、大田区「京浜島」で
いま何が起きている?

東京の小さな人工島「京浜島」

東京にしばらく住むと、ある程度の地理感が身についてくるものだ。
TVや雑誌でまちの雰囲気を知ったり、こんなお店があるんだ、と足を運んでみたり。

そんなふうに、いつの間にか慣れっこになってしまう東京にも、
名前を聞いても、どんなまちなのかイメージしにくい場所がある。
大田区の湾岸エリアにある「京浜島」は、まさにそれだ。

そんな京浜島が、注目を集めつつある。
昨年、シェアアトリエと作品展示スペースを併設したアートファクトリー
〈BUCKLE KÔBÔ(バックルコーボー)〉がオープンし、
今年の秋には、芸術・音楽・映画・キャンプなどのジャンルを融合させた
アートの祭典〈鉄工島FES〉が開催される。

なにやらおもしろくなりそうなエリアだが、そもそも京浜島ってどんな場所? 
いったい何があるのだろう? 
知られざる東京の小島に、一歩足を踏み入れてみた。

image by Tohru Matsushita

京浜島にオープンしたアートファクトリー〈BUCKLE KÔBÔ〉とは?

羽田空港の隣に位置する、面積1.03平方キロメートルの人工島、京浜島。
戦後、近代化を目指した企業が移転し、鉄工を中心に工業団地として栄えた島だ。
しかし、機械化と低コスト化が進み、昔ながらの職人の手を必要としなくなったいま、
大田区内ではこの30年で約40%の鉄工所が衰退。
島のいくつかの工場跡地も、廃棄物処理場や
リサイクルセンターに変わりつつあるという。

そんな京浜島に、BUCKLE KÔBÔが参入したのは2016年。
ここの運営を担い、鉄工島FESの実行委員でもある、
〈寺田倉庫〉の伊藤悠さんに話を聞いてみた。

BUCKLE KÔBÔの2階ギャラリー。これまでに多くの作品展示やアートイベントを実施。

「京浜島って、大型の工場が多いんです。
でも空きスペースになったとき、その大きさゆえに使える会社がなくて、
ごみ処理場やリサイクルセンターになっていくそうなんです。
ものづくりの島が、かつてつくったものを処理する島になっていく現状を知ったとき、
リサイクルの価値の転換とか、空きスペースをおもしろく使えるアイデアとか、
発想の転換みたいなことをしてみたくって」

もともと寺田倉庫が見つけた、2階建ての〈須田鉄工所〉の空きスペースを
アートファクトリーにする案が立ち上がり、クラウドファンディングを開始。
クリエイターやミュージシャンなどを含む、83人のメンバーが賛同し、
目標金額を大きく上回ってスタートしたという。

BUCKLE KÔBÔで開催した「GROUP EXHIBITION『SCENERY』」の展示風景。

BUCKLE KÔBÔの1階は、ひとつの大きな空間を
アーティスト同士で譲り合って使うシェアアトリエ、
2階は、作品展示・イベントスペースや、BUCKLE KÔBÔ事務所になっている。

シェアアトリエで制作した大型作品。アトリエには壁がない分、都内ではなかなか実現が難しい大きな作品の制作が可能だ。(Akira Fujimoto “2021” 3600×10000mm wood 2016)

工業専用地域である京浜島は、音や火を出すことへの規制が比較的ゆるいエリア。
そういった地域的メリットもBUCKLE KÔBÔの魅力のひとつ。
さらに1階の隣のスペースには、現役の旋盤工職人が火花を飛ばしながら、
半導体部品などの製造に精を出している。

現在、シェアアトリエで大型作品の制作に取り組むアーティスト根本敬。その隣の工場では、旋盤工の職人が半導体部品をつくっている。

BUCKLE KÔBÔオープン後、京浜島で働く人にも、おもしろい波及が。

「ここで制作した作家の作品が上野の美術館に展示されたとき、
わざわざ上野まで作品を観に行ってくれた方もいて。
あと、アーティストの壊れた自転車を、鉄工組合の方が
あっという間に直してくれたこともあったみたいです(笑)」

アーティストも、鉄工所の人も、同じものづくりをする人同士。
それぞれに影響し合うものがあるのかもしれない。
京浜島に関わる人のあいだで、ほんの少しの変化が起こりつつあるようだ。

芸術祭って、子どもも楽しめる!?
キッズと巡る札幌国際芸術祭2017
リアルレポート

1日目はモエレ沼公園へ。バルーンの中をかけまわって

子連れで展覧会に足を運ぶのは、かなり骨が折れる。
親からすれば、騒いで走り回らないかとヒヤヒヤするし、
子どもからすれば、退屈でもその場にいることを強いられるし、
ハッピーだった思い出は正直ほとんどない。

けれど筆者はアートやデザイン専門の編集者。
この夏開催中の札幌国際芸術祭(SIAF)2017は、
北海道在住の身としては必ず見ておきたいイベントだ。

ということで、きっとハプニングが起こるだろうなぁと不安を抱えつつも、
土日を使って思い切って出かけることに。
SIAFの会場の中でも、子どもが喜びそうな場所を選ぶことにし、
1日目はモエレ沼公園、2日目は円山動物園というプランを立てた。

「今日は、でっかい公園に“風船お化け”を見に行くよ〜」
そんなわたしの誘いに、3歳の娘は大はしゃぎ。
しかし、小学1年生の息子は疑いの眼差しを向けている。
彼は幾度となく、わたしにつき合わされて、
アート関連のイベントやシンポジウムに連れていかれているので、
「またか!」といった顔つきだ。

乗り気でない息子に、噴水や水遊びができる場所もあると言い聞かせ、
なんとか出発することができた。

モエレ沼公園は、わたしの住む岩見沢から車で1時間ほどのところにあり、
彫刻家イサム・ノグチが設計した約189ヘクタールにもなる超巨大な公園だ。

〈ガラスのピラミッド〉内部にある黄色いバルーンは、松井紫朗による『climbing time / falling time』。

メイン会場となる〈ガラスのピラミッド〉のガラス越しに見えるのは、
高低差16メートルにもなるバルーンを用いた
松井紫朗の作品『climbing time / falling time』。
「ほら、“風船お化け”があるよ〜」と言うと、
子どもたちはワーッと歓声を上げながら屋内へと駆け込んでいった。

大友良英+青山泰知+伊藤隆之『(with)without records』。

ガラスのピラミッドの中では、不可思議な音が響いていた。
大友良英+青山泰知+伊藤隆之による『(with)without records』は、
市民が金属やプラスチックなどの素材を自由に組み合わせて、
ノイズを発する楽器につくり変えたレコードプレーヤーを約100台設置した作品だ。

遠くにあったプレーヤーが音を発していたかと思うと、
急に近くにあるプレーヤーが動き出したり。
子どもたちは、どのプレーヤーが音を出しているのか見つけるのに夢中。

「ここ鳴っているよ〜!」と、教えてくれる子どもたち。

2階にのぼって展示室を抜けると、またもや駆け出す子どもたち。
松井紫朗のバルーンの中に入ることができたのだ。
あたり一面黄色い世界。広いのか狭いのか距離感がつかめず、
いままで体験したことのないような、言葉で言い表すのが難しい感覚がわきあがる。
子どもたちはトンネルの中でキャッキャと笑いながら、何往復もしていた。

3階にもバルーン内部に入ることのできるトンネルが。ワーッと騒ぎながら走り去る。

レコードプレーヤーを発見。「ここにもあった!」と大喜び。

予想以上に楽しい体験だったようで、「次はなにがあるの?」とワクワク顔。
ああ、普段行く展覧会では、「早く帰ろ〜」と文句ばかりだが、
今日は生き生きとした表情を見せてくれたので、ホッと胸をなで下ろし……。

しかし、この会場の最後の展示室で3歳の娘は号泣した。

ARTSAT×SIAFラボによる
『Sculpture for All of the Intelligence 全知性のための彫刻』は、
室内が真っ赤なライトで照らされ、巨大な鉱石検波ラジオが
宇宙から受信したという電波音を鳴り響かせる。
この衝撃を感じる電波の音が、とにかく怖かったようで、
順路を逆走しようとする娘をつかまえて、目をつぶらせて部屋を走り抜けた。

ARTSAT×SIAFラボ『Sculpture for All of the Intelligence 全知性のための彫刻』。中央には正24胞体の「4次元プラント立体」が置かれている。

部屋の外でも娘はワンワン泣いていたが、出口になんと“救世主”が。
救世主とは、SIAF2017の子ども向けスタンプラリー。
泣いていた娘はスタンプを押したら、あっというまにご機嫌に……(助かった)。

「おばけのマール」とコラボしたSIAF2017のスタンプラリー。会場を巡ってスタンプを集めると、オリジナルグッズがもらえるというもの。