札幌国際芸術祭(以下、SIAF)2017のテーマは「芸術祭ってなんだ?」。
それに呼応し、芸術祭にまつわるデザインも
「デザインってなんだ?」という問い直しから始まった。
カラフルなグリッドに文字が踊る芸術祭のメインビジュアルや
シンボルマークはどうやってつくられたのか、
また、そこから派生した、小学生デザイナーによる
ラッピング電車〈SIAF号〉はどう生まれたのか。
さらに札幌のデザインの歴史をたどる展覧会『札幌デザイン開拓使
サッポロ発のグラフィックデザイン~栗谷川健一から初音ミクまで~』まで。
これら一連の「札幌国際芸術祭デザインプロジェクト」について、
SIAFの“バンドメンバー”と呼ばれる企画メンバーのひとり、
アートディレクターの佐藤直樹さんの話を交えて紹介しよう。

芸術祭のメインビジュアルやシンボルマークはこうして生まれた
ゲストディレクターの大友良英さんから、アートディレクターの佐藤直樹さんに
SIAFのアートディレクションが依頼されたのは、開催の1年半以上前。
大友さんの2009年のプロジェクト
「ENSEMBLES 09 - 休符だらけの音楽装置」でもデザインを担当した佐藤さんは、
展覧会をつくる一員となってデザインを考えていくような人だ。
「大友さんが多様性のある芸術祭にしたいと言っているのに、
外から来たひとりのデザイナーが統括的にデザインして、
その成果物をみんながただ使うというのはちょっと違うなと。
札幌のデザイナーをはじめ地元の人たちと、
ワークショップなど共同作業を通じて組み立てていこうと思いました。
その過程を重視し、開催期間に合わせてデザインも変化させていく。
プロジェクトとして1年半くらいかけて制作していったんです」

バンドメンバーのひとり、アートディレクターの佐藤直樹さん。
こうして2016年4月から「札幌国際芸術祭デザインプロジェクト」がスタート。
〈ワビサビ〉の工藤“ワビ”良平さんと〈COMMUNE〉の上田亮さんほか、
札幌で活動するデザイナーや来場者が意見を交わす
「SIAFデザインミーティング」が数回行われた。

札幌のクリエイティブサロン〈MEET.〉で開催された「第1回SIAFミーティング」。
メインビジュアルやシンボルマークは、まだ芸術祭の参加アーティストや
作品、展示場所、制作予算も確定していない時期から使用を求められる。
佐藤さんは「キーカラーや単一のマークといった
ひとつのアイデンティティを決めるのではないやり方」を模索し、
まず全面に1色ずつ蛍光色を使った大きなボードを数枚試作。
5月には、一般参加者も募ってまち歩きワークショップを行った。
「まちなかで展示やイベントなど何かやろうとしていることはわかっていたから、
にぎやかなすすきのや狸小路でどう見えるかなと。
グラフィックを場所から切り離すのではなく、実際に試してみたんです。
あえてストイックなデザインで日常空間と隔てる手もありますけど、
やっぱりそっちの方向性ではないなとか、
けれど単に目立つだけでは一般の人の興味は引かないなとか、実感としてわかりました」

まちなかでポスターや看板がどんなふうに見えるか考える、まち歩きワークショップ。
メインビジュアルやシンボルマークは、その芸術祭を象徴する「顔」だ。
ポスターやチラシ、ウェブサイトなどのメディアに載って広報的役割を担い、
まちなかや野外などでは会場の目印となり、グッズなどにも展開される。
「芸術祭はたくさんあるけれど、各地事情が違う。
札幌では都市機能がしっかりあり、そこに新たな軸を入れることになるので、
混ぜつつも竣立させるにはどうしたらいいかと。
こうして、その場でできる最善のことをしてみて、
それをつないでいくようなプロセスを経て、いまのデザインが生まれたんです」

メインビジュアルも数パターンある。
どの印刷所でもできるよう、
C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)という色材の三原色に加えて、
R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の光の三原色も
印刷適性を考慮して新たな色へと変換し、基本の6色を用意した。
そのことで、6色の色面の割合や形、“ズレ”たようなリズムのある
黒や白抜きの文字を、パズルのように組み合わせるデザインが可能になった。
組み合わせには数パターンあり、それは芸術祭を象徴する
大風呂敷プロジェクトとも印象が重なり、変化があっても「SIAF」だと認識できる。
また、モエレ沼公園、札幌芸術の森など、
会場ごとにメインの色が顔を出すように変化しているが、
それらはそれぞれの現場をよく知る人と決めており、
プロセスに参加した全員にとっておもしろく愛着の湧くデザインとなった。





















































































































