〈佐藤茅葺店〉 日本の風景に茅葺屋根を。 そんな夢から生まれた “運べる茅葺小屋”
夏涼しく、冬暖かい茅葺屋根の家。
秋田県に、そんな茅葺屋根の小さな小屋をつくっている方がいます。
それがこちらの「運べる茅葺小屋」。

サイズは2種類。大きなサイズでも分解すれば軽トラック1台で運べます。(※サイズはご希望に合わせて変更可能)

なんとも可愛らしいですね! 使い方は犬小屋として、
展示会のブースとして、遊具として……などなど、自由。
屋根の素材は「穂わら」「ススキ」「ヨシ」の3種類から選べます。

こちらを手がけたのは、秋田県〈佐藤茅葺店〉の佐藤偉仁(ひでと)さん。
屋根部分は佐藤さんが、組み立て式の木の土台は宮大工の方が
ひとつずつ手作業でつくっているそうです。

〈佐藤茅葺店〉佐藤偉仁さん。
じつは現在、新たに茅葺き屋根を設置することは、消防法により、
特定の観光エリアにある特例区でしか認められていないのだそう。
茅葺屋根を見かけない理由は、日本人の暮らしが変わったから
という理由だけではなかったんですね。
そんな茅葺屋根に惹かれた佐藤さんは
「減っていく一方の茅葺屋根を次の世代の景色に残したい」
という思いから宮城県石巻市にある〈熊谷産業〉で修業。
2006年に独立し、地元、秋田に佐藤茅葺店を開業しました。

茅をしまっておく茅小屋。
佐藤さんは、茅葺きの「茅」から自分たちの手でで育てているのだそう!
「現在は家業の稲作りと兼業しながら、自分たちで茅を育て、
ふたりの弟子とともに地元をはじめ、全国の茅葺屋根の工事に赴いています。
現在では新築で設けられるエリアが限られているため
補修工事が主ですが、一般住宅から重要文化財の
屋根工事にまで携わっています」(佐藤さん)
こちらは、佐藤さんのご自宅。

「自宅は風景の一部ような家にしたいと思って建てました。
全体の設計は知り合いの建築家の方に依頼し、
茅葺部分や茅葺小屋は佐藤茅葺店でつくりました。
景色がいいので、庭でおにぎりを食べても、おいしい気がします(笑)。
贅沢な生活をさせていただけて、ありがたいです。
子どもたちも伸び伸びと育てばいいなと思っています」(佐藤さん)
サスティナブルな建材から燃料まで! 広がる「茅」のメリット

とっても魅力的な茅葺屋根の家。
佐藤茅葺店の佐藤さんに、どんなメリットがあるのか聞いてみました。
「茅葺屋根は湿気の調整をしてくれ、天然のエアコンのような
役割をするので、夏は涼しく、冬は暖かく過ごせます。
雨の日は屋根にあたる雨の音がしなくて、静かです。
建築素材としても大きなメリットがあり、
屋根で使った茅は畑のたい肥にでき、そこでまた茅を育てて屋根に
使える、サスティナブルな素材です。
それからヨーロッパではバイオマス燃料として利用されていたり、
水辺に生えるヨシは過剰な栄養を吸い取ってくるので、
水質の改善にも使われています。
何より茅葺の屋根は、他の素材では出せない温かみのある外観と、
入った時の癒される感じが魅力ですね」

農機具小屋は子どもたちの格好の遊び場
佐藤茅葺店では「こんな風に茅を使ってみたい」「こんな遊具をつくってみたい」
などといった、茅の新しい使い方の相談にものってくれるそう。
また、全国の文化財住宅や神社などでも、佐藤さんの仕事を見ることができます。
詳しくは公式サイトやFacebookをチェックしてみてくださいね!

佐藤茅葺店が修繕を手がけた〈旧大石家住宅〉(東京都江東区 仙台堀川公園内ふれあいの森)。江戸時代に建てられた区内最古の民家建築です。毎週土曜・日曜・祝日の10時〜16時まで見学もできます。(年末年始と月曜〜金曜は公開していません)
