長い歴史と独自の文化を持ち、豊かな自然にも恵まれた日本を代表する観光地・鎌倉。
年間2000万人を超える観光客から、鎌倉生まれ鎌倉育ちの地元民、
そして、この土地や人の魅力に惹かれ、移り住んできた人たちが
交差するこのまちにじっくり目を向けてみると、
ほかのどこにもないユニークなコミュニティや暮らしのカタチが見えてくる。
東京と鎌倉を行き来しながら働き、暮らす人、
移動販売からスタートし、自らのお店を構えるに至った飲食店のオーナー、
都市生活から田舎暮らしへの中継地点として、この地に居を移す人etc……。
その暮らし方、働き方は千差万別でも、彼らに共通するのは、
いまある暮らしや仕事をより豊かなものにするために、
あるいは、持続可能なライフスタイルやコミュニティを実現するために、
自分たちなりの模索を続ける、貪欲でありマイペースな姿勢だ。
そんな鎌倉の人たちのしなやかなライフスタイル、ワークスタイルにフォーカスし、
これからの地域との関わり方を考えるためのヒントを探していく。

「裏駅」と呼ばれる鎌倉駅西口から広がる御成通り。観光客で賑わう小町通りなどとは対象的な落ち着いた雰囲気の商店街の中に、カヤックのオフィスや〈まちの社員食堂〉がある。
以前にコロカルでも紹介された「カマコン」は、
鎌倉に拠点を置くIT企業の有志たちによって立ち上げられた
地域活性のプラットフォームだ。
2013年に始まったこの取り組みは、いまやIT企業の枠を超え、
多くの参加企業、会員を抱えるまでに成長し、
そのユニークな取り組みは、全国30を超える地域に派生している。
このカマコンの立ち上げにあたり、中心的役割を担ったのが、
〈面白法人カヤック〉の代表・柳澤大輔さんだ。

カヤックをはじめ鎌倉に拠点を置くIT企業の有志によってスタートしたカマコン。毎月行われる定例会では、市民たちがまちに関わるさまざまなプロジェクトのアイデアをプレゼンテーションしている。(写真提供:カマコン)
ゲーム、広告、Webサービスなどの分野でユニークなコンテンツを制作するともに、
サイコロによって給与が変わる「サイコロ給」や、
全国を移動するバスの中で行う「旅する会社説明会」などの取り組みでも
話題を集めてきた同社は、2014年に上場を果たし、
いまや日本を代表するIT企業のひとつだ。
そんなカヤックは創業以来、先に触れたカマコンのみならず、
鎌倉のまちとの関わりを一貫して大切にしてきた企業でもある。

クラウドファンディングで資金の一部を集めた第69回鎌倉花火大会。カヤックが制作した特設サイトでは、クラウドファンディングに参加したユーザーたちのメッセージが、花火のように打ち上げられるという粋な趣向が凝らされた。(画像提供:カヤック)
近年では、一旦中止が決まった2017年の鎌倉花火大会において、
市民主導による実行委員会の立ち上げに関わり、
「復活開催」の実現に大きく寄与するなど、時に地域企業の代表として、
時に一市民としてまちに関わってきた柳澤さんは、
2017年に「鎌倉資本主義」という新しい概念を提唱。
そして2018年4月には、〈まちの社員食堂〉
〈まちの保育園 かまくら〉をオープンするなど、地域活動を加速させている。
ステレオタイプな企業の地域貢献活動とは一線を画し、
まちと企業の関係性を更新するカヤックの取り組みについて聞くために、
鎌倉中心部にオープンした、まちの社員食堂と、まちの保育園 かまくらを取材した。

鎌倉駅からほど近い本覚寺に隣接する民家をリノベーションしてつくられた〈まちの保育園 かまくら〉。(写真提供:加藤忠雄/株式会社ウェイ)