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posted:2018.6.13 from:秋田県酒田市 genre:活性化と創生
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writer profile
Yuka Nakamura
中村由香
なかむら・ゆか●東京都出身の江戸っ子。スイーツ研究家。おやつ番長と言われること十何年。世界中のお菓子を探し訪ねています。温泉とサッカー好きでもあり、サッカーを通じて日本中世界中を訪ねています。
酒田の夜はこれからもにぎやかに!
山形県酒田市にある、〈Night Spot 白ばら〉。
築59年、朽ちかけたキャバレーがクラウドファウンディングで
華麗に復活したレンタルホールです。
今どきの人だとちょっと想像しづらいかも知れません。
ショーを見ながらお酒を飲む。
例えば、赤坂のミカド……これも35年前になくなっているそうで、
有楽町日劇……。ギリギリわかってもらえそうなのは宝塚のイメージでしょうか?
東京でもかなり華やかな時代がありました。
日劇でレビューを見た親御さんはまだいらっしゃるのではないかしら?
そんな華やかな世界が東北にもあったのです。
「白ばら」は1958年(昭和33年)、山形県の日本海側、港町・酒田市に創業し、
昭和文化円熟の時代に連日連夜満員御礼を記録したグランドキャバレーです。
そんな「白ばら」も、著しい老朽化と遠のく客足に、とうとう閉店という
苦しい選択を余儀なくされました。
2年半前の12月……その悲報はYahooニュースのトップにも報じられたそうです。
このころ、札幌のクラブが閉店してしまったために、
この白ばらが日本最北の現役キャバレーとなっていたのに、です。
閉店する2年前、現オーナーとなる佐藤仁さんと
酒田市出身の上々颱風(しゃんしゃんたいふーん)ヴォーカル・白崎映美さんが
朽ち果てた建物に潜入。どうなっているのか、ただの怖いもの見たさでした。
眼前に広がっていたのは華やかな南国の世界。
椰子の木が生い茂り、きらびやかな電飾に飾られたステージが目に飛び込んできて思わず息を飲み込みました。
天井は高く、アールデコ調のシャンデリア。
ソファーは滑らかなビロード張り、格を感じさせる重厚な空間。
交通の便も悪い東北の地方都市だからこそ細々と存在し続けてきた、
昭和の大衆文化遺産だったのです。
すべてが昭和の艶めかしさを色濃く残し、様々な人生劇場が繰り広げられてきたのだろう、
というここに1歩足を踏み入れた佐藤さんと白崎さんは、
このオーラをまとった重厚な空間の虜になってしまったのです。
しかし、この店がもうすぐ閉店するという話しもあり。
どうにかして存続させよう、どうしたらいいだろう?
と悩む日々が続きました。
佐藤さんは、白ばら未経験者を誘ってはファンを増やし育てる活動を始めました。
白崎さんは地元新聞で担当していたコラムのコーナーで「白ばら」を
守ることの大切さを執拗に(笑)宣伝したり、
テレビでも紹介されたりといったメディアの協力もあり、
ようやく「白ばら」の存在の希少性が地元山形で認知され始めました。
彼女が熱演する伝説のキャバレーナイトショーも実現しました。
が、そんな努力も虚しく経営難は解消されず閉店を迎えたのでした。
それでも諦めないで残そうと考えぬき、レンタルホール、貸しライブ会場として
どうにか維持費を捻出していこう、と佐藤さん達有志は進み始めました。
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レンタルホールなどで維持費のめどが立ったある日、
またもや困難が立ちはだかりました。消防署から
「自動火災報知器と煙探知機、誘導灯の新規設置」をするよう指導が入ったのです。
その金額、なんと350万円。維持費で精いっぱいだった白ばら、
ついに窮地に立たされたか? の状態になりました。
そこで考えついたのがクラウドファンディングです。
これまで行政にも支援をお願いしたことはなく、市民有志が関われる
範囲で気持ちと資源を持ち寄ってここまで頑張ってきました。
Save the 白ばらのジャンヌダルクとなる白崎映美さんは
「白ばらキャバレーナイトショー」実現に向けて奔走します。
くち果てそうな建物をクラウドファンディングという発想で
よみがえらせるというのがなんとも凄い発想ではありませんか。
人事は尽くしました。あとは天命を待つのみです!
クラウドファウンディングのメニューはさまざま。
3000円の「Save the白ばらメンバーズカード送付」は46人が登録。
10000円の「Save the 白ばらオリジナルTシャツ」、
「特別編集DVD「Reborn the SIROBARA」(エンドロールにご芳名入!)」には
114人が登録しました。
ほかにも5000円、15,000円のコースもあり、
150,000円になるとなんと白ばら一日貸し切り(機材、スタッフ付き)が
出来るという太っ腹。これにも2名の方が賛同してくださいました。
クラウドファウンディングは、趣向を凝らした内容で、
あっという間に目標とした350万円に達しました。
今でもこのクラウドファンディングは「人気急上昇のクラウドファウンディング」の1つとして名前を残しています。
山形のひかりは消えていなかったのです。
もちろん、これからがスタートですが、佐藤さんはじめ市民の皆さんも
われもわれもとイベントを自分たちで行うようになり、
楽しみながら存続されることになりました。
今後、山形酒田へいくことがあったら夜の予定をチェックするといいかも知れません。
その夜、楽しいイベントが入っているかも知れませんよ。
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Night Spot 白ばら
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