国内外に広く知られる伝統工芸の工房が集まる岩手県南地域。
全国的に継承者が減り続ける中、ここに拠点を構える若き職人たちが集い、
これからの伝統工芸や職人のあり方を模索し、
チャレンジする過程で生まれた〈平泉五感市〉。
2016年、2017年と開催されたこのイベントは工芸体験ができ、
郷土料理や各社の美しい工芸品も販売された。(vol.10参照)
今回は、現場さながらの体験ができるこのイベントの運営に携わる
職人たちの工房を訪ねました。
丸三漆器
今の課題は、どこでどう売るのか

右から〈丸三漆器〉の5代目・青柳 真さんと塗師で弟の青柳匠郎さん。
vol.10の記事で紹介した平泉の〈翁知屋〉(おうちや)と共に、
平泉に伝わる漆器〈秀衡塗〉(ひでひらぬり)の工房〈丸三漆器〉。
明治37年、一関市大東町を拠点に御膳造りを主とした
「丸三漆器工場」として創業して以来、木地、下地、塗り、絵付けと
一貫した生産工程を持つ数少ない工房として知られている。

木地は、地元周辺の材料を中心に岩手県産材にこだわっている。
「今はうち1軒だけになってしまいましたが、
大東町はかつて何軒か工房が建ち並ぶ秀衡塗の産地だったんですよ。
その名残りもあり、うちはお碗のセットや重箱など平安時代から伝えられてきた
伝統的な商品を大切に継承しつつ、先代の時代からガラスの漆器づくりなど、
現代の生活様式にフィットする新商品の開発にも力を入れています」
そう話すのは、5代目の青柳 真さん。
塗師として工房を支える弟の匠郎さんと二人三脚で、
100年以上続く〈丸三漆器〉のこれから100年のあり方を日々模索し続けている。
現在いちばんの課題は、販路開拓と職人の確保。


敷地の中を川が流れていて風情がある。
「地元百貨店の売り場や全国の百貨店の催事での販売が中心でしたが、
百貨店自体の売り上げの低下などとあいまって、
売り上げは減り続けているのが現状なんです。
インテリアショップやエキナカなど新規販路の開拓、ホテルや飲食店への納入など、
僕を中心に販路の見直しに取り組んでいます。
それから、今はほぼ家族経営になってしまっているのですが、
若い職人希望の人にきてもらえるように、環境を整えていきたいですね。
秀衡塗は工房ごとにしか教える場所がないので、
平泉の〈翁知屋〉さんとも連携しながら、
職人になりやすい環境をつくっていければと思っています」

全国の漆塗り工房に先駆け、10年ほど前に先代が開発した〈漆グラスシリーズ〉。普段使いにも贈り物にも使え、同社を代表するヒット商品になった。ほぼ家族経営だった〈丸三漆器〉に6年前に新卒として入社した菊地優太さん。同社で一から技術を習得し、現在は塗師として活躍している。
岩谷堂タンス製作所
大切なのは、続けること、伝えること、変化すること

10年ほど前に東京から帰郷して家業を継いだ〈岩谷堂タンス製作所〉の専務取締役・三品綾一郎さん。
〈秀衡塗〉と並び、もともと〈いわて県南エリア伝統工芸協議会〉の
主要メンバーだった〈岩谷堂箪笥〉。
一関市や平泉町の北に隣接する奥州市に工房を構える
〈岩谷堂タンス製作所〉の13代目三品綾一郎さんは
現在、副会長として同イベントの運営に関わると共に、
自身の工房でも積極的に新しい取り組みを始めている。

ショールームには、伝統的な仕様から足付きの家具や照明器具など、多くの商品を実際に見ることができる。江戸時代には火事や洪水がおこると家財道具を箪笥にまとめて避難していたため、滑車がついていたというアンティークのものも展示。

工房は、大きく木工と塗りのふたつに分かれている。右手に並んでいるのは、これまで制作したすべてのタンスの寸法がわかる木の物差し。「やまびこ」など商品名が書かれていておもしろい。












































































































