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陸前高田を舞台にした映画
『あの街に桜が咲けば』
製作陣がクラウド
ファンディングに挑戦!

コロカルニュース

posted:2018.1.10   from:岩手県陸前高田市  genre:活性化と創生

〈 コロカルニュース&この企画は… 〉  全国各地の時事ネタから面白情報まで。
コロカルならではの切り口でお届けする速報ニュースです。

writer profile

Yu Miyakoshi

宮越裕生

みやこし・ゆう●神奈川県出身。大学で絵を学んだ後、ギャラリーや事務の仕事をへて2011年よりライターに。アートや旅、食などについて書いています。音楽好きだけど音痴。リリカルに生きるべく精進するまいにちです。

岩手県陸前高田市を舞台にした映画『あの街に桜が咲けば』の製作スタッフが
新しい映画をつくるため、クラウドファンディングに挑戦しています。

『あの街に桜が咲けば』で焦点をあてたのは、津波到達地点に桜を植樹し、
後世に津波の被害を伝えていくことを目指す〈認定NPO法人 桜ライン311〉の活動。
桜ライン311のメンバーや戸羽太陸前高田市長をはじめとする方々へのインタビューを通して、
震災を経験した人たちの強く生きる姿を伝えています。
インディーズドキュメンタリー映画としては異例の全47都道府県上映を達成しました。
(予告編はこちらから)

新たに計画中の映画では桜ライン311のその後を追いながら、
東京、熊本などへも取材を重ね、ひとりでも多くの人に防災意識の
大切さを伝える映画をつくりたいと考えているそう。

監督は〈やろうよ!こどもぼうさい〉代表・防災士の山崎光さんと
『あの街に桜が咲けば』監督の小川光一さん。

〈やろうよ!こどもぼうさい〉代表・防災士の山崎光さん(左)と『あの街に桜が咲けば』監督の小川光一さん(右)。

おふたりが目指しているのは、恐怖心をあおらず、
自然と「大切な人を守るために、防災と向き合わなきゃ」と思えるような映画。
もともと「防災アレルギー」だったという山崎さんは、
映画『あの街に桜が咲けば』と出会って、そこから伝わってくる温かいメッセージに感動し、
「自分も防災映画を作りたい」と思い始めたといいます。

「地震を引き起こす原因となる活断層は、日本各地の下に約2000以上あるといわれています。
台風だって来るし、火山だってあります。災害大国と呼ばれる日本に住む以上、
“自分もいつか大災害に遭遇するかもしれない”と自覚する必要があります。
しかし、だからといって災害に怯える必要はないんです。
大切な人を失ってから後悔しないように、大切な人のために防災をする。
防災の動機は、恐怖でなく、もっと温かいものであるべきだと思います」(山崎さん)

新しい映画の企画は、そんな山崎さんが
小川さんに「一緒に映画をつくりましょう!」と声をかけられたことからスタートしたのだとか。

新しい映画の主題歌はロックバンド〈butterfly inthe stomach〉が手がけることに決定。

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「達成感はなかった。それでも闘い続けたい理由」小川監督が改めてメガホンをとるわけ

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『あの街に桜が咲けば』監督の小川さんは、
2011年3月から約7年間陸前高田に通い続けて映画をつくり、
全国各地で上映と講演を重ねてきました。
小川さんは、同映画の公式サイトにこんなメッセージを寄せています。

「震災のドキュメンタリーと聞いて身構える人も多いかもしれません。
ただ、僕はもっと根本的な“大切な人を守る力をあなたは持っているのか”という
問いを優しく詰め込んだ、そのような映像を作ったつもりです。
大切な家族や恋人、友人と一緒に各会場に足を運んで頂けると幸いです。
僕も求められる限り全会場に駆け付け、お話させていただきます。
1人でも多くの方が、この映画を見て、減災・防災に関心を強めてくれたら、
そう心から願います。そして、いざ何処かの街で災害が起きた時、
大切な命を守れる方が、1人でも増えますように。本当にそれだけです」(小川さん)

でも小川さんは、47都道府県をまわり終えても達成感は感じられなかったといいます。

「その理由はわかっていました。日本全国で防災の大切さを主張している最中、
以前に上映会を開催した街が甚大な災害に遭うという体験を何度も味わったのです。
“うちの県は災害が少ないからね”と来場者に謎の安全アピールをされることも多いんですが、
後日まさにその場所で災害が起きた時には、本当に心が折れました。
“防災なんて伝えたところで意味がないのかも”と悩み倒しました」(小川さん)

度重なる災害のニュースに何度も挫折感を味わった小川さんでしたが、
うれしい反響もありました。熊本で大きな災害が起きた後には、
「映画を観たおかげで、あわてずに避難できたよ」などなど、
多くの方から感謝の連絡があったといいます。

「陸前高田の思いを確かに受け取った僕がいたように、
僕の思いを確かに受け取ってくれていた人もいたのです。
きっと今回の新しい挑戦にも、意味がないと感じる瞬間、
意味があると感じる瞬間、どちらも訪れるはずです。
けれど、どっちにしたって僕ができることは“伝え続けることをやめない”、
ただそれに尽きると思っています。
誰かの心の深いところまで届く防災ドキュメンタリー映画をつくりたい。
前作以上にもっと伝えたい。そんな気持ちでいっぱいです。
どうぞ応援よろしくお願いします!」(小川さん)

出演協力が決定している防災スペシャリストの弘中秀治さん(左)、認定NPO法人桜ライン311代表理事 の岡本翔馬さん(中央)、岩手県陸前高田市長の戸羽太さん(右)。(2017年12月現在)

ただいまこのプロジェクトでは、2018年7月の上映スタートを目指し、
「社会にいいこと」に特化したクラウドファンディングサービス〈GoodMorning〉にて支援を募っています。

資金は撮影編集費、取材交通費、機材費、音響費などの映画製作費用に加え、
サイト製作費、広報印刷費などの完成後の運営費用にあてられる予定だそう。

支援のリターン(お礼)は、先行試写会ご招待や、先取り自主上映権セット、
フードコーディネーター、watoさんとみそソムリエ小野敬子さんの監修による
『オリジナル防災食レシピ ミニブック』と防災食、
岩手グルメを楽しみながら企画チームに参加できるコースなどなど。

『オリジナル防災食レシピ ミニブック』の監修者はみそソムリエの小野敬子さん(左)とフードコーディネーターのwatoさん(右)。

そのなかには「あなたが構想するドキュメンタリー作品」を製作してくれるというリターンも。
なんと、小川さんが密着取材をして地域おこし映画などの短編(20分)または長編作品(40分)を破格で製作してくださるそう。
まちおこしのために映像を撮りたいと考えている方は、ぜひチェックを!

山崎さんと小川さんは、この映画が一か所でも多くの都道府県や市区町村、
小学校・中学校・高校で上映され、
ひとりでも多くの方に防災意識の喚起を呼びかけられたらと考えています。
気になられた方はGoodMorningのプロジェクトページをチェックしてみてくださいね。

information

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クラウドファンディングプロジェクト「オリジナル映画を制作して、日本中で上映します!」

共同監督:山崎光、小川光一

Web:クラウドファンディングサイト〈GoodMorning〉

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