岩手県奥州市にある古ビルをリノベーションし、
カフェと託児所が併設された
〈Café&Living Uchida〉(以下ウチダ)をオープンしました。
前回は私が子育てで感じたことや
カフェと託児所をオープンするに至った経緯をお話しました。
第2回目の今回は物件と改装の話をします。
私たちがCafé&Living Uchidaを始めたこのビルは、
もともと額縁や画材を販売する〈アートショップウチダ〉というお店でした。
JR水沢駅の東口で50年もの間営業してきたお店です。
私の年齢よりも遥かに長い間、この場所にあり続けたアートショップウチダ。
家族経営の小さなお店でしたが、額装をお願いしたり、
絵の具を買ったりと数少ないまちの画材屋としてなくてはならない存在でした。

アートショップウチダ営業当時の懐かしい外観。
私自身、同店の近所に実家があり、幼少期を過ごした場所です。
水沢駅裏(東口)には、アートショップウチダがあって当たり前。
まちの風景にとけ込むお店だったのです。閉店の話を聞いた時、
馴染みの風景がまたひとつ失われることに寂しさを感じました。

水沢駅東口(駅裏)の様子。
2016年10月、まもなく閉店を迎える店に挨拶にうかがいました。
これまで一度も入ったことのなかった店内に足を運び、
ほんの数分、店主(現在の大家さん)とお話しして店をあとに。
後にこの場所を借りることになるとは思いもしませんでしたが、
とても雰囲気の良い方だなぁという印象でした。
それから数週間が経ち、シャッターに貼られた閉店の案内を見ると
「あぁ、本当に閉まってしまった」というなんとも言えない寂しさと同時に、
この建物を自分の手でどうにかできないか!
という思いがこみ上げてきました。
このとき、ちょうど新しいかたちの子育ての場所を
つくれないかと考えていたところでした。(第1回参照)
それからすぐに大家さんへ連絡して、私の考えているプランを話したところ、
このビルを改装して使うことを快く承諾してくれて、物件が決まりました。
額縁店として続いてきたストーリーを引き継ぎ、物語の第2章が始まるような、
そんな思いを店名に込めて〈Cafe&Living UCHIDA〉と決めました。

まちぐるみで子育てをしていた昔懐かしさをウチダで見ることができたらいいなと思い描いたイメージ(イラスト:Mako.pen&paper )。
改装コストをできる限り抑えつつ、良い空間をつくるために、
今回は空間デザインと施工の一部を業者に依頼して、
DIYできる部分は自分たちでやる
ハーフビルド形式でリノベーションに挑戦しました。
自分たちでDIYするにあたり、結成した〈チームUCHIDA〉。
メンバーとして声をかけたのは盛岡勤務時代の先輩たち。
みんなDIYは好きですが、施工経験のあるメンバーはゼロ。
素人だらけの店づくりです。

〈チームUCHIDA〉の主要メンバー。左から茂庭甲子、私(川島佳輔)、千葉夏生、久保友佳。
下地や電気工事などは地元工務店に依頼。
空間デザインは長野県に店を構える〈ReBuilding Center Japan〉に依頼しました。
ReBuilding Center Japanは、
解体される古民家などから古材や古道具を回収して販売する会社で、
アメリカのポートランドにある〈ReBuilding Center〉から正式に許可をもらい
日本で活動を始めた会社です。

長野県諏訪のRebuilding Center Japan。建物内にはカフェ、古材売り場、古道具売り場があります。

こちらは古材売り場。レスキューされたたくさんの木材が並べられています。
代表を務める東野唯史さん(以下、アズノさん)とは、
2010年に世界一周の旅中に出会い、帰国後も交流のある友人です。
「地元にお店をつくることがあったら相談して! 協力するよ」
という言葉を7年越しで実現することができました。

リノベーション前のビルで現地調査をするアズノさん。厨房スペースの寸法を計っています。
アズノさんは帰国後空間デザインユニット〈medicala〉として
ゲストハウスなどのデザインを手がけていて、
2016年9月にReBuilding Center JAPANを設立しました。
古材を使った空間はかっこいいのはもちろんですが、
建物のストーリーを大切にしたり、地域の素材を生かした空間づくりで、
良い空間を全国につくっています。(※リノベのススメでも連載)
2017年1月、物件と改装チームが決まり、いよいよ改装がスタート。