名古屋の年に一度の晴れ舞台、 〈みなと祭〉を大フィーチャー。 『ぶらり港まち新聞』 No.09 なつ号

愛知県『ぶらり港まち新聞』

発行/港まちづくり協議会事務局

ぶらり港まち新聞【09】なつ号は、名古屋の港まちの年に一度の晴れ舞台、「みなと祭」を大フィーチャー。まちの人に愛される「みなと祭」をつくる地元のひとたち、大掛かりな屋形、祭りを盛り上げるリーダーの存在などをお伝えします!

ぶらり港まち新聞

http://www.minnatomachi.jp/shinbun/

発行日/2014.8

オーガニックスキンケアブランド Lalitpurの原点、Coffret Project。 「Lalitpur」前編

化粧が精神的ケアにつながる

ネパールでつくられる
オーガニックスキンケアプロダクトを展開するLalitpur(ラリトプール)。
その代表の向田麻衣さんの活動の原点は、
2009年にスタートしたCoffret Project(コフレ・プロジェクト)にさかのぼる。

15歳のときに、ネパールでNGO活動をしていた高津亮平さんの講演会で
話を聞いてネパールに興味をもった向田さん。
17歳になり、アルバイトをして貯めたお金で1か月間ネパールに滞在した。
そこで出会った多くのひとや文化は向田さんの心を惹きつけたが、
当時の「ネパールの支援をしたい」という思いを遂げることは簡単ではなかった。

その後、大学に進学し、就職活動の時期になって将来をじっくり考えたとき、
やはり高校生のときに興味を持ったネパールを思い出し、何か関わりたいと思った。
就職活動を無事終えた向田さんは、残された半年間の学生生活で、
大学の奨学金を得て、フィールドワークに出かける。まずはトルコだった。

さっそく現地の女性にニーズ調査を開始。
最初は、雇用を生むことや、大きな支援になりそうなものを探っていた。
そのなかで“どんな仕事をしたいの?”と聞いたところ、
“いろいろやりたいことはあるけど、アナタのそのポーチの中味が気になる”
という返答があった。
化粧に興味がある女性が、思ったよりも多いことに気がついた。
そこで一度、簡単なワークショップを開催してみた。
女性たちにメイクをしてみると、表情がどんどん変わってくる。

そんな反応を見ていると、化粧が精神的なケアに繋がるのではないか、
という思いが自然と頭に浮かんできた。
こうしてCoffret Projectは、精神的なトラウマを抱えた女性たち、
たとえば刑務所に服役していたひとや
人身売買の被害にあったひとなどを中心に広げていった。
トルコに始まって、フィリピン、インドネシア、ネパールと開催していく。

お化粧の仕方を習うネパールの女性

お化粧の仕方を習うネパールの女性。初めて見る化粧品や道具も多い。写真提供:Lalitpur

現在拠点とするネパールでは、
十代の少女を中心に人身売買が横行している国でもある。
売られた少女たちは国境を越えインドの買春宿に連れて行かれ、
強制労働をさせられる。宿にいる間は、
「ここを出たらあなたたちは生きていけない、価値のない人間だ」と
言い聞かされているために、自信や尊厳が奪われた精神状態にあることが多い。

「はじめは無表情だった女の子たちも、化粧が終わったときに鏡をみると、
少しだけ微笑んだり、変化が生まれます。そういうことを積み重ねていくことで、
凍りついた心が溶けてゆくように感じます」と向田さんは語る。

みんなが化粧をした自分を「かわいい! きれい!」とほめてくれる。
どんどん自信も増してくる。

「それまで一度も声を聞いたことがなかった女の子が
最後に英語で“Thank you”と言ってくれたり」と、
うれしい反応が次々と返ってくるようになった。

Lalitpur代表の向田麻衣さん

新たに始まるメンズ商品や、アメリカ展開など、活動の幅を広げているLalitpur代表の向田麻衣さん。写真提供:Lalitpur

見た目も爽やか、 おもてなしメニュー。 津軽の〈あおばの小川巻き〉レシピ

郷土食を日本の隅々から掘り起こし、記録した名著
『日本の食生活全集』全50巻(農文協)から
料理人・後藤しおりさんが現代の家庭でもおいしく
カンタンに作れるよう再現したレシピを
お届けしている本連載。ぜひ一緒に作ってみましょう!

今回ご紹介するのは『日本の食生活全集2 聞き書 青森の食事』
に掲載されている青森県の食事から。

青森県は三方を海に囲まれ、四季の魚が豊富なところ。津軽の弘前には
古くから魚問屋があり、県内の港でとれた魚が集まってきました。
春にはかわはぎやさば、夏はさざえやまぐろ、秋は鮭やすずき、
冬にはたらやはたはた。村のひとたちは、魚を売り歩く行商人から
魚介類を買っていたんです。

今回チャレンジするメニューは、津軽地方の「あおばの小川巻き」。
あおばとはひらめのこと。鯛と並ぶ高級魚のあおばはかつて
婚礼の膳でしかお目にかかれない貴重なお魚で、おじいやおばあは
「殿様の魚」と呼ぶほどでした。刺身でいただくのは、本当に上等な、
お客様用のごちそう。とくに秋口からのあおばの身は透きとおるように
白く、脂がのって歯ごたえも良くおいしいのだそう。

さてこの「小川巻き」。あおばに青じそを巻いてくるくると丸めた
爽やかな見た目のメニュー。手間があまりかからないのに、目新しい。
現代の食卓でもおもてなしに活躍しそうな一品です。

しおりさんが「日本の食生活全集2 聞き書 青森の食事」
から小川巻を選んだ理由は、なんといっても青森の魚介類の美味しさから。
ハレの日に出されるメニューで、簡単に作れるものということでこの
小川巻が選ばれました。

小川巻を作るコツは?

「魚を触る時間は短く、丁寧に。刺身にするときは、できるだけ長く、
幅をとり、薄く切ってあげてください。巻きやすく、見栄えもよくなります」

とのこと。それでは作ってみましょう!

パッチワークキルト作家と 酒蔵の女将を兼ねて。 「山口怜子さんの衣・食・住」後編

前編:[ff_titlelink_by_slug slug='tpc-thi-tsukuru-015' append=' はこちら']

酒蔵の女将として、キルト作家として

山口怜子さんは、主婦であり、江戸天保三年から続く造り酒蔵の十代目女将。
そして前回お伝えした温泉地熱を利用した食品づくりなど、
食のプロデユーサーとしてさまざまな顔を持つ一方で、
実は、海外でも高く評価されているパッチワークキルト作家でもある。
パッチワークとは、布と布を縫いつなげ、一枚の布にする技法。
布地の有効利用のために、余った布や端布をつないでつくったのが始まりと言われている。
布地に綿をはさんで縫いあわせたものをパッチワークキルトと言う。
パッチワークキルトは17世紀のアメリカで西部開拓の移動によって全米に広がった。
山口さんがパッチワークを始めたのはいまから50年前。
尺貫法を使った日本キルトというパターンを開発したのがきっかけだ。

「母といっしょに家庭に眠る古い着物や帯などを刺し子風に縫いつなげていたのね。
それがとても面白かったみたい」

山口怜子さん

江戸天保3年から続く造り山口酒蔵所の十代目女将。山口怜子さん。酒造や家庭の古着を使ったパッチワークキルト作家としても知られる。

山口さんのパッチワークキルト作品

山口さんのパッチワークキルト作品。縫いあわされた布のストーリーが作品として開花する。

1982年には、アメリカのナショナルキルト連盟に招待された。
歴史あるアメリカンキルトの世界で、
日本ならでは古裂を素材にした独創的な刺し子風キルトは
驚きをもって受け入れられたという。
全米の著名なキルト作家の作品が集まるなかで、受賞作品は9点。
そのうち最高賞であるブルーリボン賞は3点にのぼり、ワシントンD.C.にて公開される。
これをきっかけに、山口さんのキルトは、世界中で注目され、
各国大使から招待されるようになった。

山口さんのこだわりは家庭の古布を使うこと。
「デザインするのは私なのだけど、生徒さんにお家にある布を持ってきてもらうのね。
その布にはひとつひとつに物語がある。そこからデザインが生まれる。
それをもとに一緒につくっているんです」

それぞれの思い出を縫いつなげていくキルトは、
「日本の家族を綴るキルト」と言われる。
海外から注目されると、後追いするように日本の新聞社、雑誌社が注目するようになった。
その後東京をはじめとする日本国内の巡回展、米国・中国への出展など活動のフィールドを広げている。

キルト作家として2009年には、福岡県文化賞・創造部門を受賞した。
その多岐にわたる活動はすべて「衣」「食」「住」へとつながっている。

竹をモチーフにしたパッチワークキルト作品

竹をモチーフにしたパッチワークキルト作品。

温泉地熱食品と地熱たべもの研究所。 「山口怜子さんの衣・食・住」前編

地熱を利用した食品づくり

熊本と大分の県境にある岳の湯温泉。
ここは地熱の里と呼ばれ、集落一帯は、湯煙と蒸気に包まれている。
この温泉の地熱を利用した食品づくりをしている山口怜子さんを訪ねた。

山口さんは、福岡県久留米市の山口酒造所の十代目女将。
世界的なパッチワークキルトの作家としても知られる。
衣・食・住、暮らしのエキスパートだ。
現在、熊本県阿蘇郡小国町の岳の湯温泉で地熱を利用した
「地熱たべもの研究所」で、蒸気を利用した食品の開発を進めている。

地面から吹き上がる地熱の蒸気

地面から吹き上がる地熱の蒸気。蒸す、煮る、炊く、乾燥させる、地熱の利用法は多様。

「昔からここの地域のひとは、地熱を利用していたの。
縄文時代から地熱を使って料理していたんじゃないかな」

山口さんは、大分県の山村、大山町に生まれた。
近くに杖立温泉があり、蒸気が出ているエリアに育った。

「子どものころ温泉では皆、温泉卵をつくっていたけど、
母は温泉にほうれんそう、大根とか、野菜を持っていって、
茹でて台所で食べていたのね。
ゆであがったものに鰹節をかけて食べるのが大好きだったの。
ガスで煮炊きをするより、地熱を使えば簡単だし、美味しい」

地熱たべもの研究所のある小国町岳の湯は
休火山である涌蓋山(わいたさん)の山麓に位置し、
周辺は日本有数の地熱地帯。多数の温泉も湧いている。
近くには九州電力大岳発電所、八丁原発電所といった地熱発電所が存在する。

普通、日本で地熱の蒸気が吹き出す場所は限られている。
地熱が出る場所の多くは国内では国立公園の中が多いので開発が遅れている。
地熱たべもの研究所の周辺は安全な地熱ゾーンとして利用できる希有な場所である。

地面から噴出する地熱の蒸気をバルブで調節し、それを利用している。
大地のエネルギーを利用した、究極のエコクッキングだ。

集落のあちこちの地面から蒸気が噴出している

集落のあちこちの地面から蒸気が噴出している。温泉ではなく、蒸気そのものが吹き上がる希有な場所。ここに地熱たべもの研究所がある。

青森といえばこれ! 〈じゃっぱ汁〉 洗練のカンタンレシピ。

今回ご紹介するのは、『日本の食生活全集2 聞き書 青森の食事』
に掲載されている青森県の食事。
青森県はかつて、一年の半分が雪に埋もれていたところ。

津軽地方で最も馴染みのある魚が「鱈」。
陸奥湾の鱈は、産卵のために来るので脂がのってとってもおいしいんです。
昔の津軽のひとたちは、鱈を雪の上で引いて歩き、
身を締まらせてさらにおいしくする工夫をしていました。

鱈にはどこも捨てるところがありません。身は刺身や焼き魚に。
たらこは塩漬けや、生のまま醤油と酒で味付けしたものを
二、三日置いてご飯に乗っけて食べたり。
白子は「タツ」と呼ばれて、豆腐やネギと一緒に味噌汁に。
新鮮なものは熱湯をくぐらせる程度の刺身にもします。

そして今回ご紹介するのが、
鱈の頭部、中骨、肝臓などを材料にして作られる鱈のじゃっぱ汁。
「じゃっぱ」とは残りものや屑を意味する「雑把」のこと。
津軽の郷土料理の中でも、ダントツの人気メニューです。

津軽では魚のアラを味噌で煮込むことが多いのですが、
三平仕立ての塩汁で食べられることもあります。
しおりさんのレシピでも、塩味をご紹介。

「『聞き書 青森の食事』に、ところによっては
塩味も食べると書いてあったので、せっかくなので塩味にしてみました。
調理のコツは、あまり塩を効かせすぎないこと。
ちょうど良い塩梅の一歩手前、
ちょっと薄味くらいの塩味にすることです」

また今回は、お手軽に作っていただけるように
現地で使われる魚のアラを使っていません。
本格的な味にするために、魚のアラを使う場合の
コツも教えていただきました。

「魚のアラを使う場合は、鍋に入れる前に塩を軽く振って20分ほど置き、
さっと湯どおししてから氷水につけ、
水気をふきとって使用すると生臭さが消えます。
そうして血の臭みやウロコなどをとってあげることで、
上品なじゃっぱ汁ができますよ」

地域の若者のコラボレーション 食・ものづくり・自然 × ソーシャルデザイン。 「TSUGI」後編

前編:[ff_titlelink_by_slug slug='tpc-thi-tsukuru-013' append=' はこちら']

「かわだ くらしの晩餐会」で地域の魅力を探す

福井に移り住んだ二十代の若者7人のプロジェクト「TSUGI」。
「ものづくり」や「地域の魅力」を発見する、
さまざまなコラボレーションが生まれ始めている。

地域の魅力探し、そのひとつが「食」。
6月15日、21日と2週に渡って、「かわだ くらしの晩餐会」が開催された。
福井新聞の「まちづくり企画班」の担当者と一緒に企画を進め、
TSUGIが全体のデザインディレクションを担当した。
福井県内の各地を回って、
その土地の文化を活かし発信するイベント「FUKUI FOOD CARAVAN」。
その一環として行われた、体験型の食のイベントである。
テーマは「食、ものづくり、自然」。
これまでのTSUGIの活動のなかでも、もっとも力をいれたイベントのひとつだ。

FUKUI FOOD CARAVAN vol.02「かわだ くらしの晩餐会」の動画。制作は福井新聞社「 まちづくり企画班」とTSUGI。映像はホオズキ舎の長谷川和俊さん。「食工房野の花」代表の佐々木 京美さんとTSUGIによる食空間プロデュース。越前漆器の器と木彫りのスプーンを使って地域伝統の食を味わうイベント。

鯖江の若者コミュニティづくり

TSUGIの事務局、ディレクターの新山直広さんにお話を伺った。

「福井の魅力は〈食〉ということで、
福井の地域を巡りながらその土地の魅力を
掘り出していこうと考えていくキャラバンなんですが、
漆器の里である河和田では、まず器を自らつくるところからはじめよう、と。
下塗りを越前漆器の職人さんにやってもらい、参加者に上塗りをやってもらう。
自分でつくった器で食べてもらいました」

イベントは2週に渡って行われ、最初の1日目は
木のスプーンづくりとお椀の漆塗りの体験。
1週間後の2回目に手づくりしたスプーンとお椀を使って、
地域伝統の食を味わう晩餐会を開催した。

その素敵な動画を見ていただければ、
河和田の「食」と「暮らし」の魅力を感じることができる。
なにより集まるひとたちの笑顔がイイ。
素晴らしい「コミュニティ」が息づいている感じが伝わってくる。

「かわだ くらしの晩餐会」

「かわだ くらしの晩餐会」では越前漆器の若手である中野知昭さんと酒井義夫さんの協力で、器づくりからスタート。写真提供=TSUGI

関西から福井県に 移住してきた20代による デザイン+ものづくりユニット。 「TSUGI」前編

ものづくり&デザインユニットTSUGI

TSUGIとは関西から福井に移住した20代7名による
ものづくりとデザインのユニット。
木工、眼鏡づくり、デザイン、地域活性や自然環境NPOなど
それぞれが地域で仕事をしながら、
ものづくりをテーマとしたイベントの企画をしている。

TSUGIという言葉は「次」「継ぎ」「接ぎ」「注ぎ」という
4つの「TSUGI」から生まれた言葉だという。
伝統の知恵を「受け継ぎ」、若者たちと地域を「つなぐ」、
そして「次(NEXT)」をつくる。
「“次”の世代である若者がものづくりや文化を“継ぎ”、
新たなアイデアを“注ぐ”ことでモノ・コト・ヒトを“接ぐ”」
という思いが込められている。

鯖江は越前漆器、越前和紙、そして、眼鏡など、ものづくりのまち。
拠点となる「TSUGI Lab」は鯖江市河和田地区にある錦古里漆器店を
セルフビルドで改装した。
福井を面白くしていきたい、そんな若者たちが集まり、
そこから食のカフェイベントや割れた器を修繕する金継ぎワークショップなど、
鯖江を面白くするプロジェクトが生まれている。

「TSUGI Lab/ツギラボ」

「TSUGI Lab/ツギラボ」ものづくりに関心のある若者が集まることのできるアジトだ。

きっかけは河和田アートキャンプ

TSUGI代表の永富三基さんにお話を伺った。
普段は鯖江で漆器の木地づくりをする「ヤマト工芸」で木工職人として働いている。
大学卒業と同時に関西から移住してきたIターンの24歳だ。

永富三基さん

TSUGI代表の永富三基さん。

永富さんをはじめ、関西の若者たちが、なぜここ鯖江に移住してきたのだろう。

「きっかけは河和田アートキャンプでした。
2004年の福井豪雨の被災地支援のアート活動です。
そのとき地域のひとと交流して、縁ができました」

河和田アートキャンプとは
2004年の福井豪雨の被災地支援をきっかけにスタートした地域振興イベント。
「芸術が社会に貢献できることとは何か?」という問いかけから始まり、
全国32大学の学生が参加。
毎年夏、鯖江市の河和田地区で行われ、現在約800人の若者たちが参加している。
TSUGIのメンバーもこのキャンプの主要なメンバーとして地域に関わった。

ふきの葉っぱで包んだ、 ふっくらお豆のお赤飯。 岩手風〈赤飯おにぎり〉レシピ

郷土食を日本の隅々から掘り起こし、記録した名著
『日本の食生活全集』全50巻(農文協)から
料理人・後藤しおりさんが現代の家庭でもおいしく
カンタンに作れるよう再現したレシピを
お届けしている本連載。
今回は岩手編後編。『日本の食生活全集3 聞き書 岩手の食事』
から、見た目もすてき、おもてなしにも使える
ちょっと変わった「赤飯おにぎり」をご紹介!

赤飯は言わずもがな、なにか行事があるときの
主食として代表的なお米の料理。
岩手ではもともと、吉事には白おこわ、凶事には赤おこわでしたが、
「凶を転じて吉とする」という縁起直しから
祝い事全般に赤飯を食べるようになったと言われています。
赤飯と煮しめが岩手のハレの日の定番メニューなんです。

しおりさんが選んだのは、
ふきの葉っぱ「ふきかえば」で赤飯を包むレシピ。
握った赤飯をふきかえばに包んで出すのは、
県北において田植えの小昼(おやつ)でした。
あわのもち種とあずきもしくは赤ささげ(いんげん豆)
による赤飯は、農家では頻繁に作られていたんですよ。

しおりさんが赤飯おにぎりを選んだ理由は?

「東北らしさを感じたからです。すぐに食べられるよう、
おにぎりにして、畑仕事へ向かう光景が目に浮かびました。
また、ふきの葉で包むことによって、食べる頃には爽やかな香りが移り、
季節感があっていいなぁと感じました」(しおりさん)

ふきかえばに包むと、ほんのり香りが赤飯おにぎりに移って
とってもいい風味。しおりさんのレシピだと、
お豆がふっくらして、お米がもちもちした、
とびきりおいしい赤飯ができあがります。

「ふっくら炊くコツは、やはり蒸し器で炊くことです。お豆が崩れず
食感を楽しんで頂けるよう、熱の通しすぎを避けました」(しおりさん)

それでは早速作ってみましょう!
本格的に作る場合、前日からの準備が必要です。

川崎〈三ちゃん食堂〉 明るいうちに行きたいこの 食堂ではついつい長居してしまう

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いつもはハシゴ酒な私も、ついつい長居。

明るいうちに行きたいと思う店で思いつくのが「三ちゃん食堂」。
食堂とつくのだから、昼時は、大混雑。
暖簾をくぐって、引き戸をガラガラガラ。
中は、奥行きもあるけっこうな広さ。
ズラリと縦3列に並んだテーブルの上には、
あらゆるメニューの皿やどんぶりがのって隙間がない状態。
テーブルに向き合って1列に約10個の丸椅子が並ぶのだから圧巻風景。
メニューが張りめぐらされた壁に向き合うカウンター席を足して、ざっと60席。
めしを喰らっていると表現したほうが似合うようなこのお店には、
昼休憩の時間はなく、閉店時間20時と早い。

昼時が終わった昼下がり、はたまた、まだ明るい宵の口に、
椅子取りゲームができそうな、その丸椅子を陣取ると、
いつもはハシゴ酒の落ち着かない呑み方をしている私もついつい、長居してしまいます。
ワイドショーのテレビが流れる騒然とした店内の居心地のよさがあるのです。
何度か訪れているのだけれど、まったく眺めていて飽きないメニューの数々。
ラーメン、餃子の中華メニューからカレーライス、小鉢の酢の物、さしみ、天ぷら。
毎回、あれ、こんなメニューあったっけ? と、
目を細めてしまうのです(愛しさと入り口近くの席からは遠いので……)。

日本の食文化の豊かさを WASARAにのせて。 「WASARA」後編

前編:[ff_titlelink_by_slug slug='tpc-thi-tsukuru-011' append=' はこちら']

世界で使われる日本のカタチ

日本の美意識や感性が込められた紙の器、WASARA。
パーティやケータリングなどのシーンにおいて使用される機会が多い。
日本国内のみならず、そうしたニーズが高い海外からの反響も大きい。

クリエイティブディレクターである緒方慎一郎さん(SIMPLICITY代表)は、
「WASARAを通して、日本の食文化を世界に発信していきたい」と話す。

和食が世界で食べられるようになり、より浸透していくなかで、
料理だけでなく、食べ方や作法も含めた日本の食文化を伝えたい。
言葉で説明しなくても「日本のクオリティと食文化からくるデザイン」であることが、
わかるようなものづくりを目指した。

角皿と竹製カトラリー

パーティなどのシーンで活躍することが多いWASARA。竹製カトラリーにはスリットが入っており、WASARAのフチに差し込むことで固定できる。(写真提供:WASARA)

パーティやケータリングというシーンは、それ自体がコミュニケーションの場。
そこで活躍するWASARAは、コミュニケーションを潤滑にする役割を担うこともできる。
片手にWASARAを持つ。話題のきっかけにもなるし、日本の紹介にもなる。

「食材や料理に合わせて器を選ぶことは、日本人にとって当たり前の行為です。
五感で食を楽しみ、季節の移ろいや自然の美しさなどいろいろなものを感じ取る。
たとえ使い捨ての紙の器だとしても、そういった日本の豊かな食文化を守りたい。
それを世界に伝えていきたいと思っています」

日本の食文化の豊かさをWASARAにのせて、世界にも広めていく。
そこには、新たな発見と可能性が満ちていた。

「あるとき、海外の方が2種類のWASARAを組み合わせて
カップ&ソーサーとして使っている場面に出会いました。
このような使われ方は開発段階では想定していませんでしたが、
それを見たとき、WASARAは成功したと感じました。
WASARAには“こう使わなければいけない”というルールはありません。
本当に大切なのは、日本のものが違う文化圏に渡ったときに、
新しい使い方や解釈を通じて、その土地の暮らしにきちんと根付くこと。
WASARAの使い方は、私たち日本人よりも海外の人のほうが上手かもしれません(笑)」

“使い捨ての器”のイノベーション。 「WASARA」前編

環境にやさしく、こころを潤す「紙の器」

日本ならではの感性から生まれた紙の器、「WASARA」。
その製品哲学には、古来より自然と共存することで育まれてきた
日本の精神、技巧、そして美意識が込められている。

WASARAを生み出したチームのひとり、
クリエイティブディレクターの緒方慎一郎さん(SIMPLICITY代表)のお話を伺った。
緒方さんはWASARAのほかにもプロダクトブランドを手がけ、
みずから和菓子店や和食料理店を経営している。
食を通して日本の文化を広めたいという思いがあるのだ。

「文化というのは食ありき。
私たちの生活の根源は、“生きていくために食べること”だと思います」
と緒方さんは語る。

SIMPLICITY代表の緒方慎一郎さん

SIMPLICITY代表の緒方慎一郎さん。建築、インテリア、プロダクトなど、多岐に渡るディレクションやデザインを手がける。(写真提供:SIMPLICITY)

「その土地にあるものをどう調理して食べてきたか。
日本には日本の、フランスにはフランスの食文化がある。
その国の風土や文化を最も色濃く反映しているのが食ではないでしょうか」

食文化には、料理自体はもちろん、器や空間など多くのことが関わっている。
それらすべてをトータルで考え、ときにはイノベーションすることによって、
初めて次の時代にきちんとしたものを残すことができるというのが緒方さんの考えだ。

「現代における日本の文化創造」をコンセプトに
自社店舗の経営や、ホテルやレストランのデザインを手がけてきたなかで、
目を向けたのが、使い捨ての紙の器だった。

ワインカップやコーヒーカップ、丸皿などWASARAのラインナップ

パーティやケータリングなど、さまざまなシーンで活躍するWASARA。手前は2012年よりラインナップに加わった竹製のカトラリー。(写真提供:WASARA)

使い捨て食器の概念を変える

ケータリングやパーティ、バーベキューなどで、
使い捨ての紙皿や紙コップを使ったことがあるひとも多いだろう。
われわれの生活に深く浸透しているといってもいい。
しかし緒方さんは違和感を感じていた。

「食べるという行為のなかには、器にさわった手の感触や口当たりも含まれるはず。
しかし、既存の製品に、そこまで配慮されたものはなかなかありませんでした」

そんな思いを抱えていたからこそ、
WASARAのディレクションを手がけることになったとき、
「日本人ならではの感性が反映された紙の器をつくりたい」というイメージは
すでにできていた。

岩手はくるみが大好き! コクがあっておいしい、カンタン 〈くるみひっつみ〉レシピ

全国のおばあさんたちから、
大正末~昭和初期にかけての食事づくりを
聞き書きして編纂された「日本の食生活全集」全50巻(農文協)。
ここから料理人・後藤しおりさんが選んだ郷土食のレシピを、
現代の家庭でもおいしくカンタンに作れるように再現してお伝えします。

広大な面積、自給主体の日本型食生活が色濃く残った「岩手の食事」

今回ご紹介するのは、「日本の食生活全集3 聞き書 岩手の食事」
に掲載されている岩手県の食事。
そもそも「日本の食生活全集」取材班が最初に取材に訪れたのは
実は岩手県でした。なぜなら、岩手は全国の中でも
自給主体の日本型食生活の原型が色濃く残されているところ。
中央の消費市場から遠く、交通輸送条件にも恵まれない状況や、
四国四県に匹敵する面積。
さらに藩制時代の影響も加わり、
岩手県内でも全く異なる料理が食べられています。

「岩手の食事」に掲載されているメニューを見てみると、
県央の「ぬっぺい汁」や三陸沿岸の魚貝を使った奥羽山系の
山菜、きのこ、すし漬け。そして降り積もった雪を掘って穴を作り、
わらにいれた大豆を埋めて作る「雪納豆」まで!
あまりにもバリエーション豊かな食の工夫ばかりで、
どれを紹介しようか迷ってしまいます。

そのなかからしおりさんが選んだのは、
岩手の郷土食といえば! の「ひっつみ」。
岩手と深〜い縁がある、くるみと合わせた
「くるみひっつみ」のレシピをお届けします。

岩手ではおいしいことを「くるみ味がする」と言います。

そもそも、「ひっつみ」とは何でしょう? 
夕飯の主食として多く出されるメニューで、
水で練った小麦粉をつまんで鍋に入れることから
「ひっつみ」と呼ばれるもの。岩手県外では「すいとん」と
呼ばれています。岩手でも、普段は「すいとん」のようにネギや人参、
キャベツの汁など具だくさんの汁で食べているのですが、
少し上品に食べる時は、すったくるみと合わせるんです。
これは岩手ならではですね。しおりさんにとっても、衝撃だったようです。

「“くるみひっつみ”の名前を見て、美味しそう! と思いました。
小麦粉を水で練ったものは、具だくさんの「けんちん汁」などでいただくのが
当たり前だと思っていたので、くるみはびっくり!
すごく特別感がありますよね」

岩手県において、くるみはとっても特別なもの。多くの家では、
おにぐるみの木が植えてあって、なにか行事があるごとに使われます。
もちや団子はもちろん、ごはんに入れた「くるみ飯」や
「くるみ豆腐」、汁物、漬物にいたるまで、
伝統的な調理方法がたくさんあるんです。

そのくるみ愛を表すように、岩手ではとてもおいしいことを
「くるみ味がする」という言い回しがあります。
沿岸地方で、獲れたてのお魚のコクがあるときなどに使われるのだそう。
おいしさの代名詞になるほど愛される岩手のくるみレシピ、
ぜひ一緒に作ってみましょう!

日本のファッションブランド が仕掛ける、 サステナブルなビジネスとは? 「TEGE UNITED ARROWS」後編

前編:[ff_titlelink_by_slug slug='tpc-thi-tsukuru-009' append=' はこちら']

アフリカの職人が自立するために

ユナイテッドアローズとエシカル・ファッション・イニシアティブ
(Ethical Fashion Initiative、以下EFI)が組み、
2014 S/Sから始まったブランド「TEGE UNITED ARROWS」は、
アフリカでものづくりを進めている。

「ぼくたちにとってはいいものづくりができるし、
お客様も面白いプロダクトを手に入れることができます。
そして現地にお金が落ちる。すごくいいプロジェクトだと思いました」と、
ユナイテッドアローズでこのプロジェクトを進めている
栗野宏文さんは始めた理由を話してくれた。

マサイの女性たち

栗野さんたちを歌と踊りでもてなしてくれたマサイの女性たち。(写真提供:EFI)

現在サブサハラと呼ばれるサハラ砂漠以南の地域では、
石炭や石油、ダイヤモンド、ウラニウムが採れることから、各国に注目されている。
それら資源を乱獲するよりは、
現地に産業を興してお金を回すプロジェクトが生まれたほうがいい。

ユナイテッドアローズとEFIの取り組みには、特に女性の社会進出を促す側面がある。

「ゴミを拾ったり、木を伐採したり、
さらには血を売ったりしてお金を稼いでいる現状があります」

EFIの庭野和子さんが、教えてくれた現地の現状はつらいものだ。
その悪循環を止める糸口がEFIの活動といえる。

「一時的にお金をあたえるような援助ではなく、職をあたえ、自立を促すこと。
現地ではまだ女性の地位が低いのですが、
仕事を持つと家族や地域に尊敬されるようになり、
やがてコミュニティの長になっていきます。
するとそのお金で子どもを学校や病院に行かせることができたり、
携帯電話や銀行口座を持てるようになります」と
実際に起こっている事例をあげてくれた。

仕事をしていくことでこのような好循環が待っているということを、
彼女たちは気づいていないということが問題だという。
だから自分たちにとっていかに良い影響があるかと、
身をもって知る機会をつくる必要があるのだ。

糸を紡ぐ作業中

ブルキナファソの木陰では糸が紡がれている。(写真提供:EFI)

カンタンレシピで作ってみよう! 十勝の手作りオヤツ〈おだまき〉

郷土食を日本の隅々から掘り起こし、記録した名著
「日本の食生活全集」全50巻(農文協)。
ここに掲載されている料理から一品を選び、料理人・後藤しおりさんが
現代の家庭でもおいしくカンタンに作れるように
再現したレシピをお届けしている本連載。

今回は「日本の食生活全集1 聞き書 北海道の食事」から選んだ、
北海道の郷土食の後編をお届け。
とってもカンタンに作れておいしい、
おすすめオヤツメニュー「おだまき」をご紹介します!
子どものときにこれを知っていたら、きっと毎日作っていたなあ。

移民文化の北海道。東海地方からやってきたカンタンオヤツ。

「おだまき」とは聞きなれない名前ですが、十勝地方で
お祭りや来客時に作られていた、あん入りの小麦粉まんじゅう。
日本版クレープといいましょうか、薄いパンケーキで、
十勝の小豆で作った餡を包んでいます。

このメニューを選んだ料理人・後藤しおりさんは、
いったいどんなところに惹かれたんでしょう?

「もともと、おもてなしのお料理を探していたんです。
そこで見つけたのが、十勝で来客のおもてなしとして、
ささっと簡単にできるおだまきを作る家庭のこと。
寒い土地であんこは美味しかっただろうなぁ、と妄想が膨らみました」

もともとおだまきは岐阜を中心とした東海地方で「あんまき」
という別名でも広く親しまれているお菓子。おそらく北海道へは
居住者の方が持ち込まれたのではないでしょうか。
十勝では「おだまき器」と呼ばれる、
鉄板を加工した専用焼き器を使って作られていたそうです。

今回は、ご家庭のフライパンでおいしく作るレシピをご紹介。
ホットケーキの素などがなくても作ることができる、
カンタン、シンプル、おいしいオヤツ。ぜひ一度お試しください!

千葉・ちっこ豆腐丼

前回の続き「ちっこ豆腐 後編」をお届けします。

ここまでのあらすじを[yahoonews text='へい']少々。[/yahoonews]

以前この連載で[ff_textlink_by_slug slug="tpc-foo-tasty-005"]「やん米」を教えてくださった、鈴木俊子さん。[/ff_textlink_by_slug]
その鈴木さんからご連絡をいただき、千葉の南房総へと向かいました。
訪れた先は、鈴木さんのご友人である前田善治さん、みつさんご夫妻のご自宅。
前田さんは、18歳で始業し、今年で実に60年という来歴の酪農家さん。
子どもの頃からよく食べていたという、[ff_textlink_by_slug slug="tpc-foo-tasty-008"]ちっこ豆腐を作ってくださいました。[/ff_textlink_by_slug]
ちっこ豆腐とは、牛乳を煮立て固めたもので、
千葉の酪農家さんのあいだで親しまれてきた一品。
濃厚な乳の香りとほわほわの食感、優しい味わいに包まれたひとときでした。

今回は、ちっこ豆腐を丼に仕立てていただきます。
作り手は、お母さんから鈴木さんへとバトンタッチ。
では、前田家の台所へと戻ります。

母「としちゃん、タマネギあるからやってみてよ」

お母さんから鈴木さんへ、ちっこ豆腐丼のリクエスト。

鈴木「じゃ、ちいとば鍋貸してもらえる?」

母「いいよ、いいよ、ほれ」

鈴木「玉ねぎなんかもある?」

母「あるよあるよ、ほれ」

着々と準備が整い、調理スタート。
聞けば、おふたりは高校の同級生とのこと。
としちゃん、みっちゃんと呼び合う仲。

母「あそこのお子さん、どうしてる? なんて子だったか、ほら」

鈴木「ああ、あの子、あの、右曲がったとこのね、ね」

なんて塩梅で、うわさ話に花を咲かせるおふたり。

買う人もつくる人もハッピーに。 アフリカメイドの エシカルファッション。 「TEGE UNITED ARROWS」前編

アフリカでものづくりを行う新ブランド誕生

セレクトショップ・ユナイテッドアローズから2014 S/Sのニューブランドとして
デビューした「TEGE(テゲ)UNITED ARROWS」。
これは国連機関International Trading Centerのフラッグシッププログラムである
エシカル・ファッション・イニシアティブ(Ethical Fashion Initiative、以下EFI)と
組んでスタートしたブランドである。

EFIは、アフリカ各国やハイチ、パレスチナなどの女性の手仕事にフォーカスし、
世界のトップファッションデザイナーとともにものづくりを行うプロジェクト。
フェアトレードではなく、女性の雇用を創出し、
社会進出などをうながす“エンパワーメント”が目的である。
これまで世界では、ヴィヴィアン・ウエストウッドやステラ・マッカートニー、
ステラ・ジャンなどのブランドがこのプログラムを利用し、
アフリカでものづくりを行ってきた。

そして日本で初めてビジネスパートナーとなったのが、ユナイテッドアローズだ。

「もともとバティック柄やビーズなど、
アフリカのカルチャーやクラフトが好きでした」と語る
ユナイテッドアローズ上級顧問の栗野宏文さんのもとに、
2013年3月、このプログラムを考えたEFI代表のシモーネ・チプリアーニさんが訪れた。
すぐに意気投合した。

栗野宏文さん

TEGE UNITED ARROWSを立ち上げた栗野宏文さん。ユナイテッドアローズの立ち上げメンバーでもあり、ファッション業界の重鎮。

これまでも途上国などでものづくりをしようというチャリティはたくさんあった。
しかしシモーネさんが栗野さんに語った言葉は
「かわいそうだからものを買うというのはかえって失礼だ。
それではせっかく買っても使わない。
それよりも本当に素敵なものをつくって、
買うひとも、つくるひともハッピーにしたい」というものだった。

「これはユナイテッドアローズのポリシーと同じでした。
ぼくはこの会社をつくったひとりなので、ピタッときました」と栗野さんは言う。
まさに“Not Charity. Just Work”というEFIのコンセプトに共感したということだ。

ケニアの現地スタッフと打ち合わせをする栗野さん

ケニアの現地スタッフと打ち合わせをする栗野さん。(写真提供:EFI)

北海道の郷土食 「三平汁」を作ってみよう。 素材だけで美味しい、 でっかい大地のレシピ。

移り変わる季節があり、四方を海に囲まれ、
豊かな自然と山地がもたらす水にも恵まれる
日本列島だからこそ生まれた郷土食。
この郷土食を日本の隅々から掘り起こし、記録した名著があります。

それは「日本の食生活全集」全50巻(農文協)。
1980年代から90年代にかけて刊行されたこのシリーズは、
都道府県別にさまざまな郷土料理が“聞き書き”されていて、
コロカル編集部にもこの本のファンがたくさんいます。

そこで! 農文協のご担当者をお訪ねし、
特別にご協力をいただき、始まったのがこの連載です。
「日本の食生活全集」に掲載されている料理
(すばらしい郷土食がたくさん網羅されているのです!)から、
1品を選び、料理人・後藤しおりさんが
現代の家庭でもおいしくカンタンに作れるように再現しました。

これからそのレシピを各都道府県別に公開していきます。
ぜひみなさんもお試しください。
また、みなさんの好きな郷土料理をコロカルのFacebookから教えてくださいねー。

「自然とともに生きる」北海道の食事

記念すべき第一回のレシピは、北海道。
北海道のひとたちは、長く厳しい冬と遅い春、
短い夏。そして火山灰の土と共に暮らしてきました。
明治の初期に本州各地から移り住んだ彼らは
山野を開拓し、不利に見える条件を工夫で乗り越えてきたんです。

畑で栽培する作物には、冷害に強いじゃがいも、
山からの風が良く乾燥してくれる大豆やうずら豆を選びました。
冬を越すために、野菜を凍らせずに
長く保存する貯蔵方法を考え抜きました。

また、本州からの居住者たちは、各家庭による
本州での食文化をそのまま持ち込んだので、
各地方での食文化が独自な発展を遂げていることも面白いところ。
「日本の食生活全集1 聞き書 北海道の食事」をめくると、
ますの飯ずし、身欠きにしんの昆布巻き、
かぼちゃだんご、ほっけのかまぼこなどが並んでいて、どれもおいしそう。
海に向かい、原野を切り拓き、自然とともに暮らす北海道の郷土食から選んだ、
カンタンレシピを2回にわたってお届けします。

時代を超えるアートを通じて 「価値観をつくる」。 株式会社studio「仕組」後編

前編:[ff_titlelink_by_slug slug='tpc-thi-tsukuru-007' append=' はこちら']

studio「仕組」の仕組み

studio「仕組」はアーティストや職人からなる組合。
さまざまな技術を持つ職人やアーティストが集まっている。
前回、職人の共同工房「studio u5」を訪ね、
伝統工芸の支援・プロデュースについて伺った。
今回はstudio「仕組」の仕組みについて
代表の河内晋平さんにお話を伺う。

「studio「仕組」は全員が作家であり、職人なんです。
職人やアーティストの目線で、クライアントと直接話し合ってプロジェクトを進める。
職人やアーティスト自身が中心となって事業を行っている会社です。
素材選択、企画立案、制作、展示会、販売までワンストップで行えるのが強みです」

現在、5つのプロジェクトが走っている。

1)美術品管理(美術品の保存、アーカイブ、展覧会企画、販売)

2)仕組ワークス(映像、グラフィック、デザイン、Web、空間デザイン、プロダクトなどの制作)

3)TUKURITE(アーティストや職人のつくり手とともに商品を研究開発)

4)ORIGAMI(伝統工芸の支援・プロデユース)

5)studio u5 (職人の共同工房)

アーティストや職人のつくり手たちとともに研究開発し、さまざまなもの・ことを提供する。
なによりもアーティストや職人であることを最大限生かしていくのだという。

「たとえば素材は、ホームセンターで買うよりも職人のルートで仕入れるほうが
希望に添っていたり、価格が安かったりする。
そういうつくり手の利点を生かすものづくりを提案しています」

そして時代を超えるアートを通じて「価値観をつくる」ことも
studio「仕組」の事業のひとつだ。

「折り紙つきという言葉があります。“信用できる価値がある”ということです。
“折り紙”というのは江戸時代に日本刀などの価値を証明するために
折った紙を付けたことに由来します。
例えば、本阿弥家が“これはいい刀だ”とすることで、あらたな価値が付与される。
それが“折り紙付き”という言葉なんです。
アーティストや職人の作品に
付与されるべき価値に光を当てようとやっているのが“ORIGAMIプロジェクト”なんですね」

現代においての「折り紙」をつける。
商品であるまえに、アーティストや職人の「作品」であること。
それがstudio「仕組」のこだわりでもある。

CHACONNEの木型

職人の共同工房「studio u5」の皮製品工房 CHACONNEの木型。

伝統に培われた日本の職人の 技術や芸術性を 世界へ伝えるプラットホーム。 株式会社studio「仕組」前編

ものづくりに関わる人たちのための「職人組合」

studio「仕組」は工芸家、大工、グラフィックデザイナー、
映像制作者からプログラマーまで、各業界の職人たちからなる、
ものづくりに関わる人たちのための「職人組合」。
原宿の一角にヘッドオフィスがあり、
埼玉県朝霞市に、アーティストや職人たちが共同で運営する工房「studio u5(スタジオ ユーゴ)」がある。
アーティストや職人に場を提供し、作品制作支援や海外などに作品販売のマーケットを開拓することで、伝統工芸職人や美術作家の制作支援を行っている。

「日本の技術を守る。それがスタジオ仕組の理念なんです」
とstudio「仕組」代表の河内晋平さん。

「たとえば日本にいる200人ほどの刀鍛冶の職人のなかで
刀鍛冶の収入だけで生活できているのは10%〜20%程度なんです」

職人の高価な作品を購入してくれるマーケットは不足している。
それを世界中から観光客やセレブの集まるドバイや、
日本文化が注目されているロシアの市場を狙っていく。

河内晋平さん

studio「仕組」代表の河内晋平さん。朝霞のstudio u5にある舞台美術アトリエにて。

「もともと奈良・吉野で日本刀をつくる家に僕は生まれたんです。
しかし現代では日本刀はあまり売れない。単純に武士がいないですしね(笑)。

うちの父は40年余り刀鍛冶をやっているので、少しずつ売れてくる。
しかし、若い世代が10年修業して独立してもなかなか商品としては売れないんです。
世代が受け継がれていく中でようやく少しずつ売れてくるんですよ。
マーケットのパイが少ないそういう構造だと若い人はやっていけないんですね。

伝統工芸の若い職人が、技術を守りながら、ちゃんと食べていけるようにしたい」

太刀。渡邊満氏蔵

太刀。渡邊満氏蔵、写真・宮田昌彦

地元のおじいちゃんおばあちゃんを スタイリッシュに発信する 『鶴と亀』待望の第弐号

長野県『鶴と亀』

発行/鶴と亀編集部

長野県飯山市から、地元のおじいちゃんおばあちゃんにフィーチャーするクールなフリーペーパー、待望の2号がリリース。稲刈り作業中のおじいちゃんのファションスナップなど、見ず知らずのおじいちゃんおばあちゃんたちのスナップ写真には、なぜだかとっても癒されます。今号も田畑がひろがるのどかな飯山市からイケてるおじいちゃんおばあちゃんを発信中です。

鶴と亀

http://www.fp-tsurutokame.com/

発行日/2014.3

日本の伝統技術を、 ジュエリーに込めて。 「SIRI SIRI」後編

前編:[ff_titlelink_by_slug slug='tpc-thi-tsukuru-005' append=' はこちら']

職人と二人三脚のものづくり

東京の下町の技術を取り入れてものづくりをしているSIRI SIRI。
そのガラス商品のうち、7割以上を製作しているという工房に、
デザイナーである岡本菜穂さんと訪れた。
近所にはガラスを扱う工房が集まるという浅草の住宅地に八木原製作所はあった。

中に入ると、まるで理科実験室のようだ。
それもそのはず、八木原製作所は、
フラスコやビーカーなどの実験器具を製作している工房で、
それらの製品に囲まれてなんだか理系気分。

バーナーでガラスをあぶりる

バーナーであぶりながら、パーツを接続していた。

八木原敏夫さんは、今では理科機器製作の合間に、
ほぼ毎日SIRI SIRIの商品をつくっている。
取材に訪れたときは、ピラミッド型の指輪“STUD”を製作していた。
バーナーで熱しながら台座や四角錐を丁寧に成形していく。
「実験器具をつくるより繊細ですよ」と八木原さんが言うくらい、
岡本さんが求める精度は高いそうだ。

かたわらには、図面が置いてある。

「ジュエリーのデザイナーは、
デザイン画のようなもので発注することが多いようですが、
私は建築の技術を応用して図面で渡しています」と岡本さんは言う。

図面で難しければみずからスタイロフォーム(模型の材料)などを削って
微妙なアールを伝えたり、直接横について作業に付き合ったりする。
職人によって伝え方は変わってくるが、
分野は違っていても、「目指す方向性が一緒でないとうまくいかない」という。

「新しいことをやってみたいという思いがあれば、一緒に試行錯誤してくれます。
“これをつくってください”と発注して“はい、できました”という
単純なことではありません。
職人さんからも、“こうしたほうがもっときれいにできる”とか
“このやり方が合理的だ”という“返り”がないと、
いいものができないと思っています」

そういう岡本さんに対して八木原さんいわく、
「最初は結構ケンカしたよね(笑)」
しかしそれがコミュニケーションであり協働。
職人と二人三脚。そうじゃないと、きっといいものは生まれない。

「わたしが思い描いている段階ではまだ70%くらい。
それが職人さんの力で100%にも120%にもなっていくんです。
わたしの想像をこえたものができたときは、帰りの銀座線が気持ちいい(笑)」
(岡本さん)

八木原敏夫さんと岡本菜穂さん

打ち合わせを始める八木原敏夫さんと岡本菜穂さん。