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川崎〈三ちゃん食堂〉
明るいうちに行きたいこの
食堂ではついつい長居してしまう

たびのみ散歩
vol.004

posted:2014.7.10   from:神奈川県川崎市  genre:食・グルメ

〈 この連載・企画は… 〉  イラストレーターとして活躍する平尾香が、各地の粋な飲み屋をご紹介。
旅して飲んで、おいしいお酒と肴と人に出会います。

text & illustration

kao.ri hirao
平尾 香

ひらお・かおり●イラストレーター。神戸生まれ、独自の個性を発揮した作風で、世界的ベストセラー「アルケミスト」を始めとする書籍のカバーや、雑誌の挿絵、広告などで活躍。個展も多数開催。現在は、逗子の小山にアトリエを構え、本人の取材やエッセイなど活躍の幅は広い。著書本に「たちのみ散歩」(情報センター出版局)「ソバのみ散歩」(エイ出版社)
http://www.kao-hirao.com/
https://www.facebook.com/Kao.0408.hirao

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いつもはハシゴ酒な私も、ついつい長居。

明るいうちに行きたいと思う店で思いつくのが「三ちゃん食堂」。
食堂とつくのだから、昼時は、大混雑。
暖簾をくぐって、引き戸をガラガラガラ。
中は、奥行きもあるけっこうな広さ。
ズラリと縦3列に並んだテーブルの上には、
あらゆるメニューの皿やどんぶりがのって隙間がない状態。
テーブルに向き合って1列に約10個の丸椅子が並ぶのだから圧巻風景。
メニューが張りめぐらされた壁に向き合うカウンター席を足して、ざっと60席。
めしを喰らっていると表現したほうが似合うようなこのお店には、
昼休憩の時間はなく、閉店時間20時と早い。

昼時が終わった昼下がり、はたまた、まだ明るい宵の口に、
椅子取りゲームができそうな、その丸椅子を陣取ると、
いつもはハシゴ酒の落ち着かない呑み方をしている私もついつい、長居してしまいます。
ワイドショーのテレビが流れる騒然とした店内の居心地のよさがあるのです。
何度か訪れているのだけれど、まったく眺めていて飽きないメニューの数々。
ラーメン、餃子の中華メニューからカレーライス、小鉢の酢の物、さしみ、天ぷら。
毎回、あれ、こんなメニューあったっけ? と、
目を細めてしまうのです(愛しさと入り口近くの席からは遠いので……)。

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毎日繰り返される素敵な日常

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見通しのよい店内では、客人観察も楽しいもので……
いつだったか、昼下がりから暗くなるまで長居をしたことがあったのですが、
体力仕事のどんぶり飯をかき込むお兄さんの横で、
熟年のカップルが熱燗とお新香でしっぽりやってるかと思えば、
シルバーグループの会合、学生の団体がやって来て思い思いのメニューを注文。
近所の主婦もいれば、遠方から来た風の酒好きグループ客も。
競馬新聞に夢中のおじさんが自然すぎる佇まい。
エプロン姿のお姉さんたちが、くまなく目をきかせ、注文に対応。
厨房の小窓から出される料理を、広い店内に次々と運ぶ姿に惚れ惚れしてしまいます。
陽が傾きはじめると、サラリーマンのグループが増え始め
ビールにチューハイ、思い思いの飲み物を片手に店内の雑音ボリュームもマックス。
ひと組、ふた組と客が家路に向かうと、三ちゃんの終焉が近づきます。
毎日繰り返されているであろう三ちゃん食堂の日常。

先日、待ち合わせ時間まで、ひとり呑みしようと早く着いて席に座るなり、
湯のみに入ったお茶が置かれました。
のんべえ顔に見えなかったのね、と思ったけれど、
すかさず、瓶ビールを頼む私。うれしいやら、恥ずかしいやら。
三ちゃん大好き。

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Information


map

三ちゃん食堂

住所:神奈川県川崎市中原区新丸子町733

TEL:044-722-2863

営業時間:12:00~20:15

定休日:水曜休

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