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岩手はくるみが大好き!
コクがあっておいしい、カンタン
〈くるみひっつみ〉レシピ

日本列島カンタン郷土食
vol.003

posted:2014.6.28   from:岩手県  genre:食・グルメ

〈 この連載・企画は… 〉  地域ごとにさまざまな郷土料理がありますが、なかなか食べないし、伝えられていない。
コロカルはそれをちょっと心配してました。そんなときに郷土料理を後世に伝える全集が編集部で話題になり。
これを教科書に、いろんな人ともつながって、郷土料理を身近にする連載をしよう!ということに。
料理人・後藤しおりさんがアレンジした、家庭でおいしくカンタンに作れる郷土料理を、都道府県別に紹介していきます!

profile

Shiori Goto
後藤しおり

ごとう・しおり●実家は福島県で寿司屋を営む。ブータン料理店、野菜料理店などを経て、2012年7月に独立。世田谷を拠点にケータリング、ロケ弁、出張料理人として活動。不定期でアトリエでイベントなども行う。
http://gotoshiori.com/

photographer profile

Tetsuka Yamaguchi
山口徹花

やまぐち・てつか●フォトグラファー。東京生まれ。『anan』『Hanako』など女性誌を中心に活躍。週末は自然豊かな暮らしを求めて、郊外の古民家を探訪中。コロカルで『美味しいアルバム』も連載中。

writer profile

Akiko Saito
齋藤あきこ

さいとう・あきこ●宮城県生まれ。コロカル編集部編集担当。好きな郷土料理は宮城県亘理町のはらこめし。
https://twitter.com/akiko_saito

全国のおばあさんたちから、
大正末~昭和初期にかけての食事づくりを
聞き書きして編纂された「日本の食生活全集」全50巻(農文協)。
ここから料理人・後藤しおりさんが選んだ郷土食のレシピを、
現代の家庭でもおいしくカンタンに作れるように再現してお伝えします。

広大な面積、自給主体の日本型食生活が色濃く残った「岩手の食事」

今回ご紹介するのは、「日本の食生活全集3 聞き書 岩手の食事」
に掲載されている岩手県の食事。
そもそも「日本の食生活全集」取材班が最初に取材に訪れたのは
実は岩手県でした。なぜなら、岩手は全国の中でも
自給主体の日本型食生活の原型が色濃く残されているところ。
中央の消費市場から遠く、交通輸送条件にも恵まれない状況や、
四国四県に匹敵する面積。
さらに藩制時代の影響も加わり、
岩手県内でも全く異なる料理が食べられています。

「岩手の食事」に掲載されているメニューを見てみると、
県央の「ぬっぺい汁」や三陸沿岸の魚貝を使った奥羽山系の
山菜、きのこ、すし漬け。そして降り積もった雪を掘って穴を作り、
わらにいれた大豆を埋めて作る「雪納豆」まで!
あまりにもバリエーション豊かな食の工夫ばかりで、
どれを紹介しようか迷ってしまいます。

そのなかからしおりさんが選んだのは、
岩手の郷土食といえば! の「ひっつみ」。
岩手と深〜い縁がある、くるみと合わせた
「くるみひっつみ」のレシピをお届けします。

岩手ではおいしいことを「くるみ味がする」と言います。

そもそも、「ひっつみ」とは何でしょう? 
夕飯の主食として多く出されるメニューで、
水で練った小麦粉をつまんで鍋に入れることから
「ひっつみ」と呼ばれるもの。岩手県外では「すいとん」と
呼ばれています。岩手でも、普段は「すいとん」のようにネギや人参、
キャベツの汁など具だくさんの汁で食べているのですが、
少し上品に食べる時は、すったくるみと合わせるんです。
これは岩手ならではですね。しおりさんにとっても、衝撃だったようです。

「“くるみひっつみ”の名前を見て、美味しそう! と思いました。
小麦粉を水で練ったものは、具だくさんの「けんちん汁」などでいただくのが
当たり前だと思っていたので、くるみはびっくり!
すごく特別感がありますよね」

岩手県において、くるみはとっても特別なもの。多くの家では、
おにぐるみの木が植えてあって、なにか行事があるごとに使われます。
もちや団子はもちろん、ごはんに入れた「くるみ飯」や
「くるみ豆腐」、汁物、漬物にいたるまで、
伝統的な調理方法がたくさんあるんです。

そのくるみ愛を表すように、岩手ではとてもおいしいことを
「くるみ味がする」という言い回しがあります。
沿岸地方で、獲れたてのお魚のコクがあるときなどに使われるのだそう。
おいしさの代名詞になるほど愛される岩手のくるみレシピ、
ぜひ一緒に作ってみましょう!

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作ってみよう!

★くるみひっつみ(2人前)

材料:ひっつみ

小麦粉 … 70g

片栗粉 … 30g

水 … 100ml

材料:くるみだれ

くるみ … 40g

長ねぎ … 10cm

醤油 … 大さじ2分の1強

砂糖 … 大さじ1

塩 … ひとつまみ

1. 長ねぎはみじん切りにする。すり鉢にくるみを入れ、ペースト状になるまで擦る。醤油、砂糖を加え、馴染ませていく。水大さじ3を加え、均一になじませる。仕上げに長ねぎを加え混ぜる。

2. ボウルに小麦粉、片栗粉、水を入れ、よく混ぜあわせ、沸騰した湯の中にスプーンで落としていく。3〜4分火を通し、浮き上がってきたら、湯と共に器に盛り、のくるみだれをからめ頂く。

くるみをペースト状になるまで擦ります。市販のペーストもありますが、手で擦るとおいしさがひときわ違います!

醤油と湯でゆるくしながらペースト状にしていきます。最後は刻んだ長ねぎをはなして。

続いてはひっつみを作っていきましょう。ボウルに入れたタネをよく混ぜあわせます。

粉の真ん中をくぼませ、水を入れます。箸で真ん中から輪を書くように粉を混ぜ、周りに少し粉が残るくらいまで混ぜたら、手でこねていきます。全身でたねを押すように。

耳たぶより少しやわらかいくらいまでこねたら、ふたをして寝かせておきます。夏は1時間ぐらいまで。寝かせておくと、いくらでも伸びるようになります。

食べやすい大きさにちぎって、沸騰したお湯の中に入れます。

3〜4分火を通し、浮き上がってきたらすくいあげます。

できあがり! 湯と共に器に盛り、のくるみだれをからめて頂きます。
くるみのコクとしょっぱいタレ、むちっとしたひっつみは
おやつにも、お食事にも良いですよ。

書籍情報

日本の食生活全集3 聞き書 岩手の食事

著者:岩手の食事編集委員会編 
出版:農山漁村文化協会(農文協)

日本の食生活全集とは:おばあさんからの聞き書きで、各県の風土と暮らしから生まれた食生活の英知、消え去ろうとする日本の食の源を記録し、各地域の固有の食文化を集大成する書籍。四季の食事に加えて、救荒食、病人食、妊婦食、通過儀礼の食、冠婚葬祭の食事等を記録している。

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