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ふきの葉っぱで包んだ、
ふっくらお豆のお赤飯。
岩手風〈赤飯おにぎり〉レシピ

日本列島カンタン郷土食
vol.004

posted:2014.7.11   from:岩手県  genre:食・グルメ

〈 この連載・企画は… 〉  地域ごとにさまざまな郷土料理がありますが、なかなか食べないし、伝えられていない。
コロカルはそれをちょっと心配してました。そんなときに郷土料理を後世に伝える全集が編集部で話題になり。
これを教科書に、いろんな人ともつながって、郷土料理を身近にする連載をしよう!ということに。
料理人・後藤しおりさんがアレンジした、家庭でおいしくカンタンに作れる郷土料理を、都道府県別に紹介していきます!

profile

Shiori Goto
後藤しおり

ごとう・しおり●実家は福島県で寿司屋を営む。ブータン料理店、野菜料理店などを経て、2012年7月に独立。世田谷を拠点にケータリング、ロケ弁、出張料理人として活動。不定期でアトリエでイベントなども行う。
http://gotoshiori.com/

photographer profile

Tetsuka Yamaguchi
山口徹花

やまぐち・てつか●フォトグラファー。東京生まれ。『anan』『Hanako』など女性誌を中心に活躍。週末は自然豊かな暮らしを求めて、郊外の古民家を探訪中。コロカルで『美味しいアルバム』も連載中。

writer profile

Akiko Saito
齋藤あきこ

さいとう・あきこ●宮城県生まれ。コロカル編集部編集担当。好きな郷土料理は宮城県亘理町のはらこめし。
https://twitter.com/akiko_saito

郷土食を日本の隅々から掘り起こし、記録した名著
『日本の食生活全集』全50巻(農文協)から
料理人・後藤しおりさんが現代の家庭でもおいしく
カンタンに作れるよう再現したレシピを
お届けしている本連載。
今回は岩手編後編。『日本の食生活全集3 聞き書 岩手の食事』
から、見た目もすてき、おもてなしにも使える
ちょっと変わった「赤飯おにぎり」をご紹介!

赤飯は言わずもがな、なにか行事があるときの
主食として代表的なお米の料理。
岩手ではもともと、吉事には白おこわ、凶事には赤おこわでしたが、
「凶を転じて吉とする」という縁起直しから
祝い事全般に赤飯を食べるようになったと言われています。
赤飯と煮しめが岩手のハレの日の定番メニューなんです。

しおりさんが選んだのは、
ふきの葉っぱ「ふきかえば」で赤飯を包むレシピ。
握った赤飯をふきかえばに包んで出すのは、
県北において田植えの小昼(おやつ)でした。
あわのもち種とあずきもしくは赤ささげ(いんげん豆)
による赤飯は、農家では頻繁に作られていたんですよ。

しおりさんが赤飯おにぎりを選んだ理由は?

「東北らしさを感じたからです。すぐに食べられるよう、
おにぎりにして、畑仕事へ向かう光景が目に浮かびました。
また、ふきの葉で包むことによって、食べる頃には爽やかな香りが移り、
季節感があっていいなぁと感じました」(しおりさん)

ふきかえばに包むと、ほんのり香りが赤飯おにぎりに移って
とってもいい風味。しおりさんのレシピだと、
お豆がふっくらして、お米がもちもちした、
とびきりおいしい赤飯ができあがります。

「ふっくら炊くコツは、やはり蒸し器で炊くことです。お豆が崩れず
食感を楽しんで頂けるよう、熱の通しすぎを避けました」(しおりさん)

それでは早速作ってみましょう!
本格的に作る場合、前日からの準備が必要です。

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★赤飯のふきの葉包み(6個分)

材料

ふきかえば(ふきの葉) … きれいなもの中6枚

もち米 … 2合

乾燥あずき … 30g

水 … 50ml

塩 … 大さじ2分の1

1. あずきは軽く洗い、鍋に入れてかぶるくらいの水で2~3回茹でこぼす。1リットルの水で30分煮て、ゆで汁とあずきを分ける。ゆで汁は冷ます。

2. もち米は洗って、のゆで汁に一晩浸水させる。ふきの葉は軽く水で洗い、水気を拭き取っておく。

3. もち米はザルに上げ、さらしをひいた蒸し器に広げ、その上にあずきを散らし、30分蒸す。

4. 分量の水と塩をまぜ合わせた塩水を、上から散らし、さらに5分蒸す。

5. 粗熱をとったらお米を6等分し、丸めてふきの葉で包み、香りを移す。

軽く洗ったあずきを鍋に入れ、かぶるくらいの水を入れます。

沸騰したら水を捨ててまた新しく水を入れて小豆を煮ます。これを2,3回繰り返します。柔らかくなったら1リットルの水を入れて小豆を茹でます。

30分ほど煮たら、小豆とゆで汁を分けます。

もち米は水で洗って水気を切ります。

洗ったもち米を、さきほどのあずきのゆで汁に漬けます。このまま一晩置いておきます。

さて、一晩置いたもち米をザルに上げて、さらしをひいた蒸し器に広げます。その上からあずきを散らして、30分蒸しましょう。

仕上げが肝心。水と塩をまぜ合わせた塩水を上から散らして、さらに5分蒸します。蒸しあがったら、粗熱をとって、お米を6等分します。

ご飯を丸めてふきの葉で包み、香りを移しましょう。

できあがり!
おにぎりを包む葉っぱは、特別に買いにいかなくとも、
身近なもので十分です。

「庭に生えているもみじや、柿の葉、椿の葉、南天、枇杷の葉など、
料理に添えてあげたり、しきりにするだけで、華やかさが出て、
全体が締まります。柿の葉など、香りがある葉は今回のように
おにぎりにすれば季節感が出ておすすめですよ」(しおりさん)

ぜひチャレンジしてみてください!

書籍情報

日本の食生活全集3 聞き書 岩手の食事

著者:岩手の食事編集委員会編 
出版:農山漁村文化協会(農文協)

日本の食生活全集とは:おばあさんからの聞き書きで、各県の風土と暮らしから生まれた食生活の英知、消え去ろうとする日本の食の源を記録し、各地域の固有の食文化を集大成する書籍。四季の食事に加えて、救荒食、病人食、妊婦食、通過儀礼の食、冠婚葬祭の食事等を記録している。

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