先日こちらでご紹介した、ライフスタイルブランド〈SANU(サヌ)〉が展開する、
都心から片道1時間半〜3時間程度の自然豊かな拠点に自由に滞在できる
セカンドホーム・サブスクリプションサービス
〈SANU 2nd Home(サヌ セカンドホーム)〉。
2021年11月、第一拠点となる白樺湖と八ヶ岳のキャビンがオープンし、サービスが始動。
約1600人が初期入会申し込みを行い、
現在入会待ちの登録者数が約1500人以上なのだとか。
ライフスタイルの多様化が加速し、
より持続可能な社会が求められる現代を象徴するサービスとして、
早くも注目を集めるSANU 2nd Homeの全貌を知るため、八ヶ岳へと足を運びました。

最寄駅である甲斐大泉駅からタクシーで約2分。
雑木林が生い茂る山間の道を登る途中に見えてくるのが
〈SANU 2nd Home Yatsugatake 1st〉のキャビン。
理想の別荘を想起させるようなモダンな佇まいで、
「今晩はここに泊まるのか」と心が高鳴りました。
このキャビンは、SANUが安齋好太郎氏率いる建築チームADX社と手を組み、
極力環境負荷がかからないよう、原料調達から建設、運用、解体まで
再生・再利用し続ける仕組みづくりを軸に据え、
さまざまな工夫を凝らして建てられた「サーキュラー建築」というもの。

まず、見ての通りキャビンは木でつくられていますが、
これらはすべて岩手県釜石地方の森林組合から調達した樹齢50〜80年程の間伐材。
つまり、キャビンで使用されている木材は100%国産材です。
そして、ただ木を伐採して活用するだけでなく、食の概念「Farm to Table」のように、
調達から製材、加工、施工までを可視化し、
国産材の価値向上や普及にも努めています。
収益の一部はキャビン50棟分に相当する7500本の木の植林に当てられているそう。
キャビン50棟を建てるとCO2が650t(13t×50棟)排出されるそうですが、
この7500本の木が50年間でCO2を5250t(0.7t×7500本)吸収するので、
キャビンが増えればふえるほど日本の森が豊かになるという計算です。

SANUはこの循環の輪を環境再生型プログラム「FORESTS FOR FUTURE」と名づけ、
プロジェクト全体でCO2排出量より吸収量が多い
カーボンネイティブを実現したと発表しています。
この大きなシステムをサービスに取り込めるなんて、純粋にすごい。
昨年11月の地元向けの内覧会でも、地元の人がたくさん来場し、
とても好意的に受け入れてもらえたと話すのは、SANUのCEOである福島弦さん。
「『(SANU CABINは)俺が人生で見てきた建築物の中で一番かっこいい』
と言ってくださる方もいて、それが強く心に残りました。
地元の方にも愛されるプロダクトをつくることができ、とてもうれしいです。
また、SANUの環境への取り組みや信念に共感し、地域に受け入れていただけたことも、
非常にありがたく、印象に残っています」

そして、よく見るとキャビンは高床式。
この構造にすることで、風や水の流れを妨げることなく、
土壌への負荷が小さいという利点が。
そのほか、キャビンを建設する際は、事前に敷地内の木の本数や樹形を全て特定し、
伐採する木の本数を最小限にとどめていたり、
製造過程ではCO2を出すコンクリートや鉄の使用を通常より80%削減。
釘やビスを極力使わず、ほぼすべての部品を分解できるように設計されており、
パーツ交換やメンテナンスを行うことで、なんと50年も運用可能で、
キャビン解体後も別の場所に再建築できたりと、
本当に一から十までサステナブルで学びも多いサービスなんです。
そんなSANU 2nd Homeですが、到着してからもスムーズ。
クラウド宿泊運営システムsuitebookとWi-Fi型スマートロックRemoteLOCKによって
予約からチェックイン・アウトまでの手続きがアプリからスマホひとつで完結。
ホテルのフロントのようなものは存在せず、
宿泊者ごとに発行されるPINコードを錠口に入力すれば、
到着後すぐにキャビンに入ることができます。
「会員の皆さんには、自分の家の玄関を開けるように、
安心して滞在してもらいたいという思いがありました。
自宅でチェックイン・アウトが存在しないように、
キャビンもチェックインレスであることは、
サービス設計の時点から大前提としてありましたね」(福島さん)
開発当初は、業務の効率化やコロナ対策が目的ではなかったそうですが、
時代の流れが非接触型に向かい、奇しくもそのタイミングと一致。
「今後の展望は、体験の観点でいうと、キャビンには常駐するスタッフはいませんが、
現地に馴染みの店や知り合いができるなど、会員の方と地域の方のつながりを生み出せるような
きっかけづくりを考えていきたいと思っています。
ハード面では、オフグリッド型建築や石油燃料由来の建築素材を更に減らし、
国産木材の利用量を増やすことにも取り組んでいきたい。
運用面では自家発電の導入やごみの削減も視野に入れています」(福島さん)