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posted:2022.3.15 from:広島県尾道市 genre:旅行
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writer profile
Kanae Yamada
山田佳苗
やまだ・かなえ●島根県松江市出身。青山ブックセンターやギャラリースペース、ファッション・カルチャー系媒体などを経て、現在フリーのライター、編集者として活動中。まだまだ育ち盛り、伸び盛り。ファッションと写真とごはんが大好きです。
昨年、世界的なホテリエ・エイドリアン・ゼッカのディレクションにより、
広島県尾道市瀬戸田に誕生した旅館〈Azumi Setoda〉。
今春、そんなAzumi Setodaのレストランに横田悠一氏がヘッドシェフに就任し、
地元食材を100%使用したメニューが並びはじめました。
横田氏は、地産地消を重んじるフランスアルザス地方のレストラン〈ルセール〉、
“Farm to Table”の思想を広めたアメリカのレストラン〈ブルーヒル〉などでシェフを務め、
フランス、アメリカ、東京で各土地の食材、気候、文化と向き合いながら、
その土地ならではの魅力を料理で表現し続けてきた人物。
一方Azumi Setodaは、エイドリアン・ゼッカとともに、
瀬戸田の文化や歴史などを尊重しつつ、旅館として現代的な要素を取り入れ、
地域全体に賑わいをもたらす旅館を目指しています。
建築が木や石、土などの天然素材と潮風、日差しなどの気候によって
この土地らしい味わい深い表情になっていくのと同じように、
料理もこの土地ならではの素材と料理人が呼応し、
対話しながらつくり上げていくべきと考え、開業後もふさわしいシェフを探してきました。
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そんな経緯もあり、Azumiの思想と、
地域のマイクロシーズン(七十二候)まで目を向け、季節ごとに自然に採れる食材のみを使い、
食材の魅力を最大限引き出していく横田シェフの姿勢が合致し、ヘッドシェフに就任。
今後はより一層、食材や生産者と対話を続け、
瀬戸田およびしまなみの魅力を表現する料理を提案していくといいます。
現在ディナーコースには、レモンをはじめとする柑橘類、鯛や鰆、
マナガツオ、牡蠣や蛸といった魚介類、野菜、猪、天然のひじき、
わかめ、あおさ、もずくといった海藻、そのほか鰹節や塩や水まで、
100%地元食材を使用したメニューが。
※メニューは季節、時期、食材の仕入れ状況によって変動。
「埼玉県の実家の目の前には畑、田んぼがあり、
柚子や柿の木がなっている、すぐそばに食材がある環境で育ちました。
自ら野菜を採り、土を落とし、料理をして食べることがごく当たり前の生活でした。
フランス滞在中アルザス地方で狩りに同行し、猪の腹を割いて内臓を出した瞬間、
湯気が立ち昇り、触ると温かくて、その生々しさに怖さを覚えたのと同時に、
胃袋の中に猪の栄養源である果実や木の実が見えて、
心を強く揺さぶられたことを覚えています。
(アメリカの)ブルーヒルでは、事前にメニューが決められておらず、
まずスタッフ全員で朝、野菜を採りに行き、味見をし、
その場でその日のメニューを決めていました。
毎日がゼロからのスタート、創造の連続でした。
そんなアルザスやブルーヒルでの経験を経て、
自分が育ってきた環境がいかに恵まれていたのかということに気づくことができました。
そして、ここAzumi Setodaは、そんな自分のルーツに近い場所。
豊富な食材の近くで料理を始められる環境にいられることを嬉しく思っています。
季節によって海も畑も変わるので、
これからまだ体験していない季節がやってくるのがとても楽しみです」
と横田シェフはコメント。
さらに魅力的になったAzumi Setodaへ、
この春は足を運んでみてはいかがでしょうか?
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